時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

池上彰氏のぶっとび解説に仰天

2019-02-23 23:09:57 | マスコミ批判

前々から筆者は、池上彰氏のニュース解説番組は

①肝心な事実を伏せて大雑把に説明をするため、

②中立を謳いながら、結果的には政府にとって
 まこと都合の良い理解のされかたを誘導しており

③この番組のメインの視聴者であるだろう
 時事問題に関心のある親子から判断力を奪っている


ということを断続的に指摘してきたと思う。


今日(2月23日土曜)の番組では
統計不正問題が起きた原因は「統計に携わる職員数が激減したから」だという
ぶっとび解説がされていて、池上もとうとうここまで来たかと仰天してしまった。


統計不正で新たに「官邸関係者」明記の圧力メールが発覚!

「いったん戻れ」の理由はこれだったのか


(https://lite-ra.com/2019/02/post-4563.html)

おそらく、同番組は録画のものだと思われるが政府の関与が明白になった今、これを視聴すると
本当に、つくづく、骨の髄まで政権べったりのトークをするものだと驚き呆れてしまう。



これに限らず、番組では月100時間未満の残業を認めた
(過労死と認定されるラインは80~100時間が一般的)働き方改革を

「時間外労働に規制をかけた」法案として紹介していたし、


派遣業規制緩和についても
人件費を削減するためといった大雑把な解説がされており、

当時緩和を誘導していた竹中平蔵氏が
その後、人材派遣企業の会長に就任したのが典型的な例だが、

この改革が一部の人間や企業が利益を貪るために
成り立たせたものだという肝心な点については触れようともしていなかった。


このような政府(歴代政権)の責任を問わない時事解説は
結果的には「自民党にまかせれば安心」という神話を信じさせる
遠因になってはいないだろうか
・・・と私には思えてならない。


池上氏は働き方改革が可決される直前にも
裁量労働制を取り上げ、一部、すでに実施済みの企業を取材し、
前よりも自由に帰宅できるようになったというレポートを流していた

捏造の次はデータ隠し!
厚労省が「裁量労働制のほうが労働時間が長くなる」という“不都合なデータ”を隠蔽


(https://lite-ra.com/2018/02/post-3819_2.html)

これに関しても、後々、
実は裁量労働制のデータも恣意的に作られたものであり、
実際には逆に社員の負担が増していたことが発覚した。


要するに、池上氏の言い分の逆が正解になっている。

普通、ジャーナリストというものは
政府の言い分が正しいか否かをチェックして、
間違っていた場合はそれを正すものだが、どうも氏の場合、

政府の言い分を追認するような映像を流すのが
ジャーナリズムのあるべき姿だと勘違いしているらしい。

正直、半年以上放置していたブログの
久々の記事をこの御仁に関する内容にするのは嫌であったが、

あからさまなヘイト番組よりも
このような良心的であるように虚飾した番組のほうが
はるかに恐ろしいと感じたので、ここであえてその間違いを指摘するに至った。


去年、5月に雪解けが本格的に開始され、
緊張を含みながらも、お互いどこまで譲歩できるかを
朝・米・韓が話し合うようになったが、いまだに日本の北朝鮮報道は
どこまでも爆撃する側からの視点で語られており、正確なものだとは思えない。

そういう視点は、本来、そのような意見に対抗するべき
共産党をはじめとした左翼も共有しており、

そのような視点からシリアやベネズエラ、イエメンの惨状まで語られている。

こうした似非平和主義こそが
結果的に国際情勢を多角的に見る姿勢を放棄させる原因であり、

その独善的な態度は極右論者のそれと大差ない。


・・・ということは常々感じていたのだが、
それを指摘することから半年以上、放棄していた。

理由は多々あるが、まずは
トラックバックを送信する機能をGooブログが外してしまったこと、
次にスマホに対応したレイアウトを作成するのが困難であること、
最後に個人的に仕事で多忙だったということが挙げられる。

池上氏のように仕事=ジャーナリストだったら
毎日でも記事をアップするのだが、それもままならなかった。


とはいえ、ベネズエラならいざ知らず、
北朝鮮の情勢について、当サイトのような意見を吐くところは
本当に稀有(というか見たことがない。あるいはすでに閉鎖している)なので
多分に読みづらいだろうが、これからも少しずつ記事を更新していこうと思う。


ロヒンギャ族に同情しているようでしていない池上彰

2016-09-26 23:30:41 | マスコミ批判
昨晩に放映された池上彰の政治バラエティ番組は、タレントが特別レポーターとして
日本国内の一般に知られていない問題について取材、問題提起を取る形を取っていた。

普段なら視聴しないのだが、館林市のロヒンギャ族(難民のコミュニティが同市に存在する)
を取り上げるというので、どのような報道をするのか、少々興味がわいてTVの電源を入れてみた。


結論から言うと大変良いVTRだった。

ロヒンギャ族に対する周囲の偏見をそのまま映した上で実際のロヒンギャ族の惨状、例えば
日本政府が難民を病的なまでに受け入れようとしない問題やミャンマーのムスリム迫害、
日本で生活を送る上での不便さについて言及し、地域との交流が進んではいるが、
他方で無知ゆえの偏見もまだあると締めくくる内容だった。


懸命に暮らすロヒンギャ族の姿に「かつての日本人の姿を見た」とか
「ロヒンギャ族は日本が好きだと言う。なぜなら日本は平和で自由があるから」といった
いつも通りの「日本すげー!」コメントはあったものの、それは上から注文されて仕方なく入れたように感じた。

(最後の愛国コメントを除けば、大変優れた映像資料だったので)


撮影を担当したTV番組制作会社のプロデューサー、ディレクター
およびスタッフの意気込み・問題意識を感じる、とても良い映像作品だったと思う。


他方で、スタジオのタレントや池上のトークはいつも通りだった。
言うなれば、最高級のネタで握った特上寿司にタバスコと炭酸ジュースをかけたようなものだった


まず、ロヒンギャ族が日本で暮らす上での最大の障害は、彼らの多くが難民だと認定されない点にある。
当然、スタジオでは、この問題について詳しく語るだろうと予想したのだが、実際には
「ロヒンギャ族が大量に来ると日本の若者の職が奪われる」といったビックリ発言がされて驚いた



当たり前の話だが、日本の若者の職を奪っているのは、他ならぬ日本人である。

日本で暮らす外国人の多くは介護職や英会話スクールでの講師など、
極めて低賃金・不安定な職に勤めており、一部のエリートを除いて正社員の椅子を奪う機会すらない。


失業率を下げるという美名のもと進められた雇用規制緩和も、
実際には正社員の椅子の数を減らし、非正規職を増やす結果に終わった。


若者が正社員になる道を全力で妨害しているのは従業員を消耗品として扱いたい企業側であって、
むしろ外国人は若者と同様に、企業の思惑に翻弄されている被害者である。

“奴隷”扱いされるベトナム人留学生たち、
偽装留学をネグり外国人をブラック労働に駆り立てる安倍政権の国策が



外国人が日本人の職を奪うという考えは、過去の歴史において
移民を排斥する人間が自己の差別を正当化する際に語られた常套句であって、現実を無視したものである。

実際は上の記事のように外国人は全体的傾向として職業差別を受けている現状にある


そういう偏見を否定するどころか、逆に「まさにそれ(外国人が日本人の職を奪う)が問題なんです」
と語る池上氏は、やはりどこかネジが外れている。今に始まったことではないが。



だいたい、池上はロヒンギャ族の惨状について
「大変な問題なのに日本では、ほとんど知らされていません!」と嘆いていたが、
その気になれば、いくらでも伝えることが出来たのに今の今まで伝えてこなかったのは池上本人である。



ちなみに私は、
ロヒンギャ族の惨状をきちんと伝えていた。

(http://blog.goo.ne.jp/minamihikaru1853/e/e68250f93917f6744f69b7fd4e2bbe4a)


上の記事はミャンマーの選挙についての日本の報道と知識人の語り方について、
ロヒンギャ族に対するスーチーの態度を指摘し、日本の知識人や報道陣は単純な構図で
ミャンマーの政治・民族問題を見てはいないかと問題提起したものである。


改めて、問題の個所を抜粋しよう。


---------------------------------------------------------------

ミャンマーのイスラム教徒の惨状


ミャンマーのロヒンギャ族のイスラム教徒に対する人種差別と殺害に関する最新の報告で、
国境なき医師団は、この国のイスラム教徒に対する攻撃は体系化され、拡大しているとしています。

ミャンマー政府は、イスラム教徒に対する人種差別や暴力行為を隠蔽しようとしています。

(中略)

ミャンマーのイスラム教徒はロヒンギャ族と呼ばれており、ラカイン州北部に集中して住んでいます。
ミャンマー政府は、この少数派の部族を正式に認めておらず、
彼らを非合法な移民であると見なしていますが、一方で国連は、
このロヒンギャ族が最大の少数派の一つであり、これまでに例を見ない抑圧を受けているとしています。

(中略)

ミャンマーのイスラム教徒に対する攻撃の映像は、
21世紀になっても彼らが想像し難い苦しみを味わっている惨状を十分に物語っています。

ミャンマーの5000万人の仏教徒は、300万人の少数派イスラム教徒を消滅させようと
この国の軍事政権と歩調を合わせています。

ミャンマーのイスラム教徒ロヒンギャ族は、
憂うべき状態に巻き込まれており、彼らはミャンマーから追い出されています。

しかし、どの近隣諸国も彼らを歓迎していません。バングラデシュ政府によると、
現在30万人以上のロヒンギャ族が同国南東部沿岸の難民キャンプで生活しているということです。

この難民キャンプの状況や、イスラム教徒の難民が直面している問題は、
ミャンマーに住む彼らの友人や親戚が直面している状況と、それほど変わりありません。

難民キャンプに住む大部分の難民は女性や子供、高齢者や病人、身体障害者です。
これらの難民キャンプでは四六時中、生き残り、食物を手に入れるための争いが絶えません。

バングラデシュの人々によると、この難民キャンプは社会的に
最下層の人々が生活する場所であり、敬意を払うに値しないとされています。

この難民キャンプには国際的な支援が届かず、難民は耐えがたい重労働の対価として、
1回分の粗末な食事代にしかならない僅かな賃金を与えられるだけです。


これらの難民の惨状は、国境を越えて他国にも広がっており、彼らにとって安全な場所は、
ミャンマーにも、タイにも、バングラデシュにも存在せず、その他の国でも見つかりません。

ミャンマーのイスラム教徒ロヒンギャ族は、ミャンマー政府と過激派仏教徒からは
外国人と見なされており、ミャンマー政府から市民権を与えられていません。

また、ミャンマー政府は彼らに対し、移動の許可を与えておらず、
もしある村から別の村に行こうとする場合、税金として一定の額を納めなければなりません。

もしミャンマーのイスラム教徒が商店を経営しようとする場合、仏教徒の共同経営者が必要になります。
仏教徒は、この共同経営において何の資本や資金も提供せずに利益を得ることが出来ます。

このように、ミャンマーではイスラム教徒に対して最悪の人種差別が行われているのです。

ミャンマーのある優れた経営者は、ミャンマーにおけるイスラム教徒の虐殺と
彼らの基本的人権の侵害に関するニューヨークタイムズの記者によるインタビューの中で、
「イスラム教徒に人権は適応されない」と語っています。

(中略)

ミャンマーにおいて、イスラム教徒ではなく
キリスト教徒が人種差別や民族浄化の被害に
あっていたなら、西側政府は沈黙していないでしょう。



また、ミャンマーで西側政府の利益が脅かされた場合、
彼らはこのような虐殺を口実に干渉的な措置や制裁を実施せずにいたでしょうか?

