時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

欧米、イランの核関連の経済制裁を解除し、ミサイル関連の制裁を発動する

2016-01-18 23:32:08 | 中東
このたび、イランの核活用に関する一切の金融・経済制裁が解除された。

「核兵器を所持しているのでは」という理由だけで制裁を受けてきたイランだが、
 長い期間をかけ、協議を続け、ようやく限定的に活用が許され制裁も解かれた。

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イランと6カ国は、2年近くの間、数々の困難な協議を続けた結果、
昨年7月14日、ウィーンで得られた合意、
つまり包括的共同行動計画により、歴史的な合意に向け、大きな一歩を踏み出しました。

イランは、根拠のない主張により、
国連憲章第7章と国連安保理決議に基づく圧制的な制裁のもとに置かれました。


しかし、イランの核協議団は、困難な協議の中で、
イラン国民の権利を守ろうと努め、建設的な協議と協調を支持していることを世界に示しました。

現在、ウィーンの声明とIAEA国際原子力機関の事務局長の最終報告の発表により、
包括的共同行動計画の実施の準備段階が最後の局面に達しました。

天野事務局長の報告と、1月16日のウィーンでの共同声明は、
イランによる信頼醸成のための取り決め実施を認めるものであり、
今度は、核問題を理由とした対イラン制裁の解除など、取り決めを実行する番です。

とはいえ、イランの関係者は、
協議の相手側の口実探しや約束違反を忘れるべきではないことをよく知っています。

包括的共同行動計画とその後の結果は、
国内、地域、世界のさまざまなレベルで評価することができます。
イランの核活動は、最近まで、マイナスの憶測に基づくものでした。
しかし、そのような雰囲気は、現在、変化しています。
この合意は、どのような角度から見ても、重要かつ戦略的な合意となっています。

包括的共同行動計画は、実際、新たな機会です。
とはいえ、全ての問題は終わったと考えるべきではありません。
このような合意には、強みと弱点が存在します。

現在、イランは、技術的、科学的な面から正確かつ成文化された計画に基づき、
包括的共同行動計画の最初の8年は、商業、産業目的のウラン濃縮を伴う研究・開発計画により、
一部の制限を受け入れながら、核の科学的な基盤を維持し、経済的な目的を推進するために、
この計画の後の機会を利用する
ことになります。

これらは注目に値する成果であり、イラン外務大臣の言葉を借りれば、
多くの国にとって、実現不可能な願いとなっています。

http://japanese.irib.ir/news/commentaries/item/61563-
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 このこと自体は大いに喜ぶべきことだが、
 他方でアメリカは「核とは関連しない制裁は今後も続ける」と発言し、
 それどころか、ミサイル開発に関与したということで17日に新たな制裁を発動させた。


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米財務相は17日、イランのミサイルプログラムに関連し、追加制裁を発表した。
通信社ブルームバーグが報じた。

追加制裁の対象となったのは、イランの弾道ミサイル開発に関与した11の団体・個人。

ニューヨークタイムズによると、追加制裁の発表は数週間前に準備されていた。
しかし米国側は、イランで拘束されていた米国人が釈放され、
イランから出国した後、追加制裁を発表した。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/politics/20160118/1449780.html#ixzz3xbY2MyoI

今日、米国のルー財務長官は
米国は、核プログラムをめぐるイランとの合意に関係しない、
 制裁措置導入を続けるだろう
」と述べた。


ルー財務長官は、次のように伝えた―


「これまで常に述べてきたように、包括的共同行動プランが効力を発しても、
 その力は、イランの行動をいまだ受け入れられない他の分野には及ばない。
 我々は、共同行動プラン外の制裁に関し、目的に適った行動を続けてゆくだろう。

 もっと広い意味での米国の禁輸措置は、今後もその効力が残される。
 米国の銀行を含め、米国人は今後も、事実上あらゆるイランの機関との協力を禁じられる

とはいえ共同行動プランの導入は、非常に重要で画期的な事だ。
調整された経済制裁を前向きに転換するため、影響力ある役割を果たし得る事を示している。」

続きを読む http://jp.sputniknews.com/politics/20160117/1446786.html#ixzz3xbY8HLxa
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結局、イランが話し合いに応じても制裁は続行されるのである。

フランスやイギリスも大概だが、このアメリカという国の極悪さは、やはり一線を画する。
沖縄の米軍基地もそうだが、相手の意見を一切聞こうとしない。

今、沖縄の宜野湾市では市長選が行われようとしているが、
オバマ・安倍両政権は市長が誰になろうと辺野古基地への移設はやめないと公言している。
(そもそも、ここ数年の市長選や知事選、衆院選の結果は全て移設にNoの意を示しているし、
 今も反対運動は継続して行われているが、アメリカも日本も彼らの声に耳を傾けようとしない)

結果が決まっているのに過程を気にすることのどこに意味があるのだろうか。
初めから制裁を続けるつもりなら、移設を続けるつもりなら、何のために話し合いをするのだろうか。
何のための選挙なのだろうか?それは民主主義という空想をでっち上げるための茶番なのか?

欧米はシリアや中国、北朝鮮、イラン、キューバ、ベネズエラなどの
要するに自分たちの敵国が民主主義を尊重しているかどうかを非常に気にするわけだが、
私に言わせれば、見せ掛けの協議と選挙で真の民主主義を汚しているのは連中のほうである。

アメリカはイランの対話に応じるべきだし、沖縄の選挙結果も尊重すべきだ。
そして、それは日本の公僕であるはずなのに
アメリカのエージェントであるかのように振舞う日本政府の役人・政治家にも言えることである。

台湾選挙が終わって

2016-01-18 22:47:31 | 中国(反共批判)
選挙が終わり3日も経たないうちから民進党は日本との関係を強化する意向を見せた。

蔡英文次期総統、日本との自由貿易協定締結に意欲/台湾

民進党はアメリカ主導のTPPへの参加を公約に掲げている。
ひまわり学生運動は中国との自由貿易協定に抗議する運動だった。
中国とはまっぴらごめんだが、アメリカや日本となら是非ともということなのだろうか?

TPPは協議の時点で大国有利の経済同盟であることが指摘されているし、
単純な経済協定ではなく、軍事同盟にもつながるものだという意見もある。

そういう協定への参加をマニフェストにした政党が圧勝するのを見ると、
台湾社会の右傾化、この国が非道く歪んだ方向へと進んでいるような印象を受けるのだが。

週刊東洋経済によると、学生運動家の多くは自由貿易そのものに懐疑的らしい。
とはいえ、時代力量(運動家達が結党した政党)が民進党と選挙で協力し合ったということは、
自由貿易に反対といっても、中国に対するそれほど激しい怒りを覚えてはいないようである。

民進党は元々は文字通りの民主化運動家たちが立ち上げた政党で、初期メンバーはいずれも
政府に抗議するなり何なりして逮捕あるいはそれに近い弾圧を受けていた。

それが今では新旧宗主国に恭順し、植民地時代への回帰を望んでいるわけだから
随分と様変わりしたなと思うと同時に、元々そういう要素はあったのかもしれないとも感じる。

今回の選挙では蒋介石のひ孫も当選したらしい。
蒋介石といえば、台湾に逃れてきた後に元々住んでいた台湾人を虐殺し(二・二八事件)、
その後、アメリカや日本の庇護を受けながら専制政治を行った人物だ。

そういう人物のひ孫が選挙で勝つというのは、
パク・チョン・ヒの娘が韓国大統領に当選するのと同じくらいの無気味さを感じる。

ひまわり学生運動に参加していた連中は、今回の選挙をどう評価しているのだろう?

民進党の圧勝など世も末だと憤りを覚えているならばともかく、
国民党を倒せたことに満足して、民主主義の勝利だと浮かれていたら大いに問題がある。

台湾総統選挙、蔡英文の勝利~台湾は本当に民主化するのか?~

2016-01-16 23:26:15 | 中国(反共批判)

(台湾「左派」政党、民進党首席 蔡英文(さいえいぶん)※♀)

2014年春のひまわり学生運動は右翼・左翼関係なく日本では「民主化運動」と理解されている。
今回の民進党の勝利は台湾の「民主化」のメルクマークとして大手メディアは絶賛するだろう。

しかし、本当に台湾は民主化しているのだろうか?


まず、民進党と言う政党は植民地時代、宗主国である日本に協力した台湾人の末裔を
基盤とする政党で、彼らの先祖の多くは地主・商家などの地方有力者だった。蔡も旧家の出身で、
アメリカのコーネル大学、イギリスのロンドン・スクール・オブエコノミクスに留学した国際人だ。

国際人と言えば聞こえは良いが、どこの植民地国もそうだが、
要は宗主国の大学に留学し、現地のエリートから洗礼を受けて帰国し、
本国で支配する側として君臨する、つまり典型的な傀儡政治家
の一人であり、
実際、蔡は今回の選挙以前からアメリカや日本に向かい現地の政治家から歓待を受けている。

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台湾という名の「てこ」、米国にとっては未だ活用効果あり


蔡 英文氏は、台湾の大統領候補としては
史上初めて、米国務省の建物内で直接に米外交官らと会談を行った。

しかも、この会談を直々に執り行ったのは、
ジョン・ケリー国務長官に次ぐナンバー2の人物であるトニー・ブリンケン国務副長官だった。

中国が、来年1月に予定されている台湾大統領選挙で
中国国民党への支持に傾いていることを考慮すると、野党、民主進歩党の蔡英文氏の受け入れが
これ見よがしに高いレベルで実施されたのは、米国側からの政治的歩みだと捉えることができる。

というのも、蔡英文氏が主席を務める民主進歩党は中国との余計な急接近には反対する立場を
とっていることから、米国は台湾と中国の国益が固く一致することにはあまり関心を抱いていない。

米国は、台湾問題を長期にわたって
未解決に維持する現状維持をよしとしている。


米国側にとってはこれは、
近い将来、米国は台湾の安全の保証人の立場を演じ続けることを意味する。


中国抑止の可能性が低まったことに関連し、
米国は台湾の軍事的要求を満たしている自らの役割を強調しようとしている。

まさにこの要因から米台湾の軍人らの間の軍事コンタクトの拡大が図られているのだ。

2014年末に米国のペリー級フリゲート艦4隻、3億7千ドルの米国への供給が承認された。
2015年は米台湾の合同演習、合同トレーニングがいくつか予定されており、この中には台湾で
「心理作戦および情報戦争」に取り組む米軍部隊のラインでも同様の演習、トレーニングが行われる。

双方の関係にとってはかなり稀有なアプローチとなったのは、
ハリー・ハリス海軍大将が米軍太平洋司令官に就任するセレモニーの席に、
台湾の 厳徳友(ヤン・ゼフ)参謀本部長が参列していたことだ。

それまでは米国マスコミ報道にもあったように、台湾の軍人の代表は
ハワイでの海軍パラシュート作戦を記念したシンポジウムに参加したことはあった。

シンポジウムは太平洋司令部によって行われていたが、
今までは台湾の代表がこうした類の行事に参加したことは吹聴されてはこなかった。

仮に台湾向けの米国の軍事供給量が
以前より少なくなるとしても、やはり重要な象徴的な意味は持ち続ける。

こうした努力を受け取るのは中国や台湾のみならず、この地域における米国の連合国も同じだ。
南シナ海の状況が緊張化することを背景に、米国は台湾関係においては
路線維持にますます大きなアクセントを置いており、まさにこれによって
アジア太平洋地域における米国の連合国らに重要なシグナルが送られている。

米国の地域安全保障を維持する能力に対して疑問が高まるなかで、
連合国らには米国が「自分たちを捨てることはない」との確信を抱かせねばならない。

こうした場面で台湾は長年にわたる米国との軍事関係もあって、
目立った例として使うには好都合なのである。

http://jp.sputniknews.com/opinion/20150618/467327.html
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こういう記事もある。

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野党・民進党の候補者であるにもかかわらず、
蔡英文に対するアメリカの待遇は、驚くべきものだった。


マケイン上院軍事委員会委員長をはじめ、
メディロス国家安全保障会議アジア上級部長、ブリンケン国務省副長官ら、
錚々たるメンバーと会見し、多国間軍事演習への台湾の参加を促す意向まで示された。

蔡英文女史の顔が米『タイム』誌の表紙を飾るほどの反響を呼んだことは記憶に新しい。

そして、日本でも、安倍首相の実弟・岸信夫衆院議員の案内で、地元・山口を訪問し、帰京後、
自民党幹部と会談し、さらに安倍首相本人とも「密会」するなど、日本からも破格の厚遇を受けた。

蔡英文女史は、アメリカと日本のお墨付きをもらうことに成功したと言えるだろう。
これは、李登輝・元総統と、許世楷・元駐日代表という二人の大物の戦略が大いに関係している。

「民進党への“不安感”さえ減らせば、勝利は疑いない」という確固たる戦略によるものである。
 そして、それは見事に成功した。

中国の強引な“力による現状変更”に対抗するには、
アメリカ、日本、台湾が力を合わせるしかない。言いかえれば、

東アジアの安定のためには、「アメリカ―日本―台湾」の強固な結びつきが必須なのだ。

http://blogos.com/article/138627/
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はじめの記事はスプートニク紙、二番目の記事は極右の門田隆将氏の記事から引用した。
特に二番目の記事はお勧めで、日本の右翼から見ても蔡の訪米・訪日は
親分であるアメリカ人と日本人に挨拶に行ったものだと見える
わけだ。



両記事が示すとおり、蔡が率いる民進党は、
アメリカとの軍事・経済的結びつきを強めようとしている。


韓国は戦後、第二の主人であるアメリカに仕え続け、現与党セヌリ党は
北朝鮮の脅威を口実に日本やアメリカとの軍事同盟を強化しようとしているが、
民進党も同様に、中国の脅威を口実に日本やアメリカとの関係強化に努めようとしている。

その代償として失うものは大きい。

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台湾最大野党の蔡主席「TPPの理解深めたい」 訪日の狙い

来年1月の台湾総統選挙に出馬する最大野党・民進党の蔡英文主席は
1日の日本メディアとの懇談で、6~9日の訪日の主な狙いについて
「日本の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の経験を深く理解したい」と語った。

民進党は8年ぶりの政権奪回を視野に入れており、
蔡氏は主要政策の一つとしてTPPへの早期加入を掲げている。


http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM01H6Y_R01C15A0FF2000/
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極端な関税撤廃、自由貿易システムであるTPPには
日本でも農業関係者をはじめとして反対者が多い。



