時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

直木賞作家、東山彰良氏の緊急サイン会

2015-07-30 22:57:14 | 文学
池袋のリブロが閉店したのは出版業界では大ニュースだったようで、
リテラをはじめとした様々な場所で騒がれていたが、私にとっては、
正直、どうでもいいと言おうか、そこまで惜しむ本屋ではなかった。


新宿の紀伊国屋や神保町の三省堂のほうがでっかくて好きだ。
同じ池袋ならジュンク堂のほうが品揃えも良く、イベントも多い。


まぁ、それはともかく、
旧リブロがあった場所を借りて三省堂池袋店が昨日から営業を開始した。

初日だから何かプレゼントがあるかなーと思い、早速、本を一冊買ってみた。
残念ながら、そのようなものはなかったが、そのかわり、この度、直木賞を受賞した
東山彰良氏の緊急サイン会が明日(つまり今日)開かれるとのことで、これ幸いとサインを頂いてきた。



ピース又吉の芥川賞受賞ばっかり取りざたされているが、
正直、東山氏の『流』受賞のほうがビックニュースだ。

それも良い意味での。



この本は基本的には、青春&ミステリーにジャンルされるものだが、
台湾現代史が背景としてあり、気楽に読める植民地文学にもなっている。

より正確に言えば、ポスコロ(ポストコロニアリズム)作品と言うべきか……


まぁ、要するに、文学的に大変価値が高い小説なのである。

旧植民地を舞台にした小説は他にも色々あるが、この作品の優れているところは、
得てして気難しい内容になりがちなこの手の話を娯楽小説として完成させたことだ。


結果、大衆小説としてストレスなく読めるようになっている。

この「気楽に読める」というのは結構大事で、
純文学が売れないのも、読んでて疲れる人間が多いからだと思う。



もちろん、純文学も大衆文学も好きだという人はいるだろうが、
少なくとも昔の芥川賞受賞作家、例えば安倍公房の『飼育』や
大江健三郎の『死者の奢り』は難解なテーマでありながら同時に読ませる話だった。



ページをめくりたくなるというのは作家に第一に求められるものだと思うが、
この点、どうも純文学は、どこかマニア向けになっているような気がする。

(この点、田中慎也氏の『宰相A』は娯楽性タップリの佳作だと思う。
 村上春樹氏の諸作品もまたしかり)



若干、話題がずれたが、この『流』が世間的に評価されたというのが
ちょっと驚きで、昨今の何でもかんでも「反日」にしたがる日本社会で
数少ない吉報だったのではないかと思うぐらいだ。(大げさか?)


こういっちゃ何だが、はっきり言って、社会性など皆無のベストセラー小説が多い中、
このように深読みすると様々な発見ができる小説が褒められたのは、純粋に嬉しい。


こういう背景は骨太で、ストーリーがまろやかな小説がもっと増えればいいと思う。

ネトウヨは小林よしのりにもっとキレていいと思う

2015-07-30 22:01:26 | 反共左翼
『週刊金曜日』に、あの小林よしのりのインタビュー記事が掲載されていた。


最近、小林は自分のことを棚に上げ、同胞であるはずのネトウヨを攻撃しているのだが、
その内容が結構笑えるもので、例えば問題の記事では

「安倍は、保守速報などのデタラメ情報を自分のフェイスブックで紹介している。
 けしからん!」といったことを述べているのだが、

 お前が言うなと思うのは私だけだろうか?


どうも小林によると、
あの『ゴーマニズム宣言』というコミックは活字媒体に属するものらしい。


今から15年ぐらい前の話だが、彼のウソだらけの漫画を読んで、
今で言うところのネトウヨに相当する連中が大量発生したことがある。


確か「ワシズム」とか言う雑誌を小学館から出していたし、
その時、小林よしのりファンクラブのようなものを作っていたし、
会員になったら、よしりんバッジをくれるとか書いてあったと思う。


何と言うか、外で暴れない在特会って感じだったのだ。



普通、過激な右翼というのは街宣車に乗ったり、大学のキャンパスに乱入したりして
ギャーギャー騒ぐものなのだが、彼の場合、それをメディアでやっていたのである。


いわば、ハードの媒体で暴れる既存の右翼に対して、
ソフトの媒体で暴れたのが小林よしのりだった。



無論、評論家や作家など、
ソフトの媒体(雑誌や本、講演など)で右翼活動をする人間は多くいたのだが、
よしりんの場合、それを漫画でやったことに新しさがあった。


活字が読めない人間をターゲットにデタラメ情報を有料で売りつけたのである。


結果、『戦争論』を読んですっかり騙された中高生が
自分の友達に又貸ししたりして、鼠算式に信者が増えていった。
このあたり、今のツイッターでまとめブログの記事を拡散するアレに似ている。


そのスタイルは今も変わらないと思うのだが、よしりんが言うには、
なんでも、今の若者は活字が苦手だからゴーマニズム宣言が読めないらしい。


……ネトウヨは小林に怒ってもいいんじゃないだろうか?


書いている内容は同じなのに、わざわざ金を払う馬鹿がどこにいるというのだ。


思えば『嫌韓流』が発売された頃までは、右翼=小林というぐらい彼は目立っていて、
学者や評論家も、渡辺昇一や櫻井よし子より小林の著作を批判していた。

それぐらい、影響力のある本を書いていたのである。


ところが、ネットの技術が発展し、ブログやYouTubeやニコニコ動画が
誰にも使えるようになる2004年~2006年あたりから、状況は一変して、
いつのまにか小林の存在感は非情に薄くなってしまった。

(少なくとも前よりは)


ブームがすぎたと言えばそれまでだが、
情報発信の中心が企業(マスコミ)から個人に移ったのが大きいと思う。


何と言うか、最近の小林よしのりを見ると、
時代の流れについてこられない昔の教祖様を見るようで心苦しい。

「反日」そして「中国」 (学者・ジャーナリストの言葉の使用について)

2015-07-28 23:13:10 | 反共左翼
リテラに次の記事があった。

学生たちのデモ団体SEALDsにデマ攻撃と公安を使った揺さぶり
安倍政権の体質は中国共産党と変わらない!