また、表面上人権擁護を装う西側政府は、
ミャンマーのイスラム教徒の虐殺に沈黙を守る対応を行なっていたでしょうか?

大変残念なことは、ミャンマーの自由や解放のシンボルとして
世界的に有名なアウンサン・スーチー氏も、
ロヒンギャ族に対する明らかな人権侵害に対して沈黙を守り、

「どちら側の損害や利益に対しても、立場を示すことは出来ない」
と表明したことです。


西側の自由主義において、人権は単に政治目的の追求のための道具となってしまっています。

つまり、西側政府はある時期にはミャンマー政府への圧力行使のために
この手段を利用しスーチー氏を自由化要求のシンボルとして宣伝しています。



また彼女も、自身の政治的な立場を守るためには、
ただ宗教的な観点から、多くの同国人の殺害や虐殺を無視してもよいと見なしているのです。

http://japanese.irib.ir/programs/%E4%B8%96%E7%9
5%8C%E3%81%AE%E6%83%85%E5%8B%A2/item/39757-%E3%8
3%9F%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%81%A
E%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%A0%E6%95%99%E5%B
E%92%E3%81%AE%E6%83%A8%E7%8A%B6


---------------------------------------------------------------

こういう投げかけは、看板番組を持っており、ベストセラーを多く世に送り出す池上氏なら
その気になればいくらでも出来たものだが、本人は今の今まで黙殺していたではないか。


よくもまぁ、いけしゃあしゃあと「日本ではあまり知られていません」と言えたものである。
その厚顔無恥ぶりは安倍晋三に勝るとも劣らないだろう。



重ねて言うが、ロヒンギャ族にとって最大の問題は日本政府が彼らを難民だと認定しない点、
および外国人労働者を極力、低賃金・不安定な職業に就かせようとする日本社会の圧力にある。


端的に言えば、難民の問題は日本社会の病的な外国人差別と直結したものであり、
だからこそ、ロヒンギャ族を扱った今回のVTRは大変、素晴らしい内容だったのに、
スタジオにいた還暦を過ぎた合法詐欺師が全て台無しにしてしまった。


日本にはまだまだ力のある、少なくとも意欲のある若手ジャーナリストがいるのだが、
左翼・右翼に限らず、還暦を過ぎた老人たちが論壇を牛耳っており、発言する機会を奪われている。

彼らに発表の場を与えるためにも、右翼にこび偏見を助長させる老害ジャーナリストは即刻引退すべきだが、
いつまでもテレビ局と癒着して合法詐欺を働いているところを見ると、
どうも自身が若手ジャーナリストの職を奪っていることについて自覚していないのではないだろうか?

まーた古市憲寿が政府に尻尾を振りだした

2016-06-22 21:09:24 | マスコミ批判
古市憲寿は研究者ではない(&日本学術振興会は死んだ)

上の記事がなぜか多く読まれているようなので、
改めて自称若者の30代男性、古市憲寿氏について言及しようと思う。


彼に関しては

①修士論文を除いては、これといった実績を挙げておらず、
②その論文にしても皇族が設立した政治色の強い賞を受けており、
 はたして本当に公正な立場から評価されたのか非常に怪しくなるものであるのだが、

③なぜかメディアや政府に引っ張りだこにされており、
④しかも博士課程に在籍している学生であるにも関わらず、
⑤社会学者と紹介されている(一種の経歴詐称じゃないの?)


⑥田原総一朗が司会を務める朝ナマは小林よしのりや山野車輪といった
 元祖ネトウヨに発言権を与え、メディアへの露出の機会を与えてきたろくでもない番組だが、

⑦古市が目立つようになったきっかけもまさにこの朝ナマへの出演であり、

⑧加えて最近は自民党の稲田朋美のような極右政治家と親交を深め、

⑨「右翼も左翼も僕には響かない」とたそがれながら

⑩思いっきり反自民党の人間を攻撃している。

⑪今はギリギリ20代だから若者という記号を武器にできるけれど
⑫そのうちネタが尽きてきたら本格的に御用学者への道を歩みだすんじゃないだろうか?


ということを当サイトで述べてきた。

その予感は悲しいことに的中したようだ。
以下はリテラに掲載された水井多賀子氏の文章から引用したものである。

-------------------------------------------------------------

党首討論の司会で露骨な安倍首相贔屓をした古市憲寿と読売・橋本五郎に非難殺到!
小沢、岡田攻撃もヒドすぎ


党首討論という公の場で、
橋本氏のような御用ジャーナリストが安倍総裁に代わって
野党を政策とはまったく関係のない話題で口撃し、肝心の政権の失策には目をつむる……。


こんな状態でまともな議論が行われるわけがない。

それは今週日曜日にニコニコ生放送で行われた党首討論も同じだ。
この党首討論では司会を社会学者の古市憲寿氏が務めたが、
そこでも古市氏は橋本氏と同様、くだらない野党攻撃を行っていた。


討論の真っ最中、古市氏は口を開くや否や、小沢代表にこんなことを言い出したのだ。

「僕、できれば小沢さんが再婚相手が見つかったかどうかちょっと訊いてみたいんですけど」

唐突なこの質問に、小沢氏も「え?」と絶句してフリーズ。
「それはきょうのテーマですか?」と冷静に古市氏に問うと、
古市氏は「興味があって。小沢さんが最近どうしているのかなあと思って」と返答した。


政策を問うでもなく、俎上に載せたのが再婚。
さすがにこれには批判が殺到したのか、
討論の最中に古市氏はスタッフに手渡されたお詫びの文面を
「これ俺、読んだほうがいいんですか? この通りに読んだほうがいいの?」などと言って渋々読み上げた。


しかし、古市氏は小沢代表にだけ無用な攻撃を行ったわけではない。
たとえば古市氏は、おおさか維新の会の松井一郎代表や新党改革の荒井広幸代表が
民進党批判を行うと、岡田代表に対して「自民党が攻められるかと思ったら、
岡田さんがさっきからずっと攻められていますよねえ」と発言。


共産党も社民党も同じように与党の政策の問題点を追及していたにもかかわらず、
まるで“与党よりも野党のほうが問題が多い”とミスリードするかのようだった。

その一方で、“質問・回答は30秒で行う”というルールのもとで行われているのに、
安倍首相が「おふたりから質問があったので30秒30秒に」と言い出すと、
古市氏は「じゃあ40秒くらいで」と甘い返答。


だいたい、街頭演説では一切、憲法改正に一言もふれていない安倍首相が、
自分の応援部隊であるネトサポ(自民党ネットサポーターズクラブ)をバックにつけた
ニコニコ生放送であるため大船に乗った気分だったのか、この日は改憲についても言及。


「どの条文が(改正すべきか)っていうことが決まってないんですから、
この選挙においてはどの条文を変えていこうということは議論できないと申し上げている」
などと選挙戦での争点隠しを開き直ったが、こうしたせっかくの議論も、
前述した「小沢再婚発言」のお詫びのせいで腰を折られてしまった。


だが、こうした事態になることは、最初からわかっていたようなものだ。
本サイトでは指摘しつづけているが、古市氏は2014年4月に
「第2期クールジャパン推進会議」の委員に選ばれたことを機に、
当時担当大臣の稲田朋美と急接近、昨年秋には稲田政調会長が仕切る自民党の勉強会
「歴史を学び未来を考える本部」にもオブザーバーとして起用されるなど、自民党と距離を縮めているのだ。


さらには、安倍政権と接近して以降、古市氏は著作『だから日本はズレている』(新潮社)で、
初出時にあった稲田氏を皮肉った記述を褒め言葉に改ざんしたり、
『誰も戦争を教えてくれなかった』(講談社)という著作の文庫化に際して、
タイトルを変更した上、歴史修正主義に寛容な言葉を付け加えたりと、
明らかに政権に気を使って自分の言論を後退させている。


そのような政権寄りの人物が党首討論の司会を務める。
政権に忖度するNHKが仕切る『日曜討論』も同様だが、その時点でまったくフェアではないのだ。

しかも嘆かわしいことに、
橋本氏のような御用ジャーナリスト、古市氏のような御用学者はごまんといる。

こうした人物がコメンテーターと称して政権を“補佐”し、
安倍政権の欺瞞に満ちた政策の問題点がメディアに取り上げられないまま、
参院選に突入しようとしているのだ。

http://lite-ra.com/2016/06/post-2358.html

---------------------------------------------------------------

まぁ、予想通りの道を進んでいるかなと思う。


正直、私は古市氏自身はどこにでもいる右翼タレントで、さして興味はない。

関心があるのは、そういう人物を上野千鶴子や加藤典洋のような
恐らく左翼を自称しているであろう連中がやたらと持ち上げてスターにしてしまったことだ。


SEALDsの奥田氏も最近、自分の顔写真を表紙にした本を
河出書房というちょい左寄りの出版社から出していて、
どこの芸能人だよ」と呆れてしまったのだが、
何というか、左翼がしばしば20代の人間をアイドル化して
市民運動を活性化しようとする行為は、どこか商売くさくて好きになれないし、
赤木智弘氏のようにアイドル活動に失敗して消えた人間も少なくない。


田原総一朗のような人物が右翼の卵を応援するのは当たり前の行為であるが、
一応、左翼を自認しているはずの人間たちまで支援してしまったのは、
現在の日本のリベラル勢力の思想の浅はかさが露見されたように感じてしまうのだ。

実際、ロシア・トゥデイやリビア360やパルス・トゥデイやスプートニクなどの
海外メディアに登場する知識人たちの発言と我が国の主流左翼のそれとを比べると、
ウクライナ問題しかり、中東問題しかり、アジア問題しかり、レベルの差が歴然としている。


つまり、海外の学者や活動家の意見と比べると日本の主流左翼はほぼ右に見えてしまう。



よく選挙に行かない人の言い分として「支持政党がない」というのが挙げられるが、
日本の主流左翼もまた右翼と大差ない姿勢を見せてしまうために
大衆に信用されないという一面はどこかにあるのではないだろうか?


