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詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

見つけるサイクル

2016年06月20日 | 
朝、寝ぼけまなこが
トーストにバターをぬっている
するとパンにわたしがひきのばされて
ふだん巧妙に隠されている
へそのゴマのような汚れが見えてくる

昼、キーボードの上で
次の言葉を打ちあぐねている指が
宙に浮いたまま
おなかの子ヤギに応えようか
どうしようかと迷っている
すると隣の席でせんべいをかじる音が聞こえ
細かい気配りの人である田中さんの家の
抑制できないどくだみの
繁茂する庭が見えてくる

夜、一日でこんがらがるあたまが
ベランダで洗濯物を干している
ピンチの森を
ブラジャー、パンツ、くつ下、ハンドタオルが
ブラジャー、パンツ、くつ下、ハンドタオルと
雲梯しながら行き交って
建ち並ぶ家々の向こうの街道の車の響きや
すぐそばの路地を通る話し声が
そっと肩をたたくので
ピンチの間から遠い月が見えてくる
夜風が頬をなでる

布団に入り
眠れないなと思いながら
いつのまにか見ている夢は
起きているときには想像もできない
珍奇で美しいものの宝庫
キャラメルと琥珀を混ぜて
何回転もさせたドーナツ盤
その色艶はなぜか緋扇貝に比せられ
共に旅する懐かしい人々と
困った事態の対処に次々とりかかる

なぜかいつもぎりぎりになってしまう
時間との闘い
書類をファイルから出すとか
誰かに見えないように渡すとか
ある事柄を知らせなきゃいけないとか
手が動かないし
声が出ないし
誰かに引き止められてしまうし
簡単な動作がスムーズという言葉を忘れてしまう
なのになにかたっぷりと満たされている
いつでも大冒険
満ちている

朝、目覚めると
子どものように
感情の思い出を振り回して遊んでいた
とわかる
夢中で遊んだあとの抜けるような青空
のような心がぽこっとそこにある
夢の中のわたしは大事な役目を持っていて
カラフルで
ちょっとステキ
年甲斐もなく、だなんて
考えなくてもいいし

現実のわたしはそうではない
ゴムまりのような元気な衝動が見つからない
目覚ましをとめながら
貞子のように髪の毛がかぶさったまま
布団の上に起き上がり
ちょっとがっかりしているじぶんを見つける

じぶんなんて
なんだっていいのに
そう思い直す
一日のどこかで
すると辺りが急におもしろい

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