時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

リビア問題からわかる日本左翼の欠陥3

2014-02-26 00:46:11 | リビア・ウクライナ・南米・中東
リビアを北アフリカの北朝鮮と、わざわざ太文字で表現した池上彰。

彼のような人間が日本の国民的なジャーナリストとして受容され、
岩波新書の著者として、民衆の心に訴えかけている。


日本の社会主義、共産党を的確に分析、その問題点を指摘している
良心的リベラル学者ということになっている自称マルクス主義者
加藤哲郎は、自身のブログでアラブの春をこう形容した。

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チュニジアのジャスミン革命に始まり、エジプトの若者たちに
受け継がれ民衆革命を達成したソーシャル・ネットワークの波は、
リビアのカダフィ独裁を崩壊寸前まで追い込み
、バーレーンや
イエメンでもデモは続いています。
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では、実際にリビアではどういうことが起きたのだろうか?
翻訳記事を抜粋していこう。



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リビアにおけるNATOの残虐行為

[ポテント・ニューズ] そこで最後の質問です。
どうやら、昨日、大学での会議で[セント・メアリー大学、ハリファックス]、
リビアで実際に何が起きているのかを本当に浮き彫りにするビデオを誰かが上映したようです。

聴衆の一人は泣きだして、会場からでていったと聞いています。
我々の社会で、我々の名において行なわれていることに直面する力を
得られるようにするのがどれほど重要だと思われますか?




[ミシェル・チョスドフスキー]
リビアでは、残虐行為はNATOによって行なわれたと思います。
何千人もの人々が殺されました。
マスコミはこうした残虐行為を報道していません。


マスコミとして、ジャーナリストとして現地の事実を報道する責任があるはずです。
けれどもそういうことにはなっていません。実際には、その逆です。

彼等はobfuscating。彼等は偽装、隠れみのとして機能しているのです。
その大部分がアルカイダ民兵で構成されている反政府派に、彼等は人間的な見かけを与えているのです。

これは民主主義推進の運動ではありません。
そして起きたのはマスコミによるこの戦争の支持なのです






マスコミ無しでは、彼等はこうした爆撃の影響をごまかすことが
できなかったでしょうから、彼等はこの戦争ができなかったでしょう。


戦闘機について最小限の知識がある人なら誰でも、こうした
戦闘機それぞれに何十発ものミサイルを搭載して1万回出撃すれば、
非常に多くの人々を殺すことになることはわかります

爆弾5万発の話です。

早くも[2011年]4月、一ヶ月にわたる爆撃の後、
NATOがこう言っていたことは注目に値します。



“我々は爆弾を使い果たしつつある。”


連中が爆弾を使い果たしつつあるというのです?!
これは人口600万人の国に対して、信じがたい見解です。
そして連中は同じような声明をすることになるでしょう。



“我々は誰も殺していない.”

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「エジプトの若者たちに受け継がれ民衆革命を達成した
 ソーシャル・ネットワークの波は、
 リビアのカダフィ独裁を崩壊寸前まで追い込み」


「リビアは北アフリカの北朝鮮のような国」



こういう言葉がどれだけ現実を捉えていないかよくわかるだろう。
では、記事の続きを見ていこう。


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●カダフィ殺害と国家丸ごとの破壊

そうです。残虐行為はおこなわれつつあります。
しかし、ウォール街占拠運動を見ていて私が不安に思うのは、
彼等はリビアの兄弟姉妹の手本に習って、
民主化を実践しなければならないと言うことです。


彼等は、そこで、リビア国民を代表していない、
犯罪人集団で構成されている暫定委員会のことを言っているのです。
そして彼等はカダフィを民主主義の敵として描き出しているのです。


私はとりわけカダフィのファンというわけではありませんが、
カダフィは民主主義の敵ではなく、過去100年間にわたって、
独裁政権を世界中で支持してきたのは、アメリカ合州国
なのです。


ところが自分達は民主化派だと主張しています。
実際には、特定の国家の首長(カダフィの場合は政府の長ですが)が
気に入らない場合には、そこに入り込み、彼を殺し、その家族や孫達を殺害するのです。

それは民主主義を実践する方法ではありません。
民主主義は、国々の主権や自分達の問題にどのように対処したいのかを決める、
そうした国々の人々の権利を尊重することによって、実践するのです。


●リビアはアフリカで最高の生活水準だった

リビアは、アメリカ政府とIMFの命令に従わなかった
世界中で極めてまれな国の一つだった
ということを記録しておくのは重要だと思います。

そして、その結果として、我々がカダフィを好もうと好むまいと、
国際連合、UNICEFや世界保健機関が発表した数値は、
リビアの生活水準はアフリカで最高であったことを確認しています。

完全雇用て、識字率はほぼ100%、高校を卒業した50%の学生が大学に進学しており、
アフリカの標準からすれば、先進的福祉国家です

政権を好もうと好むまいと、これを我々は認めなければなりません。

[2011年]3月以来、
数カ月間の爆撃でおきたのは、
一国の水道システム、食料供給、
学校、病院、大学の破壊です。

そうしたものが爆撃されている証拠があるのですから。


もしウォール街占拠運動が、アメリカ、カナダや
西欧世界で重要な民主化運動なのであれば、
その様なNATO爆撃に反対の姿勢をとるべきです。



NATOをお手本としたり、あらゆる反政府派を
お手本としたりして描き出すべきではありません。

そして、それがまさに、ウォール街占拠運動が行なった、
究極的に我々はリビアで、カダフィと戦っている兄弟姉妹達を
支援すべきだといういくつかの声明で、暗に伝えられていることです。

そのような兄弟姉妹達は、本質的にはアルカイダです。皮肉なことに、
政府を支持している国民の大多数を代表しているわけではないのです。

つまり、あらゆる社会に反対派はいるものなのですが、大まかに言えば、
あの社会、あの国には
まともなプロジェクトがあり、
高い生活水準があり、
教育水準の高い国民がいたのですが、
7ヶ月の爆撃の結果はそういう国の破壊でした