(http://lite-ra.com/2015/07/post-1333.html)


執筆した梶田陽介氏は、以前、「米軍基地反対派が
ハーフの女児を暴行した」という右翼が流したデマを暴露した人物である。

「基地反対派がハーフ女児暴行」は右派のデマ攻撃だった! 元国会議員も関与


「週刊誌が書くべき記事はこのようであるべきなのだ」と感心した覚えがある。

アカデミズムと比べてジャーナリズムがはるかに勝っている点として、
早いということ、(基本的には)自由にテーマを決められることが挙げられる。


学問の場合、どうしても論文の形にまとめるには時間がかかるし、
業界への貢献が優先され、社会へのアクチュアリティが軽視されがちだ。
(もちろん、社会に役立つ学問にしようとする動きはあるのだけれども)


その点、上の記事は目下、反対派にむけて行われているプロパガンダ活動に対して
即座に強力なカウンターを食らわし、逆に賛成派の言説の怪しさを暴露した
とても内容がある記事だったと思う。


その梶田氏が「中国共産党」という言葉をマイナスの意味で使うのは少し残念だ。



 冒頭に紹介した記事には、


「 憲法で保障されている「思想・良心の自由」や
 「集会・結社の自由」にのっとって行動しているだけの市民を犯罪者扱いし、
  嫌がらせと弾圧を加える。安倍政権の本質は安倍首相の大嫌いな
  中国共産党とたいして変わらない、ということかもしれない。」

という箇所がある。このような表現にはあえて苦言を呈したい。


何度も書くが、現在の右翼は、
中国や北朝鮮を悪役に仕立て、それに対抗する存在として日本を対置する
というイメージを好んで使っている。




このように書き換えてみれば、よくわかると思う。


「 憲法で保障されている「思想・良心の自由」や
 「集会・結社の自由」にのっとって行動しているだけの市民を犯罪者扱いし、
  嫌がらせと弾圧を加える。安倍政権の本質は安倍首相の大嫌いな
  翁長知事とたいして変わらない、ということかもしれない。」



いやいや、待て!沖縄県は市民にそこまで嫌がらせをしていないぞ!
というのが当然の反応だと思うのだが、相手が中国になるとこの理屈は通じないらしい。



もちろん、中国政府も完全無欠の善政を敷いているわけではないのだが、
「安倍と同じ」と言うのであれば、弾圧の手段を比較して、その共通点を提示すべきだろう。

記事とは全く無関係の中国共産党を、悪の象徴としていきなり持ち出してくるのはおかしい。



もしかすると、梶田氏は去年の香港の雨傘革命を思い出しながら書いているのかもしれないが、
この雨傘革命が実のところ、欧米の支援により動いていたことや、
実際の革命では暴力的な手法も使われたことを思えば、同運動への対応を、
非暴力的な手段を用い、外国からの指導がない運動団体への攻撃と同一視することはできない。




……とまぁ、こんなことを書いてしまったが、別に梶田氏に限ったことではなく、
学問の場でも、安易に中国、北朝鮮、反日といった言葉を、
マイナスのイメージを持たせて使い、
結果的に保守派とさほど変わらない立場から意見を述べる人物が多くいる。



特に、領土問題に対する中国や韓国の運動、声明を「反日」の一言で
片付けてしまう人文学者には正直、驚いてしまう。


もちろん、沖縄の「反米」デモのように、抵抗の形態として認識・使用しているのであれば
問題は無いが、実際は過剰なナショナリズム(国粋主義)として認識・使用している場合が多い。


尖閣諸島に関しては、私も勉強不足で、まだ断言することは出来ないが、
竹島に関しては、完全に大日本帝国が軍事的目的から日露戦争の時期に占領したものであり、
これに対して領土権を主張することは何ら奇妙なことではない。


にも関わらず、竹島の領土権を主張した=反日として扱い、領土問題を
ナショナリズムとナショナリズムの激突として理解する学者が随分といる。


もちろん、外交問題にまで発展するほど両国の国民が
この問題に対してピリピリしている以上、ナショナリズムはどこかに介在してくる。
だが、仮に日本が原爆投下に対する賠償をアメリカに求めたとして、
それら抵抗の動きを「反米」の一言で片付け、
アメリカ人が嫌いな連中がした行き過ぎた行為と評価しても良いのだろうか?

とう言うことである。



先日、読んだスプートニクの記事でも、憲法学者の小林節氏が
安保反対を表明するために「このままでは日本が北朝鮮のようになってしまう」
と語っていた。


これは北朝鮮=最悪の国家と言っているようなもので、
安倍の説く「北朝鮮脅威論」と皮肉にも通じる見解である。



日本とは全く異なる政治的・経済的背景を無視して、
悪の帝国として便利に利用するこの態度には正直辟易させられる。


ここのサイトで何度も指摘しているが、
北朝鮮は米韓の軍事演習さえ中止すれば、
核放棄に応じるというメッセージを定期的に発信している



また、逆らう者は容赦なく処刑というイメージは
韓国の国情院をはじめとする反北勢力が構築したもので、
実際には、何度かの「更正」期間が与えられている。


人権弾圧の象徴として非難されている収容所の数、
正確に言えば収容者の数も大幅に減らしてきた。


これらの事実を指摘した上で、なお同国を批判するのであれば理解できるのだが、
北朝鮮地獄論を唱える自称リベラル・中道・左翼は、単に
日本や韓国の右翼が唱えている言説に乗っかっている印象を強く受ける。
(主張する内容が保守派のそれとそっくり)


とどのつまり、これらの言説は一見、反対派の意見のように見えるが、
実のところ、殴るか、なじるかの手段のレベルで異議を唱えているにすぎず、
隣国を悪としてみなす敵視政策については保守派陣営と同じ立場なのである。




そういう輩が果たして本当に進歩的な意見を提示できるのか……
という一抹の不安を私は持っているのだが、これは杞憂に終わるのだろうか?



仮に集団的自衛権の容認を阻止できたとして、
そこから一歩踏み込んで隣国の関係を改善することは出来るのだろうか?


私は無理だと思う。

アメリカ人の半分は原爆投下を正しいと思っている

2015-07-26 23:58:46 | 国際政治
白人に対してはペコペコし、アジア人にはふんぞりかえる。
それが日本人の誇り。アホちゃうか


日本の戦争犯罪に言及するだけで反日認定する誇り高き日本人だが、
実は彼らが言うところの反日史観は全世界共通のものでもあるし、
ことアメリカに至っては、本当の意味での侮辱的な歴史観がまかり通っていたりする。


-----------------------------------------------------
アメリカ人の半数、「原爆投下は正しい決定」



世論調査の結果、アメリカ人の45%が
第2次世界大戦における日本への原爆投下に関する同国の決定を支持し、
20%のみがこの決定を間違っていたと評価しています


分析サイト・ナショナル・インターポストは、
日本の戦後70年の報告の中で、核兵器の発明と第2次世界大戦での
アメリカによるその使用の決定についての調査機関ユーガブによる
最新の世論調査を取り上げています。


