・「俺の彼女はめぐる。吉田めぐる」。いつもはめぐるのナレーションで始まるのに、今回はなんとユーキのナレーション。ユーキが主人公のような展開にわくわく。
そして「はっきりいって、可愛いっす」とその直後の「めぐるー!」の時のわざとらしいまでにキレのよい動き。この、効果音入れたくなるほどのパキパキした動きがユーキというキャラクターには実に似合っています。
・塾の下から「めぐるー!」と呼ぶとめぐるが2階の窓から「ユーキく~ん!」と笑顔で答える。こういうシーン同じく宮藤さん脚本の『僕の魔法使い』でもありましたね。何たるバカップル。しかも職場にいるのに。
そしてめぐるの返事を受けて「オニ可愛いっす♪♪」とメロメロな笑顔に。そんな君こそ可愛いよ(笑)。
・調子に乗ってゴミ捨て場に突っ込んだ直後、また「イチモツの不安」とかモノローグしつつ股間に手をやるユーキ。こらこらっ。
ユーキはこの言葉をどんな意味だと誤解してるんやら。
・ゴミ袋首に巻いた状態のままローラースケートで走るユーキ。それ外せよ。第3回に続いての後ろ向き滑りはあいかわらず見事です。
・第4回の回想から「やったー!」と叫ぶところで現在(でもこれも回想)に話を繋げる。「すみません、今のは思い出し喜びです」。何このカメラ目線。誰に喋ってるんですか。このへんメタ展開ですねえ。
・オーダーの機械が壊れたため記憶頼みで注文を取る藪中店長。毎度トラブってる気がするのに、それでもこの焼肉店(「ジュージューパラダイス」)に来るんですよね。
めぐるの注文にいちいち口で「ピッ」と答える店長にユーキが「ピッピピッピうるせえよ!」(この時の声の裏返り方にユーキの苛立ちがよく出ていてお見事)とツッコむんですが、めぐるの言うとおりいつものユーキらしくない乱暴な態度。
さしも脳天気なユーキも自分のコンプレックスに障るような特殊能力(ハゲてデブった未来の姿が見えてしまう)を持つ彼女を前に平静じゃいられないわけですね。それでもめぐるとの関係を「おおむね順調」と表現できるのはユーキの一種の度量の広さでしょうか。
・ユーキに怒鳴られて「あ、全部とんじゃった、やばいやばい」と言いながら下がる店長。結局オーダーはどうなってしまうのか?
この一連の場面での店長の言動は、ユーキが(もともとイライラしてたとはいえ)切れるのも納得のウザったさがある。佐藤さんの好演が光ります。
・めぐるに20年後の自分の写真を見せてほしいと言いつのっていたユーキが、「私はどっちのユーキくんも好きなんだから」と言われて思わず頬を緩める。めぐるへのベタぼれっぷりがよく伝わってきます。表情変化が上手いなあ。
・めぐるが一口食べるたびに両手で頭を隠しながら、ハゲる方はまだしも「ブルース・ウィリス的ハゲっていうか、ダイ・ハード系ハゲ」などとチャーム・ポイントとして捉えることもできるがうんぬんと一人語るユーキ。
具体的人名を並べての一方的なトークとバッと頭を隠す仕草の繰り返しが何とも可笑しい。ユーキ苦労するな。
・昨日塾に入ったばかりの「石倉タモツ」くんはどんな子かというめぐるに、塾長がさっと名前入りの写真を出してくる。はじめて有名人以外の写真が来た。
普通の証明写真ぽい正面からのアングルでない、勉強中らしい構図からして、塾での授業中に撮ったもの?しかも何か加工してあるっぽいし。これ塾長の隠し撮りなんじゃあ・・・。
・教頭先生がタモツの母親のことを口にした途端に、隣りの担任教師がはっと恐怖の表情になる。
思えばこの担任、最初に画面に映ったときから、妙に憔悴した顔の中で目がおどおどしつつも狂的な光を宿した、ちょっと不気味な人だった。あとで彼女がノイローゼで学校を休んでいる次第が明らかになりますが、言われる前から精神的に普通じゃないのが顔を見ればわかる。さりげない名演かと。
最後の「今は休ませています」で床に転がってるシーンでは見事に目がうつろです。
・めぐるが想像するモンスターペアレントの姿。ジャガー横田さんというあたりが、あはは分かりやすい。しかし担任教師の口にピーマン突っ込む保護者って・・・イヤすぎます。
めぐるの想像世界から現実に戻っても、先生の口にピーマン突っ込まれてるあたりは、ありえないんだけど(だからこそ)笑ってしまいます。
・再度めぐるの妄想ワールド。教員室に乗り込んでくるジャガーさん、なぜにリングコスチュームよ(笑)。後ろにゴングの音まで入ってるし。めぐるの想像力ってすごいな。つーか塾講師として「モンスターペアレント」の知識くらいなくては。
・完全武装状態で、バイクで教員室に突っ込んでくるジャガーさん。顔も隈取り系メイク済み。もはやどう見ても保護者ではない。この外見で、「11月は法事や葬式が多い」とか世俗的なことを口にするギャップがたまりません。
