時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

メタヒストリーについての補足説明

2023-06-09 23:24:40 | ロシア・ウクライナ

 

反転攻勢とは何か①(ウクライナ言説におけるメタ・ヒストリー) - 時事解説「ディストピア」

反転攻勢とは何か①(ウクライナ言説におけるメタ・ヒストリー) - 時事解説「ディストピア」

(社説)巨大ダム決壊国際法無視は許されぬ:朝日新聞デジタル水煙を上げて渦巻く濁流、流されていく家――。目を疑う映像だ。ウクライナ南部の巨大ダムが決壊し、下流に大量...

goo blog

 

前回の記事で私はヘイドン・ホワイトの著作を念頭に置きながら
ウクライナ言説におけるメタ・ヒストリーについて語った。

その際、どうもメタ・ヒストリー概念についての説明が
雑であるように感じてしまい、改めて補足を試みようとした次第である。

 

①クロニクルとストーリー

 

ホワイトの説を理解するには、
まず彼が「クロニクル」と「ストーリー」を対置しながら
考察している点に気づく必要がある。

 

 

首相動静(6月9日):時事ドットコム

午前7時49分、公邸発。同51分、官邸着。 午前7時57分から同8時9分まで、外国人材の受け入れ・共生に関する関係閣僚会議。 午前8時15分から同27分まで、閣...

時事ドットコム

 

 

クロニクルというのは、出来事を
ただ機械的に記述したものである。

イメージとしては首相動静が最も近い。

こうした記述には起承転結がないのが特徴的で、
誰がどう書いても同じ文面になる。

もっとわかりやすく言えば、こういう文のことを言う。

 

qうぇrちゅいおp

 

これはキーボードのQからPまでを左から右に一列に打ったものだが、
時系列順に出来事を記述していくというのはこれに似たものがある。

そこに書く側の主観は介在できないが、
かわりに何かしらの意味を読み取ることは不可能である。

 

 

平家物語 - Wikipedia

 

 

では、ストーリーとは何か。それは起承転結があるものである。
平家物語は好例になるだろう。

「奢る平家が一時的な栄華をほこり、滅んでいく」
というプロットが仏教の無常観に即して琵琶法師が脚色していく。

平家が源氏と戦い、滅亡するという大まかな歴史さえ
あっていれば、あとは無常観というイデオロギーの具体例として
それぞれの法師が、その観念を説明するのに最適だと感じたエピソードを
好きに肉付けしていける。これが「物語」である。

 

分類学- Google 検索

 

ウラジーミル・プロップ - Wikipedia

 

 

②プロット、論証、イデオロギー、喩法

 

始まりがあり、結末がある。
ホワイトは人間が歴史の起点と終点を結びつける所作に
何かしらのパターンがあるのではないかと考えた。

 

いわゆるフォルマリズムという考え方である。

 

犬や馬を生物学的に分類していくように
童話や小説といった物語も分析、類型化することで
ストーリー・テリングの文法を発見していくというものなのだが、

要するに、物語はいくつかのパターンを組み合わせて
創作出来るという主義だと理解すれば良いと思う。

 

ホワイトは、クロニクルからストーリーに変わる際に
4つのプロット形式、4つの論証形式、4つの思想、4つの喩法を
組み合わせて歴史が語られると論じた。

 

このプロット、論証、思想、喩法の総体こそが
メタ・ヒストリーなのである。よって、私が前の記事で述べた
メタ・ヒストリーとは正確に言えば、メタヒストリーの一部ということになる。

 

 

「地獄どころの騒ぎじゃない」貧困のなか…橋の下に“薬物地獄”があった タリバン制圧1年のアフガンを緊急取材|TBS NEWS DIG

 

アフガニスタンを例に説明してみる。

 

ホワイトによれば、あらゆる歴史は
ロマンス劇・悲劇・喜劇・風刺劇のいずれかのプロットを取る。

 

それぞれの説明は長くなるので割愛するが、
いずれの劇も「結末が決まっている」という点では共通している。

この結末にむけて、予定調和的にエピソードが配列されるのを
念頭において、アフガン報道に目を向ければ

これはホワイトの言うところの「悲劇」を描いたものになる。

 

