時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

「安倍礼賛者」にされた左派(⁉)リベラルは共闘が苦手(?)

2019-07-09 22:54:54 | アベノミクス批判
教養のある人間が政府の言い分を支持した時、民衆がそれを否定するのは非常に困難である
(ノーム・チョムスキー)



2015年6月10日、当サイトは
立命館大学の松尾匡教授のインタビュー記事について


①正社員の雇用者数が減少する一方で、非正規の雇用者数が増加している
②共産党は何も高齢者の支持を狙ってアベノミクスに反対しているわけではない
③金融緩和は雇用を言うほど増やさなかった

以上の3点の批判を行った。

これに対して松尾氏は自身のサイトで


①私が専門用語を誤用している
②だからこの記事を信用するな

というレスポンスを返してきた。




私が述べた3点の主張を反証せず、
一点のミスを根拠に全否定するという論法は

写真の誤用を理由に
南京事件を否定する歴史修正主義者のそれと通じるものがある。


雑考1(雇用の量)



その後、彼のコメントを読んだ人間が殺到、
いわゆる炎上状態になった。これは意図的に狙ったものだと私は思う。


少なくとも松尾の信奉者がどういう人間性を持っているかははっきりした気がする。

(なお、松尾はコメントが書けるサイトでは自分で直接、噛みついている)



雑考2(労働の質


すぐに反論することも出来たが
基本的に、炎上をしかける人間は対話が出来ないので
その場では、用語の理解不足を認め、一旦、謝罪、その数日後、反証記事をアップロードした。





海外メディア、アベノミクスの破綻を報じる


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「マスコミなどでは、「景気回復の実感はない」
と決まり文句のように言っていますけど、

そんなふうにおっしゃる人はたいてい、
もともと安定して、比較的まともな賃金の職の人なんですよね。

過去20年の「改革」不況で最も苦しんできた層の人たちの間では、
明らかに事態が動いています。
 

実感はない派の人たちは景気回復がコケて
安倍さんに失脚してほしいあまり、現実から
目をそむけているのかもしれませんが、

今後、景気回復を否定するようなことを言えば言うほど、
私たちが最も依拠すべきこうした層の人たちを、
かえって安倍さんの側に追いやる結果になるでしょう。」
 (http://matsuo-tadasu.ptu.jp/essay__140503.html)


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松尾を語る上で見逃せないのは
彼がアベノミクスの熱烈な信者であったことだ。

彼の主張を簡潔にまとめると

①アベノミクスのおかげで正規雇用が増えた
②仮に非正規だとしても失業よりはマシだ
③景気の回復を実感する
④量的緩和を否定することは低所得者の反発を生む

の4点になる。


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そもそも、雇用が増えているのが非正社員だったとしても、
今まで職がなかった人が職にありついたならば、
「ありがたい、この職をまた逃したくない」という
気持ちが真っ先にくるのは当然ですから、

言葉の使い方を慎重にしないと、
「非正規が増えているのはいけません」的な
言い方だけしていたのでは
こうした層の人たちから反発を買う恐れがあります。


気がついたら、こうした層の人々がこぞって
自民党の支持者になって日の丸を振っていることになりかねません。

それに、「総雇用者所得」で見ると増えているとする
安倍さんの言い訳もあながち無視はできません。

消費需要につながるのは、
一人当たり賃金ではなくて、総雇用者所得だからです。

http://matsuo-tadasu.ptu.jp/essay__141215.html

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最悪の状況を引き出してそれよりもマシと語る論法は

悪夢のようだった民主党政権よりはマシだと語る

安倍晋三のそれと同じものである。



松尾本人は規制緩和には反対と話すが、

規制緩和の結果、非正規労働者が増え、
低所得者が増えて生活水準が低下することが問題なのであり、

端的に言えば矛盾している。





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「アベノミクス」は日本を損なう

~中略~

「アベノミクス」は何も新しいものではなく、金融緩和とその関連政策の総称に過ぎない。

経済の遅れた国では、紙幣の無闇な発行は、
壊滅的な悪性のインフレを引き起こす可能性が高い。


経済の発達した国では、政府が紙幣を増刷しても
財産を作り出したことにはならなず、
資源の間違った配置をもたらし、内部の危機を引き起こす。


日本は貨幣の潤沢な先進国であり、貨幣増刷によって引き起こされる
物価上昇の効果は明らかでなく、やはり厳しい問題が生まれている。

「アベノミクス」は物価の下落を恐れ、消費を奨励しており、
 民間の貯蓄は減り、政府の負債率は世界一に達している。


インフレで利益を得ているのは大企業である。

大企業は市場に障壁を形成し、小さい企業のチャンスを減らしている。

日本企業には年功序列の習慣があり、年齢の高い社員が高い地位を占め、
若い社員はなかなか昇進できず、会社の人材コストは高い。

これは労働法の保護によるものであると同時に、
インフレ政策の擁護とも関係がある。

日本人は極度に勤勉な労働なしには、
生活水準の低下を防ぐことができないのである。


だが日本の物価上昇は明らかでなく、
政府のデフレへの恐れを呼び、量的緩和の推進を促している。

生活水準がなかなか上がらないのもインフレによる悪影響である。


政府による刺激を過度に信じ、紙幣増刷によって
成長を促進できると考えたことは、日本の過去20年の最大の間違いだった。

市場化改革が大々的に進められた小泉時代にあっても、この考えは転換されなかった。

2001年に小泉純一郎が首相に就任すると、民営化と自由化の改革が始められ、
中でも難題となっていた郵政改革の実現が旗印とされた。

この改革において、
小泉首相は自らの政治生命を賭けることも厭わず、郵政系統の民営化を推進した。


通貨政策の分野では、
小泉首相とそのブレインは掛け値なしの「インフレ派」であり、
日銀に通貨政策の緩和を繰り返し求め、「デフレ」と対決しようとした。


でたらめな通貨政策は小泉改革の寿命を縮め、
いくつかの民営化改革を行ったほかは、日本に持続的な活力を与えることはできなかった。


~中略~

経済発展に対するインフレのマイナス影響は、
短期的に大きく現れるものがあるだけでなく、長期的にゆっくりと出てくるものもある。

その道理は多くの経済学者の古くからの関心となってきた。
ハイエクはかつて、インフレは、政府が紙幣を増刷し過ぎた時だけに起こるもので、
それ以外にはあり得ないと指摘している。

インフレの危害は、オーストリア学派の経済学者によって
とうの昔に研究されていたのである。

それにもかかわらず今日の日本政府が(そのほかの多くの国の政府も)
デフレへの対決姿勢を崩さず、インフレを頑強に追求しているのには、ため息を禁じ得ない。

http://j.people.com.cn/n/2015/0915/c94476-8950183-2.html
(中国のニュースサイト『人民網』から引用)

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2015年9月の時点で、他国から見れば
経済政策の失敗は明確なものだったことが伺える。


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日本政府がよりどころとする「アベノミクス」が登場してから3年以上が経ったが、
徐々に効果が薄れているだけでなく、企業界から上がる不評の声はますます大きくなり、
世論の肯定感は低下こそすれ上昇することはない。


復興の不振ぶりをみても、
たびたび先送りされるインフレ目標の達成時期をみても、
政策上の矛盾に満ちたアベノミクスが日本経済の「病状」に対して
ほとんど治療効果をもたないだけでなく、効果が予想と
大きく隔たっていることがありありとうかがえる。新華社が伝えた。



▽矛盾1:企業の分化とアンバランスが加速


アベノミクスの核心の1つは、金融緩和政策によって円高を引き起こし、
ひいては輸出を促進し株式市場を振興させ、最終的には企業業績を改善し、
経済全体を引き上げて成長させるという目的を達成することにある。


だが現実はそうはいかず、
こうした考え方は理想に過ぎ、幻想だとさえ言える。

年初以来の円高の加速、東京証券取引所の暴落といった
「思いがけない出来事」の衝撃は言うまでもない。


2012年から15年の期間でみたとしても、
アベノミクスの恩恵は日本の多くの企業には行き渡っておらず、
かえって中小企業に大きな苦しみを与えている。

円安や株価上昇で大きな恩恵を受けた大手輸出企業に比べ、
日本経済の根幹を支える中小企業は円安により
輸入する原材料コストが高騰し、苦しみにあえいでいる。



日本の帝国データバンクがまとめたデータによれば、
昨年12月末現在、卸売産業の原材料コストが前年同期比52.9%増加し、
衣類・繊維製造業のコストはさらに増加して同71.4%の増加となった。

このような非常に苦しい経営環境の中にあって、
中小企業の倒産件数が産業全体に占める割合が上昇を続けている。

15年は全倒産件数8517件のうち、
円安による倒産が352件に上り、2年続けて増加したという。


16年3月に日本の企業界がアベノミクスに与えた評価は、
ギリギリ合格の60.3点で、前年同期より3.9点低かった。


▽矛盾2:企業の投資の伸びに力無し

アベノミクスでは、金融緩和政策を通じて企業の利益を増加させ、
企業の投資拡大を喚起し、ひいては経済の好循環を実現するという構想を描く。


だが構想は現実によって
「砂上の楼閣」に過ぎないことが証明された。


13年にアベノミクスが登場すると、
日本銀行(中央銀行)は市場から驚きの声をもって
迎えられた金融政策とマネタリーベース拡大措置を次々に打ち出した。

これを土台として、今年はマイナス金利政策をうち出し、
預金金利をマイナス0.1%に引き下げた。

こうした措置を打ち出した主な狙いは、
企業向けに良好な金融政策環境を創出し、貸出の規模を拡大し、
生産設備や向上などの固定資産への投資を増やし、
企業の経営範囲を一層拡大し、より多くの利益を達成することにあった。


だが実際には、15年第4四半期(10-12月)に
日本の大手企業の投資は限りなくゼロ成長に近づいた。

それだけでなく、同期の大企業の短期貸出は同2.5%減少し、
長期貸出はわずか同3.6%増加にとどまった。

これと対照的に、同期の大手企業の手元にある現金は
同3.7%増加し、有価証券も同4%増加した。


次のようなデータもある。
10年前に比べ、15年度(15年4月~16年3月)に
日本の大手企業の手元の現金は前年度比32.4%増加したが、
固定資産投資額は同16.3%増加で、
アベノミクス実施前の12年度に比べて4.3%の増加にとどまった。

これはつまり、日本の大手企業の利益は
アベノミクスという護送船団に守られて増加したが、
企業は現金を使いたがらず、投資にうかつに手を出さなくなった、
ということを意味する。



▽矛盾3:経済復興の実感が低下

日本の街頭で取材したところ、
中産階級の女性が日本経済に対する悲観的な見方を語ってくれた。

その女性によると、日本社会は少子高齢化がますます深刻になり、
年金を納める人が減り、将来、年金がもらえるかどうかわからなくなっている。

退職後の老後の暮らしが心配で、
できるだけ貯金してお金を使わないようにしているという。


ニッセイ基礎研究所社会研究部の土堤内昭雄主任研究員は、
「現在の日本社会の構造をみると、アベノミクスは中産階級にとって脅威になる。
こうした状態を炭坑地域にたとえてみると、
前方には常にリスクが横たわり、思いがけない出来事が発生すれば、
あっという間に無一物になるような状態だといえる」と話す。

日本社会の構造的な問題だけではない。

アベノミクスの企業業績の向上をよりどころとして、
賃金を増やし、国内消費を拡大させるという夢は
徐々に泡と消えようとしている。

今年の春季労使交渉(春闘)で、
日本企業はさかんに賃金上昇を口にする日本政府に一撃を食らわせた。

自動車メーカーのトヨタは
基本給を月額1500円(約90元)引き上げることに同意しただけだった。

自動車産業だけでなく、電子メーカーも誠意ある回答を行わず、
パナソニックも基本給の1500円引き上げに同意するにとどまった。

業績不振のシャープなどは定期的な賃金引き上げを行うと決定しただけだった。

共同通信社が3月に行った調査では、回答者の81.4%が
「アベノミクスが経済復興を促進しているという実感がない」と答え、
64.6%が「日本政府が17年4月に消費税率を再び10%に引き上げるのに明確に反対する」とした。


それだけではない。

日本国民はさきにヤフージャパンのニュースサイトが
行った世論調査で、「アベノミクスは有名無実」との評価を下している。

中小企業と中産階級の犠牲を代償として
支払うアベノミクスには数々の破綻がある。
重要なエンジンは期待したような効果を上げず、
マイナス影響ばかりが次々現れる。


今年の金融環境と外部環境の不振の中、
日本の大手企業は業績予想を次々に引き下げ、
日本経済の前途をさらに暗澹とさせている。(編集KS)

「人民網日本語版」2016年5月31日
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大体、2016年の時点で
アベノミクスの総括は完了したと言えよう。



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アベノミクスを否定すると
野党の支持率が減るかのように語る人間もいるが、
現実では、アベノミクスに効果があるのではないかという期待が支持率を支えている。

(特に株高はそれを如実に示したものだろう)


とするならば、「アベノミクスは正しいのだ、効果があるのだ」と喧伝した
一部のメディアや経済学者の言葉こそ、
安倍政権を下から支えてきたとは言えないだろうか?


少なくとも、私からすれば
自分の暮らしを良くしてくれるのであれば、
自民党だろうと民主党だろうと投票するし、

実際、2009年の衆院選で民主党が自民党に大勝したのは、
景気回復への期待が込められていたからだ。


経済政策が正しいのであれば、
好き好んで共産党や社民党に投票する人間がどこにいるだろう?


あれほど露骨な軍拡を目論みながら支持率は4割を下回ろうとしない。

それは、少なくともアベノミクスが効いているという
信仰があるからではないだろうか?

(ほとんどの人間は、これ以上の経済が悪化しないことを望んでいるのである)


松尾教授が今年の6月に開いた講演会のパンフレットには
「「アベノミクス破綻」に最後の希望をつなぐ人を見るたびに、暗澹たる気持ちがいたします。
 2016/7衆参同時選挙、自民単独2/3確保し、改憲に王手をかけるために
 安倍は緻密な計画と信念を持ってやっており、2016/7頃に
 景気が良くなるように着実に手を打っています。
」と予言している。

https://blog.goo.ne.jp/minamihikaru1853/e/cbad3fa50f777b271af360287af35a0f
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2015年6月の時点で松尾は
「安倍は緻密な計画と信念を持ってやっており、2016/7頃に
 景気が良くなるように着実に手を打っています」と主張していた。





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一方、新自由主義政策の“ご本尊”だった自民党は、
第2次安倍政権発足後から「アベノミクス」などという言葉の目くらましを使って
かたちだけの方針転換を演出し、景気刺激を展開した。これが功を奏して民衆の支持を集めた。


しかも、自民党の場合は本来、批判勢力となるはずの“極右”を取り込んでしまっているため、
「右」からの異議申し立てが起きない構造になっている。

さらに、欧米と違って「左」からの批判の声もほとんど聞かれない。



だが、アベノミクスは見かけだけの「反緊縮」だから、化けの皮が剥がれるのも早かった。
政権側は「アベノミクスは道半ば」などと詭弁を弄して失政を取り繕った。


一方、有権者の側もアベノミクスの有効性に疑問を覚えつつも他に有効な選択肢がないから、
ダラダラと支持を続けている。これが、現在の「1強」の正体なのだ。

https://lite-ra.com/2017/01/post-2830.html
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これはニュースサイト『リテラ』の
松尾絶賛記事から引用したものだが、

どういうわけだか松尾が
他の誰よりもアベノミクスの成功を確信していたことには一切、触れていない。




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教養のある人間が政府の言い分を支持した時、
民衆がそれを否定するのは非常に困難である



アベノミクスは正しいのだ、効果があるのだと喧伝した
一部のメディアや経済学者の言葉こそ、
安倍政権を下から支えてきたとは言えないだろうか?