もちろん、そういう連中とは距離をおいて、
別の側面からアプローチをかけている傍流左翼は腐るほどいるのだが、
一般の人間が目にする左翼とは雑誌や新聞やテレビに露出している連中であり、
そうである以上、もう少ししっかりしてくれないと困ってしまう。


奥田氏は、あれだけのデモを敢行したのだから右傾化することはないと信じたいが、
あの古谷経衝氏と対談を設けたりとだんだんタレントくさくなっていて、少々不安になる。


今の論壇は完全にビジネス化しており、
それが日本の主流左翼の右傾化を引き起こす原因の一つだと思うが、
こういった既存のグループと手を切って独自に活動する青年活動家たちが
自然に(第三者に利用される形で宣伝されるのではなく)評価された時、
ようやく日本の右傾化に歯止めがかかるのではないかと思う。

震災5年を経て ~元の木阿弥に戻る文化人たち~

2016-03-11 23:53:03 | マスコミ批判
震災から5年が経ったが、リテラの記事を読む限り、この国のマスコミや知識人は
あれだけ甚大な被害を受けながらも、その保守的な姿勢は一切崩さず今に至るようだ。


フクシマの戦犯・班目春樹元原子力安全委員長が「原発事故は天罰」発言!
現体制にも引き継がれる御用学者の無責任体質


復活した電力会社の原発広告に文化人や芸能人がまたぞろ登場して原発をPR!
500万円の高額ギャラも


リテラも百点満点のメディアではないけれども、
その辺の古臭い大手情報企業(A新聞やM新聞など)と比べればはるかに優れた記事を載せている。

恐らく、リテラのライターはフリーかそれに準じる地位、
仮に正社員であったとしても、その労働条件たるや大手新聞社と比べ遥かに劣ると思われるが、
学歴も経験も遥かに上であろうマスメディアの記者やディレクターより意味のある文章を書く。


私は前々から、日本人の活字離れや政治に対する無関心・右傾化は
本来、彼らを惹きつけなければならないはずの主流左翼の減退が原因だと思っている。



---------------------------------------------------------
そして、第16回(15年7月30日号)のラジオDJなどで活躍するモーリー・ロバートソン、
第17回に前出の勝間ときて、16年に入ると、第18回(16年3月3日号)で評論家の佐藤優が登場する。

佐藤は、専門である外交分野、とりわけ中東情勢を語りつつ、
“天然ガスの大半を中東に依存している日本でエネルギー問題は深刻”
“エネルギーミックスは我が国のとるべき唯一の戦略”などと強引に原発推進へ話を持っていく。

さらに、青森県六ヶ所村の核燃料サイクルを視察して
「強く感じたのは働く人たちの道徳心と士気の高さです」なる“根性論”を理由に
“六ヶ所村施設の存在そのものが、日本が国際社会から信頼を得ている証明”などと語っている。

ちなみに、佐藤に関しては、つい先日も
青森県の地方紙・東奥日報3月2日付の電事連全面広告に出演しており、
やはり“核燃料サイクルは日本に不可欠”と力説している。

http://lite-ra.com/2016/03/post-2054_3.html
---------------------------------------------------------

佐藤優は、創価学会の傘下にある出版社から公明党や池田大作をベタ誉めする本を出している。

『「池田大作 大学講演」を読み解く 世界宗教の条件 』

『 地球時代の哲学 』


「本書の狙いは、二十一世紀にわれわれが生き残っていくための生きた、
 ほんものの思想を創価学会名誉会長で、創価学会インタナショナル会長の
 池田大作氏のテキストから虚心坦懐に学ぶことである。」(本文より)


・・・らしい。


いくら大金を頂いているからといって、
自民党の腰ぎんちゃくに成り下がっている公明党やカルト宗教団体の創価学会を
ここまで持ち上げられるのは、そう出来たものではない。ある意味、拍手に値する。


私が抱く佐藤優の印象は、鈴木宗男とつるんでロシア絡みの利権を貪って逮捕されたところ、
これをうまく利用して権力者に弾圧された無実の男という虚構を演出し、
以降、反権力の志士として主流左翼らに崇められるようになったといったもので、
パートナーの池上彰に負けず劣らずの合法詐欺師だと思っている。


原発に限らず、佐藤は池田大作や亀山郁夫にゴマを擦って、
宗教やドストエフスキーに対する誤った知識を拡散している。

極めつけは次の本ではないだろうか?

猛毒国家に囲まれた日本―ロシア・中国・北朝鮮


佐藤は外務省にいた頃、ロシアで向こうの役人と一緒に仕事をしていたはずなのだが、
昔、自分が世話になった国を猛毒国家と呼ぶあたり、さすがだと思う。これは佐藤にしか出来まい。

共著者の宮崎正弘は
『日本に惨敗し ついに終わる中国と韓国』とか
『世界が仰天する中国人の野蛮』とか『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』とか、
まぁ、典型的な極右のアジテーターなのだが、彼と一緒に仲良く本を書いてしまうあたり、
どういう人物なのかは、彼を知らない人間にも大体想像がつくのではないだろうか?


こういう人物が岩波書店や週刊金曜日をはじめとする左派系雑誌で引っ張りだこになり、
今でも定期的に論説を載せている。日本の左派系論壇は壊滅的だと私は思う。



この国の主流左翼は、北朝鮮や中国、ロシア、シリアなどの
アメリカの敵国に対する姿勢が震災の前後で全く変わらなかった。


北朝鮮や中国、ロシアは相変わらず憎むべき国であり、
これを包囲するための軍備拡張の動きに対して、Noと言いながらGoサインを送っている。


-------------------------------------------------------------
中国外務省の洪磊(ホン・レイ)報道官は7日、
中国は米韓合同軍事演習に重大な懸念を持っていると発表した。


報道官は、次のように述べた-

北朝鮮は演習に激しく反応した。
 中国も(米国と韓国の)軍事演習に重大な懸念を持っている。
 中国は朝鮮半島と地理的に非常に近い。


報道官はまた、中国の国境付近に問題を生じさせるいかなる行動も認めないと述べた。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/asia/20160307/1739935.html#ixzz42brEqNyh

-------------------------------------------------------------

中国やロシアは朝鮮半島の緊張状態に対して、
元凶はアメリカと韓国にあるというスタンスを取っている。


その上で六ヶ国協議に戻るよう進言し、北朝鮮にも過激な反応を自粛するように求めている。
日本のメディアは後半の部分だけを強調し、「ロシアや中国も批判している!」と説明するが、
朝鮮半島において北朝鮮、ロシア、中国を封じ込めようとするアメリカの動きは、
沖縄の基地化や被害者不在の慰安婦問題の妥結の動きと直結していることには触れようとはしない。


問題は、ほとんどの左翼も似たり寄ったりだということだ。
『猛毒国家に囲まれた日本―ロシア・中国・北朝鮮』などというヘイト本を書く人間が
持てはやされるのは、つまるところ、右翼も左翼も偏見を抱いているからではないだろうか?


ロシアは悪だ、中国は悪だ、北朝鮮は悪だ。
こういう認識を前提に右は軍拡を、左は民主化を主張する。

プロセスが違うだけで目指すゴールは同じ地点にあると私は思う。

嘘だと思うなら、米韓合同軍事演習に対する左翼の反応を見てみるといい。
米韓軍事合同演習は10年以上前から、その性質は北朝鮮の先制攻撃を狙った脅迫的なものであり、
これが如何に北朝鮮を刺激し、核開発へと急がせてきたかは言うまでもないのだが、
この5年で、主流左翼が一度でもアメリカに向けて大々的に、
「合同軍事演習をやめて北朝鮮と平和条約を結べ」と
 声明を送っただろうか?


私の知る限り、
「北朝鮮は核開発やミサイル実験などの挑発行為をやめろ」と言った趣旨の声明はあったが、
その逆はなかったように記憶している。そこには挑発しているのはアメリカの方だという認識がない。

これは中国やロシアのそれと比べて決定的な違いだと思う。
ロシアや中国にもアメリカ寄りの意見をする学者もいるが、日本ほど一色に染まってはいない。


一見、日本は言論の自由があるように見えるが、その実、
意見の多様性を思えば、ロシアや中国のほうがあるとさえ思えてくる。

そう思わせるほど、日本の主流左翼の姿勢は右翼と大差ない。


このような左翼の右傾化こそが現在の日本において、
左翼が右翼の闊歩を許す最大の構造的かつ致命的な弱点だと思うのだが、
去年は戦後70年にちなんで多くの本が売られたにも関わらず、この点の言及はされなかった。


今のところ、原発推進の支持者の多くは極右思想の持ち主だが、
同じく推進者である池上彰や佐藤優を重用する左派系論壇の現状を思うと、
あと10年もしないうちに、ほとんどの左翼が少しずつ立ち位置を修正するか、
あるいは原発恐怖症に堕するかのどちらかになるのではないかと私は考えている。

つまり、原発や核に手をつける国を軒並み罵倒し、否定し、
その背景にある国際事情や国内のエネルギー問題を全く無視し、
結果的にアメリカをはじめとする侵略国に都合のよい行動を取るのではないかと思う。

現に、北朝鮮やイランに限って言えば、核を持つか持たないかだけが異常に気にされる一方で、
両国がアメリカや属国から受けている被害については、一切考慮されていない。

こういうアメリカの敵国の悪魔化は結局のところ、
現在の侵略者に対するささやかなエールとなるだろう。


日本の制裁は正しい。アメリカの反応は正しい。
イランや中国、北朝鮮が間違っているのだ。でも戦争は駄目です。

こういう平和主義が、一体、何の役に立つというのだろう?
国際政治の緊張に伴ってズルズルと後退し、やがて消えていくのは目に見えている。


私が震災の報道についても、あまり素直に喜べないのも「日本人の物語」になっていて、
あまり本質的な問題について語っていないように感じるからだ(一番マシだったのがリテラの記事)


一国中心主義から脱却して世界中心主義へと転換すること。
「日本人」ではなく、「人間」として物事を考えていくこと。

震災を日本人の物語ではなく、世界の悲劇として伝えていくこと。
これが今後の左翼に必要とされるアクションだと思われる。

軽減税率を巡る朝日新聞の詐欺的な解説

2015-12-12 00:28:35 | マスコミ批判
今朝の朝日新聞の記事によると、食品全般を減税の対象にすることに決まったそうだ。

当初、自民党は生鮮食品(青果、畜産、水産)のみを対象にするつもりだったらしい。
正気かという話だが、これを素でやるのが自民党。

ここで気になるのが、この問題を巡る各メディアの報道姿勢である。

例えば、朝日は社説で「軽減税率導入 社会保障を忘れるな」と書いているが、
実は朝日新聞は少なくとも8年前から消費税増税を主張してきた新聞だった。

その時も次のような社説を書いていた。

---------------------------------------------------
将来を見通せば、増税による負担増は避けられない。
そう覚悟を決め、あえて大胆に発想を転換しないことには、
社会保障の基盤を固めて希望社会への道筋を描いていくことはできないだろう。

