時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

イランの核利用には制裁を加え、イスラエルの核保有は黙認する「国際社会」

2016-01-13 00:56:26 | 国際政治
北朝鮮と同じく「悪の枢軸」とアメリカに名指しされたイラン。
去年、ようやく核エネルギーの使用および研究・開発が限定的に認められるようになり、
それと平行して同国に加えられた経済「制裁」が解かれそうになる今、この時、
再びアメリカはイランに対し強硬な姿勢を見せ始めている。

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米・ホワイトハウス、
「イランは本格的な歩みを踏みだして初めて、制裁緩和を受けられる」



アメリカ大統領府の報道官が、
「イランに対する制裁が緩和されるのは、
 同国の核施設から主要な部分が撤去された後のことだ」と語りました。

IRIB通信によりますと、アーネスト報道官は、
「対イラン制裁が緩和されるのは、6カ国との間で成立した合意に基づいて
 全ての取り決めが実行され、IAEA・国際原子力機関を通じて、
 イランが合意内容を守っていることが国際社会に証明された場合である」と述べています。

また、「イランが、核計画の大部分を取りやめるという合意に沿って歩みを進めなければ、
国際社会、そしてアメリカが対イラン制裁の緩和に向けた準備を進めないのは当然だ」としました。

さらに、「イランは、この方向性において前進しており、
数週間前に大量の濃縮ウランを国外に移送した。これは、自らの備蓄ウランを98%削減するという、
イランが果たすべき責務に基づいた行動である」と語っています。

アーネスト報道官はまた、「イラン中部アラークの重水施設に対しても、
守るべき事項が存在する。それは、この施設を安全なものにするためにその炉心部を撤去し、
そこに燃料棒を補充するというものだ。これにより、イランがプルトニウムを
核兵器に転用する道は完全に閉ざされることになる」と述べました。

さらに、「イラン側による合意の実施の程度に応じて、
彼らの核合意の実施状況が検証される」としています。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/61436
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このようにアメリカは、イランが核兵器を製造しないという確信が得られない限り、
絶対に経済制裁は解かないぞといきまいているが、その一方でイスラエルの核保有を黙認している。


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アメリカのシンクタンク・科学国際安全保障研究所は、
昨年11月19日の報告の中で、「イスラエルは50年間、660キロの濃縮プルトニウムを生産した。
これは核兵器の爆発力を拡大するために使用された可能性がある」と表明しました。

この調査は、2014年、イスラエルが115個の核兵器を保有しているということを認めています。
この報告によりますと、
シオニスト政権は弾道ミサイルに加えて、核弾頭が搭載可能な巡航ミサイルを獲得しています。
また、外国から各種の核兵器を用意しており、そのほとんどは非合法な形で手に入れられたものです。

ロシア国会の外交委員会のプシコフ委員長は7日木曜、
イタルタス通信とのインタビューで、北朝鮮が主張する水爆実験に触れ、
「イスラエルは国際法規を無視して核兵器を製造している」と強調しました。

プシコフ委員長はまた、国際社会はイランの核計画を監視しているとして、
「イスラエルは国際法規を踏みにじることで核兵器の製造を可能にした」としました。

さらに、「イスラエルはディモナという核施設に200発以上の核弾頭を保有しており、
現在もこの核弾頭を搭載し、発射できる兵器を用意しようとしており、
これは地域や中東の安全保障上の深刻な脅威とみなされる
」としました。

このような状況の中、シオニスト政権の関係者は、地域の情勢不安を利用し、
イラン恐怖症といった空虚な表明を行い、
地域における実質的な脅威であるこの政権に対する注目をそらそうとしているのです。

http://japanese.irib.ir/news/commentaries/item/61318
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もちろん、ロシアなどの一部の国家はイスラエルの核保有について非難しているが、
「国際社会」の場では、そのようなことはない。

イスラエルは公式に核保有を宣言していないために、核保有国としてカウントされていない。
つまり、イスラエルは核保有国ではないから核を所有していても非難されることはない。

何を言っているのかさっぱりわからないかもしれないが、「国際社会」は確かに
イスラエルを核保有国とはみなさず、これまで一度も制裁を加えたことがないのである。



今、私は括弧つきで「国際社会」と表現したが、
それはイランにせよシリアにせよ北朝鮮にせよ中国にせよロシアにせよ、
これら国家に対して非難を行っているとマスコミが喧伝する「国際社会」とは、
正確に言えば欧米を中心とした「国際政治」のことを意味しているのではないかと思うからである。

上の記事にも触れているように、ロシア、イランなど
一部の国家は確かにイスラエルの核保有を非難しているが、それが多勢とならないのは
彼ら非欧米圏の国家が国際政治の場で覇権を握っていないからではないだろうか?


イスラエルにせよアメリカにせよ、これら国家は核を保有するだけではなく、
ガザ地区なりイラクなりシリアなり非戦闘員がいる地域を空爆し、今も犠牲を増やしている。

加えて、アメリカに至っては冷戦期から敵国にむけて核兵器を使用することを
継続的に検討しており、近年も実験と開発に力を入れ、
核弾頭搭載可の戦闘機を用いた先制攻撃の演習を毎年のように行っている。

つまり、他の国があくまで防衛のために核を保有しているのに対して
アメリカは核攻撃を念頭に入れて保有しているのだが、これに対しても
「国際社会」は忌々しき事態と思わず、国連はアメリカに制裁を加えようとしない。


核兵器を持ってもいないのに経済制裁を食らうイラン、
核兵器の実験を行っただけで経済制裁を食らう北朝鮮、
北朝鮮より100発以上も核を保有しておきながら核保有国と認識されないイスラエル、
核兵器による他国の攻撃を計画しておきながら何らお咎めなしのアメリカ。

こう考えると、メディアが正義の化身であるかのように語る「国際社会」とやらは、
どうも米英仏およびこれら同盟国にとっての平和にしか関心がないように思われる。


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