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①アベノミクスを神聖視し
②アベノミクスを批判する市民のサイトに攻撃を仕掛け
③失敗とわかりきや、それまでの行為を忘却する

こういう態度を取る人物が跋扈することは
社会にとって害悪だとしか言いようがない



少なくとも彼と意見が違うと言うだけで
被害を受けた人間としては松尾は弱者の味方には見えない。


自身の過去の言動の反省をせず、
リテラや岩波のようなメディアを抱き込み、
ただひたすらに左派を攻撃する。


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首脳会談の最中において、
北朝鮮は経済、国民の生活に支障をきたす項目に限り
制裁を解除することを引き換えに核物質生産施設の破壊を提案した。


今回、アメリカは北朝鮮の提案をける形で交渉を切ったが、
どのみち、条件に従わざるを得ないだろう。


北朝鮮にとっては、また開発を再開すればいいだけの話であり、
それを行う頃には今よりも国力を上げている。


シリアやベネズエラに対する圧迫的な政策を思えば、
皮肉な話だが、北朝鮮の核開発は結果的には功を奏したと言える。


メディアは相変わらず北朝鮮を悪魔化した報道を流してきたが
その間に北朝鮮は着実に露中米韓と関係を修復させてきた。

他方で去年から北朝鮮は日本を糾弾する主張を
以前より多く行うようになっている。


北朝鮮の孤立化を目指した結果、日本の方が孤立していた
などという事態はありえなくもないし、現に去年は蚊帳の外にされたし、今もそうである。

アメリカに歩調をあわせているつもりで
見当はずれの行動を取る前に、もう少し冷静に状況を分析するべきではないだろうか?


北朝鮮に経済制裁は効くのか

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主流左翼に異見を唱えている点では私も同類だが、
それは左派が北朝鮮を悪魔化し、あたかも理解不能の国家であるかのように
喧伝するのが、結果的に判断を誤り、国益を損なうことにつながっているからである。


上の記事で私は、朝鮮半島の問題で

①北朝鮮に対して経済制裁は通用しないこと、

②主導権が握っているのはアメリカではなく北朝鮮であること、

②アメリカが反発するなら核開発の再開を匂わせれば良いだけのこと、

③どのみち、北朝鮮の望むように対話をせざるを得ないこと、

④そのことに気づかない日本政府や日本メディアは
 アメリカに歩調を合わせているつもりで見当はずれの行動を取る恐れがあること、

を指摘したが、大阪サミットで日本政府が北朝鮮への
けん制を世界に呼びかけた直後に米朝会談が行われたのは
周知の事実である。


この間、日本のメディアは
やれ「交渉が決裂した」、「関係が悪化した」と騒いでいたが
実際には水面下で更なる雪解けに向けてのシナリオが書かれていたのである。


なぜ私の予測が的中して、松尾の主張は外れたのか?




それは私が朝鮮中央通信のような
左派にプロパガンダと評価される資料も軽視せず、
可能な限り拾い上げて結論を導いたのに対して


松尾は「反緊縮で景気は回復する」という結論を導くために
先述した人民網の記事のような
自分にとって都合の悪い意見を無視して話を作り上げたからではないだろうか?


順序が逆転しているのである。

だから、こんな被害者面をすることも出来る(上の画像を参照)。

松尾が批判を受けているのは彼が私のような一市民が書いている
小さなブログにまで目を光らせて意見を修正するよう攻撃していたからである。


その他にも、過去の言動に責任を取らないこと、
そのくせ、メディアを手懐けて自分を正当化すること、

何よりも彼の発言が右翼と大差ないこと、

要するに彼の人間性が信じられなくて
非難されていることが原因であることに気づいてもらいたいものである。



本来なら、こんな小物を相手にあーだこーだ言いたくなかったのだが
お友達の朝日新聞に弁護させる記事を書かせたのを見て心底呆れてしまい、

彼の被害を受けた人間として
私は絶対に忘れないし許さないぞという気持ちを込めて本記事を書いたつもりである。


自分たちの態度が悪い癖に被害者側に責任をなすりつける点も
慰安婦問題における日本政府を思いだして本当に嫌になる。

はっきり言うが、左派が連帯できないのは
左派を自称しながらその実、右派と大差ない意見を述べる連中が
攻撃を執拗に仕掛けてくるからである。

この男がアベノミクスを礼賛する一方で
批判派を執拗に攻撃していた事実は変わらない。

安倍を礼賛していると誤解されていると主張しているが、
少なくとも私はそんな解釈をしたことはない。

私は、アベノミクスを支持するために
自分と意を異にする人間を攻撃し、しかもそれを無かったことにする
一連の行為はネトウヨ以上に性質が悪いと怒っているのである。


本当に彼が連帯を目指したいなら
まず、自分の過去の言動に対する猛省から始めるべきだろう。

LITERAさん、松尾匡はアベノミクスを絶賛していましたよ?

2017-01-05 23:42:08 | アベノミクス批判


鮫島伝次郎

原爆投下前は町内会長を務めていた俗物な戦争支持者で、
市内の竹槍訓練の際に大吉が戦争反対を訴えた事を契機に、
戦争に反対する中岡家を非国民として忌み嫌い、大吉を危険思想の持ち主だとして警察に突き出したり、
徒党を組んで中岡家が大切に育てた麦畑を荒らすなど多くの嫌がらせ行為を行った。

~中略~

9巻では自らを戦時中からの戦争反対派・平和の戦士であったと偽り、
その後市会議員を経て県会議員となっている看板で登場し、
それに憤ったゲンは隆太とムスビと共に看板を破壊した。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AF%E3%81%A0%E3%
81%97%E3%81%AE%E3%82%B2%E3%83%B3%E3%81%AE%E7%99%BB%E5%A0%B4%E4%BA%BA%E7%89%A9






反戦漫画、『はだしのゲン』には鮫島伝次郎という人物が登場する。

戦前は熱烈な戦争支持者だったくせに、敗戦後は態度は急変、
いかにも自分が前から戦争に反対していたかのように偽り、他人を欺こうとする正真正銘の卑劣漢だが、
世渡りが上手いというか、上手く責任を逃れて自分の地位を守ることが上手い人物は
いつの時代にもいるようである。





リテラの記事より

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野党が安倍政権に勝てないのは経済政策のせいだ!
民進党は緊縮財政路線を捨て庶民のために金を使う政策を




白紙領収書や違法献金、暴言失言など閣僚の不祥事が続出しようが、
就任前の米大統領にノコノコ会いに行くという醜態を晒したうえ、
北方領土もロシアにやられっぱなしといった外交失策を繰り返そうが、
安倍政権の支持率は一向に下がる気配がなく、対する最大野党の民進党は
一向に上向かず調査によってはむしろ下がっているくらいだ。



これはいったいどういうことなのか。
もちろん、その背後には、安倍政権がメディアを牛耳って、自分たちへの批判、
都合の悪い報道を封じ込む一方、ありもしない危機を次々に煽っているという問題が大きいだろう。



しかし、安倍政権がのさばり続けている背景には、もうひとつ大きな問題が横たわっている。
それは、民進党をはじめとする野党があまりにだらしなく、
国民の求めているものにまったく応えられていないという問題だ。



とくに、最大の原因は経済政策だ、

というのが『この経済政策が民主主義を救う』(大月書店)などの著書で知られる
立命館大学経済学部教授の松尾匤氏だ。月刊誌「世界」(岩波書店)2016年11月号でも
「なぜ日本の野党は勝てないのか? 反緊縮の世界標準スローガン」という論文を発表。



数々の失政と横暴にもかかわらず安倍政権の支持率が一向に下がらず、
民進党の支持が上がらない背景に、その経済政策があることを指摘している。


~中略~


「反緊縮」。要は政府が民衆のためにお金を使う――有権者はそんな政策こそ求めているというのだ。



~中略~



答えは実に簡単なのだ。野党の中心を担う民進党が政権交代時の原点に立ち返り、
政府のお金を国民のために使う政策を打ち出すだけでいいのである。


財源についても、「足りなければ刷ればいい」というのが松尾氏の主張だ。
それが世界の潮流であると、実例をあげつつ説いている。



ヨーロッパでは、コービン英労働党党首が掲げる「人民の量的緩和」をはじめ、
EUの共産党や左翼党の連合である欧州左翼党、スペインのポデモス、
欧州の労働組合の連合である欧州労連などが、中央銀行が財政を直接支えることを主張し、
ノーベル賞経済学者のスティグリッツ氏やクルーグマン氏らもコービン支持を表明しているという。




昨年6月には、欧州議会の左翼党系、社会党系、緑の党系の左派三会派(11カ国、18議員)が
欧州中央銀行に書簡を送り、欧州中銀がつくった資金を「ヘリコプターマネー」として直接、
市民に配当するよう要求した。また同じ月に欧州左翼党とイタリア共産党再建派がコンファレンスを開いた。


そこでも、

「もっとおカネを刷って、雇用を創出するプランに投資せよ」とか

インフレはまったく問題ではない。
 価値を失うことを恐れて誰もおカネをポケットに入れたままにしなくなるので、
 おカネが回るようになるからだ」

「欧州中銀はおカネを刷って公共サービスに融資すべきだ」といった発言が相次いだ。



詳細は松尾氏の著書(前掲書)を読んでもらいたいが、
中央銀行の緩和マネーで財政ファイナンスして民衆のために使えという主張は、
欧州左派勢力にとってはほぼ常態化していると言ってもいいようだ。

 

ところが、日本では肝心の民進党が財務官僚に洗脳された
元財務相の野田佳彦氏が幹事長を務めているから大胆な方針転換ができない。



一方、新自由主義政策の“ご本尊”だった自民党は、
第2次安倍政権発足後から「アベノミクス」などという言葉の目くらましを使って
かたちだけの方針転換を演出し、景気刺激を展開した。これが功を奏して民衆の支持を集めた。


しかも、自民党の場合は本来、批判勢力となるはずの“極右”を取り込んでしまっているため、
「右」からの異議申し立てが起きない構造になっている。

さらに、欧米と違って「左」からの批判の声もほとんど聞かれない。



だが、アベノミクスは見かけだけの「反緊縮」だから、化けの皮が剥がれるのも早かった。
政権側は「アベノミクスは道半ば」などと詭弁を弄して失政を取り繕った。


一方、有権者の側もアベノミクスの有効性に疑問を覚えつつも他に有効な選択肢がないから、
ダラダラと支持を続けている。これが、現在の「1強」の正体なのだ。



こうなると、勝つための処方箋は明快だ。

「反緊縮」「反新自由主義」の旗を掲げ、「政府が庶民のためにお金を使う」
「大きな政府」という目標を明確にした本格的な左翼・社会主義的政策を示せばいいのだ。


「政府が庶民のためにお金を使う国」がいいのか、
「企業が世界でいちばん活躍する国」がいいのかを、有権者に選んでもらうというわけだ。


http://lite-ra.com/2017/01/post-2830.html
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松尾匡が熱烈なアベノミクス支持者だった
という事実をリテラは知らないのだろうか?



以下の文章は2015年12月に投稿した当サイトの記事を再掲したものである。



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まず、このエントリー、アベノミクスで正規雇用者も増え始めた!!
では、「生産年齢人口」(15歳~65歳人口)に対する割合で、
正規雇用、非正規雇用の推移が計算されていて、正規雇用の比率の増加が示されています。

これによれば、非正規雇用の率は、民主党政権下から引き続き、一貫して増えています。

他方、正規雇用の率は、民主党政権下では2009年の40.4%から
2012年の40.5%へと0.1%ポイント上昇しただけだったのに対して、
その後、2014年(10月までの平均)の41.1%にまで、2年で0.6%ポイント増えています。
とても見やすい折れ線グラフにされていますので、リンク先をご覧下さい。

さらに、もう「非正規雇用がー」は通用しない
というエントリーでは、率ではなく絶対数で見ても、
2014年に入って「正規社員は4-6月期、7-9月期と連続して前期比で増加している。
しかも、7-9月期は前年同期比でも10万人増加している。」という指摘がなされています。
これもグラフ入り。
データ、グラフ元は「労働力調査(詳細集計)平成26年(2014年)7~9月期平均(速報)」

また、
正規雇用を希望する人 非正規のほうがいい人というエントリーでは、
上記「労働力調査」から、正社員の仕事がないから不本意ながら
非正社員に甘んじている人の数と、その人たちの非正社員に占める割合をグラフにされています。
これも2013年、2014年の間で傾向的に下がっていて、特に2014年に入ってからは、
データのある第3四半期まで下がり続けていることが見て取れます。

そもそも、雇用が増えているのが非正社員だったとしても、
今まで職がなかった人が職にありついたならば、
「ありがたい、この職をまた逃したくない」という気持ちが真っ先にくるのは当然ですから、
言葉の使い方を慎重にしないと、「非正規が増えているのはいけません」的な
言い方だけしていたのではこうした層の人たちから反発を買う恐れがあります。



気がついたら、こうした層の人々がこぞって
自民党の支持者になって日の丸を振っていることになりかねません。




それに、「総雇用者所得」で見ると増えているとする
安倍さんの言い訳もあながち無視はできません。消費需要につながるのは、
一人当たり賃金ではなくて、総雇用者所得だからです。

http://matsuo-tadasu.ptu.jp/essay__141215.html
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上のページでは、正規雇用者数が増えているとか倒産件数が減っているとか、
アベノミクスの恩恵は、こんなにもあるのだと熱弁を振るっているのだが、
雇用を創出したという主張はアベノミクスの生みの親の一人である浜田宏一氏も唱えている。


なぜアベノミクスで庶民の給料は上がらなかったのか?


伊藤元重教授「これから創造的破壊が起きる」
――アベノミクスと働き方変革の因果関係とは?



伊藤教授は直接には雇用情勢が改善されたとは述べないが、今後、アベノミクス効果で
労働力が不足する(売り手市場になる)と語るそれは、松尾・浜田両教授に通じるスタンスだろう。

松尾氏はエッセーの末文に
安易な「アベノミクス失敗」論はやめてほしいし、
 そもそも何度も言いますが、「アベノミクス」という言葉を
 反対側の陣営が口にするのはやめて下さい。2016年に好況の熱狂の中で、
 安倍応援アイドルが「アベノミクス!アベノミクス!」と叫んで踊り回ったらどうする!」
と記しているが、同氏によると来年の選挙時には日本は好況になっているらしい。


「足下では景気回復の恩恵を感じる人が確かに増えていて、
 それが内閣支持率の増加に結びついていることは間違いない」
 (http://matsuo-tadasu.ptu.jp/essay__150218.html)

「マスコミなどでは、「景気回復の実感はない」と
 決まり文句のように言っていますけど、そんなふうにおっしゃる人はたいてい、
 もともと安定して、比較的まともな賃金の職の人なんですよね。
 過去20年の「改革」不況で最も苦しんできた層の人たちの間では、明らかに事態が動いています。
 
実感はない派の人たちは
景気回復がコケて安倍さんに失脚してほしいあまり、現実から目をそむけているのかもしれません

が、今後、景気回復を否定するようなことを言えば言うほど、私たちが最も依拠すべき
こうした層の人たちを、かえって安倍さんの側に追いやる結果になる
でしょう。」
 (http://matsuo-tadasu.ptu.jp/essay__140503.html)

とまぁ、自信満々に述べていた松尾氏だが、その後、日本経済はどうなったのだろうか?
スプートニク紙は次のように伝える。

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アベノミクスは死んだ、経済蘇生は失敗
(2015年12月28日)

日本政府のあらゆる尽力にも関わらず、日本経済は全く蘇生する気配を見せていない。

大規模支援の甲斐なく状況はますます下降線をたどっており、
先週発表された統計は二重のショックを国民に与えた。

先週、日本の失業率が今までの3.1%から3.3%に上昇したことが明らかにされた。
この数値は今年1月からの間で最高で、これにより主婦の財布の紐が引き締められた。

ところが今、明らかにされていることはそれよりも更にひどい。
小売業の売り上げも当初の予測の0.6%ダウンを上回り、
最新の調査では1%減少していることが明らかになった。


2014年に行われた消費税増税による、その前後の影響を考慮しない場合
この売り上げダウンは2011年の東日本大震災以来、最大となっている。


工業生産の景気もいまひとつ。11月、指標は3ヶ月間で初めて落ちたが、これは
世界第3位の経済大国の復興は少なくとも2016年の初めに持ち越されたことを示している。

メーカーは近い将来にも生産拡大を考慮しているものの、
弱弱しいデーターは期待された輸出と需要の増加で経済は押し上げられ、
2%の目標レベルまでインフレを速めるという日本銀行の予測に疑問を呈すものとなった。

個々の指標が物語るのは、異常高温気象による冬物の被服販売に大きな損失が出て、
これにより小売販売が年間で1%落ちこんだ事実。

エコノミストらは輸出における再生の兆候はすでにあることから、
工業に方向転換が起きることは期待できると指摘している。

一方で需要は依然として低いままで、とても経済復興に力を貸すどころではない。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/business/20151228/1380251.html#ixzz3vcpLtgAj
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・・・景気回復ねぇ