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要するに、当時も今も日本の左翼のほぼ全ては
まさにこの記事で批判されている連中と全く同じ態度
なのである。
(違っているのは悲しいことに共産党ぐらい)


中立、あるいは進歩派、左翼、リベラル、
ありとあらゆる言葉で自らを粉飾している連中は、
アメリカの利益に適った限りの中で文句を言うことを許されているにすぎない。


一見、反対のポーズをとりながらも、その実、
政府の見解を全面的に支持している。


これこそが日本の(そしてアメリカの)左翼の致命的な弱点だ。

現時点で私は、リビアの件で自分たちの浅薄な態度と意見を反省した
有名な左翼にお目にかかったことはない。こういった連中が音頭を取って
改革を叫んだところで、上手くいかないのは当然である。

そして、それこそが2009年の左翼の勝利に見えた
民主党の大勝だったのだと思う。


世界各国からの安倍政権の靖国批判から明らかなように、
世界観というものは非常に大事なものである。


世界地図がアメリカやイギリス、フランス、日本といった
旧帝国主義国を中心に描かれたのだとすれば、それは問題だ。


メディアは必死にごまかしているが、今、安倍政権が
批判されているのはこういう点なのである。

だが、これは何も安倍だけの話ではなく、
結局のところ、日本の左翼もまた帝国を中心に添えた
世界観でしか物事をはかれていないのではないだろうか?

そして、このことこそが戦後、一向に日本の左翼系が
与党を獲得できない(できてもすぐ解散する)真の理由ではないだろうか?

リビア問題からわかる日本左翼の欠陥

2014-02-24 01:02:18 | リビア・ウクライナ・南米・中東
先日、古本屋で池上彰氏の著作を見かけた。

『池上彰の「ニュース、そこからですか!?」』という題名で、
 文春新書の1冊として出版されたものである。

文芸春秋といえば、戦前から日本のアジア侵略に加担し、
積極的にプロバガンダに協力し、戦後は右翼の宣伝部と化している
出版社だ。こういう会社が戦後日本の文学をけん引してきたというのも
凄まじい事実であるのだが、そこから出版した以上、いよいよもって
ろくでもない内容が書いてあるのだなと思い、興味をひかれて立ち読みしてみた。



「凄い」の一言だった。


 彼によると、人口600万の国に1日あたり130回もの爆撃を病院や学校に
 行われ、多くの民間人が民主主義諸国によって殺害されたあのリビアが、
 アフリカで最も豊かな国と評価され、水道やガス、電気、医療、教育費
 全てが無償だったあのリビアが「アフリカの北朝鮮のような国」と
 太文字で書かれていたのだ。
これほどふざけた評価はないと思う。


ということもあり、リビアについて改めて調べていたところ、
ちょうど良いタイミングで以下の記事が翻訳されて紹介されていた。

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-4acf.html


実のところ、リビア消滅を大喜びしたのは池上氏だけではない。
日本の自称平和主義者、マルクス主義者、左翼、リベラルといった
抵抗勢力を気取っている連中のほぼ全部がそうだったのだ。

大規模な組織ながら違う反応を示していたのは共産党ぐらいなもので、
これはリビア消滅が他ならぬアメリカ率いるNATOだったためだと思われる。
非武装、平和外交、反米を基軸とする同党ならではの反応だった。

とはいえ、それも根本的な批判とは言い難く、この点、すなわち
「なぜリビア侵略を反戦を主張する左翼が大絶賛したのか」という点に
 ついて、あらためて語る必要がある気がする。


何度も言うが、リビアは文字通り、強国によって滅ぼされたのである。
これは19世紀以降続く欧米列強の侵略政策の一端とも言える。

にも関わらず、それを傍目で見て「やったぞぅっ!」と叫べる左翼とは
いったい何なのか?彼らが守りたい平和とは何なのか?はたして彼らは
左翼と呼べるのか?こういった疑問はリビア問題を通じて明らかになると思う。


というわけで、次回からは前掲の翻訳文を部分抜粋し、
この問題について考察を練っていこうと思う。

キンピー、ついに金の無心(上から目線で)

2014-02-21 22:12:03 | 反共左翼
当サイトの人気記事に「その後のキンピー糞ブログ」というのがある。

どういうわけか知らないが、共産党を除名される人間は高確率で
その後、右翼に走り、論敵である相手に媚を売る醜態をさらしている。


このキンピーをネットアイドルにする怪、正式名称「キンピーを応援する会」
という怪しすぎる集団が運営するサイト、前々から
運営費(何の?)と称してアフィリエイトで買い物するよう読者に訴えていたのだが、
最近はクレジットカードで寄付をするよう要求していたらしい。


ところが、ちっとも寄付されないらしく
Amazonや楽天のギフトカードでもいいから送れという記事を書いてきた。


「寄付する」というコメントを読者からもらいながらも結局は駄目だったようだ。
運営者が言うには寄付が集まらない理由として次の5点があるらしい。

1.言葉だけで最初からその気がない。
2. 携帯では寄付の案内が読めないので募集していることがわからない。
3.すでにブログを見ていない
4.クレジットカードを持っていない。
5.匿名寄付をしたいが、クレジットではできない。


で、彼の理論によると、2と5の理由が多いのでギフト券で受け付けるらしい。
いや、3だろ!?と誰かツッコミを入れないのだろうか……


はっきり言うが、赤旗の購入費を理由に
運営費と称して見ず知らずの人間に
金券を要求するのは非常識だ。



新聞ぐらい自分で買って読め。


私も仕事がらか、日常的に大量の本を読むし
年間どころか月間で万単位の出費をしているが、だからといって
自分のブログで使う資料代を請求するなどという考えは思いついたことすらない。

ブログなんて個人の好きでやってることなのだから、金が惜しいならやめればよいのだ。


それにしても気になったのが次の文章。

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この場合、間違ってもギフトカード番号を
コメント欄に書いたりしないでくださいね。
ぼくちんが見るより先にどこかの誰かが使うことがありますのでw
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冒頭で述べたように、このサイトは
「キンピーをネットアイドルにする怪」と名乗る集団が運営しているはずなのだが、
もしかしてキンピーの自演なのか!?