     *

では、その負担増をどの税金でおこなうか。
それはやはり消費税を中心にせざるを得ない、と私たちは考える。


消費税は国民が広く負担する税金だ。
国民みんなが互いの生活を支え合う社会保障の財源に適している。



また、少子高齢化が進むにつれ、所得を稼ぐ現役世代は減っていくので、
現役にばかり負担を負わせるわけにはいかない。

一方で、所得の少ない高齢者のなかにも、現役時代の蓄積で豊かな層がある。
こうした人々にも、消費する金額に応じて
福祉の財源を負担してもらうことは理にかなっている。


所得税や法人税の税収が景気によって大きく変動するのにくらべ、
消費税収は安定しているため、福祉の財源に適しているともいわれている。


安心の財源は消費税を中心にと考えるのは、以上の理由からだ。

http://www.asahi.com/shimbun/teigen/teigen07.html
---------------------------------------------------

この文章は、2007年に書かれたものだが、少し考えてみても、
高齢者は若年層と比較して医療費や介護費がかさむことは容易に想像できるし、
低所得者に重い負担を強いる消費税が社会保障の財源に適しているとも思えない。

2013年10月には次の社説を載せている。


--------------------------------------------------------
安倍首相が、消費税の増税を決めた。5%の税率は来年4月から8%に上がる。

97年4月に3%から5%になって以来、17年ぶりの消費増税だ。
これまでは所得税などの減税とセットだったが、今回はない。
金額にして8兆円余り。わが国の税制改革史上、例のない大型増税である。
家計への負担は大きい。それでも、消費増税はやむをえないと考える。

借金漬けの財政を少しでも改善し、
社会保障を持続可能なものにすることは、待ったなしの課題だからだ。

「社会保障と税の一体改革」という原点に立ち返ろう。

国債を中心とする国の借金の総額は国内総生産(GDP)の約2倍、1千兆円を突破した。
今年度の一般会計では、新たな国債発行が40兆円を超え、予算の半分近くに及ぶ。

最大の原因は、高齢化に伴う社会保障費の伸びだ。
医療や年金、介護の財源は、保険料や窓口負担だけでは足りない。
国や自治体が多額の予算を投じており、国の社会保障費は年に1兆円ほど膨らみ続ける。

将来の世代に借金のツケを回しながら、今の世代の社会保障をやりくりする――。
こんなことをいつまでも続けられるはずがない。
社会保障を安定させ、財政の危機を未然に防ぐには、
今を生きる私たちがもっと負担するしかない。

では数多い税金のうち、なぜ消費税なのか。

社会保障による給付は高齢者向けが中心だ。
お年寄りの割合は上がり続けており、
所得税など働く世代の負担だけに頼るわけにはいかない。


しかも、現役組は賃金が増えないなか、子育てや教育、住宅など多くの負担を抱える。
支援を強化しないと、人口減少に拍車がかかりかねない。

こうした点を考えれば、国民が幅広く負担し、
税収も安定している消費税が、社会保障の財源に最もふさわしい。

http://d.hatena.ne.jp/oguogu/20131002/1380716457
---------------------------------------------------------

これに対して、私は以前、次のように反論した。


「この理論には明らかな嘘が含まれている。

 まず、所得税は所得に応じた税であり、
 勤労世代のみならず、年金世代もその年金額に応じて負担を負っている。


 次に、消費税は企業が獲得した利益から政府に対して支払う付加価値税であり、
 直接には消費者が支払っているわけではない。そのため、売上が赤字である
 中小企業(日本の全企業の7割に相当する)にとって重税となるのだ。

 国民が負担を負うというのは部分的な説明であり、
 肝心の中小企業への更なる負担という面は無視されている。


 最後に、小泉政権以降、福祉費は削減の傾向をたどっており、
 増税しても、公共事業や軍需産業に使われるのが関の山だ。
 福祉のために消費税が使われる保証などどこにもないのである。

どうせ増やしても福祉費には当てられず、軍拡と箱モノに充てられる。
残念ながら、この予言は2ヵ月後に的中した。

--------------------------------------------------------
来年4月に消費税率を5%から8%に引き上げて国民から約8兆円もの所得を奪っておきながら、
その増えた分の財源をつぎ込む対象は、もっぱら軍事費と公共事業費ばかりです。

対照的に福祉・教育予算は国民に痛みを強いる内容がぎっしりです。

14年度予算案は過去最大の95兆8823億円、
先に閣議決定した13年度補正予算案とあわせると101兆円以上にも達します。

今回の税率引き上げによって初めて消費税収が所得税収を上回りました。
法人税収の1・5倍の規模です。所得の低い人ほど打撃となる逆進性の
強い消費税頼みの異常な税収構造が鮮明です。

重大なのは消費税増税で拡大した財源を、
安倍政権の「暴走政治」を加速させる政策分野に最優先で投じていることです。


典型は軍事費の2年連続増です。伸び率も昨年度を超える2・8%増です。
今月中旬に一挙に閣議決定した「国家安全保障戦略」
「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」がさっそく具体化されています。
上陸作戦機能を向上させる水陸両用部隊新設などに約35億円投じます。
新型輸送機オスプレイや無人偵察機の導入のための調査費約3億円も新規につけました。
「海外で戦争できる国」へ向けた装備や部隊の増強です。
北東アジアの緊張を高め、平和に逆行する暴挙は中止すべきです。

公共事業費の2年連続増加も、先の国会で成立した「国土強靭(きょうじん)化法」を受けたものです。
「国際競争力強化」を名目の3大都市圏環状道路建設など大企業向けが顕著です。
国民と国の財政に重いツケを残す愚挙でしかない不要不急の大型開発事業は根本から改めるべきです。


消費税増税で「充実」させるはずの社会保障分野は、削減と抑制を列挙しました。
命と健康を守る医療に必要な診療報酬は、実質マイナスに転換しました。
「医療崩壊」をもたらす危険につながるものです。

歴代政権が見送ってきた70~74歳の医療費窓口負担2割への引き上げも実行します。
13年度から始まった生活保護費3年連続削減、年金の3年連続2・5%カットなども続行します。


「自己責任」を迫る社会保障大改悪を容赦なく推進することは国民の願いに真っ向から反します。
復興特別法人税廃止をいち早く決めるなど大企業に大盤振る舞いをする一方、
消費税増税やアベノミクスによる物価高騰で苦しむ国民の暮らしを支える視点が
まったくない安倍政権の危険性は明らかです。暴走にストップをかけるたたかいがいよいよ重要です。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-25/2013122501_05_1.html
--------------------------------------------------------

当然、福祉のために増税せよと主張した朝日新聞は、
軍事費拡張、福祉費削減について徹底して非難すべきなのだが、なぜか行っていない。

代わりにこういう社説を載せている。

--------------------------------------------------------
2017年4月に予定される10%への消費増税をにらみ、
食料品などの税率を現行の8%にとどめる軽減税率の導入について、
政府・与党が本格的に検討を始めた。

消費税には所得が少ない人ほど負担が重くなる「逆進性」があり、その対策という位置づけである。

欧州の多くの国が導入している軽減税率は、
わかりやすいうえ、対象品目を購入する際の負担感がやわらぐという長所がある。
しかし、裕福な人も恩恵を受けるうえ、対象の線引きが難しく、税収の目減り分が膨らみやすい。

その危うさと日本の財政難の深刻さを考えれば、
軽減税率は欧州各国のように基本税率が10%を上回るようになった時に検討することにし、
当面は支援が必要な人への給付で対応するべきだ。社説ではそう主張してきた。


首相官邸は軽減税率へかじを切った。
連立政権を組み、欧州型の軽減税率にこだわってきた公明党への政治的配慮からだ。
慎重姿勢を崩さない自民党税制調査会長を交代させるという荒療治を施し、
消費税の一部を後で消費者に還付するという財務省案も一蹴した。

消費税率が二本立てになれば、取引ごとに適用税率や税額を記したインボイス(明細書)が
不可欠とされる。中小事業者を中心に事務負担を嫌う経済界はインボイスに反対している。

そうした実務上の問題を含め、課題は山積している。

政府・与党に忘れないでもらいたいのは、なぜ消費増税を決めたのかということだ。

国の借金は1千兆円を超えた。
高齢化に揺らぐ社会保障を支え、出産・子育て支援にも取り組んでいく。
その財源には、将来世代へのつけ回しである国債発行ではなく、
全ての世代が広く薄く支払う消費税を充てる。これが「税と社会保障の一体改革」だったはずだ。

当面の焦点は、何に軽減税率を適用するかである。

飲食料品を中心に検討が進みそうだが、対象が精米だけなら
税収の目減りは400億円の一方、外食を含め酒を除くすべてだと1兆3千億円を超える。

消費税率10%時には年金の受給資格期間を短縮するなど、増税分の使途は決定済みだ。
軽減の対象を広げるなら財源の穴埋め策を考えなければならない。


どんな答えを出すのか。政府・与党は、来年の参院選をにらんだ目先の思惑にとらわれず、
一体改革の精神を踏まえて判断するべきである。
--------------------------------------------------------

要するに、軽減税率を導入するなと言っているのである。


先述したように、所得税は年金生活者を含む全国民から徴収するものであり、
それも、所得に応じて金額が決定される累進課税システムを採用している。

これは所得の再分配(低所得者の負担分を高所得者が補う)にかなったもので、
皆の助け合いを言うならば、高額所得者の所得税を上げろと言うべきだ。

だが、さらに言えば、過去の統計を見ると、消費税の増税は法人税の減税とリンクしている。
つまり、法人税の減税で減った分を消費税の増税で補っている。

しかもこれ(法人税減税)は経団連などの財界の要求に応じたものであり、
これだけを見ても、消費税増税が平等意識などというものから芽生えたものではなく、
一部の特権階級の要求を満たすための埋め合わせとして利用されているのは明白である。
これに朝日が言及しないのは凄まじい欺瞞であるように私は感じる。


ちなみに、法人税は赤字経営の企業に対しては免除されるが、
消費税の場合は赤字であろうと必ず支払わなければならない


これもまた、金のないところからさらに金をむしり取ろうとする
極めて不公平なもので、福祉もへったくれもないことがわかるだろう。

そもそも、政府は当初、「生活必需品」を軽減税率の対象とすると話していたはずだ。

当然、食費だけでなく、ガス・水道・衣服・医薬品・化粧品・洗剤、
石油等々のかなり広域にわたる他の商品も対象とすべきなのである。

朝日は「食品だけ対象外にして、譲歩したポーズを取るのは何事か」と本来なら怒るべきなのに、
逆に「軽減税率を採用したら財源をどうするのだ!」と逆の意味で怒っている。

ここでとても素敵なお話をしよう。
実は新聞は増税の対象外になっているのだ。

朝日、読売、日経が「新聞に軽減税率」決定を書かない理由…
消費増税主張しながら自分達は政権と取引する卑劣


前述したように、消費税は最終的には企業が国に向けて支払うものである。

つまり、我々の生活費にかかる負担が増えても、
朝日新聞社は今までと同じ分の税を国に払うことになっている。

(今後、法人税が減税されれば、朝日は今よりも楽になるかもしれない。
 もっとも、法人税は黒字経営の企業にのみ課せられるので朝日の業績次第によるが)

赤字企業の経営や低所得者の暮らしが苦しくなっても、
朝日新聞にかかる負担は今までと何ら変わらないことを書かない。

「軽減の対象を広げるなら財源の穴埋め策を考えなければならない」と書いておきながら
「未購読者も増える現代で新聞は生活必需品とは言いがたい。対象から外すべきだ」とは書かない。


これが日本のリーディング・ペーパー。日本の行く末を案じているらしい連中のありのままの姿。
右翼は、慰安婦問題がどうのこうのより、こういう点を攻撃したほうが良いと思う。


朝日の言い分は「福祉費に充てるために消費税の税率を上げよ」だったはずだが、
実際には、軍事費や公共事業費に多くが使われ、逆に福祉・教育の予算は減っている。

当然、朝日は消費税増税の必要性を力説した自らの責任を取り、
直ちに軍事費を削減し、その分を福祉に充てよと与党を非難すべきなのだ。


それなのに言葉ばかりの「初心を思い出せ!」である。
3%も上げておきながら負担だけ増えた現実を少しも非難せず、
あいも変わらず、「上げろ!上げろ!軽減税率?財源はどうする!」だ。ふざけているのか。
初心に帰るべきなのは朝日新聞ではないのか?

