2005年に、漫才がMZなら、落語はRGと、一門と事務所を越えて
雀々さんのお声かけで集まった「RG研進会」が前身。
800人の会場がほぼ満席。
次の時代を担う六人衆、独自のそれなりの活躍に。
「新鋭上方落語会」も打上げ公演と今年で最終回。
全員が口を揃えて云う、稀なる大舞台。
一、笑福亭三喬・・・・・・・・・・・・・・・・「近日息子」
マクラに、子供が中学生になって塾へ通いだすはなし。
おもしろい、これがかの有名な「我家のアルバム」の一景なのか。
日常ありうる話しながら、三喬さん、奥さん、子供のそれぞれのキャラがでていて、
さすが理論派三喬さん計算された、オチまでチャンと準備されている。
噺は「近日息子」、謝らん男に対する掛けあい部分はおとなしめだが、おもしろい。
悔みに入るのに、脱いだ羽織を再び着る。何でもありとやってみたが、
間(ま)があきすぎて失敗ですなと自己反省つき。
でも、トップから三喬さんの「近日息子」とは、何とも贅沢な落語会のはじまりですな。
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二、桂文三・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「堪忍袋」
マクラは、マクドの「ビックマック」をひとかぶりしようとして、顎がはずれた時のハナシ。
失敗談は、笑いの原点・・・最高におもしろいですな。
マクドの店員、病院の対応、喋れない情況、大人気ない恥ずかしい原因など全てが楽しい。
私と同じようにダイエットした、文三さん、好きな物は菓子パン、特に「小倉マーガリン」と、
すかさず隣の嫁さんが、私の顔を見て「お父さんと一緒や」とツッコミを。
ほんと、コンビニは高カロリー食品の集合体、100キロカロリー以下の物は「ビスコ」のミニパックと
あと一つの、計二つしかないらしい・・・・・と聞きながら、帰りには、ロールケーキを購入。
「ああ、甘いもんばかり食べて」と言われながら、止められませんな・「お前も食べてるやないか」
まさに、「堪忍袋」状態。
文三さんの「堪忍袋」、お咲さんも品があり、口は悪いが、美人っぽい。
いやはや「もういっぺん、云うてみ」には、そんな深い歴史があるんですな・・・要注意でおます。
三、桂雀々・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「七度狐」
「喜六、清八という二人の旅人」あれ。マクラなしで、いきなり本題へかっこいい、と思いきや
そこから、余興のはなしへ、バスに乗って、それも台湾からの旅行者の一行。
通訳のガイドもカタコトの日本語で、なんにも伝わらない。
うどん、そば、ラーメンを食べる、仕草オチで、なんとか笑いを繕う。
結局、いつものように、長―い、長―い、マクラに。
噺は「七度狐」、煮売り屋の、木の芽和えのすり鉢を盗んで、それを藪に捨ててと、説明もくどく
「わるいやつなぁー」と狐もなかなか登場しない。
サゲも、おさよ後家が出るではなく、油と醤油を間違って、お灯明に注ぐところの
「今のは、ワイや」で終わり・仁鶴さんか・「七度狐の半ばでございます」と下りる。
マクラ合戦で燃えたのか、はたまた計算通りのサゲだったのか、
期待で一杯だっただけに、なぜか物足りなさを感じた雀々さんの、「七度狐」でおました。
四、笑福亭鶴二・・・・・・・・・・・・・・・・「高津の富」
マクラは、あっさりと、「高津の富」へ、どっしりとした六代目風の語り。
大舞台でも、肩の力も抜けて、普段通りで忠実にきっちり運ぶ姿勢に、安定感が漂い、
一語一句違えず、語る落語に、逆に古典らしい匂いをたっぷりと感じる。
平常心をみた、鶴二さんの「高津の富」でおました。
五、桂梅團冶・・・・・・・・・・・・・・・・・・「ねずみ」
本日の秀逸でおました。
マクラで、9月の彦八まつりのご案内・・実は今年の実行委員長は梅団冶さんとか。
これほどの多い人の前で言うことはないので、あえて・・・。
それと、四月から息子が私に落後家として正式に弟子入りを。
確か、高校一年までは、アマチュアとして「小梅」で高座に