少なくとも複数で運営しているようではなさそうだ。

この「ぼくちん」と名乗る人物が誰かさっぱりわからないが、他の記事を読む限り
靖国神社でのオフ会を募った人間と同一人物らしい。


靖国に行く金はあっても新聞を買う金はないようだ。

いわく、
「靖国神社と遊就館訪問オフが開催されます。
 遊就館では靖国神社側のご厚意で特別に解説者が付いて下さいます。」らしい。

わざわざ神社の職員が「解説者」をつけてくれる点からも、
靖国神社と遊就館が別々の施設というのが虚構だとはっきりわかる。

「いろいろご意見がありましょうけど、まじめに鎮魂の場にふれ、
 内容を見つめるきっかけにしていただければと思っています。」だそうだ。


安倍政権の関係者かと疑うレベルである。

私は以前、このサイトを「暇人が金儲けに運営している糞サイト」、
「ねらー運営のネトウヨブログ」と評価したのだが、褒めすぎだったようだ。


共産党に批判的であっても、武井昭夫氏のように傾聴に値する人間はいる。

だが、新大久保でヘイト・スピーチを行った極右団体、「在日特権を許さない会」
のメンバーがヒトラー生誕パーティーを呼びかけたことを批判した記事に対して

「おまえ、バカだろw?天皇陛下より自分が偉いと思っていた奴の
 誕生日を祝う非国民w!とか言って笑ってやればいい
のだ。」と書いて
 勝ったつもりになっている人間の言葉はとても聞く気になれない。


私は、しつこいほど天皇制を批判している人間だが、
どうも天皇制および天皇教というのは、天皇を讃美しているようで、
その実、天皇を讃美する自分が偉いと過信させる蠱惑的な要素があるようだ。


自分に自信のない人間が行き着く先は精神的奴隷の道らしい。
主人の自慢をすることでしか自己を肯定できない悲しい生物。
そんな人面犬、キンピーに祝福あれ。

安倍政権の理解の求め方(続・靖国参拝の裏側で)

2014-02-21 20:33:45 | 国際政治
アジア侵略戦争を美化する宗教施設に向かい、
大日本帝国の犯罪を隠ぺいする教科書を教育者に強制する。

積極的平和主義と称し、軍拡を進め国家犯罪を否定する安倍政権。
彼らが他国に求める「理解」がいよいよもって「誤解」を招いたようだ。



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衛藤首相補佐官 靖国参拝批判に挑戦 「米国は中国にものもいえない」



衛藤晟一首相補佐官がネット上の動画で、
安倍晋三首相の靖国神社参拝(昨年12月)に対する米国政府の「失望」表明について、

「われわれの方がディサポインテッド(失望)だ。
 アメリカは同盟関係の日本をなんでこんなに大事にしないのか」と批判していた
 ことが分かりました。米国をはじめ国際社会に広がる首相参拝批判への挑戦です。


発言は「約束を果たした総理の靖国参拝」と題する動画で行ったもの。
動画は同氏が17日までに自身の「ユーチューブ」サイトに投稿していました。


動画で衛藤氏は「アメリカがちゃんと中国にものが言えないようになりつつある」と批判。
米国の「失望」は日本にではなく、「中国に対する言い訳として言ったにしかすぎない、
という具合に理解している」などと発言。

安倍首相の靖国参拝は「慰霊」「不戦の誓い」のためのもので「当たり前」だと擁護しています。


衛藤氏の発言は、日本の過去の侵略戦争を
「正義の戦争」と美化する施設となっている靖国神社を
「不戦を誓う場」であるかのようにごまかすものです。

菅義偉官房長官は同日の記者会見で
「(衛藤氏の)個人的な見解であって、日本政府の見解ではない」と発言。
会見後、電話で衛藤氏に「(発言を)抑えてくれ」と注意し、
衛藤氏は問題の動画を自身の「ユーチューブ」サイトから削除し、発言も取り消しました。

一方で衛藤氏は記者団に、
「(発言の)何が問題なのか分からない。(批判するのは)ばかじゃないか」
などと開き直りました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-20/2014022001_07_1.html

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「失望したのはこちらのほうじゃ!」
 と子供の口げんかのような発言をするのが
 この国のトップの理解の求め方らしい。

こんなんだから誰にも相手にされないんだよ……



では、この衛藤氏というのはどういう人物なのかというと、
猪瀬前知事が辞任する原因となった徳州会グループに
パーティー券を買ってもらっていたり

慰安婦を否定する意見広告に賛同していたりする
簡単にいえば、典型的な極右である。


この男、昨年12月初めの段階で在日米大使館に対して、
安倍首相が靖国神社を参拝した場合には「できれば賛意を表明してほしいが、
それができなくても反対しないでほしい」と伝えていた。


自分の姑息な根回しが無視されて頭にきたのだろう。

これが安倍政権のトップの一人である。

アメリカが無視をしたのは当然だ。真珠湾を攻撃したのはどこの国か思い出せば
日米戦争を一方的に日本を善玉に描く言動を不快に感じるのは馬鹿でもわかる。


北朝鮮政策でもそうなのだが、日本の保守勢力は現状認識が甘すぎる。
自分が勝手に作った世界観をもとに行動しても、自国では歓迎されても
他国からは冷笑されるのが関の山だ。


ここ数カ月の安倍政権は他国に対して恥ばかりかいてきた。
はっきり言ってみっともない。

「うちの安倍ちゃまをよくも!うきぃあっ!」とモンスター・ペアレンツならぬ
 モンスター愛国者が大声で吠えても猿山のサル以外に同情されるわけがない。


思えば、安倍政権は沖縄県民に対しても「理解」と称して基地を押し付けてきた。
国内の民衆に対する態度と同じ姿勢で臨んだのではないだろうか?