この調査の結果、アメリカの若年世代は、
アメリカによる核兵器の使用は間違いだったと考えています。


18歳から29歳の回答者の45%がアメリカの決定を誤りだったとし、
41%が正しかったと答えています。



一方、それより年代が高くなると、この決定が支持されています。

45歳から56歳までの回答者の55%がアメリカの原爆投下を正しかったと評価し、
21%が間違いだったとしています。

65歳以上の回答者では、65%が支持、15%が反対しています。

総合すると、45%がアメリカの決定を支持しており、
20%がこの決定を誤りだったとしています。



戦争直後に行われた世論調査は、
日本への原爆投下の決定に対するアメリカ人の支持を物語っています。


1945年8月に、ギャラップ社が行った世論調査では、
85%が原爆投下を支持し、10%のみが反対しました。


同時期に行われた別の世論調査でも、23%が日本が降伏する機会を得る前に
さらに多くの原爆を投下することを望んでいたことがわかっています。

その当時これを希望していた人の数は、反対者の数を上回っていました。


アメリカの原爆投下を支持している人の数は減少傾向にありますが、
今も50%以上がこの攻撃に賛成しています。



ギャラップ社が原爆投下から50年目に行った世論調査では、
アメリカ人の59%が原爆投下の決定を正しかったと答えています。

10年後、賛成派の数は57%になりましたが、今はまた上昇しています。

また2009年に別の会社が行った世論調査では、
日本への攻撃の当時、61%が賛成、22%が反対していたことがわかっています。


今も原爆投下の決定が正しかったといわれている社会で、
アメリカ人の多くは核兵器は悪しき存在だと見なしています。



ユーガブの調査では62%が核兵器の発明を悪いことだったとし、
20%が良いことだったとしています。19%は無回答となっています。

この中で共和党支持者だとする人々の中で、
35%が核兵器の発明をよいものだとしていますが、
民主党支持者では12%となっています。

とはいえ二つの政党支持者はどちらも、核兵器の発明は
悪しき出来事だったということに関して意見を一致させています。


http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/56645
-%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E4%BA%BA%E3%81
%AE%E5%8D%8A%E6%95%B0%E3%80%81%E3%80%8C%E5%8E%9F%E7%
88%86%E6%8A%95%E4%B8%8B%E3%81%AF%E6%AD%A3%E3%81%97%E
3%81%84%E6%B1%BA%E5%AE%9A%E3%80%8D


-----------------------------------------------------

このように思いっきりナメられている。
それも昔っから。



コリアン系アメリカ人が慰安婦像を設置することには激怒する右翼も、
なぜだかアメリカ社会の、このあまりにも希薄な加害意識には特に何か言おうとはしない。


あまりにも情けないと私は思うのだが、
その辺は、極右の連中は特に何か思うことは無いのだろうか…


日本の歴史認識ばかり問われているが、欧米の歴史認識だって問題だ。
特に、ナチスが暴れた背景を探れば、ナチスをソ連への当て馬にしようとして
極力、支援、黙認した英米仏侵略トリオの動きがある。

彼らは大戦後も、植民地国の独立運動を弾圧したし、
独立後も何かと中東やバルカン半島、アフリカに干渉し続けた。


特にアメリカとイギリスは新自由主義という最悪の搾取システムを
IMFを利用して途上国に強要したし、リビアやイラクを見ればわかるように、
彼らは現在も自己にとって都合の悪い国家を簡単に滅ぼしてしまう。


しかも、戦争犯罪が明らかになっても、これといった罰を受けない。


こういう事態になったそもそもの原因を求めると、
そこには、欧米は常に正しい戦争をしてきたという歴史観が存在すると私は思う。


右翼が本当に対決すべきなのはアジアではなく列強諸国なのだが、
この辺が、まぁやっぱり右翼が右翼たる所以で、自国の戦争犯罪を
責められた時にだけ「他の国も同じことをした(キリッ)」という
言い訳がましいアクションしかできていない。


別に右翼に限ったことではなく、
左翼もアメリカやイギリス、フランスの聖戦史観の批判を本格的に行ってはいない。


そういう意味では、欧米の歴史観をチェックすること(特に冷戦については)は
現在の国際紛争への批判や見直しにもつながることであり、
ぜひとも岩波や週刊金曜日にやって頂きたいことであるのだが……多分、されないだろう。

ポツダム宣言発表70周年

2015-07-26 23:09:49 | 反共左翼
今日はポツダム宣言が発表された日だが、
この前日に同宣言を否定的に表現した池上彰氏の言葉を聞く限り、
どうも、この宣言の意味がよくわかっていない人が多いのではないかと感じる。


といっても、真面目に学校の授業を聞いていた人なら、ナチスが敗れても
なお戦おうとする日本に対して降伏を求める宣言であることは知っているはず。


ポツダム宣言はアメリカ・イギリス・中国が、全ての連合国に支持の下、
日本が抵抗を止めるまで対日戦争を止めないことを表明したものである。

それだけでなく、ポツダム宣言は連合国による戦後の日本に対する占領、
領土の確定、戦犯裁判、戦争賠償にも言及しており、その意味で戦後の日本を
形作ったものでもあると言えるだろう。


--------------------------------------------------------
中国人民抗日戦争と世界反ファシズム戦争が一歩ずつ勝利へと向かう
さなかの1945年7月27日、日本の上空には同盟国の航空機が大挙して現れた。


この時、空から降ってきたのは爆弾ではなく、
日本語で書かれた数百万枚ものビラだった。

ビラには歴史的な意義をもつ文書、すなわち中国、米国、英国の3カ国が
7月26日に共同で発表した「ポツダム宣言」(後にソビエト連邦も加わった)
が印刷されていた。


これは負け戦になってもなお抵抗を続ける日本の狂気の戦争遂行者に対し、
同盟国がつきつけた最後通牒だった。



今日、「ポツダム宣言」の発表から70年が経過した。

歴史は歩み続け、第二次世界大戦の血なまぐさい日々は
すでに遠い記憶だが、人々は今なお「ポツダム宣言」を記念する。
これは歴史の海の中で大切な出来事を埋もれさせないようにするためだけではない。

「ポツダム宣言」は単なる最後通牒ではないのだ。


これは日本軍国主義の「無謀な世界征服の野望」や
「武力による侵略戦争の発動」という本質を正確にあぶり出したものでであり、
戦後の領土問題の処理、戦犯の処分、日本の「民主主義的傾向の復活を強化」
することについて、明確な規定をうち出したものだ。


歴史を振り返ると、「ポツダム宣言」は「カイロ宣言」などの文書とともに、
戦後の国際秩序構築の法的基盤となっている。



だが現実が再三告げるのは、かつて「ポツダム宣言」を受諾して
戦争の桎梏から抜け出した日本だが、すべての日本国民が
この文書の権威を心から認めて敬意を払っているわけではないということだ。


