時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

北朝鮮の事実上のミサイル、地球観測準備を開始

2016-03-26 00:09:21 | 北朝鮮
先週に書こうと思った記事だが、PCの故障&資料の整理、文献ソフトの調整、
まぁ、いろいろとやることがあって、なかなか投稿することが出来なかった。


さて、北朝鮮の事実上のミサイルだが、このたび、地球観測のための準備を開始し、
通信テストが行われたことが確認された。以下は朝鮮新報からの記事である。


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「光明星4」号、地球観測準備/米・宇宙専門家も作動を認定

朝鮮の民間団体・アリラン協会が運営するウェブサイト「メアリ」によれば、
「光明星4」号は衛星管制総合指揮所からの指令を受けて様々な操縦を行いながら、
地球観測のための準備を進めている。

これが完了すれば、天気予報や自然災害監視など、
暮らしの様々な分野における必要な資料を受信できるようになるという。


「光明星4」号は2月7日午前9時に打ち上げられ、
軌道に進入して以降3月7日午前9時までに地球の周りを442回まわり、
朝鮮の周辺上空を122回通過しながら、UHF帯域とS帯域で作動する軌道および遠隔測定所と通信を行った。


この過程で、「光明星4」号から「金日成将軍の歌」「金正日将軍の歌」などの歌や
衛星遠隔測定資料、試験撮影資料などを受信したという。


また、「光明星4」号が伝送した遠隔測定資料と光学測定資料の分析を通じて、
衛星が近地点高度494. 6㎞、遠地点高度500㎞、軌道傾斜角97. 4°、
周期は94分24秒で太陽同期軌道に沿って飛行していることが確認された。


同サイトは、地球観測衛星が北緯30°-45°、
東経124°-131°の朝鮮の上空を飛行しながら
撮影した画像資料を地上からの操縦指令によって伝送したと伝えた。

また、衛星に設置されたUHF帯域の仲介送受信システムを通じて、
地上とのデータ伝送を滞りなく行ったと報じた。



現在までに行った「光明星4」号に対する観測および操縦の過程で、
衛星に設置された操縦装置と撮影および伝送系統、姿勢操縦系統、遠隔測定および操縦系統、
資料仲介系統などが宇宙空間の環境において正常に稼働していることを確認したという。


「光明星4」号と関連してハーバード・スミソニアン天体物理学センターの
ジョナサン・マクダウェル博士は13日、米国の国営放送ボイス・オブ・アメリカのインタビューで
「部分的ではあるが作動しており、完全に稼働している可能性も排除できない。
 地球観測用とする朝鮮の主張には一定の信ぴょう性がある」と語った。

http://chosonsinbo.com/jp/2016/03/19suk-2/
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大手新聞社、テレビ局、出版社および大半の知識人の見解によると、
地球を旋回しながら、気象予報・災害予測のための準備をし始めた物体をミサイルと呼ぶらしい。


その定義でいえば、ほとんどの人工衛星および宇宙ロケットは事実上のミサイルになるのだが、
北朝鮮のロケットはミサイルになる
が、自分たちのロケットはロケットのままらしい


こういう報道は俗にプロパガンダと呼ばれる類のものだと思うのだが、
これも向こうが流す情報はプロパガンダで自分たちが流すそれはニュースになる。


北朝鮮に限った話ではなく、ロシアや中国、シリアに関する問題でも同様の語られ方がされる。

ウクライナ軍の現地の学校・病院・民家の空爆は「テロリストを討伐するための作戦」と語られ、
住民投票や選挙を行い民主的に独立したはずの地方政府は「親ロシア派」と呼ばれる。


ドネツク・ルガンスク両自治共和国を応援するロシアはテロ支援国家にされ経済制裁を受けているが、
元々、アルカイダやIS(イスラム国、ダーイシュ)を支援していた米英仏は民主主義国家とみなされる。

(私は、民主主義という思想は他者の排除を前提に成り立っていると考えていて、
 その意味でアメリカやフランスの行為は実に民主的だと思うわけだが・・・)


こういう理不尽な報道が正常とみなされる中、求められるのは海外ニュースサイト、
それもなるべく非欧米圏の記事をもとにして多角的に時事問題を俯瞰する力だろう。

リビア問題からわかる日本左翼の欠陥2(再掲)

2016-03-23 23:09:10 | リビア・ウクライナ・南米・中東
貧困の撲滅をうたうデモ行進、ウォール街デモは
アメリカの著名な知識人も支持していることもあり、
現代世界の代表的な社会運動の1つとして数えられているように思われる。

同運動は、非暴力抵抗運動の世界的権威、ジーン・シャープの
『独裁体制から民主主義へ』を教科書としたものだ。同書は紹介文によると、


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史上数々の独裁体制を緻密に分析・研究した成果を踏まえ、
非暴力の反体制運動の全体像を示し、誰もが展開できる
具体的な小さな戦略を粘り強く続ける実践的な方法論を解き明かす。
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とあり、ウォール街デモは理論を実践したものだと言えよう。


結論から言うと、私はこのデモはあまり意味がないと思っている。


民主主義の原則は選挙と立法だ。
主義を同じくした人間が結党し、選挙を通じて国民から信託を得て
議会を通じて法案を成立、制定する。これが基本的なルールである。

これを無視して、デモを行っても、これはしょせんは権力者に対して
「どうか願いを聞き届けたまえー」と騒いでいるだけのこと。

言ってみれば裏技なのだ。本当にルールを変えたいのであれば、
自分たちの手に権力を集中させるよう政党活動をするべきである。

実際、野党の議席数が少数であったために去年の秋に戦争法案は強制採決されてしまった


他にも疑わしい点はある。

前述のジーン・シャープの著作は、「アラブの春」の時にも参考にされたが、
結果的に同運動は(特にシリアやリビアでは)地域の治安と秩序を破壊し、
性情をますます不安定化させ、ダーイシュ(ISIS)を誕生させ大量の難民を発生させている。

池上彰のような小賢しい合法詐欺師は、当初は民主主義運動だったのだが…と語っているが、
当初からリビアの侵攻はNATO軍と現地の過激派(アルカイダ系列)が協力して展開されていた。

エジプトの革命だって、ムバラク政権下、
過激派として弾圧されていたムスリム同胞団も運動の主体になっていた。

少なくともエジプトの革命()は、現地の過激な宗教主義者と妥協されて行われたもので、
案の定、その後の政治はムスリム同胞団が主導権を握り、結果的に更なる困難が待っていたわけである。


同運動の支持者はリビアとシリアを名指しで悪の巣窟と語っていた。
これはアメリカと全く同じ立場である。

こういう究極的にはアメリカの国益に従って
行動している正義がはたして民衆を救えるのだろうか。


アラブの春は、その答えを示した運動でもあったと言えよう。


ウォール街の占拠運動は、国際ハッカー集団、アノニマスが企画したものでもある。

この集団は北朝鮮系の在日団体、総連の広報機関である
朝鮮新報のサイトをハッキング、しばらくの停止へと追い込んだことがある。

北朝鮮では人権が侵害されていると言って、シー・シェパードも
真っ青の強引な手段をもって攻撃するこの集団に理性があるとは思えない。

そして、彼らがデモを企画したというのであれば、そのデモも
十分、一見非暴力的に見えてその実、非常に暴力的な行動ではないかと感じる。


前回紹介した翻訳記事は、以上の私が抱いた不信感に対して
見事に解を与えてくれる内容だった。その一部をここに抜粋しよう。

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この運動で私が気になっているのは、
アノニマスやアドバスターズの様な組織や、
彼らの主要ウェブサイトには、隠された部分があるという点です。

誰が背後にいるのでしょう? 誰が資金支援をしているのでしょう?