悪の秘密結社タリバンに正義のヨーロッパが負けた歴史として
叙述されるので、その筋書きに合わないエピソードは
はじめから挿入されないし、報道のされ方も「地獄」という
否定的な「比喩」をふんだんに使用したものになる。

 

 

 

他方、これをアメリカに反感を抱く現地民から
伝えると、これは悪の帝国アメリカから母国を守った喜劇になるので、
その映像(大きく言えば、これは「比喩」に相当する)も
喜びに満ちた人々の姿が大きく映りこむことになる。

言葉もまた「解放」「独立」といったものが選ばれ、
そこにはTBSが用いる「制圧」とは真逆の意味が与えられるわけだ。

 

 

当然、悲劇というプロットを借りた報道からは
多くのエピソードがこぼれ落ちることになり、

そこでは私達と同じ人間の心を持ったタリバンの姿は
完全に歴史上から消滅する。

代わりに在るのはフェミ団体に威嚇射撃する
悪の人権抑圧集団、獣(けだもの)と化したタリバンである。

「タリバンと一緒にお茶を」というタイトルの映像が作られることは
 決して無い。

 

(私は、しばしば須賀川TBS記者が現地のアフガン人、
 特にタリバンを人間として描こうとしないことを非難しているが、

 それはタリバン政権の否定的な部分だけを抽出して語る論法が
 結果としてタリバンの持つ人間性を無視することにつながっている
 からである。

 しかも、同記者の場合、タリバンの中で女性教育にも理解がある
 人間を穏健派と表現し、厳しく禁じようとする強硬派と対置して
 語る傾向がある。

 それは黒人奴隷を「良い黒人」と「悪い黒人」に分けて
 前者を称え後者をけなす奴隷主と何ら変わるものがない。

 エゴイズムに立脚した二元論なのである。)

 

Afghanistan, China, Pakistan urge release of overseas Afghan frozen assets

Afghanistan, China, Pakistan urge release of overseas Afghan frozen assets

No country has yet recognized the Taliban government and their rule over Afghanistan.

PressTV

 

 

アフガニスタンで貧困拡大も、国連支援は減額

アフガニスタンで貧困拡大も、国連支援は減額

世界銀行が年次報告の中で、アフガニスタンにおいて貧困が拡大しているとしました。

Pars Today

 

問題はタリバンの動物化に伴って、
市民の生きる権利すら蔑ろにされている点にある。

アメリカやEU諸国による制裁や支援打ち切りによって
アフガニスタンでは飢餓と貧困が拡大するばかりだ。

それらを正当化しているのは
タリバンによる「女性の迫害」である。

当然、飢餓や貧困の被害者の中にも女性はいるのだが、
これは須賀川記者を始めとした西洋人の目には映らない。

タリバンと同様か、それ以上に女性を迫害している
西洋人の姿は、彼ら自体が撮り手になることで、
映像から完璧にカモフラージュされている。

 

比喩とは2つ以上の対象の間に共通点を見つけ、
結びつける行為を指すが、

「人権抑圧」という言葉も大変抽象的なものであり、
 それはAとBとを結びつけるものだ。

 

これはホワイト的に言えば「提喩」に該当される。

 

本来、女性の迫害というものはどの国もやっているものだが、
人権抑圧という比喩を用いることで、その行為は
タリバンという一つの対象と強く結びつけられ、
その他の集団と切り離される。

こうした一つの結末にむけて誘導する叙述が
比喩の用い方のレベルからして存在しており、
その制約から抜けることは困難である。

ホワイトが論じていることは
概ねそういうものだと捉えておけば、
とりあえずはOKかと思われる。

(実際には、もっと深い話をしているし、
 だからこそ半世紀を経ても古典として評価されているのだが、
 深く踏み込んだ話をすると逆に混乱を招く可能性があるので
 興味がある方には翻訳書を購入し、読破することを勧めたい)

 

もちろん、こうした制約からは
いわゆる親ロシア的な人物からも抜けられることはないのだが、
先のアフガンの映像のように、西洋的視点が持つ植民地主義的側面を
暴くものも多く存在する。