一言で言えば、これは新自由主義の一環であり、大国が弱国を支配する一つのスタイルだ。
2013年3月で安倍晋三は次のように述べている。


TPPの意義は、我が国への経済効果だけにとどまりません。
 日本が同盟国である米国とともに、新しい経済圏を作ります。

 そして、自由、民主主義、基本的人権、法の支配と言った普遍的価値を共有する国々とともに、
 アジア太平洋地域における新たなルールを作り上げていくことは、
 日本の国益となるだけではなくて、必ずや世界に繁栄をもたらすものと確信をしております。

 さらに、共通の経済秩序の下に、こうした国々の経済的な相互依存関係を深めていくことは
 我が国の安全保障にとっても、また、アジア・太平洋地域の安定にも大きく寄与することは
 間違いありません


横浜国立大学名誉教授の萩原伸次郎氏は、安倍政権がTPPを推進させる狙いは、
アジア圏に日米の多国籍企業を進出させることにあり、その副産物として
海外で活動する自国民の安全を保障するために、日米の軍拡、進出が生まれると指摘する。

現段階でもジェネリック医薬品を巡る対立が大国と弱国との間にあり、
アメリカは自国の製薬会社に独占的な販売期間を与えるために12年間の特許期間を主張したが、
安価なジェネリック医薬品の製造が困難になるため、マレーシアなどは5年を強く求めた。

現段階では少なくとも8年となっているが、今後どうなるかはまだハッキリしない。

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マレーシアの人権活動家が、TPP・環太平洋パートナーシップ協定は、中国の経済成長を阻止し、
東南アジアにおけるアメリカの覇権拡大を阻止するための努力だ
としました。

イルナー通信によりますと、マレーシアの人権活動家が、サンデイリー紙の記事の中で、
TPPに反対する第一の理由は、アメリカによる各国の制限と東南アジア地域への
アメリカの覇権だとし、「この経済協定はアメリカの資本主義体制にとって重要であり、
それによって地域と中国の貿易関係の拡大を監視しようとしている
」としました。

この報告によりますと、マレーシアの中小企業へのマイナスの影響を、
この協定に反対する別の理由だとしました。

この報告によりますと、マレーシアの中小企業のおよそ38%が政府系機関の所有であり、
62%が独立系の企業だということです。

この人権活動家は、3つ目の反対の理由として、「民主化と人権の侵害」を挙げ、
この協定は民主主義と人権の点から、加盟国にとって良いものとは思えない、としました。

ノーベル経済学賞の受賞者ジョセフ・E・スティグリッツや
ノーム・チョムスキーといった世界的に著名な学者らも、TPPに反対しています。

東南アジアからはマレーシア、ブルネイ、ベトナムがTPPに加盟しており、
インドネシア、タイ、フィリピンが加盟の意向を示しています。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/61550
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TPPは別に強制ではないのだが、輸出産業に依存する国にとっては魅力的なわけで、
過度の自由化による経済格差や貧困の拡大も気にせず、輸出産業の発展を望む国も少なくない。

また、TPP参加国の多くが中国と南シナ海の諸島を巡って領土問題を抱えているように、
この経済協定は政治的・軍事的なものでもあることは先に述べたとおりである。


「USA!USA!」

韓国が日米韓の軍事同盟を強めるために、アメリカに発破をかけられながら
慰安婦本人や支援団体が強く否定する安易な解決を強行したように、
民進党も歴史問題について妥協する可能性が高い。


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台湾、他国に先駆け日本軍における
性奴隷を志願によるものと認める可能性あり



台湾教育省が先月27日、歴史の授業における第二次世界大戦および
中華民国政府の政権掌握に先立つ日本による統治の時期の教育方針を見直す
計画を示したことに対し、地元学生らが抗議デモを行った。


教育計画の見直しは一部台湾市民に「統一中国」という理念を推進する
「国民党の画策」と受け止められ
、蔡英文・民主進歩党党首らが抗議行動を組織した。

民主進歩党支持者の多数が日本による統治期、日本を支持し、日本から恩典を受けていた。
そうした人々は、通例、農民や大陸中国からの移住者と異なり
当時中国政府が行っていた土地再分配政策で損をする地主や商家だった。

現在民主進歩党は教育・外交政策で強い疑問を呼んでいる。
抗議行動で授業計画の見直しが停止すれば、台湾は事実上、第二次世界大戦時の
日本軍における性奴隷制が志願制であったことを認めるようなものだからである。

「日本軍で強制的に性的奴隷として働かされたお婆さんたちが可哀想だ。
 もし学生たちの抗議がこの奴隷制を志願制だったと認めることを目指すものなのだとしたら、
 そんな人たちを台湾人と認めることが恥ずかしい」。ある住人の言葉をCNNが伝えた。

3週間前ネット上に匿名の証言があった。
民主進歩党と教育計画見直し反対抗議デモを支持する
生徒一人一人が財政的な支援を受けている、との証言だ。

「息子よ、帰って来ておくれ!蔡英文のビッグ・ゲームにおける
 歩兵などに息子がなってしまうのではないかと恐れている。
 どうしてあの女自身が抗議に行かないのだ?!」
と自分の子供たちを守りたい生徒の母の言葉をCNNは伝えている。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/asia/20150812/731369.html#ixzz3xQQ62QsC
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日本軍の犯罪を書くとはけしからん!中国的だ!という
どこかの国Jのネトウヨと似たような思考回路


慰安婦問題については国民党はかなり力を入れて取り組んでおり、
去年の12月には国が出資した資料館もオープンしている。

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<台湾の教科書問題>与党立法委員、「脱皇民化」訴え

日本の学習指導要領にあたる「課程綱要」の改定をめぐる問題。
与党・国民党の蔡正元立法委員(国会議員)は1日、会員制交流サイト上で
「(日本的な)皇民化の概念を取り払うべきだ」と発言し、反対派を牽制した。

蔡氏は李登輝元総統や陳水扁前総統らが
「台湾化」の名を借りて台湾史を「皇民化させた」と指摘。
改定は「大きな意義がある」とした上で、正しさを取り戻すものだとした。

また、台湾大学歴史学科の教授2人を名指して批判。
「厚顔無恥の皇民をごみだめに捨ててやる」と語った。

http://japan.cna.com.tw/search/201508020003.aspx?q=%E6%85%B0%E5%AE%89%E5%A9%A6

馬総統、日本の台湾統治を植民統治と強調 「安倍首相の謝罪が証拠」

馬英九総統は25日、「日本の台湾統治は植民統治であり、安倍晋三首相が先月行った謝罪が
何よりの証拠だ」と語り、加害者が謝っているのに、被害者がこれを隠し、
美化するのは国際社会から日本に媚びる行為として捉えられかねないと述べた。

馬総統は、台湾は日本の植民地だったが、
反侵略、反植民地主義の辛い戦いである抗日戦争には参加していたと指摘。

また、台湾の抗日は中国大陸より早く始まっており、1895年の乙未戦争(台湾平定作戦)から
1915(大正4)年の西来庵事件までの約20年間に多数の死者が出たとした。

この日、教育関係者などに対し、中華民国の総統として、
国家と国民に関する重要な歴史を正しい方法で後世へ伝える責任があると語った馬総統。

慰安婦問題については、国連人権委員会や台湾の研究機関などが行った調査から、
日本政府が女性らを強制的に連行し、慰安婦にしていたのは明らかだと強調した。

http://japan.cna.com.tw/search/201509260008.aspx?q=%E6%85%B0%E5%AE%89%E5%A9%A6

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そもそも、蔡英文は、あの李登輝(日本の極右と懇意の仲であり、
「日本の植民地支配は正しかった」と主張している政治家)からの覚えがめでたく、
「台湾は日本に統治された期間があり、日本が台湾を統治した期間について一定の評価がある。
 つまり、日本人には誤りもあったが、台湾に対する貢献もあった」と述べているような人物だ。

2015年の8月には李登輝元総統を擁護する態度も見せている。


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李登輝元総統が日本の月刊誌で、「台湾が日本と戦った(抗日)という事実はない」、
第2次大戦では兄と共に「日本人として祖国のために戦った」などと主張し、
与党・国民党などから批判が出ていることについて、野党・民進党の主席(党首)で
総統候補の蔡英文氏は21日、李氏の意見は過去の出来事に対する個人の経験であり、
「我々はお互いを受け入れる態度を持つべきだ」と訴えた。

蔡氏は、台湾には、歴史について異なる記憶や解釈があると指摘。
その上で、台湾の人々にとっての最大の悲劇は、過去数百年の間、
自分たちの運命を自分たちで決められなかったことだと述べた。

李氏の主張をめぐっては、馬英九総統が20日、「台湾を売り国民を辱めた」として
撤回と謝罪を求めているほか、国民党の総統候補の洪秀柱氏も同日、
李氏を恩義を忘れ義理に背いた「老いぼれ」「彼は日本人」などと強く批判した。

http://japan.cna.com.tw/news/apol/201508210009.aspx
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馬英九は、李登輝が日本の月刊誌への寄稿の中で
「台湾が日本と戦った(抗日)という事実はない」などと主張していることについて
「台湾を売り国民を辱めた」と厳しく批判し、発言の撤回と謝罪を求めている。
(参照元)

対して民進党は「そういう見方もある」「お互いを受け入れるべき」と語っているが、
同政党を支持する在日台湾同郷会の次のメッセージを読めば、その真意はお察しだろう。


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安倍総理の靖国神社参拝を支持する声明


靖国神社に多くの台湾人英霊が安らかに眠っています。
彼らは、70年前南方前線に赴き、日本人戦友とジャングルに、
河に、海岸に、山岳にともに戦って血を流し、遂に戦場に散った勇敢な戦士であります。
彼らが流した尊い血は我々の心を震えさせる日本と台湾の絆の永遠に消えない証であります。


去年12月月26日、台湾人英霊がかつての戦友の英霊とともに
安倍総理の参拝を受けられたことに我々は感動し、感謝の念を禁じえません。

しかし案の定、朝鮮と中国は安倍総理の参拝を理不尽に非難してきた。
傲慢かつ幼稚で偽善に満ちた罵りに我々は強く憤りを覚えます。

日本人の心の深奥にある清らかなる生死観に基づいた靖国神社参拝を歪曲し、
侮辱することに怒りを抑えきれません。
また日本人の独特な宗教観に無理解、不勉強のアメリカ政府に失望せざるを得ません。

我々は安倍総理に決して少数国家からの不義の圧力に屈せずに、
日本を尊敬される美しい国に導いてくれるよう靖国神社の参拝を引き続き
行われるよう心から支持し、願っています。

日本台湾医師連合
日本台医人協会
在日台湾同郷会
在日台湾婦女会
台湾の声

平成26年1月29日

http://taioan.web.fc2.com/a/20140129.htm
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安倍が2013年12月に靖国に参拝した直後の声明文だ。
こういう連中に支持されているのが蔡英文。

中国的だとして日本軍の犯罪を強調する教科書を非難したのは偶然ではないのである。

馬総統は「慰安婦問題は解決済み」とする李元総統の言葉に対して、
「問題はまだ終わっていない。これ以上慰安婦を傷つけてほしくない」と反論した。
「そういう見方もある」「植民地支配には良い面もある」と説く蔡英文とは対照的である。

非民主的政党であるはずの国民党党首が慰安婦問題で被害者側に立ち、
民主的政党であるはずの民進党党首が同問題で加害者との「和解」を望む。この矛盾よ。

彼女のスポンサーのアメリカは慰安婦問題については早期の解決、その後の同盟強化を望んでいる。
台湾市民の多くも慰安婦問題に関しては民進党いわく親中(笑)的な態度を取っている。

そのことを察してか、
さすがに蔡英文もその後、態度を変え、慰安婦に同情しているポーズを見せているが、
彼女がパククネ式の解決方法(※)を今後目論むのは容易に想像できることである。
(※形ばかりの謝罪と金銭による「解決」)

「蔡主席、反教科書改訂運動の時あなたはなぜ声を上げなかった、
 今になってやっとFacebookに文をupしたのは、婦人票のためか? 
 あなたの党が施政している県市で使っている改訂前の教科書では
 慰安婦の部分はどう対応しているのか?」

「反教科書改訂運動の学生が強制的に慰安婦にさせられたという意見に、
 『証拠はあるのか?』と反論したが、蔡英文が学生に指図して言わせたのか?」

等々の嫌味を言われていたのだが、こういう人物が総統になった意味を考えて欲しい。


蔡「右翼も左翼も皆なかよくアメリカの手下になろうぜ!」

問題は、今回の選挙で「ひまわり学生運動」系列の人間が
民進党と協力関係にあったということである。


私は民進党ほど反共親米が露骨な政党はないと思うのだが、
中国との関係改善、日本との対決を望む国民党に勝たせないために、今回、
両者は同盟を組み、民進党は立法院選の自党空白区では新政党「時代力量」の支援に回っていた。

先述の在日台湾同郷会も時代力量やひまわり学生運動を強く支持している。
逆に学生運動家たちは民進党と対決姿勢をとろうとはしない。
政策も民進党とあまり差がないため「民進党との違いがわからない」という批判を受けていた。

民主化運動として評価されるひまわり学生運動だが、
実際には、「民主化」というよりも「反中国」が同運動の原動力であり、
その本質は民主化と言うよりは保護国化(日米に庇護される存在となること)である。


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【新唐人2014年10月02日】10月1日の夜、台北市の自由広場では
およそ4千人が集会を開き、香港の平和的な民主化デモに声援を送りました。

ひまわり学生運動のリーダー、林飛帆(りんひはん)さんが先頭に立ち、
「天は中共を滅ぼす」と、ローガンを叫びました。

ひまわり学生運動リーダー 林飛帆さん

「皆さん、 一緒にスローガンを叫びましょう。
『天滅中共』(天は中共を滅ぼす)。

我々が望むのは香港の皆さんと一緒に、
 東アジアの中国の周辺国と一緒に、
 対中共聯合戦線を作る事です。
いかがですか」

「すばらしい!」


ひまわり学生運動リーダー 陳為廷さん

「我々が目にしている香港の状況は、今年3月に我々が経験したことです。
 当局は正面から向き合わず、引き延ばし作戦を行っています。
 これが典型的な689(国民党)の引き延ばし戦術です」

香港の民主化デモを支持する台湾の人々が、
ロックバンド、BEYOND(ビヨンド)の「海濶天空」(遥かなる夢に)を合唱し、
香港にエールを送りました。

新唐人テレビがお伝えしました。 

http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2014/10/01/a1142850.html (中国語)
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「周辺諸国」とは間違いなく日本とアメリカ、フィリピンであろう。