一部の日本人の心の中では、第二次世界大戦後の平和的な国際秩序が、
何かと衝突することなどあり得ない、強制力のある確かな制約にはなっていないのだ。


今年の早い時期、日本では安倍晋三首相が国会での答弁で、
「ポツダム宣言」における日本の戦略戦争の定義をはっきり認めることを拒絶した
とのニュースが伝わり、国際世論は騒然となった。


日本側はその後、この件について「メディアを通じた言い訳」を繰り返したが、
安倍政権のここ数年間の歴史認識、憲法改正、隣国との領土問題などでの動きを
少しみれば容易にわかるように、日本の政界には「ポツダム宣言」を
認めようとしない人々が確かに存在する。

http://j.people.com.cn/n/2015/0726/c94474-8926319.html
--------------------------------------------------------

右翼がポツダム宣言を認めようとしないのは、ある意味当然の態度であるが、
中立やリベラルや平和主義者を気取る連中が軽視・無視するのはおかしい。


本屋では池上氏の著書が多数売られていて、その中にはロングセラーやベストセラーもある。

こういう状況について、ノーと言わないばかりか、
むしろ彼ら自称中立者とつるんでしまう左翼や平和主義者を見ると、
日本の社会運動の致命的な病巣が放置されている気がしてしまうのは考えすぎだろうか?

沖縄の米軍基地と烏山の米軍基地

2015-07-26 22:40:51 | 軍拡
反共の砦として戦後まもなくアメリカの属国となった日本と韓国。
アジアの拠点としてアメリカに利用されるのはどちらも変わらない。


----------------------------------------------
15日ソウルで、韓国における米軍駐留に関する合意
(在韓米軍地位協定[SOFA])遂行をめぐる合同委員会の定例会合が開かれる。

そこでは、基本的な問題として、オサン(烏山)にある米空軍基地に
生きた炭疽菌(病原体の生きた胞子)のサンプルが送られた事件が取り上げられる見込みだ。


会合では、米軍の内部調査の結果が示され、
事件調査のため最近作られた合同作業グループが今後実際に講ずる措置が話し合われる。



しかし会合の本当の目的は、現地の活動家達の見方によれば、
かくも危険な事件が起きる可能性を持つ米軍駐留に関する合意に修正を加える事だろう。


例えば、合意の第9条によれば、
米国軍人は、税関検査を通さずに、郵便物を送ったり受け取ったりできる。

そうした方法で米国は、潜在的に危険な物質を韓国に送る事が出来るため、
現地当局も又地元住民も、不安を感じているのだ。
 



これに関連して、今回の会合には初めて、
地元キョンギド(京畿道)の行政の中心地オサン(烏山)の代表も参加する。


代表は会合で、事件に関するあらゆる情報の開示、米軍基地に送られてくるもの
すべての透明性を保障するための合意内容の変更を強く主張するものとみられる。


また、問題は、あれやこれやの危険物質を持ちこむことに何の予告もなかった事ばかりではない。
多くの韓国人達は、
自国領内で、細菌兵器を使用した実験がなされていた
という事実自体に、拒絶反応を示している。


会合の前日開かれた記者会見で、キョサンナムドの社会団体の代表らは、
送付された炭疽菌も関係しているジュピター(JUPITR ―
Joint United States Forces Portal and Integrated Threat Recognition)
プログラムに対する詳しい調査を実施する必要性を訴えた。


また彼らは、オバマ大統領に、謝罪と責任者全員の処罰を強く求めた。


米国側の説明によれば、
炭疽菌のサンプルは、
北朝鮮が生物学兵器を使用した場合を
想定した演習で使うはずだったとの事だ。



しかし、こうした演習実施の事実自体、韓国民には広く伝わっておらず、
その事は現在MERSコロナウイルスの急激な蔓延が問題となっている韓国では、
とりわけ大きな憤りを呼び起こしている。


おまけに、人を死に至らしめる危険な細菌兵器を使った演習実施が
必要だとする根拠は、事件について報道された後、明らかにされた。

また「軍事目的で炭疽菌を生産している」ピョンヤンの生物学研究所の
「写真を分析し」そうした結論が出たとの説明は、余りにも説得力がない。


これに対し、朝鮮民主主義人民共和国の国連大使は、
朝鮮半島で戦争が起きた場合、
自分達に対し生物学兵器を用いる考えが米国にはある
のだ
と非難した。



15日に開かれる合同委員会会合は、
韓国では北からの生物学兵器による攻撃の危険性をどのくらい感じているのか、
そうしたコンテキストの中で北の「脅威」への米国の対抗策が
どう評価されているのかを示す、よい機会となるだろう。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/asia/20150715/582424.html#ixzz3h0Gc1k3D

----------------------------------------------

今も細菌兵器はアメリカで研究・開発されていて、
その実験場は自国ではなく、従属国で行われているという事実。



この事件の本質は、米軍を韓国政府がかばった点に尽きるだろう。


前に書いたかもしれないが、大国に頭を下げてペコペコ振舞うこと、
大国の言いなりになることで、一部の権力者は大変大きな得をするのである。


パク政権も当初は、米軍を擁護していたが、ここに来て、
民衆の怒りがおさまらず、やむなく抗議のポーズをとらざるを得なくなってきた。



-------------------------------------------------
韓国政府、炭疽菌問題にやむなく対応



韓国の人々の抗議により、韓国政府は炭疽菌問題に対応せざるを得なくなっています。


イルナー通信によりますと、韓国の人々の、
アメリカの炭疽菌サンプル送付事件への抗議が高まっていることを受け、
韓国国防省は24日金曜、声明を発表し、この問題に対応し、終わらせると伝えました。


アメリカ国防総省は、これ以前に、
「生物兵器の生産に利用可能な、活性化している炭疽菌のサンプルを
イギリス、オーストラリア、韓国、カナダなどの国に誤って送付した」と表明していました。


韓国政府はこれ以前にも、この事件のメディアの反応や人々の強い抗議に反応する中で、
「この事件は、アメリカ軍の駐留に関する協定に違反しているとはみなされない」と表明しました。


一方、今年、アメリカ国防総省は、この炭疽菌サンプルは、
数回にわたり誤ってアメリカや韓国などの研究機関に送られたということですが、
アメリカ国防総省の関係者は、2008年にもオーストラリアとのやり取りで
同じようなミスを行ったことを認めています。
他方で、これらの研究所には、不活性化された炭疽菌が送られることになっていました。


この問題により、韓国のオサン空軍基地の数十人の人々が、
予防のための治療を受けることになりました。


http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/
56639-%E9%9F%93%E5%9B%BD%E6%94%BF%E5%BA%9C%E3%80
%81%E7%82%AD%E7%96%BD%E8%8F%8C%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%8
1%AB%E3%82%84%E3%82%80%E3%81%AA%E3%81%8F%E5%AF%BE%E5%BF%9C