制約を受けている事自体に問題があるのではなく、
何のために誰を描こうとしているのかを知ることが重要なのである。

次回、ベルゴロド州の攻防を事例に
反転攻勢なるものについて論じるつもりであるが、
もしかするとその前に「世界観」についての説明を加えるかもしれない。

メタ・ヒストリー同様、こちらの説明も不十分だったからである。

ただ、なんとなくのレベルで伝わっているような気もするので
論文でもあるまいし、省略して話を進めるかもしれない。

 

その辺はフォロワーの反応を見て考えることにする。


反転攻勢とは何か①(ウクライナ言説におけるメタ・ヒストリー)

2023-06-08 20:01:05 | ロシア・ウクライナ

 

(社説)巨大ダム決壊 国際法無視は許されぬ:朝日新聞デジタル

(社説)巨大ダム決壊 国際法無視は許されぬ:朝日新聞デジタル

 水煙を上げて渦巻く濁流、流されていく家――。目を疑う映像だ。ウクライナ南部の巨大ダムが決壊し、下流に大量の水が押し寄せている。意図的な破壊行為だとすれば、重大な...

朝日新聞デジタル

 

 

6月6日、ロシア領ヘルソンに位置するカホフカ水力発電所が
攻撃を受け、一部が破壊された。

これを受けて、メディアは絶好の機会とばかりに
「ロシアの蛮行」を喧伝している。

 

以下に朝日新聞の社説を抜粋しよう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

国際条約は、ダム、堤防や原発など
「危険な力を内蔵する工作物」への攻撃を固く禁じる。

 

ウクライナとロシアは、互いに
相手が意図的にダムを破壊したとして非難の応酬に終始している。

だが一義的に真相解明の責任があるのは、
昨年来ダムを不法に占拠し続けているロシアだろう。

根拠を示さずに
ウクライナを非難する姿勢は説得力を欠く。
国際的な調査団の受け入れなどを検討するべきだ。

 

今回の決壊は、ウクライナ側が
占領された領土の奪還作戦に着手したのではないか
と見られるタイミングで起きた。

何者かが意図的に洪水を起こして
軍の行動を妨害しようとした可能性も現時点では否定できない。

 

ロシアによるウクライナ侵略では、
非戦闘員の虐殺、病院や避難所への攻撃、
住宅地への焼夷(しょうい)弾攻撃、捕虜の虐待や拷問など、
恥ずべき戦争犯罪が繰り返されてきた。

占領地からの子供たちの連れ去りでは、
国際刑事裁判所プーチン大統領に逮捕状を出した。

 

ロシアはただちに違法な侵略をやめ、
戦争犯罪の処罰に応じるべきだ。

 

理不尽な非人道的行為に苦しむ
ウクライナの怒りは十分に理解できる。

とはいえ、国際規範を守る責任が
ウクライナ側にもあるのはいうまでもない。

すでに指摘されている対人地雷使用などの問題にも
真摯(しんし)に向き合うべきだ。

 

何より憂慮されるのが、攻防が激しくなり、
規範順守への歯止めが利かなくなることだ。

 

違法な侵略を食い止め、撃退を目指すウクライナを、
国際社会が支えるのは当然だ。

一方で熾烈(しれつ)な破壊と殺戮(さつりく)を
終わらせるための外交的な働きかけを、
関係国は一層強める必要がある。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

本文の8割以上はロシアへの非難に割かれている一方で、
ウクライナの対人地雷使用については

 

理不尽な非人道的行為に苦しむ
ウクライナの怒りは十分に理解できる。

とコメントした上で、一言の箴言で済ませている

 

カナダ人ジャーナリスト、
エヴァ・バートレットは2022年8月の時点で
ウクライナ軍による対人地雷攻撃について言及している。

 

 

14 Year Old Is One of 87 Donbass Civilians Maimed By Petal Mines Fired By Ukraine

 

地雷をばら撒き、市民を負傷させる行為は
理不尽極まり「ある」のだろうか?

 

恥ずべき戦争犯罪ではないのか?

