時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

ウクライナ内戦とスペイン内戦

2014-08-31 23:18:23 | リビア・ウクライナ・南米・中東
ロシアの「コムソモリスカヤ・プラウダ」紙の特派員が
ドネツクの義勇軍に混じって米国帝国主義と闘うフランス人が数人いることを確認した。


フランス人義勇兵の名はヴィクトル・ニコラス、ギヨン、ミーカ。
彼らはすでに1週間以上にわたってドネツクで戦っている。

4人は最初キエフが革命を起こし、
これに西側が支持を表明したことを知ったが、
その後キエフがドンバスの市民に対して攻撃を仕掛ける様子を見て、
本当の革命がおきているのはキエフではなくウクライナ東部だ
と理解した
と語っている。



4人は、ウクライナ兵は、ドネツクの新ロシア派はテロリストではないことを理解しており、
これを相手に戦いたいとは思ってはおらず、士気を逸していると語った。

4人はウクライナ軍が居住区など、
ドンバスの義勇兵がいない一般市民の施設を攻撃している
ことに憤慨しており
、軍事犯罪行為と非難している。



続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_08_31/276664259/




漫画や映画のような話だが、こうなるといよいよもってスペイン内戦を彷彿させる。

スペインの内戦は第二次大戦の前哨戦であり、フランコ率いる反乱軍と、
共産党や社会党などの連立政権による政府軍との戦いであった。

結果的には、独・伊に支援されたフランコがソ連に支援された政府軍に勝利。
それまで英仏米は事態を傍観していたが、自国が侵略される危険を感じると、
ただちに掌を返して民主主義国家として全体主義国家と戦うことになる。


その間、各国の社会主義者たちが義勇兵として参加している。
アメリカの作家、ヘミングウェイやイギリスのプロパガンダ作家、オーウェルが有名だ。

フランコ軍の打倒が第一目的だったコミュニスト勢力と、
社会制度そのものを変革させるアナキスト勢力との間で衝突と弾圧があり、
コミュニスト自身も根本的な部分ではソ連の国益に従って動いたため、
この内戦は共産主義叩きの格好の事例として説明されている。


ソ連とナチスを戦わせようとする列強の黒い思惑が完全に無視されている歴史観で、
私は、正直言って、それは戦勝国を美化させる結果に陥っていると思う。


ナチスと勇敢に戦ったかのごとく言われているが、それは仕方なく戦ったに過ぎない。
その証拠に、戦後イギリスとフランスは、ギリシャやベトナムの再侵略に心血を注ぐ。


弱点を抱えてはいるが、スペイン内戦で人民戦線政府は
歴史上、初のファシズム政権と戦った集団であり、その意義は忘れてはならないだろう。



さて、話を戻すと、
今回もロシアに支援されるウクライナ東部と
欧米に支持されるネオナチ政権との間で戦いが起きている。


キエフ軍の横暴はこのサイトで何度も紹介してきたとおりだが、
他方で独立派(と私は呼ぶ)の兵士も誤って市民に暴行を加えたり、
拉致・連行するケースはある。もちろん、アムネスティなどの人権()団体の
報告が情報源なので、違うといえばそれまでだが、内戦である以上、
それなりに汚いことをしていると思われる。


問題は、構造的な暴力(先進国が後押しする地方の侵略)を無視して、
どちらも悪いということで結果的により悪質な犯罪を巧妙に隠匿することである。


これは左翼にも実に多いと思う。

よその土地に押し掛けて空爆を連日行い、インフラを破壊し難民と犠牲者を生みだす暴力が
独立派のより小さな犯罪と同質にされて、不問にされる。こういう間違いは左翼もよく犯す。


マレーシア機の撃墜は、未だにどちらの仕業かはっきりしないが、
百歩譲って独立派によるものだとしても、被害の規模も残虐性も
キエフ軍のほうがケタ違いに大きいのであって、そこを無視してはいけない。


私はスペイン内戦についての一般的な解釈を読む限り、
どうもこの内戦もまた、将来的にはキエフ軍の横暴は忘却され、
代わりに独立派の犯罪はいつまでも長く語り続けられるのではないかと思えてならない。

ラテン・アメリカの赤き風

2014-08-31 22:43:30 | リビア・ウクライナ・南米・中東
ベネズエラを含め、反米左派政権が樹立してはいるものの、
いまだ安定しているとは言えないラテン・アメリカの諸国家。