最近、アベノミクスの宣伝があまりされないからおかしいと思っていたら、
いつのまにか、こういう事態になっていたという笑えない話。

そもそも、この経済政策は経済史の視点から見れば安倍オリジナルのものではなく、
むしろ、小泉純一郎の経済政策をそのまま踏襲したものである。
それを説明するために、中国の人民網の解説記事を提示しよう。



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「アベノミクス」は日本を損なう

~中略~

「アベノミクス」は何も新しいものではなく、金融緩和とその関連政策の総称に過ぎない。
経済の遅れた国では、紙幣の無闇な発行は、壊滅的な悪性のインフレを引き起こす可能性が高い。
経済の発達した国では、政府が紙幣を増刷しても財産を作り出したことにはならなず、
資源の間違った配置をもたらし、内部の危機を引き起こす。

日本は貨幣の潤沢な先進国であり、貨幣増刷によって引き起こされる
物価上昇の効果は明らかでなく、やはり厳しい問題が生まれている。

「アベノミクス」は物価の下落を恐れ、消費を奨励しており、
 民間の貯蓄は減り、政府の負債率は世界一に達している。

インフレで利益を得ているのは大企業である。

大企業は市場に障壁を形成し、小さい企業のチャンスを減らしている。
日本企業には年功序列の習慣があり、年齢の高い社員が高い地位を占め、
若い社員はなかなか昇進できず、会社の人材コストは高い。

これは労働法の保護によるものであると同時に、インフレ政策の擁護とも関係がある。
日本人は極度に勤勉な労働なしには、生活水準の低下を防ぐことができないのである。

だが日本の物価上昇は明らかでなく、政府のデフレへの恐れを呼び、
量的緩和の推進を促している。生活水準がなかなか上がらないのもインフレによる悪影響である。


政府による刺激を過度に信じ、紙幣増刷によって
成長を促進できると考えたことは、日本の過去20年の最大の間違いだった。


市場化改革が大々的に進められた小泉時代にあっても、この考えは転換されなかった。

2001年に小泉純一郎が首相に就任すると、民営化と自由化の改革が始められ、
中でも難題となっていた郵政改革の実現が旗印とされた。

この改革において、
小泉首相は自らの政治生命を賭けることも厭わず、郵政系統の民営化を推進した。
通貨政策の分野では、小泉首相とそのブレインは掛け値なしの「インフレ派」であり、
日銀に通貨政策の緩和を繰り返し求め、「デフレ」と対決しようとした。


でたらめな通貨政策は小泉改革の寿命を縮め、
いくつかの民営化改革を行ったほかは、日本に持続的な活力を与えることはできなかった。


~中略~

経済発展に対するインフレのマイナス影響は、
短期的に大きく現れるものがあるだけでなく、長期的にゆっくりと出てくるものもある。


その道理は多くの経済学者の古くからの関心となってきた。
ハイエクはかつて、インフレは、政府が紙幣を増刷し過ぎた時だけに起こるもので、
それ以外にはあり得ないと指摘している。インフレの危害は、
オーストリア学派の経済学者によってとうの昔に研究されていたのである。

それにもかかわらず今日の日本政府が(そのほかの多くの国の政府も)
デフレへの対決姿勢を崩さず、インフレを頑強に追求しているのには、ため息を禁じ得ない。

http://j.people.com.cn/n/2015/0915/c94476-8950183-2.html
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http://blog.goo.ne.jp/minamihikaru1853/e/cbad3fa50f777b271af360287af35a0f
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リテラは、いかにも松尾の主張とアベノミクスの内容が異なるものであるかのように語っているが、
実際には「安易なアベノミクス批判はやめろ」
「実感はない派の人たちは
景気回復がコケて安倍さんに失脚してほしいあまり、現実から目をそむけているのかもしれません」


「今後、景気回復を否定するようなことを言えば言うほど、私たちが最も依拠すべき
こうした層の人たちを、かえって安倍さんの側に追いやる結果になる」




「今後、追加的な財政、金融の拡大政策がとられることで、
 来年一年間かけて、それなりに好況が実感されるところまでいくのではないかと思います。」


といった文章を平気で書いていたのが松尾匡だったのである。



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アベノミクスは大震災以上に庶民の暮らしを破壊している
=民主党政権下かつ東日本大震災下の2011年より勤労者世帯実収入も
 家計消費支出も減少させているアベノミクス


まぁ、実質賃金が下がる一方で非正規社員が4割に達した今、
「景気はよくなってるでー」とは言いづらいのではないだろうか?

「民主党政権下かつ東日本大震災下の2011年よりも
 アベノミクスは勤労者世帯の実収入も家計消費支出も落ち込んでいるのです。
 勤労者庶民にとってアベノミクスで「実感できる」のは家計の苦しさだけです。」
 (上記記事より)

という言葉は全くもってそのとおりとしか言いようがない。



4~6月期の実質GDP、年率1.6%減 消費と輸出が低迷



ただし、アベノミクス支持派が消えたわけではない。

“反アベノミクス”に反論。「雇用の質は改善していない」のウソ
なぜアベノミクスで庶民の給料は上がらなかったのか?
「株価急落=アベノミクス失敗」は正しいか 金融緩和の効果を素直に認めない残念な人達


彼らの言い分をまとめると、
①景気は良くなっている。実感できないだけだ
②アベノミクスは失業者を救っているのだ
③成功は「そのうち」実感できる
の3点に絞られるかと思う。


そこで①に関して言えば、下関市立大学教授である関野秀明氏が
政府の公的統計をもとに作成した資料を見てみると、

2012年には1.8%であった実質GDP成長率が2014年には0%になっている。
この期間、実質賃金は連続して低下し、非正規社員も全体の4割に達した。

ちなみに浜田氏は雇用者報酬は増えたと言っているのだが、
彼の場合、名目賃金を指しており、実質賃金ではない。

つまり、野党をはじめアベノミクス批判者は実質賃金の下降を問題にしているのに、
浜田氏は名目賃金の上昇に触れて反論を行っている。この点、かなり巧妙だなと感じる。

②に関して言えば、
立命館大学のm尾匡教授は有効求人倍率の上昇をもって、
アベノミクス成功を主張していたが、そもそも有効求人倍率とは
求人数をハローワークに登録済みの求職者数(有効求人者数)で割った率なので、

例えば、100件の求人があったとしても求職者数が200人から100人に減れば、
それだけで倍率は0.5から1.0に増える。まさに数字のマジック。

実際に、HWに登録した人間の就職者数を見ると2013年の1-3月で約18.5万であるのに対して、
その2年後の2015年1-3月では約16.5万に減っている。それも徐々に減っている。
この数はリーマン・ショック時の水準と同じ値である。

ゴチャゴチャしてわかりずらいが、要するに求人倍率が上がっているのに
実際に就職できた人間が減り続けている
という現象が起きている。

この原因として挙げられるのが労働条件であり、要するに働く意思はあるが、
賃金などの問題で応募を控える人間が増えたということではないだろうか?
ちなみに正社員のみの求人倍率は1.0を越えたことがない

アベノミクス支持者の中には非正規雇用が増えた事態をもって
「失業よりはマシ」と答えるのだが、面白いことにこの意見を唱えるものは
 正規に雇用されている人間だったりする
(松尾氏しかり浜田氏しかり)。


1千5百万円の借金まみれで「高学歴ワーキングプア」の仕事さえ失う若手研究者、
世界一高い高額費・奨学金という名のローン地獄・高学歴ワーキングプアという
貧困三重苦の将来不安抱える日本の大学院生


彼らの職場である大学では、上のような事態になっているのだが、
あまり気にならないらしい。ちなみに大学の非常勤講師は凄まじい薄給で、
それだけでは食っていけないので兼業している人間がかなり多い。

理系が有名だが、10年以上も非常勤講師を務めるワーキングプア研究者も少なくない。
そんなに非正規が問題ないのなら、あんたら辞職して非常勤講師になってよと言いたくもなる。


ちなみに不本意非正規雇用の割合が低いことを理由にアベノミクスを支持する人間もいるが、
不本意非正規雇用の割合は女性や高齢者も含めた全体的評価であり、年齢別・男女別に見ると、
一家の稼ぎ手となる25-34歳、35-44歳、45-54歳の非正規雇用の男性において、
不本意非正雇用の割合はいずれも半数に達し、最も高い。

逆に女性は割合が低く、その大半は既婚者である。
(http://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2014/04/075.pdf)


完全失業者を基準にすると、
2014年で正規雇用を探している各月の平均男性失業者は25-34歳で24万に対して、
非正規を探している同年代の男性は5万、つまり6人いるうち5人は正規職を求めている。

この比率は年齢の上昇と共に、4対1(35-44歳)、3対1(45-55歳)と下降するが、
働き盛りの年代の男性が総じて正規雇用を求めていることはよくわかるはずだ。
(逆に女性は子育て等の影響か、比率が早い時期で逆転している)

http://www.stat.go.jp/info/today/097.htm#k7

こうしてみると、いかに「失業よりはマシだ!最も弱い立場の意見を考えろ!」論は
そいつ自身が全く現実を見ようとしていないことを如実に示していると思われる。

(ちなみに、アベノミクス支持者はアベノミクスが失業者を救ったと豪語するが、
いわゆる完全失業者と半失業者(現在求職中の就業者)の率は逆に増えている。)


安倍首相「雇用100万人増、2年連続賃上げ」→政府統計で
「正規雇用74万人減、実質賃金2年2カ月連続マイナス、
GDP2年連続マイナス(年率換算)、貧困激増させ戦後最大の大企業・富裕層だけ豊かさ享受」


総じて言える事だが、アベノミクス支持者は賃金が減っても「問題ない」、
ワーキングプアが増えても「問題ない」、実質GDPが減っても「問題ない」とし、
そのうち効果は実感できるから、その時を待てと言っている。

「そのうち」とは「どのうち」なのか、いつその日が来るのかを聞いてみたい。


今冬の「ボーナス過去最高」報道にみんな困惑している

そもそも、一般市民が景気向上を「実感」できないのは
彼らの実生活において恩恵が全くと言っていいほどないからである。
それどころか物価の上昇でかえって消費支出が減っている。

アベノミクス支持者は全体では「効果がある」と評価するが、
ほとんどの人間が感じない効果とは要するに富裕者にのみ恩恵のある効果である。

大企業や富裕者には実感できるが、一般人には実感できない状況。それを人は格差と呼ぶ。

結局、連中がやっているのは名目賃金のそれにせよ不本意非正規雇用率にせよ、
データや用語を巧妙に利用して実態を歪めているだけにすぎない。

http://blog.goo.ne.jp/minamihikaru1853/e/f71a725501a171c706d45c70032103eb
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ちなみにリテラは記事の中で
「ノーベル賞経済学者のスティグリッツ氏やクルーグマン氏らもコービン支持を表明しているという。」
と書いているが、この2名はアベノミクスを絶賛していたことを忘れてはならない。

スティグリッツに関して言えば、彼はアベノミクスを支持すると表明し、表敬訪問まで行った。
クルーグマンについては次の記事を読めば十分だろう。


ポール・クルーグマン ― アベノミクスが日本経済を復活させる!


そもそも、松尾の言い分は安倍晋三と不愉快な仲間たちと全く同じ内容だったし、
スティグリッツにせよクルーグマンにせよ、「アベノミクス凄い!!!」と褒めちぎっていたのだ。


それが何だ?今更になって
「アベノミクスは見かけだけの「反緊縮」だから、化けの皮が剥がれるのも早かった。
 政権側は「アベノミクスは道半ば」などと詭弁を弄して失政を取り繕った。」か?勝手なものである。
(直接、彼らが発した言葉ではないが、それでも態度はそういう類のものである)


取り繕ったのは松尾であることを忘れてはならない。



今後、追加的な財政、金融の拡大政策がとられることで、
来年一年間かけて、それなりに好況が実感されるところまでいくのではないかと思います。

これは、「楽観」で言っているのではなくて、
改憲に向けた安倍スケジュールが着実に進むことを警告して言っているのだ
ということを間違えないようにお願いします。


それゆえ安易な「アベノミクス失敗」論はやめてほしいし、
そもそも何度も言いますが、「アベノミクス」という言葉を反対側の陣営が口にするのはやめて下さい。

2016年に好況の熱狂の中で、
安倍応援アイドルが「アベノミクス!アベノミクス!」と叫んで踊り回ったらどうする!




ここまで書いた人物をさも、アベノミクスに反対しているかのように語るのはやめてほしいし、
アベノミクスと違う経済政策を述べているかのように勘違いしてもらうのもやめてほしい。


リテラはどうもケインズ的な政策を松尾が語っていると勘違いしているような気がするが、
松尾は完全なインフレ・ターゲット論者であり、リフレ派の学者だ。


松尾の関心出来る点として、「金融緩和せよ」という主張そのものは変えていないことが挙げられる。
この点では鮫島とは大きく異なる。だが、彼の主張とアベノミクスの主張が違うかのように語るのは合法詐欺だ。


極力、好意的に弁護すれば、松尾の主張自体は変わっておらず、むしろ松尾を期待の星、
知恵ある有識者、傾聴に値する言葉を語る男であるかのように語るリテラのほうがおかしい。


そして、よりによって彼のような人物に評論を書かせてしまう岩波書店が一番大問題である。





私の最近取り組んでいる研究では「知識人の責任」というものを重点的に扱っている。

位置づけ的にはサイードを元祖としたポストコロニアリズムや植民地主義批判、
そしてずいぶん前から流行になっている「差別における民衆の責任」に着眼しているといったところか。

(詳しく描くと正体がばれるので書かない)




いずれにせよ、まっとうな人間であるはずの学者が歪んだオリエント像を生み出し、
アメリカの親イスラエル政策を擁護する強力な武器として作用していることを看破したサイードの著作に
しびれた人間としては、専門家が言うことだからという理由で安易に受け入れるわけにはいかない。


ましてや、かつてアベノミクスを熱烈に支持し、反対論者を攻撃した人物を礼賛するわけにもいかない。

松尾の言葉にはファシズムを感じる。

つまり、敗戦が濃厚となった時点でも
「今までの戦略が悪かっただけ。作戦を立て直せば戦争に勝てる!」と言い張った軍人を想起させる。


そして、それは「アベノミクスは効いている、時間がかかるだけ」と語っている人間と大差ない。
アベノミクスの基本路線を支持していることには変わりない。徹底せよと言っているだけに過ぎない。



アベノミクスが実施される直前に『リフレはやばい』という新書が発刊された。
いわゆる「安易なアベノミクス失敗論者」である経済学者の小幡績氏が書き下ろしたものだが、
ここに書かれたものはその後の歴史でピタリ、ピタリと的中していた。まさに予言の書であるが、
そこにはこういう文章が書かれている。



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リフレ派の主張する政策では、日本経済をよくするどころか、
破たんの危機に追い込んでしまう可能性があることをお話してきました。


リフレ派の政策が人気がある理由のひとつに、一挙解決願望があるのだと思います。



白馬の王子様に憧れる女性と同じと言ってもいいですし、
神風が吹くのを願うのが大好きな国民性と言ってもいいですし、
政治家の大好きな、ガラガラポンが必要という意味不明の幼児言葉で語られる焼け野原願望、
ゼロからやり直すことに対する憧れ、あるいは、破滅の美学かもしれません。



日本経済と日本政治における議論に対する閉塞感。
それらが一気にスカッと解決するというリフレ・ロジックに、
無理な話かもしれないが、ここまで閉塞しているなら、いっそ試してみたらどうか、
という感情を生み出しているのかもしれません。


これに乗じて、リフレ派は喜んで自己主張をしているわけですが、やはり、何事も、
一挙解決の実現は安っぽいドラマのなかだけの話で、
現実には、困難な問題は地道に解決するしかないのです。
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リテラの記事では、ヨーロッパの左翼は金融緩和を主張するのが当たり前だ、
それなのに日本は・・・といった論調が取られているが、ヨーロッパと日本では事情が異なる。


経済大国である日本とヨーロッパ諸国の経済・労働事情を一緒にしてはいけない。
ヨーロッパがやってるから日本もやれというのは福沢諭吉以来の西洋中心主義であろう。


「世界の潮流である」と書いているが、世界はヨーロッパだけで出来てはいない。
 (仮に金融緩和に固執したら中国は経済大国になれなかっただろう)



クルーグマンたちを見ると、
 ヨーロッパ式に文明化すれば、アフリカやアジアの途上国は豊かになるはずだと信じ、
 現地の風習や文化をないがしろにした植民地主義国の知識人を思いだす。



アメリカの言語学者にして社会活動家、ノーム・チョムスキー氏は
「教養のある人間が政府の言い分を支持した時、民衆がそれを否定するのは非常に困難である」
と語った。


かつてアベノミクスを讃えた人間たちには責任があるはずだ。

それなのに、実際に彼らがやっていることは、
かつての自己の言動への忘却と、野党への責任転嫁だ(しかもかなり激しい語調で)


共産党のような以前からアベノミクスを否定し、反自由主義をモットーにしている政党を
意図的に存在しないかのように扱い、野党がだらしないと書くのはペテンである。

それは非常に卑劣で、かつ間接的に自民党を支持しているような行為だ。






松尾がやっていることは、
「日本は勝つ!反戦などけしからん!」とほざき、反対者を攻撃していた人物が
敗戦後、「この作戦がまずかった!(こうすれば勝てた!)」
と語っているようなものだ



後からはいくらでも言えるのである。


重要なのは、過去の自分の発言に責任を持てるかということだ。
それが出来ないうちは、私は松尾教授の言い分を信じることが出来ない。
(実際、外したわけだし)



・追記

そもそもリテラが言うように、アベノミクスが民衆の支持を集めたことなどただの1度もない。
世論は一貫して「景気回復を感じない」と答え続けた。

そういう人々の声を無視して「インフレは問題ない」「紙幣を擦り続けよ」という
事情が異なる欧米の言葉を持ち出してきて「これが世界の常識だ!」と語っているのがリフレ派である。


そこにはリフレ政策を否定する中国の言葉は含まれない。なぜなら中国は世界の一員ではないからだ。
(皮肉にも、ここ10年はリフレを否定した中国が上昇し、肯定した日本は逆に追い越されてしまった)


遠くの声の言葉には反応するが、
今、この国を生きる民衆には見向きもしない。



こういう反対者を装った支持者の言葉を真に受けて状況が改善されると本当に思うのだろうか?