新聞を取らなくても平気な人間など五万といる。生活必需品ではない。
いい加減、新聞社が国民に必要とされているといった下らない妄想から醒めて、
朝日は自分たちも国民と共に増税の負担を背負うことを覚悟してもらいたい。
真に国の未来を案じているのであれば、新聞を軽減税率の対象から外せと叫ぶべきだ。

私は前々から朝日など左翼でもなんでもないと主張していた。
(逆を言えば、朝日=左翼と攻撃している連中が如何に新聞を読んでいないかということでもある)

申し訳程度の反対意見だけ唱えて逃げ道を用意するメディアは、
ある意味、産経や読売のようなストレートに政府に加担するそれよりも一層、性質が悪い。


・追記

共産党の志井委員長は次のようにコメントしている。

「軽減税率というと、あたかも税負担が軽減されるかのような錯覚を呼び起こすが、
 検討されているのは2%の増税でだいたい5兆4千億円。
 そのうち1兆円を軽減しても4・4兆円もの大増税だ
 
 軽減税率という名で大増税という毒薬を
 オブラートに包んで無理やり飲み込ませるようなものだ。


 また、現行の8%から10%となった場合、逆進性は強まるのだから
 逆進性の緩和にもならない。だから理念のない選挙目当ての党利党略の手法だといえる。」

全くもって、その通りとしか言いようがない。
大体、8%の消費税を5%に戻すというわけではなく、8%を10%に上げる話である。
今よりも国の収入が減るわけではないのに「減った分の金をどうすんだよ」と語るのはおかしい。

池上彰、平壌に行く

2015-10-11 00:16:47 | マスコミ批判
たまたま見てしまった今日(10月10日)の池上彰氏の番組。
(といっても、最初の数分間でチャンネルを変えたが)


平壌の学校(幼稚園?)に取材した時の映像が流されていた。
あれだけいい加減な発言をしている池上氏に訪朝の経験があるとは意外。

とはいえ、そこは、わざわざガザ地区(パレスチナ)までいって
「役所に日本に感謝する紙が貼られてました」とレポートする池上彰だ。

現場に行った人間が正しい意見を持つとは限らないという命題を
彼ほどわかりやすく、かつ説得力のある映像をもって証明する人物もいまい。


問題の映像は、恐らく生物の授業の一環なのだろうが、
平壌の園児が他の児童になぞなぞをかけ、それを別の園児が答え、
正解したら全員で拍手して褒めあうというものだった。池上も園児からなぞなぞをかけられ、
フクロウの彫り物を選び、園児たちから拍手をもらっていた。

ここまでなら別にどうということはないが、
問題はこの後の池上の発言で、学校から去った後、
園児たちのいない所で「よく訓練されていますね」と述べたことだ。


その後の映像で、金正恩が各地を視察しに行くと、
現場の人間が金正恩のもとにかけより握手を求めるという映像が流れ、
彼らは幼少期から訓練を受けている」という説明がされていた。

この映像のタイトルは「北朝鮮は徹底した教育を行っている」とのことだが、
実際には「北朝鮮は徹底した洗脳を行っている」とでも言いたげな映像だった

むしろ私は、園児の前ではニコニコ顔で愛想を振りまいて遊んでいたのに、
いざ取材が終わると無表情で「訓練されてますね」と履き捨てるように語る
池上の二重人格的な面のほうが洗脳を受けているようで怖かったのだが(汗

あー、こいつは腹の中では、取材に応じてくれた平壌の学校や教師や生徒に対して
そういう気持ちで見ていたのだな、何か気味の悪いものを観るような感覚だったのだなと。

そういう負の感情を一切、表に出さずに、さも理解のある態度を見せるのは
詐欺師の専売特許だと思っていたが、どうも一流ジャーナリストにも当てはまるらしい。


現場でしか目に見えないものがあるということは確かにある。

先日の移民排斥、コソヴォ問題の記事を例に挙げれば、
スコット・タイラーという人物が『アメリカの正義の裏側』という本を書いている。

この本はNATOがセルビアを占領するために、現地の武装組織を秘密裏に支援したこと、
その武装組織がマケドニアでも活動を始めると、一転して危険組織とみなし攻撃したことを
暴露したもので、イスラム国に対するNATOの行いをみれば、現代的な意味のある本だと言える。

同書のように現場にいなければ書けないものは確実に存在するのだが、
初めからこき下ろすことを前提に訪れ、向こうの歓待を悪用し、
取材に応じてくれた人間を見世物のようにして視聴率稼ぎのために利用する
卑劣な行いをしていては、見えるものも見えないだろう。

こういう取材ばかりをしているのならば、
確かに池上が世界各国を取材しているにも関わらず、
バイアスのかかった的外れな解説ばかりするのは当然の帰結だと思う。

池上彰を斬る!「読売、産経より池上が問題」

2015-09-14 00:18:39 | マスコミ批判
元朝日新聞記者である本多勝一氏はマスコミの中立病を以下のように批判している。




どちらも「ファッショ」

東京都知事選の最中に書かれたある大新聞の次のコラムを見ていただきたい。


 ▼東京都知事選の投票を前に、
  みのべ、石原両陣営の「ファッショ論争」がエスカレートしてきた。
  双方、相手がファッショだと言い張っている。

  ファッショはよくない、とだれでも思っている。
  だから、ファッショ、ファッショとやり合うわけだろうが、その中身は分からない。
  言葉だけが宇宙遊泳のように、跳んだりはねたりしている。

 ▼たとえば石原さんは「権力を持ったことのない私が、ファッショであるはずがない」
  という。これは史実に反する。日本のファシズム運動は、権力を持たなかっただけでなく、
  権力に弾圧された。軍や官僚は急進ファシズムを押さえながら、これを利用したり、
  これと結託して、ファシズム国家を作り上げるのである。

 ▼一方のみのべさんは「東京をファッショの手に渡すな」と叫んでいる。
  その荒っぽさは、かつて「都庁に赤旗を立てさせるな」といった自民党と変わりがない。
  
  古典的に言えば、ファシズムとは人権や議会制の否定、対外侵略、戦争賛美などを
  要素にしている。つまり石原さんがそういう人だ、と主張しているのだろうか。
  それとも、現代のファッショに、他のどういう意味を持たせようとしているのだろうか
 
 ▼こうしたレッテル張りの競争より、
  石原さんには、核についての意見を正直にのべてほしい。
  みのべさんからは、赤字都政についての素直な見解を伺いたい。

  そのほうが有権者の参考になる。「ファシズム」のむずかしい定義は知らないが、
  ふん囲気がファッショ的だと思うときには、特徴がある


 ▼第一に、世の中、大変だ、大変だ、と絶えず緊張感をあおること。
  第二に、内容のとぼしくあいまいな言葉を何度も、何度も、人の耳にふきこむこと。
  
  人間の理性より、情緒に訴えたほうが都合がよく、
  手っ取り早いというファシズムの手口がある。そういう選挙戦だとすれば、
  これはファッショ的だ。


この筆者は決して悪意を持って書いているのではない。
個人的にも知っている善良な人だ。

しかしこれはいったい、どうしろと言っているのだろう。
美濃部氏と石原氏を完全無欠に同列に論じ、ケンカ両成敗にし、
たして二で割り、まさに「公平」に書いている。


私から見ると、石原氏は申し分なくファッショ的体質だ。
美濃部氏について、もちろん私も不満を抱いている。

この人にはイデオロギーとは別次元で問題があるようだ。
しかし、石原氏と「ファッショ度」を比較するような馬鹿げた考えは持たない。

都民は選択をせまられているのだ。
理想ピッタリの人が立候補していないのであれば、少なくとも「より良い」方を選ぶよりほかはない。

ところがこのコラムは、どっちもどっちとして「公平」に論じてしまう。
無知だったり白紙だったりして見当もつかぬ人が読めば、
二人とも同列の困り者でしかないではないか。


実はこの手口は、この筆者にむろんその気はないのだろうが、
大新聞が政権の反動化に奉仕するとき最も普通に使ってきた方法である

よく私はいうのだが、日中戦争は日本の中国侵略だ、と今書いても
ちっとも「偏向」していないけれども、30年前の8月15日までは、
こんな記事を書いても決して日の目を見ることなくボツにされた。

なんとか日の目を見させるためには、反対の記事も同列に出して、
せめて「公平」に扱うほかはなかった。こういうことをしていれば、反動政権も安心している。

殺す側と殺される側を「公平」に扱い、
強姦者と強姦される側、加害者と被害者を「公平」に扱う。


良いこと(プラス)と悪いこと(マイナス)をたして二で割り、ゼロにする。
この作業を新聞や放送がつづけているかぎり、反動側は喜んでいるだろう。

(むろんそれは、多様な事実や意見を反映させるべきこととは別次元の問題だ。)

もし反動が5のことを実行しようと思えば、10といえばいい。反・反動の側はゼロという。
そうすると新聞は双方を「公平」にたして二で割り、5と書いてくれるのだ。


青嵐会というファシスト集団の幹事として血判を押すコワイ人・石原氏は、
知事選で敗退したとはいえ、230万というかなりの票をとった。

自民党反動政権は、このタマを今後も必ず利用するであろう。
そして、これだけの票を集めるために大いに力を貸したのが、
右のようなコラムに象徴される大新聞や雑誌の「公平」なキャンペーンである。

こんなことなら、せめて何も書かない方がいい。
となれば、まさにこのような新聞こそが
「これはファッショを助けるものだ」と結論せざるを得なくなる。

~本多勝一「事実の料理法と報道の関係」『事実とは何か』(朝日文庫、1984年)より抜粋~」





ガキの下ネタで例えれば、
中立な報道とは、カレーと大便、どちらを食べるか選ばざるを得ない状況で、
カレー味の大便と大便味のカレー、どちらを食べるかと尋ねるようなものだ