-------------------------------------------------

アメリカの言い分が変更されている。
いずれにせよ、アメリカが細菌兵器を保有している事実は変わらない。

枯葉剤しかり、劣化ウラン弾しかり、
この国は正義のためなら、どんな残虐な兵器も平然と使用する。


そして、その負担は従属国、その被害は交戦国が負う。


本来なら、沖縄と烏山の住民は共に団結して、
アジアにアメリカの基地はいらないと叫ぶことができるはずなのだが、
どういうわけだか、岩波系文化人も、向こうの文化人も、そのようなデモや声明はやらない。


その辺に戦後の日本(韓国)の民主主義の致命的な弱点が含まれているような気がする。

そうだったのかぁ?東京裁判 (池上氏の説明への素朴な疑問)

2015-07-25 23:53:44 | マスコミ批判
思いっきり右翼的な見解を示しているのに、
なぜだかリベラルの星ということになっている池上彰氏。

池上タブーでもあるのか?


だいたい、『ビートたけしのTVタックル』の後継番組が
彼のニュース解説番組である時点で、お察しだろうが

と思うのだが・・・

まぁ、それはともかく、今日の彼の番組は、なかなか面白かった。

前半の村山談話の解説では村山氏本人のメッセージを流したり、
テレビならではの工夫された演出がされていた。

他方、後半では東京裁判を否定的に評価し、
その後、ドイツの戦後教育を肯定的に評価するという矛盾に満ちた構成になっており、
小林よしのり流の「ナチスは悪!でも日本は正義!」という歴史観に則ったものになっていた。


公正中立をモットーとする池上氏だが、
弁護人と被告の言い分のみを強調して審議内容について触れなかったのは興味深かった。


例えば、池上氏(&VTR)は、侵略という言葉は曖昧に定義されており、
東條英機の自衛戦争論を取り上げることで、暗に侵略戦争ではないと主張している。


この点については、同裁判における
東郷外相とキーナン検察官との答弁を引用するだけで十分だろう。



東郷「日本としては米国に対して戦を開くほか行き途がなかったというふうに
   見受けられる。これは日本の存在のみならず、日本の名誉にも
   かかわる問題であったので、……自衛戦争としていたしかたない
   ということを……全員一致して決めた」


キーナン「自衛のための戦争という表現を使って、
     あなたはいわゆる『日華事変』(日中戦争のこと)、
     あるいはハッキリ言うと『対中戦争』を考えているのか?」

東郷「当時私が知っていた事実からは、どんな場合でもというわけでは
   ないにしろ、『日華事変』には自衛の要素があったと結論できる」

キーナン「戦闘は中国の中心部で行われたとすれば、
     どんな自衛だと言えるのか


東郷「……その問題に関して言えば、そのような行動はあまりに行き過ぎたものだと思った」



当時の日本は日中戦争の最中であり、中国各地やインドシナを占領していた。
いわゆる南進というものだ。その撤退を要求し、結果的に開戦になったのだが、
実は、開戦直前の12月6日にローズベルトは昭和天皇あてに親電を送っている。


この親電では、アメリカは日本に対して、インドシナ、タイ、オランダ領東インド、
マレーの中立化だけを要求しており、両国の上にたれこめている暗雲を共に吹き払い、
死と破壊を予防しようではないかと問いかけている
。どう見ても脅迫文ではない。

これはハル・ノートの後に送られたものだ)



つまり、直前までアメリカは対話と妥協を模索しているのだが、
これを池上氏は完全に無視し、東條ら戦犯の言い分だけを絶対視している。



そもそも、日本の対米戦争は数年前から計画されているものであり、
そのルーツを辿ると、最終的に張作霖謀殺事件に行き着く。


東京裁判では、A級戦犯、すなわち侵略戦争を計画・実行した者を裁くものだった。
当然、アジア・太平洋を占領しようとする計画がいつ練られたのかを検討することは重要になる。


この点で採用されたのが田中メモと俗に呼ばれる対外膨張政策の綱領で、
そこでは、当時、首相であった田中義一大将が昭和天皇にむけて、
満蒙(満州)、中国、東南アジア、インド、南洋の順番に、
段階的に占領地を広めていくという方針が語られている。


つまり、日本のアジア侵略は、張作霖の謀殺から始まる
満州・中国の領土奪取から進んでいったものとみなしているのだが、
池上は、はるか昔の戦争にまで遡らなければ、
A級戦犯(平和に対する罪=謀議の罪)を立証することが不可能だったと説明する。

これは、裁判の内容を知るだけでも、完全なウソだとわかる。


例えば、検察官たちが入手していた1937年に陸軍省が作成した基本要綱では、
太平洋周辺地域での戦争に備えるという内容が記されている。


1940年9月の枢密院会議の秘密議事録では、対米戦争は不可避のものとして決定された。


このように、日本がずっと前からアメリカやフランス、イギリス等の植民地を
狙っていたことは、裁判のために入手した各資料から明らかにされたのだが、
この辺の説明を池上氏は全くしなかった。


つまり、侵略戦争なのか自衛戦争なのかは、
日本が実際に行った内容を検証することで裁判中、明らかにされた
のだが、
池上氏は徹頭徹尾、具体的な審議の動向には触れず、
被告や弁護人の見解を強調し、裁判を否定している。




そういうわけだから、VTRでは終始、
A級戦犯は善玉、判事側は悪玉として描かれている。



しかも、具体的な答弁を語ると都合が悪いので、判事たちは黙してにらんでいるか、
あるいは「被告(弁護)の言い分は却下された」との結論だけ示して、
さも不当な判決が下されたかのように印象付けている



本業はどうした?と思いたくなる北村弁護士にいたっては、
原爆投下の罪を問いただした弁護人の発言を取り上げ、
東京裁判の良いところはここだけだといきまいていた。



しかし、東京裁判の最大の意義は日本の戦争犯罪を、
豊富な資料によって明らかにしたことであった。


もちろん、731部隊の細菌兵器の使用や人体実験など、
アメリカにとって都合の悪い(有罪にしてしまうと、後の戦争で、
自国が細菌兵器を使用できなくなる恐れがある)事件は無視されたし、

皇族や財閥など、思いっきり戦争に加担している人間は、政治的配慮から免罪された。


ニュルンベルク裁判と比べても、東京裁判は甘い裁きに終わっている。


このように問題は多々あったし、池上や北村が述べるように
戦勝国の戦争犯罪は特に問われることが無かったという欠点もあった。


だが、それを根拠に裁判全体を否定的に評価するのはおかしい。


結局、「東京裁判は勝者の裁き、復讐だ」という右翼の言い分を
そのまま繰り返すだけの内容で、戦後70年を迎えて池上氏が
どのような歴史観をもっているかを確認するには、うってつけの番組
だった。