松尾やスティグリッツやクルーグマンの言葉を信じてアベノミクスを支持した人々にとって、
彼らの態度は非道い裏切りにしか見えないだろう。


というより、別に松尾の主張など昔と変わっていないわけだから、
繰り返すが、本当に問題があるのは新自由主義的政策をそうではないかのように
まさに「神風が吹くかのような」一発逆転、起死回生の秘策であるかのように宣伝する岩波やリテラである。


別に松尾に進歩がないのは当たり前だから驚きはしないが、
よりによって松尾を信頼してしまう左翼系のメディアに驚きあきれるのである。


安倍が跋扈しているのは他ならぬ、彼らリベラルを気取っている反対者が
与党と大差ないことしか言わなくなったからだ。主張が同じなら、そのまま与党を支持すればよい。


実に単純明快な話なのだが、彼らは自分たちに責任はないと思い込み、
逆に与党の対立者を執拗に攻撃し続ける。凄まじいものである。


斯様な有様では、日本の経済は今よりもっと悪化するし、改憲だって時間の問題だろう。


自民党、懲りずに消費税増税を主張

2016-06-04 00:16:28 | アベノミクス批判
3日、自民党は参議院選挙の公約を明らかにした。
それによれば「2019年10月に消費税率を10パーセントに引き上げ
その間、赤字国債に頼ることなく安定財源を確保して可能な限り社会保障の充実を行う」としている。

赤字国債に頼らず、どのように社会保障政策の財源を捻出するかについては、明記されていない。

http://jp.sputniknews.com/opinion/20160603/2246059.htmlより)





こんな公約掲げられても自民党に票を入れる奴らって一体・・・


舛添知事にせよ猪瀬元知事にせよ
「野党は信用できない(キリッ)」「他に選ぶべき人間がいない(キラッ)」とかっこつけておいて
ことごとく、権力と癒着している連中ばっかり選ぶというのは、ある意味才能だと思えてならない。


先の衆院選の折も、消費税増税により経済状況が思いっきり悪化した時だったのだが、
それにも関わらず、結果を見れば、与党の圧勝だった。


もちろん、死票が多すぎて得票率自体は低いのに議席を奪取できてしまうという点もあるが、
明らかに自らの首を絞めてくる輩に喜んで票を入れる連中がそれなりにいるのも事実である。


それはさておき、今回の増税見送りはアベノミクスの成功の可否と関連付けて語られている。

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「新しい判断」で失笑の安倍首相が「アベノミクスのエンジンふかす」と…
実態は“空ぶかし”で排ガスまき散らすアベノミクス


よくもまあこれだけウソばかり並べ立てることができるものだ。
昨日、安倍首相が消費増税を2019年10月まで2年半先送りにすることを正式に発表した会見のことだ。


これまで一貫して「増税延期はない」と強調してきたが、
参院選を見込み、消費税率引き上げ先送りを打ち出す必要に迫られていた安倍首相は、
G7を利用するかたちで“世界経済はリーマンショック級の危機”なる珍説を世界に披露。


これが海外で失笑を買うと、
今度は「私がリーマンショック前の状況に似ているとの認識を示したとの報道があるが、
まったくの誤りである」と、誰にでもわかる大ウソをつきはじめた。


そして、昨日の会見では「私たちが現在直面しているリスクは
リーマンショックのような金融不安とはまったく異なります」としながらも、
「しかしリスクには備えなければならない」と言って消費増税の先送りの理由としたのだ。


いや、どんなときだってリスクの可能性はある。

そういう言い訳が通用するなら、増税は未来永劫行うべきではないはずだが、
増税の必要性を訴えてきたのは当の安倍首相であり、
“アベノミクスで消費税を引き上げる環境が整っていく”と述べては
「増税先送りはない」と断言した先の総選挙の明確な公約違反だ。

しかも、言うに事を欠いて、安倍首相ははっきりこう述べた。

「今回、再延期するという私の判断は、これまでのお約束とは異なる、新しい判断であります」

俺の決断は約束とは違っても“新しい判断”だから公約違反じゃない! 
……って、そんなバカな話があるだろうか。


そんなことを言い出したら、“俺が決めた新しい判断だから”と言えば、
どんな選挙公約も覆せるではないか。有権者を愚弄するのも甚だしい。

~中略~


繰り返し指摘されつづけているように、アベノミクスがすでに破綻しているのは明白な事実だ。

アベノミクスにとって最大のキモは、まず富裕層を優遇して儲けさせ、
その富の一部がやがて低所得者層にまで“したたり落ちてくる”トリクルダウン理論にあった。

だが、これはトマ・ピケティ氏が
「過去を見回してもそうならなかったし、未来でもうまくいく保証はない」(東大講義講義)
と一蹴したように、アベノミクスによって格差が広がっているのが現状だ。


また、安倍首相は昨日の会見で、
アベノミクスの成果だとして、賃金と有効求人倍率の高水準化を挙げ、
「(増税のタイミングを誤れば)また20年間続いたデフレに戻る。
『どんなに頑張ったって仕事がない』という状況に戻ってしまう。
『どんなに頑張ったって給料があがらない』という状況に戻ってしまう」と、
国民の不安を煽ったが、これはとんだペテンでしかない。


求人倍率は求職者数が減っているため倍率が上がるのは当然で、問題は非正規雇用が増えたこと。
いまは労働者派遣法改正によって、非正規雇用をさらに増やしかねない状態だ。

さらに、正規雇用と非正規雇用の賃金格差は広がるばかりで、現に実質賃金はずっと下落している。
これでは消費が伸びないのは当たり前だ。

http://lite-ra.com/2016/06/post-2299_3.html
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上のリテラ編集部の記事で述べているように、雇用が伸びたというのはペテンでしかない。

実質賃金は向上の余地がなく、各企業が人件費を削減したがるため、
一つの企業をフルタイムで働くのではなく、パートタイムを掛け持ちする人間も増えているぐらいだ。
(主にシングル・マザーが多い。女性の雇用は未だ改善されているとは呼べないだろう)

こういう働き方を知ってか知らずかアベノミクスを礼賛し続けている(あるいは過去に支持した)
経済学者は今すぐ辞表を出して、原発労働者として再スタートを切ったほうが良いと本気で思う。


(結局、支持するような学者はそれなりに良い待遇を得て生活に困っていないから言えるのである)



筑摩選書 これからのマルクス経済学入門

搾取と貧困が深刻化する今、「階級」「疎外」「労働価値説」「唯物史観」といった、
マルクス経済学の基礎概念を再検討し、現代的な意義を明らかにする、画期的な書!





・・・らしい(笑)


何度か指摘しているが、著者の松尾匡氏はアベノミクスの熱心な信者であり、
少なくとも2015年夏まではアベノミクスによって経済が良くなるのだとほざいていた男である。


そういう人間が入門書を書くというのは、まさに池上彰的だと思わざるを得ない。
つまり、学者向けの専門書を書く実力がないので素人相手に金を巻き上げようとしている。
(まぁ、池上と違って一応、最近の阻害論の動向を整理しているだけマシかもしれないが)


松尾氏をはじめとした専門家が「雇用が増えたんだぞ!」「失業よりはましだろ!」
と安倍晋三のセリフを丸パクリしながら(それでもプロか)政府を擁護している一方で、
中国メディアの人民網は逆にアベノミクスについてかなり詳しく、その実態について論じている。


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日本政府がよりどころとする「アベノミクス」が登場してから3年以上が経ったが、
徐々に効果が薄れているだけでなく、企業界から上がる不評の声はますます大きくなり、
世論の肯定感は低下こそすれ上昇することはない。

復興の不振ぶりをみても、たびたび先送りされるインフレ目標の達成時期をみても、
政策上の矛盾に満ちたアベノミクスが日本経済の「病状」に対してほとんど治療効果をもたないだけでなく、
効果が予想と大きく隔たっていることがありありとうかがえる。新華社が伝えた。



▽矛盾1:企業の分化とアンバランスが加速

アベノミクスの核心の1つは、金融緩和政策によって円高を引き起こし、
ひいては輸出を促進し株式市場を振興させ、最終的には企業業績を改善し、
経済全体を引き上げて成長させるという目的を達成することにある。


だが現実はそうはいかず、
こうした考え方は理想に過ぎ、幻想だとさえ言える。


年初以来の円高の加速、東京証券取引所の暴落といった「思いがけない出来事」の衝撃は言うまでもない。
2012年から15年の期間でみたとしても、アベノミクスの恩恵は日本の多くの企業には行き渡っておらず、
かえって中小企業に大きな苦しみを与えている

円安や株価上昇で大きな恩恵を受けた大手輸出企業に比べ、
日本経済の根幹を支える中小企業は円安により輸入する原材料コストが高騰し、苦しみにあえいでいる。

日本の帝国データバンクがまとめたデータによれば、
昨年12月末現在、卸売産業の原材料コストが前年同期比52.9%増加し、
衣類・繊維製造業のコストはさらに増加して同71.4%の増加となった。

このような非常に苦しい経営環境の中にあって、
中小企業の倒産件数が産業全体に占める割合が上昇を続けている。
15年は全倒産件数8517件のうち、円安による倒産が352件に上り、2年続けて増加したという。


16年3月に日本の企業界がアベノミクスに与えた評価は、ギリギリ合格の60.3点で、前年同期より3.9点低かった。


▽矛盾2:企業の投資の伸びに力無し

アベノミクスでは、金融緩和政策を通じて企業の利益を増加させ、
企業の投資拡大を喚起し、ひいては経済の好循環を実現するという構想を描く。


だが構想は現実によって「砂上の楼閣」に過ぎないことが証明された。


13年にアベノミクスが登場すると、日本銀行(中央銀行)は市場から
驚きの声をもって迎えられた金融政策とマネタリーベース拡大措置を次々に打ち出した。
これを土台として、今年はマイナス金利政策をうち出し、預金金利をマイナス0.1%に引き下げた。

こうした措置を打ち出した主な狙いは、企業向けに良好な金融政策環境を創出し、
貸出の規模を拡大し、生産設備や向上などの固定資産への投資を増やし、
企業の経営範囲を一層拡大し、より多くの利益を達成することにあった。


だが実際には、15年第4四半期(10-12月)に日本の大手企業の投資は限りなくゼロ成長に近づいた。
それだけでなく、同期の大企業の短期貸出は同2.5%減少し、長期貸出はわずか同3.6%増加にとどまった。
これと対照的に、同期の大手企業の手元にある現金は同3.7%増加し、有価証券も同4%増加した。


次のようなデータもある。
10年前に比べ、15年度(15年4月~16年3月)に日本の大手企業の手元の現金は
前年度比32.4%増加したが、固定資産投資額は同16.3%増加で、
アベノミクス実施前の12年度に比べて4.3%の増加にとどまった。

これはつまり、日本の大手企業の利益はアベノミクスという護送船団に守られて増加したが、
企業は現金を使いたがらず、投資にうかつに手を出さなくなった、ということを意味する




▽矛盾3:経済復興の実感が低下

日本の街頭で取材したところ、中産階級の女性が日本経済に対する悲観的な見方を語ってくれた。
その女性によると、日本社会は少子高齢化がますます深刻になり、年金を納める人が減り、
将来、年金がもらえるかどうかわからなくなっている。
退職後の老後の暮らしが心配で、できるだけ貯金してお金を使わないようにしているという。


ニッセイ基礎研究所社会研究部の土堤内昭雄主任研究員は、
「現在の日本社会の構造をみると、アベノミクスは中産階級にとって脅威になる。
こうした状態を炭坑地域にたとえてみると、前方には常にリスクが横たわり、
思いがけない出来事が発生すれば、あっという間に無一物になるような状態だといえる」と話す。

日本社会の構造的な問題だけではない。アベノミクスの企業業績の向上をよりどころとして、
賃金を増やし、国内消費を拡大させるという夢は徐々に泡と消えようとしている。

今年の春季労使交渉(春闘)で、日本企業はさかんに賃金上昇を口にする日本政府に一撃を食らわせた。

自動車メーカーのトヨタは基本給を月額1500円(約90元)引き上げることに同意しただけだった。
自動車産業だけでなく、電子メーカーも誠意ある回答を行わず、
パナソニックも基本給の1500円引き上げに同意するにとどまった。

業績不振のシャープなどは定期的な賃金引き上げを行うと決定しただけだった。

共同通信社が3月に行った調査では、
回答者の81.4%が「アベノミクスが経済復興を促進しているという実感がない」と答え、
64.6%が「日本政府が17年4月に消費税率を再び10%に引き上げるのに明確に反対する」とした。


それだけではない。日本国民は
さきにヤフージャパンのニュースサイトが行った世論調査で、
「アベノミクスは有名無実」との評価を下している。

中小企業と中産階級の犠牲を代償として支払うアベノミクスには数々の破綻がある。
重要なエンジンは期待したような効果を上げず、マイナス影響ばかりが次々現れる。



今年の金融環境と外部環境の不振の中、日本の大手企業は業績予想を次々に引き下げ、
日本経済の前途をさらに暗澹とさせている。(編集KS)

「人民網日本語版」2016年5月31日
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上の記事は2015年度のみの分析を行ったが、
実のところ、2013年度からアベノミクスの批判者はそれほど金融緩和の効果がないこと、
加えて実質賃金の下降と非正規社員の拡大があったことを当時から非難し続けていた。


彼らの言葉を鼻で笑っていた連中は今どうしているのだろうか?

アメリカの言語学者にして社会活動家、ノーム・チョムスキー氏の主張、
教養のある人間が政府の言い分を支持した時、民衆がそれを否定するのは非常に困難である
を強く思い出してしまう。


まぁ浜田宏氏や高橋洋一氏のような完全な御用学者がアベノミクスを支持するのは
ある意味、自然で必然的な行為ではあるが、今頃になってしれっとした顔で
アベノミクスを批判し始めたアホもそれなりにいるわけで、私としては彼らのほうが悪質だと思う。


そういう奴らは大抵、
「アベノミクスは正しかったが増税のせいでダメになった」か
「アベノミクスは正しかったが中国経済の悪化のせいでダメになったか」のどちらかを語る。

要するに自分の判断はその時点で間違っていなかったと言いたいわけである。

こういう奴らに学者やエコノミストの名を語らせてはいけないと真剣に感じる次第だが、
思えば中国経済崩壊論を名乗る輩が跋扈している今日この頃、これもまた自然な現象なのかもしれない。

アベノミクス失敗の中、参院選へ。松尾匡先生は今何を思っているのだろう?