台湾は冷戦期、中国共産党が統治する中華人民共和国に対抗する手駒として
アメリカや日本の保守派政治家と親しくしてきた歴史がある。

この関係は1972年に日中、米中の関係が改善されると共に終わりを告げるのだが、
以降も中国と台湾との対立、中国に対する台湾人の反感・敵意は一貫して存在し続けてきた。


「台湾が中国の一部にならないで」議場占拠1年 
 中台接近に歯止め、「第三勢力」台頭はならず


なお、「天(神)は中共(中国共産党)を滅ぼす」を合言葉にしようと呼びかける
学生運動のリーダー、林飛帆氏も中国に対する嫌悪感が民進党圧勝の背景だと考えている。

「中国への嫌悪感」が台湾民進党圧勝の背景 台湾学生運動のリーダー・林飛帆氏に聞く

今、台湾で吹き荒れているのは民主化ではなく、再植民地化の風だろう。

日本の知識人の多くは民進党や学生運動家を進歩派と語るが、
歴史的に見れば、蒋介石時代の反共・親米親日路線に逆戻りしている。

民進党の党首および同政党は歴史的には確かに台湾の内政を民主化させようとしてきたが、
国際政治の視点から見れば、過去の植民地時代への回帰を目指しているのである。

植民地時代に甘い蜜を吸っていた連中の子孫が昔を偲び、元宗主国の日本や
新宗主国のアメリカとの関係を密にしようとしていることは別におかしなことではない。

植民地経営というものは現地の有力者と本国の有力者が協力して統治・開発に臨むものだ。
日本で言えば、親米保守の立場に近い。TPPの締結、アメリカとの軍事的協力関係の強化。
日本の自民党と何ら変わらないではないか。

このような輩に対して、反共であるがために簡単に協力関係を結んでしまう時代力量や
元ひまわり学生運動のメンバーたちは大いに問題があるだろう。
(それは彼ら学生に限らず、民進党支持者全般にも言えることだが)


「民進(民主進歩)」とは「自民(自由民主)」なみに胡散臭い言葉である。
民主化といいながら、その実、アメリカ化を目指しているだけとなってはどうしようもない。
今回の台湾選挙で民進党が勝利した背景には馬政権時の中国との接近と経済の低迷が挙げられる。
そういう意味では民進党も時代力量も民衆の絶対的な支持を受けたというよりも、
現政権に対する抗議の意味合いが大きい(日本の民主党政権誕生の時と事情が似通っている)

しかし、よくよく考えれば、80年代までは真の意味で国の民主化を目指していたはずの政党が、
ここまで露骨な新自由主義の支持を掲げるようになったというのは凄まじいことである。

「天は中共を滅ぼす」という言葉によく表れているように、台湾もまた日本と同様、
 冷戦期から反共というイデオロギーを維持したまま現在に至り、
 歪んだナショナリズムとなって民主化を属国化にすり替えさせている。

このような事態を軽視して民主化勢力の勝利と浮かれてはいけないのだろう。多分。

北朝鮮が自分で説明する水爆実験の背景

2016-01-16 00:32:07 | 北朝鮮
北朝鮮をどうしたらよいのか誰にも分からない

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北朝鮮は、何がしたいのか?世界を驚かせたいのか。世界の関心を引きたいのか。

英国王立国防研究所の元所長、マイケル・クラーク博士によれば、
北はおそらく、広く認められるということに、単純に満足しているのだという。

「ほかの国ならむしろ秘密裡に核開発を行なうところ、
 北朝鮮は核兵器を旗のように振りかざし、自分を核大国と認めよ、と要求するのだ。

 成功するかもわからない状態で、もう実験実施を触れ回った。
 彼らがいかに周到にこうした宣伝を行なっているかということは、
 彼らの国際政治観を示している。彼らは米国や中国と同列に立ち、
 誰もがそれを認めることを求めているのだ。

それは我々から見ると不条理なことなのだが、おそらく彼らの目からは、そうは見えないのだ」。

1990年代韓国大使を務めたロシアのゲオルギー・クナゼ元外務次官によれば、
北朝鮮はここ数年、世界のほかの紛争ばかり目だって自分が後景に退いてしまったとの考えから、
再び自分に注意を集めようと決めたのだ、と韓国では考えられている。

北朝鮮は、国際舞台における予測不能なプレイヤーの一人として
国際的な関心の中心に位置することに慣れっこになっている。

「国際政治の焦点が極東から中東へ、欧州へ、ウクライナへ移ると、
世界を緊張させることに慣れっこになっていた北朝鮮は、注目が奪われてしまったように
感じてしまったのかもしれない。だからこそ、実験を急いだのかもしれない。
北朝鮮をどうしたらよいのか誰にも分からない。

制裁を強めすぎるとある時点で彼らは、言ってみれば窮余の一策で、掌を返す。
これは相当に困難な同義的選択だ。不適切な指導部を揺さぶるためだけに、
2000万もの人々を飢え死にさせてよいものだろうか?」

続きを読む http://jp.sputniknews.com/opinion/20160111/1418169.html#ixzz3xKUHHUUw
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北朝鮮を非難する人間に総じて言えることは、その人物が左翼であろうと右翼であろうと
なぜこの国は核を持とうとするのかについて深く調べようともせず、
「アメリカを脅迫しているのだ」「注目を浴びたいのだ」「金が目当てなのだ」と言った風に
「とりあえず叩いて置け」とばかりに特に根拠のない憶測が先行してしまうことであろう。

「よくわからないが非難しろ」という態度はジャーナリストとしてどうなのと
 言いたいところだが、ほとんどの知識人がそうなのだからある意味仕方ない。

では、北朝鮮は今、何を思っているのか?なぜ実験を行ったのか?
これらについて朝鮮新報社がQ&A形式で上手くまとめてくれたのでここに紹介したい。

朝鮮新報は北朝鮮の事実上の大使館である総連の傘下にあるメディアで、
同紙は、北朝鮮の実質的なスポークスマンと見てよい。書いている内容に
納得できるかどうかはともかく、北朝鮮の意向を知るにはもってこいの情報媒体だろう。

つまり、北朝鮮自身は、自分たちが何に対して怒っているのか、恐れているのかを
常日頃からこれでもかとわかりやすく書いているのだが、悲しいかな、あまり読まれない。


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Q.今回の水爆実験に関して、朝鮮は6日に発表した政府声明を通じて、
「国の自主権と民族の生存権を守り、
 朝鮮半島の平和と地域の安全を担保するための自衛的措置」であると主張した。その背景は?

A.
朝鮮は1950年代から米国の核恫喝策動によって脅かされてきた。
朝鮮戦争当時、米国は核兵器の使用を公言し、朝鮮半島の北部地域に
放射能廊下地帯を形成することをけん伝した。実際に原爆投下演習も行った。

米国立文書保管所が最近公開した資料によれば、
米国は1950年代中頃、朝鮮の主要都市を含む社会主義諸国の主要対象と
地域を標的に核爆弾投下攻撃計画を作成していた。


停戦後、米国(国連軍司令部)は南朝鮮に核兵器を配備したと公式に発表した。
2002年3月には、ブッシュ政権が「核体制の見直し(NPR)」を公表。

そこで朝鮮を核先制攻撃のリストにのせ、
「有事の際」に朝鮮を対象に核兵器を使用するということを明文化した。


現在、朝鮮侵攻作戦に基いて毎年実施されている
米・南合同軍事演習には、各種の核攻撃手段が総動員されている。


米国は朝鮮の水爆実験から4日後である10日、グアムの米軍基地から
B-52戦略爆撃機を朝鮮半島に派遣し、朝鮮に対する軍事示威を敢行した。

B-52戦略爆撃機は水素爆弾4発をはじめ31トンの各種ミサイルと爆弾を搭載できることから、
別名「空の要塞」などと呼ばれている。
朝鮮に対する露骨な核威嚇、核恫喝であるが、
米国がB-52戦略爆撃機を朝鮮半島に派遣したのは今回が初めてではない。

2013年をはじめ過去の合同軍事演習にも同機を投入し、朝鮮を軍事的に威嚇してきた。

米・南軍当局は昨年
朝鮮に対する核先制打撃を想定した戦争計画(「作戦計画5015」)を新たに作成し、
8月に入ってこれを適用した「乙支フリーダム・ガーディアン」合同軍事演習を実施した。



日本で安保法が成立し、集団的自衛権行使への道が開かれたこと、さらには北侵戦争計画が
新たに作られたことによって、朝鮮半島で戦争が勃発する危険性は格段に高まっている。

朝鮮はこれまで、核兵器の使用をちらつかせた恫喝に対処すべく、
その都度臨戦態勢を敷かざるを得なかった。このような状況が毎年繰り返されることにより、
経済建設が著しく阻害されるなど、多大な損失を被ってきた。



さらに米国は、従来課してきた対朝鮮経済制裁に加え、
最近では日本や南朝鮮と共に朝鮮の「人権」問題を国際的に世論化し、
朝鮮の政権を「崩壊」させようと露骨に働きかけている。


Q.米国の対朝鮮敵視政策がこれまで以上にエスカレートしたことが、
  朝鮮の水爆実験実施という結果をもたらしたということか。

A.そうだ。しかし朝鮮はいきなり今回の水爆実験に至ったわけではない。
  朝鮮は昨年、米国に対し、朝鮮半島に平和的環境をつくるための
  さまざまな提案を行ってきたが、米国はこれに応じず、対朝鮮敵視政策を強化した。

昨年1月に朝鮮は、朝鮮半島で行う合同軍事演習を中止するなら核実験を臨時中止する
という政府メッセージを米国に伝えた。しかし米国はこれを無視して合同軍事演習を強行した。
南朝鮮への最新ミサイル防衛システムの配備を検討するなど朝鮮を狙った軍備拡張も強力に推し進めた。

朝鮮戦争勃発から65周年を迎えた昨年6月25日、朝鮮は「第2の朝鮮侵略戦争を
挑発しようとする米国の策動が重大な段階に至っている」(国防委員会声明)と指摘した。
その指摘が現実となった出来事が、北南が交戦直前の危機に陥った「8月事態」だった。

北南対話によって武力衝突が回避された後、朝鮮は、
国連総会での外相演説(10月1日)や外務省声明(10月17日)を通じて
有名無実化した停戦協定を平和協定に切り替えることを米国に提案したが、
米国は「朝鮮の核放棄が先決」だとして応じなかった。

Q.これまで朝鮮は、ミサイル発射や人工衛星打ち上げに対する制裁措置に対抗するための
  自衛的措置として核実験を実施してきた。今回はそのような「前例」とは異なるが。

朝鮮は、2006年10月、2009年5月、2013年2月と3回核実験を実施した。2006年には
核実験に先立ち朝鮮の長距離ミサイル発射に対して国連安保理制裁決議が採択されていた。
2009年には人工衛星打ち上げに対して国連安保理議長の非難声明が出され、
2013年も朝鮮の人工衛星打ち上げに対して国連安保理制裁決議が採択された。

一方、今回の水爆実験は、朝鮮労働党が掲げる戦略的路線に沿って実施されたと見ることができる。

朝鮮は朝鮮労働党中央委員会2013年3月総会で、
経済建設と核武力建設を並進させるという新たな戦略的路線(並進路線)を提示した。
同総会で金正恩第1書記は、「帝国主義者とその追従勢力の核の威嚇と侵略策動に
立ち向かってわれわれの自衛的な核保有を永久化し、それに基づいて経済強国の建設で
決定的な勝利を収めようというところに並進路線を示したわが党の意図がある」と述べている。

並進路線とは、核という強力な戦争抑止力に基いて平和的環境を築き、
経済建設と人民生活向上のために、資金と労力を集中させていくとの構想からなる戦略である。


今回の政府声明で朝鮮は、「わが軍隊と人民は、チュチェの革命偉業の千年、
万年の未来を保証する正義の核抑止力を質、量ともに絶え間なく強化していく」と指摘した。
今回の水爆実験が朝鮮労働党の並進路線に基づいた措置の一環であるということが見てとれる。

Q.朝鮮は政府声明(6日)で、「初の水爆実験に成功」と伝えたが、
  南の国家情報院などからは疑惑の声があがった。

A.国家情報院は6日夜、朝鮮の水爆実験の規模(爆発の威力)が小さかった
  ということを「根拠」に、「水爆の可能性は低い」と説明した。

一方、朝鮮の政府声明は、「われわれは新しく開発された試験用(実験用)水爆の技術が
正確であることを完全に立証し、小型化された水爆の威力を科学的に解明した」と指摘している。
今回の実験に用いられたのが通常の水爆ではなく
「小型化」された「実験用水爆」であったという点を念頭に置く必要がある。

このような指摘はソウル新聞をはじめ、南のメディアからもあがっている。

http://chosonsinbo.com/jp/2016/01/20160113riyo/
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こうしてみると、北朝鮮は本当にアメリカを「脅迫」しているのだろうか?
「脅迫外交」という言葉は明らかにアメリカの立場から発信されてはいないかと思う。

アメリカが「北朝鮮が核を捨てない限り話し合いには応じない」と言うだけならわかるが、
実際にはその言葉と共に武力威嚇を行っているわけで、それについて非難することは悪だと
攻撃するのは明らかにアメリカの側に立った報道姿勢だろう。脅迫しているのはアメリカのほうだ。

実際、アメリカは過去多くの国を滅ぼしている。イラクしかりリビアしかり。
アメリカやイギリス、フランスがシリアや北朝鮮と決定的に違うのは、
シリアや北朝鮮は米英仏の国土に攻撃を加えたことなど一度もないが、
米英仏は単に「脅す」だけでなく、実際に領土を侵犯してくる
という点であろう。

どちらがより脅威なのかは赤子でもわかることだ。

北朝鮮自体は戦術の1つとして、核を保有することで軍費を削減し、
その分を経済発展のための資金として扱えるようにしようとしている。

そうなると仮に核を放棄させようとするならば、

①北朝鮮の安全の保障。そのための平和協定の締結。
②北朝鮮の経済発展のための支援(ただし弱国を借金漬けにする従来の融資策は取らない)
③最終的目標としてのアジア半島からの米軍の撤退。


の3点が必要になってくるはずだ。

フィリピンで、反米デモが実施され、抗議者が星条旗を焼却

「フィリピン・マニラにあるアメリカ大使館前に多数の人々が集結し、
 アメリカ政府との防衛協力強化協定に抗議するとともに、星条旗を焼却しました。

 プレスTVによりますと、フィリピンの最高裁判所は12日火曜、判決を下し、
 この協定を同国の法律に合致したものであるとして承認しています。
 新たな合意はアメリカ軍兵士のフィリピン駐留拡大の下地を用意するものです。

 フィリピンはかつて、アメリカの植民地下に置かれていました。

 今回の抗議行動が行われたのは、
 南シナ海におけるフィリピンと中国の領有権問題をめぐる対立が高まっている中、
 フィリピン政府が同日アメリカに対し、巡洋の際にフィリピンと協力するよう求めた後のことです。

 このニュースは、フィリピン国防省のピーター・ポール・ガルベス報道官により
 発表されています。アメリカとフィリピンの国防大臣と外務大臣は今週、
 アメリカ・ワシントンにて、この3年間で2回目となる会談を行い、
 特に南シナ海の治安と通商協力について意見交換を行いました。

 ガルベス報道官はまた、南シナ海でのさらなる駐留の強化が急務であると語っています。 」

住民が猛反対しているのに、上層部は逆にアメリカとの関係を深めようとする。
中国の脅威を口実とした軍拡とさらなる米軍基地の拡大。
どこかの国Jとフィリピンの状況はそっくりだ。

結局、外国の基地というものは植民地主義の名残で、
その目的は従属国を従属国のままにさせておくこと、他国を侵略することに他ならない。
米軍のフィリピン、韓国、日本からの撤退があって初めてアジアは平和になる。

私もそれなりに平和主義者に会ってきたと思うが、在日米軍基地だけに関心があったり、
あるいは北朝鮮や中国に対する米軍の武力威嚇を逆に支持してしまったりと、
どうも後一歩という感触がしてならない。

沖縄から米軍を追い出すだけでは真の平和は訪れないし、
9条を守るだけでは中国や北朝鮮の平和は脅かされ続けるだろう。

真の平和は他国の平和を保障するで初めて成り立つと私は思う。日本のことだけを考えず、
相手国の立場になって物事を考えることが、この先、求められるのではないだろうか?