運動が立ち上がってすぐ、
数名の著名人がウォール街占拠支持を名乗り出たのを覚えています。

しかも、それはウォーレン・バフェット、ハワード・バフェット、
ベン・バーナンキやアル・ゴアのような連中でした。

現在こうした連中は、私から見れば、危機に対する解決策ではなく、その原因です。
彼等はこの危機の背後の当事者なのです

ウォーレン・バフェットは地球上三番目の金持ちなのですから、
運動に対する彼の共感は多少疑惑をもって見るべきなのです。私はそう見ています。

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もう一つ、お話しすべき組織に、OTPOR!があります。

OTPOR!は、2000年に、セルビアの出来事に関与した組織です。
民主化推進の組織ではなく、実際は、ミロシェビッチと共に
次点候補だったコシュトニツァが、どのみち勝っていたはずの
2000年の選挙を押し退けた組織なのです。
ところが、彼等は、第2回投票の実現を妨害したのです。
そうして、彼等は基本的に政権転覆の条件を確立したのです。

それがカラー革命でした。

そして後に、OTPOR!は、CANVASと呼ばれるコンサルタント会社になりました。
多数の国々で実行されている非暴力的な形の活動をしているのです。
CANVASのロゴは握り拳です。また、彼等はグルジアに関与しました。
彼等は様々な旧ソ連共和国に関与しました。彼等はイランに関与しました。
彼等はエジプトに関与しましたし、チュニジアにも。

彼等は、いわゆる革命家集団にコンサルティング・サービスを提供しています。
けれども、彼等は、一方で、フリーダム・ハウスや、国務省や、
アメリカ議会やアメリカ諜報機関と密接につながっているアメリカの財団、
全米民主主義基金に支援されています。

つまり実質的に、CANVASは実際は、
CANVASの研修プログラムを支援している
アメリカ諜報機関のコンサルティング部門として機能しているのです。

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我々は今、いわゆるアラブの春の抗議運動のエジプト人指導者達が、
ベオグラードで訓練されたことを知っています。彼等はOTPOR!に訓練されたのです。

また、握り拳の印がエジプトでも使用されたのも驚くべきことではありません。
しかも、この印は多くの国で使用されています

グルジアの抵抗運動の名前の意味が“たくさんだ”というのは興味深いことです。
そしてエジプトのキファヤ運動も、アラビア語で“たくさんだ”という意味です。

ですから実際、いくつかの国で、同じ名前、同じロゴ、
同じキャッチ・フレーズを目にすることになる
のです。


しかし、CANVASは、様々な国で運動を支援する職業的コンサルタントとして
機能しているのですから、これは決して偶然ではありません。

これが何を示唆しているかですが、この運動、
少なくともこの運動の草の根は、熱心な人々です。それは認めなければなりません。
こうした人々を我々は支援しなければなりません。路上生活者、失業者、
学費の払えない学生、社会変革に全力で取り組んでいる人々 -
我々は彼等を支えなければなりません。

けれども、彼等は、権力の座とのつながりに基づいていますから、
そもそも最初から悪質な枠組みによって、操られているのです

言い換えれば、もし全米民主主義基金、
あるいはフリーダム・ハウスやCIAとつながっていれば、
ウォール街に対して異議申立をする際に、自立した立場はとれません。

そこで、“この事業には、一体誰が資金提供しているのか?”という疑問がおきます。
ウォール街に旅費を払えと請求しながら、ウォール街に挑戦することはできません。
ところがこれは、ニューヨーク市やアメリカ合州国中の
こうしたイベントに限定される様なものではありません。


これは進歩派の運動を実に実に長い間特徴付けてきたものなのです。
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話し手のミシェル・チョスドスキーはカナダ・オタワ大学の経済学教授。
アメリカの外交政策および通商政策の分析のエキスパートだ。

各国で同一のスローガンとマークの民主化運動が展開されている。
しかも、それはアメリカの権力と繋がりのある集団に支援されたものだ。

この不気味さをどう表現すれば良いだろう。


私は以前から、
日本の左翼は戦前からの国是である
反共主義を克服することができなかった
と主張している。



共産主義の脅威がある冷戦の最中、社会党や丸山真男をはじめとする進歩派知識人は
国内の共産主義者を攻撃するために機能し、政府が統御可能な民衆運動を主導してきた。


戦後まもなくの時代、共産党は非合法化され弾圧を受けたのに対して、
社会党は、なぜかその存在を認められ、最大野党として90年代まで君臨し続けた。

学生運動も過激な運動が展開されていたにも関わらず、社会党とマスメディアは共産党と対立する
この新左翼を支持し、組織によっては右翼から活動を資金を得るところさえあった。

この意味をよく考えてほしい。
(彼ら反共左翼、特に社会党は冷戦終結後、簡単に権力者に切り捨てられ、弱体化する。)


権力者による監督下の運動。
真の抵抗勢力の芽生えを抑制するための抵抗。

この構図はウォール街デモのそれと全く同一のものである。





次の文もご覧いただきたい。

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エジプトの場合で気がついたことですが、
キファヤ、4月6日運動や、ムスリム同胞団で構成されている主要団体は、
決して、湾岸戦争の真っただ中、1991年からエジプトに押しつけられた
IMFと世界銀行のマクロ経済改革、新自由主義的な思惑には、
実際決して異議を申し立てません


私は偶然、まさにその瞬間にエジプトにいました。
財務大臣の事務所にいたのです。そして改革が押しつけられました。
そして、20年間にわたる期間、エジプトが、
こうした破壊的なマクロ経済改革にさらされ、
農業の破壊や公共部門の大量失業がおきました。


しかも、その枠組みは現在もそのままです。変わってはいません

実質的に、タハリール広場事件後、エジプト経済は、
特に海外債務のレベルが上がって、困難な状況に陥ったので実際は悪化しています。
ですから、IMFと世界銀行の握り拳は、そのままエジプトに残っているのです。

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そして、ウォール街占拠は極めてよく似た状況にあります。
そもそもエジプトとチュニジアを手本にしています。

両国は手本ではありません。両国は失敗なのです。

いずれも草の根を操るカラー革命で、こうした国々を袋小路に
現状維持に追い込むのです。ですから、抗議運動の上がりは現状維持なのです。

うわべは民主化ですが、実際に起きているのは政府の権力の地位にいる人々の
アメリカや他の国々の債権者達の為に、事実上同じ役割を演じる他の連中による置き換えです



ウォール街占拠の人々の声明の中の一つが、私には非常に気になるのです。

とりわけ、ナオミ・クライン、ノーム・チョムスキーやヴァンダナ・シヴァ等を含む
多数の名士による声明があったのを覚えています。声明の一部は良いのです。

けれども、“世界中のアル-アサド、世界中のカダフィ”に反対して
戦わなければならず、これらの独裁者はIMFと世界銀行の化身なのだと
彼等は言っている
のです。この思惑の背後にはIMFと世界銀行がいて、
そうした組織は、カダフィやアル-アサドが自国民を扱うのと同じやり方で
我々を扱っているのだと彼等は言っています。

それ自体が経済的悪魔であるIMFと世界銀行に焦点を合わせるのではなく、
政治上の人物のイメージを通して、IMFと世界銀行を悪魔化しているので、
そのような例えは全く人を惑わすものです。
[実際、この誤解を招く比較の狙いは、アサドとカダフィを悪魔化することにある]

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抵抗運動の形をとったアメリカの敵国批判。

チョスドスキー博士は
抵抗運動が権力者によって操作されていると語っているが、まさにそのとおりで、
こういう良心的な団体のお墨付きを得て現実の侵略政策は進行していくのである。



抽象的な意味での戦争や侵略には彼らはもちろん反対する。

だが、得てして侵略とは情勢の不安定な地域をターゲットにして行われるのである。


要するに、反共左翼は平和を切望するわりには、中東やアジアのような非欧米圏
(特に旧・現社会主義国家)に対する欧米の侵略やレッテル貼りには、非道く寛容で、積極的に支援する。


こういう行為が侵略者にとって最大のエールであることは言うまでもない。


そして、こういう行為をするように誘導されている連中が叫ぶ
貧困撲滅、自由、人権の浅薄さは被侵略国の惨状をみれば明白だ。


どうも私はウォール街デモのこういう点を直観的に感じ取っていたらしい。
次回では、リビアに対するチョスドスキー氏の意見を取り上げていこう。


~2016年3月23日追記~

ほぼ毎日、海外の貴重な記事を翻訳している「マスコミに載らない海外記事」様からTBが送られてきた。
それも受け、今回、内容を修正・追記したが、

ウォール街占拠運動やアラブの春運動、
そして日本国内の民主主義運動には致命的な欠陥があり、
それを無視して安易な平和主義を語ることはかえって危険だ


という私の主張自体に変わりはない。
なお、改めて読み直したら、肝心の参照URLを載せていなかった。

この場を借りて、お詫びを申し上げたい。
本記事で取り上げた記事は、いずれも次のページから引用したものである。

http://www.strategic-culture.org/news/2016/03/20/soros-disruption-american-style.html


北朝鮮の弾道ミサイルは本当に脅威なのか

2016-03-19 00:24:15 | 北朝鮮
日本では「事実上のミサイル」という表現が何気なく使われているが、
実際には打ち上げロケットと弾道ミサイルは似て非なるものだ。