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中南米の左派政党や進歩勢力で構成するサンパウロ・フォーラムの
第20回会議が25~29日、ボリビアの政府所在地ラパスで開かれ、
諸国民間の連帯や協力、補完などの原則にもとづく地域統合の推進を
「最終宣言」で呼び掛けました。


宣言は地域統合について、メキシコ、ペルーなど4カ国の自由貿易協定「太平洋同盟」
と環太平洋連携協定(TPP)は中南米の地域統合の分断をねらっていると批判。「


大国に従属するこれらの統合のやり方を拒否する」と述べています。


また新興5カ国(BRICS)がこのほど合意した途上国のインフラ整備を
支援する新たな開発銀行の設立と独自の外貨準備基金の創設の重要性を強調しています


国際情勢については、
リビア、イラクなどでの
米国や北大西洋条約機構(NATO)の軍事攻撃
や、
パレスチナ自治区ガザに対するイスラエルの空爆などを非難。

これらが、イスラム教過激派組織「イスラム国」のような
武装グループを増大させていると指摘しています。



宣言は、25年前のフォーラム創設時、
政権についていた加盟政党はキューバだけだったが、
現在は10カ国以上で政権についていると指摘。



今日、中南米はもはや「変革の時代」ではなく「時代の変革」の中にあると強調しています。


フォーラムには世界各地の30カ国以上から80以上の政党の代表が参加。
日本共産党から松島良尚国際局員がオブザーバーとして出席しました。


サンパウロ・フォーラム 

中南米諸国の左派政党や進歩勢力が、世界情勢や各国に共通する課題を議論する場。
第1回は1990年にブラジルのサンパウロで開かれ、
その後、ほぼ毎年、中南米各国で会議を開いています。
日本共産党は93年の第4回会議から、オブザーバーとして招待されています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-08-31/2014083106_01_1.html
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こうしてみると、キューバの持つ求心力は凄まじいものなのだなと感じさせる。

実のところ、南米に左派政権が台頭しはじめた2000年代以前では、
キューバは浮いている状態だったのだが、
今では逆に反グローバリズムの戦法として役目を果たしているわけだ。


2009年のリーマンショック以降も、新自由主義は死ぬどころか、
そんなものなどなかったのごとく、今も鎌首をもたげている。

手や足がもげても戦い続けた荒武者の話を想起させる。
恐慌が起きようと、末端の従業員や社員を切り捨て、投資を続ける。

これがキャピタリズム(資本主義)なのだなということを、
最近のアベノミクスや米欧のやり口をみると強く思う。


このとばっちりを受けているのが途上国であり、
ウクライナ南東部のドンバスの炭鉱に勤める男たちである。

彼らは自分たちの炭鉱を封鎖し、職を失う代わりに、
遠方の石炭が国内に輸入されるわけである。たまったものではない。


結局、ウクライナ(炭鉱)といい、南米(油田)と言い、
そこにあるのは資源の問題であり、中央と地方のどちらに利益があるかということだ。

ロシアの人道支援 (インタビュー記事から)

2014-08-30 22:13:07 | リビア・ウクライナ・南米・中東
現在、ロシアはウクライナ南東部の紛争において、食糧や衣服などの必要品を届けている。
政府はもちろん、民間のボランティアが多い。元々現地に住んでいた人もいる。


このような人道支援が国際的に激しく非難されている今、
実際に現地に物資を届けている人間の言葉をもとに改めて同問題について考えたいと思う。



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連日、ロシアからノヴォロシア(ウクライナの蜂起地域の自称)へ
人道支援物資が運ばれているが、それらの物資を届ける運転手たちに話を聞くことができた。


イーゴリ・ザプリャガイロさん(35歳)は、人道支援物資の運送人で、
生地のベルゴロドからドネツィク(ドネツク)やルハーンシク(ルガンスク)へ
車を走らせている。

軍人の家庭に生まれ、父親のアレクサンドルさんは、
ベルゴロド州のハリコフ同郷人会の世話役だ。



―そもそも、なぜ人道支援物資を運ぼうと思ったのですか? 怖くありませんか?


もちろん怖いです、ごく自然な感情といえますが、
私は、軍人の家庭に生まれ、社会政治活動に従事し、
「ロシアの愛国主義者たち」の青年組織をまとめています。

―ベルゴロドからドネツィクへのルートについて聞かせてください。
時間や労力はどれくらいかかりますか?