そのための材料は英語なり日本語なりで多く手に入る。後は読むだけである。

[新刊]『シリア 戦場からの声』小感想

2016-01-15 18:05:58 | 読書
紹介文より。
「5 度にわたりシリア内戦の現場に入り、自らも死の恐怖と闘いながら、
 必死で生きる人々の姿をペンと写真で描いた貴重な記録。」

感想。
一通り読んだらブックオフか古本市場に売ろう。

本人曰く
「私は2012 年から2015 年まで計5 度に渡り、シリアに足を運んだ。
 そこで暮らしている人々の声に耳を傾け、彼らと一緒に時を刻んだ。

 現場に足を運ばなくとも、ネットから流れ出る情報をかき集めれば、
 シリア情勢はある程度は把握できる。しかし、情報からでは内戦下で暮らす人々の心境は
 直に伝わってこない。それが私には悔しかった。もっと彼らの生の声を
 多くの日本人に知ってもらいたい。その思いが私を原稿に向かわせた。」らしい。

記者やジャーナリストの中には現場主義という神話を頑なに信じたがる人間がいる。
簡単に言えば、「現場に行けば現実が見えてくる」という考えだが、それはどうだろう?


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経験の浅い記者が送稿したのであろうか、4月はじめに朝日新聞に大きく掲載された
「従軍取材自問の日々」という記事を読んで絶句した。

疑いもなくこの記者は率直で正直で良心的である。それは裏を返せば、
言葉のもっとも悪い意味でナイーブにすぎ、哀しいほど不勉強でもあるということだ。

記事によると、彼は同行した米海兵隊とは別の米軍部隊が
イラク軍陣地を追撃砲で攻撃し、それが命中したのを見て、
まわりの米兵らとともに思わず「歓声を上げ」たと告白している。

一方で、
「私は中立であるべきジャーナリストであり、攻撃の成功を喜ぶべきではない」
「しかし、『やった』という感情は無意識のうちにわき上がった」と悩む。

しまいには
「今回の戦争をどう考えるか、という結論を私は出せずにいる。
 米国にもイラクにも問題がある、ということまでしか言えない」と
まことに素朴に述懐するのである。年季が浅いということだけで、これは済む話ではない。

記者が「ストックホルム症候群」に陥っているのではシャレにもならないのではないか。
私もかつてソマリアで米軍側から戦闘を取材したことがある。

だが、「武力による平和の執行」と称して人を殺す米軍の作戦行動には
激しい怒りを覚えるのみで一瞬たりとも共感したことはない。

「中立であるべきジャーナリスト」とは果たしてだれが教えたのか。
「中立」とは狡猾な政治的概念なのであり、
 記者が戦争や人道を表現するときの普通概念ではありえない。

まして、圧倒的な兵力が一切の国際法を無視して侵略を強行し、
無辜の人々を殺しつづけているとき、記者にいかなる「中立」がありえるのか。

(辺見庸『いま、抗暴のときに』(講談社、2005年)、75‐76頁)
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このように、現場を見たから何かがわかるということはない。
記者の視点や思想が必要になってくるのである。


想像力や洞察力のない人間が現地に行って取材をしても、
それは近視の人間がメガネを外してあたりを見渡すようなものだ。


実際には、ほとんどの人間は中立ではなく、どちらかの側に立って物事を見ている。
重要なのは、それを自覚しているかどうかで、中立に立つこと自体に意味はさしてない。

一番問題があるのは「どちらも悪い」という姿勢であり、
それは「どちらかのほうが、より悪い」という考えを捨てるものである。
それは、相対的に見てどちらにより責任があるかを調べようとしないことを意味する。



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「スプートニク」が「ダーイシュ(IS)」戦闘員に独占インタビュー:
「トルコは我々を評価し、支援していた」


「ダーイシュ(IS,イスラム国)」の武装戦闘員は
シリア北部でのクルド人との戦いでクルド人の人民防衛隊(YPG)に捕虜にとられ、
現在、YPGのいわゆる刑務所に収監されている。

ラジオ「スプートニク」トルコの記者にこうした刑務所を訪れることが特別に許可され、
「ダーイシュ」の戦闘員捕虜らの話を聞くことができた。

そのうちの1人、チュニジア出身のケリム・アマラ(31)は
「ダーイシュ」の一部隊の司令官。アマラが「ダーイシュ」に加わったのは2013年。
2015年にはYPGに捕虜に捕られた。


「スプートニク」トルコの記者が話を聞いた「ダーイシュ」の他のメンバーと同様、
 ケリム・アマラも「ダーイシュ」とトルコの結びつきについて語り、
「ダーイシュ」の戦闘員の召集がいかに行なわれているか、そのプロセスの詳細を明らかにした。


「チュニジア革命の後、多くの若者がイスラム主義組織に加わり、
 そこで急進的イスラムとジハードの行い方の基礎を学ぶコースを終了した。
 私もそうしたコースを受けた。私は友人の勧めで『ダーイシュ』とのコンタクトをしいた。
 チュニジアから私はリビアに廃止、そこから飛行機でトルコに飛んだ。
 その後、ハタイのレイハンラ国境検問所の付近で違法に国境を越え、シリア領へと入った。」

「2013年、私は15日間にわたってアレッポの郊外のあるキャンプで戦闘訓練を受けた。
 2015年、シリア人女性と結婚。『ダーイシュ』の構成体の中では私はグループの司令官だった。
 しばらくして組織に入隊すると、私はイラクと戦うために送られた。
 1年間、イラクの町ラマディで過ごし、イラク軍を相手に戦った。

 イラクの後は北のアレッポに送られ、そこで2ヵ月半を過ごし、
 自由シリア軍との衝突に参加した。それから、コバニにYGPと戦うために派遣された。」

アマラの話では彼は20人の兵士の部隊の司令官だった。
ところがコバニにはたった400人の「ダーイシュ」戦闘員しか送られていない。

「コバニに到着して1週間たったとき、クルド人部隊は我々の陣地に大規模な夜襲をかけた。
 私はうまく逃げたが、ある瞬間、道から離れてしまった。
 トルコの国境に近づいたとき、地元民が私に向かって声をかけた。
 この人物は私を自宅に呼びいれ、食べさせてくれた。
 それからこの男の家にクルド人民防衛隊の兵士らがやってきた。
 この兵士らは私が自分たちの防衛隊のメンバーではないと悟り、私を逮捕した。

 私がコバニにいたのはわずか1週間だ。私のいた地区には『ダーイシュ』のメンバーは8人いた。
 そのうち6人がトルコ出身者だ。彼らは我々の高地の防衛を担当していた。
 我々のグループにいた2人のトルコ人は
 ジェラブルスの『ダーイシュ』の司令官らとよい関係にあった。」

「トルコは我々を手厚く援助している」

アマラはトルコが「ダーイシュ」に行なっている支援について語った。

「トルコは『ダーイシュ』を助け、我々が新たなメンバーを探す作業を軽減していた。
 私が『ダーイシュ』の一員だった間は、トルコ人軍人が我々の組織に
 新たなメンバーが加わるのを阻止したという話は一度も聞いていない。
 その反対に『ダーイシュ』内では、逆にトルコは『ダーイシュ』を評価し、
 積極的に助けているといわれていた。」

トルコとの捕虜交換

ケリム・アマラはモスルにある
トルコ総領事館の職員49人の解放について、重要な情報を明かしてくれた。
これらの職員は101日間にわたって「ダーイシュ」の捕虜となっていた。

2015年夏、モスルのトルコ総領事館で危機が起きたとき、
トルコのマスコミは総領事館の49人の人質と、当時、トルコの刑務所に入れられていた
「ダーイシュ」のメンバー180人の交換が行なわれたと報じた。
トルコ指導部はこのとき、報道内容の信憑性を公式的に裏付ける声明は表していなかった。

ケリム・アマラはこのときイラクにいたため、
トルコ人外交官49人の人質交換のプロセスに自ら参加したことを明らかにした。

「我々はトルコ側にモスルの総領事館の職員を引き渡し、
 トルコも我々の人間を渡した。作戦は特務部隊によって組織された。」

「コバニでの衝突の際、我々はトルコから食糧を受け取った。」

アマラの話では「ダーイシュ」はトルコとイラクに重油を売り、
トルコとサウジアラビアからは食糧を受け取っている。

「コバニでの衝突の際、我々の司令官はよくトルコに滞在した。
 トルコから司令官は食べ物や他の必需品を持ち帰ってきた。
『ダーイシュ』にはトルコ出身の司令官らがいた。」

続きを読む http://jp.sputniknews.com/middle_east/20151230/1387412.html#ixzz3xIUo80sU
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トルコやサウジアラビアがダーイシュと実際にはそれほど敵対していないことは、
「現地」にいる記者たちの報道ですでに明らかになっていることであり、
ダーイシュが元々はアメリカやフランス、イギリスがアサド政権打倒のために
支援していた武装組織だったことは、多くの人間が指摘していることだと思われる。

そうしたことを「現地ではアメリカやヨーロッパがダーイシュを支援しているという
『陰謀論』も耳にした」とさらっと流してしまうのは、大いに問題があると思わざるを得ない。

ウクライナには、キエフ政府の空爆が実際に行われている現地に向かい、
自身も空爆の被害者となることで、ウクライナ政変のリアルを伝えようとする人間がいた。

それと比較すると本書は「命がけの取材」という割にはあまりにも……微妙である。
「5回の取材」と銘打っているが、5回は一般的に少ないほうなのだが……う~む。

もっと簡単に言えば、私たち日本人は少なくとも数年間は日本で暮らしていて、
ここ最近の安倍政権の政治も体験しているはずだが、それにも関わらず、
安倍を支持する人間とそうでない人間とが存在する。現場でさえ意見が分かれるのだ。

とすると、優秀な記者なら、なぜ意見が分かれるのか、その背景は何かを探らなければなるまい。
どちらの意見のほうがより正しいのかを提示しなければなるまい。
単に、現地の人間の言葉をそのまま伝えて満足するようではいけないだろう。

この著者は一体どういった立場の人間に評価されているのかなと軽く調べてみたところ、
案の定、アメリカの軍事干渉を支持し、アサド政権の崩壊を望む人間に広く好かれていた。

本当は「穏健派」の反体制派が使用したのに政府軍が化学兵器を使用したと説く人とか
アメリカのプロパガンダ機関、ラジオフリーシリアの放送を情報源とするジャーナリスト()とか。

ついでに説明すると、ラジオフリーシリアというのはアメリカのCIAが支援して
2004年に設立したラジオ局で、アメリカのロビイスト集団が母体となるシリア政党、
Reform Party of Syriaが所有者となっている。ちなみにRPSのリーダーはアメリカ人だ。

その目的は
"in order to 'educate the Syrian public on issues of democracy,
 freedom and the cessation of violence',"
(シリア国民に民主主義や自由の論点、暴力の中断を教育させる)であり、
ラジオ・フリーヨーロッパの
「事実の情報と思想を広めることにより、民主的な価値と制度を促進するや
ラジオ・フリーアジアの
「海外の聴取者に正確・客観・公正的な、アメリカと
 世界のニュース及びにその関連情報を放送し、以て自由民主化事業を促進・強化させる」
と似たり寄ったりだ。

フリーヨーロッパは元々、冷戦時にCIAが資金を提供していたプロパガンダ機関であり、
フリーアジアもまた、中国や北朝鮮などの社会主義国家の崩壊を目的に作られたものである。

当然、フリーシリアもシリアの政党のメディアのはずなのに、
局自体はトルコにあったり、イランとアメリカとの関係改善を非難したり、
サウジアラビアを擁護したりとまぁわかりやすいほど向こうのタカ派に喜ばれる記事を書いている。

こういうメディアを信用するようなジャーナリスト()に絶賛される記者および作品が
本書であるわけで、わざわざ金を出して買うぐらいならRFSのフェイスブックを読んだほうが良かろう。

もっとも、本書は無茶苦茶悪い本というわけではない。
しかし、その中途半端さがかえって問題があると私は思う。

つまり、なまじ「中立」に書いているために、右翼だけでなく左翼にも
自分が勉強したという錯覚を与えてしまうのではないか
と危惧している。

そういう意味で本書は薬にはなりそうにないが、読みようによっては
毒になりそうなものであり、読まないにこしたことはないのではと感じる次第である。

イランの核利用には制裁を加え、イスラエルの核保有は黙認する「国際社会」

2016-01-13 00:56:26 | 国際政治
北朝鮮と同じく「悪の枢軸」とアメリカに名指しされたイラン。
去年、ようやく核エネルギーの使用および研究・開発が限定的に認められるようになり、
それと平行して同国に加えられた経済「制裁」が解かれそうになる今、この時、
再びアメリカはイランに対し強硬な姿勢を見せ始めている。

