ピアニストは指先で考える (中公文庫) | |
クリエーター情報なし | |
中央公論新社 |
☆☆☆☆☆
凄い、ピアニスト青柳いづみこさんの・・読み応えたっぷりの本。
今、青柳いづみこさんは、大阪音楽大学の教授をなさっているのだが、
そのレッスンを受けているような、事細かな感覚の違いの秘密を伝授。
最初から、“曲げた指、のばした指”ではじまる、
つまり指の先でタッチするスタイルと、掌を平らにして指を長く伸ばして指の腹で
タッチするスタイルがある。
“曲げた指”は、若いころのポリーニ、ベロフ、ポゴレリッチ、田中希代子さんあたり。
“伸ばした指”は、フランソワ、安川加壽子、でもショパンをピアノ曲には“曲げた指”
では上手に弾けない部分がでてくるらしい。
椅子の高さと座り方にもいろいろあって、親指、爪、ペダルと靴、タッチに
レガートとスタッカート、・・・・単にCDを聞いて愉しんでいる私にとって、
その音色づくり、音の繋がり、歯切れの良さなど、それを奏でるのに
どれだけご自分が出したい音そのものがあって、その為の努力とは凄いものだと・・。
今、“クラヴサン奏法”の欄で、
オリ・ムストンネンのショスタコービッチの「前奏曲とフーガ」とバッハの
「平均律クラヴィ―ァ曲集」を交互の演奏したリサイタルスタイルのCDが
紹介されていたが、幸い持っていたので今聴きながら本の感想を書いていますが・・・。
本当に粒揃いの音は、普通レガートで弾くところも、切ってスタッカートにしてしまう。
でも、旋律線は活き活きとつながっている・・・・実は巧みなペダリングで、すべての音を・・
透明度を保ったまま・・・混ぜあわせ、豊かな響きにまとめあげているらしい・・・。
この本を読んで、ドビュッシーの音色、ショパンの音色、ラヴェルにリスト、
プロコフィエフにバッハなど、曲自体だけではなく音色にも注目して再度聴いてみよう、と。
この一冊で、再びピアノ曲を聴く楽しみが・・・・
新たにCD、2、30枚ほど買った価値がありますな・・。
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