簡単に説明すると、打ち上げロケットは人工衛星を宇宙に送り込むだけで良いが、
弾道ミサイルの場合は、そこから再び地球へと核弾頭を突入させなければならない。


イメージで伝えれば、弾道ミサイルはリフティングのようなもので、
一度、上空へ打ち上げた弾頭を引き戻し、任意の位置にピンポイントに当てなければいけない。

これに対して打ち上げロケットは単に人工衛星を宇宙に飛ばせば良い。
まぁ、言ってみればサッカーボールをただ豪快に空へ蹴り込むようなものだ。


つまり、打ち上げロケットは
確かに弾道ミサイルの技術も使われているが、弾道ミサイルではないということである。



大気圏内へ再突入させる技術が弾道ミサイルには必要不可欠だということは
朝日新聞をはじめ、日本のマス・メディアも認めていることなのだが……


日本の報道は包丁を買う主婦を見て
「主婦のAさん、事実上の凶器を購入!」と騒いでいるようなもので、
傍から見ればクレイジーとしか言いようがない。



外野がキーキーと小うるさい中、朝鮮新報によれば、
光明星4号は、現在、地球観測のための準備段階に突入しているらしい。

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地球観測の準備

「それでも地球は動く」― イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが、
 宗教裁判で地動説を撤回させられた時につぶやいたとされる言葉だ。

地動説は、天動説をとるローマ教会によって異端とされた。
裁判で有罪となったガリレオは、生涯自宅軟禁された。


▼力によって世界を支配しようとする米国は、
 自主の旗を掲げ、我が道を行く朝鮮を異端視している。

 人工衛星の打ち上げに「ミサイル実験」のレッテルを張り、
 衛星が軌道に乗っても「作動しない鉄屑」だと難癖をつける。

 しかし、米国がわめき騒いでも、朝鮮の衛星が
 軌道を回りながらその使命を果たしている事実を変えることはできない。

▼朝鮮の民間団体「アリラン協会」が運営するウェブサイト「メアリ」によると、
 先月打ち上げられた「光明星―4」号は、地上から操縦指令を受けながら、
 地球観測のための準備を行っているという。

 衛星が正常稼働していることについては、
 ロシア国防省傘下の宇宙監視センターが明らかにしていたが、
 先頃、米国のハーバード・スミソニアン天体物理学センターの科学者も
北朝鮮の主張に信ぴょう性がある」と述べた。


 事実をあるがままに受け止めれば、誰もが同じ結論に至る。

▼米国が嘘をついてきたことを認め、謝るなら早い方がいい。
 地動説を異端としたカトリック教会が、ガリレオに謝罪するのに350年を要したが、
 今は時代が違う。朝鮮に対する不当な制裁は、科学の名において即刻撤回されるべきだ。

http://chosonsinbo.com/jp/2016/03/skst-85/
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アメリカに限らず、日本でも
人工衛星は玩具のようなもので、観測できるだけの能力がない、
要するに「人工衛星はダミーで実際はミサイルの性能実験なのだ」と強弁する声が大きい。


そのうち、実際に観測データが公開されたら、どう答えるつもりなのだろうか…
まぁ、大方の予測はつくけれど。


さて、このように人工衛星の打ち上げが馬鹿騒ぎされる一方で、

北朝鮮は現在、米韓の合同軍事演習に対抗して
弾道ミサイルを数発発射しているのだが、こちらはなぜか特報にならない。



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北朝鮮が弾道ミサイルを発射


北朝鮮が東部の海域に弾道ミサイルを発射しました。                       

フランス通信が韓国のソウルから伝えたところによりますと、
北朝鮮は18日金曜未明、弾道ミサイルを東部の海域に向かって発射しました。

韓国国防省の報道官は、
「このミサイルは18日未明、北朝鮮南西部から発射され、800キロ先の日本海に落下した」
と述べました。

この報道官は、北朝鮮が発射したミサイルの種類を明らかにしませんでしたが、
ヨンハプ通信は、軍事筋の話として、「ミサイルはノドンであり、
射程距離最大1300キロのスカッドミサイルの改良型だ」と報じています。

北朝鮮のミサイル発射は、同国のキム・ジョンウン第1書記が
さらなる核・ミサイル実験を命じた後に行われました。

北朝鮮の朝鮮中央通信は、15日火曜、キム第1書記の話として、
北朝鮮はまもなく核弾頭と弾道ミサイル数発の実験を行うと伝えました。

キム第1書記は、
「これらの実験は、北朝鮮の核攻撃能力を向上させるために行われる」と述べています。

北朝鮮の最近の核実験を受け、アメリカと国連は同国に対する制裁を決定しました。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/63055
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北朝鮮から東京までの距離は1200kmしかない。

つまり、どう考えても今回の実験のほうが日本にとって重大だ。


北朝鮮が本気を出せば、東京の横田基地をはじめとする首都圏内の軍事施設を攻撃できる
ことが証明されたのだから。


では、北朝鮮が今すぐ日本を攻撃してくるかといえば、それは違う。
北朝鮮にとって最大の敵国はアメリカだ。当然、ミサイルの標的も米国本土になる。

だからこそ、北朝鮮は長距離弾道ミサイルの開発に躍起になっている。

(実際、先日の警告においても、マンハッタンを攻撃すると語っていた)


加えて、北朝鮮にはミサイルを飛ばす技術はあっても、
アメリカと交戦して勝利するだけの軍事力がない。



兵器の中にはソ連時代の古いものが多くあるし、第二次世界大戦以降、
世界各地で戦争を巻き起こしてきたアメリカと比べて、北朝鮮は、明らかに経験値が少ない。

つまり、本人たちが言っているように、北朝鮮のミサイルは自衛手段以上の意味を持たない。
これは先制攻撃のための核ミサイルを所有しているアメリカと大きな違いである。
アメリカは朝鮮戦争の時点ですでに朝鮮半島への原爆投下を検討している


そういうわけだから、北朝鮮とアメリカが交争状態になり、金正恩が玉砕覚悟で
在日米軍基地を消滅しようとしない限り、核ミサイルが日本に降ってくることはない。



むしろ、日本の場合、国内の原発事故のほうが深刻だろう。
あまり騒がれないが、日本の原発事故の頻度は凄まじく高い。

つい最近も原発の調子が悪くなって、また稼動が停止されたが、
これは技術が足りないというよりは、国や発電所の安全対策がずさんなことに起因する。

日本の明日を守りたいだの、日本を取り戻すだの、日本人の誇りがどうたらこうたら
言っている人間が「原発は安全だ」と吹聴して管理を徹底しなかった結果が3.11である。

核を恐れるのであれば、まず第一に原子力発電の安全体制の見直しを求めるべきだろう。
(少なくとも政府の息がかかっている安全委員会は解散すべきだと思う)


再三、述べているが、北朝鮮は継続的に
平和条約の締結と核開発の中断を米韓合同軍事演習の中断を条件に提案している。
今回のミサイル実験も軍事演習への反発として発射された。

アメリカや韓国が演習を中断すれば、「北朝鮮の脅威」とやらは簡単に消える。
これは、自国を侵略しようとする動きに対する警告なのだから。


最後に、私は、今回の弾道ミサイル実験が人工衛星打ち上げと違って小さな扱いなのは、
つまるところ、このミサイルではアメリカ本土を攻撃できないからだと思っている。


日本における北朝鮮の報道を観察すると、別に日本が被害を被るわけではないことでも、
なぜかアメリカに被害に及ぶことは大々的に報道されることに気がつく。

例えば長距離弾道ミサイルの開発などはその典型的な例だ。
「長距離」とあるように、このミサイルのターゲットはアメリカであって日本ではない。

逆に今回のミサイルのように日本や韓国の米軍基地がターゲットになっているであろう
弾道ミサイル実験に対しては、番組を中断したり、速報が流されるようなことはしない。

どこまで行っても、アメリカの手駒として良いように使われる日本。
仮に日本が本当にアメリカと対等な関係ならば、集団的自衛権にも意味は多少はあるだろう。

だが、実際には、ご覧の通り、格下の扱いを受けている。
安倍政権が目指しているのは集団的自衛権の容認ではない。集団的他衛権だ。
この状態で日米同盟を強化しても、それはアメリカの弾除けにしかならない。意味がない。

これが愛国心だというのであれば、そんなものは捨ててしまったほうが良い。

北朝鮮侵略作戦に固執するアメリカ・韓国

2016-03-15 00:34:51 | 北朝鮮
水爆実験の時にも感じたのだが、
アメリカや韓国、日本のように北朝鮮の脅威を口実に自国の軍拡を進める国は、
「核ミサイルが日本やアメリカに飛んでくるぞ」と騒ぎ立てる一方で、
北朝鮮が米韓に対抗できるだけの兵力を持っていると発表すると
「そんなことはない!」とむきになって否定しようとする傾向がある。


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核弾頭の小型化

米、南の合同軍事演習が始まった直後、
金正恩第1書記が「核兵器開発事業を指導」したという報道が出た。
小型化された核弾頭の写真が配信された。

大陸間弾道ミサイルを実戦配備するためには、核弾頭の重さを1t以下にしなければならない。
今回の報道に対して、米、南の当局は「北にそのような能力はない」と否定した。