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米・ホワイトハウス、
「イランは本格的な歩みを踏みだして初めて、制裁緩和を受けられる」



アメリカ大統領府の報道官が、
「イランに対する制裁が緩和されるのは、
 同国の核施設から主要な部分が撤去された後のことだ」と語りました。

IRIB通信によりますと、アーネスト報道官は、
「対イラン制裁が緩和されるのは、6カ国との間で成立した合意に基づいて
 全ての取り決めが実行され、IAEA・国際原子力機関を通じて、
 イランが合意内容を守っていることが国際社会に証明された場合である」と述べています。

また、「イランが、核計画の大部分を取りやめるという合意に沿って歩みを進めなければ、
国際社会、そしてアメリカが対イラン制裁の緩和に向けた準備を進めないのは当然だ」としました。

さらに、「イランは、この方向性において前進しており、
数週間前に大量の濃縮ウランを国外に移送した。これは、自らの備蓄ウランを98%削減するという、
イランが果たすべき責務に基づいた行動である」と語っています。

アーネスト報道官はまた、「イラン中部アラークの重水施設に対しても、
守るべき事項が存在する。それは、この施設を安全なものにするためにその炉心部を撤去し、
そこに燃料棒を補充するというものだ。これにより、イランがプルトニウムを
核兵器に転用する道は完全に閉ざされることになる」と述べました。

さらに、「イラン側による合意の実施の程度に応じて、
彼らの核合意の実施状況が検証される」としています。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/61436
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このようにアメリカは、イランが核兵器を製造しないという確信が得られない限り、
絶対に経済制裁は解かないぞといきまいているが、その一方でイスラエルの核保有を黙認している。


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アメリカのシンクタンク・科学国際安全保障研究所は、
昨年11月19日の報告の中で、「イスラエルは50年間、660キロの濃縮プルトニウムを生産した。
これは核兵器の爆発力を拡大するために使用された可能性がある」と表明しました。

この調査は、2014年、イスラエルが115個の核兵器を保有しているということを認めています。
この報告によりますと、
シオニスト政権は弾道ミサイルに加えて、核弾頭が搭載可能な巡航ミサイルを獲得しています。
また、外国から各種の核兵器を用意しており、そのほとんどは非合法な形で手に入れられたものです。

ロシア国会の外交委員会のプシコフ委員長は7日木曜、
イタルタス通信とのインタビューで、北朝鮮が主張する水爆実験に触れ、
「イスラエルは国際法規を無視して核兵器を製造している」と強調しました。

プシコフ委員長はまた、国際社会はイランの核計画を監視しているとして、
「イスラエルは国際法規を踏みにじることで核兵器の製造を可能にした」としました。

さらに、「イスラエルはディモナという核施設に200発以上の核弾頭を保有しており、
現在もこの核弾頭を搭載し、発射できる兵器を用意しようとしており、
これは地域や中東の安全保障上の深刻な脅威とみなされる
」としました。

このような状況の中、シオニスト政権の関係者は、地域の情勢不安を利用し、
イラン恐怖症といった空虚な表明を行い、
地域における実質的な脅威であるこの政権に対する注目をそらそうとしているのです。

http://japanese.irib.ir/news/commentaries/item/61318
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もちろん、ロシアなどの一部の国家はイスラエルの核保有について非難しているが、
「国際社会」の場では、そのようなことはない。

イスラエルは公式に核保有を宣言していないために、核保有国としてカウントされていない。
つまり、イスラエルは核保有国ではないから核を所有していても非難されることはない。

何を言っているのかさっぱりわからないかもしれないが、「国際社会」は確かに
イスラエルを核保有国とはみなさず、これまで一度も制裁を加えたことがないのである。



今、私は括弧つきで「国際社会」と表現したが、
それはイランにせよシリアにせよ北朝鮮にせよ中国にせよロシアにせよ、
これら国家に対して非難を行っているとマスコミが喧伝する「国際社会」とは、
正確に言えば欧米を中心とした「国際政治」のことを意味しているのではないかと思うからである。

上の記事にも触れているように、ロシア、イランなど
一部の国家は確かにイスラエルの核保有を非難しているが、それが多勢とならないのは
彼ら非欧米圏の国家が国際政治の場で覇権を握っていないからではないだろうか?


イスラエルにせよアメリカにせよ、これら国家は核を保有するだけではなく、
ガザ地区なりイラクなりシリアなり非戦闘員がいる地域を空爆し、今も犠牲を増やしている。

加えて、アメリカに至っては冷戦期から敵国にむけて核兵器を使用することを
継続的に検討しており、近年も実験と開発に力を入れ、
核弾頭搭載可の戦闘機を用いた先制攻撃の演習を毎年のように行っている。

つまり、他の国があくまで防衛のために核を保有しているのに対して
アメリカは核攻撃を念頭に入れて保有しているのだが、これに対しても
「国際社会」は忌々しき事態と思わず、国連はアメリカに制裁を加えようとしない。


核兵器を持ってもいないのに経済制裁を食らうイラン、
核兵器の実験を行っただけで経済制裁を食らう北朝鮮、
北朝鮮より100発以上も核を保有しておきながら核保有国と認識されないイスラエル、
核兵器による他国の攻撃を計画しておきながら何らお咎めなしのアメリカ。

こう考えると、メディアが正義の化身であるかのように語る「国際社会」とやらは、
どうも米英仏およびこれら同盟国にとっての平和にしか関心がないように思われる。

朝日新聞は本当にサヨク新聞なのか?

2016-01-11 22:33:25 | 北朝鮮
日本の右翼は「朝日新聞はサヨク新聞」だと言うが、
この新聞ほど政府にベッタリの見解を示し、反対者を徹底的に攻撃するゴロツキ新聞はないと思う。

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[朝日新聞] 北朝鮮の核実験 孤立を深めるだけの愚挙 (2016年01月07日)

北朝鮮政策で結束する日本、米国、韓国にとっても、正念場である。
改めて共通の立場を確認し、中国・ロシアとの協調も探り、
北朝鮮に一致して対応する態勢を固めるべきだ。

日本政府は昨年末、韓国との間の最大の懸案だった慰安婦問題の妥結で合意した。
核・ミサイルという北朝鮮の軍事挑発こそ日韓がともに直面する問題だけに、
これまで以上に協力関係を強化していきたい。


北朝鮮の核問題を話し合う、日米中ロと南北朝鮮の6者協議は08年12月以来、開かれていない。
むろん北朝鮮を核保有国と認めるわけにはいかないが、対話に有効な枠組みが6者協議であるのも確かだ。

これ以上、北朝鮮の暴走を許すわけにはいかない。国連での制裁強化を話し合うと同時に、
日米韓は、党大会前に外交的成果を焦る相手の出方を見つつ、
中ロを含む5カ国で北朝鮮を包囲する環境づくりを探りたい。
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上は1月7日朝刊の社説の末部を引用したものだが、次の記事を読んだ後に
もう一度この記事を読み直せば、朝日がどのような新聞なのかがハッキリとわかるだろう。


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慰安婦合意の裏で「均衡外交」の代わりに韓米日同盟強化

28日、韓国政府が日本と慰安婦問題に対する
「最終的かつ不可逆的な解決」を宣言した理由と背景については、
韓国のみならず日本でも「理解することは容易でない」という反応が出ている。

特に、韓国政府が交渉過程で被害当事者の意見を全く聞きもしなかった点、
慰安婦制度は日本政府による“国家犯罪”であるという
国際社会の普遍的認識を追及できず簡単に譲歩してしまった点など、
この問題の“内部論理”だけを考えるならば理解できない点が多数あるためだ。

朴槿恵(パク・クネ)政権が今回の合意で、米日が警戒してきた「中国傾斜」から抜け出して、
結局韓米日「3角同盟」に吸収される外交政策の大転換をした点に注目すれば、
今回の合意の真の意味を推し量ることができる。

2013年の3・1節祝辞で「加害者と被害者という歴史的立場は
千年の歴史が流れても変わることはない」という認識を明らかにした朴大統領は、
今年8月、植民支配に対して謝罪しなかった安倍談話を受け入れた。

続いて11月2日の韓日首脳会談では、
慰安婦問題を「(韓日)関係改善の最も大きな障害物」とまで表現した。


朝日新聞は30日、朴大統領が8月の安倍談話を受け入れたことに対して、
日本外務省のある元官僚が「こういう無礼な談話を受け入れるのか」と驚きを示した事実を伝えた。

このような脈絡で見る時、今回の合意は韓日関係の発展を阻んできた慰安婦問題を除去し、
本格的な韓日軍事協力に乗り出す信号弾と見ることができる


今回の合意が極めて微妙な軍事外交的意味を持つという点には、米日両国も共感している。

岸田文雄・日本外相は28日「(今回の合意で)日韓そして日米韓の安保協力も
前進する素地ができたと考え
、北東アジア地域の安保現状を考えれば日本の国益に大きく
寄与するだけでなく、この地域の平和と安定に大きく貢献できると考える」と話した。

これまで韓日関係の改善を要求してきたジョン・ケリー米国務長官も
「我々は今回の合意が米国の最も重要な二つの同盟関係を発展させることに寄与すると信じる。
 両国と経済および安保協力などを含む地域的・世界的問題を解決するための努力を
 継続できることを期待する」と明らかにした。

米日両国が韓国など地域の他国と多様な三角、多角同盟を追求して行くことは、
今年4月に米日が合意して改定した安保協力指針(ガイドライン)の核心内容の一つだ。

小此木政夫・慶応大名誉教授は「(米国の相対的衰退と中国の浮上という)体制変動に対して、
日本は米日同盟強化で、韓国は対中接近を通した均衡外交でそれぞれ異なる対応をしてきた。
しかし、今年11月2日の首脳会談を通じて韓日両国が同じ船に乗ることになった。
そうした以上、前に進まざるをえなかったのだろう」と今回の合意の意味を説明した。

これに伴い、今後は韓日軍事協力が拡大される展望だ。

読売新聞は28日両国首脳間の電話通話で、
安倍晋三首相が「特に安全保障の側面の協力を重視している」と話すと、
朴大統領が「安保協力は今後も継続したい」と応じたという事実を伝えた。


日本政府は、自衛隊が今後海外で軍事行動に乗り出す時に
韓国と日本が協力できるよう軍事情報保護協定(GSOMIA)、
相互軍需支援協定(ACSA)の締結を推進する方針だ。


これに対して韓国国防部当局者は
「これらの協定を論議することはまだ早い。
 慰安婦合意についても履行事項を見守らなければならない」として
「国民世論など、状況が成熟してこそ可能なことだ。まだ検討していない」と明らかにした。

http://japan.hani.co.kr/arti/politics/22925.html
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[寄稿]なぜオバマ大統領が慰安婦問題に介入するのか
 ↑の寄稿もこの問題について考えるには参考になるものだと思う)

要するに、現在の流れとしてアメリカ・韓国・日本が中国や北朝鮮に対して
軍事的経済的圧力・けん制を行うための同盟が着々と築かれつつあるのだが、
これに対して非難するどころか更なる強化を求めているのが朝日新聞というメディアなのである。


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[朝日新聞] 北朝鮮核問題 問われる中国の行動 (2016年01月09日)


北朝鮮による4度目の核実験を受け、国連安保理は新たな制裁決議に向けた論議を始める。
前回3年前の実験後の決議では、再び強行すれば、「さらなる重大な措置をとる」と警告していた。

制裁強化は当然だ。

安保理が結束して早期に新決議を採択し、北朝鮮に暴挙の重大さを明示せねばならない

ただ、これまで北朝鮮の核・ミサイル問題では安保理決議を重ねてきたが、
警告や制裁が効果的だったとはいえない。

最大の要因は、包囲網に大きな「穴」があるからだ。
北朝鮮が政治・経済の両面で最も頼りとする中国である。

中朝の間柄は、朝鮮戦争をともに戦った血盟関係とうたわれた。
同じ共産圏陣営として米国と対峙(たいじ)した時代もあった。

だが、いまや中国の立ち位置は違う。米欧と並ぶ国際責任を担うべき大国である。
世界の安全を脅かす北朝鮮の暴走をこれ以上、許してはなるまい。

核・ミサイル問題の連鎖を断つためには、
中国が北朝鮮に対し、はっきりと過去にない行動を起こす必要がある。

中国はこれまで、北朝鮮のふるまいを不快に思いつつも支援は続けてきた。
自国の安全保障上、北朝鮮の崩壊につながりかねない事態を警戒するからだ。

加えて中朝国境近くの東北3省では北朝鮮との経済的な相互依存が深いため、
中国も実効的な制裁が容易にできない。

日本や韓国など周辺地域にとっても北朝鮮が無秩序に崩壊すれば、
難民問題など重大な脅威にさらされる危うさがある。

だとしても結局、中国が北朝鮮の後ろ盾を演じているだけでは、
金正恩(キムジョンウン)政権は過ちを繰り返すのみだろう。

まず中国が圧力の水位を高めるべきだ。

一方で北朝鮮問題の根本的な打開には、
やはり米国の積極関与が欠かせない。


北朝鮮指導部が最も望むのは、米国との平和協定をめざす協議だからだ。

オバマ政権は、北朝鮮が核放棄へ具体的な行動をとらない限り、
本格的な対話には臨まない方針を続けてきた。だが、その政策も功を奏さなかった。

オバマ政権のうち、北朝鮮に3度も核実験を許したという結果責任は、米国にもあろう。

米国は、日韓中・ロシアと連携して、
金正恩政権下の北朝鮮との新たな向き合い方を探る必要がある。
6者協議などの枠組みで対話をしても、それは必ずしも譲歩を意味しない。

北朝鮮をめぐり、関係国すべてが難しいかじとりを迫られるが、
硬軟とりまぜた積極関与に向け知恵を絞るしかあるまい。
---------------------------------------------------

「制裁は当然」「まず中国が圧力の水位を高めるべき」と書いておきながら、
「新たな向き合い方を探る必要がある」などと心にも思っていないことを主張している。

本当に朝日が従来の強硬姿勢ではなく対話を臨んでいるのであれば、
従来どおりの制裁という名の報復行為を当然と評価したりはしないだろう。

歴史学者の朴宗元氏は、かつて
米国の伝統的アジア外交はアジアでの戦争はアジア人同士で戦わせることである」と語ったことがあるが、これを踏まえれば朝日の主張はまさに
アジア人同士(中国と北朝鮮との仲たがい)を戦わせようとすることに他ならない。

ハンギョレもまた、去年の8月にはお上ベッタリの姿勢を見せたし、
北朝鮮に制裁を下すことに対しては肯定的な態度を見せているが、
その一方で、穏健派の意見を掲載することで、一応のバランスをとっている。