2016-04-17 00:00:12 | アベノミクス批判
ずいぶん前から、アベノミクスが失敗したという評価をよく聞くようになった。

異次元緩和は失敗だった。クルーグマンの『Rethinking Japan』を読む=吉田繁治

共産党をはじめ、いわゆる左翼は、開始直後から、
この金融政策が破たんすることを予言していた
わけだが、
インフレターゲット理論の主唱者が失敗を認めたのは、ある意味衝撃だった。


クルーグマン氏に限らず、海外ではアベノミクスは駄目だったという意見がメジャーである。


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日本のマスコミでは
「アベノミクスで景気が良くなってきた」という安倍首相のウソがいまだに通用しているが、
海外メディアでは、完全に「アベノミクスは失敗した」という認識が一般的だ。


たとえば、
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは「アベノミクス、今こそ再考の時」と題した社説を掲げ、

 「アベノミクスの『3本の矢』は、財政出動と金融緩和で始まった。
  その結果、日本の公的債務残高は年末までに対国内総生産(GDP)比250%に達する勢いだ。 
  日銀は年間約80兆円規模の国債購入を実施しており、
  これは米連邦準備制度理事会(FRB)以上に急進的な量的緩和だ。
  それでも、銀行各行は融資を増やしておらず、デフレは続いている」

 「日本経済の停滞に終止符を打つという首相の公約は達成できておらず、
  今こそ抜本的に再考しなければならない」

と勧告している(11月17日付)。


また、国際ニュース通信社ロイターはデンマークの投資銀行で
デリバティブ取引の世界的大手・サクソバンクのCIO(最高運用責任者)にして
主任エコノミストであるスティーン・ヤコブセンのインタビューを配信したが、


アベノミクスは失敗に終わったと思う。
 新・第3の矢は、もはや矢ではない。構造改革はどこへ行ったのか


「日本にはモーニング・コールが必要だ。長い眠りから呼び覚まされなければならない」


などと断言している(11月18日付)。


実際に数字に見ても、「アベノミクスは失敗した」ことは明らかだ。

内閣府が昨年11月16日発表した6~9月期GDP速報値では年率換算0.7%のマイナスで、
4~6月期の同0.7%マイナスに続いて2四半期連続のマイナスに陥ったことが明らかになったのだ。

2四半期連続のマイナスは欧州など海外では「景気後退期」とみなされる。
さきほど紹介した海外メディアの「アベノミクスは失敗した」報道は、これを受けて行われたものだ。

しかし、日本は景気循環について内閣府が認定するために、
「景気の足踏みが長引いている」(日本経済新聞11月16日夕刊1面)
などという官製報道がまかりとおっている。

http://lite-ra.com/2016/01/post-1899_2.html
http://lite-ra.com/2016/01/post-1899_3.html
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今日のスプートニク紙では、タチヤナ・フロニ氏がアベノミクスの破たんを論じていた。
以下に引用してみよう。



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ブルームバーグ通信は、
世界の価格変動(ボラティリティ)の中心は、徐々に中国から日本へと移りつつあると指摘した。

経済学者や投資家達は、日本経済における大規模な危機を懸念している。


巨額の公的債務を抑制し、
「三本の矢」を推進力に
極めて低い経済成長率を引き上げようとの
安倍政権の4年に渡る試みは、どうやら失敗に終わったようだ。


この事は、アベノミクスの破綻を意味するものではないのだろうか?


スプートニク日本のタチヤナ・フロニ記者は、
ロシアの経済誌「エクスペルト」の分析専門家、セルゲイ・マヌコフ氏に意見を聞いた-


「元IMFの主任エコノミストで現在ワシントンのピーターソン国際経済研究所で働いている
 オリヴィエ・ブランチャード氏は、日本は今急速に、深刻な支払い能力危機に移行中だと見ている。

 またIMFや世界銀行といった金融組織やエコノミストの大部分も、
 日本経済に対するそうした否定的観測を口にしている。


 3年前、安倍首相は、日本を長く続く不況から脱却させると公約して政権の座に就いた。

 そして彼のアベノミクスといわれる経済改革が、
 実際、肯定的な効果を持っている事は、多くの人々に示された。
 日本の新たな奇跡とまで言われたものだ。しかし奇跡の期間は、大変短いものだった。

 今もますます多くのエコノミストが、外国人も日本人も含め、
 全体としてアベノミクスは、その破綻を示したと指摘するようになっている。


 アベノミクスの基礎に置かれたのは、円安だった。
 日本銀行は、絶えず数千億を日本経済につぎ込んだ。

 そうした強力な流動資産の流入は、東京の証券市場で時に、
 真の陶酔を呼び起こし、主要企業の株は相当上がり、86%という数字さえ記録した。

 当時は、日本の新たな奇跡だと語られたものだった。


 しかし、人工的に作られたこのブームは、長くは続かなかった。

 今の日本銀行の主な夢は、インフレ率を2%にまで上げる事だ。
 そうした目的を持って今年1月、日銀はマイナス金利を導入し、皆をひどく驚かせた。

 この決定は、日銀内部の分裂を呼び起こした。
 マイナス金利導入に際しての投票では、5対4と支持派はかろうじて勝利した。
 この政策は、商業銀行の収益性を疑わしいものとし、様々な国々の市場下落を招いた。

 日銀が主な目的とした円安の代わりに、円の対ドルレートは思いもかけず7%も上がってしまった。
 しかし日銀指導部は、マイナス金利は、インフレ率が期待する2%にまで
 上がるまで据え置くと主張している。その際日銀は、今後国債を買ってゆくと発表した。
 そのため80兆円という途方もない資金を費やす考えだ。つまり重大な措置を講じているという事だ。
 しかし、それによって必要な成果は得られない。


 客観的原因と並んで、純粋に日本的特殊性が、そこにはある。
 国民の高齢化、そして急速に進む労働人口の減少だ。

 人口動態学的予測によれば、日本の人口は、2060年までに8600万人にまで減る。
 つまり、今の人口の事実上三分の一が失われるという事だ。

 昨年第4四半期のGDPは、ほぼ1,5%減少した。国民の実質収入は、すでに4年連続で減っている
 それゆえ日本人が、お金を消費するのを急がず、
 まさかの時のためにお金を貯蓄している事は驚くに値しない。

 経済学者らも、そうした形で日本人自身が、自国経済の成長にブレーキをかけているのだと捉えている。
 一方円高によって、経営者は、より用心深くなり、労働者の給与を上げる事に強く抵抗している。

 しかし安倍首相が、自分の政策を変更する事はないだろう。
 今年、経営陣と労働組合の間の交渉で、彼は、経営陣に対し、労働者の賃金を上げ、
 そうする事で国内に漂うデフレの雰囲気を壊すよう根気よく求めた。給与が上がれば、消費の伸びを助ける。
 そうなれば、日本が抱える巨額の債務を助けることになるというわけだ。

 ちなみに日本の債務は、およそ10兆5千億ドルで、対GDP比250%に近づいている。
 世界の先進国の中で、これだけ高い債務を抱えた国は他にない。

 http://jp.sputniknews.com/japan/20160416/1976564.html
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素人の見解ではなく、多くの経済学者やエコノミスト、投資家が日本に見切りをつけている。
これは言い逃れのできない事実。知らないのは海外メディアに触れていない人間だけだろう。


フロニ氏の論説の中では、円安によって株価が上がったことをもって、
アベノミクスが当時多くの人間に絶賛されたということが書かれている。

確かにアベノミクスが事実上開始された2013年度は、
毎日のようにアベノミクス成功ニュースが流されていた。


だが、その一方で、景気の回復を実感できないと答えた人間が半数を超えていたのである。


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景気回復、7割実感せず=時事世論調査

安倍内閣の発足以降、景気の回復を実感するかどうかを時事通信の4月の世論調査で尋ねたところ、
「実感する」と答えた人は23.7%にとどまり、「実感 しない」とした68.6%を大きく下回った。

「アベノミクス」効果で株式市場などは活況を呈しているが、
国民全体では景気回復の実感が乏しいことが浮き彫りになった。(2013/04/13-14:22)

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アベノミクス効果「実感せず」8割超、消費増税「反対」7割超 各社世論調査


2014年10月の記事

アベノミクス道半ば 景気回復「実感せず」が78% 期待度低調

2015年1月の記事

景気回復実感ない人は「たまたま」 世論調査73%でも首相強弁

2016年2月の記事


同時代を生きた人間として告白するが、アベノミクスが効いていると言っていたのは
メディアや御用学者リフレ派の学者だけだった。


円安と株価の上昇で恩恵を受けたのは輸出を生業とする企業、いわゆる大企業だったが、
ほとんどの人間は、暮らしの悪化(もしくは無変化)は実感しても、その逆はなかった。


私は、身の回りの人物、彼らの知人や上司、両親の労働について
よく話を聞いていたから、アベノミクスなど毒でしかないと考えていた。


例えば、さる学生の上司は非正規から正規雇用になったはいいものの、
その代償として週休1日という明らかに法に触れるだろう労働を強いられるようになった。

正規職に就けず、非正規職としていわゆるワーキング・プアに陥っている若者も少なくない。
(特に高卒の青少年)


こういう状況下で物価が上がればどうなるか、まともな人間ならば想像がつくだろう。


ところが、世の中にはイマジネーションというものとは無縁の人種が存在するらしく、
一貫してアベノミクスに効果あり、景気は回復すると強く主張し続けている人間も少なくない。

彼らのほとんどは政府とつながりのある人間だったり、
あるいは政権の支持者であるわけだが、なんと左翼を自称している人間にもそういう輩が存在する。


それが今回の記事の副題で名指しされている松尾匡さんで、
彼は立命館大学の経済学教授という立場から、盛んにアベノミクスの正しさを主張し続けてきた。



2014年12月にはこういうことを書いている。

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【設備投資は増えないのか】
 設備投資が増えていないというご指摘がなされることもよく耳にします。
 日本政策投資銀行(旧長銀)が6月に発表した今年の「全国設備投資計画調査(大企業)」では、
「大企業(資本金10億円以上)の2014年度国内設備投資額は、
製造業(18.5%増)、非製造業(13.2%増)とも増加し、全産業で15.1%増と3年連続の増加となる」と、
大幅な増加が示されていました。
 (※原文でもわざわざ大文字で表示されている)
 
もっとも、消費税増税の悪影響で、実際にはかなり抑えられると思います。
この計画の勢いが復活するかどうかは、今後の景気対策次第だと思います。

今後何もたいした対策をとらなければ、消費税増税の悪影響を抜け出すことはなかなかできないと思います。
しかし、もし消費税増税がなければ、もともと景気拡大の勢いには底堅いものがあったと言えます。

今後、追加的な財政、金融の拡大政策がとられることで、
来年一年間かけて、それなりに好況が実感されるところまでいくのではないかと思います。

これは、「楽観」で言っているのではなくて、
改憲に向けた安倍スケジュールが着実に進むことを警告して言っているのだ
ということを間違えないようにお願いします。


それゆえ安易な「アベノミクス失敗」論はやめてほしいし、
そもそも何度も言いますが、「アベノミクス」という言葉を反対側の陣営が口にするのはやめて下さい。

2016年に好況の熱狂の中で、
安倍応援アイドルが「アベノミクス!アベノミクス!」と叫んで踊り回ったらどうする!


私をはめるときには、アイドルのハニトラでお願いします。

http://matsuo-tadasu.ptu.jp/essay__141215.html
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踊り回ったらどうする!ヽ(`Д´#)ノゴルァッ!

と確かに松尾さんは仰っていたのだが、今となっては何とも言えないものを感じる。
ここまで堂々と書くからには、景気が良くなると本気で信じていたのではないだろうか?


上のページでは、アベノミクスの仕掛け人である浜田宏一氏の言い分を彼なりに
かみ砕いて説明している(意図的かどうかは知らないが)だけなので、
浜田のことを知っている人間には読む価値なしの文章なのだが、
浜田宏一と同じことを語っている人間が左翼を自称するということを思えば何とも凄まじい。

まぁ、もっとも、彼は左派系出版社の大月書店から新著を出したし、
護憲派の団体にも呼ばれたようだから、今の護憲派の連中のレベルもこの程度なのかもしれない。


ところで、上の文章が書かれた2014年12月15日の少し前、
共産党の機関紙である「しんぶん赤旗」では次のような記事が掲載された。


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GDP改定値 「増税不況」くっきり
エコノミストも “若い世代ほど重負担”



8日発表された7~9月期の国内総生産(GDP)改定値が
実質で2四半期連続のマイナスだったことは、消費税率の引き上げで
「増税不況」に陥った日本経済の実態を改めて示しました。

「所得の低い人や就職、結婚をして子育てしている若い世代の人たちほど負担が重い。
 物価が上がり実質賃金が抑えられている」


政府の経済政策に影響力を持つエコノミストも、消費税増税の影響をこう分析しています。


2012年からの1年間で働く貧困層(年収200万円以下のワーキングプア)は、30万人拡大。
貯蓄なし世帯の比率は、14年に30・4%と、3割を超えました。
消費税増税は、社会的弱者を直撃しています。


金融緩和による円安が物価を押し上げ、家計を圧迫しています。
日銀が追加緩和に踏み切って以降、わずか1カ月余りで10円以上円安が進行。
即席麺やアイスクリームなど身近な商品の値上げ発表が相次いでいます。


今回の改定値では、GDPの6割を占める個人消費の低迷に加え、設備投資の弱さも鮮明になりました。
設備投資が、速報値より改善するとの事前の見方に反して下方修正されたのは、
「小規模事業者や個人事業主の設備投資の動向が弱かったため」(内閣府)です。


町工場やクリーニング店など暮らしに密着した
個人経営の商店などの景気判断(総務省の個人企業経済調査)が、4月以降落ち込み続けていることが要因です。


今こそ、大企業応援の経済政策から、暮らし第一に転換することが求められます。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-09/2014120903_03_1.html
----------------------------------------------------

つまり、松尾教授が古いデータをもとに「大幅な増加が示されていました」と
大文字で表記し、アベノミクスには効果があるかのように論じた数日前に、
共産党は最新のデータをもとに設備投資が減ったことを伝えていたのである。



経済学者の松尾氏は、当然、専門家なのだから、この国内生産改定値を知っていたはずだ。
にも関わらず、修正前のデータをあえて使ったのは、何か理由があるのだろうか?ないのだろうか?


なお、上の赤旗の記事ではワーキングプアの増加、特に若者の負担増を主張しているのだが、
松尾氏は同記事が書かれた2か月後に朝日新聞の取材に対し、こう答えている。


-------------------------------------------------------
 ――日本では自民党が金融緩和を進める一方、
   共産党が反対して、政治的立場と政策がねじれています。


なぜ左派が金融緩和に反対するのか。
 言ってしまえば、左派は雇用問題が一番深刻な若い世代の支持がだいぶ細っていて、
 古参の支持者に依存する現実がある。

 退職して年金生活者になっている支持者は金融緩和による物価上昇を恐れる気持ちが強い。
 それが一つの理由ではないか


http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20150217/1424131087
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どうも松尾氏は赤旗を読みもしないで、上のような評価を下したのではないだろうか?

アベノミクス(金融緩和)を支持しないのは、若者のことを考えていないからだ。
こういう印象操作が全国紙の紙面に載り、読者に伝わるその意味をよく考えてほしい。

これは、関連資料を読まずに南京事件を否定する意見広告を
ニューヨークタイムスに載せた極右の連中のそれとどこが違うのだろうか?