ベルゴロドからドネツィクまでは、片道750~800キロ、ほぼ二昼夜の道程です。
ロストフ・ナ・ドヌに積み替え地点があり、集められた物資はみんなそこへ運ばれます。

支援物資にはそれぞれ宛先があり、
ロシア全国から集められるすべて物資の分配がロストフ・ナ・ドヌで行われ、
たとえば、医薬品は、ドネツィクとルハーンシクの両人民共和国の病院から
寄せられる要望にもとづいて発送されます。



―主に医薬品を運んでいるのですか?

そうですね。
最近は、ドネツィクの火傷治療センターやルハーンシクの州立病院へ
血液や傷の癒着のための特別の薬剤を届け、食料を運んだこともありました。


―ノヴォロシアでは迎えてくれたり同行してくれたりする人はいるのですか?

国境ではドネツィクとルハーンシクの
両人民共和国の有志のコーディネーターたちが迎えてくれます。


―それでもウクライナ側の銃弾に晒されることはありますか?


もちろん砲撃されることはありますけれども、
人道支援物資の輸送回廊の状況はつねに把握していて、
状況が許さなければ半日か一日どこかに留まりますから、
届けるのに時間がかかってしまうのです。

ときには、国家親衛隊のメンバーや「右派セクター」の極右民族主義者ではない
ウクライナの軍人たちが、人道支援物資を積んだ車両を通行させてくれることもあります。


―物資の運送は、いつごろから始まり、あとどれくらい続きそうですか?

ベルゴロドの同郷人会がノヴォロシアの支援に積極的に乗り出したのは、
6月15日から20日にかけてですが、今後さらに力を入れなくてはならないと思います。

当初は週一回の発送を予定していましたが、
企業や有力な実業家も呼びかけに応えてくれて、平均2トンずつ支援物資が集まっています。


アナトリー・トロイノフさんは、
2014年3月7日からウクライナ南東部へ人道支援物資を運んでいる。

この間にすでに伝説の人物となり、ウクライナ軍はその首に懸賞をかけているという。

アナトリイさんはドンバス(ドネツ炭田)の出身で、
母親もドネツィクに住んでいるが、そのような背景がなかったとしても、
アナトリーさんは、ノヴォロシアを支援していたにちがいない。

それを自分の使命と信じて…。


―まず、ご自身についてお話しください。

アナトリー・アレクサンドロヴィチ・トロイノフ、30歳です。
以前は、企業家として小規模ビジネスに従事し納入の仕事に携わっていましたが、
今は、金稼ぎやビジネスどころではなくなりました。


―ノヴォロシアへの人道支援物資の輸送に従事しようと思ったのは、なぜですか?

母は、ここドネツィクに住んでいて他所へ行きたがりませんし、
私も、ここの出身で17年ほどリストヴャンカに住んでいました。

ここには、おじも教父も二人の甥もいます。
ここで起こっていることをテレビで目にすると、あれは自分の仲間じゃないかと思われて、
とても無関心ではいられなくなるのです。


―ドネツィク人民共和国の人々の支援はいつごろから始めたのですか?

3月7日からで、その日、スラヴャンスクへ届ける最初の小さな荷物を受け取りました。


―ボランティアの人たちが
人道支援物資を運ぶ際に
亡くなったケースはありますか?


はい。


―人道支援物資を積んだ車には、何かそうした表記はあるのですか?

最初はありましたが、そうした車両がかえって狙われるのです。
ウクライナ軍人たちだって、お腹を空かせていて、人道支援物資にありつきたいのです。


―ロシアからノヴォロシアへは、どのくらいの頻度で、
そして、あとどれくらい、通われますか?


きょう荷物を運んできて、これから荷降ろしをして、ふたたび出かけます。
戦争が終わるまで、ロシアからノヴォロシアへの道があるかぎり、私はここを去りません。

―車両は砲撃に晒されるそうですが、防御は施されてあるのですか?

いいえ。運頼みというわけでもありませんが、
速く走れるようになるべく車を軽くしてあります。
一度に15トンずつ運びたいところですが、車がぜんぜん足りず、
カマズ社のトラックでもあれば最高なのですが、そうなると燃料の問題もありますし…。


―支援はどこから寄せられていますか?

もっぱらロシアからです。変わらぬパートナーのような組織や企業があるのです。
以前は、「ある者にとっての戦争がある者にとっては生みの母親」という諺のとおり
人道支援の分野には余り信用できない人たちもいるので、
ビデオによる報告を求められまして、たとえば、ロシア正教会からも
そうした報告を求められたのですが、今ではすっかり信用してくれています。

夜半に着いたら、カメラも使えませんし…。
今は、ただ荷物を積んで十字を切って神と共に出発し、向こうに着いたら電話をします。


―この仕事で忘れられないエピソードはありますか?