しかも、この場合、実際にはカレーはカレーの味、大便は大便の味がするのだ


上の本多氏の文章は1975年に書かれたものだが、40年経ち、
中立病患者が聖人扱いされるファッショな現代でこそ読まれるべきものであろう。



------------------------------------------------------
安保法制に関する報道では毎日のように
“安倍首相の代弁”を垂れ流し、国民からすっかり呆れられているNHK。

肝心なときに国会中継をせず、安倍首相のヤジを「自席発言」と言い換える……。

これはあからさまな安倍政権へのすり寄りだが、
そうしたNHKへの反発と同様に起こっているのが、読売新聞、産経新聞への批判だ。
読売・産経が保守的なのは以前からだが、最近の報道はいくらなんでも異常過ぎる、と──。


しかも、そうした批判の声は購読者のみならず、識者からも相次いでいる。
その急先鋒が、ご存じ、池上彰氏だ。


http://lite-ra.com/2015/09/post-1480.html
------------------------------------------------------








いい加減にしろと言わざるを得ない。


まず、問題の池上氏の評論を読むと、まさに本多氏が非難する
プラスとマイナスをたして二で割りゼロにする論法を絶賛している。


「朝日の論調に真っ向から反対する人にも話を聞くようになりましたね。
 安保法制論議でも賛成・反対両方の意見を載せている。
 朝日の報道に物申すというような、有識者による検討会議もできました。
 朝日自身でだいぶ自浄作用を働かせたんじゃないかと思いますね。」


安保法案が日米同盟を強化し、アメリカの戦争に参戦するためのものであることは
幾万の抗議者によって何度も何度も繰り返し繰り返し主張されていることだ。


------------------------------------------------------------
安倍政権が「72年見解」の「結論」部分だけを変えて
集団的自衛権の行使を「合憲」とした最大の口実は、「安全保障環境の根本的変容」でした。

しかし、衆院で6月10日、宮本徹議員が
「他国に対する武力攻撃で安保法案のような『存立危機事態』に陥った国が一つでもあるか」
と追及したのに対し、岸田文雄外相は答弁不能になり、
1週間後「実例をあげるのは難しい」と答えました

参院では、政府があげた集団的自衛権行使の事例が総崩れしました。

まず、イランを想定した「ホルムズ海峡の機雷掃海」です。
7月14日にイランと欧米6カ国との核合意が結ばれ、
イランによる同海峡の機雷封鎖の非現実性がいっそう明らかになったからです。

首相自身、7月27日の参院本会議で
「そもそも特定の国(による封鎖)がホルムズ海峡に
 機雷を敷設することを想定しているわけではない」と述べ、
 以降「ホルムズ海峡」という地名を挙げられなくなりました。

「日本人の命を守る」ためとして、
 集団的自衛権行使容認の最大の口実としてきた「邦人輸送中の米艦防護」の事例も、
 中谷元・防衛相が「日本人が乗っていることは絶対条件ではない」と答弁し、
 立法事実(法案の必要性)を覆しました。(8月26日、参院安保特)


~中略~

8月11日の安保特で小池氏が暴露した自衛隊統幕文書により、
南スーダンPKOに派兵される部隊が、来年3月から法案に基づき、
「宿営地の共同防衛」や「駆けつけ警護」などを行うことが明らかになりました。

これは、同じPKOに参加する他国部隊の戦闘に「加勢」するもの。
自衛隊が海外で戦闘を行う最も現実的な危険となります。


~中略~

法案審議の中で危険性がクローズアップされているのが、「武器等防護」です。

自衛隊が自分たちの武器・弾薬などを防護するために
武器使用できるとの現在の規定(自衛隊法95条2項)を、
米軍など他国軍を「防護」できるように改定しようというものです。

改定により、地理的な制約はなくなり、
南シナ海を含む地球上のどこでも「防護」が可能となります。

~中略~

さらに、参院で日本共産党の小池晃議員が暴露した自衛隊統幕内部文書では、
「アセット(武器等)防護」に関連して「ROE(交戦規則)の策定」が明記されています。

中谷防衛相は8月21日の参院安保特で、ROE策定を否定しませんでした。
ROEとは、自衛隊がどのような場面でどのように「迎撃」するかという手順を定めたもの。
当然、米軍の基準に合わせることになります。

米軍と自衛隊が「平時」から共同部隊化し、
しかも事実上、米軍の指示で「撃つ」危険があります。


~中略~

「戦争を起こさないための法案だ」。政府は戦争法案についてこう説明します。

しかし、審議すればするほど、米国が起こす戦争に
いつでも、世界中どこでも「切れ目なく」支援する、
究極の対米従属法案としての本質が顕著になってきました。


それをはっきりと示したのが、日本共産党が参院安保特で暴露した二つの内部文書です。

小池晃議員が8月11日に暴露した自衛隊内部文書は、
国会審議開始前の5月下旬に作成されたにもかかわらず、
法案の「8月成立」を前提に統合幕僚監部が部隊の運用計画を策定していた
ことを明らかにしました。

しかも同文書は、4月27日に合意された新ガイドライン(日米軍事協力の指針)には、
戦争法案が成立しないと実行できない項目が多数含まれているとしています。

さらに、ガイドラインに明記された「同盟調整メカニズム」には
「軍軍間の調整所」を設置することが検討されていることも判明しました。

新ガイドラインは、従来の「日本周辺」といった地理的な制約を外し、
「日米同盟のグローバル(地球規模)な性質」を強調。文字通り、
自衛隊を地球規模の米軍の戦争に組み込むための“戦争マニュアル”です。

法案は、新ガイドラインの全面的な実行法にほかなりません。


さらに、9月2日に仁比聡平議員が明らかにした内部文書は、
自衛隊トップの河野(かわの)克俊統合幕僚長が昨年12月の訪米時に、
米軍幹部に対して戦争法案の今年夏までの成立を表明していたことや、
昨年11月の沖縄県知事選の結果を無視して
「安倍政権は辺野古新基地を強力に推進する」などと対米公約していたことを暴露。

「制服組の大暴走」だとして、大問題になっています。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-09-06/2015090603_01_0.html
------------------------------------------------------------

以上のように、ウソの説明と秘密裏の軍拡が同時進行していたのだが、
これらの言説と反対意見をあたかも同価値であるかのように語るのは詐欺である。


大便を食えと言われているその時に、大便を食うメリットを説く事に何の意味があるのか?
朝日が「中立」に近づいたのは、権力側に妥協したにすぎないのである。

ところが、池上はこれを「反対者の声にも耳を傾けるようになった」と大はしゃぎする。


カレーはカレー、大便は大便だ。
カレーと大便、どちらかを食えというその時に、
勝手に質問文を書き直すことは許されない。




ところが、池上はそれをやる。

先日、彼はニュース解説番組で
集団的自衛権のメリットとデメリットを説明していたが、
その場合のメリットが上のホルムズ海峡と米艦防護だったのである。


つまり、政府の言い分を無批判にそのまま紹介したわけだ。
普通、ジャーナリストというのは権力者の言い分をチェックし、批判する役目を負うが、
彼の場合、その作業を行わずにポンと承認の印を押してしまう。


「カレーを食うな、大便を食え」という凄まじい選択を強いられているその時に、
「うんこ味のカレーとカレー味のうんこ、どちらを食べますか」と言いなおす。

後者を自発的に選ぶ人間が増えるように誘導する。
これがジャーナリズムだろうか?


そもそも、紹介された記事にしても池上は末文で次のように応えている。

--------------------------------------------
──現場は取材したにせよ、最終的にほとんど報じなかったというのは、
放送法で課された公正中立どころか、偏向してはいませんか?


いや、偏向っていうか、明らかにおかしいでしょ。おかしいですよ、そりゃ(笑)。
それがテレビに課された「事実を曲げない」の範囲内かどうかといえば、
事実は一応報じてるわけだし、いい悪いではなく、事実を曲げてるという批判は難しいですよね。

--------------------------------------------

池上によれば、国会議事堂前のデモを一瞬しか映さない一方で、
政府側の見解を重点的に知らせるNHKの報道は偏向報道ではないらしい。



しかし、一般人の感覚からすれば、これほど偏った報道はない。
では、なぜ池上はNHKの報道をフォローしているのだろうか?


言うまでもない。元社員だからだろう。


冒頭の本多勝一氏は、朝日新聞社に勤めているちょうどその時に、
同紙のコラム「天声人語」を批判する記事を載せた。

翻って池上はNHKを退社してもなお、古巣をかばっている。
これがメディアが「真の愛国者」「100%リベラリズム」と評価する人間なのである。
(前者は佐藤優、後者はリテラによるもの)


リテラがなぜこのような人物を崇拝するのかは知らないが、
結果的にそれは、集団的自衛権にもメリットがあるという神話を権威化することに他ならない。


池上は政府の見解を無批判にそのままファミリーに向けて
ゴールデンタイムの時間帯に反対論と同価値の意見であるかのように報じる男だ。

こういう人間の言葉が正しいように演出することは自分の首を絞めることに他ならないだろう。

東京オリンピック・エンブレム盗作疑惑の結末

2015-09-01 20:40:28 | マスコミ批判
結果的に、佐野研二郎氏の案は使用中止になった。
今後、彼はどうデザイナーとして食っていくのだろう?



リテラの記事によると、最初から佐野氏に描かせることを前提に
佐野氏と審査委員会が合作して現在の案をデザインしたらしい。

東京五輪エンブレム「原案」公開で新疑惑…
佐野研二郎が説明していたコンセプトは嘘だった! 出来レース説も再燃


それって審査する意味があるのか?
という話だが、実際、形だけのコンテストだったのだろう。


ただ、今回の事件、佐野氏があまりにもわかりやすいキャラだったので
同氏にのみ非難の矛先が向けられがちだが、実際、冷静に考えると、
これは審査者側に責任があるだろう。



新国立競技場の件にしても、森喜朗のごり押しがあったようだし、
とにかく、今回のオリンピック、金と権力が蔓延していてあまり綺麗なものではない。



そもそも、今回のオリンピックは開催が決定される前から
「別に税金を大量に投入してまで開く意味が無い」と思う人間が多くいた。



開催を切望していたのは、森に石原慎太郎、そして麻生に安倍と
まー見事に極右政治家ばかりで、開催決定後も彼らが中心となって運営を取り仕切っている。


「トーキョー!」→「ウワァアアアー!!!(狂喜乱舞する安倍一同)」の絵が
面白すぎたのか、いつのまにか国民全員の悲願のようにされている。

反対者の意見を無視して、ごり押しで物事が動くのは安保法案のそれとそっくりだ。


結局、森にしても佐野にしても、普段から自分たちがやっている談合が
オリンピックでも通用すると勘違いしたのだろうが、生憎、地方のハコモノなら
いざ知れず、世界も見守っている巨大プロジェクト。考えが甘かったとしか言いようが無い。


今回の事件、佐野氏に問題があることは言うまでもないが、
それでも彼はいわゆる駒にすぎない存在で、たまたま盗作をしたから
責められただけにすぎない。仮に、佐野氏が盗作をしなければ、
今回の談合は、見逃された可能性は大いにある
(というかほぼ完全にそう)


私としては、悪代官と越後屋、どちらが悪いかと言えば、明らかに前者だと思う。
越後屋が牢に送られても代官が現職を退かない以上、
代わりの越後屋が来るだけだろう。それは問題が解決したとは言えない。


小保方氏の件にも通じるが、いい加減、一人の悪者を成敗して
全て解決したかのような演出をすること、そのパフォーマンスにメディアや
個人のまとめサイトも自発的に協力する風潮は改善すべきではないだろうか?