 

朝日の社説は、
あたかもウクライナが暴走をしていないかのような
書き方をしているが、それは事実に大きく反するし、

https://youtu.be/JlaDoo5tT9E


イギリスの「フォーブス」のように
同犯罪をロシア軍の仕業として報道した動きに
対しても、厳しく追及する義務があるだろう。

 

 

国連監視団 ウクライナでロシア人捕虜に電気ショック拷問が行われていた

国連監視団 ウクライナでロシア人捕虜に電気ショック拷問が行われていた

国連ウクライナ人権監視団のマチルダ・ボグナー代表はジュネーブでのブリーフィングで、ウクライナ治安部隊がロシア人捕虜を拷問した事実を明らかにした。

Sputnik 日本

 

 

こうした非対称の歴史叙述は全般的なものである。

例えば、朝日の言い分によれば
ロシア軍は捕虜の虐待という恥ずべき戦争犯罪を
繰り返していたそうだが、他方で朝日は国連も認めた
ウクライナ軍によるロシア人捕虜虐待には一切、語らない。

 

 

 

国連が、ウクライナ軍による戦争捕虜の拷問や処刑について報告

国連が、ウクライナ軍による戦争捕虜の拷問や処刑について報告

ウクライナにおける国連人権監視団が、同国による裁判なしの戦争捕虜の処刑について明らかにしました。

Pars Today

 

この件について、イランメディア、
ParsTodayの記事を引用し、朝日のそれと比較してみよう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ウクライナにおける国連人権監視団が、
同国による裁判なしの戦争捕虜の処刑について明らかにしました。

 

ロシア・タス通信によりますと、
ウクライナの国連人権監視団のボグナ団長は15日火曜、
スイス・ジュネーブでビデオ形式の記者会見にて、

「ウクライナ軍が
 同国の戦争に参戦しなかった人々を

 裁判にかけずに処刑したことを示す
 正確な情報を入手している」

と語りました。

 

また、ウクライナ政府軍が
この戦争の捕虜たちに虐待し、拷問を加えていることに
関する情報も入手しているとしました。

ウクライナ戦争開始から9ヶ月が経過しているものの、
この期間中、アメリカをはじめとする西側諸国や
ヨーロッパ諸国は、戦争終結に向けた措置をとることなく、
逆にロシアに対する圧力を強化し、ウクライナ側に
各種の兵器を送付することで、
これまで以上に戦争や衝突の炎を煽っています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

比較を通して指摘できるのは、2022年11月の時点で
戦争協力に応じなかった国民を裁判なしに
処刑していることが第三者によって報告されたのだが
このニュースを朝日を始め、大勢の記者は忘却している
ということである。

加えて、米英独仏加を中心とする
西ヨーロッパ陣営が戦争を煽っている認識を
ParsTodayが持つのに対して、朝日には自分達が戦争を
導いているという認識が全くもって欠けている。

 

Moscow’s local allies were told ‘Russia is here for ever’. Now they flee Ukraine

Moscow’s local allies were told ‘Russia is here for ever’. Now they flee Ukraine

Supporters in shock as Kremlin reneges on vow that helped project power into captured towns and villages

the Guardian

 

こうしたスタンスは西洋の主流メディアにも
ある程度、通じるものがある。

 

上のガーディアンの記事はロシア・ベルゴロド州にて取材した
アンドリュー・ロスによって去年9月に執筆されたものだが、

ロシア軍に対しては地元住民に暴力行為を働いた
証拠があると語り、その言及によって

ハリコフ周辺地域においてロシア当局が行った
年金支給や雇用創設を否定的に評価するよう努めているが、

他方で、ウクライナ政府が対露協力を犯罪化し、
協力者狩りを行っている件に言及しながらも、
これは一切、非難されない。

 

「占領下のウクライナに恐怖という文化を強いる一方で
 公には施しを申し出ることによって領土を統合しようとした」

とロスは説明するが、先の国連機関の報告を踏まえて考えれば
政府に非協力的な者、ロシアに協力した人間が
いかなる扱いを受けるかは想像出来るものだし、

それゆえに故郷を離れ、ロシアに逃亡したことを
当の避難民がロスに説明しているのだが、彼は気づかない。

 

Full text of the Minsk agreement

https://www.ft.com/content/21b8f98e-b2a5-11e4-b234-00144feab7de

 

 

また、年金支給が結果的に「施し」になったのは
ウクライナ当局が「占領」された地域に暮らす住民に対して
年金支給、銀行預金を始めとした経済的アクセスを遮断するから
なのだが、この件についてもロスは失念している。

彼の記事には歴史がない。

 

ウクライナ、ヘルソン州で年金と公務員の給与の支払い停止

ウクライナ、ヘルソン州で年金と公務員の給与の支払い停止

ウクライナ最高議会の元議員、アレクセイ・ジュラフコ氏は、ウクライナ当局が同国南部ヘルソン州(ロシアの管理下に置かれている)で年金や公務員の給与の支払いを停止した...

