about him

俳優・勝地涼くんのこと。

『機動戦士ガンダム00 ーA wakening of the Trailblazarー』(1)

2024-08-28 20:41:27 | ガンダム00

2010年に公開されたTVアニメ『機動戦士ガンダム00』の劇場版。TVシリーズ第1シーズン、第2シーズンの続編であり、真の完結編ともいうべき内容となっています。 勝地くんは劇場版で初登場する新キャラクター、デカルト・シャーマン大尉を演じています。主人公刹那に続いてイノベイター(「単純に言うと進化した人類」)として覚醒したという役どころ。勝地くんと仲良しの小栗旬くんが『00』の音響監督の三間雅文さんと親しく、声優でなく俳優を起用したいと相談を受けたさいに勝地くんを推薦した、という経緯があったとのこと(※1)
アニメ声優への挑戦は2006年公開の『銀色の髪のアギト』以来であり、その『アギト』で声優の難しさを痛感しただけに不安が大きかったそうですが、「いい意味での異物感を出したい」との三間さんの言葉を聞いて引き受ける決心をしたそうです(※2)

私自身はアギトの声はおおむね良かったと思ってますが、『銀色の髪のアギト』の感想((4)-1)で書いたように世間的に酷評されたのは無理もないとも感じていたので、『00』で再び声優に挑戦することには「また批判されまくるのかなあ」と不安な気持ちも強かったのですが、蓋を開けてみれば前回が嘘のような高評価にホッとしました。個人的にもデカルトのちょっと低めのいい声質と皮肉っぽい声音はとても魅力的で、彼の声聞きたさで映画リピートしてしまいました(笑)。

上掲の(4)-1でも書いたのですが、『アギト』の時の勝地くんは自身の皮膚感覚に照らして、自然と思われる形の発声を行っていたように思えます(当時のインタビューで、アクションシーンでは実際にブースの中で体を動かしたりしていたと話していました)。ただアニメ声優の演技において求められるのはそうしたリアルさより一種の様式─声だけで感情表現を成立させられるような大げさなほどの声の出し方や台詞回しだった。ゆえに勝地くんの“自然さ”がアニメファンの耳には“棒読み”と聞こえる逆効果になってしまったのでしょう。勝地くん自身もそうした問題点を自覚していたのは、インタビュー記事での発言からも察せられます(※3)

こうした反省点を踏まえ、三間さんのきめ細かなご指導もあったようで、勝地くんのデカルトはよりプロの声優さんに近い(声優さんの発声とはやはり若干の違いはあるものの、“異物感”を求められている点を踏まえればこれで正解)演技を存分に見せてくれました。というか最初に録音した分は上手すぎて異物感が弱まってしまい撮り直しになったそうなので、その長足の進歩ぶりには驚かされます。ここ数年声優の仕事はしていないようですが(2017年の『パワーレンジャー』の吹き替えが最後かな)、久々にアニメ声優としての活躍も見て(聞いて)みたいものです。

 

※1-「機動戦士ガンダム00:勝地涼インタビュー 小栗旬の指名でデカルト役に 「いい意味での異物感を」」(https://mantan-web.jp/article/20100915dog00m200031000c.html)

※2-上掲記事。

※3-「ガンダムワールドへ飛び込んだ俳優・勝地涼が生み出す“異物感”」(https://eiga.com/movie/55064/interview/3/)。「あのときは、感情を込めて芝居をしたりしながらやってみたんですよ。表情や体も動かしたりして。でも結局、映像に乗るのは声だけなので、もっと冷静に考えなければいけないなと思っていました。なので、今回はもちろん気持ちも大事にしましたけど、音の強さや息や声の高低、抑揚といったテクニカルな部分にかなり気をつけて演じました。」

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