少なくとも、共産党の論調は勤労世帯の苦境を率直に代弁しているし、だからこそ、私も
同党の経済政策に関しては素直に評価している。前回、前々回で議席が増えたのもそれが一因だろう。


翻って、若者をないがしろにしている=金融緩和は若者にとって利益になるという印象を与えながら、
この数年間、浜田宏一や高橋洋一のような自民党や維新の党の協力者と同じ主張を取り続けた松尾氏。

信用を失うのはどちらなのかなと不思議な気持ちになる。


松尾氏の主張によれば、アベノミクスは正しくて景気が回復する可能性があるのに、
このまま共産党が失敗を主張し続けていれば、参院選で民心を失って後悔するぞということらしいが、
今思えば、実施当初から、その失敗を主張し続けてきたのは本当に良かったなと思わずにいられない。


松尾氏を見ると、私は慰安婦問題における朴裕河現象を連想する。


忘却のための「和解」

―『帝国の慰安婦』と日本の責任―



朴裕河の『帝国の慰安婦』は鈴木裕子氏や小野沢あかね氏、金富子氏をはじめとした専門家らには、
事実を改ざんし、日本軍の協力者という虚像を植え付けようとした悪書として低く評価されているのだが、
これが、90年代のアジア女性基金を肯定しようとする一部の左翼には非常に好評なのである。

元慰安婦らが朴氏を訴追し始めると、これを連中が非難するという逆転現象まで起きている。
その抗議文は、次のように書かれている。


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検察庁の起訴文は同書の韓国語版について「虚偽の事実」を記していると断じ、
その具体例を列挙していますが、それは朴氏の意図を虚心に理解しようとせず、
予断と誤解に基づいて下された判断だと考えざるを得ません。

何よりも、この本によって元慰安婦の方々の名誉が傷ついたとは思えず、
むしろ慰安婦の方々の哀しみの深さと複雑さが、
韓国民のみならず日本の読者にも伝わったと感じています。


http://www.huffingtonpost.jp/2015/11/26/park-yuha-charge-remonstrance_n_8659272.html
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慰安婦本人が訴えているのに、どうして名誉が傷ついていないと断言できるのだろうか?
実に不可思議である。

この声明の賛同人には大江健三郎や高橋源一郎がいる。
高橋氏は今をときめくSEALDSの後見人だ。


つまり、「戦争はんたーい!9条まもれー!」と叫んでいる連中のボスが
慰安婦問題では被害者が抗議しているのに「朴先生を攻撃するとは許せん!」と言っている
のである。


これは非常に問題があることで、すでに前田朗氏をはじめとして、
何人かの知識人は、これに反対する書誌や講演会を開いている。

大江たちは日本の右翼の歴史改ざん行為にも反対しているのだが、
実際には、非常に悪質な歴史改ざん本を擁護するという何がしたいのかわからない行為に走っている。


これをアベノミクスの言論状況に当てはめれば、松尾氏のそれはまさに経済版高橋源一郎であろう。
護憲を唱え左翼を自称する一方で、極めて政府にとって都合の良い意見を積極的に発言している。


そもそも、安保法が可決されたのも自民党の議席数が十分に確保されていたのが背景にある。
つまり、2013年7月の参院選の時に、議席数が今よりも少なければ強行採決は不可能だった。

この時期は安倍も靖国に参拝していなかったし、今よりは過激なことをしていなかった。
改憲よりもアベノミクスの成功を前面に押し出して選挙に臨んでいた。

さて、そうなると、ここで問題になるのは、
当時、アベノミクスは正しいのだと盛んに主張したことは、
結果的に自民党に投票することを支援したことにはならないのか
ということである。


実際、アベノミクスによる景気の向上を期待して投票した人間は少なくないだろう。

あの時、テレビをはじめとするメディアによる連日のアベノミクス成功神話の大合唱がなければ、
多少なりとも、結果は変わっていたのではないだろうか?

共産党は当時からアベノミクスは効かないと主張していた。

参院選直前の2013年7月1日に共産党は
「アベノミクスをとことんやり抜かれれば日本経済は破たんします。」と主張した。


で、実際に多くの経済学者、エコノミストらからアベノミクスは失敗したと現在、評価されている。

他方、当時からアベノミクスを支持し、未だに支持しているであろう人間がそれなりにいるのだが、
彼らは2013年7月の参院選において景気向上を期待する有権者を結果的にだましたのではないのか?


少なくとも、参院選において自民党の議席数が増えたこと、
それが2015年9月の安保法強行採決を可能にさせたと認め、責任を感じるべきではないのか?


もちろん、私は浜田らのような根っからの体制支持者に自省を求めているわけではない。

戦争に反対すると言いながら、戦争をさせるシステム作りに協力したことに対して
自称左翼の連中は自覚しているのか
ということが気になるだけ
である。


そういう自覚なしの反戦なら右翼にも出来ることであり、
そうしている間にも、前の記事で述べたように日本海軍は南シナ海で活動を始めている。


中途半端なNoほど心強いYesはない。

私たちがこれから持つべきは、徹底した反抗の意志であり、
右翼と妥協できるような態度は、早々に捨て去ってしまったほうが良いだろう(※)。


※ただし、この問題(日本左翼の隠れた右傾化)は一部左翼における現象というよりは、
 より深刻なもの、冷戦終結以降、一貫して主流左翼全体におきている現象だと言える。

 中国や北朝鮮、ロシア、イラン、イラク、シリアなどにおける態度はまさにそれだ。
 そのことは、日ごろからこのサイトで指摘し、問題視している。

 また、松尾氏が現在、どのような見解を抱いているのかについては私は知らない。
 生憎、彼のストーカーではないので、逐一発言をチェックしていない。
 
 もしかすると、今は違う意見を持っているのかもしれない。
 (それでも、過去の発言に対する反省は必要だと思うが……)

 そういう意味では彼だけを責めても仕様がない。
 
 なお、私が観察する限りでは過去にアベノミクスを支持していたなかで、
 現在、その政策の失敗を多少なりとも感じている人間は、消費税の増税や中国経済の減速を
 アベノミクス失敗の原因に仕立てようと躍起になっている印象を受ける。あくまで印象だが。

 そういう御仁には、
 そういった不確定要素に左右されるような脆弱な経済政策をなぜ支持したのだ
 と問い詰めたい。

 アベノミクスの反対論は多く出版されているが、
 金融緩和が景気回復の武器になるとは限らないということを指摘した本として、
 2003年に出版された『デフレとバランスシート 不況の経済学』がある。

 これはアメリカのニューヨーク連邦準備銀行でエコノミストとして活躍し、
 出版当時、野村総合研究所の経済研究部主席研究員、チーフエコノミストだった
 リチャード・クー氏が著したもので、小泉政権が実施した金融緩和政策を批判したものだ。

 つまり、金融緩和が効かないということは10年以上前から指摘されたことだったのである。
 インフレ・ターゲット論の成功を疑問視するこういう声を無視してアベノミクスは敢行された。

 まさに、歴史は二度繰り返した。一度目は悲劇として。二度目は喜劇として。

海外メディア、アベノミクスの破綻を報じる

2015-12-29 00:08:38 | アベノミクス批判
アベノミクスは開始当初から多くの左派系エコノミスト・学者から批判を受けてきた。

代表的な論者として、下関市立大学の関野秀明氏、
エコノミストの浜矩子氏、ケインズ経済学者の伊東光晴氏などが挙げられる。

筆者が特に推しているのは関野氏で、彼が共産党が発行する経済誌『経済』に
定期的に投稿するアベノミクス批判からは、かなり勉強させてもらった。

まぁ、その勉強の発端になったのは立命館の松尾匡教授からの激励なのだが……
知らない人のために紹介すると松尾教授は左翼を自認するリフレ派の経済学者で、
以前から一貫してアベノミクスを支持してきた方である(本人は否定するかもしれないが)


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まず、このエントリー、アベノミクスで正規雇用者も増え始めた!!
では、「生産年齢人口」(15歳~65歳人口)に対する割合で、
正規雇用、非正規雇用の推移が計算されていて、正規雇用の比率の増加が示されています。

これによれば、非正規雇用の率は、民主党政権下から引き続き、一貫して増えています。

他方、正規雇用の率は、民主党政権下では2009年の40.4%から
2012年の40.5%へと0.1%ポイント上昇しただけだったのに対して、
その後、2014年(10月までの平均)の41.1%にまで、2年で0.6%ポイント増えています。
とても見やすい折れ線グラフにされていますので、リンク先をご覧下さい。

さらに、もう「非正規雇用がー」は通用しない
というエントリーでは、率ではなく絶対数で見ても、
2014年に入って「正規社員は4-6月期、7-9月期と連続して前期比で増加している。
しかも、7-9月期は前年同期比でも10万人増加している。」という指摘がなされています。
これもグラフ入り。
データ、グラフ元は「労働力調査(詳細集計)平成26年(2014年)7~9月期平均(速報)」

また、
正規雇用を希望する人 非正規のほうがいい人というエントリーでは、
上記「労働力調査」から、正社員の仕事がないから不本意ながら
非正社員に甘んじている人の数と、その人たちの非正社員に占める割合をグラフにされています。
これも2013年、2014年の間で傾向的に下がっていて、特に2014年に入ってからは、
データのある第3四半期まで下がり続けていることが見て取れます。

そもそも、雇用が増えているのが非正社員だったとしても、
今まで職がなかった人が職にありついたならば、
「ありがたい、この職をまた逃したくない」という気持ちが真っ先にくるのは当然ですから、
言葉の使い方を慎重にしないと、「非正規が増えているのはいけません」的な
言い方だけしていたのではこうした層の人たちから反発を買う恐れがあります。

気がついたら、こうした層の人々がこぞって
自民党の支持者になって日の丸を振っていることになりかねません。

それに、「総雇用者所得」で見ると増えているとする
安倍さんの言い訳もあながち無視はできません。消費需要につながるのは、
一人当たり賃金ではなくて、総雇用者所得だからです。

http://matsuo-tadasu.ptu.jp/essay__141215.html
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上のページでは、正規雇用者数が増えているとか倒産件数が減っているとか、
アベノミクスの恩恵は、こんなにもあるのだと熱弁を振るっているのだが、
雇用を創出したという主張はアベノミクスの生みの親の一人である浜田宏一氏も唱えている。


なぜアベノミクスで庶民の給料は上がらなかったのか?


伊藤元重教授「これから創造的破壊が起きる」
――アベノミクスと働き方変革の因果関係とは?



伊藤教授は直接には雇用情勢が改善されたとは述べないが、今後、アベノミクス効果で
労働力が不足する(売り手市場になる)と語るそれは、松尾・浜田両教授に通じるスタンスだろう。

松尾氏はエッセーの末文に
安易な「アベノミクス失敗」論はやめてほしいし、
 そもそも何度も言いますが、「アベノミクス」という言葉を
 反対側の陣営が口にするのはやめて下さい。2016年に好況の熱狂の中で、
 安倍応援アイドルが「アベノミクス!アベノミクス!」と叫んで踊り回ったらどうする!」
と記しているが、同氏によると来年の選挙時には日本は好況になっているらしい。


「足下では景気回復の恩恵を感じる人が確かに増えていて、
 それが内閣支持率の増加に結びついていることは間違いない」
 (http://matsuo-tadasu.ptu.jp/essay__150218.html)

「マスコミなどでは、「景気回復の実感はない」と
 決まり文句のように言っていますけど、そんなふうにおっしゃる人はたいてい、
 もともと安定して、比較的まともな賃金の職の人なんですよね。
 過去20年の「改革」不況で最も苦しんできた層の人たちの間では、明らかに事態が動いています。
 
実感はない派の人たちは
景気回復がコケて安倍さんに失脚してほしいあまり、現実から目をそむけているのかもしれません

が、今後、景気回復を否定するようなことを言えば言うほど、私たちが最も依拠すべき
こうした層の人たちを、かえって安倍さんの側に追いやる結果になる
でしょう。」
 (http://matsuo-tadasu.ptu.jp/essay__140503.html)

とまぁ、自信満々に述べていた松尾氏だが、その後、日本経済はどうなったのだろうか?
スプートニク紙は次のように伝える。

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アベノミクスは死んだ、経済蘇生は失敗
(2015年12月28日)

日本政府のあらゆる尽力にも関わらず、日本経済は全く蘇生する気配を見せていない。

大規模支援の甲斐なく状況はますます下降線をたどっており、
先週発表された統計は二重のショックを国民に与えた。

先週、日本の失業率が今までの3.1%から3.3%に上昇したことが明らかにされた。
この数値は今年1月からの間で最高で、これにより主婦の財布の紐が引き締められた。

ところが今、明らかにされていることはそれよりも更にひどい。
小売業の売り上げも当初の予測の0.6%ダウンを上回り、
最新の調査では1%減少していることが明らかになった。


2014年に行われた消費税増税による、その前後の影響を考慮しない場合、
この売り上げダウンは2011年の東日本大震災以来、最大となっている。


工業生産の景気もいまひとつ。11月、指標は3ヶ月間で初めて落ちたが、これは
世界第3位の経済大国の復興は少なくとも2016年の初めに持ち越されたことを示している。

メーカーは近い将来にも生産拡大を考慮しているものの、
弱弱しいデーターは期待された輸出と需要の増加で経済は押し上げられ、
2%の目標レベルまでインフレを速めるという日本銀行の予測に疑問を呈すものとなった。

個々の指標が物語るのは、異常高温気象による冬物の被服販売に大きな損失が出て、
これにより小売販売が年間で1%落ちこんだ事実。

エコノミストらは輸出における再生の兆候はすでにあることから、
工業に方向転換が起きることは期待できると指摘している。

一方で需要は依然として低いままで、とても経済復興に力を貸すどころではない。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/business/20151228/1380251.html#ixzz3vcpLtgAj
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・・・景気回復ねぇ

最近、アベノミクスの宣伝があまりされないからおかしいと思っていたら、
いつのまにか、こういう事態になっていたという笑えない話。

そもそも、この経済政策は経済史の視点から見れば安倍オリジナルのものではなく、
むしろ、小泉純一郎の経済政策をそのまま踏襲したものである。
それを説明するために、中国の人民網の解説記事を提示しよう。



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「アベノミクス」は日本を損なう

~中略~

「アベノミクス」は何も新しいものではなく、金融緩和とその関連政策の総称に過ぎない。
経済の遅れた国では、紙幣の無闇な発行は、壊滅的な悪性のインフレを引き起こす可能性が高い。
経済の発達した国では、政府が紙幣を増刷しても財産を作り出したことにはならなず、
資源の間違った配置をもたらし、内部の危機を引き起こす。

日本は貨幣の潤沢な先進国であり、貨幣増刷によって引き起こされる
物価上昇の効果は明らかでなく、やはり厳しい問題が生まれている。

「アベノミクス」は物価の下落を恐れ、消費を奨励しており、
 民間の貯蓄は減り、政府の負債率は世界一に達している。

インフレで利益を得ているのは大企業である。

大企業は市場に障壁を形成し、小さい企業のチャンスを減らしている。
日本企業には年功序列の習慣があり、年齢の高い社員が高い地位を占め、
若い社員はなかなか昇進できず、会社の人材コストは高い。

これは労働法の保護によるものであると同時に、インフレ政策の擁護とも関係がある。
日本人は極度に勤勉な労働なしには、生活水準の低下を防ぐことができないのである。

だが日本の物価上昇は明らかでなく、政府のデフレへの恐れを呼び、
量的緩和の推進を促している。生活水準がなかなか上がらないのもインフレによる悪影響である。


政府による刺激を過度に信じ、紙幣増刷によって
成長を促進できると考えたことは、日本の過去20年の最大の間違いだった。


市場化改革が大々的に進められた小泉時代にあっても、この考えは転換されなかった。

2001年に小泉純一郎が首相に就任すると、民営化と自由化の改革が始められ、
中でも難題となっていた郵政改革の実現が旗印とされた。

この改革において、
小泉首相は自らの政治生命を賭けることも厭わず、郵政系統の民営化を推進した。
通貨政策の分野では、小泉首相とそのブレインは掛け値なしの「インフレ派」であり、
日銀に通貨政策の緩和を繰り返し求め、「デフレ」と対決しようとした。


でたらめな通貨政策は小泉改革の寿命を縮め、
いくつかの民営化改革を行ったほかは、日本に持続的な活力を与えることはできなかった。


~中略~

経済発展に対するインフレのマイナス影響は、
短期的に大きく現れるものがあるだけでなく、長期的にゆっくりと出てくるものもある。


その道理は多くの経済学者の古くからの関心となってきた。
ハイエクはかつて、インフレは、政府が紙幣を増刷し過ぎた時だけに起こるもので、
それ以外にはあり得ないと指摘している。インフレの危害は、
オーストリア学派の経済学者によってとうの昔に研究されていたのである。

それにもかかわらず今日の日本政府が(そのほかの多くの国の政府も)
デフレへの対決姿勢を崩さず、インフレを頑強に追求しているのには、ため息を禁じ得ない。

http://j.people.com.cn/n/2015/0915/c94476-8950183-2.html
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これは9月に書かれた記事だが、1ヵ月後にはこういう記事が書かれた。




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アベノミクスに疲れの色

日本政府はこのほど10月の月例経済報告を発表し、経済情勢への総括判断を下方修正して
「一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」とした。