Sputnik 日本

 

 

こうした一方の悪に対しては真偽不明であろうと
思いつく限りの罵詈雑言を浴びせるのに対して、

他方の悪には、その行為を知りながらも軽く嗜める程度で
済ませてしまうのはひとえに本人の世界観が関係している。

すなわち、ロシア、中国、イランといった
西洋型の政治経済システムを採用しようとしない、
当人たちいわく、非民主主義的な悪の枢軸国が
我らを脅かしているという非歴史的な世界観である。

 

クリミアで「水不足」深刻 併合のプーチン政権に不満

クリミアで「水不足」深刻 併合のプーチン政権に不満

 【モスクワ=小野田雄一】ロシアが2014年に一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島で水不足が深刻化している。もともと淡水が少ないクリミアにはウクライナ本…

産経ニュース

 

それはエドワード・サイードの言葉を借りれば
オリエンタリズムと呼ばれるイデオロギーであろう。

 

すべての歴史は、この世界観に抵触してはならない。

 

ウクライナ当局によって運河が止められ、
クリミア半島にむけての水の供給が止まったとしても
非難の矛先は実行者であるウクライナ政府ではなく、
クリミアを「支配した」ロシア政府に向けられる。

 

理屈で言えば、ウクライナ政府にとって
クリミア半島住民は虜囚も同然である。

保護するべき自国民を水責めで苦しめる自傷行為、
それはダムや運河の破壊に等しい行為だが、

この「事実」を「世界観」にくぐらせてみれば、
そこには常に「悪党ロシア」が現れてくる。

それは確定事項と断じても過言ではない。

 

へルソン・カホフカ水力発電所の破壊 現時点での状況

へルソン・カホフカ水力発電所の破壊 現時点での状況

ヘルソン州にあるカホフカ水力発電所がウクライナ軍の砲撃を受け破壊されたものの、貯水池のダム自体は崩壊していない。現地ノーヴァヤ・カホフカ市のウラジーミル・レオン...

Sputnik 日本

 

善悪が先に決定されている。
これは鉄則であり、教義であり、信仰である。

あらゆる報道は、この世界観に反さないように
叙述しなければならない。

歴史的に見れば、ウクライナ当局が
暴力と報復で国民を沈黙させていることは瞭然だが、
それは恐怖文化とは記述できない。問題化されない。

その逆に、ありとあらゆる犯罪は
この世界観のフィルターを通じて非犯罪化される。

国際秩序は乱れないし、
力による一方的な現状変更にも当てはまらない。

 

ウクライナ戦争をブロックチェーンで記録。NFT博物館「META HISTORY: Museum of War」がオープン

ウクライナ戦争をブロックチェーンで記録。NFT博物館「META HISTORY: Museum of War」がオープン

2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻をブロックチェーン上に記録するNFT博物館「META HISTORY: Museum of War」がオープンした。すべてのNFTアート…

美術手帖

 

ウクライナ当局が去年4月から
メタ・ヒストリーと称するプロジェクトを開始したのは
歴史の皮肉としか言いようがない。

 

 

Metahistory: The Historical Imagination in Nineteenth-century Europe - Wikipedia

 


メタ・ヒストリーとは歴史家にして文学者である
ヘイドン・ホワイトが著したポストモダニズムの傑作である。

ホワイトによれば、歴史叙述とは
ある理論に沿って史実の存在を証明したものではなく、
史実の存在を証明するために理論を用いたものになる。

米田明の概説が比較的、理解しやすいと思われるので
以下に引用する。

https://www.10plus1.jp/monthly/2018/01/issue-09.php

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

結局のところ彼らは、
歴史叙述の発生する場をあらかじめ形象化し、
「実際に起きたこと」を説明するため、
類型的な理論を導入するメタレベルの領域を設定している
ことを示した。

そこで分析や批判に先立って駆使されるのが、
喩法論的な(tropological)「詩的知恵」であり、
喩法(tropic)に基づく詩的な着想が、
効果的な先行形象を歴史叙述の場に与える。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