デビューの初高座、今から楽しみですな。
弟子が出来て気合い十分なのか、今日の梅団冶さんの「ねずみ」最高。
和歌山の出で、岡山で育ち、福岡の大学へと・・・
それにちなんで「ねずみ」のお宿も、岡山城下の設定。
「あのなぁ、おっちゃん」と、健気な子供。
父親が語る、虎屋を乗っ取られたいきさつを臭くやると、
更にお涙頂戴の重い人情噺になるのだが、そこは適度に治める、
・・・梅団冶さんのセンスを感じ、その加減が嬉しい。
最初に、甚五郎が彫ったねずみを見たのが、土地の二人の百姓。
それが、岡山弁で、田舎弁、ほのぼのさを誘う。
梅團冶さん、そのものの人間味溢れた、一席でおました・・・感動。
六、笑福亭仁智・・・・・・・・・・・・・・・・「EBI」
東京と大阪の違い、「電車の案内」、「痴漢防止のポスター」「動物園の注意書き」など
これでもかと次々にご披露、大阪人には、我事で、共感できるだけに大いに受ける。
ああこれは「多事争論」と思いきや、狐とねずみに続いてるので、今度は「海老」の噺と。
車海老と、伊勢海老の会話から、ブラックタイガー、加と吉の冷凍海老、
最後には、満月やかっぱエビせんまで登場、奇想天外さは仁智さんの独壇場。
最後にひっかけ橋での、かに道楽と海老道楽の対決は、水掛不動がでてきて一件落着。
まあ、仁智さんの、新作はどれもすぐさま、もう一度聴きたくなる名作揃いですな。
帰りの寿司やで食べた海老の塩焼き、半分食べたところで仁智さんを思いだして、パチリ。
今、読んでいる小沢昭一さんの本に、ユーモアとはの一節がある。
川柳で、「本妻のほうが美人で不思議なり」、これは風刺。
「くちなしやはなから下はすぐにあご」というのが、ナンセンス。
「春雨に大あくびする美人かな」というのが、ユーモアではないかと。
そして、どれも優劣はなく、同等であると、
これでいくと、
今日の三喬さんが風刺、仁智さんがナンセンス、梅團冶さんがユーモアというところですか。
まあ、これで、充実の新鋭落後会、一旦仲入りでお開きとのことでございますが
形を変えてあるとのこと・・
・楽しいメンバーだけに、どんな形で再開するのか、今から期待致しますな。
「新鋭・上方落語会」第1~4回 演目一覧
桂文三・・・・・・・「四人癖」「祝いのし」「軽業」「舟弁慶」
笑福亭鶴二・・・「七度狐」「七段目」「紙屑屋」「米揚げ笊」
笑福亭三喬・・・「阿弥陀池」「ぜんざい公社」「逆様盗人」「月に群雲」
桂梅團冶・・・・・「鋳掛け屋」「お玉牛」「切符」「竹の水仙」
桂雀々・・・・・・・「代書」「鷺とり」「くしゃみ講釈」「せんきの虫」
笑福亭仁智・・・「スタディベースボール」「源太と兄貴」「ハードラック」「源太と兄貴・純情編」
新鋭上方落語会~打ち上げ公演
2011年5月3日(火)14:00開演
梅田芸術劇場・シアタードラマシティ
一、笑福亭三喬・・・・・・・・・・・・・・・・「近日息子」
二、桂文三・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「堪忍袋」
三、桂雀々・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「七度狐」
四、笑福亭鶴二・・・・・・・・・・・・・・・・「高津の富」
仲入り
五、桂梅團冶・・・・・・・・・・・・・・・・・・「ねずみ」
六、笑福亭仁智・・・・・・・・・・・・・・・・「EBI」
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以前拝見した梅團治さんの『ねずみ』、甚五郎が飾り気がない分、むっちゃカッコよかったという印象があります。
それこそ「芸は人」なのかもしれませんね。
喜怒哀楽、落語を聴いていると、笑いと涙は微妙なところで表裏一体なのを感じますな。
「笑門来福」でおます。
主人が亡くなって2ヶ月。新聞の落語会の案内を見て「そうだ、落語を聞いて元気になろう」梅田へ出かけ一人で笑いました。まわりは御夫婦の方が多く、少し羨ましかったですが元気を貰って明日からがんばろうと気持ちを切り替えました。今日は本当に楽しい時間を有難うございました。