日本政府が総括判断を下方修正したのは1年ぶりのことだ。人民日報が伝えた。

最近、日本経済には再びデフレの兆しがみえている。

アベノミクスの「3本の矢」の効果がはっきりと出ていない状況の中、
9月14日にうち出された「新3本の矢」は具体性の乏しさや目標と実際との乖離が指摘されている。

▽物価指数は低下 国民の実質負担が増加

今年4月以降、日本政府は経済の総括判断で「緩やかな回復」という表現を維持してきた。
共同通信社は、安全保障関連法案が批判を受ける中、支持率の一層の低下を避けるため、
日本政府は経済の実際の状況を覆い隠すことにしたと指摘する。


日本政府は2013年初頭にアベノミクスの「3本の矢」をうち出し、
1本目の「大胆な金融政策」では3年以内にインフレ目標2%を達成し、
日本経済の長年にわたるデフレ傾向を打破するとされた。

40%を超える大幅な円安、食品やエネルギーの輸入価格の高止まりにより、
日本は生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)が14年度は前年度比2.8%上昇した。

だが消費税率アップや国際原油価格の大幅下落の影響により、
CPIは4月以降、0.3%を下回る低水準をうろうろしてきた。

今年8月にはさらにマイナス0.1%にまで低下し、28カ月ぶりの低下となった。

~中略~
指摘しておくべきことは、日本の食品価格はここ2年間に大幅に上昇したが、
消費者物価指数を算出する際には生産食品を除外するため、
インフレ指数は低下しているものの、国民の実質的負担はかえって増加しているということだ。

日本政府は2年連続で企業の賃上げを誘導してきたが、
今年6月末現在、従業員の実質所得は前年同期に比べ3%低下した。

米国の格付け会社スタンダード・アンド・プアーズは9月に日本国債の格付けを引き下げ、
アベノミクスの効果に疑義を呈し、経済成長が鈍化したため、
11年度から14年度にかけて日本の平均所得は減少し、
日本経済はデフレからなお脱却できず、巨額の財政赤字を背負うことになったと指摘した。

日本銀行(中央銀行)が発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、
大規模製造企業の業況判断指数(DI)は12で、前回調査時の6月より3ポイント低下し、
2四半期ぶりの低下となった。経営者は経済の見通しにますます慎重な態度を取るようになっている。

市場では、日銀の金融政策はすでに行き詰まったとの声が聞かれる。

経済情勢が悪化すれば、日銀は必ず追加緩和を行い、これにより円がさらに値下がりし、
物価がさらに上昇し、消費が再び打撃を受けることになるという。

http://j.people.com.cn/n/2015/1026/c94476-8966933.html
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アベノミクスを否定すると野党の支持率が減るかのように語る人間もいるが、
現実では、アベノミクスに効果があるのではないかという期待が支持率を支えている。

(特に株高はそれを如実に示したものだろう)


とするならば、「アベノミクスは正しいのだ、効果があるのだ」と喧伝した
一部のメディアや経済学者の言葉こそ、安倍政権を下から支えてきたとは言えないだろうか?


少なくとも、私からすれば自分の暮らしを良くしてくれるのであれば、
自民党だろうと民主党だろうと投票するし、実際、2009年の衆院選で
民主党が自民党に大勝したのは、景気回復への期待が込められていたからだ



経済政策が正しいのであれば、好き好んで共産党や社民党に投票する人間がどこにいるだろう?
あれほど露骨な軍拡を目論みながら支持率は4割を下回ろうとしない。
それは、少なくともアベノミクスが効いているという信仰があるからではないだろうか?
(ほとんどの人間は、これ以上の経済が悪化しないことを望んでいるのである)


松尾教授が今年の6月に開いた講演会のパンフレットには
「「アベノミクス破綻」に最後の希望をつなぐ人を見るたびに、暗澹たる気持ちがいたします。
 2016/7衆参同時選挙、自民単独2/3確保し、改憲に王手をかけるために
 安倍は緻密な計画と信念を持ってやっており、2016/7頃に
 景気が良くなるように着実に手を打っています。」と予言している。


しかし、よくよく考えれば来年を待つことなく今年の9月に安保法案は可決され、
それを支えた議席数は、まさに一部の人間がアベノミクスは効果があるのだ、
アベノミクスのおかげで救われた人間がいるのだと叫ばれた2014年の選挙で得られたものだった



あの時、もし一人でも多くの学者がアベノミクスによって実質賃金は下がる一方だと
語ってくれれば、話は大きく変わったかもしれない。今とはなっては後の祭りだが。

最後になるが、松尾教授は1ヵ月後に
『この経済政策が民主主義を救う』という本を出すらしい。

アベノミクス支持者の高橋洋一氏が
『この金融政策が日本経済を救う』という本を書いていたのを思い出す。


紹介文によると、
「改憲に突き進む安倍政権のもとで、これから景気はどうなっていくのか? 
 対抗する左派・リベラル派は何をすべきか? 
 人気の経済学者による経済予測と「勝てる」提言。」とあるが、正直、どこに勝たせたいのだろう?

今年になって松尾氏は左派政党の連合を主張しているのだが、
反リフレ派の共産党がこれに耳を傾けることはまずない(正しい判断だと思う)。

とすると、社民と民主の連合なのかということになるが、民主は政治的には自民党と大差なく、
実際、歴史改竄や靖国参拝、あるいは改憲を支持したり実行する議員も党内に多く存在する。
あきれたことに維新の党と手を組むことを公言してしまったし、とても票を入れる気になれない。

左派系民主党員と社民党の連立、新党結成は、まぁ考えられなくもないものだが、
正直、単に自民党に席を取られたくないためだけに作った政党に誰が入れるだろうか。
(私は絶対に入れたくない)


松尾教授にしても、Sealdsの連中にしても、ビジョンと言うものを見せてくれないので、
単に自民党の議席や支持率を減らしたいだけの運動に見えてしまい、
その点が生活が悪化し、これ以上の経済悪化を防ぎたい保護的な大衆に響かないような気がする。

他の政党にまかせても大丈夫だろうかと思わせるには、それなりのビジョンが必要だ。
つまり、今の経済政策のどこが問題で、どう変えるべきなのかというビジョン。

「アベノミクスはそのまま継いで、改憲だけなくします」という程度の意見なら、
 自民党の左派も同じことを言っているわけで、全く効果がないだろう。

 この手の弱いNoほど与党にとって力強いYesはない。
 今の左派に必要なのは中途半端な反対ではなく、真っ向からの対決姿勢だろう。

GDP再び後退

2015-08-19 00:47:00 | アベノミクス批判
赤旗より

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内閣府が発表した今年4~6月期の国内総生産(GDP)の速報値によれば、
前期に比べた伸び率は物価変動を除いた実質で0・4%減、
このまま1年間続くとした年率換算では1・6%減で、
日本経済が再びマイナス成長に転落したことが明らかになりました。


日本経済は昨年4月、安倍晋三政権が消費税の税率を8%に引き上げて以降、
消費が急速に落ち込み、実質GDPは昨年4~6月期、7~9月期とマイナス成長を続けました。

今回3四半期ぶりのマイナス成長となったのは、
日本経済が受けた打撃の深刻さを、改めて浮き彫りにするものです。


発表された4~6月期のGDPの内訳を見ても、
個人消費(民間最終消費支出)が前期比0・8%減、
民間企業設備投資は0・1%のマイナスとなるなど、
昨年の消費税増税時に消費や投資が大きく落ち込んだあと、
依然として低迷を脱しきれていない動きとなっています。

経済を支えてきた輸出や輸入も、4~6月期は大幅マイナスになりました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-08-18/2015081801_05_1.html
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未だにアベノミクスのおかげで経済が良くなったと言いはる経済学者は
いい加減、自分の見通しが甘かったことを自覚しろよと言いたい。



ほとんどのアベノミクス擁護論者は、
随分前から日本経済がこれといって回復せず、
GDPに限って言えば減少すらした事実を消費税のせいにして逃げている。


アベノミクスは正しいんだ!ただ、消費税が上がったせいで上手くいかなかったんだ!
ということにしたいらしい。

私の知る限りでは某有名大学経済学者のT・M教授がそれ。
あれだけ大口を叩いておきながら、どの面で……と怒りを禁じえない。


(なお、アベノミクスがさほど生活に良い影響を与えていないこと、
 それどころか逆のパターンさえ見られることは2013年の時点から指摘されている)


実質賃金が上がらず物価だけ上がれば消費が減る。当たり前の現象だ。
なぜ気がつかなかったのだろう?


御用学者ならいざ知らず、一応、左翼を気取っている先生方の中から
こういうみっともない連中がウジャウジャ生まれたのは無視できない現象。

エコノミストや経済学者がどれだけ読みをはずしてもそれだけで
何らかのペナルティを受けることは無い。

ペナルティどころか時の政権の経済政策を学問的に支持すればリターンがかえってくる。
アベノミクスの権威化に勤しんだ自称左翼の経済学者は今後も反省をしないのだろう。


まぁ、少なくとも、岩○喜久男氏、松○匡氏の本はもう読まない。

弟子なのか本人なのか知らないが、彼らの中には
こんな弱小ブログにまで特攻を仕掛け炎上を目論む暇人が混じっていて本当に嫌になる。

基督抹殺論

2015-06-29 00:10:00 | アベノミクス批判
社会主義者の幸徳秋水は冤罪で処刑される直前、
『基督抹殺論』(キリストまっさつろん)という遺作を残した。

これはキリストが歴史上の人物ではない、神の子ではないということを
述べたもので、遠まわしに天皇制を批判したものではないかと言われている。

さて、前の記事で『悪魔の飽食』に関する言論弾圧事件について書いたが、
その際、同様のことは現代でも個人に対して行われているとも述べた。


言うなれば、その記事は私の『キリスト抹殺論』である。
森村氏に対して起きたことと全く同じパターンが繰り返された。

http://blog.goo.ne.jp/minamihikaru1853/s/%A1%FBhihan

攻撃が止んだ今、もう公開しても良かろう。
アベノミクスは本当に良い効果をもたらしたのか、気になる方には御一読頂きたい。

○hihan

雑考1(雇用の量)

2015-02-28 00:01:08 | アベノミクス批判
本記事は数週間前に執筆したものを誤字脱字訂正・清書したものである。

6月10日、当サイトは某氏が
朝日新聞のインタビューに答えたコメントについて、3点の指摘を行った。

その際、2つのテクニカル・タームを混同して記述してしまったが、
記事投稿直後に、○氏からこの点を指摘され、抗議を受けた。


誤解に基づいて中傷発言をした件については申し訳なく思う。
ここに改めて、謝意を示したい。


しかしながら、私が彼のインタビュー発言や、その他の媒体での発言を読み、
ふつふつと浮かんできた感情、それは不信感を伴うものであったが、
それ自体に関しては恥じることの無いものであったと断言できる。



(http://bylines.news.yahoo.co.jp/inoueshin/20150526-00046052/)
というのも、その箇所以外の言及、
①正社員の雇用者数が減少する一方で、非正規の雇用者数が増加している
②共産党は何も高齢者の支持を狙ってアベノミクスに反対しているわけではない
③金融緩和は雇用を言うほど増やさなかった

という3点の指摘自体は正しいからである。



①、②は後述するとして、
○氏の主張である「量的緩和をすれば雇用が増える」

と言う点について検証してみよう。



アメリカでは量的緩和が2008年11月~2010年6月(QE1)、
2010年11月~2011年6月(QE2)、2012年9月~2013年12月(QE3)と
3期に渡って実施された。 U.S. Bureau of Labor Statisticsを利用すると、

この間の失業率は、6.8から9.4、9.8から9.1、7.8から6.7となっている。
2008年から発して2009年10月をピークに、なだらかに下降している。

つまり、量的緩和は大して効き目が無かった。

効き目があるなら、実施されている時期に実施以前と比べて顕著な下降が見られるはず。
それが無い以上、量的緩和は雇用創出の絶対の武器ではないと言える。
(効果がある場合も存在する※1)


失業率だけを取り上げて言えば、
実施直後(6.8%)と実施終了後(6.7%)の失業率に差はないし、
むしろ実施したことで失業率が上昇し、
実施以前にまで戻すのに5年の歳月が必要になった
ことを示している。

この結果は金融緩和絶対効果あるマンたちにとっては、非常に手痛いデータだろう。


なぜ、このようになるかと言うと、
量的緩和で干渉出来るのは、銀行までの資本の流れであり、
そこから先の銀行から企業への流れは実体経済に依存しなければならないからである。
(企業が事業資金を、個人が住宅ローン等を借りなければならない)

では、2013年度における金融緩和はマネーストックを増やしたのだろうか?


日銀統計を用いると、
2013年4月から2014年3月までのベースマネーは、
149.6兆円から208.6兆円へと増加した(増加率39.4パーセント)が、

他方で、実体経済のなかで流通している通貨(マネーストック)は
この間、1486.5から1535.2、すなわち3.3パーセントしか伸びていない。



前年度の増加が3.0パーセントであることを踏まえれば、
実際に銀行から法人・個人へと渡った通貨量は
アベノミクスの前後で大差ないことがわかる。




(なお、エコノミストの野口悠紀雄氏は、この点について私と同意見だ。
目標の2年が経過した異次元金融緩和を総括する


「ひどい不況の時、金融緩和で作ったお金は、
  直接には使われず銀行にため込まれてしまう。

 だから、そのお金が世の中に回る仕組みをつくるために、
 安倍政権は旧来型の公共事業を第2の矢として実行し、それが効いた(※2)」

と○氏は述べているが、消費税実施以前の2013年第Ⅰ
4半期以後の国民経済の実質成長率を見ると、
4.5⇒4.1⇒0.9⇒0.7と劇的に減っている


これは上記のマネーストックのデータと符合するもので、
第二の矢は大して効果が無かったことが言える。



それは設備投資のデータにも通じるもので、
金融・保険業を除く全規模、全産業の設備投資は、
財務省の『法人企業統計』をもとにすると停滞している。


http://www.dbj.jp/investigate/equip/national/detail_201306.html
http://www.dbj.jp/investigate/equip/national/detail.html

日本政策投資銀行がまとめた
2012年度、2013年度の全国設備調査(大企業)をもとに、各年度の前年比を示すと、

2012年度がプラス2.9%、2013年度がプラス3.0%である。


設備投資の増減率推移を見ると、2011年ー2012年度のほうが傾きが高い

なお、2015年1月12日の「平成27年度の経済見通しと経済財政政策の基本的態度」では、
13年度の設備投資見通しがプラス4パーセント、
14年度の設備投資見通しがプラス1.2パーセントとなっている。



これはマネーストックに大した変化がないことからも裏付けられるだろう。
アベノミクス下での量的緩和が実際の設備投資に与える影響は微々たる物だった。
統計のデータを見る限りでは、そう言える。


もちろん、プラスだからえーじゃないかという話だが、
2013年度の設備投資(計画)が前年比プラス10.3パーセント、
実績が3.0パーセントだったことを考えれば、この数値は楽観視できない。



しかし、それよりももっと重要なのが、設備投資に大した変化がない一方で、
有効求人倍率がゆるやかに上昇していることである。




(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000044792.html)

さらに注視すると、実は有効求人倍率自体は
アベノミクスの前から上昇していたことがわかる。


つまり、設備投資の増減とは関係なしに有効求人倍率は上がっている

とするならば、量的緩和が雇用を増やしたという主張は、
少なくとも日本においては、実態と異なっていると言えよう。


有効求人倍率(年度ごとの平均値)
2010  2011  2012  2013  2014
0.52  0.65  0.80   0.93   1.09

    +0.13  +0.15 +0.13 +0.16

厚生労働省 一般職業紹介状況より

このように有効求人倍率の増加値は
アベノミクス前後で変化が全くない。



ダメ押しで失業率も併記する。

2010  2011  2012  2013  2014  
5.04   4.57   4.33   4.02  3.58

    -0.47 -0.24 -0.31 -0.44

IMF World Economic Outlook Databaseより


実は2013年度から2014年度までの減少値は
2010年度から2011年度までのそれより少しだけ低い。



マイナス傾向だったのがプラス傾向へと変化したとか、
微々たる増加だったのが急に大きく上昇したと言うなら話はわかる。


だが、実際には、有効求人倍率や失業率の傾向が
アベノミクスに左右されていないのは明らかである。



雇用は確かに増えたが、それは自然回復の範疇だ。
(なお、別記事で後述するように雇用の質は劣化している)


アベノミクスを最大限に褒めるのであれば、
「失業率の減少や求人倍率の上昇傾向をストップさせなかった」とでもなる。


ここで、立教大学名誉教授の小西一雄氏の論文
「異次元金融緩和の2年」『経済』2015年5月号から一文を引用する。



----------------------------------------------------
-黒田日銀総裁が、異次元の金融緩和政策を発表した2013年4月4日から、
まもなく2年になります。成功だったのか、失敗だったのか、どう見ておられますか。


