about him

俳優・勝地涼くんのこと。

『少しは恩返しができたかな』(2)-2(注・ネタバレしてます)

2007-07-24 01:02:24 | 他作品
・卒業式にやってきたカズくんに駆け寄る卓球部の面々。
真っ先に両手を広げて駆け寄った男子を、カズくんに抱きつく寸前で両隣の二人が引き離し笑顔で背中をどやしている。
「だって俺もう嬉しくて」「嬉しいのはみんな同じだろ」「(抱きついたらカズが)つぶれちゃうだろ」(カッコ内太字部分はよく聞き取れなかったんですが前後からするとこんな内容だったんだろうと推測)
といった会話と行動に、カズくんが卒業式に無事出席できたことを心底喜びつつ、彼の体への気遣いを忘れない少年たちの心優しさを感じました。
そしてこれまでは皆から距離を置いていた(職員会議の席に乗り込む場面ですでに一緒に行動はしてましたが)拓巳が自然に中に混ざって笑顔でふざけあっている。こちらの方が彼の本来の姿なんでしょうね。
最初にカズくんの病室で皆とかち合ったときの「牧内の奴、最近いつもああだよな」という台詞からも、拓巳のシニカルな態度は(あの時点での)「最近」だけのもの、彼の常態ではないのがわかります。

・卓球部の仲間と久しぶりに卓球(ダブルス)に興じるカズくん。対戦相手の二人が、返しやすいように軽く玉を打ってくれてるのがわかる。
そして一瞬よろけたカズくんに気づきすっと真顔になる拓巳。そのあともちらちらとカズくんの様子を気にしている。
最初に病室を見舞ったシーンもそうですが、ちょっとした表情の動きで感情を伝えるのが勝地くんは上手いなあ。

・カズくんが自宅で倒れるシーン。その少し前から咳き込んでいる様子、体の運び方が本当にしんどそう。

・病院の屋上でカズくんとすれ違いざまに「ごめんね」と言われた佐々木さんの表情がさっと変わる。
カズくんの容態を知る彼女は謝罪の意味を即座に理解したのでしょうね。

・カズくんの病室を尋ねたものの、「患者安静中」の張り紙を見て、歩き去る拓巳。異様にゆっくりな足取りに彼の重苦しい心持ちがよく表れている。
そしてちょうど部屋から出てきたお母さんに呼び止められて振り向いた時の表情は、今にも泣き出しそうでありながら、同時にカズくんの容態についての質問と不安をぶつけられる相手に出会えた、感情のはけ口を見出した安堵も浮かんでいるように思えました。

・拓巳のことをカズくんのお母さんは「拓巳くん」と呼ぶ。普通息子の友達を呼ぶなら名字で「牧内くん」か息子の影響で「タクくん」になるんじゃないか。
卓球部の友達の中で拓巳が別格のような扱いになってるのも合わせ、カズくんと拓巳は小学校もしくは幼稚園以来の幼馴染の設定なのかも、とふと思いました。
ただそれなら「俺、ガキの頃小児喘息だったんだ」なんて告白は出てこない(当然知ってるから)はずなので、特に意味はないのかな・・・。

・「俺、カズに優しくしてやんなかったから・・・」と涙ぐむ拓巳。
受験のことで精神的にいっぱいいっぱいで、他の友人たちのようにカズくんを支えてやらなかった(随所で当時の彼としては精一杯の思いやりを示していたように思えますが)自分を責めつつ、今度はその自責の念と親友を失う不安でいっぱいいっぱいで、目の前のお母さんの気持ちを気遣えないという、一種皮肉な場面。

・涙の跡を隠そうともせず真っ直ぐに拓巳を見つめて「カズは大丈夫」だと語るお母さん。
辛さを懸命に押し殺して拓巳の不安を(おそらく幾分は彼の無神経さに苛立ちつつ)否定してあげながら、自分自身にもカズくんは助かるはずだと言い聞かせている。息子を思うゆえのお母さんの強さと哀しさが伝わってきます。

・アメリカ留学を中止するつもりだとカズくんに告げるお兄ちゃん(高橋一生くん)。笑顔で、かつ明るい調子で喋っているのに涙声。
「涙をこらえて明るい態度を演じている」ではなくて、涙をこらえて「明るい態度を演じている」ようにしか見えないのにびっくり。
このシーンに限らず、高橋くんのお芝居は本当にナチュラルで作為が感じられない。いやはやすごい。

・兄を説得しアメリカ留学を決意させたあとのカズくんの微笑みがひどく透明感に満ちている。
半ば人間界の存在じゃなくなりかけているみたいで、もう長くないのだな、と感じさせる・・・(死の前日、ラーメンを食べたときの表情も)。
そんな表情ができてしまう二宮くん、すごい。

・一人夜の病室で弱弱しく「上を向いて歩こう」を歌うカズくん。
一家四人で食事に行ったとき、カズくんの病状悪化を知らされた両親が車の中で語り合うときにも歌われてきたこの歌。最初、食事の帰りで歌うシーンではなんか話から浮いているように思えましたが、この場面のための伏線だったんだなあ・・・。
力ない声で自分を励ますような歌を歌いながら咳き込んでしまうカズくんの姿がとても哀しかった。すぐ直前の場面で「和憲くんはもう一週間持たない」と言われて泣き崩れる両親の姿も痛ましい。

・四年後、東大の卒業式で集合写真を取る元卓球部員たち。
拓巳は無事医学部に入れたのならまだ卒業ではないはず。それにカズくんと受験会場で出会うシーンで「東大、明日だろ」と言っているので、彼は東大を受けてない模様。
実際卒業証書を持っていないので、拓巳はどこか別の大学の医学部に通っていて、同窓会をかねて東大の卒業式の日に東大卒業組+カズくんのお母さんと落ち合ったものと思われます。
彼のほかにも卒業証書を持ってないメンバーが3人いるので、おそらく彼らもよその大学なんでしょうね。

 

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