沖縄の少数の市民に対してはそれでも良かったのだろうが、
大国アメリカの高官に対しても通用すると考えるあたり、
いかに安倍派の議員が温室育ちで国際感覚に欠けているかがよくわかる。


こういう理解の求め方が続く限り、日本はますます孤立していくだろう。

靖国参拝の裏側で

2014-02-20 00:33:32 | 日本政治
原爆を美化する博物館へ行き、展示物を絶賛しながら
核のない世界を目指すから理解しろ(=文句を言うな)


靖国参拝に関する日本政府の態度は
例えればこんなものだと私は話した。



では、その裏側で何が起きているのか?
次の記事を読んでもらいたい。


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沖縄県八重山地区の竹富町が、地区内の他の市町が
使っている育鵬社版とは別の中学公民教科書を採択し、
使用していることについて、下村博文文部科学相が
同町教育委員会に対し、地方自治法にもとづく「是正要求」を
行うことを公言し、育鵬社版の採択を強要しようとしています
地方の意向を無視した異常な政治介入です


育鵬社の公民教科書は戦前の大日本帝国憲法を美化し、
現憲法の改定に子どもたちを誘導する危険な内容です。

自民党は2011年の中学教科書採択の際、
侵略戦争を美化する育鵬社の歴史教科書とあわせて
同社の公民教科書の採択を全国各地で推進しました。

安倍晋三首相も当時、採択運動の先頭に立っていました。


教育行政をめぐって「是正要求」が出されたことも、
県を通さず直接市町村に出されたことも例はありません。

どんな手段をとっても育鵬社版を使わせようという
安倍政権の強権的な暴走そのものです。



下村文科相は、「是正要求」の理由として
「同一の採択地区内の市町村は同一の教科書を
採択するという法律に竹富町は違反している」といいます。
しかし、竹富町に違法性はありません。


もともと、問題の発端になった11年の教科書採択では、
八重山地区では誰もが育鵬社版とは違う教科書が採択されると思っていました。


同地区の教科書調査員は1人も育鵬社版を推さず、
PTA連合会も校長会も育鵬社版に反対していたからです。

ところが採択地区協議会の玉津博克会長(石垣市教育長)が、
規約まで変えて協議会内で育鵬社支持が多くなるようにし、
育鵬社版を推薦する答申を出してしまったのです。



この事態に住民は強く反発し、竹富町は別の教科書を採択しました。
その後、沖縄県教育委員会が仲裁に入り、
地区内の3市町の教育委員全員が参加した協議が開かれ、別の教科書を採択しました。

地元紙は「採択逆転 市民安堵」と大見出しで報じました。
これは法律の定めた「協議」にあたり、それにもとづく竹富町の採択は違法ではありません。


他の2市町は育鵬社版を採択しました。
一本化にいたらなかった原因は、住民自治も教育の自主性も
踏みにじった玉津氏らの側にあります。にもかかわらず、
竹富町のほうを国の権力で屈服させようというのは、
住民自治と教育の自主性への厚顔な挑戦以外の何ものでもありません。


沖縄県教委は事態を打開するために、採択地区を分割し、
竹富町と他の市町がそれぞれの教科書を採択できるようにすることを提案しました。
文科相はそれさえはねつけました。竹富町は規模が小さく、
単独では教科書研究ができないというのです
。こんなに人を見下した話はありません。

竹富町の教育委員は熱心で、全員がすべての社会科教科書に目を通しました。
研究能力をいうなら、教科書に目も通さなかった
他市町の育鵬社版支持の教育委員こそ問題です。

教育では現場の自主性と住民自治が大切にされなければなりません。
いい授業のためには、教科書は実際にそれを使って教える教師が中心になって選ぶべきです。
安倍政権は直ちに介入をやめるべきです。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-19/2014021901_05_1.html
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歴史研究者の端くれとして言わせてもらうが、
育鵬社の教科書は教科書ではなく、経典である。


この書物の異常性は高文研から
中学校歴史・公民 育鵬社教科書をどう読むか』が出版されているので
そちらを読んでほしい。


簡単に言ってしまえば、大日本帝国を完全正義として描くものであり、
当然、沖縄戦で起きた集団自決も、その背景に
軍部の強制があった事実を伏せて記述されている。



沖縄戦の研究者である林博文氏によると、集団自決が起きた背景には、
投降しようとする沖縄人をスパイと断定して射殺・斬殺したことがある。

こういう現地の民衆を敵もろとも殺す傾向は沖縄以前からあり、
例えばフィリピンではゲリラと米軍の挟み撃ちにあうことを恐れ、
現地の町や村を焼き、民衆を皆殺しにしていた。繋がっているのである


こういう点を骨抜きにした教科書を他ならぬ沖縄で
読ませるべく、ありとあらゆる工作と強制を試みる。


被害者が今も生きている沖縄で
加害者を正義とみなすよう教育する。



これが安倍政権だ。


さて、この安倍政権が今着手しているのが教育委員会の組織改革である。


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教育委員長は現在、首長が任命する教育委員が互選し、教育長も委員から選任します。
新たな案は、住民による合議体の組織が首長から独立して
教育行政を決める現行制度を形骸化させる内容です。


(中略)


教育委員会制度の新たな見直し案は教委に執行機関を残すといっても名ばかりで、
教育代表委員を通じて首長が教育行政を事実上支配・介入する
ことにつながります。


戦前の軍国主義教育に対する反省から、
首長から独立した住民の合議体が教育行政を
コントロールするという現行制度の根幹を突き崩すものです。


教育委員会が国いいなり・首長追随ではなく、
子どもの権利を最優先に考えて活動ができるように、
委員会としての機能強化や教育委員の公選など教育委員会制度を
拡充・強化する抜本改革こそ必要です。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-08/2014020802_03_1.html
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八重島のような政府に逆らう教育者を無力化するための改革。
靖国参拝の裏側でこういうことが行われているのである。

物事は総合的に判断しなければならない。
識者の中には安倍の言動を他国との関係を軸に語りたがる輩がいるが、
安倍は何も中国やアメリカに反発して凶行に至っているわけではなく、
自らが信じる絶対正義日本という神話を布教しているに過ぎない。

実際には国内の人間に対する思想の弾圧と国家規模の史実歪曲が
目下進行中であり、こういう点に注目すれば、いかに不戦の誓い
あるいは積極的平和主義とやらが嘘八百のものか看破されるであろう。