「北の核ミサイル脅威」を騒ぎ立て、MD(ミサイル防衛)強化と軍備拡充を主張してきた輩たちが、
実物を見せつけられると前言を翻す。無節操の典型だ。



今回の報道に先立ち、「北の能力」を認める主張がなされていた。
米本土防衛を担当する北方軍のゴートニー司令官は、昨年3月の記者会見で
「北朝鮮は核弾頭の小型化に成功しており、開発中の弾道ミサイルに搭載可能」と述べた。

同じ頃、米国の情報機関を統括し、大統領に毎日、ブリーフを行う国家情報局のクラッパー局長は、
米下院に対し、「北朝鮮は大陸間弾道ミサイルの実戦配備に入っている」と報告した。

この二人は、今回の報道後も「自説」を繰り返し述べている。


「北の能力」を否定しないのであれば、「米本土攻撃の可能性」をなくすために、
対話と交渉を行うのが安全保障政策の常石だ。ところが他の目的のために事実が伏せられている。


そればかりか、朝鮮との対立を激化させ、自国民を危険にさらしている。無謀の代償は大きい。
核抑止力を持つ国に対して戦争を挑発する軍事演習など愚の骨頂だ。

http://chosonsinbo.com/jp/2016/03/skst-84/
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北朝鮮の戦闘能力を低く見積もるのは、以下のような事情がある。


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メディアの立ち合いのもと行われた合同演習で、米国と韓国は、
装甲車を用いた「北朝鮮の海岸」における強襲揚陸力を訓練した。NHKが報じた。


海兵隊員1万7000人、船30隻、航空機70機と、兵器や人員規模で記録的な演習となった。
両軍司令部とも任務遂行状況に肯定的な評価を与えた。

これに対し、土曜朝、北朝鮮軍本部は、演習中に北朝鮮の領土への脅威が発生した場合、
米国に「予防攻撃」を行う
、と脅迫した。


続きを読む http://jp.sputniknews.com/asia/20160313/1772521.html#ixzz42tH7KxH5

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一般的感覚として、
これは「脅迫」ではなく「警告」というものだが、
北朝鮮が行うと「脅迫」や「挑発」になってしまう。




目の前で自国を侵略しようとする敵国に対して、
「これ以上の演習を行うならば、攻撃する場合も起こり得る」と警告する。


これが私たちが散々気にしている北朝鮮の脅威というものである。




オバマ・パククネ
「北朝鮮は核兵器で俺たちを狙っているんだーー!!!
 人工衛星だと?核ミサイルだぁーーー!!!」




北朝鮮「水爆実験に成功しました。核弾頭の小型化に成功しました。
    これ以上、合同軍事演習をするなら攻撃も考えます。すぐにやめてください」





オバマ・パククネ
「北朝鮮にそんな力ないよ。」




そこまでして軍事演習を中止したくないのか……

現在、展開されている合同軍事演習は「演習」という表現では不適格なほど危険な行為だ。



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合同軍事演習には、
米兵が例年の2倍にあたる1万7000人、韓国兵が1.7倍の30万人参加し、
原子力空母ジョン・C・ステニス、F22ステルス戦闘機、B2ステルス戦略爆撃機など
米軍の戦略兵器が次々と投入されている。

韓国・浦項の海岸では上陸作戦「双竜訓練」が実施され、上陸にとどまらず内陸深く侵攻し、
核・ミサイル施設の破壊や指導者の「斬首作戦」訓練も実施されるという。

米軍は中東でテロ組織の幹部を射殺する作戦に従事した特殊部隊を2月初めに韓国に派遣し、
さらに先制攻撃を想定した作戦計画「5015」を運用するとしている。


これは、たんなる軍事訓練ではなく、実際の軍事侵攻作戦の強行である。
もはや防御作戦ではなく、先制攻撃だ。こうした大規模な軍事作戦の展開は、
朝鮮側をあからさまに挑発することになり、一触即発の危険な状況を生み出している。

朝鮮半島と日本の平和を望む私たちは、
この軍事演習が4月末まで継続されることを絶対に認めることはできない。
米国政府に対し、戦争を招き寄せる軍事演習を即時中止するよう要請する。

朝鮮半島の非核平和は話し合いによってのみ実現する。
米国政府が朝鮮と真しに向き合い、
平和協定の締結について話し合いを始めるよう求める。


http://chosonsinbo.com/jp/2016/03/11suk/
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上の文章は「朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会」という名の団体が発表したものだ。

基本的に、この団体は北朝鮮の意向を強く反映しているので、
北朝鮮が合同軍事演習をどのように捉えているのか、あるいは
北朝鮮がアメリカとどのような関係を結びたいのかを知る参考になると思われる。


米韓合同軍事演習は例えるならば、

中国がロシアと一緒に日本の領海付近で米軍・自衛隊基地を爆撃し、
沖縄、北海道などに上陸・占領する練習を毎年行っているようなものである。



仮に日本が中国やロシアに同じ真似をされたら、当然、抗議するだろうし、
それにも応じず、あまつさえ経済制裁すらするものなら侵略に備えて軍備拡張に備えるだろう。


経済制裁の真の狙いは北朝鮮の防衛力の低下にある。
 それゆえに北朝鮮は軍縮・核放棄に踏み切ることができない。

 
 こういう事情を知ってか知らずか、日本のメディアや知識人たちは
 「国内にはお腹をすかせている人が大勢いるのに・・・」とたそがれている。

このサイトで散々、指摘しているが北朝鮮の食糧事情は実際にはかなり改善された。
今では国際連合食糧農業機関(FAO)と協力して、一応は問題ないレベルまで回復している。

「一応」と書いたのは、まだまだ地域差があり、更なる改善と増産が求められているからだが、
 独裁者の金正恩が真剣にこの問題に取り組んでいる一方で、
 平和と正義を希求している日本の主流左翼は、米粒ひとつ送ろうとしない。 

 せめて、同国の農業生産に支障をきたすような経済制裁に対して真っ向から反対すること、
 これは中国政府やロシア政府でさえ発言しているものだが、それもない。


こういう偽善的なヒューマニズムが闊歩している状態で、
平和や護憲に意味があるのだろうか?



去年の平和運動が一見、賑やかでありながら結果的には単なるお祭りで終わったのも、
彼らの主張そのものに致命的な欠陥があるからだと私は思うのだが・・・・・・


北朝鮮の脅威を煽りながら、都合の悪い時には同国の軍事力を過小評価する米韓も大概だが、
北朝鮮の脅威を喧伝しながら、いざ自国が軍拡に進むと「やめろー!」と騒ぐ左翼も矛盾している。

右翼は、この点を上手く突き、「北朝鮮からの攻撃をどう防ぐつもりだ?」と批判している。
これに対して大抵の左翼は話し合いを主張しているが、やはり苦しい言い訳だろう。

「そんな脅威はない。むしろ向こうのほうがアメリカの脅威にさらされているのだ」
 と答えない限り、このままズルズルとなし崩しに軍備拡張が行われるのは必至だ。


震災5年を経て ~元の木阿弥に戻る文化人たち~

2016-03-11 23:53:03 | マスコミ批判
震災から5年が経ったが、リテラの記事を読む限り、この国のマスコミや知識人は
あれだけ甚大な被害を受けながらも、その保守的な姿勢は一切崩さず今に至るようだ。


フクシマの戦犯・班目春樹元原子力安全委員長が「原発事故は天罰」発言!
現体制にも引き継がれる御用学者の無責任体質


復活した電力会社の原発広告に文化人や芸能人がまたぞろ登場して原発をPR!
500万円の高額ギャラも


リテラも百点満点のメディアではないけれども、
その辺の古臭い大手情報企業(A新聞やM新聞など)と比べればはるかに優れた記事を載せている。

恐らく、リテラのライターはフリーかそれに準じる地位、
仮に正社員であったとしても、その労働条件たるや大手新聞社と比べ遥かに劣ると思われるが、
学歴も経験も遥かに上であろうマスメディアの記者やディレクターより意味のある文章を書く。


私は前々から、日本人の活字離れや政治に対する無関心・右傾化は
本来、彼らを惹きつけなければならないはずの主流左翼の減退が原因だと思っている。



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そして、第16回(15年7月30日号)のラジオDJなどで活躍するモーリー・ロバートソン、
第17回に前出の勝間ときて、16年に入ると、第18回(16年3月3日号)で評論家の佐藤優が登場する。

佐藤は、専門である外交分野、とりわけ中東情勢を語りつつ、
“天然ガスの大半を中東に依存している日本でエネルギー問題は深刻”
“エネルギーミックスは我が国のとるべき唯一の戦略”などと強引に原発推進へ話を持っていく。