---------------------------------------------------------
メリル元局長は、今回の核実験が「予告もなく行われたのではないか」という質問に
「韓国にいるある人物に、北朝鮮が核実験をするつもりだというメモを、最近送ったことがある」
とし
「金第1書記が水爆を開発したと発言したのにもかかわらず、誰も注意を払っていなかっただけだ」
と述べた。

彼は、オバマ政権が北朝鮮の核能力増強を無視してきた理由を尋ねる質問に、
「米国の人々は、北朝鮮が結局は崩壊するだろうし、そうすると(北朝鮮の核)問題が
 消えるだろうという、ナイーブな考えを持ち続けてきたからだ」と指摘した。

彼は「しかし、金第1書記が北朝鮮の状況をかなり安定させたかのように見えるうえ、
断言することはできないが、崩壊のシナリオは可能性が低いものと見られる」
と米国の「戦略的忍耐」政策を批判した。

メリル元局長は、対北朝鮮制裁と関連し
「北朝鮮は民主主義国家ではないため、制裁による衝撃をなんとか吸収できる。
 制裁で北朝鮮を核兵器プログラムから遠ざけるのは不可能だろう」とし
「北朝鮮は米国の力に対する牽制、韓国の従来の軍事的優位に対する牽制手段として、
 核兵器が必要だと考えているからだ」と指摘した。

特に米議会で対北朝鮮制裁の声が高まっていることに関連し、
制裁は効果がないことがすでに立証された」と強調した。


彼は「制裁というと、1940年代に米国が日本に加えた石油と鉄鋼に対する制裁が思い浮ぶ」とし
「その結果、日本は東アジアに移動し、真珠湾を攻撃した」と付け加えた。

そして「北朝鮮はまだ米国を打撃することができないかもしれないが、
朝鮮半島を破壊する能力はある。その点を考慮すべきだ」と強調した。

http://japan.hani.co.kr/arti/politics/22985.html
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ハンギョレは北朝鮮が強い反発に出ないレベルの制裁を加えろというスタンスだが、
それでも一応、自分たちの意見とは別の考えも載せている。
(本来なら、それが普通なのだが)


対して朝日新聞は「国連で制裁強化を話し合うと同時に周辺国家で包囲網を形成せよ」
と自民党が望んでいることを代弁したり、ハンギョレすら否定している拡声器による
プロパガンダ放送の再開を黙認したりと滅茶苦茶だ。それどころか1、2面を通して
あたかもこのプロパガンダが本当のことを言っているかのような特集記事を書いてすらいる。

高級寿司にローストビーフ…安倍首相が番記者と国民の税金を使って忘年会!
癒着マスコミは恥ずかしくないのか


上の記事で批判されている忘年会にはもちろん朝日新聞も参加している。
そういう新聞が政府に都合の悪い記事や社説を載せるわけがない。

そもそも、朝日新聞は少なくとも20年前から政府にベッタリの新聞だった。
例えば、ペルーで大使館が襲撃された事件(今から20年ほど前の事件)では、
事件の最中に共同通信社の記者が許可をとった上でテログループに取材を行ったところ、
事態が悪化しかねないと答えた政府の見解に沿って、自分も同じ気持ちだと言わんばかりに
同記者をバッシングし、テレビ朝日のニュース番組「ニュースステーション」で
キャスターが「犯人全員が射殺されたことを残念に思う」とコメントすると、
その場にいた朝日の編集委員がただちに「危険があるのだから殺すのは当然」と反撃した。

なお、射殺された犯人のうち、少なくとも3人は武器を捨て投降していた。
ゲリラの犯人は悪い奴らだから当然という考えは18世紀前半の人権感覚だと
元共同通信社記者の浅野健一教授は述べている。

ちなみに、当時のペルーは反政府の異を唱える人間に問答無用の弾圧を下しており、
その苛烈さはアメリカのメディアでさえ取り上げるほどだったが、朝日は気にもとめなかった。

そのくせ、香港の謎の失踪事件は中国政府が関与しているかどうかもわからない時点で
言論の自由を妨げる中国の人権弾圧だと社説でいきまいている。

こういう態度を見れば、この新聞社が誰の顔色を伺って自分の意見を述べているかは明白だ。

前の記事にも書いたが朝日新聞はイラク戦争を当時、支持しておきながら
いざ空爆が開始されそうになると自社の社員を撤退させ、他社あるいはフリージャーナリスト
からの記事を転載する形で報道を行った。右翼が盛んに気にする慰安婦問題にしたって、
当時は産経や読売も同様の報道を行った。逆を言えば、朝日の記事はその程度のレベルなのである。

他のメディアが政府に追従しているときに、ただ一人だけ果敢に立ち向かったことなどない。
戦前からそういう新聞だったではないか。朝日=サヨクというイメージは、60~70年代に
同社の社員だった本多勝一氏や筑紫哲也氏が日本やアメリカの政府に批判的な記事や評論を書き、
それが全国的に多大な反響をもたらしたことに起因しているのではないだろうか?
(特に本多氏の『戦場の村』や『中国の旅』は左翼学生に大きな影響を与えていた。
 とはいえ、60~70年代は世界的にも左翼が活発的に動いていた時代だったことを
 踏まえれば、この時代においてすら朝日新聞は特に冒険をしてはいなかったと言えよう)

どうも私は長い歴史のある一時期、左派系だったというそれだけのことで
いまだに朝日=サヨクというレッテルが貼られているように思えてならない。

逆を言えば、朝日=サヨクと考えているような輩は社説すら読んでいない人間だということであり、
如何にそいつが脳内のイメージで物事を語っているかを如実に示しているわけである。

そういう意味では、朝日=サヨク新聞という言説は、
語り手のレベルを計る際にはちょうどいい基準になるのかもしれない。

アメリカは2002年から北朝鮮への核使用を検討している

2016-01-11 00:08:54 | 北朝鮮
記事のタイトル通りである。
2002年1月にアメリカ国防省は「核戦力体制見直し」案を議会に提出した。
この案では、通常兵器と同じく核兵器も攻撃用として使用できることを提案している。

---------------------------------------------------------------
ブッシュ政権が、北朝鮮を含む
ロシア、中国、イラク、イラン、リビア、シリアなど
少なくとも7か国を対象とした核攻撃のシナリオ策定と、
限定的な核攻撃を想定した小型戦術用核兵器の開発を軍に指示した

機密文書が暴露されました。

機密文書は、3月10日付ロサンゼルス・タイムス、
ニューヨーク・タイムスなどによって暴露されたもので、1月に国防総省が連邦議会へ送付した
8年ぶりの「核戦略体制見直し報告」(NPR)の非公開部分です。

ラムズフェルド国防長官が署名し、戦略軍が核戦争計画の準備のために活用するもので、
議会には概要発表前日の1月8日に提出されました。

早速、攻撃対象とされた政府から、あるいは全世界の良識ある国々や
人々からの強い反発を招いています。また世界中の反戦・平和団体も抗議を集中しています。

NPRは、核戦略の目的を、冷戦時の“抑止力”から、テロリストや「ごろつき国家」との戦争で
“実際に使用する攻撃力”へと転換することを最大の眼目にしています。

非核保有国であるこれらの国への核使用を
作戦のオプションに加え、作戦計画の策定を指示したのです。

確かに、今までアメリカは非核保有国を先制核攻撃する権利を放棄したことはありません。
しかし事実上カーター政権以来、非核国への先制使用政策を放棄してきた政策を、
ブッシュ大統領は大転換させようとしているのです。

「テロ戦争」にかこつけて非核保有国を核攻撃する戦略を初めて
公式のものにしようとしているのです。核兵器使用の敷居を著しく低め、
いつ使われても不思議でない危険な状態を作ろうとしているのです。

http://www.jca.apc.org/stopUSwar/Japanmilitarism/pamphlet_emergency_law_2.htm
------------------------------------------------------------------

上に書かれたアメリカのターゲットにされた国のうち、
リビアとイラクは、この地球上から消滅した。


しかも、イラクに関して言えば、1990年の湾岸戦争のおり、
42日間に渡って11万回の空爆、つまり30秒に1度は爆弾を落とされた。

民衆の頭上に投下された爆弾の総量は8万8500トン、
これは広島を灰にした原爆リトルボーイの7.5倍分の威力に相当する。

10万人以上の市民が直接、多国籍軍に殺害されたのである。

今現在、この爆撃を非難する動きが少しでもあるだろうか?
このジェノサイドは完全の忘却の彼方にあって思い出そうとすらされない。

しかし、この大量虐殺は間違いなく、
「国際社会」の承認によって行われたのである。



当時、朝日や読売をはじめとした日本の新聞もこの戦争を支持した。
イラクがクウェートに侵攻したのが発端だったため、
侵略国イラクをクウェートから撤退させるための攻撃として受け入れられた。

素晴らしいことに、同社の記者たちは危険だということでイラクから撤退していた。
あれだけ煽っておきながら、自分たちは逃げたのである。
殺される恐れのない強者の目線から、この戦争は語られ、そして忘れられた。

核を持つか持たないかではなく、現実に誰が攻撃をしているかいないか、
誰が害をなしているか、誰が争いを鼓舞しているのかで平和の敵を認識すべきだ。
それができない人間は平和を語るべきではない。

ところで、この時のイラクの攻撃にはイギリス、フランス、サウジアラビアなどの
いつもの面子と共に、シリアのアサド(父)政権も加わっている。

参戦によるアメリカとの関係改善という甘い期待でもあったのだろうか?
結果的にシリアは数年後、滅ぶべき国「悪の枢軸」の一つに数えられ、現在、爆撃を受けている。


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シリア領のイスラム地域で行われたダーイシュ(IS,イスラム国)に対する
アメリカ主導の共同空爆によって少なくとも11人以上の住人が犠牲となり、
痛ましいことに犠牲者の大部分は子供であったとシリアの人権監視団体が伝えた。

ラッカ北部に位置するハジマ村で木曜日に行われた共同空爆の結果
8人の子供と3人の女性が亡くなったと団長のアブデル・ラフマン氏が報道陣に語った。

昨年12月に公表された人権監視団体のデータによると、
アメリカのシリアにおける共同軍事活動の結果、約3700人のダーイシュ戦闘員と
81人の幼児を含む299人の住人が死亡した。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/middle_east/
20160109/1414215.html#ixzz3wr6qhGg6
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アメリカは朝鮮戦争の際にも原爆投下を検討していたが、その姿勢は今も変わらず、
現在も、いざとなればいつでも核兵器を使えるように開発に勤しんでいる。

アメリカは2011年、2012年、2013年、2014年、
つまり2010年代前半において毎年、核実験を繰り返していた。


もちろん、一部の反核団体は抗議を行っていたが、
朝日新聞や産経、読売新聞が北朝鮮のそれと同じくらいの情熱をもって、
非難していただろうか?「アメリカに制裁を!」という声を誰がしていただろうか?



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アメリカの核実験の継続

アメリカの新たな核政策に関する報告は、
同国の核施設や核兵器の開発、改良を物語っています。

アメリカとロシアの間で、START2と呼ばれる条約を締結したにもかかわらず、
アメリカの行動は同国が新型核兵器の維持と開発、装備を追求していることを示しています。

START2・第2次戦略兵器削減条約に基づき、
アメリカとロシアの戦略的核弾頭の数が2018年までに、2200個から1550個に減らされる予定です。

アメリカ軍が連邦政府の財政赤字と債務の減少を目的に、
予算削減の問題に直面しているにもかかわらず、
アメリカ政府は、自らの核兵器を新型のものに変えようとしています。

これに関してアメリカもまた、多くの核保有国が核実験を控えている中、この実験を継続しています。

アメリカ原子力規制委員会が11日月曜、提示した情報によれば、
同国は2012年10月から12月まで、プルトニウムを用いることで、
核兵器に応用する能力を査定するため二つの核実験を実施し、
2010年からのこれらの実験の数は8件に達しました。

この情報は、アメリカが2012年12月に四度目の核実験を実施した後に提示されたものです。

このような実験の繰り返しにより、批評家は、
アメリカのオバマ大統領の立場に疑問を呈しています。

オバマ政権は、自ら核兵器を維持しながら、核兵器の廃絶を訴えています。

アメリカは核兵器の威力を測るために、この実験を行っています。
同様の実験は、少なくとも2012年4月から6月までの間、さらには2012年8月末に実施されました。

こうした中、アメリカは、START2の枠内で、核兵器の削減を表面的には追求していますが、
アメリカ政府の報告によれば、最も費用のかかる新型核兵器の開発を行おうとしています。

アメリカの新型核兵器の開発の一方で、アメリカ国防総省は、
複雑な問題により軍事費用の削減に直面しています。が、それにもかかわらず、
アメリカの新型核兵器の開発と5113個の核弾頭の保管、古いシステムの交換や
核施設の新築にどれくらいの費用がかかっているかは明らかではありません。

http://japanese.irib.ir/news/commentaries/item/35830
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8%E5%AE%9F%E9%A8%93%E3%81%AE%E7%B6%99%E7%B6%9A

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米国、韓国に戦略爆撃機B-52を配備

米国は、北朝鮮が先日、水爆実験について発表したことを受け、
韓国に戦略爆撃機B-52を配備した。日曜、韓国の聯合通信が伝えた。

爆撃機は米国のグアム基地から派遣され、
正午にかけて韓国キョンギド地方オサン市の領空に入った。

北朝鮮が水素爆弾の実験について発表したことに対する韓国の対抗措置としては、
拡声器による北朝鮮側に向けたプロパガンダ放送の再開に続いて、2段目のものとなる。

爆撃機B-52は南北境界線から3000㎞以内の北朝鮮の軍事司令拠点を攻撃できる。
各機、各907㎏の爆弾35発と、精度100mの誘導ミサイルAGM-86(射程2500㎞)
およびAGM-129(射程3000㎞)を12発備えている。

B-52は1950-1953年の朝鮮戦争で平壌空爆に使われた。
核兵器も搭載できる。
北朝鮮指導部はB-52に対して非常に敏感である。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/asia/20160110/1416428.html#ixzz3wrGonfP7
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朝鮮戦争の折、朝鮮半島は一度、アメリカの空爆により焦土と化した。
この間、戦争の指揮を取ったマッカーサーは核の使用を検討している。

加えて、2002年から一貫して北朝鮮を標的とした核開発、わずか5年で10度以上の核実験、
そして毎年行われる核弾頭搭載可の爆撃機を使用した軍事演習、同爆撃機の在韓米軍事基地の配備。