あるとき、人道支援物資を収集するテントのそばに立っていると、
4歳くらいの女の子が近づいてきて、人形を差し出して
「スラヴャンスクの子供たちに届けて」と言うので、私はその通りにしてあげました。

http://jp.rbth.com/society/2014/08/07/49559.html
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ウクライナ軍から砲撃を受けるリスクを負いながら支援を続ける一方で、
武器を送ったり、逆に反乱者が亡命する手段になりかねないからと批判を受ける。


ウクライナ軍は現地に爆弾を落としてくれるが、
生活に必要な水や食べ物を決して届けてくれない。



仮にウクライナ軍が空爆をやめさえすれば、
百歩譲って赤十字社が現地で活動してくれればロシアが支援することもない。


この点を忘れてはいけないのではないだろうか?

アメリカ人権外交について

2014-08-28 23:35:27 | 国際政治
かつてヨーロッパ諸国はキリスト教の価値観を絶対視し、
それとは異なる道徳、生活、文化を有していた諸民族を蔑視し、
これを文明化させることに使命を燃やしていた。


その構造は現代でも変わらず、キリスト教に代わって
人権や民主主義が台頭し、中東やアジアなどの非民主国を攻撃している。

これらのイデオロギーは被支配者が自己の権利を求めて拡張させた経緯がある一方で、
あくまでも他者を征服するための発明品なので、自国では徹底されない傾向にもある。

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人権を騒ぐ米国で

9日、米ミズリー州で起きた白人警官による
黒人少年射殺事件をめぐり、米国が揺れに揺れている。

犠牲者は武器を持たず
両手をあげていたという目撃証言も出たことから、抗議デモは主要都市へと拡散。


このような中で、
またも白人警官が20代の黒人男性を射殺するという事件が19日、同州内で起きた

▼国民と社会の安全を守るべき警官が公然と国民を射殺した事件は世界に衝撃を与えた。
 が、白人警官による黒人銃殺事件は後を絶たない。
 近くは昨年7月、無防備の黒人少年を銃殺した白人警官に無罪の判決が下された。
 殺人行為が正当防衛にすりかえられる、構造的なゆがみがこのような事件を後押ししている。

▼にもかかわらず、米国は他国に対しては人一倍人権問題を騒ぎ立てている。
米国務省が定期的に発表している「国別人権報告書」がそれだ。
報告書で非難されたロシアは、今回の事件を受けて、
自分たちの疑わしい経験を他国に押しつける前に、
自身の国の秩序を回復させるよう要求した。

中国、キューバ、イランなども一斉に「反撃」を加えた。
朝鮮外務省は26日、米国こそ人権蹂躙国家だと痛烈に非難した


▼米国に数々の言いがかりをつけられてきた朝鮮の立場は一貫している。
 米国は人権問題の改善に関心があるのではなく、
 人権問題を口実に朝鮮を転覆させようとしているということだ。


 米国社会の実態は、米国に人権問題を騒ぐ資格すらないことを物語っている。
http://chosonsinbo.com/jp/2014/08/il-352/

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人権や民主主義が本来持っていた役割、
すなわち、社会的弱者や弱国の権利を守るという機能を徹底させるのではなく、
他国への干渉(最悪の場合、消滅)の口実として利用されているわけだ。



ウクライナ問題しかり、北朝鮮しかり、気に入らない国家、
資源を有している国家に対する人権外交は陰湿かつ執拗に行われている。


だが、これは何もアメリカの専売特許ではなく、
イギリスやフランスなどの西洋で一般に見られる行為であり、
日本や韓国などの属国でも同様に行われていることでもある。



私は反共左翼という言葉をもって、本質的には反共主義であり、
右派と提携すらしてしまう集団の悪質性を強く非難してきたが、
人権活動家や平和団体の中にもそういうものはいる。


よって、私たちは右か左かではなく、もっと真剣に、かつ念入りに
相手の本質を見定め、その主張を批判的に解釈しなければならないだろう。

横浜市の思想弾圧 ~現代の焚書坑儒~

2014-08-28 22:53:01 | 浅学なる道(コラム)
独裁は既に始まっている。

始皇帝で知られる古代中国王朝、秦の時代に焚書坑儒というものがあった。
これは書物を燃やし、儒学者を生き埋めにするという思想弾圧政策だが、
これと同じ歴史隠ぺい工作・思想弾圧政策が日本の都市で目下、行われている。


