時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

サウジアラビア・アメリカのイエメン住宅地・学校・難民キャンプへの空爆

2016-01-21 00:38:16 | 中東
イエメンにおけるサウジアラビア軍の空爆が連日行われている。
明らかに民間人がいるであろう住宅地や病院、学校などが攻撃されており、、
今月8日には、国際条約で使用が禁じられているクラスター爆弾が住宅地に投下された。


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サウジアラビアのイエメン攻撃で、新たに数十名が死傷

イエメン各地に対するサウジアラビアの空爆で、新たに数十名のイエメン人が死傷しました。

イエメン国営サバー通信によりますと、イエメン攻撃の開始から通算して
300日目を迎えた20日水曜、サウジアラビア軍はイエメン北部サアダ州に対し
2つの別個の攻撃を実施し、これによりイエメン人14名が死亡、ほか5名が負傷しています。

さらに、イエメン南部タイズ州にある学校への爆撃で、
在校生9名と女性教師1名が死亡、ほか8名が負傷しました。


サウジアラビアは、地域の一部のアラブ諸国と連合軍を結成し、
アメリカに同調して昨年の3月末からイエメンに対する大規模な攻撃を開始しました。

この攻撃の目的は、解任されたイエメンのハーディ元大統領を復権させ、現在
イエメンの各都市の治安維持を担っているイエメンの革命家たちの台頭を阻止することにあります。

この攻撃の影響で、これまでに女性や子供を含む数千人のイエメン人が死傷したとともに、
数万人が住む家を失い、また同国のインフラやサービス・医療施設の80%が破壊されています。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/61669-
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このような空爆が十日も経たず、繰り返されている。
19日火曜(つまり、上の空爆が実行された前日)にも、
サウジアラビアの戦闘機はマーリブ(イエメンの地名)の商店や学校、
サヌア南部の難民キャンプなどを標的に各地を15回に渡って攻撃した。

サウジの空爆はテロリスト(フーシ派)の駆逐を口実にしていたが、
どう考えても難民キャンプを爆撃することが「テロとの戦い」とは思えない。

前の記事で私は「核よりも空爆のほうが問題だ」と書いたが、
それは毎日のようにサウジアラビアが他国の土地で爆撃を行っているからである。

冷静に考えれば、これは異常事態であり、迅速な対応が求められるはずなのだが、
米英仏を筆頭におく西側世界は特にサウジに制裁を与えようとはしない(国連もしかり)。
それどころか、これら空爆はアメリカの支援によるものなのだ。


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アメリカの外交専門誌、
「米はイエメン侵略軍の戦闘機に燃料を供給」


アメリカの外交専門誌フォーリンポリシーが、
サウジアラビアのイエメン侵略に、アメリカが加担していることを明らかにしました。

イエメンのサバー通信が20日水曜、フォーリンポリシーの報道として伝えたところによりますと、
アメリカの燃料輸送機は昨年の4月5日から現在までに、2443回にわたって、
イエメン各地を爆撃するサウジアラビアの戦闘機に燃料を提供しているということです。

また、「アメリカの燃料輸送機は、
1700万ポンド以上の燃料を、サウジの戦闘機に提供した」としています。

さらに、「イエメン攻撃に参加している戦闘機の多くはアメリカ製で、
この攻撃に使われている弾薬などもその多くがアメリカ製である」としました。

フォーリンポリシーはまた、「サウジアラビアは最近、
アメリカとの間で軍備の購入に関する12億9000万ドル相当の契約を締結した」と報じています。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/61662-
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アメリカ、サウジアラビアの核兵器購入に向けた努力について警告

アメリカはサウジの言いなりになっているわけではない。
サウジの核保有に関しては北朝鮮やイランと同様、強硬な姿勢で臨んでいる。

サウジのイエメン空爆は去年から始まったが、
それ以前にはアメリカの無人戦闘機がこの国の空を飛び、誤爆を繰り返していた。

2013年の12月、結婚式場から帰ろうとする車列をアルカイダのそれと間違え誤爆し、
14人の人間が死亡している。アフガニスタン北東部では、2012年1月から2013年2月の間に、
200人以上が空爆によって殺害されたが、そのうち標的はわずか35人だった。


北朝鮮やイラン、中国などの悪徳国家と米英仏との決定的な違いは、
前者は現在、他国に軍事介入していないが、
後者は介入し、無関係の人間の命を多数奪っていることである。


フランスのオランド政権は、
シリアの武装組織に与える武器をサウジアラビアに購入させていた。


一応、フランスは世界的にも有名な人権国家であるはずだが、
実際は死の商人の真似事を行っていて、他国の人間が何人死のうが気にも留めない。

サウジアラビアは国連の人権理事会に加入しているが、
これを支持した国がどこなのかはあえて書く必要はあるまい。


(この件については50の人権団体が非難の言葉を送っている


米英仏を中心として展開される国際政治の場では、
その国が実際に何を行っているかということよりも、
西側国家にとって利益になるか害になるかということを基準にして、
人権を侵害している国家とそうでない国家が恣意的に決められている。



こういう欺瞞的な行為に留意しつつ、国際政治の情勢を追うことが今後求められるだろう。