今度は教頭先生が犠牲に・・・。現実世界の教頭も顔に大痣作って服がよれよれです。恐るべしめぐるの妄想パワー。
・塾を襲うジャガーさん。手しか見えませんが明らかに怪獣化している。モンスターペアレントってこわいですねー。
しかしあのタモツ母(本物)が7つの学習塾から金をむしりとるような真似をしたというのがどうも解せません。うるさがたのお母さんってことで憎まれたために噂が一人歩きしたんじゃないのかなあ。
・襲い来る怪獣に踏み潰された瓦礫の山、そこで懸命に怪獣を防ごうとする自衛隊員。もはや学校でも塾でもない。なんか別のドラマになっています。
・タモツくんの母・ゆり子(高橋由美子さん)にネチネチとダメ出しされるめぐるはなぜか微笑みを浮かべたまま。
そしてぐるぐると揺れてぼやける視界、遠くから聞こえる正体不明の軽やかな笑い声。なんかやばいのでは?と思ったらいきなりお花畑で戯れる幼稚園児姿のめぐる+現在と未来のユーキの姿に。
次回予告の時点でスモック姿で丸く手をつなぐ三人の姿に「ユーキ23と43が同時存在してる?しかもスモック?一体何事!?」と思ってたんですが、テンパっためぐるの妄想オチとは(笑)。パステル調の画面と見るからに造花っぽい花がいかにも嘘臭い幸せ感を醸し出しているのがあまりにもグッド。
どうやったらこんなシーンが思い浮かぶのだ。スタッフのみなさんノリノリですねえ。
・妄想の中で笑いながらパイをぶつけ合う三人。めぐるが幼稚園児コスプレらしく髪を頭の両サイドでちょこんと結んでるのはいい(というか可愛い)として、ユーキ23まで男の子のくせに髪結んでるのはなぜさ。なまじ似合ってるせいで一瞬ユーキとは気づかず、本当の女の子かと思ってしまった(笑)。
実はこの髪型勝地くんの提案なんだとか。勝地くんもノリノリだ。そうそうに顔にパイをぶつけられてしまうため、せっかくの可愛い顔がちょっとの間しか映らないのが惜しい(番組の公式ブログ「パねログ」で幼稚園児コスプレ+Vサインの勝地くんの写真が見られます)。
・実は大学の同級生だったゆり子に「門田大くんでしょ」と呼ばれ、「そう、マサルくん!」と力強く大の字ポーズをする塾長。大学生の頃からあのキャラだったのか・・・。
でも彼女いわく「学生の頃は自分にも他人にも厳しいストイックな男だった」そうだしなあ。
・「東大っつってもあれだよ、東京大学」。「東西大学」とかそんなオチかと思ってたら本当に東大なんだ。「ほかにどんな東大があるんですか」という高尾山のツッコミも冴える。
・ひたすら「学園天国」を最初のところだけ熱唱(それも13回も)してはばったり倒れるめぐる。「明日からは学園地獄がはじまるからね」。
モンスターペアレントに見込まれためぐるの追いつめられた気分をこんな方法で(あくまでコメディテイストのままに)表現するとは!宮藤さんのセンスに脱帽です。
その後も前進ゼミナール進出による塾の存亡の危機、なんて小難しい?話がめぐる抜きで進みかけると、おもむろに歌いだして上手く主人公に視聴者の気持ちを引き戻す。上手いなあ。
・ゆり子に服装にケチをつけられたのを受けて、みちると服を交換しためぐる。これはこれでおよそ教師らしくないフォークロア調。肌の露出度が低くて色気がないぶん問題が少ないってことなのかな。
しかしめぐるの服を着たみちるを誉めるのに「エロいねえ」はないだろうおじいちゃん。子供に「えらいねえ」っていうのと全く同じ調子なのがなんとも(笑)。しかもそこからナンパ、でも遊びに誘う先は巣鴨。若いんだか枯れてるんだか。
・おじいちゃんが家に戻ると、寝転んでテレビを見ながら笑っているユーキが。
「おじゃましてまーす」と寝転んだままおせんべかじってたり、どんだけくつろいでるのか。こないだまでいきなり夕飯御馳走になるのも遠慮がちだったのにねえ。おじいちゃんの話に「別にいいっす。興味ねえし」とかさらっと失礼なこと言うあたりの現代っ子らしさといい・・・。
はじけまくりの第4回を経て、ユーキのキャラクターがますますリアリティをもって息づいてきたように思います。
・感謝してるというならまず礼を言ってからせんべいを食え、と言うおじいちゃんの言葉に、ユーキは起き上がりテレビを消すときっちり正座しておじいちゃんを見据える。
ここぞの時はきちんと礼儀正しく筋を通すのね・・・と思いきや、いきなり満面の笑顔で軽く「そわーっす!」と(悪気はない)。おじいちゃんたちまち「なめとんのか!」と帽子で殴りにかかってます。そりゃそうだわ。
・鍋焼きうどんの匂いに吊られて小さな祠の陰に潜む?「新宿に母」こと愛子(榊原郁恵さん)に出会うユーキ。
このときいちいち祠に手を合わせて拝んでるあたりがなんか可愛いです。一面識もないおばさんにうどんの冷まし方をレクチャーするあたりも、いい子だよなあ。
(つづく)