さらに、青森県六ヶ所村の核燃料サイクルを視察して
「強く感じたのは働く人たちの道徳心と士気の高さです」なる“根性論”を理由に
“六ヶ所村施設の存在そのものが、日本が国際社会から信頼を得ている証明”などと語っている。

ちなみに、佐藤に関しては、つい先日も
青森県の地方紙・東奥日報3月2日付の電事連全面広告に出演しており、
やはり“核燃料サイクルは日本に不可欠”と力説している。

http://lite-ra.com/2016/03/post-2054_3.html
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佐藤優は、創価学会の傘下にある出版社から公明党や池田大作をベタ誉めする本を出している。

『「池田大作 大学講演」を読み解く 世界宗教の条件 』

『 地球時代の哲学 』


「本書の狙いは、二十一世紀にわれわれが生き残っていくための生きた、
 ほんものの思想を創価学会名誉会長で、創価学会インタナショナル会長の
 池田大作氏のテキストから虚心坦懐に学ぶことである。」(本文より)


・・・らしい。


いくら大金を頂いているからといって、
自民党の腰ぎんちゃくに成り下がっている公明党やカルト宗教団体の創価学会を
ここまで持ち上げられるのは、そう出来たものではない。ある意味、拍手に値する。


私が抱く佐藤優の印象は、鈴木宗男とつるんでロシア絡みの利権を貪って逮捕されたところ、
これをうまく利用して権力者に弾圧された無実の男という虚構を演出し、
以降、反権力の志士として主流左翼らに崇められるようになったといったもので、
パートナーの池上彰に負けず劣らずの合法詐欺師だと思っている。


原発に限らず、佐藤は池田大作や亀山郁夫にゴマを擦って、
宗教やドストエフスキーに対する誤った知識を拡散している。

極めつけは次の本ではないだろうか?

猛毒国家に囲まれた日本―ロシア・中国・北朝鮮


佐藤は外務省にいた頃、ロシアで向こうの役人と一緒に仕事をしていたはずなのだが、
昔、自分が世話になった国を猛毒国家と呼ぶあたり、さすがだと思う。これは佐藤にしか出来まい。

共著者の宮崎正弘は
『日本に惨敗し ついに終わる中国と韓国』とか
『世界が仰天する中国人の野蛮』とか『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』とか、
まぁ、典型的な極右のアジテーターなのだが、彼と一緒に仲良く本を書いてしまうあたり、
どういう人物なのかは、彼を知らない人間にも大体想像がつくのではないだろうか?


こういう人物が岩波書店や週刊金曜日をはじめとする左派系雑誌で引っ張りだこになり、
今でも定期的に論説を載せている。日本の左派系論壇は壊滅的だと私は思う。



この国の主流左翼は、北朝鮮や中国、ロシア、シリアなどの
アメリカの敵国に対する姿勢が震災の前後で全く変わらなかった。


北朝鮮や中国、ロシアは相変わらず憎むべき国であり、
これを包囲するための軍備拡張の動きに対して、Noと言いながらGoサインを送っている。


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中国外務省の洪磊(ホン・レイ)報道官は7日、
中国は米韓合同軍事演習に重大な懸念を持っていると発表した。


報道官は、次のように述べた-

北朝鮮は演習に激しく反応した。
 中国も(米国と韓国の)軍事演習に重大な懸念を持っている。
 中国は朝鮮半島と地理的に非常に近い。


報道官はまた、中国の国境付近に問題を生じさせるいかなる行動も認めないと述べた。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/asia/20160307/1739935.html#ixzz42brEqNyh

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中国やロシアは朝鮮半島の緊張状態に対して、
元凶はアメリカと韓国にあるというスタンスを取っている。


その上で六ヶ国協議に戻るよう進言し、北朝鮮にも過激な反応を自粛するように求めている。
日本のメディアは後半の部分だけを強調し、「ロシアや中国も批判している!」と説明するが、
朝鮮半島において北朝鮮、ロシア、中国を封じ込めようとするアメリカの動きは、
沖縄の基地化や被害者不在の慰安婦問題の妥結の動きと直結していることには触れようとはしない。


問題は、ほとんどの左翼も似たり寄ったりだということだ。
『猛毒国家に囲まれた日本―ロシア・中国・北朝鮮』などというヘイト本を書く人間が
持てはやされるのは、つまるところ、右翼も左翼も偏見を抱いているからではないだろうか?


ロシアは悪だ、中国は悪だ、北朝鮮は悪だ。
こういう認識を前提に右は軍拡を、左は民主化を主張する。

プロセスが違うだけで目指すゴールは同じ地点にあると私は思う。

嘘だと思うなら、米韓合同軍事演習に対する左翼の反応を見てみるといい。
米韓軍事合同演習は10年以上前から、その性質は北朝鮮の先制攻撃を狙った脅迫的なものであり、
これが如何に北朝鮮を刺激し、核開発へと急がせてきたかは言うまでもないのだが、
この5年で、主流左翼が一度でもアメリカに向けて大々的に、
「合同軍事演習をやめて北朝鮮と平和条約を結べ」と
 声明を送っただろうか?


私の知る限り、
「北朝鮮は核開発やミサイル実験などの挑発行為をやめろ」と言った趣旨の声明はあったが、
その逆はなかったように記憶している。そこには挑発しているのはアメリカの方だという認識がない。

これは中国やロシアのそれと比べて決定的な違いだと思う。
ロシアや中国にもアメリカ寄りの意見をする学者もいるが、日本ほど一色に染まってはいない。


一見、日本は言論の自由があるように見えるが、その実、
意見の多様性を思えば、ロシアや中国のほうがあるとさえ思えてくる。

そう思わせるほど、日本の主流左翼の姿勢は右翼と大差ない。


このような左翼の右傾化こそが現在の日本において、
左翼が右翼の闊歩を許す最大の構造的かつ致命的な弱点だと思うのだが、
去年は戦後70年にちなんで多くの本が売られたにも関わらず、この点の言及はされなかった。


今のところ、原発推進の支持者の多くは極右思想の持ち主だが、
同じく推進者である池上彰や佐藤優を重用する左派系論壇の現状を思うと、
あと10年もしないうちに、ほとんどの左翼が少しずつ立ち位置を修正するか、
あるいは原発恐怖症に堕するかのどちらかになるのではないかと私は考えている。

つまり、原発や核に手をつける国を軒並み罵倒し、否定し、
その背景にある国際事情や国内のエネルギー問題を全く無視し、
結果的にアメリカをはじめとする侵略国に都合のよい行動を取るのではないかと思う。

現に、北朝鮮やイランに限って言えば、核を持つか持たないかだけが異常に気にされる一方で、
両国がアメリカや属国から受けている被害については、一切考慮されていない。

こういうアメリカの敵国の悪魔化は結局のところ、
現在の侵略者に対するささやかなエールとなるだろう。


日本の制裁は正しい。アメリカの反応は正しい。
イランや中国、北朝鮮が間違っているのだ。でも戦争は駄目です。

こういう平和主義が、一体、何の役に立つというのだろう?
国際政治の緊張に伴ってズルズルと後退し、やがて消えていくのは目に見えている。


私が震災の報道についても、あまり素直に喜べないのも「日本人の物語」になっていて、
あまり本質的な問題について語っていないように感じるからだ(一番マシだったのがリテラの記事)


一国中心主義から脱却して世界中心主義へと転換すること。
「日本人」ではなく、「人間」として物事を考えていくこと。

震災を日本人の物語ではなく、世界の悲劇として伝えていくこと。
これが今後の左翼に必要とされるアクションだと思われる。

『ありえへん∞世界スペシャル』番組後半で右翼番組と化す

2016-03-08 23:51:01 | 中国(反共批判)
世界で活躍している日本人を紹介したり、
逆に日本に技術を学びに来た外国人に取材する番組が数年前からヒットしている。

一歩間違えれば、単にナショナリズムを煽るだけの内容になるわけだが、
たとえ愛国心を知らず知らずのうちに植えつけるようになったとしても、
この手の番組は「日本人凄い!」というナルシスな主張から一歩外に出ることはなく、
そういう意味では健全なものと呼べるのかもしれない。

むしろ性質が悪いのは、池上彰のニュース解説番組をはじめとした、
「中国間違い!韓国悪い!日本被害者!」と悪感情を煽る番組だろう。



書店に向かえば、中国や韓国の人間を面白おかしく罵倒するヘイト本が並んでいるが、
この手の本がターゲットを右翼に絞っているのに対して、
テレビのヘイト番組はゴールデンタイムに家族を対象に放送されている。