どちらがより強い脅しをかけているかは、
少し考えれば誰にもわかることではないだろうか



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北朝鮮、平和条約調印を米国に呼びかけ

北朝鮮は再び米国に対し、平和条約締結を呼びかけた。
「そうした文書に調印がなされた結果として
 はじめて朝鮮半島に平和を保障する問題が解決されるだろう」。

北朝鮮のノドン・シンムンが報じた。
同紙は、現時点で優先的に注意を払うべきは朝鮮半島の非核化であり、
米朝間の平和条約調印ではない、とする米国政府の視点を、根拠のないものとした。

米国が一方的に北朝鮮を核兵器で脅迫できた時期は過ぎた
米国政府は「理性のあるところを示し、
北朝鮮との平和条約調印に関する政治決定をとるべきだ」と同紙。

朝鮮戦争の結果、一時的な停戦合意には調印がなされたが、平和条約は今日もない。
形式的には戦争が終了していないためだ。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/asia/20160110/1417860.html#ixzz3wrNdjy7f

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今回、北朝鮮は自国の水爆実験をアメリカの核による威嚇に対する自衛行為と主張した。
それに対してどう思うかは別として、確かにアメリカは北朝鮮を核で脅している。

これに対して、北朝鮮は平和条約調印を一貫して求め続けているわけだが、
私の知る限り、米日韓、すなわちアメリカを中心とした軍事同盟国内のメディアは
北朝鮮の以上の反応、抗議を「脅迫外交」と称し、アメリカの核威嚇を大きく取り上げない。

北朝鮮がすることは「脅迫」だが、
米韓日の核威嚇、軍事演習、経済制裁は「脅迫」ではないそうだ。


まさしく、メディアはこれらの行為を「制裁(こらしめ)」だと思っているのだろう。

日中戦争開戦時、日本は「暴支鷹懲」、すなわち「悪い中国をこらしめてやれ」
という言葉をスローガンとして打ち出し、自国の戦闘行為を正当化した。

最近(といっても、20年以上前からだが)の北朝鮮に対する米日韓の態度はまさにそれで、
北朝鮮は悪い国だから経済「制裁」しなければならないのだと熱弁をふるっている。

まさに「野蛮人どもにキリストの愛を教え文明人として目覚めさせなければならない」と語り、
西欧国家の南米アフリカの植民地化に肩入れをしたキリスト教団体を思い出す光景である。

しかも、これはハンギョレや朝日新聞といった一般的には「サヨク」と呼ばれる新聞が
先陣を切って行っている。まさに北朝鮮を滅ぼすためなら簡単に右翼とつるんでしまっている。

無論、朝日に限らず、多くの左翼系知識人はこれと似た態度だと思われる。
(そうでなければ北朝鮮バッシングなど、とっくの昔に終わっている)

そういう連中が本当に日本の改憲や軍拡を食い止める勢力になりうるのだろうか?

大変申し訳ないが、今のSEALDsをはじめとする反戦運動を見ると、
具体的な問題について特に(場合によっては「何も」)考えていない印象を受ける。

9条は守るべきだと叫んでおきながら、いざ北朝鮮問題になると、
途端に右翼とつるみ、相手の立場を考えず、非道い場合は制裁を主張しさえする。
そういうことをしでかさないかと不安になるのである。

北朝鮮の水爆実験について3

2016-01-08 23:29:16 | 北朝鮮
それにしても、北朝鮮は、なせ核兵器を手放すことが出来ないのだろうか?
その答えの一つには、前回の記事で指摘したように米韓による常時の武力威嚇があるが、
経済的側面から説明すれば、金正恩政権以降の北朝鮮では
北朝鮮の軍縮・経済発展・核開発が密接につながっていることが挙げられる。



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北朝鮮の新聞と放送は“水爆保有”を強調し、
「(核と経済の)並進路線」が「勝利」したと大々的に報道している。

5月の労働党第7回大会を控え、
「核武力建設」は成功したから、「経済建設」に邁進しようという雰囲気を盛り上げた。

北朝鮮労働党機関紙の労働新聞は、7日付で計6面のうち5面を「水爆実験」の報道に割いた。

労働新聞は6面の論説で
「水爆を保有する国は、5つの国連安全保障理事会の常任理事国だけだった。
 我が国(北朝鮮)が今年初め、初の水爆試験で完全に成功したことで、
 水爆まで保有した核保有国は6カ国に増えた」と主張した。

北朝鮮の“水爆などの核兵器保有”を既成事実化しようとする意図と分析される。
同紙は「水爆試験と水爆の保有は、我が国の合法的な自衛的権利であり、
誰にも是非を問われることのない、正々堂々たる措置」とし
「わが共和国は、核拡散防止条約(NPT)の外にある国だ。
 いかなる国際法に照らしても違反にはならない」と報じた。

労働新聞は、別の記事で
「水爆試験は(米国の)『戦略的忍耐』政策への答えとなる。
 米国の『戦略的忍耐』政策は、終局破滅を迎えた」と強調した。

オ・スヨン労働党書記は同紙の4面で
「経済建設と核武力の建設を並進させるために戦略的路線は、最も正当な路線」だと主張した。

“核保有国としての誇り”を並進路線の別の軸である
“経済発展”の動力にしようという報道も相次いでいる。


朝鮮中央通信は6日、黄海製鉄連合企業所のキム・ミョンソン氏が
「最初の人工衛星の成功的な発射と地下核試験の成功の喜びを分かち合った
 当時の情熱を取り戻している。党第7回大会に向けて...
 鋼鉄の生産を高いレベルで正常化していく」と語ったと報じた。

また、平壌市の琴台協同農場のホ・チュングム管理委員長が
「私たちの農業労働者は党の第7回大会が開催される今年に必ず豊作を成し遂げる」
と誓ったと報じた。

http://japan.hani.co.kr/arti/politics/22991.html
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結論から述べると、北朝鮮は近年、軍事費を削減して
その分を食料問題の解決や経済発展のための予算に充てているのである。


こういっては何だが、金正日の時代は本当に大変だったようで、
肥料や栄養剤すらろくにないという非道い状態だったらしい。

そこで息子の金正恩は、農業問題の解決を緊急の懸案事項とし、
農業の機械化、品種改良など、農業技術を向上させ、平行して既存の集団農業制度を廃止、
より少人数に経営を任せ、収穫に応じて報酬が変化する圃田担当責任制を導入した。

この結果、100年に1度と言われた大かんばつがあった2014年に
2013年度よりも5万トン収穫を増産することに成功したのだった。

こういう動きを無視して近年の金正恩政権の政治を語ることは不可能だろう。

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水産部門では海面養殖に本格的に取り組もうとしている。
昨年は大漁を記録したが、国内の需要を十分に満たすには至らない。
平壌市卸売所・水産物商業課のリ・チャンド課長によると「養殖の拡大が必須」だという。

「船を出せば漁ができる。90年代は油不足で船が出せず漁ができなかったが、
 いまは国家レベルで対策が立てられている。それで各地の水産事業所の収益が上がった。
 事業所には養殖施設があるが、飼料が供給されないので稼動していなかった。
 これからは事業所が独自に解決できる」

http://chosonsinbo.com/jp/2015/03/pr1502/
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上の記事は2015年2月の時点での話。石油がなくて漁が出来ないと聞くと
本当に90年代は、どこの社会主義国も苦労していたのだなと思ってしまう。

農業に限らず、工業においても生産システムの改革が行われた。
簡単に言うと部分的に市場主義を導入したのである。


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すなわち、工業部門では生産組織権をその空間に利用する。
企業所が独自的に新製品、品種を開発し、生産できるようにすることだ。

自分で源泉を探し出し、生産する製品、品種に関しては
生産者と需要者の間で合意して価格を決めるようにしている。

貿易および合営合作権も企業所が創発的に経営活動を繰り広げられるようにする空間となる。


労働者に対する報酬も企業所が決める。
企業所の総収入から中央予算と地方予算など納付する分を除いた残りが、企業所の分配となる。
企業所分配の範囲内で、労働者に働いたぶんだけ労働報酬(生活費)を与えるようになる。
その金額に制限は置いていない。


かつては、■生産拡大、■科学技術発展、■労働報酬、■文化厚生などなどの用途に従った
項目ごとに予算の分配率が決められていたが、今は企業所が自主的な決定によって配分できる。

収入の100%を生産拡大するための設備更新に使うこともでき、
労働者に対する報酬に100%まわすこともできるということだ。


農業部門では分組管理制の中で、圃田担当制を実施している。
協同農場では作業班の下に分組がある。
協同農場で分組は20人程度で構成され、担当する土地の規模は平均50町歩程度だ。

圃田担当制とは、分組を再び細分化して3~5人で構成し、
ここに一定の規模の圃田を決め農事を行わせる方法だ。

圃田ごとに収穫、脱穀にいたるまですべての農事に責任を持たせ、
その結果によって分組単位協同労働もともに考慮しながら農民に分配を行う。

これまでは国定価格によって義務收買を進め、
現金分配を行っていたが、現在は現物分配を実施している。

農民が自分の消費分以外の穀物を食糧販売所に持って行けば、
市場とほぼ同じ価格で売ることができる。
農民が分配された穀物で必要な日用品を調達する交換收買も進められている。


工業、農業を問わず、最近強調されているのが「具体的な経済計算による経済管理」だ。
どれだけ働き、どれだけ使い、したがってどれだけ与えればよいのか、
共同で生産したぶんはどれだけになり、個人に該当する分はどの程度か。
このようなことを正確に計算されている。

http://plaza.rakuten.co.jp/tsuruwonya/diary/201312240000/
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このように、部分的に経営権・販売権を労働者本人に委譲することで、
働いた分だけ、結果を出せば出すほど報酬が増えるようなシステムに変化させたのである。

これが功を奏して、金正恩政権下では経済発展と食糧増産が可能となった。
もちろん、先進国と比べればまだまだだが、少なくとも金政権は仕事はしていたわけだ。


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パク・ヨンマン大韓商工会議所会長は3日、
北朝鮮が地方の“市場”を中心に市場経済への移行が急速に進展しているとし、
北朝鮮の体制不安を前提とした既存シナリオの代わりに、
南北間の経済協力を活性化するための対策が必要だと強調した。

パク会長は3日、商工会議所出入り記者との新年インタビューで
これまで(韓国社会の)北朝鮮に対する認識は未だに飢謹に苦しみ、
 統制された社会で国家主導の配給制が失敗し、
 平壌(ピョンヤン)と他の地方の所得格差が大きいということだったが、
 (最近、北朝鮮専門家たちと会った結果)実際には全くそのような状態ではなく、
 北朝鮮の体制不安に対する認識を新たにしなければならないようだ
」と明らかにした。

パク会長は「北朝鮮が市場を通じて市場経済を許容してからかなりの時間が経った」とし、
地方は市場を通じて(各個人が)自分で取り引きを行い、私企業が生まれ所得が高まったが、
むしろ平壌では(このような活動が難しいため)都市貧民が生まれ暮らしが厳しい状況
」と話した。

パク会長は平壌市民の所得が低い理由と関連して
「国家が指定する工場や職場で義務的に働くため、
 市場に参入する自主生計型の事業ができずにいる」と説明した。

パク会長はさらに
北朝鮮にはもはや飢謹はなく、餓死する人もいないし、
 市場経済を相当部分許容したため個人企業のような組織ができ事業を行い、
 政府が緩い形で税金を集めている
とし、
使用中の携帯電話が280万台を超え、北朝鮮住民の需要は多いが物がなくて買えない状況」と話した。

パク会長は
これまで商工会議所が準備してきた北朝鮮急変シナリオの代わりに、
 北朝鮮の市場経済への移行が始まっており、国家主導の有無を問わず
 地方都市は全て市場経済によって支えられている状況で、
 韓国が何をできるかを先に議論することが必要だ
」と話した。


パク会長はこれと関連して
「朝鮮商業会議所(韓国の商工会議所と似た機構)への門戸を開いて、
 原産地証明のようなものは直ちにできそうだ」とし「(政府と協議する必要はあるが)
 南北が共に会員である国際商業会議所(ICC)を通じればできそうだ」と話した。

パク会長は国際商業会議所の執行委員を務めている。
パク会長はまた「韓国の多様な貿易取引先を活用して、
北朝鮮産の物品が海外市場に進出できるよう仲介貿易を活性化することも可能だ」とし
「朝鮮商業会議所が発行した原産地証明を根拠に、
 大韓商工会議所が北朝鮮産という原産地証明書を発行し活用することもできる」と話した。

パク会長はさらに「気候協約ができれば北朝鮮の“炭素排出権”も買ってくることができる」
とし「北朝鮮は産業化が出来ていないため(炭素排出権が)大量に残っていくだろう」と話した。

http://japan.hani.co.kr/arti/economy/22941.html
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水爆実験を行った3日前に書かれたハンギョレの記事である。
北朝鮮の経済発展は、同国に否定的な韓国の新聞でさえ認めざるを得ない段階になっている。

では、経済制裁を受けているにも関わらず、資金は一体どこから持ってきているのだろうか?。
それは、先述したように軍事費を削って予算を捻出しているのである。

核武装というと物騒な響きを持つわけだが、経済的にみると
通常兵器の開発等の軍備拡張に力を入れるよりも安上がりで防衛が可能となる。

経済改革にしてもそうだが、急に金が増えたわけではなく、
元からあった無駄を排する省エネ戦法で少しずつ経済を向上させていると見てよいだろう。

ハンギョレの記事では、北朝鮮元幹部が「北朝鮮内部からすると、
強大な核抑止力を備えているから、軍にも従来の軍備にこだわるよりも、
経済建設に協力することを求める、金第1書記のメッセージだと思われる
」と指摘している。
(http://japan.hani.co.kr/arti/politics/22972.html)


こういう次第なので、現在の北朝鮮に核を放棄させると言うのであれば、
同国の安全保障、より正確に言えばアメリカやNATOに攻撃されないという
確実な保障と同時に、北朝鮮の経済発展への協力が求められる。
その場合、IMF式ではない形での金融・経済支援が必要となるだろう。

IMF式とは現在、ギリシャやウクライナに課せられている緊縮政策を条件とした経済援助だ。
IMFは歴史的に資金提供の条件として、貿易自由化、国営企業の民営化、外国からの投資の自由化、
国内における規制緩和、つまり、価格の自由化、補助金削減、農地市場・労働市場の自由化、
さらには行政機構の合理化、社会福祉、社会サービス予算の削減などを要求してきた。