実際、委員会の発言を読む限り、彼らに反省の色は見えない。


-----------------------------------------------------------
佐野研二郎氏デザインのエンブレムの使用中止に関して、1日夜、
大会組織委員会専務理事・事務総長の武藤敏郎氏が会見を開いた。


取り下げの理由について武藤氏は、
「専門家ではないので、原案が模倣で無いということに対する判断をする立場にはないため、
(武藤氏らの説明を)諒としたが、
一方で一般の国民の理解は得られないのではないかとの懸念については共有できる」とし、

「リエージュの訴訟があったからと誤解されがちだが、
 国民の理解が得られないということに尽きる」
と明言した。

(中略)

佐野氏の説明を受けた永井審査委員長は
「デザイン界の理解としては、9分割されたデザインの基本からも、
(ヤン・チヒョルト展とは)全く違うものであると十分認識できる


佐野さんの言うとおり、オリジナルなものとして理解される」
「一方、佐野さんの説明は専門家の間では十分わかりあえるんだけれども、
残念ながら一般国民にはわかりにくでいすね
と感想を述べたという。

http://blogos.com/article/131457/
---------------------------------------------

つまり、盗作であるとは認めず、国民の理解を得られなかったから中止したということだ。
これは盗作だと認めれば、それを見抜けなかった自分たちの責任が問われるからだろう。


沖縄の米軍基地しかり、安保法案しかり、
この「国民の理解」という言葉ほど腹立たしいものはない。


国民は、これが盗作だと理解したからこそ非難しているのである。
自分たちは正しいのに、それが庶民にはわからんのだという上から目線の発言は
余計に自分たちの度量の狭さを見せるだけだと思うのだが……

なぜ池上彰氏を批判するのか

2015-08-25 00:00:02 | マスコミ批判
ハッキリ言って、池上彰氏とその辺の右翼の言説はさして変わりが無い。

・中国人に欠けているのはモラル
・韓国の裁判所は世論に屈して法律を無視する
・太平洋戦争は自衛戦争
・慰安婦問題は日韓基本条約で解決済み
・東京裁判は勝者の裁き
・靖国神社は戦死した兵士を弔うためのもの



いやはや……
上の言葉はネトウヨの見解だよと言われても誰も気づかないのではないだろうか?



では、なぜ、当サイトでは、わざわざ池上彰氏を集中攻撃してしまうのか?
池上氏にとっては迷惑な話であろうはずなのに?


これはわかりやすく、かつ下品に表現すれば、池上氏の言ってることは
カレー味の糞を「これはカレーの味がするんです。だからカレーなんです」
と言っているようなもの
だからだ。




いや、どんな味がしようとそれはフンだろ!」というツッコミを
 誰かがしてもおかしくないのだが、岩波書店や集英社、その他大手出版社は
「そうですよね!」と言って「カレー」と表記して売りつけている
のが今の状態なわけ。


で、何も知らない一般人がムシャムシャその「カレー」を食っているわけ。


「カレー味の糞」と明記して売りつける業者や食糞を日本人の文化だとか誇りだとか言って
 当然視する連中(つまり右翼)より、悪質な商売方法だと思うのは私だけだろうか?



当然、ここで気になるのが池上氏のカレー論に対して
「その通りや!」と言って、カレーとしてジャンジャン売りつける出版社、
特に岩波書店や慶應義塾大学出版会のような学術出版社の責任である。




連中は一体、何を考えて糞を売るのだろうか?
大手出版社なら利益優先ということもあり、まぁある意味仕方あるまいともフォローできる。

占いやオカルトのようなものまで売っているわけだから、
彼らにとってはグレーゾーンの本を売っているつもりなのかもしれない。


だが、学術出版社には、より強い社会的責任があり、
その本の妥当性をチェックする義務が生じるわけで、彼らに対して甘えは許されない。



実際、通常の学術書は、まず本にしてもらうだけで結構、苦労するものだ。
(大抵は、有名な研究者との面識が必要になったり…おっと)



ところが、池上彰氏や佐藤優氏などのカレー論者に対してはご覧の通りだ。
社内で論争なり対立があったのかもしれないが、これはあまりにも…である。


特に岩波書店は、岩波新書として『従軍慰安婦』や『南京事件』などの
極右に攻撃されている本を売っているが、池上氏の本も岩波新書から売り出している。


これは、高級料理のフルコースの中にカレー味の糞が混じっているようなもので、
普通の料理店なら、問答無用で店を潰されるレベルの失態を犯している。



まぁ、このような失態は大手出版社にも通じるものだ。

とはいえ、彼ら出版社の社会的罪は相当重いものだろうが、
社会的罪というものを言えば、池上氏のそれには遠く及ぶまい。



ネトウヨサイトにせよ、WAC新書にせよ、それは右翼をターゲットにしたものだ。


他方で、池上氏の番組は、
お茶の間の家族をターゲットにしてゴールデン・タイムに放映される。



これもわかりやすく、かつ下品に例えれば、

前者は小便を個人宅の湯船にするようなもので、
後者は小便を銭湯の風呂にするようなものだ。



知らず知らずのうちに小便入りのお湯に浸かっている。

(この場合、前者には「小便湯」という立て札が立てられていると考えて頂きたい。)


これがどれだけ厚顔無恥なことなのか、想像して欲しい。


というわけで、私は数ある右翼論者の中でも、
その影響力や悪質さにおいて、池上氏を特に非難しているのである。


一応、フォローすると、彼の言葉の何もかもが嘘ではない。

むしろ、彼の場合、中途半端と言おうか、
肝心の事実をあえて言わないことで結果的におかしな意見になっていることが多い。


カレー味の糞を、「これはカレー味です」という一方で、
「これは糞です」とは決して言わないと表現すればわかりやすいだろうか?


それは、カレーだと思う人間にとっては彼が左翼に見えるし、
カレーではないと気づく人間にとっては彼が右翼に見えるのである。



で、スーパーの試食コーナーでおばちゃん達がニコニコ顔で
その「カレー」を売り、子どもたちが喜んで食べている以上、
そらアカンやろと声を大にして文句を言うのは、あるべきアクションだと思う。

全く懲りていない池上彰(デタラメだらけの反日論)

2015-08-22 23:47:32 | マスコミ批判
性懲りもなく、また池上彰が反日特集をゴールデンタイムに流していた。

池上によれば、従軍慰安婦問題、強制連行問題で
事実をそのまま語ることが反日行為にあたるらしい。



語る言葉は極右の言い分をそのままコピーしたものばっかり。正直あきれた。



①河野談話について

 池上は河野談話を「慰安婦を強制連行した」ことを認めたと説明し、
 その後、強制連行の証拠が発見できなかったことがわかったと述べたが、

 これ自体が大きな間違いだ。

 河野談話の全文を下に示そう。


「いわゆる従軍慰安婦問題については、政府は、一昨年12月より、調査を進めて来たが、
 今般その結果がまとまったので発表することとした。
 

 今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、
 数多くの慰安婦が存在したことが認められた。

 慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、
 慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、
 旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。

 慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、
 その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、
 更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。


 また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。
 
 なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、
 朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、
 その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。
 
 いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、
 多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。

 政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、
 いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり
 癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。

 また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、
 有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。
 
 われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、
 むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。

 われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、
 このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さない
 という固い決意を改めて表明する。
 
 なお、本問題については、本邦において訴訟が提起されており、
 また、国際的にも関心が寄せられており、政府としても、今後とも、
 民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい。 」

(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/kono.html)


そもそも、河野談話では甘言、つまり誘拐や略取、人身売買等の行為を指して
「強制」と称しているのであって、池上の述べる強制とは意味が違う。


河野氏は次のように語っている。

「本人の意思に反して集められたことを強制性と定義すれば、
 強制性のケースが数多くあったことは明らかだった」

「こうした問題で、そもそも『強制的に連れてこい』と命令して、
『強制的に連れてきました』と報告するだろうか」

「当時の状況を考えてほしい。政治も社会も経済も軍の影響下にあり、今日とは全く違う。
 国会が抵抗しても、軍の決定を押し戻すことはできないぐらい軍は強かった。
 そういう状況下で女性がその大きな力を拒否することができただろうか」


つまり、談話で述べられているのは、いわゆる「広義の強制性」というものだ。
それに対して池上が述べているのは「狭義の強制性」であり、談話を誤読している


しかも東京裁判や米英中のBC級裁の記録などから
強制連行を示す公文書が次々と発見されたことを一言も語っていない。




ちなみに、専門家たちが立ち上げた慰安婦サイトでは次のように述べられている。



---------------------------------------------------------
ブッシュ政権の時に国家安全保障会議上級アジア部長を務めたマイケル・グリーンさんは、
「永田町の政治家達は、次の事を忘れている。
〈慰安婦〉とされた女性達が、強制されたかどうかは関係ない。
 日本以外では誰もその点に関心がない。
 問題は、慰安婦たちが悲惨な目に遭ったと言うことだ」

(『朝日新聞』2007年3月10日)と語っています。



誘拐事件が起きた時、暴力的に連れ去ったか、
騙して連れ去ったか、そんなことは問題になりません。

連れ去った先で監禁拘束すれば、最初の連れ去り方は誰も問題にしません。
どちらの連れ去り方でも刑法上の犯罪としての重さは同じです。

騙して連れて行っただけだから、悪くないのだ、
などと言う者がいれば、みんなから何を愚かなことを言うのだと非難されるだけでしょう。



女性を軍慰安所に監禁し、「性的奉仕」を強制したこと、
国家機関が、そうした制度を作り、女性を集め、運営し、
それを公認したこと、そうしたことこそが大問題なのです。



http://fightforjustice.info/?page_id=2433
--------------------------------------------------------

グリーン氏が述べるように、慰安婦問題で問題なのは、
慰安婦を集めてくることを「命じた」という事実、
慰安婦が自分の意思で拒否することが出来ず拘束された事実であって、
どのように連れてきたかはサブの問題である。


これら専門家間の共通見解に反して、池上は
安倍をはじめとする右翼の主張をそっくりそのまま述べただけ
。これが解説か。



②反日という言葉の恣意的歪曲使用

 今日(2015年8月22日)の池上のニュース番組では、
「反日」と言う言葉が非常に曖昧に使われていた。


例えば、教科書問題に言及することが「反日」になったかと思えば、
番組の後半では単に日本が好きだという感情で「昼は反日、夜は親日」と説明しており、
日本政府に対する反発なのか、日本人に対する反発なのかも曖昧にしている。



要するに、日本と対立すれば反日で、協調すれば親日になるらしい。

池上によれば、戦後の日韓関係は、
軍事独裁政権時は協調、民主化直後は対立、
アジア危機から2012年までは協調、李明博竹島上陸後からは対立になっているそうだ。


ア ホ かと言いたい。

日韓共同でワールドカップを主催した時から、
日本には今で言うネトウヨがウジャウジャいたし、
嫌韓流をはじめ、韓国を攻撃する本は2000年代にいくらでも存在した。


ネットにも韓国を攻撃するネトウヨサイトはいくらでもあった。
池上は2000年代の出来事を忘却しているのだろうか?