安重根の評価について

2014-02-18 23:37:20 | 日本政治
国内ではもう終わったこととして片づけられているが、
靖国参拝をきっかけとして、日本の国際政治における信用は失墜の一路をたどっている。

中国、韓国などのアジア諸国は言うまでもなく、
ドイツやイギリス、ロシア、アメリカにまで首相の歴史認識が批判された。


かつてのブッシュJr.を彷彿させる光景だ。
自身の幼稚な世界観を信じる余り、現実が見えていない。


イラク戦争はテロとの戦い、民主主義の勝利と喧伝されてはいたが、
ほどなくしてその欺瞞が現地の政情および治安の不安定化によって
露見してしまった。国内では弱者を圧殺する新自由主義経済が採用され、
結果、リーマン・ショックという惨憺たる結果を向かえ、無残に散っていった。


ブッシュが自らの精神的よりどころとして深く信頼したのが
ネオコンと呼ばれる過激なユダヤ人主義者たちだった。


CIAの犬だった岸信介の孫にあたり、国家神道に狂う安倍と
CIAの長官だった父を持ち、ネオコンを崇拝したブッシュ。

両者とも現実を見ず、過激な行動を取り、
国民をリスクの快感に狂わせる詐術をもって支持を集めはするものの、
世界から孤立し自滅するという点において同じ穴の狢であろう。


さて、安部(に代表される現代日本)の国粋主義に対して、
メディアはどのように伝えたのだろうか?

結論からいえば、安倍と親密な間柄の人間のみで
経営陣が構成されるNHKは言うまでもなく、
他の民放でも一連の行為について擁護するばかりだった。


いわく、日本は他国の人間の心を傷つけるつもりなどなく、
不戦の誓いを立てるために参拝したとのこと。


では、次のことはどう説明するつもりだろうか?

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中国東北部のハルビン駅に韓国の義士、
安重根の記念館を開設した報道に、
日本政府は先月、伊藤博文を殺した「テロリスト」として抗議しました



1910年の「韓国併合」の前年に、
初代の韓国統監を務めた伊藤博文が射殺されました。

外交権を奪ったとき、伊藤が「駄々をこねるようなら殺ってしまえ」と
大臣に聞こえるように脅したのは、有名な話。

韓国で安重根は義兵闘争の英雄として扱われています

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-18/2014021801_06_0.html
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東京新聞の署名入りコラム(2月17日付)に
「伊藤(博文)が当時の指導者の中では
韓国併合にもっとも消極的だった」という記述がある。

これは日本政府が安重根を伊藤暗殺の「テロリスト」と
言い切ったことへの反論記事として書かれてはいるものの、間違った認識である。

日本では、1909年10月26日、伊藤が安重根にハルビンで
射殺されたのがきっかけで、「韓国併合」の方針がにわかに
決定されたかのような主張がしばしば見られる。

この記事もそうした類の一つであろう。

1905年11月、天皇の親書を携えて朝鮮に乗り込み、
「保護条約」の受け入れを迫ったのは、他でもない伊藤であった。


しかし、高宗は妻である明成皇后を虐殺されたことや
日露戦争中の財政整理問題など、主権侵害をなじり、条約締結を最後まで拒んだ。

すると、伊藤は高宗を脅迫し、朝鮮の大臣1人ひとりに賛否を問い詰め、
あくまで抵抗した首相や大臣らを退け、それ以外はすべて賛成とみなし、
強引に力で調印に持ち込んだ。(中塚明著「近代日本と朝鮮第三版」に詳しい)

こうして日本政府は数千年の歴史と文化を持つ朝鮮の外交権を奪った。
そしてソウルに統監府を置き、朝鮮の内政全般を左右することになったのだ。
初代の統監に就いたのは伊藤自身で、実質的に植民地化を完成させた張本人であった

http://chosonsinbo.com/jp/2014/02/0218ib/
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要するに歴史的にみて、よりテロ的だったのは伊藤のほうであり、
ひいては、明治維新以降の力づくで朝鮮半島を強奪せんとする
大日本帝国の侵略主義政策の一環として韓国は併合されたのである。


このような基本的知識すら認めようとしない国家が
他国を尊重し、不戦の誓いを立てているわけがなかろう。


そもそも、靖国神社は遊就館というアジア侵略戦争を美化する施設が
併設されており、これはヒトラーが正しかったという説明がされている
ヒトラーを神として崇めている施設へ向かい、そこで礼拝しながら
「ユダヤ人さん、すんまっせーん♪」と言っているようなものである。



もっと簡単に言えば、リトルボーイ(広島に落ちた原爆)を
「アメリカ人を日本から守った科学の結晶」とうたった博物館で
「私たちは二度と核を使わない!」と言っているようなものである。
 (それも原爆をわが国に貢献した素晴らしい兵器と絶賛しながら)



「不戦の誓い」というからには、一応、建前としては
 大日本帝国が侵略戦争を行ったことを認めてはいるのである。


 白い烏帽子を黒だと言い張り、それへの「理解」を求めるよりも先に、
 自分の矛盾した行いをただすほうが先であろう。

知ってますか?建国記念の日

2014-02-12 23:44:56 | 歴史全般
昨日、2月11日は建国記念の日だった。
憲法記念日などとゴロが似ていることから、この日に
現在の日本国の建国が宣言されたと思う人もいるのではないだろうか?


実のところ、この日は日本が建国された日ではない。
初代天皇ということにされている「神武」が即位した日なのだ。


この21世紀におとぎ話のエピソードを
史実のように扱うというこのセンス!