こういうのは一般的にプロパガンダと呼ばれる類のものだ。


今日(2016年3月8日放送)の『ありえへん∞世界スペシャル』は、
この手の番組の危険性を説明するのに、丁度よい教材になるであろう内容だった


番組の途中までは『ペンギンの足は本当は長い』
『みかんは見栄えを良くするためにネットに入れて販売される』といった豆知識が披露されていた。


問題は後半の「間違いメイドインジャパン」である。

世界で売られている面白パチモンを紹介するという内容で、
「パナソニック」ならぬ「パワーソニック」とか「YAMAHA」ならぬ「YEMAHA」など、
これはこれで中々楽しめる内容だったのだが、番組後半から

日本のパクリ製品の半分以上が中国製
という根拠の怪しげな主張が飛び交い始め、その証拠と言わんばかりに
大芬油画村(だいふんゆがむら)を「コピー絵画で生計を立てる村」と紹介していたのだ。


モナリザなどの名画の複製画を描く人間が映された後、
「なぜ、コピー絵画が問題にならないのか」とモデルの佐藤栞里に出題、

「彼らはモナリザが有名な作品であることを知らないから」
という回答がテロップでデカデカと表示されてから、
著作権が切れている作品を扱っていることを伝えるのだが、
この際にも「著作権が切れていることを良いことに」
と、まるで法の目をかいくぐって村ぐるみで贋作を売りさばいているかのように説明し
ダメ押しとばかりに「展示物が全てパクリ絵画で出来た美術館」を映し、VTRが終了した。


大芬油画村とは、実際はどういう村なのだろうか?

以下の文章に目を通して頂きたい。

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中国の香港の向かいの深圳市にある大芬油画村(だいふんゆがむら)を紹介する。

8千人の絵描きがゴッホやモネなどの複製画を年間100万枚生産し、
世界の複製画市場の6割を占める。


大学で美術を学んで、中学で美術教師の経験もある女優の木野花が訪ねる。

モネを複製を手がける張は、
「モネは自然の光と色の微妙な変化を繊細な筆さばきで表現した。模写するのはとても難しい」
と語る。

モネの緑は多彩で、張は絵の具の配合を工夫した。2時間半でモネの複製を描き上がる。
モネの晩年は白内障で絵の彩度が落ちていたので、本物よりも色鮮やかでクリアーに描いた。

張は大芬油画村から500km北にある江西省の農家出身で10年前にここへやってきた。
初めは売れなかったが、故郷の田んぼの睡蓮を思い出しながら、
モネの睡蓮を20枚描いたところ画商に認められた。今は台湾から100枚の注文を受ける。

複製画が著作権を侵害してないかスタッフが見回る。原則として死後50年経ってないといけない。
また画家のサインが書き込まれていると贋作と見なされる。


24年前は大芬油画村は300人ほどが暮らすひなびた農村だったが、
1989年に香港の画商が20人の職人を連れて移住した。

ある時、アメリカから一度に10万枚を超える風景画の大量注文があり、
中国全土から若者を集めて流れ作業で制作した。
若者には構図、色彩、明暗など美術教育を施し、レベルアップを図った。


中国では複製画を描く人は画工、自分のオリジナル作品を描く人を画家と呼ぶ。

画家になるには深圳市の公募展で3回入選する必要がある。大芬油画村に画家は143人いる。
村には画家だけが住める高級マンションがある。

画家の銭鐡石は中国トップクラスの美術大学を卒業後、8年前にこの村にやって来た。
ルノアールなどの複製画を描きながら、わずか1年で画工から画家になった。

絵筆を使わずにペインティングナイフだけで
絵の具を大胆に塗り重ねる独創性にあふれた画風が高く評価され、
香港や台湾の画商の間で1枚10万元(180万円)以上の値で取り引きされている。


公園での太極拳で知り合った陳さんに絵の指導をする。陳は画家志望で風景画を得意とする。
村の目抜き通りに店を構え、すでに公募展に2回入選している。

今回は画風を広げるために人物画に挑戦するが、師匠の銭は厳しい評価を下す。

「画家になるという事は、単にオリジナル作品を描けばいいという意味ではないのだ。
 風景画だろうが人物画だろうがそこに何かメッセージがなければ画家にはなれない。
 あなたが感動していなければ、他の人を感動させられるわけがない。
 創作には信念が必要です。自分が本当に何に感動しているかを描き出す力です」

銀波藝術創意館では動物などのオリジナルの絵画が大量生産されている。
「まねる」と「まなぶ」という言葉は同じ語源、
コピーの村からオリジナルの村への変化しようとしている。

http://blog.livedoor.jp/konnnatv/archives/35249460.html
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絵画の世界において、レプリカを作ることは違法でも何でもなく、
ホテルや飲食店、オフィスのインテリアとして、ごく普通に売買されている。

絵画販売専門店 アートギャラリー南青山


①屋内インテリアとして、絵画のレプリカはごく普通に売買されている。
②著作権の侵害を行っていないかどうか、きちんと管理されている。
③大芬油画村は画家を目指す人間の登竜門になっている。


少なくとも上の3点は確実に説明されていなかった。

客観的に言って、大芬油画村は村全体が美大のようになっている場所で、
画商が先導したというエピソードからもわかるように、この村には世界各地から画商が訪れ、
目当ての絵画を数千枚単位で購入していく。やましいことは何も行っていないのである。


ところが、番組では村人全員がパクリ絵画で生計を立てていると強く印象付けていた。

この特集番組全体が海賊版商品を世界に売りつける中国というテーマだったのだが、
いわゆる海賊版と単に名前が酷似している別製品は全くの別物である。


例えば、ロレックスの時計と称して偽者を売りつけるのであれば、それは違法である。
だが、ロレッケスというメーカーが全く別のデザインの時計を売るのなら話は変わってくる。


出版社にも岩波書店という会社と岩崎書店という紛らわしい名前の会社が存在するが、
仮に岩波文庫の『法の精神』と称して岩崎書店が中身をコピーした本を売るならこれは問題だ。

だが、岩崎書店が岩崎文庫と称して別の訳者に頼み、フォント、字体、装丁、値段を別にして
『法の精神』を売るならば、これは別に問題にならない(『法の精神』は1748年の著作)。


つまり、この番組は複製画のような恥じる必要のないものと
日本のメーカーと名前が激似の企業から売られる商品と
明らかな海賊版を一括りにして「パクリ商品」と呼んでいるのだ。


番組の終わりのほうに海賊版を取り締まる会社が紹介されたあたりから見て、
番組の趣旨としては、中国が偽物を売りつけて金稼ぎをしているという意図があるように見える。


パリの景観を再現したのが売りの新興都市「広廈天都城」を
「エッフェル塔をパクった街」と説明しているあたりからも、そのことは伺える。


(なお、この手のテーマパークの考え方を取り入れた都市は住みにくいのか、
 ゴーストタウンと化している場所も少なくないようである)


以上、ザッと説明したが、この番組、
全体的に中国が世界中で偽物を売りつけているかのように報道しており、
大芬油画村を村人全員が有名絵画をパクっている場所と説明する凄すぎるものだった。


無論、中国でも贋作は製造されているわけで、それはそれで問題なのだが、
そのような啓発というよりは、面白おかしく中国のマイナスイメージを煽り立てて
視聴者の笑いを誘おうとする、より低レベルな目的の下に製作された印象が強い。


こういう番組を一般の家庭が見て中国人の印象を下げるのは、ごく自然の反応だろう。
あわせて池上彰のニュース番組を見れば、保守政党に票を入れること疑いなしだ。

現在、日本の改憲や軍拡、歴史改竄は中国や中国人に対する偏見によって支えられている。

この『ありえへん∞世界スペシャル』は、世にはびこるヘイト本と同質のもの、
つまり、中国に対する蔑視を助長させるものだ。

池上彰のように「中立的意見」と称しながら政府見解をそっくりそのまま伝える男もヤバいが、
今回のように完全な間違いを真実としてCMのように気軽に流すのもまた大いに問題があるだろう。

それでもロシアは北朝鮮を守り続ける

2016-03-06 00:05:21 | 北朝鮮
北朝鮮に「国際社会」から「前例のない厳しさ」の「制裁」が下された。

私は前回の記事「国連安保理の対北朝鮮制裁の有効性」で、
①実際には、そこまで厳しい内容ではないこと
②にも関わらず、核開発とは無関係の内容まで制裁の対象にされていること
③総じて、英米仏が主導権を握る国際政治の場から発せられた嫌がらせであること
④結果的に、北朝鮮国内の金正恩への支持率は高まるであろうこと