それにしても、北村弁護士の熱弁には驚かされた。

この番組のゲストは終始、池上氏の言い分を黙って聞き、時おり
「そうだそうだ!」と言うだけのチョロい仕事を任されているのだが、

他の芸能人と比べて、北村弁護士は随分と積極的に池上氏を援護している。


芸能人は生活もかかっている&業界の体制に慣れきっているから、
空気を読むのはわからなくもないが、弁護士として自活していける彼が、
なぜあそこまで池上の肩を持つのかはちょっと意味不明。


本人は「ええ仕事したで~」と思っているのだろうか?
池上氏よりも北村弁護士のスネ夫っぷりに驚かされた二時間だった。


・追記

ちなみに、番組で「降伏か、さもなくば死を」という内容として紹介された
ポツダム宣言だが、原文はここから読むことができる。

http://www.ndl.go.jp/constitution/etc/j06.html
(国立国会図書館のホームページより)


番組では、戦勝国が敗戦国を裁く口実として利用されたかのごとく説明されたが、
その肝心の部分、すなわち、次の箇所


吾等ハ日本人ヲ民族トシテ奴隷化セントシ
 又ハ国民トシテ滅亡セシメントスルノ意図ヲ有スルモノニ非サルモ

 吾等ノ俘虜ヲ虐待セル者ヲ含ム一切ノ戦争犯罪人ニ対シテハ厳重ナル処罰加ヘラルヘシ

 日本国政府ハ日本国国民ノ間ニ於ケル民主主義的傾向ノ
 復活強化ニ対スル一切ノ障礙ヲ除去スヘシ
 言論、宗教及思想ノ自由並ニ基本的人権ノ尊重ハ確立セラルヘシ


青色の部分が省かれている


また、ポツダム宣言の次の箇所が紹介されていない。


「合衆国、英帝国及中華民国ノ巨大ナル陸、海、空軍ハ西方ヨリ
 自国ノ陸軍及空軍ニ依ル数倍ノ増強ヲ受ケ

 日本国ニ対シ最後的打撃ヲ加フルノ態勢ヲ整ヘタリ

 右軍事力ハ日本国カ抵抗ヲ終止スルニ至ル迄
 同国ニ対シ戦争ヲ遂行スルノ一切ノ連合国ノ決意ニ依リ
 支持セラレ且鼓舞セラレ居ルモノナリ」


つまり、日本を攻撃する態勢を整えました、
日本が抵抗をやめるまで戦いますという内容なのだが、
これを池上氏は「降伏か、破壊か」の二択を迫ったものだと説明している。


これは明らかな曲解だろう。

戦後70年、池上彰氏からのメッセージ

2015-07-25 21:37:31 | マスコミ批判
白々しいやっちゃなぁ~
というのが正直な感想。

池上氏が言うには、日本は戦後一切戦争を行ったことがなかった。

戦争をしていない。その意味をこめて「戦後」70年という言葉がある。
今後も、戦後80年、戦後90年、戦後100年と続いていけばいいですね。


大体、こんな言葉だったが、
憲法前文に驚き記述 創られた反日建国神話とか
中国人に欠けているのはモラルとか
思いっきり、他国への憎悪を煽っているのはどこの誰だったのだろうか?

極め付けに、
集団的自衛権にもメリットがある(!)として
安倍政権の言い分をそっくりそのままコピー&ペーストして説明した
のは
どこのどいつだったろうか?私の記憶が正しければ池上氏だったような気がする。




池上氏は集団的自衛権のメリットとして、
日本が資源を確保するために重要な地点である
ホルムズ海峡の機雷掃海が出来るようになると説明した。

実は、この説明は安倍の言い分をそっくりそのまま述べたもので、
すでに論破されているものだったりする。


---------------------------------------------
安倍政権が集団的自衛権行使で唯一念頭に置いている
実例としてあげているホルムズ海峡の機雷掃海に関して、
外務省は
機雷敷設による海峡封鎖自体、“現実性が乏しい”とみていたことが
10日の衆院安保法制特別委員会で初めてわかりました。



日本共産党の穀田恵二議員が、
「取扱厳重注意」とされた外務省の内部資料から明らかにしたものです。


穀田氏が暴露した外務省資料は、2012年に
日本が米軍主催のペルシャ湾での国際掃海訓練に参加するにあたり、外務省がまとめたもの。


同資料には、
「イラン原油輸出はホルムズ海峡経由で行われており、
海峡『封鎖』はイラン自らの経済活動を封殺するものであり、
ホルムズ海峡『封鎖』はイランにとっても重大な決断を要するもの」
と明記されています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-07-12/2015071202_03_1.html
-----------------------------------------------------

外務省が否定している妄想を前提にして、
「集団的自衛権が認められればこんなことができるよ!」と説明する池上彰&安倍。


彼らのやり方を真似れば、
集団的自衛権がなければ、地球を侵略する宇宙人に応戦できないじゃないか!
なんてアホみたいな理屈も通用してしまうだろう。



この他にもアメリカに向かう弾道ミサイルを迎撃できると説明していたが、
これは技術上無理だということがすでにハッキリしている。



----------------------------------------------------
集団的自衛権の行使を合理化するための事例の一つに、
米領グアムや米本土に向かう弾道ミサイルを日本が撃ち落とさなくていいのか
という議論があります。



首相は、
「ミサイル防衛において、日本に飛んでくるものは(撃ち)落とすけれども、
グアムに飛んでいくものは(撃ち)落とすことができてもパスをしてしまう。
これでもう相当たくさんの死者が出る。日米同盟はその段階において
大変な危機を、終わるかもしれないという危機を迎える」
(2013年2月27日、参院予算委員会)と述べていました。


ところが、グアムに向かう弾道ミサイルは高高度を高速で飛ぶため、
日本のミサイル防衛システムで撃ち落とすことが技術的に不可能
なのは、
政府自身も以前から認めていたことです。



もともと無理なことを集団的自衛権行使容認の口実にするのはおかしいとの批判を受け、
首相は、「もし将来、技術的にそれが可能となった場合、
グアムあるいはハワイに向かっていくミサイルについて
撃ち落とす能力があるのに撃ち落とすことはできないのか」
(今年2月10日、衆院予算委)と答弁を修正し、日本に迎撃能力がないことを認めました。

集団的自衛権の行使容認ありきで、都合のいい事例を考え出したものの、破たんしたのが実態です。


グアムに飛んでいく弾道ミサイルを撃ち落とす例を挙げられなくなったためか、
最近、首相がよく持ち出すのは、“公海上で日本に対する弾道ミサイル攻撃の
警戒に当たっている米国のイージス艦が攻撃を受けた際、
近くにいる日本のイージス艦がこれを防がなくていいのか”という議論です。