いやはや、素晴らしいものである。



天皇制を非難あるいは擁護するさいに見落としやすいのが
天皇制批判と天皇批判は全く違う」ということである。

前者は大日本帝国が築き上げ、戦後も継続されている国家システムへの批判であり、
後者はただの個人攻撃である。



天皇制の何が良くないかというと、その絶対性にある。

建国記念の日もまたしかりで、冷静に考えれば歴史的な根拠が
まったくない上に、日本国憲法には宗教の自由が保証されている
はずなのに、一つの宗教にすぎないはずの神道のエピソードを
国が挙げて祝うべきこととしてしまう是非について議論が必要なはずだ。

にも関わらず、天皇ゆかりというただそれだけの理由で
公の議論が暗黙の了解で自粛されている。このように、
天皇という言葉を盾に国家権力が絶対正義とされてしまう。

君が代しかり、靖国しかり、ここが非常に問題なのである。

注意深く見ると、天皇制は天皇の美化という形をとりつつ、
それ以上に天皇の承認を得た国家を一切の過ちを犯さず、
完全なるものとみなし、崇拝と隷従を強制する点にその特徴がある。

虎の威を借りたキツネとでも形容できようか。
神様が治めるこの国が間違っているはずがない。
この国に楯突くことは神を冒涜することだ。こういう理屈である。

このシステムは天皇が人間であることを宣言したことによって、
また国民主権を憲法で認めたことによって多少のダメージを負ったが、
その後、日本国の象徴(つまり、天皇や天皇制を批判する者は
国に叛意を持つ者と同義であることにされる)として維持された。


戦前には御真影といって天皇の写真が大変神聖なものとみなされ、
この写真が飾られている場所を通る際には敬礼をしなければ
ならなかった。現在、御真影は旗や歌といったより記号的なものへと
変化し、これを一種の踏み絵として現政府の忠誠心を試すものとしている。


国家や政府に一切の責任を負わせず、負担を国民に強いるという点で
このシステムは非常に前時代的、非科学的、宗教的なものである。



檀君神話を歴史教科書に載せている韓国でさえ、
檀君を想像上の人物(正確には古代朝鮮に存在した指導者の総称)と
みなしている。歴史と神話を同一視するのは残念ながら日本ぐらいだ。


今日のニュースで安倍総理が自身の靖国参拝や改憲解釈、慰安婦問題
について、現実を見ていないとしか言いようがない発言を行っていたが、
彼の言葉もまた自己陶酔的というか、狂信的なのもまた、この天皇制の
根幹にある「国家や政府は一切悪くない」という強いイデオロギーに
精神を侵されているからであろう。


国家に反省を強いない、
さらにいえば、国家に無反省を強いる点にこそ
最も天皇制の恐ろしい点であり、この絶対王政を
除去することがどれだけ日本の未来に有益なことか……

と私は思うのだが、世間的には天皇=天皇制と考え、
平成天皇の人柄と天皇制の欠陥を混同するために、
天皇制の批判→天皇への侮辱と一発簡易変換され、
なかなか意見を聞かれることはない。

だが、塵も積もればなんとやら、
それは間違っていると叫んだ人間が過去にいたことを
未来の人間に伝えていくことこそが大事なのだと思う。

池上彰氏は都知事選をどう伝えるのか?

2014-02-10 20:14:59 | マスコミ批判
今回の都知事選、立候補者が登録を始める前から
舛添氏と細川氏の二大決戦であるかのようにメディアは報道した。


投票から一夜あけて、さっそく舛添氏が当選して
東京の未来はバラ色とばかりのほめちぎり報道がされている。


その極め付けが池上彰氏のニュース「解説」番組だろう。


率直に書けば、同氏は政府(あるいは官僚の)見解を
とてもわかりやすく説明することに長けており、
これまでも体制に都合のよい内容ばかり伝えて
結果的にそれ以上の情報を模索しようとする意欲を大衆からそいでいた。


例えば、氏は原発問題に関して大事になる前は
欠陥だらけの方策と非難されているプルサーマル計画を
ウラン燃料をリサイクルする妙案として説明していたし、
使用済み核燃料の保管先に六ヶ所村があることは説明しても
その受け入れに対して現地の猛反対があることには触れなかった。

また、福島の事故を受けて全国の原発がいっせいに停止した際にも、
「ただでさえ電力不足なのに原発なしでしのぎ切れるのか」と
 遠まわしに再開せよといった文章を書いていた。

 だが、原発が稼働していた際にも電力が不足していたという
 基本的事実をここでもまた同氏は述べなかった。



他には、『そうだったのか!日本現代史』という著作においても
君が代が国歌として制定された経緯について
さる学校の校長が君が代斉唱に関して、教育委員会と日教組に板挟みにあい
最終的に自殺した事件がきっかけになったと説明する際に、
あたかも校長が日教組の執拗な攻撃を受けて死んだかのような
表現をし、教育委員会がほぼ一日中、護衛と称して校長を
常時見張っていた事実を全く書いていない。書こうともしていない。


池上の説明によると、君が代を歌う教育者を守るために
国が作ったということになるが、実際には、歌いたくないという
教育者に強制し、かつ反抗すれば免職や減給をチラつかせるという
弾圧である。氏は明らかに政府に都合の悪い側面を隠匿している。


で、その池上氏が「歴史を知らないと今がわからない」とのたまって
今夜、戦後史のレクチャーをしてくれるそうだが、これまでの前科を
知れば、どうせ日本政府にとって都合のよい内容になるに違いない。


池上氏は、みんなの党が票数を多く獲得した際にも
同党があたかも民衆の利益を代弁しているかのように説明した。

筆者は最初から渡辺氏が自民党に所属したままでは
権力を掌握できないと踏んで、一旗揚げようと作った政党であり、
政策はたいして自民党と変わらず、むしろより新自由主義的だと判断していた。

案の定、その後は安倍政権の礼賛と追従、それに並ぶ
秘密保護法の支持を行い、結果的に民衆から愛想を尽かされ
分裂、今や縮小の一途を辿るばかりになってしまっている。

ある意味、同党のイメージアップとなる解説を行ったことが
結果的に同党の票数獲得に貢献し、秘密保護法可決の手助けと
なったのだが、この件についても池上氏が特に反省することもない。

わかりやすい説明ほど危険なものはない。

本来、ある問題を解説するには大多数に敵意を抱かれるのを覚悟して
世間の誤解に対して「それは違う」と言わざるを得ない時がある。


当ブログでも、北朝鮮が核を捨てない理由について、
それは独裁政権だからとか危険な国家だからといった単純な話ではなく、
アメリカと韓国による常時の武力威嚇があるからだと説明している。

