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about him

俳優・勝地涼くんのこと。

『ピクトアップ』(2)

2008-01-02 01:12:54 | 雑誌など
そしてポルシェさんの演技について。
勝地くんはよく共演者を誉めるコメントを口にしますが(この取材でも半分くらいは人の話をしてます)、そういう時の浮き浮きした、あるいは闘争心を感じさせる言葉の調子からは、口先でなく本心から彼が相手を評価しているのが伝わってきます。
ここでも貧乏ゆすりについての話は実に楽しげだし、「細かい芝居してるなあ、やばいなあと。全部がよくて、ちょっとチクショウと思いました(笑)」なんて発言には、負けず嫌いの勝地くんらしい健全なライバル意識がうかがえます。
これ、ポルシェさんにしてみれば最大の誉め言葉だったんでは。

勝村政信さんの話。
初共演は2003年のドラマ『盲導犬クイールの一生』だと思いますが、勝地くんはほぼ一話のみの出演だったので、親交を深めたのは2004年の舞台『シブヤから遠く離れて』のようですね。
2006年のSPドラマ『少しは恩返しができたかな』で共演した時も、主演の二宮和也くんともども勝村さんのお宅に遊びに行ったりしてたようで。時には苦言も呈してくれるよき先輩ですね。

「酔っぱらうとすごくいい話をして下さるんです。だから飲みに行くのについて行って、酔っぱらったところを見計らって、『僕、どうですか?』って聞く。」というのには笑ってしまいましたが。
『シブヤ~』当時勝地くんは17歳、『少しは~』の時でも19歳なので、「一緒に飲みに行く」でなく「飲みに行くのについて行く」という表現になるのはわかるんですが、何か勝村さんの後を慕ってちょこちょこ歩いてく姿を想像してしまう(笑)。
でもって自分はウーロン茶でも飲みながら勝村さんを酔わせにかかるわけですね。
微笑ましいなあ。今なら一緒にお酒を酌み交わせますね。

そしてチェーホフ。
18、9歳の頃公式のメッセージで「今度の休みにはチェーホフに挑戦したい」というような事を書いていたのに「文学青年だなあ~」と感心した記憶がありますが、意外なところで続報が。まだ読んでなかったんかい。
本人も「勉強する意志はあるけど、仕事が終わるとすぐに切り替えて遊びに行っちゃうので」「オンオフはっきりしすぎ」と反省の意を示してますが、インタビュアーさんも言うようにオンオフはっきりしてるのは彼の美点の一つだと思います。

このインタビューでも明らかなように、役者としての勝地くんはすこぶる繊細で、向上心の強さゆえに自分へのダメ出しを終始繰り返している。もう少しくらい調子に乗ってもいいんじゃないか(それだけの結果は出してきてるはず)と思ってしまうほど。
プライベートではきっぱりスイッチが切り替わるからこそ、精神の安定を保っていられる。
インタビュー記事などでもお芝居について語る時の真面目で熱っぽい調子に比べ、プライベートについて語る部分はずっと柔らかく時に茶目っ気さえのぞいている印象があります。

11月に当時公演中だった舞台『カリギュラ』を観劇されたあるプロデューサーさんがご自身のブログで、
「観劇後会った勝地くんは本当にさわやかな好青年で、彼のどこからあらゆる芝居が生まれてくるのか不思議になった」(概要)
と書いてらっしゃったのを見かけました。たぶん素(インタビューや業界関係者に会うのも仕事のうちなので完全なオフ状態とは言えませんが)の彼は、本当にごくごく普通の若者にしか見えないんでしょうね。

『CREA』2007年7月号のインタビュー記事で「目の前の勝地涼は少年の面影を残す、ごくフツーの青年。」と評されていたのを思い出しました。

そして役と自分をきっぱり切り離しているからこそ、過去の役の印象を引きずらず、その時々の役の色に自在に染まることができるのでしょう。
ちなみに前掲『CREA』引用部分の続きは、
「でもスクリーンの中ではまるで別人になる。幅広い役柄でナチュラルを意識的につくる、正真正銘のプロの役者に。」

(つづく)


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