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「朝鮮人虐殺」を抹消/横浜の副読本「わかるヨコハマ」改訂、回収問題(上)
 歴史を学ぶ市民の会・神奈川 後藤周

「わかるヨコハマ」は横浜市教育委員会が市立中学校1年生に配布している副読本である。
この副読本の関東大震災の記述が政治介入によって改訂、回収されるという問題が起きた。
副読本記述改訂と回収の経過と問題点について報告する。


副読本2012年度版は関東大震災時の朝鮮人虐殺について次のように記述している。

「デマを信じた軍隊や警察、在郷軍人会や青年会を母体として
組織されていた自警団などは朝鮮人に対する迫害と虐殺を行い、また中国人をも殺傷した。
横浜でも各地で自警団が組織され、異常な緊張状態のもとで、
朝鮮人や中国人が虐殺される事件が起きた」

2012年7月19日の市議会・常任委員会で、自民党市議が
「我が国の歴史認識や外交問題に大きな影響を及ぼしかねない」としてこの記述を批判した。

記述の批判点は二つ、
①軍隊、警察は殺害に関与していない。
当時の官憲はむしろ「殺害される朝鮮人を保護していた」
②「虐殺」という言葉は、
関東大震災の朝鮮人殺害では「世間で使われる表現ではない」、というもの。


二点とも歴史研究の成果とはかけ離れた一市議の特異な歴史理解である。
軍隊・警察が殺害に関与したことは軍隊自身の公的記録からも明らかな歴史事実だ。

官憲が当初は朝鮮人暴動の流言を信じ迫害と虐殺に関与したことが、
虐殺を拡大・激化させた一因とみなされている。


また、「朝鮮人虐殺」は百科事典や辞書、
教科書にも記された「世間で使われる」歴史用語である。



この自民党市議の特異な見解は、学習教材を検討する上では考慮の枠外のものに過ぎない。

ところが、答弁に立った山田巧教育長は、
市議の発言を受け入れ副読本の改訂と回収を約束したのだ。

横浜市教委は教育行政の責任者としての自覚も見識も示さず、
政治介入を安易に受け入れたのだ。



政治介入を受け入れた結果、横浜の教育には異様な事態が引き起こされていく。

(1)歴史教材としての検討が行われなかった改訂作業

市教委は改訂の基本方針を2012年10月に決定、「軍隊・警察の関与は記述しない」
「『虐殺』『迫害』の語句は用いず『殺害』とする」を具体的内容とした。

市教委指導主事室が主導し、執筆者には了解を得るという形であった。
歴史教材としての検討はなく、自民党市議の主張に沿った改訂が行われたのだ。


(2)「虐殺不使用」の学校通知と職員処分の強行

市教委は2012年9月25日、
各学校に対して「軍隊・警察の虐殺関与を否定」「虐殺の語句の不使用」を通知する。

また9月28日には関係職員4名に対し、
文書決裁をしていなかったという理由で懲戒処分を行う。



副読本は従来一度も内容に関する文書決裁は行われていない。不当な処分だ。
学校通知と懲戒処分は、
市教委が強い意思をもって教育内容を一方的に統制したものと言える。


(3)前代未聞の副読本回収と溶解処分

2012年度版の回収が行われた。

2013年5月末の回収率は44.3%と半数にも達せず、
6月には二度目の回収指示(未回収者からは理由を聞きとることを指示)を出し、
約2万7千人の生徒とその家族に対して執拗な回収要請を続けた。

1971年に始まる副読本は毎年のように改訂があったが、回収が行われたのは前代未聞のこと。
しかも、回収した15,584冊は年度末の3月、廃棄文書として「溶解処分」された

2012年度版の副読本を
生徒の手から奪い取っただけでなく、
その存在自体も抹消した。


(4)市民の閲覧を妨害

副読本は市民に市販され、
また閲覧できるように市民情報センター、中央図書館に常置されている。
ところが2012年度版だけは市販されず、市民は入手できない。

市民情報センターからは一時引き揚げが行われた。中央図書館では1年以上も、
2012年度版だけが開架棚ではなく、気づきにくいカウンター内に置かれてた。

副読本という歴史教材の問題を、横浜市教委は教育ではなく
一部政治勢力への対応として改訂・回収を断行し、次々に異様な事態を引き起こしたのだ。

http://chosonsinbo.com/jp/2014/08/sk282-2/
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自民党の言いなりになっているのも凄まじいものだが、
わざわざ回収して溶解処理する念の入り様には驚かされる。