もちろん、こういう見解は世間にとっては悪以外の何物でもなく、
当ブログも固定客が150弱しかない。大多数にとって読みたくない
文を書いているのだから当然である。だが、読者数を稼ぎたいために
いい加減な内容、大衆が喜びそうなデマをたれ流すのでは本末転倒だ。

池上氏のわかりやすい説明は、単に政府、官僚、自民党、保守派の見解が
いかにもまともなことを言っているかのようにごまかすだけのもので、
はっきり言って害悪以外の何物でもない。こういう情報が闊歩してしまう
点こそ、現代日本が情報統制なり言論弾圧をするまでもなく、自主的に
お上に対して頭を垂れている何よりの証左と言えるだろう。

都知事選結果について

2014-02-09 23:22:03 | 日本政治
メディアのバックアップもあって、案の定、舛添氏が当選した。

筆者は以前、当ブログで猪瀬統治時代の悪政っぷりを指摘した上で、
以上の都政は都議会与党である自民党の主導のもと行ったもので、
舛添氏に変わったところで、都議会与党が自民党である限り、
看板をすげ替えるだけにすぎず、路線は変わらないと書いた。


今後も都政は猪瀬時代、さらに言えば石原時代から
受け継がれた失敗するとわかっているプロジェクトへの投資、
一部建設会社しか得をしない公共事業の拡大、福祉の縮小、
君が代の強制およびそれに連なる大日本帝国の賛美の強制、
高校生への自衛隊入隊体験に象徴される戦争へむけての都民洗脳工作が
大々的に行われるだろう。まぁ都民が自ら選んだことだから知ったことではない。


朝日新聞の調べによれば、舛添氏の支持者は高齢者に多かったようだ。

投票者自体、異例の大雪で3割にも満たなかった、
あるいはメディアの舛添キャンペーンが強烈だったこともあるのだろうが、

高齢者医療制度(ざっくり言えば高齢者の医療負担増)を行った
舛添氏に投票するお年寄りっていったい・・・




選挙というのは選ぶ側が自発的に情報を調べ
問題解決の道を模索することでどうにか維持される
ものであり、
ただ何となくテレビや新聞の報道を眺めて投票所に向かい、
知名度の高い人間の名を書くだけでは機能しているとは言い難い



厳しいことを書いてしまったが、細川氏と宇都宮市の投票数を足すと
舛添氏とほぼ同数になる。メディアが意図的に同氏の負の面を隠した
ことを踏まえれば、反対層はそれなりにいるものだと思う。

今後は反保守・反右派・反舛添の人間が一致団結して
自民党の暴政に歯止めをかけていかなければならない。

都議会における野党最大党である共産党は
その責任がいよいよ増すことになるだろう。一層の努力を望むばかりである。

日本の左翼が無視していることPart4

2014-02-06 00:28:46 | 北朝鮮
実のところ、このPart4は執筆することを躊躇していた。というのも、
全ろうの作曲家、佐村河内守氏の代表曲『交響曲第1番 HIROSHIMA』が
一介の非常勤講師の手のよるものだったというニュースを知って意気消沈したからだ。

私は別に佐村河内氏のファンでも何でもない。
ただ、こんなに素晴らしい曲を作れる人物が1コマ数万円の
非常勤講師にしか就けなかったことを悲しく思うのである。


日本の大学の授業はほとんどが新米あるいは外部から呼び寄せた
非常勤講師によるもので、1つの授業につき2万から3万(交通費含む)程度しか
支払われない。5コマを担当しても10万弱しか稼ぐことしかできない。
奴隷労働が民主主義国の中枢で行われているのだ。


このゴーストライターのように才能があっても認められない人物は
ゴロゴロいる。その一方でコネクションを利用して、あっさり
正規職に就いてしまう無能もゴロゴロいる。実に悲しいことだ。


正直、今回のような自称左翼の学者の偽善ぶりを暴露したところで
現実は何一つ変わらない、偽物は栄え本物は滅びる、そうじゃないか
という思いが大きくて、どうも筆が進まなかった。
書くといった以上、自分の言葉に責任を持ち、ここに上梓した次第である。


前回、前々回と私は北朝鮮の非核化には
米韓の軍事挑発の即時停止が必要不可欠であることを主張してきた。

また、北朝鮮を徹底的に攻撃する一方で、戦闘開始寸前まで発展した
北朝鮮領海付近の軍事演習という名の模擬侵略について言及しない
日本の左翼系知識人およびメディアの浅薄さについて批判した。


本稿はその最終回とでもいうべき記事である。以下の引用をご覧いただきたい。

---------------------------------------------------------------
特定秘密保護法から日本版NSC、新防衛大綱、
そして沖縄への米軍基地集中固定化と、安倍晋三首相の
「戦争ができる国」への暴走は止まりません。

このまま集団的自衛権、
憲法改正へと突っ走るのを何とかとめなければなりません。


(中略)

元号が平成になって、もう25年をすぎました。
でも、ちょうど改元=冷戦崩壊の頃に研究していた問題が、
なにやら新聞やウェブ上で蘇っています。

一つは「過労死」、かつて日本的経営のゆがみの
産み出す終身雇用正社員の会社への過剰献身・長時間労働との関わりで
語られたものが、今日では、日本的経営の崩壊、非正規雇用増大と
「みなし残業」「ブラック企業」と結びついて、
再フォーカスされているようです。

もう一つは、「粛清」です。
「綱紀粛正」の「粛正」ではなく、旧ソ連のスターリン時代に
典型的な政治的「粛清」です
。こちらは日本政治の文脈ではなく、
北朝鮮の金正恩独裁政権による叔父でナンバー・ツーの
張成沢の突然の処刑で、世界的に使われました。

ただし、冷戦崩壊後に、旧ソ連のスターリン時代に
在住した約100人の日本人を追いかけて、野坂参三を除く
約40人の粛清犠牲者の軌跡と冤罪を明らかにしてきた私としては、
「粛清と名誉回復」という視角は、中国共産党の歴史や
最近の薄熙来裁判、松本清張『日本の黒い霧』改訂で
ようやく「名誉回復」となった日本共産党元幹部伊藤律の幽閉、
共産主義を離れても続くロシア・プーチン政権の政敵粛清、等々に応用可能です。

http://members.jcom.home.ne.jp/katote/Living.html
--------------------------------------------------------------

私が本ブログで執拗ともいえるほど非難している某学者の文章である。

この御仁は「このまま集団的自衛権、憲法改正へと
突っ走るのを何とかとめなければなりません。」と説くが、
その後の文章を読めばわかるように、他ならぬ本人が
憲法改正への後押しをしている矛盾を呈している。


安倍政権が軍拡を進める最大の口実は中国・北朝鮮の脅威である。
とするならば、この脅威が虚構であることを白日の下にさらすことこそが
今、日本の平和主義者に求められていること
ではないだろうか?