マスコミの注目は、消費税増税の影響を除くと、
2%の物価上昇目標の達成は無理になった、失敗だったという点に集中しています。


そのとおりなのですが、ただ、物価上昇が自己目的ではなかったはずですので、
実体経済はどうだったのかという角度で評価してみましょう。


(中略)

2014年度の実質GDP成長予想はマイナス0.5%であると記されています。
(注:前述の「平成27年度の~基本的態度」を参考に述べている)


個人消費はマイナス2.7%、住宅投資マイナス10.7%、
設備投資見通しはプラス1.2%です。設備投資はプラスになっていますが、
13年度がプラス4%ですから、3分の1以下に落ち込んでいます。


ですから、資本市場(株式市場・為替市場など)は膨らんだが
その効果を実物史上に波及させることができず、
日本経済は軽微のスタグフレーション(インフレと不況の併存)に陥っている
これがとりあえずの結論だといえます。


ですから2年間の結果がどうだったかと問うならば、
明らかに「失敗だった」というのが答えです。


ところが、このリーマンショック後の09年度以来のマイナス成長という
現実について、甘利担当大臣の談話は、
「平成26年度の我が国経済は、緩やかな回復基調が続いているもの…」と述べています。


黒田日銀総裁も、記者会見で、
「ゆるやかな回復基調にある」という同じフレーズをくり返したのですが、
これは「詐欺」に等しいと思います。



-「ゆるやかな回復基調」なんて言えないと……

そうです。にもかかわらず、マスコミはこの点での突っ込みが弱いのです。
それは何故なのか。

1つは、マイナス成長は、
去年4月の消費税増税の影響だという見方が強いからだと思うのです。

3月までの駆け込み需要の反動で、4~6月期は反動減になる、
7~9月期は一定回復するというのが大方の見方でしたが、そうはならなかった。
消費税増税の影響が長引いているという見方が根強い。


もう1つは、求人倍率が上がった、失業率が下がったというわけです。
とにかく労働市場は改善している、という思い込みがあるわけです。


だから、マスコミは政府・日銀の「詐欺」を追及できないのです。

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この論文を読み、私はようやく頭の中にモヤモヤとあった違和感に気づいた。


つまり、こういうことだ。

「マスコミなどでは、「景気回復の実感はない」と決まり文句のように言っていますけど、
 そんなふうにおっしゃる人はたいてい、もともと安定して、
 比較的まともな賃金の職の人なんですよね。過去20年の
 「改革」不況で最も苦しんできた層の人たちの間では、明らかに事態が動いています。
 
「実感はない」派の人たちは、景気回復がコケて安倍さんに失脚してほしいあまり、
 現実から目をそむけているのかもしれませんが、今後、景気回復を
 否定するようなことを言えば言うほど、私たちが最も依拠すべき
 こうした層の人たちを、かえって安倍さんの側に追いやる結果になるでしょう。」


まさに政府・日銀の「詐欺」を追及できないパターンではないか。
(上のコメントは有効求人倍率のグラフを参照した上での発言)


そもそも、「アベノミクスのおかげで雇用が改善されたんだ」と説明されたら、
まともな神経を持っている限り、過去20年の改革不況で
最も苦しんできた人たちは喜んで自民党を支持するだろう。


自分たちの希望に直に応えているのだから。私が失業者だったらそうする。
仕事をくれる政府をわざわざ裏切る馬鹿はいない。


○はアベノミクスの効果を否定すれば貧困者を自民党支持者へ変えるというが、
どう考えたって、アベノミクスの効果を肯定したほうが支持者は増える。



しかも、この発言は2014年5月、まさに消費税が実施された直後の話で、
知人が就職に成功しただの、派遣の賃上げもあるらしいだの、
ブラック企業の人間も今まで再就職先が見つからなかったから
やめられなかったけど、これからは安心だねといった超お気楽な…いや、いい。


…でも、言う。

「すっかり「ブラック企業」の汚名がついてしまっているワタミさんですが、
 とうとうこんなことに追い込まれているとは。
 これまで不況の間は、辞めても代わりの職が簡単には見つからないから、
 いくら過酷な職場でもしがみついているしかなかったのですね。
 それが今や事態は一変しつつあるわけです。」

ワタミの2009年4月入社社員の3年以内に離職する率は48.9だ。


アベノミクスが実施される前から、新入社員の半分はやめている。
こんな弱小ブログの素人が適当に書いたつぶやきに逐一反応する一方で、
これはないだろう、これは。日本の場合は、介護職が顕著だが、
募集があっても、労働条件が悪すぎて敬遠される場合がしばしばある。


つまり、ワーキングプアにも通じるが、
日本の雇用労働状況を改善するには、労働の質を上げるのを第1としなければいけまい。

○氏の発言からは批判的に現状を把握するというよりは、
アベノミクスのおかげで雇用アップじゃイエーイという声で満たされているのである。

(しかも、修正完全失業率で観ると、この時期は10%~12%を行き来している)

その肝心の有効求人倍率が実施前と伸び率が大して変わらないのは指摘したとおり。
こればっかりは、本人と同じデータをもとに論じているのだから間違いあるまい。


それまで下がっていたり、たいした伸び率でなかったのなら、
私だって、アベノミクス最高ヒャッホーイと騒ぎたいが、データが違う
と言っているのだから、仕様が無い。


もっと言ってしまえば、増えたところで雇用が不安定で賃金が安い非正規職
になれたぞ、ワッショーイなどとは、とてもじゃないが言えない。

言えるというなら今すぐ辞職して非正規雇用に就いてくれと言う話。

以上、③の部分を検討してきたが、基本的な統計を見るだけでも、
アベノミクスが特別、雇用改善に貢献したようには見えない。



これは言ってみれば、

「雨が止んだのは、オレが祈ったからだ!」
「いや、お前が祈ろうと祈るまいと、いつしか雨は止み、空には虹がかかるんだよ」

という話だ。


人によっては、失業率が上がるか下がるか、求人倍率が上がるか下がるかといった
AかBかでしか判断できない人もいるかもしれないが、
実際の問題、どう上がったか下がったかを論じなければならないだろう。



※1
実は、イギリスでもインフレ・ターゲットは長期的に見ると失敗している。

「アナリストの大半が2012年初めにプラス成長を確保することを見込んでいたが、
 建設支出が3年来の落ち込みを記録したことが押し下げ要因となった。
 サービス業も伸び悩んでおり、鉱工業生産も縮小した。」

「イギリスの消費者は、依然として続く不況感と、
 価格高騰によるインフレの懸念という、2重の苦しみに直面している」

 特に後者のコメントは今の日本経済に通じるものではないだろうか?


 なお、現在、ヨーロッパで行われている量的緩和は今のところ
 経済の回復に貢献しており、失業率の低下を指摘する者もいるが、
 実は、原油安の影響もあり、物価はそれほど上昇していない

 フランスのように上手くいっていないケースもある。
 これら英米仏の事情を知ると、物価上昇⇒雇用創出説は怪しく思える。


 
※2

 野口氏や小西氏が指摘するように量的緩和は効果がなかった、
 正確にはマネーストックに影響を与えなかった。

 つまり、第二の矢は効いていない。
 にも関わらず、真逆の言葉を述べるのはいかがだろうか?

○hihan

雑考2(労働の質)

2015-02-28 00:01:07 | アベノミクス批判
①アベノミクスで劇的に雇用は増えなかった。
 (有効求人倍率・失業率の伸び数、減少値は実施前後で変化なし)
②褒めるべき点といえば、倍率の上昇傾向をストップさせなかったことぐらいだ。


以上2点を、確認することが出来た。
今回は、労働の量ではなく、労働の質について考えていこうと思う。



思えば、○をはじめとするリフレ派、アベノミクスのおかげで
雇用が増えたぞヤッホーイ派は、雇用の質を度外視あるいは軽視する傾向がある。



労働政策というのは、量よりも質を追求すべきで、
賃金や労働時間、福利厚生を含めた質を高めるのを目標とすべきだと思う。


ここは社会学と経済学の差なのかもしれない。

社会学は労働実態、つまり、生の人間に接して情報を得るが、
数字で見ている人たちには伝わらない……かといえば、○とは違って、
反リフレ派の先生方も大勢いらっしゃるので、本当のところ、よくわからない。
(どうなんすかね)


さて、経済学者の関根秀明氏によると、
2002年から2011年にかけて非正規雇用の伸び率は
一貫して上昇、正規雇用は減少の傾向を辿っている。

それに併せるように平均給与も年々減ってきている。

冒頭のグラフで表示したように、
アベノミクスによって、正社員数が減る一方で、非正規社員が増えているが、
これは長年の雇用傾向に歯止めをかけることが出来なかったことを意味している。


そういう意味では、アベノミクスのせいで非正規が増えたわけではない。
この辺はハッキリと認識すべきだろう。



(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000046231.html)
若年者よりも壮年(35~45)以上が増えていることに気づく。

○をはじめ、一番苦労しているのは若者なんじゃと強調する人間がいるが、
家族を養うこと、特に養育を考えれば、この世代のほうが深刻だ。



それは不本意非正規労働者の割合からも言える。


(http://www.jil.go.jp/institute/reports/2014/0164.html)
これは2012年の話だが、

正規労働者になれず、やむを得ず非正規になった人間の割合は、
なんと壮年の男子労働者で4割に達している。

女性の非正規労働者で、未婚の壮年の場合、貧困率は50%にまで達している。
彼女らの多くは恐らく親と同居していると思われるが、
だからといって現状維持でいいという話でもなかろう。


彼らは初めから非正規労働者だったわけでない。
報告書によると、会社都合、長時間労働・業務上疾病、
理不尽な労働条件による退職がきっかけとなっている場合が多いとなっている。


つまり、労働の質が原因で正規から非正規へと降下した人間がいるということだ。
私が再三、労働の質を強調するのは、そのためだ。


非正規職が増えたことをもって雇用の増加を否定的にみるのは
けしからんと言う声もあるが、そんなものは、この現実の前でふきとんでしまう。



先述したように、非正規職の増加はアベノミクスの恩恵ではなく、
2002年から10年以上続く傾向に反映されたものであり、
その労働条件を踏まえれば、無職よりはマシだという意見が
いかに壮年非正規労働者を無視したものであるかがわかるだろう。


これが私が○に対して抱いた不信感の正体の1つでもある。

つまり、金融緩和のおかげで雇用が増えたことを正当化するために、
壮年の事情をガン無視し、比較的キャリアアップしやすい若者に
焦点を当てる。冷静に考えれば救うべき人間に年齢の差など無い。


そこでは「本来は正規のほうが良いが」といった申し訳程度のコメントを添えて、
ただ只管雇用者数が増えたことだけに焦点を当てる。それでいいのだろうか?


おまけに、この種の批判を○をはじめとする連中は、
「それは持てる者の言葉だ」と傲慢じみたものであると断定し、聞く耳を持たない。


不本意非正規労働者の前で同じ言葉を言ってみろと言いたくなる。


また、本意で就いている人もいるでしょう?と言う人間もいるが、
それはそれでかまわない意見だが、間違っても左翼だと名乗っては欲しくない。


アベノミクスがあろうとなかろうと、非正規雇用者は増えている。
しかも、壮年者は2002年~2012年で100万人も増えた。

この傾向をどうにかして食い止めなければなるまい。
失業よりは良いジャーんという問題ではないのである。


ところで、労働の質ということを考えると、介護職の労働条件は本当に深刻で、
求人率は高いのに低賃金でハードワークということで、なかなか人が足りていない。
(http://www.jil.go.jp/institute/reports/2014/0168.html)


某は建設業より福祉や介護に投資せよ(=雇用を増やせ)と安易に言っているが、
雇用を増やすには、労働需要を増やすだけでなく供給側の希望に沿わなければならない。

つまり、労働の質の向上が希求されるのだが、
この点、某らは、よほど暢気に構えているのか、これといった声を聞かない。


結局のところ、量が増えればそれでよし、金を注げば量が増えると
安易に考えてはいないか?と感じる。それが通じる産業と通じない産業がある。

介護は通じない産業であり、より抜本的な改革が求められるだろう。


以上、労働の質ということについて考えたが、最後に労働賃金について触れてみたい。


----------------------------------------------------
1日発表された3月の政府統計で、物価上昇を加味した
賃金水準を示す実質賃金指数が23カ月続けて前年割れとなりました。


家計の消費支出は過去最大の落ち込みでした。
安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」による物価高に
賃金の上昇が追いつかず、消費税増税が家計に打撃を与えています。


厚生労働省の毎月勤労統計調査(速報)によると、
実質賃金指数は前年同月比2・6%低下しました。


基本賃金と残業代、ボーナスなどを合計した「現金給与総額」(名目)は
0・1%増の27万4924円、基本賃金にあたる「所定内給与」は
0・3%増の23万9790円でした。


また、総務省の家計調査によると、
1世帯(2人以上)当たりの消費支出は31万7579円。

実質で前年同月比10・6%減少しました。
比較可能な2001年1月以降、最大の下落幅でした。

減少は12カ月連続。


昨年3月が消費税増税前の駆け込み需要のピークだった反動で、
幅広い品目で支出が落ち込みました。大きかったのは家具・家事用品
39・6%減、自動車を含む交通・通信16・1%減、
住居16・0%減、被服・履物14・9%減など。食料も5・7%減りました。



勤労者世帯の実収入は44万9243円。
名目2・5%増加しましたが、実質で0・3%減。

物価上昇で実収入が目減りしています。


http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-05-02/2015050201_02_1.html
----------------------------------------------------

実質賃金の低下を非正規雇用の増加が原因と述べる輩もいるが、
上のように、名目賃金自体は増えているのである。


名目賃金の上昇を超えた物価上昇が実質賃金の低下の原因だ。
このことは深く認識しなければなるまい。
○hihan

雑考3(現場の声)

2015-02-28 00:01:06 | アベノミクス批判
無職よりは派遣がええやろと言っている人間には、
下のような記事を見ても何とも思わないのだろうなと思う。


注目集まる春闘 どうなる“非正規”の待遇改善

非正規労働者が2千万人を突破!ネットには「こりゃ結婚できないわ」と嘆きの声

「契約打ち切り」不安抱え教壇に 非正規雇用の教員、私学で増加


彼らのおかしな点は、勝手にワーキング・プアや不安定な雇用状態にある人間を
無職のそれより「幸福」だということにしてしまうことだ。

そこには、どちらも大変だという発想はない。
逆に「非正規だって大変でしょう?」という意見を「持てる者の傲慢」と見るのはいかがだろう?


それは、結局のところ、金を増やせば雇用が増えて幸せになるという
自分の主張を正当化させるために失業者を利用しているだけに見えてならないのである。




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全国私立学校教職員組合連合によると、
13年度の全国の私学における非正規雇用は全体の約40%。

県内でも非正規雇用の教員が全体の約38%を占める。

経営難や急な教員の欠員などを背景に、
私学では非正規雇用に頼らざるを得ない実態がある。


しかし教員の非正規雇用の増加は教育の質を低下させる
という悪循環も見込まれるため、雇用形態の改善を模索する学校もある。

(http://www.saitama-np.co.jp/news/2015/06/12/10.html)
------------------------------------------------------

教職は毎年、一定の若年労働者が参入する分野だが、
そこでさえ、経営上、すでに過酷な環境へとなっている。

(また、非正規雇用の比率は全体の傾向と合致している)


この記事で紹介される女性教師は32歳だが、
授業がない日は飲食店等でダブル・ワークをしていた。



「雇用が大事なんだ!若者が大事なんだ!」と語る人たちは
 量的緩和で若者の雇用が改善されたとアピールするために、
 具体的な問題から目をそむけてはいないか?


と問われると「いーえ!考えていますよ!」と答えるだろう。


しかし、彼らの普段の言葉を読む限りでは、
雇用が増えました、量的緩和のおかげです、アベノミクスのおかげですと
提灯記事ばっかりで、こちらから話題を振られない限り労働の質の話はしない。


というより、質の話、つまり非正規だけ増えて正社員が減っていると問われると、
人口論を持ち出して自然現象の範疇だと語ったり、失業者を持ち出して、
「失業者が救われたんだ!非正規が悪いというのは持てる者の言葉だ!」
と言って、見ようとすらしない。


上記の教師に対して、私はあなたの味方ですよと神仏に誓えるのだろうか。
○hihan