ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

錦秋文楽公演~平成27年度(第70回)文化庁芸術祭主催

2015-11-01 11:41:17 | 文楽・歌舞伎・能
錦秋文楽公演




一、碁太平記白石噺(ごたいへいきしらいしばなし)

田植の段と、浅草雷門の段、新吉原揚屋の段、の三段。

文楽らしくて、情感たっぷりに語られるのは新吉原揚屋の段。

父がお代官の秘密を知った為に殺され、娘、おのぶは母とも死に別れ、
巡礼姿で姉のいる吉原を目指して江戸へあがる。

浅草に辿りついて、あやゆく遊女として売りとばされようとしているところを
助けられ、その店が大黒屋、そこで姉との再開。

ここからが、浄瑠璃の語りと共に、父の死、姉妹の敵討の決意、
それを知った大黒屋の主人のその短慮さの諌め、
どれもが涙ながらに情に訴える、文楽の本骨頂。

単に姉妹が再開し、父の仇討を決意、そして主人が縛めと
それだけの筋立てなんですが・・・・・聴けば聴くほど
英太夫さんの渋めの声と共に、なぜか目頭が熱くなってくる。

文楽の力、恐るべしでおます。



二、桜鍔恨鮫鞘(さくらつばうらみのさめざや)

これは、一段物ですが、中で三場に分かれており、中、前、切、と
やはり、これも、最後の切場が良いんですな・・・。


金持ちの香具屋弥兵衛が五十両の持参金を持って婿入り。

義理の母から縁切りを言い渡され、妻のお妻からも愛想尽かしをされる
主人公の八郎兵衛、一度は立ち去ったが門口に立たされた娘を見て、
ついに踏みこんで、母とお妻を斬ってしまう。

その、お妻の真意がお金の工面のためにあったと、娘から聞かされる。
無筆のために手紙にしたためる事ができないので、娘に何かがあったら
父に伝えよと、その年端もいかない娘からたどたどしく発せられる言葉、

ああ、浄瑠璃、文楽でおます・・・これは実際に有った事件らしくて、
当時はウィークエンダーではないですが、テレビもラジオも無い時代、
瓦版で人気になった事件は、こうして舞台にかけられたんですな。

届かない心と行き違いの悲劇。

お涙頂戴は、心揺さぶりますな。



三、団子売(だんごうり)

これは、太夫四名、三味線四名が、出語り床に勢揃い。

ご陽気に、団子売りの夫婦が、臼と杵になぞらえ、
子孫の繁栄を願っての踊り・・・・。

先ほどの悲劇のお口直しというか、アンコールのおまけというか、
ご陽気におめでたい踊りで、締めでおます。



錦秋文楽公演~平成27年度(第70回)文化庁芸術祭主催
2015年11月1日(日)午前11:00開演
国立文楽劇場(大阪)

第一部
一、碁太平記白石噺(ごたいへいきしらいしばなし)
二、桜鍔恨鮫鞘(さくらつばうらみのさめざや)
 三、団子売(だんごうり)

一部を観たのですが、11時から15時30分までの長丁場でおます。





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