これも、専門家は、日米のイージス艦が近くで
一体的に活動していれば日本側への攻撃とみなして反撃できる
と指摘しています。

首相は、両艦が水平線を越えてお互い見えないほど
離れていることがあると反論していますが、それほど離れている場合には、
逆に、米艦への攻撃を防ぐのは技術的に不可能
だといわれています。


首相は、“朝鮮半島有事で米軍を攻撃している北朝鮮に
武器弾薬を運んでいる船舶が日本の目の前を通過しているのに
これを阻止しなくていいのか”という例もしきりに挙げます。


これも、朝鮮半島が戦闘状態になれば
日本海は船舶が武器を運べるような状況ではないと、非現実性が指摘されています。


http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-14/2014031401_05_1.html
------------------------------------------------------------



要するに、
「宇宙人が責めてきた時に、今のままじゃダメだろうが!」
同レベルの詭弁を池上氏は集団的自衛権の説明に採用している。




池上氏がどういうつもりで、安倍の説明を無批判に取り上げたのかは謎だが、
彼の説明は集団的自衛権の容認にも良い所があると印象付けるものになっている。


というより、安倍の説明が正しいことを前提にしている
ここには、政府の見解は間違っているのではないかという批判精神がない。


まぁ、彼のスタンスは中立らしいので、それほど強く非難するものでもないが、
実に不可解なのが、自分がさも平和主義者であるかのように演技をすること。



冒頭の言葉にしたって、東京裁判を否定的に評価した後の言葉であり、
要するに日本の戦争が侵略戦争と呼べるかどうかは微妙なんだというスタンスの上での発言だ。



そういう表面的な平和論者は、簡単に権力に媚を売って軍拡を支持してしまうし、
現に池上は集団的自衛権に関しては全力で安倍をサポートする説明を行っている。


また、戦争をしなければそれでいいというわけでもなく、
アジア人に対する差別意識の払拭も今後、我々に求められるものだと思うが、
この点に関しても、池上は払拭どころか助長させるコメントをしているわけで、
本当に彼がアジアの人々と争いを望んでいないのか、かなり怪しい。


どうも、安倍と同じく国力による力ずくの平和を望んでいるように見えるのだが……

アメリカ人の強制連行被害者にはペコペコ平謝りする誇り高き日本人2

2015-07-25 00:13:17 | 国際政治
前回の記事を書いた矢先に今度は
中国やイギリス等の強制連行被害者への謝罪を三菱マテリアルが表明し始めた。


-----------------------------------------------------------
三菱マテリアルの岡本行夫・社外取締役は
22日、第二次世界大戦中に強制労働をさせた側として、
元中国人労働者の生存者と遺族に対して謝罪の意を示したいと述べた。


同社高層部の数人は19日、同じように
第二次大戦中に強制労働をさせたとして、元米兵捕虜に謝罪した。

三菱マテリアルは、終戦から70年が経過し、日本の大企業で初めて、
この戦争で犯した罪を認めて陳謝したことになる。新華網が報じた。



AP通信の報道によると、三菱マテリアルの岡本行夫・社外取締役は、東京で22日、
弊社は、第二次大戦中に強制労働をさせた外国人元労働者に対して
陳謝する意向を持っている。機会があれば、我々は彼らに直接お詫びの言葉を伝えたい
」と述べた。


元中国人労働者について、岡本氏は、
個人的には、強制労働をさせられた中国の人々に、深い同情の気持ちを抱いている
使用者として、我々は陳謝しなければならない。
彼らは、損害賠償を求めて訴えを起こしており、裁判が進んでいる」とし、
賠償金を支払う方針を明らかにした


一部の生存している元中国人労働者および遺族が昨年、
北京で三菱マテリアルと他の日本企業1社に対して裁判を起こし、
日本側に陳謝と損害賠償を求めた。岡本氏は、
「我々は、被害者との和解が成立するよう、最善を尽くしたい」としている。


岡本氏は、戦時中に日本の企業が外国人労働者に過酷な労働を強いて、
奴隷のように酷使した罪を認めている。

我々は、捕虜や一般民衆に最も酷い仕打ちをした企業のひとつだ。
したがって、彼らに陳謝するのは当然のことだ」と、同氏は見解を述べた。
http://j.people.com.cn/n/2015/0724/c94475-8925839.html
-----------------------------------------------------------

前の記事で私は白人と黄色人に対する右翼の態度が違いすぎる点を指摘し、揶揄したが、
中国に対しても謝罪すると表明した途端に、案の定、右翼が騒ぎ出した。

http://matoch.blog.jp/68414884.html


な、なんてわかりやすい人たちなんだ……(汗



一方で、三菱マテリアルは朝鮮人の強制連行に関しては、
当時の朝鮮人は日本人だから謝罪しないという右翼的見解を示している。

この辺りの往生際の悪さは、さすが誇り高き日本企業といったところか……


前にも述べたように、強制連行に関しては資料が豊富にあるので、
その事実自体を否定することはできない。そこで、当時の朝鮮人は
日本人だったから、これは動員の一環だとして居直るのが最近のトレンドになっている。

これは詭弁以外の何者でもない。


朝鮮人の強制連行には文字通りの暴力的連行もあり、
また、退職の自由が約束されない奴隷労働が特徴的だった。


その詳細は、山田昭次氏らが編著した『朝鮮人戦時労働動員』に詳しい。
この本では「強制連行」という言葉ではなく「戦時労働動員」という言葉を使っている。


いわゆる朝鮮人強制連行とは、朝鮮人に労働を強制した事件であり、
先述の通り、朝鮮人を奴隷的に使役し、日本人より過酷な労働を強いたものだった。
(休職も離職もできず、監視体制が敷かれていた)


「どのような労働を強いられたか」が争点なのだが、
「どのように連れて来られたか」に論点が微妙にずらされている。


この点を踏まえ、研究者も「戦時労働動員」という言葉を使用しているわけだ。


つまり、「動員の一環だからいいんだもんね!へへーん!」という逃げ口上は
「連れて来られた後に奴隷労働を強いられた」という肝心の点を無視しており、
 言い訳にすらなっていないということだ。


わかりやすく例えれば、イジメを苦に自殺した児童の親に対して学校側が
「登校しろとは言っていませんでしたよ(ニヤリ)」と言っているようなものか……?