韓ドラやK-POPを脳を汚染する毒物として嫌悪している人間は多くいたし、
そういう連中を批判する韓国人だっていくらでもいた。池上は寝てたのだろうか?


そもそも、慰安婦問題や強制連行問題等の日本の戦争犯罪を
教科書に明確に記述するように求めることのどこが反日なのだろうか?


それは「慰安婦などなかった!」「日本の戦争は正しかった!」と思わなければ
到底、頭に思い浮かぶことの無い発想である。



慰安婦たちが日本政府に対して訴えを求めるようになったことを
「皮肉にも」民主化が原因で「反日」(!)になったと説明する池上は頭がおかしい。

彼の理屈に従えば、原爆投下でアメリカを非難する日本人は
アメリカが嫌いな反米主義者ということにされてしまう。



当然だが、原爆投下を批判しつつも日常ではアメリカに好意的な日本人は多くいる。

多くの日本人はロックや映画を楽しみながらも、
アメリカが空襲で多くの民間人を殺害したことは知っている。

「それはそれ、これはこれ」ということだ。

韓国人も同様で、知人の留学生も日本の植民地支配を研究しているが、
私をはじめとする日本人ともフレンドリーに接するし、食事だってする。


歴史認識や領土問題で彼らが非難しているのは「日本政府」の態度であり、
「日本人」そのものではない。当たり前の話なのだが、右翼はその辺りを理解しない。


だから「昼は反日、夜は親日」と言った言葉も池上は簡単に吐ける。

この言葉は、『韓国 反日感情の正体』という本のキャッチコピーなのだが、
同書を執筆した産経新聞記者の黒田勝弘氏は、次のように書いている。


「韓国に長く滞在したり居住する日本人の多くが言うことだが
「韓国でテレビや新聞(近年はこれにネットも加わるが)を見なければ
 こんなに楽しい国はないよねえ」という話がある。

 これは何を意味するかというと、韓国社会では日常的には
 反日を感じさせられることは実はほとんどないということだ。

 メディアにあふれる不愉快な反日さえ知らなければ、
 日常的には反日は無い(?)に等しいのだ。」


当然である。

日本でも新聞、テレビ、ネットを除外すれば、職場や学校で
ひっきりなしに「竹島は日本の固有の領土」「朝鮮人死ね」と言われていないように、
日常では、どこの国でも政治ネタ、差別ネタはあまり出現しないのである。


アメリカ人やフランス人、イギリス人の留学生と話したこともあったが、
このサイトでよく述べる中東・アフリカへの各政府の軍事干渉について
「イギリス人は現地人に謝れー」などとは言っていない。当たり前の話だ。

池上や黒田氏はある国の政府に対して非難を行う人間が、
その国の人間に対してまで暇さえあれば攻撃していると本気で思っているのだろうか?

常識的に考えてありえない話である。



このように日本人に対する民族差別という意味の「反日」と、
大日本帝国の植民地主義・戦争犯罪を認めようとしない日本政府を批判する意味での
「反日」(笑)を混ぜて、あーだこーだ言っているので、おかしなことになっている。


大体、この前の反日特集で、韓国人の誰もが反日であるかのように
捏造VTRを作っておきながら「夜は親日(ドヤァ)」はないだろう。


自分で自分の過去の主張を否定している。
本当に物忘れが激しくなったのかと心配になってくるほどだ。


ついでに言えば、竹島の問題が急に取り上げられるようになったのも、
「竹島の日」なるものを島根県が勝手に設けて日本の領土だと煽ったのがきっかけである。

池上は、反日や親日の原因を韓国国内にのみ求め、
日本政府や日本社会の右傾化について全く触れようとすらしない。


もう一度言う。これが解説か?


③慰安婦問題は解決済み?


 池上の凄まじいところは、産経の記者の言葉を鵜呑みにするだけでなく、
 日韓友好条約で慰安婦問題は解決済みという右翼の見解をそのまま語っていることだ。




「日韓基本条約で「請求権の問題は解決済み」とする安部政権の見解を
 そのまま伝えて「そもそも、訴えなど無駄なんですよ(ドヤァ)」と述べていたが、


超基本的事実として、韓国政府は2005年まで
一貫して日本政府に金銭要求はしてこなかった。



ところが、2005年に日韓基本条約の交渉過程を明らかにする関連文書が公開され、
その結果、日本が朝鮮半島で行った投資などの財産権、両国政府・国民の請求権に
関する「外交保護権」を放棄しただけで、個人が所有する請求権は消滅しないこと、
同条約が「慰安婦」などの人権問題を解決したものではないことが明らかになった。


(外交保護権とは、
 自国民が一般に外国においてその身体や財産を侵害され,損害を受けた場合に,
 自国に対する侵害とみなし,相手国の国際法上の責任を追及する権利のこと)



また、日韓請求権協定第3条1項では、協定の解釈や実施について紛争が生じた場合、
「外交上の経路を通じて解決する」と規定している。

このフレーズをネタに韓国の市民団体が憲法裁判所に提訴し、
同裁判所は韓国政府が日本政府と交渉しないことを違憲と判断した。




以下、その判決文だが、よく読んで欲しい。



---------------------------------------------------------------
求人らの日本国に対する損害賠償請求権が
消滅したかどうかの可否については、見解が分かれている。


万一、韓日請求権協定が、
請求人らの日本国に対する損害賠償請求権を消滅させるのならば、
請求人らの財産権を保障する義務を負う国家が、
請求人らの財産権を消滅させる条約を締結したことになる。


そして、韓日請求権協定が、請求人らの日本国に対する損害賠償請求権を
消滅させるものではないとしても、請求人らは、日本国に対する
損害賠償請求権を行使することが、韓日請求権協定によって阻止されている。


したがって、大韓民国は、請求人らの日本国に関する損害賠償請求権行使が、
韓日請求権協定によって妨害される違憲的な事態を解消させるために、
韓日請求権協定第3条に従って日本国を相手に、
外交的交渉や仲裁手続きを推進する義務を負うと見るのが妥当である。


そして、このように大韓民国が日本国と締結した韓日請求権協定が、
請求人らの日本国に対する損害賠償請求権の行使を遮っている以上、
そのような条約は請求人の基本権を侵害すると見ることもできるが、

日本国の植民地統治に因って、大韓民国の国民が日本国に対して
有する請求権を一括的に妥結するために、大韓民国政府が日本国から3億ドルを受け取って、
国民の日本国に対する請求権を代わりに補償しようとしたものと理解するならば、
そのような条約が憲法第37条第2項に違反すると断定するのも難しい。


ただし、そのように善意に理解しても、大韓民国政府は韓日請求権協定を締結して、
日本国から無償資金3億ドルを受け取り、国民らが日本国に対して
損害賠償請求権を行使できないように協定することで、
日本国に対して損害賠償請求権を行使できなくなった国民らに対して、
その損害を補償する義務を負うと見ざるをえない。


大韓民国は日本国から無償資金3億ドルを受けた後、
1966年2月19日、「請求権資金の運用及び管理に関する法律」を制定したが、
被徴用死亡者の補償をしただけで、
請求人らのような日本軍慰安婦は補償の対象に含まれなかった。

そして、1993年 6月11日、
「日帝下日本軍慰安婦に関する生活安定支援法」を制定し、
日本軍慰安婦に生活安定支援のための一時金と、毎月の支援金を支給し、
賃貸住宅への優先賃貸、生計給付、医療給付、看護人等を支援して来たが、
請求人らの日本国に対する損害賠償請求権をまともに満足させるほど、
充分に補償したと見るのは難しい。

したがって、大韓民国は韓日請求権協定第3条に従って、
日本国を相手に外交的交渉や仲裁手続きを推進し、
韓日請求権協定の違憲性を除去する義務があるだけでなく、
韓日請求権協定に因って、請求人らが日本国に対する損害賠償請求権を
行使できなくなった損害を、完全に補償する責任を負うと宣言しなければならない。

http://www.wam-peace.org/wp/wp-content/
uploads/2011/09/64e1569fcbc532fd1df34f353e7e7f09.pdf


-----------------------------------------------------

このような経過と理屈があるのだが、池上は凄まじいことに
韓国の裁判所は法律より民衆の空気を読んで判決する
という物凄い暴論を述べ、正当性がないと結論付けた。



請求権そのものは消えていないというのは日本政府すら認めていることだ。
一体、何が気に食わないというのだろう?
(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-28/2014012802_03_1.html)

韓国の司法はレベルが低いんだ!だからこんなトンデモ判決が下りたんだ!と決め付ける。
これもヘイト発言の一つなのでは?



以上、この他にも、まぁ出るわ出るわ、もはや右翼のご意見番となっている。

結局、彼も安倍談話と同様、終戦記念日の際に流した番組では
「日本軍のせいで多大な犠牲が~」とかいかにも反省しているかのように述べる一方で、
腹の内では「大日本帝国の戦争犯罪を問う=反日」と思っているのだろう。


よく考えれば、あの櫻井くんと共演した番組でも、
被害者としてクローズ・アップされるのは日本兵だけで、
海外のアジア人・欧米人に関してはなーんにも触れていなかった。


被害者の側面だけを強調する歴史観は安倍と何ら変わらない。
今からでも、岩波はあんな合法詐欺師とは手を切るべきだ。『世界』の質が下がる。


池上に関して真っ先に言いたいのは、先日の反日特集番組において、
意図的な改善を行ったことについて一切、謝罪をしていない
ことだ。


謝罪したのはフジテレビでドヤ顔で解説した池上は知らん振りというのは
ジャーナリストとしてどうなのよと私は思うのだが……いかがだろう?


なんだか文句しか言っていないが、これは本当に、アメリカで
「アメリカの原爆投下は正しかったのに日本人は反米だから理解できない」
「でも、お隣の国だからお互い、仲良くしようよ!理解しあおうよ!」と
いけしゃーしゃーとほざくデマゴーグがアメリカ随一のジャーナリストと
絶賛され、左翼雑誌にも引っ張りだこになってているようなもので、本当にヤバいのである。



メディア研究者や歴史研究者の方は池上彰のやりたい放題の合法詐欺について
少しは文句をつけていいと思うのだが……