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俳優・勝地涼くんのこと。

『さよなら、小津先生』(2)-5(注・ネタバレしてます)

2007-08-17 00:34:41 | さよなら、小津先生
〈第九回〉

・現在はチームを抜けたコモリが起こした暴力沙汰が今ごろ響いてくる。
このエピソードがあるから、コモリが最終回で再登場し皆を鼓舞するのが、「過去の自分の行為に対する落とし前」(本人に自覚はありませんが)の意味合いを帯びる。

・出場停止を生徒たちに知らせるにあたり、小津もカトケンも彼らに殴られるのを前提にしている。
「だらだらしてた」頃の彼ら自身に原因があるのだから、本来先生たちが殴られる理由がない
(実際事情を聞き知った彼らは「俺らの態度が悪かったから・・・」と小津たちを責めなかった)。
生徒たちが受けるショックを慮って、出場停止になった本当の理由は伏せておくつもりだったのでしょうね。小津やカトケンの生徒への思いやりに胸がじんとします。

・「(カトケンの)あの背中見て何も感じないの?」という一葉に対し「華奢ねえー」と返すみゅー先生。
一見一葉先生の意味したところを無視したような言い草ですが、その後嬉々として?カトケンを追いかけ同行してるところをみると、「頼りないからあたしが守ってあげる」というニュアンスだったのかも。

・銀行に戻ることを拒否し、自分がやったことの責任は、俺は俺のすべき場所=学校で果たすと宣言した小津を見送る絵理の顔には笑顔がある。
小津との和解のエピソードを見ても、彼女が「銀行員小津」より「小津先生」の方が好きなのは明らかですね。

・柳沼先生(渡辺いっけいさん)の竹刀を見咎めるみゅー先生。
子供は力で押さえつける必要がある、と語った柳沼に「そうかな」と言ったときのちょっと見下すような笑みは、かつての自分を客観視できるほどに彼女が「成長した」証なのでしょう。

・わざわざ金髪を黒く染めてマナーの良さをアピールするピカ。しかしその隣で井本が金髪のままなのはいいんですかね(笑)。

・人のチームのマナー違反、スポーツマンらしさを問題にする柳沼先生が、そう言ったそばからキャプテンに「挑発しろ。何をやってもいい」なんて指示を出す。
この時キャプテンは「軽くショックを受けたが大して驚いてはいない」という表情をしてる。
こうした指示が出るのに彼(チーム)が慣れていること、けれどそれを快く思っていないことをこの時点で示して、最終回での彼の「造反」の伏線としている。

・「頭悪くてバスケ出来んの?」と言葉で挑発された松沢は一瞬顔を強張らせるが、ちょっと間があったあと「バカでーす」と軽く受け流す。
この「間」のとき、彼はあさっての方を見て実にいい顔で微笑んでいるのだが、何を見ていたのだろう。小津先生?それとも一葉先生?

・三上が体をぶつけられたのを見て「ファウルだろ今のは!」と激昂するカトケンを、「落ち着けカトケン」と当の三上が諭す。
絵理を助けに怪しげなクラブ?に乗り込んだ時といい、最終回で小津を興洋銀行に訪ねる時といい、いざとなると先生より生徒たちの方が冷静なのが面白い。

・「挑発に乗ったふりをして相手を掻き回せ」と指示する小津。誰に対してどのように動け、と具体的に言うのでなく、彼らの自主判断に任せている。
ゲームの細かい展開など読みきれるはずがないので具体的に指示しようがないのも確かですが、相手チームを「偏差値の高い奴ら」(相対的に光蔭高校バスケ部員たちは「偏差値の低い奴ら」ということになる)と言いながら、生徒たちの「頭の良さ」を信じているのがわかる場面。

・殴りかかる振りをしながら左手で相手のボールを叩き落とすピカ。「キレやすい」キャラクター的にもこの役回りにピカはぴったり。
しかしたまたま相手がピカを挑発にかかってきたからよかったものの、例えばワンコが同じ事をやられてたら・・・。