合法だからOKという屁理屈は、ここには通用しない。論点がズレている。


ちなみに、朝鮮人や中国人と同様に、日本人の中にも強制連行された人間がいた。
その典型的な例が治安維持法で逮捕された政治犯(思想犯)で、
彼らの中には、トラック島という島に連行され奴隷労働を強いられた。

この辺は、窪田精の『死者たちの島』あたりを読むといい。


政治犯や思想犯といっても、何かテロを行ったわけでもなく、
大半は政府や軍を批判しただけで非国民のレッテルを貼り付けられたのだが、
こういう人たちと朝鮮人、中国人は境遇が酷似している(同一ではないが)。


つまり、大きな構図として大日本帝国では、
社会的弱者に重労働を強いる&拒否すれば厳罰を下すシステムになっており、
この点を追及すると、強制連行という事件は私たち日本人にも共通する問題になる。


ひめゆり学徒隊などが有名だが、国に動員されて戦場で放置され死亡した少女たちと、
戦時労働動員を受けたコリアンは同じカテゴリーに区分される。


非国民のレッテルを貼られ、弾圧を受け獄死した日本人と
炭坑でろくに食べ物も与えられず死んでいった朝鮮人は同じ被害者である。


真剣に考えれば、日本人とコリアンは共通の問題を抱え、共闘できる間柄でもあるのだが、
現実では、ちょっと政府を批判するだけで「反日」認定する連中がそれなりにいて、
なかなか大きな流れとして日韓共闘の戦後処理が遅々として進まない。


ついでに言えば、日本の植民地支配を反省することは、韓国に当てはめれば、
植民地時代に日本に追従していた親日派が戦後、主を日本からアメリカに変え、
支配体制を維持し、軍事独裁のもと、多くの民衆を弾圧した責任を問うことにもつながる。


つまり、日本の植民地主義の清算は、その産物である
戦後の韓国の支配者層の糾弾にリンクし、右翼がやりたがっているであろう
韓国の政治批判を堂々と行える機会を与えてくれるものと思うのだが……

シリア、国連軍の対イスラム国作戦に抗議

2015-07-23 00:57:14 | リビア・ウクライナ・南米・中東
シリアのハルキ首相は、ラジオ・スプートニクのインタビューに応じた中で

「もし隣り合う国々が過激主義者への資金援助を止め、国境を戦闘員が通れないようにするならば、
 シリアはテログループ『IS(イスラム国)』とその同盟者に勝利する状態にある」と述べた。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/middle_east/20150722/619406.html#ixzz3gdWQq0UT
------------------------------------------------------

隣り合う国々というのは、この場合、サウジアラビアとイスラエルだろう。


サウジアラビアの王室がイスラム国を支援していたのは日本の研究者も認める事実だが、
なぜか酒井啓子氏をはじめ、彼女達はそれを重要視しない。


本来なら、岩波書店なり東京大学出版会なり、高名な出版社から
サウジアラビアのテロ支援をテーマとした本が出版されてもおかしくない
のだが……


それはさておき、シリアのハルキ首相のコメントを以下に紹介しよう。




---------------------------------------------------------
「テロリズムとの戦いには、世界のあらゆる国々の参加が求められている。


しかし、そうした参加は、
国連安全保障理事会の決議や国際法に従ってなされるべき
であり、

また当事国の主権の尊重やその国との対話、
そうした行動へのその国の側からの合意がなければならない。


米国を筆頭にした国際有志連合がシリア領内で行っていることは、
そうした条件に全くかなっていない。国連安保理事会での合意に直接違反している。


有志連合に入っている国々が、
テログループを直接支援していることを考慮するならば、
行われていることは、テロリズムとの戦いとも言えない。



彼らが、空からテロリストを殲滅しているなどと、どうしたら信じることができるだろうか?


『ISIL(イラク・レバントのイスラム国)』との戦いで、
シリアがどんな援助を必要としているかについて言えば、
何よりもまず、テログループへの資金援助の停止、戦闘員らの移動の禁止である。



そうした援助を、トルコやイスラエル、ヨルダン、サウジアラビア
カタールなどの国々の良く知られた勢力が保障している。


テロリストらとの戦いは、空爆によりなされているが、
彼らとの戦いにおいて肝心なのは、資金援助の停止であり国境の封鎖だ

また情報支援も止めなければならない。

現在シリア政府は、こうした方向で現実的協力が行われているとは、感じていない。


しかしワシントンが、地域や地域社会の分裂、
自分達に抵抗する勢力の弾圧といった目的実行のためだけに、
テロリズムとの戦いを発展させたいと望んでいることは明白だ。


ワシントンにとって必要なのは、彼らがテロリズムとの戦いで
取っているあらゆる立場を改めて検討し、国際的な安全保障に脅威を与える
テロリズムへの支援に関係した、あれやこれやの行動をやめることである。


シリア政府は、ロシアが絶えず示してくれている支持に感謝している。
我々は、プーチン大統領とロシア指導部を信頼している。


あらゆる領域において、経済から政治的なものまで、
もしロシアの支援がなかったならば、シリアは、テロリズムに抵抗できなかったろう。

我々は、そうした支援に対し、プーチン大統領に深く感謝するものである。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/middle_east/20150722/619406.html#ixzz3gdYOi7zo

---------------------------------------------------------

本来、国連が軍を派遣する場合は色々と協定を結ばなければならない。
(兵士をどのくらい派遣するのか、どのような兵器を持ち出すのか等々)


そういう手続きを全部すっ飛ばして
空から爆弾を落としているわけである。怒るのが当然だ。



イスラム国がその実、欧米と手を組んでいる情報は以前から
イランラジオ等から入手していたが、現時点では限りなく黒に近い灰色だと思う。


とはいえ、列強が本気でISを滅ぼすつもりではないのは確実だ。
(一言で言うと、やり方がぬるい。手を抜いている)


私は前々から「冷戦は終わっていない」ということを主張してきた。

実際、シリア、ロシア、中国、北朝鮮、キューバ、イラン等々の
世界の独裁国家(by列強にとっての)は、いずれも旧東側国だ。


ハルキ首相のコメントの最後でロシアに謝意を示したように、
実はシリアはロシアと仲が良い。以前、シリアが細菌兵器を再び製造している
というデマが飛び交ったときにシリアを弁護したのはロシアだった。


日本はソ連が崩壊したことをもって、
国際関係まで激変したかのように勘違いする人間が学者の中からでさえ出現したが、
実際は、ご覧の通りで、冷戦時の国際関係は以前より緩和されているもののなお存在する。

この辺を踏まえながら、アメリカの戦争・外交をみると、また違ったものとなる。

文学研究にはポスト・コロニアリズムという分野が存在するが、
いわば、新冷戦主義とも言えるだろう主義が現在、鎌首をもたげている。


それに注目して世界を再考するのが、これから必要とされるのではないだろうかと
昨今の日本の軍拡や基地問題、歴史問題、人種差別の蔓延を見て、強く思う。