おまけに文書決裁をしなかった職員を懲戒処分している。逆らう者には罰を……か。


何度か話しているが、独裁というのは
オーウェルが描写した1984年の世界のようなものでは決してない。


オーウェルは当時のイギリスをそのまま描けばよかったのである。
この世界的に有名なプロパガンダ小説のために歪んだイメージが流布されているが、
独裁は言論の自由と思想の自由が認められている民主主義国で民主的に行われる。


一見すると、この副教材に対する市と教育委員会の悪行は甚だしいものだが、
全体的に見れば、圧倒的に多数の人間によって支持・黙認されているし、
手続きも上意下達ではなく、文書決裁の形式で行われている。


問題の市議会議員が絶対的な権力を持っているわけではなく、
教育委員会や校長、教員が場の空気を読んで自発的に協力している。

一連の事件が隠ぺいされているわけでもない。
むしろ、この事件は朝鮮新報ももちろんのこと、共産党も批判している。


http://www.jcp-yokohama.com/archives/7573

圧倒的多数のメディアが関心を寄せないだけにすぎない。

世論でこの種の弾圧が問題視されていないだけだ。



しかし、それが問題である。

独裁というものは大衆の支持によって成り立つのであり、
オーウェルが「これが共産主義国や!」と描いた地獄の世界ではなく、
我々が住んでいる現代の民主主義国で維持されている(現在進行形なのがポイント)。

この点を自覚しない限り、自国の異常性に我々は気付かないのではないだろうか?

2時間で血税4億円を使い果たす陸上自衛隊演習

2014-08-26 00:26:06 | 軍拡
軍事とは金のかかるものである。それも無駄金が。


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陸上自衛隊は24日、国内最大規模の実弾射撃訓練「富士総合火力演習」を
静岡県の東富士演習場で一般公開しました。

世界文化遺産に昨年登録された富士山のすそ野に、
戦車などが実弾を次々と撃ち込み、地響きを立てました。


防衛省によると2時間で使った弾薬約44トンは約3・5億円相当。
燃料費の約3000万円を合わせて約4億円近い血税を費やしました。

演習は3年連続で島しょ部での作戦を扱いました。
敵部隊の離島侵攻を想定し、それを制圧する軍事力をアピール。
海上自衛隊のP3C哨戒機や航空自衛隊のF2戦闘機を加えた「統合作戦」も展開しました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-08-25/2014082501_02_1.html
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演習というのは、あくまでも練習にすぎない。
4億円を使ってあるかないかわからない攻撃に備えているということか。

大日本帝国の時代ですら、日本の領土が侵攻されたのは沖縄戦のみ。
ましてや経済がグローバル化して、日本の危機=世界経済の危機となった現代世界で、
本気で国際社会で孤立することを承知で離れ小島を侵攻する国があると思うか?


中国が本気を出せば尖閣諸島の一つや二つ、簡単に奪えるだろう。
だが、それをしないのは経済的に日中は一蓮托生で、
中国の経済発展を犠牲にしてまで奪うものではないからだ。


結局、この手の演習は防衛省の官僚や安倍派の右翼集団、ならびに
軍拡で得をする者たちのために行われている政治的なパフォーマンスにすぎない。


たった2時間で4億円を台無しにする演習をするぐらいなら、
少しでも東北の復興支援の予算に組み込むべきだ。優先順序を考えてほしい。

日本人を名乗るということ

2014-08-20 21:23:26 | 浅学なる道(コラム)
テレビや新聞、雑誌、本、ネットでは、
ことあるごとに日本、日本人と小うるさく騒ぐ動きがある。

チャンネル桜の合法詐欺番組や池上彰のテレビタックル()はもちろんのこと、
歌謡番組でも「日本の歌100曲」とかバラエティでも「日本の職人」、
スポーツ番組でも「ニッポン、チャチャチャ」、日の丸のオンパレードだ。


だが、当然、日本人を名乗るからには義務と責任というものがある。

「日本国民は、恒久の平和を念願し、
 人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、
 平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、
 われらの安全と生存を保持しようと決意した。」

「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を
 地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、
 名誉ある地位を占めたいと思う。」

「日本国民は、国家の名誉にかけ、
 全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う。」

これは日本国憲法の前文を抜粋したものだ。憲法が定義する日本人とは、
「日本国民」は「国家の名誉にかけ」「全力をあげて」誓っているのであり、
これを守るかどうかで日本人かそうでないかが決まるわけだが、
日本や日本人を強調する連中(特に自民党やネトウヨ)に限って、
隷従や偏狭を除去するどころか奨励しているではないか。