の4点を指摘した。

この時、①については、
「今回の制裁はロシアが修正を要求し、内容がやや緩やかなものにされている」
と評価したが、ちょうど同記事をアップしてから約24時間後に、
ロシアのニュースサイト『スプートニク』から関連記事がアップロードされた。


参考までに紹介したいと思う。

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ロシアは北朝鮮を守り、
北朝鮮における自らの権益を守りおおせた


タチヤナ フロニ

日本は北朝鮮が国際社会に耳を傾け、国連安全保障理事会決議の採択による制裁強化で、
今後は挑発的な行動を慎むようになると期待している。日本の安倍晋三首相が述べた。

国連安全保障理事会は北朝鮮の最近の核実験やミサイル発射に対し、
北朝鮮に対する制裁を強化することを定めた、かつてないほど厳しい決議を採択した。

ロシア、中国も制裁に賛成した。しかし、他ならぬ両国の努力のおかげで、
厳しさと健全な理性との間のバランスを見つけることができた。

東洋学者のアレクサンドル・ヴォロンツォフ氏はそう見る。

「ロシアと中国のアプローチは周知のものだ。
 ロシアの国連大使ヴィタリー・チュルキン氏も安全保障理事会で繰り返したように、
 北朝鮮に対する新たな制裁は、その核・ミサイル能力の開発を制限する必要があるが、
 経済の民間部門に影響を与え、生活水準の低下にはつながってはならない。

 だからこそ北朝鮮に対する新たな複合的制裁については、
 2ヶ月という、前例のない長い期間を使って合意がなされたのだ。

 先に米国と中国がある種の妥協にこぎつけたのだが、
 それがロシアには納得できないものだった。

ロシアはさらなる努力により、広範な制裁を緩和しえたばかりか、
 朝鮮半島における自国の経済的権益を保護することに成功した。

 新しい制裁は、核ミサイル計画に関連していないところでの、
 北朝鮮とロシアの経済協力には影響しない。


具体的には、制裁は北朝鮮のラジンにある底の深い、不凍の港には及ばない。
ロシアは港に向けて鉄道54キロを敷設し、49年の年限で埠頭を租借し、
港湾設備を近代的し、それを通じてロシアの商品を輸送し、
海路によるアジア太平洋地域の各地への輸出につなげているのである。

北朝鮮はこのプロジェクトにおけるロシアの完全なパートナーであるので、
これで民間経済が維持されることになる。ロシアは客観的に北朝鮮経済の民間部門に
影響を与える可能性のある一連の分野別制裁の軽減に成功している」


残る問題は、制裁がどのように解釈されるかだ。
欧米諸国は最大限拡大解釈するだろうし、ロシアや中国は正確に書かれた文言を厳守するだろう。

米国の国連常任代表サマンサ・パワー氏によれば、
北朝鮮に対する厳しい経済制裁が新たに導入されたのにも関わらず、
米国は北朝鮮が核開発計画を放棄することを期待していない。
このことは驚くべきことだ。

新たな制裁措置の本当の目的は何か。
制裁のもつ戦略的な諸相について、ヴォロンツォフ氏は次のように述べた。

米国は攻撃兵器やミサイル防衛システムTHAADを含め
 軍事ポテンシャルを地域に確立するためにこの危機を利用している。


 それらは第一に、ロシアと中国のミサイル防衛力を制限することを目標としている。
 北朝鮮のミサイル実験は朝鮮半島へのTHAAD配備の正当化を模索する米国を利しただけだ。
 北朝鮮の政権交代という目標ももちろん、隠しだてできない。
 したがって、新たな制裁に対する北朝鮮の反応も予測可能だ」

北朝鮮は新たな決議を米国からの圧力の下で採択された不当なものであるとして受け入れを拒否し、
「主権を保護するのに必要な」ミサイルおよび核プログラムを継続するだろう、
とヴォロンツォフ氏は述べている。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/politics/20160304/1724061.html#ixzz422f4eGQC
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アメリカのアジア戦略は韓国~台湾~沖縄~フィリピン~マレーシアを結び、
その線をアメリカの第一防衛ラインにすること、及びライン内部の地域、
具体的には朝鮮半島と南シナ海を不安定化させることにある。



日本の自衛隊も基本的には、このプランに基づいて対策を練っている。
仮に普天間基地の県内移設が中止されたとしても、日本軍と米軍は沖縄に居座り続ける。

もはや日本の自衛隊はアメリカを守るための他衛隊と化している。

先日の裁判の和解など、喜ぶ気にもなれない。
むしろ、一時中断して話し合いをする=単なる時間稼ぎにすぎない
と考えない人間などいるのだろうか?もしいたら完全にお笑いだ。


日本政府とアメリカ政府は、県内移設という結論を前提に沖縄県に「理解」を促している。
その洗脳「説得」のための時間を設けたことが、それほどめでたいことなのだろうか?


北朝鮮の制裁と沖縄の基地化は歯車のように連動して起きている現象だが、
これに加えて、南シナ海におけるアメリカの軍事干渉を無視するわけにはいかない。

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中国の立法機関である全国人民代表大会(全人代)の年度会議開幕前の4日に開かれた記者会見で、
全人代の傳瑩報道官は、
「目下南中国海を出入りする先進的艦艇や航空機は
米国から来ているものが最も多い」

と述べ、
米軍は軍艦を南沙諸島付近の海域に派遣して
武力をひけらかし、中国人の感情を刺激している
と強調した。

上述の傳報道官の発言は、
米CBS放送記者の南中国海軍事化問題に関する質問に対する答えだ。
傳報道官は、「軍事化」は米側の大げさな表現で、言葉の覇権を反映しているとし、
米国のアジア回帰政策以降、米軍の軍事活動はどれほどあっただろう。
 軍事化という言葉を用いるならば、それこそが軍事化ではないだろうか
」と疑問を呈した。

米紙「ワシントンポスト」は3月3日、
米海軍は空母「ジョン・C・ステニス」編隊を南中国海に派遣したと伝えた。
報道が真実であれば、これはワシントンが南中国海海域での軍事活動を強めていることの最新の証拠だ。
昨年10月27日、米イージス駆逐艦「ラッセン」が南沙諸島渚碧(スービ)礁12海里以内を航行した。
今年1月30日には米海軍ミサイル駆逐艦「カーティス・ウィルバー」が中国に西沙諸島の領海に進入した。

http://j.people.com.cn/n3/2016/0305/c94474-9025621.html
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実効支配している島に中国が防衛ミサイルを配置








アメリカのミサイル駆除艦が中国の領海に侵入





「国際社会」と言う言葉は米英仏を主軸とする国際政治の場において
 アメリカと属国の言動を正当化させるための言葉でしかない。



大統領選を前にしてドナルド・トランプ氏の非難がやたらとされているが、2013年の夏に
化学兵器使用の疑い有りとの理由でシリアを攻撃しようとした
ヒラリー・クリントンも大いに嫌悪されてしかるべき人物である。

(イラク戦争と全く同じプロセスでシリア戦争が起きようとしていた)

しかもクリントンは、あくまでこの時の進言は正しかったと述懐している。
世界的に有名なテロリストの名前の中にヒラリー・クリントンがないのは実に不思議なことだ。


「制裁」という言葉は「正義は我にあり」という傲岸不遜な意識を前提に用いられる。
 正真正銘のテロ支援国家であるアメリカやイギリス、フランスが一切「制裁」を受けず、
 今のところ、他国に一切、攻撃もせず、死傷者を出していない北朝鮮が「制裁」を受ける。


客観的に評して、これは「妨害」と言うのである。


国連安保理の対北朝鮮制裁の有効性

2016-03-04 00:06:54 | 北朝鮮
ロシアやイラン同様、アメリカ主導の「国際社会」が北朝鮮に新たな制裁を課した。
「前例のない厳しさの制裁」と自画自賛しているが、実際には効果が怪しい内容が多い。


例えば、この制裁によると
北朝鮮はガラス製品とスポーツ用品が買えなくなる。



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The sanctions also include an extension of a list of explicitly banned luxury goods,
which now includes luxury watches, aquatic recreational vehicles,
snowmobiles worth more than $2,000,
lead crystal items and recreational sports equipment.

制裁には贅沢品の禁止品目の拡大も含まれている。
現在、2000ドル以上の価値がある高級時計や水上キャンピンカー、スノーモービルが
禁じられているが、これにガラス製品と娯楽用のスポーツ用品が追加される。

https://www.rt.com/news/334328-north-korea-un-sanctions/
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だからどうしたと言いたくなる内容。
スポーツ用品の輸出入と核実験の間にどのような関係があるのだろうか?

ない。


他にも制裁では、トラックなどの戦闘用に改造できる自動車の輸出も禁じられるが、
これもまた、北朝鮮の核開発とどう関係があるのかわからない。


例えば、ウランやプルトニウムの輸出を禁止するというものであれば納得がいく。
だが、スポーツ用具や自動車の輸出を禁じても核弾頭は製造できるのではないだろうか?