・ぎりぎりで得点を入れ、無事「勝利」したさいに、ワンコが井本に抱きついている。
基本的に受け身のワンコが自分から他人に抱きつくというのはかなり珍しい。皆で絵理を「救出」したさいの、「クラブ行きたい!」に通じるはしゃぎっぷり。
両者を考え合わせると、彼がはしゃぐのは「嬉しいとき」というより「達成感を感じたとき」なんじゃないかなと思います。

・和気藹々と体育館を出て行く光蔭高校チームを浅倉学園の面々が呆然たる面持ちで見送る。
このとき三上がカトケンの肩に手を回しているが、教師(コーチ)と生徒がこんなふうに接している姿は、浅倉学園の連中には考えもつかないものだろう。
ところで光蔭高校バスケ部員たちはカトケンに対するほど小津には馴れ馴れしいスキンシップを行わない。
呼びかけもカトケンのことは仇名で呼ぶのに小津は常に「先生」。彼らの中でカトケンは仲間、小津は先生、という線引きが出来てるのでしょうね。

・試合が終わった後なのに、公園?でバスケをする一同。無事新人戦に出場できるのが嬉しくて、エネルギーをもてあましてる感じなんでしょう。
すっかりバスケ部の一員になりきっている三上を見る未句は、醒めたようなちょっと複雑な顔をしている。
以前のクールさはどこへやら、すっかり男の子の顔をしている三上が可愛くもあり、自分が入れない世界に行ってしまったようで寂しくもあり、という心境なのでしょう。
そのへんの心情をしっかり捉えてバスケ部マネージャーに勧誘する小津はさすが。
しかしこれまでいろんな女の子をマネージャーにと口説いてきた小津、未句をマネージャーにする案を今まで思いつかなかったんですかね。

・「あなた一番マナー悪いんじゃないのー」と言う佐野先生が微妙に楽しそう。いつのまにか小津先生大好きになってるんだなあ。

・「(お昼ごはん)作ってきたのに食べてくれないんです」。
井本と遥ってどの程度の仲なんだろう。実は第一回の段階ですでに付き合ってたりして。

・「幽霊みたいな顔してた。あのときのあんたみたいにね」。今の小津はそうじゃない、と暗に言っている。

・井本の回想シーン。幼い井本の傍らで、家を出てゆく直前の「幽霊みたいな」父親がいくつもいくつも紙飛行機を折っている。
その一つを井本に手渡したことからすると、これはお父さんなりに「捨てて行く」子どもに対する精一杯の愛情を示した行為だったんでしょうが(普段からよく紙飛行機を折ってあげてたのかも)、井本にとっては紙飛行機は父との楽しかった日々に繋がるものではなく、むしろ「幽霊」の象徴的アイテムになっているように思われます。
第一回で授業中に紙飛行機を飛ばしていた時の気だるげな様子からいっても。
「親父のようになりたくない」と言いつつ、当時の彼もいわば「幽霊みたい」なものだったのでしょう。
小津に「あんた、幽霊みたいだな」と言ったのも、一種の同族嫌悪だったのかもしれません。

・自分にはバスケしかないと語る井本。彼がある意味バスケに自己の存在理由を見出してると知ったことが、小津に去就を決めさせることになる・・・。

・マネージャー姿の未句を見て、「三上と付き合ってなかったら口説きたい」と実に彼らしい誉め方をする小津。三上と付き合ってなくても生徒ですから(笑)。

・「俺は犬か」「三秒ルールとは?」 いつのまにかすっかりカップルな雰囲気のカトケンとみゅー先生。
しかしカトケン、バスケ部顧問をやりながら、これまで三秒ルールを知りませんでしたか。

・今もってちゃっかりベッドを占拠している小津に笑う。しかし「フォーメーション覚えたか」と確認をする小津の心情を思うと・・・。

・「子供はいつか大人になるんです。彼らはちゃんとそれを知ってるんです。だから私を許せなかった」 
こう語る小津の脳裏には第一に先の井本との会話があるのでしょう。
最初は「教師は腰かけ」と言い切っていた小津が短期間ですっかり教師の顔になっている。

(つづく)

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