全力をあげて崇高な理想と目的が達成されないようご活躍されている(笑)

日本人という看板はもう少し重いものであるはずだ。

まぁ、ネトウヨはストレス解消が第一目的で、本音のところでは
日本人としてのプライドなど持ち合わせちゃいないのだろうが、
せめて連中を焚きつけているメディアや政治家は本当の誇りを持っていてほしい。

人種差別者の矛盾

2014-08-19 23:40:25 | 浅学なる道(コラム)
左派系サイトのコメント欄を読むと、必ずと言ってよいほど、
「朝鮮人は基本的に屑」といった差別主義者のクズ発言が寄せられている。

彼らの多くは黒人差別などには反対する一方で、民族差別は容認している。
だが、これは矛盾した行為(差別をよく知らない人間の発言)だ。


人種は英語のRaceの訳であり、この言葉は「人種」と同時に「民族」という意味がある。

黒人差別とアイヌや琉球、コリアンへ対する差別は
いずれも英語ではRacism(レイシズム)と表記する。


つまり、人種差別と民族差別は同じである。


それをあたかも違うかのように演出し、前者はNGだが後者はOKと語るのは詭弁だ。


他にもレイシストの発言はおかしなものが多い。

その究極的な矛盾は、
自分の出自を決して語らないことにある。



他人のことをどうこう言う割には、
自分の血筋を決して明かそうとしない。


http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/7860.html

上のページを読めばわかるように、
明治維新後の日本人の9割は平民だった。

つまり、明治期の日本人で、
武家や公家をルーツに持つ者は5%もいないのである。

左利きの人間(10%)よりも少ないわけだ。



ちなみに私は祖父が武家、祖母が公家で、
幸運にも恵まれた血を受け継いでいるのだが、その恩恵は特にない。


むしろ、私はこれを日常では隠して生きている。
こういうのは自分の心の中だけで誇るべきであって、
竹田恒泰のように、それを強調して威張り腐るのは人として恥ずかしいからだ。

一言でいえば、品がない。
中身のない人間ほど、血筋だの身分にこだわり余裕がないと思う。


それに、血筋は高貴さを伴わない。
最高レベルの血であるだろう面々が、麻生太郎や平沼郁夫、
安倍晋三、竹田恒泰などのこぞって極右のバカばかりである。



いずれにせよ、ネットや出版物で「日本人は素晴らしい!」と語る連中は
日本人のほとんどが百姓だったという純然たる事実に触れない。

田んぼや畑で農作業をしている連中をもってして
「誇りある日本人(キリッ)」とはしたくないのだろうか……?


ネットで日本人を強調し、日本人の素晴らしさを騒ぐ連中の中で
「俺は武家の生まれだから、貴様ら在日とはレベルが違う」といった
 論調で差別をする人間は非常に少ない(私は見たことがない)。


逆に「日本人」という最大公約数で自分のルーツを定義し、
いかにも由緒ある一族の末裔であるかのように虚勢を張る人間は実に多い。


正直、そういう輩は、自分が水呑百姓(小作人)
の子孫であることを隠したがっているのでは?



アメリカの人種差別において、もっとも過激に差別したのが
プア・ホワイトと呼ばれる貧民層の白人であったように、
大した血をひいていない連中に限って暴力的に差別しているように見えてならない。


石原慎太郎も祖父は丁稚奉公の小坊主だった。
三国人とコリアンを差別するくせに、生まれは武家でも公家でもないのである。


橋下徹氏も父親がヤクザだったし、そういう人たちって
何かコンプレックスがあって、人種差別をしているんじゃ?


……というのは邪推だろうか?

いずれにせよ、人種差別をする割に自分の血を明かさないのは
この手の差別者の究極にして本質的な矛盾であろう。



「武士は食わねど高楊枝」というが、私は自分の高貴さは、
 金でも地位でもなく、己の振舞い方だと固く信じている。


ウクライナの出来事に目をつぶる国際社会

2014-08-18 23:33:50 | リビア・ウクライナ・南米・中東
ここ最近、ウクライナについて何も書かないのは、
南東部においてウクライナ軍によるジェノサイドが常態化しているからだ。

つまり、爆撃が当たり前になっているので、
恐ろしいことに書く内容がマンネリ化しているのである。


そこで、今回はこの事態を徹底して無視する国際社会の批判を
ロシアの声の評論を紹介することによって行いたいと思う。


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西側のマスコミは、ウクライナに関する情報をより分けている。
テレビや紙面で紹介されるのはウクライナ政府の発言であり、義勇軍の発言はない。
ウクライナ南部・東部の人道的大参事は無視されている。
ダブルスタンダードの原則が作用している。