端的に言えば、これらは核開発の断念ではなく、
北朝鮮の経済を悪化させることを目的に設けられたものだろう。


要するに嫌がらせである。

ただし、もともと貿易で収入を得ている国ではないので、これらが本当に意味があるのかは不明だ。
(北朝鮮からの出稼ぎ労働者にも制限を与えるというのであれば話は別だが)

加えて、今回の制裁はロシアが修正を要求し、内容がやや緩やかなものにされている。


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採択された決議では、新規制裁の「北朝鮮への航空燃料の輸出禁止」について、
「北朝鮮の民間機への国外での燃料販売と供給は認める」とする例外規定が追加された。

さらに、新たに渡航禁止や資産凍結の制裁対象となるリストから、
ロシア駐在の北朝鮮国籍の人物が削除された。
北朝鮮とロシアの鉱業系の貿易を担っていたとみられる。
追加される個人は当初案の17人から16人に減った。

ロシアのチュルキン国連大使は記者団に「彼はロシアにいない。それが問題だった」と語った。

このほか決議では、北朝鮮からの金やチタニウムなどの輸入禁止
▽違法行為に関与する北朝鮮外交官の追放の義務化
▽北朝鮮の原子力工業省や国家宇宙開発局など12団体と16個人の制裁対象リストへの追加
▽ぜいたく品リストへの高級時計や2千ドル(22万8千円相当)以上の
 スノーモービルの追加などが盛り込まれた。

http://www.asahi.com/articles/ASJ324DNTJ32UHBI019.html
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制裁の内容をとりあえずロイター通信の記事
U.N. imposes harsh new sanctions on North Korea over its nuclear program
で確認したが、これを読んでも北朝鮮の貿易に致命的な打撃を与えるとは思えない。

日本の独自制裁同様、一見、厳しく見えるがその実、内容のない制裁になっている。
少なくとも北朝鮮との間で経済的交流があるロシアや中国が認可できるレベルであるのは確かだ。


参考までにイランラジオのガッファーリー解説員のコメントを載せておく。


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韓国、日本、アメリカ、
これらの3カ国に同調する多くの国は、安保理の対北朝鮮制裁決議の採択を賞賛しました。

これらの国は、北朝鮮に対する厳しい制裁の拡大は、
北朝鮮の核の発展を阻止することができるという強いメッセージを伝えるものだと見ています。

しかしながら、中国の国連大使は、これに関する中国政府の見解を明示し、
中国は依然として、ゲームのルールを守り、その中心的な役割を維持することを示しました。


中国の国連大使は、この決議の採択の後、
「北朝鮮に対する制裁行使は必ずしも目的ではない。
 なぜなら、安保理決議は核問題の抜本的解決には不十分だからだ」と強調しました。

中国は安保理におけるこの決議の採択にもかかわらず、
北朝鮮問題の関係国に対し、朝鮮半島の非核化と平和政策に向け協議を加速するよう求めています。

中国が重要と見ているものは、地域のすべての関係国の制裁が公正に実施されることです。
つまり、懸念払拭を目的としたバランスの維持は、もしこのような意向が相手側に生まれれば、
明らかに中国は平和の実現に向けて他の国と緊密な協力を行うでしょう。


一部の政治評論家は、韓国における弾道ミサイルシステムTHAADと
アメリカの新たな軍隊4000人の配備、軍事的に優位に立つ国になるとする
安倍首相の最近の表明に注目し、中国はこの領域での自分の利害を考えていると述べています。

北朝鮮に対する中国の暗示的な支持は、こうした見解を裏付けています。

対北朝鮮制裁決議の採択からまだ数時間も経過していませんが、
北朝鮮は、東シナ海に向けてミサイル数発を発射し、この決議に反発しました。

北朝鮮の関係者は、
「これらのミサイルの発射は、北朝鮮が厳しい制裁に耐え、
 自らの立場から退かないということを知らせるための、アメリカとその同盟国に対する警告だ」
と語っています。

ある研究者が述べているように、北朝鮮に対する制裁は、
同国の経済と他国との外交関係に強く影響を及ぼすでしょう。
制裁がもし協議によって追求されなければ、北朝鮮は限度を超えて、核兵器拡散制限を破るでしょう。

http://japanese.irib.ir/news/commentaries/item/62751-
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前の記事で触れたが、アメリカのアジア戦略の要点は
韓国、沖縄、台湾、フィリピン等を結んだ線を防衛ラインとし、
その内側の地域を不安定化させることにある。



ここには東シナ海と南シナ海、そして朝鮮半島が含まれる。




このプランに基づいて、現在、アメリカは南シナ海や東シナ海で戦闘機や軍艦を発進させ、
加えて大規模な合同軍事演習や属国への兵器売買を行っているのだが、なぜか訴えられることがない。


もちろん、この地域の人間、特にフィリピンや沖縄、韓国の米軍基地周辺に住む民衆は
確かに自国とアメリカの政府を非難し、抗議の声を挙げているのだが、
アメリカのアジアにおける軍拡の動きについては、国連は何ら反応しない。


さらに言えば、アメリカは先日、
中国や北朝鮮を威嚇するための長距離弾道ミサイルの実験を二度も行ったが、
これに対してイギリスやフランス、日本、韓国は制裁を加えようとはしない。


(他国を威嚇するためのものだと国防副長官がハッキリと公言している。
 この件については個別記事を書くつもり)


北朝鮮が打ち上げたのが人工衛星であることは同国が提供した映像資料からも明らかだし、
このことはアメリカ政府も認めていることである。一連の反応をコミカルに表現すれば、





北朝鮮の気象衛星打ち上げ










アメリカの弾道ミサイル実験




いかに国際社会というのが、あてにならない言葉かよくわかるエピソードだ。

(実際は、米英仏侵略トリオが大権をふるう国連の場を「国際社会」と称しているにすぎない)

最近、ようやくサウジアラビアのイエメン侵攻が問題にされ始めたが、
この国際社会とやらは、つい数ヶ月前までは、一切、この問題に目を向けようとはしなかったし、
リビアに向けての空爆にしても、民衆を救うためなら許されるという旨を国連事務総長が発言した。
(間違いなく、その民衆が空爆によりかなりの被害を受けているのだが。
 なお、この空爆にあわせたリビア壊滅作戦はイスラム過激派と連携して行われている)


ウクライナの自国民に対する中央政府のジェノサイドは
逆に地方政府を支援するロシアが制裁の対象にされてしまうし、
シリアのアルカイダ系列の武装集団を支援していたフランスやイギリスは一切お咎めを受けない。

そのくせ、核兵器を開発しているかもしれないという理由だけで簡単にイランへの制裁が決まる。


いったい、何が何やらという話だが、これは当の北朝鮮の民衆が感じていることであろう。

ロシアのプーチン大統領は2012年の時点で再任を望む声が40%だったのだが、
ウクライナ問題の後に経済制裁を受けてから、74%にまで高まった(2016年3月時点)。


ましてや、自国の領海付近で先制攻撃をするための軍事演習を大軍で行い、
経済制裁などの嫌がらせを日常的に行っている現在、金正恩の支持率が高まるのは想像に難くない。

プーチン同様、金正恩も国内のインフラを整備し、
また生産システムを改革して経済を飛躍的に上げている(どこぞのアベノミクスとは違う)。


再三、述べていることだが、北朝鮮は継続して
アメリカとの平和条約の締結を条件に核開発の中断を提言している。
また、核抑止により防衛費を削減し、その分、経済発展のための予算につぎこんでいる。


こういうことは、国外はもちろん、国内にも伝わっていることなので、まず間違いなく、
北朝鮮の民衆は現在進行形で自分たちを攻撃するアメリカに対して良い気分を持たないだろう。

北朝鮮国内でスポーツ用具を生産する技術やラインがあるのであれば、
まぁ、まだマシなのかもしれないが、仮にこの制裁によって国民の娯楽が減ったとすれば、
北朝鮮国内でアメリカや韓国に対する今以上の敵意が膨れ上がるのは時間の問題だろう。

(ちなみに、日本のメディアはやたらと北朝鮮を反日国家にしたがるが、
 北朝鮮にとって最大の敵国はアメリカで次が韓国、日本はあまり言及されていない。

 もっとも、先日の全くもって政治的な慰安婦問題の妥結についてはかなり厳しく批判している。
 日本の右翼は慰安婦問題に触れるだけでも反日認定しそうな勢いなので、
 自分に逆らう人間=反日という非情に安直で幼稚な考えを持てば、北朝鮮も反日国なのかもしれない)