結果として、福祉サービスの低下と経済格差の拡大、インフレなどが起き、
チリやベネズエラのように90年代の時点で貧困率が著しく増加するなどの人災が発生した。

沖縄を見てもわかるだろうが、現在の経済支援は大金と引きかえに
現地に多大な負担を強いるようになっている。このようなタイプの支援はすべきではない。

一応、六カ国協議においては、経済支援と引き換えの核放棄がうたわれているのだが、
その支援が大国にだけ利益になるものなのかどうなのかは定かではない。

制裁だけでなく、六カ国協議の復活を求める声も大きいが、
その場合、どのような提案を行うかについても深く考えるべきだ。

「国際社会の平和」のために弱国が犠牲になるような支援は北朝鮮は許さないだろう。

北朝鮮の水爆実験について2

2016-01-08 00:16:32 | 北朝鮮
前回取り上げた朝鮮新報の記事だが、昨日の時点で以下のように書き換えられていた。

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○元の記事

朝鮮が初の水爆実験/朝鮮政府が声明発表

朝鮮中央通信によると、朝鮮政府は6日に声明を発表し、
同日午前10時、初の水素爆弾実験が成功裏に行われたと伝えた。

声明は、「われわれの技術、われわれの力に100%依拠した今回の実験を通じて、
われわれは新たに開発した実験用水素爆弾の技術的諸元が正確であるということを
完全に確認し、小型化された水素爆弾の威力を科学的に解明した」と指摘した。

声明は、今回の水素爆弾実験について、
米国をはじめとする敵対勢力による核威嚇と恐喝から国の自主権と民族の生存権を守り、
朝鮮半島の平和と地域の安定を担保するための自衛的措置であると指摘した。


そのうえで、朝鮮は責任ある核保有国として、侵略的な敵対勢力が
朝鮮の自主権を侵害しない限り、すでに明らかにしてきた通り、
先に核兵器を使用せず、どのような場合にも関連手段と技術を移転することはない
と述べた。

また、米国の対朝鮮敵視政策が根絶されない限り、
朝鮮の核開発中断や核放棄は絶対にありえないと強調。
正義の核抑止力を質、量ともに絶え間なく強化していくと明らかにした。

朝鮮中央通信は同日、金正恩第1書記が昨年12月15日、
朝鮮労働党を代表して初の水素爆弾実験を行うことに関する命令を下し、
今年1月3日に最終命令書にサインしたと伝えた。

また、今回の核実験が朝鮮労働党の戦略的決心に沿って行われたと指摘した。

http://chosonsinbo.com/jp/2016/01/20160106riyo/

○修正後の記事

朝鮮が初の水爆実験/朝鮮政府が声明発表

朝鮮中央通信によると、朝鮮政府は6日に声明を発表し、
同日午前10時、初の水素爆弾実験が成功裏に行われたと伝えた。

声明は、「われわれの技術、われわれの力に100%依拠した今回の実験を通じて、
われわれは新たに開発した実験用水素爆弾の技術的諸元が正確であるということを完全に立証し、
小型化された水素爆弾の威力を科学的に解明した」と指摘した。

声明は、水爆実験の成功によって、
朝鮮は水爆まで保有した核保有国の前列に堂々と立つことになり、
わが人民は最強の核抑止力を備えた尊厳高い民族の気概をとどろかすことになったと述べた。

また、今回の水素爆弾実験について、
米国をはじめとする敵対勢力による核威嚇と恐喝から国の自主権と民族の生存権を守り
朝鮮半島の平和と地域の安定を担保するための自衛的措置であると指摘。

米軍の原子力空母打撃集団と核戦略飛行隊を含むすべての核打撃手段が
絶え間なく投入されている朝鮮半島とその周辺が、
世界最大のホットスポット、核戦争の発火点になっていること、


米国が敵対勢力を糾合して各種の対朝鮮経済制裁と謀略的な「人権」騒動に執着して
朝鮮の強盛国家建設と人民生活の向上を阻み、「体制崩壊」を実現すべく狂奔していることに言及し、
朝鮮の水爆保有は主権国家の合法的な自衛的権利であり、
誰もけなすことのできない正々堂々たる措置であると強調した。

声明は、朝鮮は責任ある核保有国として、侵略的な敵対勢力が朝鮮の自主権を侵害しない限り、
すでに明らかにしてきた通り、先に核兵器を使用せず、どのような場合にも
関連手段と技術を移転することはないと述べた。

そのうえで、米国の対朝鮮敵視政策が根絶されない限り、
朝鮮の核開発中断や核放棄は絶対にありえない
と強調。
正義の核抑止力を質、量ともに絶え間なく強化していくと明らかにした。

朝鮮中央通信は同日、金正恩第1書記が昨年12月15日、
朝鮮労働党を代表して初の水素爆弾実験を行うことに関する命令を下し、
今年1月3日に最終命令書にサインしたと伝えた。
また、今回の核実験が朝鮮労働党の戦略的決心に沿って行われたと指摘した。
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より民族主義的な主張になったと同時に、米韓の継続した武力威嚇についても言及されている。

北朝鮮が述べているように、アメリカと韓国は毎年、北朝鮮の領海付近で軍事演習を実施している。
その演習では核兵器を搭載することができるB2ステルス爆撃機・B52爆撃機・F22ステルス戦闘機が
参加しており、2005年には北朝鮮の首都である平壌上空を飛行、急降下と急上昇を繰り返していた。


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米韓合同軍事演習「フォールイーグル」(野戦機動演習)に
ステルス戦闘機F22が参加する理由は、平壌への威嚇にあるとされる。

米国は軍事演習を使って、もうひとつの重要な対北心理作戦「作戦計画5030」
(北朝鮮動揺計画)を行っているとされるからだ。その中身は、レーダーに捕捉されない
ステルス戦闘機を平壌上空に送りこみ急降下や急上昇で威嚇するというものだ。

米軍が同演習にステルス機(当初はF117)を投入したのは2005年から。
同年の夏、平壌上空に侵入する「5030」の秘密作戦があったことをスクープしたのは、
日本の軍事専門家、恵谷治氏だった。恵谷氏はいう。


「この年F117は平壌上空から
金正日総書記の住む宮殿めがけて急降下、急上昇を繰り返した。
爆撃機の爆音と振動はものすごい。
金総書記は本当の恐怖というものを体験したはずだ


恵谷氏のスクープはその後、予期しない形で裏付けられている。
米韓合同軍事演習に参加していたF117のパイロットが米軍事専門誌に
「私にとって最も記憶に残る任務は北朝鮮の領空をかき回したことだ…
その任務のことを考えると、気が遠くなるような感じだ」(エアフォース・タイムズ)と証言したのだ。

北朝鮮は、通常なら国際社会に『米帝が領空侵犯の暴挙』などと騒ぐはずだが、
これまで一切、反応してこなかった。これは「捕捉不能なステルス戦闘機に
北朝鮮空軍機は緊急発進すらできなかった」(恵谷氏)からだと分析されている。

今回、F222機が沖縄県嘉手納基地から「フォールイーグル」に参加のため
韓国北部の京畿道烏山の米軍基地に到着したのは3月31日だった。
その後、訓練に従事し、4月3日には沖縄に帰還している。
最高速度マッハ2・5、戦闘行動半径約2200キロ。

恵谷氏は「F22は平壌に侵入しただろう」と推測する。

平壌では1日最高人民会議が開かれていた。
2日には「寧辺の核施設再稼働」宣言も行われている。
米国が対北心理作戦を仕掛けるには絶好の時期だったはずというわけだ。

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20130407/frn1304071023001-n1.htm
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元は産経の記事らしいが、こういう軍事演習が毎年行われている現状に対して
北朝鮮が強く抗議するのは、ごく当たり前の感情だと思うのだが、多くのメディアは、
この演習を「例年行っているもの」と称して、問題のあるものとは認めてこなかった。

「いつもやっている演習」→「だから問題ない」というこの理屈はいかがなものだろうか。
 その理屈でいえば、北朝鮮の核実験もいつもやっていることだから問題ないのではないか?
 
こういう理不尽な主張を当然視しているのが今のメディアや知識人の態度なのである。



上の地図は日本地図を上下逆さまにひっくり返したものだが、
北朝鮮は、上図のように周辺を米軍基地に囲まれ、
核弾頭を搭載できる爆撃機や、同国の都市・基地への空爆が可能な戦闘機が
定期的に飛び回っている状況の中
、水爆実験を行ったというわけである。
その意図は抑止以外の何者でもない。
(なお、上図には記されていないが韓国にも米軍基地はある)


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北朝鮮、「水素爆弾は使用しない」


北朝鮮が「どの国に対しても核兵器は使用しない」と表明しました。

イルナー通信によりますと、北朝鮮は7日木曜、
水爆実験の実施を発表した北朝鮮に対する世界的な非難に対して、
「北朝鮮は単にひとつの実験を行ったに過ぎず、侵略されない限り
 決してそれを他国に対して使用することはない
と述べました。

北朝鮮はさらに、
「北朝鮮の核兵器製造計画はアメリカの北朝鮮に対する敵対政策の終結によってのみ停止される。
 そうでなければ、核開発を断固推進する」としました。

アメリカと一部の国は、北朝鮮で6日水曜発表された水爆実験に疑問を示していますが、
この問題は世界で大規模な反響を呼んでいます。

韓国は、声明を発表し、
「北朝鮮の行動は挑発行為であるのみならず、朝鮮半島の存続と未来にとっての脅威だ」としました。

この核実験の実施を受け、国連安保理は緊急会議を開催し、北朝鮮に対する新たな決議を採択し、
同国による核実験の実施に対抗するために新たな措置を講じることが必須だとしました。

北朝鮮の同盟国である中国でも、抗議文書が北朝鮮大使に手渡され、中国政府の抗議が伝えられました。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/61307
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一連の報道を見て、納得がいかないのは北朝鮮と米国は未だに戦争中であり、
平和協定を結ばない限り、いつ北朝鮮が攻撃されてもおかしくはないという状況を
全く考慮していないことだ。

北朝鮮と同様に大量虐殺兵器を有しておきながら、対話によって放棄し、
その後、アメリカ主導の多国籍軍の攻撃によって滅んだ国が二つある。


イラクとリビアだ。

イラク戦争では、2003年3月、国連安保理の容認なしに米英などが武力を行使したが、
同年10月の安保理決議1511で、事後的に同国への攻撃が追認された。

リビアもまた同様に大量虐殺兵器を放棄した後に、
NATOが現地のイスラム過激派と協力しながら爆撃を行い、文字通り地球上から消滅した。

この件について国連の潘基文事務総長は、
この空爆は国際社会が「市民を保護する責任」を実践しているのであって
不当な内政干渉には当たらないと語り、
軍事行動の目的はカダフィ政権の打倒ではなく、
あくまで 「一般市民の保護」 にとどまるのだと強弁した。


いずれの地域においても、現在は混乱の状態であり、ISなどの過激派の巣窟となっている。
空爆さえなければ、このような事態は発生しなかったのである。


両国の体制を破壊し、過激派によるテロと同国への空爆で
何千何万の人命が失われた最大の責任者は国際社会(国連)そのものだ
と言えよう。


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サウジ戦闘機がサヌア空爆でクラスター爆弾を使用

サウジアラビアの戦闘機が、イエメンの首都サヌアの住宅地を禁止兵器で空爆しました。

イエメンのニュースサイト・サバーネットによりますと、サウジの戦闘機は
国連の警告を無視し、6日水曜、サヌアの住宅地をクラスター爆弾で空爆しました。

国際法規によりますと、クラスター爆弾は禁止兵器とされています。

サウジの戦闘機がサヌアで大々的にクラスター爆弾を使用していることで、
多くのイエメン市民が死亡し、またサヌアのインフラや建物に大きな被害が出ています。

サウジアラビアによるこの犯罪は、国連がサウジ主導の連合軍による
クラスター爆弾のイエメンでの使用に関して警告してから、わずか2日後に行われました。


イエメンの数百人の学生は6日、サウジのイエメン各地に対する
攻撃の継続に抗議して抗議集会を行い、教育機関に対する攻撃を非難しました。

イエメンの大学生は、イエメンに対するサウジ主導の連合の攻撃停止のために、
国際社会が努力するよう求めました。

サウジアラビアは一部の同盟国とともに、アメリカの支援を受けて、
昨年3月26日からイエメンに対する大規模な攻撃を開始しました。

この攻撃により、これまで、
女性や子供を含むイエメン人数千人が死亡し、数万人が難民化しました。

また、イエメンの80%のインフラ施設や医療施設、
サービス施設も破壊されています。


http://japanese.irib.ir/yaman/item/61301-%E3%82%B5%E3%8
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サウジアラビア主導の連合軍による
住宅地へのクラスター爆弾の投下は
北朝鮮の水爆実験と同じ日に行われた。


以前から警告を受けていたにも関わらず、それを無視して行ったサウジの空爆と
警告を受ける前に行った水爆実験のどちらがより悪かは子どもでもわかることだ。

住宅地を狙ったイエメン市民の殺害は無視に近い反応で、
誰も死なない単なる実験には経済制裁の検討である。


国連の報告によると、2014年9月から11月にかけてのアメリカのシリア空爆で、
デリゾール、イドリブやアレッポ等において民間人を含む865人が死亡している。

この間、北朝鮮はシリア国民の誰も殺していない。

今年の2日にはイスラエル軍がガザ地区を爆撃しているが、
イスラエルは国際社会から経済制裁を受けたことは一度たりともない。

当然、北朝鮮はパレスチナの人々を殺害したことなどはない。

右翼が何かと目の敵にする御用新聞の朝日の社説には「東アジアの脅威であるだけでなく、
世界の核不拡散と核軍縮の努力に逆行する振る舞いに、国際社会は厳しく臨むべきだ。」
と書いていたが、明らかに平和を脅かしているのは欧米とその同盟国である。


核を持つか持たないかを基準に善悪二元論を展開し、
眼前のジェノサイドには目もくれようとしない「国際社会」が平和の守り手になれるのだろうか?

その独善的な態度がイスラム過激派を産み、彼らから報復を受けているのではないか?
先のパリの同時多発テロは、その象徴的事件だったのではないか?

私は北朝鮮だろうとどこの国だろうと核は持つべきではないと考える。
そのためには相手国の安全が保障されることが何よりも必要とされると思う。

北朝鮮の苦境を知りながら、あえてアメリカに対して一切の批判を行わず、
同時期に行われたサウジアラビアなどの親米国家の民間人虐殺を不問とする
現在の「国際社会」(正確には大国中心の国際政治)はあまりにも偏った正義感を有していて、
殺されてもよい人間と滅んでもよい国を話し合って選んでいる。それではいけないと思うのである。