現在ウクライナ情勢に関心を持っている西側のジャーナリストは少ない。
欧州のテレビ局も米国のテレビ局も、ドンバスで起こっていることを全く伝えてない。

また避難民についても全く触れられていない。ロシアとウクライナの国境地域では、
空爆によって隣国への避難を余儀なくされた人々のための野営地が開設されている。

だが外国のジャーナリストたちは野営地へ訪れ、
ウクライナ政府による軍事作戦の被害に遭った人々と語ろうとはしない。

基金「ポリチカ」のヴャチェスラフ・ニコノフ総裁は、なぜなら
誉めそやされた客観的な西側のジャーナリズムは、
西側の政治家の公式見解とは異なる視点からウクライナの出来事を
報道することを望んでいないからだと指摘し、次のように語っている。



戦争が始まった時、最初に失われるのは真実だ。
米国とその北大西洋条約機構(NATO)の同盟国が同じ立場を取っているのは明らかだ。

それは、ウクライナ人にとって西側は『明るく良い場所』であり、
ウクライナ人はその明るくて良い西側の一部になることを望んでいるが、
ロシアはそれを妨げる『暗くて悪い場所』だというものだ。
これと一致しないものは全て報道されないか、歪曲されるだろう。
これは、情報戦争の一般的な手段だ。」


(中略)


なお、ロシアがウクライナに向けて送った人道支援物資について、
これが脅威になる可能性があると語られている。


飲料水のボトルの中に特殊部隊が隠れているのではないか、
ベビーフードの瓶の中に砲が隠されているのではないかと真剣に議論されている。


ウクライナ政府とその西側のスポンサーたちの気まぐれで
家を失ったドンバスの住民のために、毛布や医薬品、食料などを集めることなど、
欧米のジャーナリストたちの頭には思い浮かばないようだ。

なぜならその場合、
ウクライナ南部・東部が壊滅的な状況であることを認めることになるからだ。

彼らの課題は、西側社会を落ち着かせ、
ウクライナ南部・東部では特に何も起こっていないと社会を納得させることだ。
これは、臆病者の行動だ。
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/2014_08_14/275955551/
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これについて、赤旗では以下のように説明している。

「欧米諸国はウクライナ危機を通じ、
 ロシアによる親ロ派への人的・物的支援を非難してきました。」
(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-08-18/2014081806_01_1.html)


そもそも、親ロ派は存在しない。

キエフのネオナチ政権に反対した地方の自治体が独立を宣言し、
現地の住人がロシアに好感を抱いているだけにすぎない。

メディアではテロリストのように扱われているが、
親ロ派は、現地の住人であって、組織らしいものはない。

ドネツク人民共和国というものもあるが、
空爆はドネツク・ルハンスク以外の都市でも行われており、
親ロ派という言葉は、この地域一帯の反キエフの諸集団の総称として使われている。


テロリストのねつ造という意味では、メディアの罪は重い。
赤旗は国内の報道に関しては優秀なのだが、海外になるとそうでもない。

共産党自体が、中国や北朝鮮、ロシアなどの共産主義国家と非常に仲が悪い。
そのため、同国に対しても批判するための批判記事になっている。

反共左翼の面々は、この点こそ非難すべきなのだが、
なぜか彼らはこの点に関しては見解を一致させており、
「一体、お前らは何なんだよ」と声を大にして叫びたい。


朝日や読売のような新聞がこの調子なのは当たり前として、
せめて左翼の面々には、ウクライナ報道のおかしさに気付いてほしい。

ウクライナにおける差別主義者のなれの果て

2014-08-18 23:31:32 | リビア・ウクライナ・南米・中東
http://japanese.ruvr.ru/news/2014_08_18/276070243/

これは、ドネツクで捕獲されたウクライナ軍の捕虜に対して行われた
取り調べの速記録なのですが、ネトウヨと自称ネトウヨではない差別主義者と
言い分がそっくりで、差別を助長された人間が自発的に軍に志願し、
現地で蛮行を働くことがよくわかります。

ネットでの口げんかなら可愛いものですが、いざ実行に移されるとこうなるのだなと。

ネオナチが軍や司法の要職に就いているキエフ政権ですが、
レイシズムというものが、末端の人間を権力者たちの生きた道具に変える
魔法の杖であることを感じとって頂ければ幸いです。