少なくとも、北朝鮮にとって最大の敵国は米国であり、日本のことなど
眼中にない(というより気にする余裕がない)ことは併記すべきではないのか?


そして、ここでもまた、
米韓の軍事演習は言及されていない。


これでは日本政府にとって都合の悪い事実を
自発的に隠ぺいしているようなものだ。


代わりに書かれているのは張成沢の死刑執行。
それも処刑とわざわざおどろおどろしい文句で表現している。


旧ソ連のスターリン時代の粛清と同一のものと評価しているが、
これはどうかと私は思う。すでに当ブログで言及したが、
現在の北朝鮮は党内での合議によって
政策が決定されており、今回「粛清」された張氏は
むしろ内閣責任制を阻害するだろう行政部のボスであり、
大半の党員は失脚後、再教育を通じて復帰している。


ソ連の民主化の障害となり、弁明の余地なく問答無用で殺害した
スターリンの粛清と、今回のそれとを同じものとするには無理がある。


もちろん、この再教育の内容や一党独裁の中での内閣責任制の有効性を
検討することは大変重要で、そういう意味での批判なら大歓迎だ。

だが、スターリンの粛清と同一視して、恐怖のイメージしか
与えない脅しの批判ならば、それは断固として受け入れられない。

北朝鮮の非難の後に、氏は中国や日本の共産党勢力の
「粛清」を取り上げ、最終的には現ロシアのそれへの
分析に応用できると自身の研究視角を自己評価している。


しかし、共産党と名のつくものなら十把一絡げで
徹底的に攻撃する同氏の態度は日本の軍拡をストップさせるのに
何の役にも立たないだろう。実際、加藤氏は安倍首相の靖国参拝
を批判しているが、安倍と同じ考えの人間と一緒に北朝鮮を
批判する声明を送っているのだ。北朝鮮と中国という同一の敵が
いる限り、彼らはズルズルと体制に協力せざるを得なくなるだろう。


だいいち、共産主義は邪悪なのだという教義を広めておきながら
ソ連が共産主義を捨てたにも関わらず、内部で暗殺が行われている
事実について何の反省も行われていない。加藤の理屈に従えば
ソ連からロシアに変わったことで、全てがバラ色に染まるはずなのだ。

にも関わらず、ロシア政治に根付いている暗殺の伝統は消えていない。
ついでに言えば、共産主義を捨てることで同時に消えるはずだった
官僚主義も消滅しなかった。この持論の間違いを加藤は認めようとすらしない。


この共産主義憎むべしという自己にかけた暗示を解かない限り、
加藤をはじめとした平和主義学者は体制に従う犬となるだろう。

結局、彼らが気にするのは手段の問題であり、
北朝鮮や中国を懲罰すべしという目的のレベルでは安倍と同じなのだ。



より「平和的な」手段による他国への干渉なら大歓迎するわけで、
対話すべき相手国を絶対悪とみなすことにより、日本の軍拡もまた
相手国の粗暴なふるまいによって行われたという我田引水の主張をする。

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そして日中関係は、中国政府の防空識別圏設定で軍事的緊張もエスカレート。
ここでも「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する」、

私には中国国内の開発主義・格差による共産党独裁への不満を
対外関係に転嫁しようといういつものやり方の延長上に見えますが、
つい先日3中全会がありましたから、そこで党の何らかの決定があったのか、
軍部による独走なのか。いずれにせよ、安倍内閣の右翼的アジア外交、
安全保障政策に格好の口実を与えるものです。

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こういう主張は相対的に安倍の言動を
フォローするものになっている。


実際、安倍は自身の過激なふるまいを他国のせいにしているのだから。


私は中国政治に関して決まり文句のように使われる内政への
不満のガス抜きに日本を利用しているという解釈が間違っていると
考えている。というのも、少なくとも歴史や領土の問題に関しては
挑発しているのはこちら側であり、向こうはこちらの行為に反応
しているにすぎないからである。防空識別圏にしても、
尖閣諸島を向こうからしてみれば勝手に他国の固有の領土にされた
ことに対する反撃行為であり、もとをただせば日本のせいである。


もとをただせば日本のせいである。
この言葉ほど今の日本で禁じられた言葉はないだろう。


加藤をはじめとした反共左翼、ソコソコ左翼は
一般論のレベルでの反対は行えるかもしれない。

だが、現在進行形で自国が行っている挑発行為そのものを
叱責することはできていない。責任が自国にあるということを
共産主義絶対悪説に囚われた彼らは認めることができないからだ。

日本も悪い。だが北朝鮮や中国はもっと悪い。
だから、お互いの悪さを認め合おう。

こういうどっちつかずの態度は他国に対しては誹謗中傷、
自国に対しては不平を言いながらの追従の形をもって現れる。


冒頭にも述べた通り、今の日本で最も必要なのは、
中国や北朝鮮の脅威をデッチ上げだと勇気をもって告発することだ。


私はそれが今の日本の左翼に最も欠けていると思う。
だが、ブログを巡ると少数だが、これを実行している人間がいる。

彼らは無名のアマチュアであり、論壇に無視されている。
だが、こういう名もなき声がいつか大きなうねりとなって
風を吹かすような・・・・・・そんな気がする。