喩法というのを
ウクライナ情勢についての語りにおいて探せば、それは

ロシアの蛮行
侵略
力による一方的な現状変更
国際秩序への挑戦
主権の侵害
核の脅し

といった決り文句による叙述が該当するだろう。

こうした「小さな歴史」乃至は「リアルヒストリー」
と呼ぶべきであろう史実群は

悪の帝国ロシアにウクライナが勝利する
という未来にまで踏み込んで言及した「大きな物語」、
「超越的歴史」、すなわち「メタ・ヒストリー」の材料に過ぎない。

結末は、すでに決定ずみなのだ。

 

米国の商業衛星、ウクライナ側攻撃3日前のベルゴロドを撮影

米国の商業衛星、ウクライナ側攻撃3日前のベルゴロドを撮影

米宇宙技術会社マクサー・テクノロジーズの商業衛星「ジオアイ(GeoEye)1」がウクライナ側ミサイル攻撃のわずか3日前のベルゴロド市を撮影した。RIAノーヴォスチ特派員が確...

Sputnik 日本

 

 

①悪の権威主義国ロシアが
 正義の民主主義国ウクライナに攻めてきた。

        ⇓

②他の平和主義国の助けを借りながら、
 果敢に応戦し、これを撃退した。

 

この筋書きを補強するようにして西側、
特に知識人や記者と呼ばれる人間は歴史を認識、叙述する。

 

予め引かれたアウトラインに沿って細部が記述されるその様(さま)は、
キャンバスに下書きをした上で画材を塗りつける行為にそっくりだ。

我々は年表的に事実を集積していく中で
自然と歴史が現出するかのように錯覚をしている。

だが、実際には抽象的な単一の「大まかな歴史」が先に在り、
そこに向けて具体的な無数の「細かな歴史」が量産されていくのである。

 

信長が倒れ、秀吉が継ぎ、家康が天下を治めたのではない。
室町幕府が崩壊し、江戸幕府が出現するという
メタヒストリーが先にあり、その記述に適当なリアルヒストリーが
後付で発見されるのである。それはリアルであり、リアルではない。
この順序逆転の指摘こそがホワイトの功績だった。

 

とするならば、このメタ・ヒストリーを破壊しかねないヒストリー、
すなわちリアルであるとは絶対に許されない
フェイク・ヒストリーにこそ、ウクライナ情勢を知る鍵がある。

次回、ベルゴロド地方における空爆を事例に
さらなる考察を行う。           ーつづくー


確かに池上彰はウクライナ問題で嘘をついている

2018-05-24 00:16:31 | ロシア・ウクライナ
池上彰さんを脅迫容疑、無職男を逮捕 
「抹殺しなければならない」とメール



合法詐欺師の池上彰氏に殺害予告のメールを
送った男性が逮捕されたようである。


殺害予告という行為自体は噴飯物だが、
池上氏が嘘をついていることは間違いではない。


映像でチラリ(1~2秒くらい?)と見えたのだが
どうもウクライナ情勢についての同氏の説明が不服だったらしい。





https://www.mainichi.jp/feature/maisho/etc/about/pdf/ikegami.pdf

2014年3月27日付の毎日小学生新聞に掲載された
池上氏の記事を見ながら検討してみよう。


この記事の冒頭では

住民がロシアへの帰属を宣言、
これをロシアが承認「してしまった」と説明されているが






記事の最後では
「ロシアが派兵して併合した」と別のことが語られている。



この時点ですでに
同氏の説明が矛盾していることがわかるが、
気になる点を以下、3点挙げてみたい。




①クリミア半島→× クリミア自治共和国→〇


まず気になるのが記事では一貫して
「クリミア半島」と説明されており、


冷戦終結後から存在する
クリミア自治共和国という小国家について一切、触れていないことだ。


-----------------------------------------------------
ロシアもこれを支援する構えを見せたが、
当時ロシアはチェチェンの独立を阻止するために 軍事弾圧をしていたのに、
ウクライナからのクリミア独立をそそのかすのでは立場が矛盾すると非難され、
結局この時もクリミア共和国を正式に承認することはせず、
95年3月にウクライナはクリミアへの武力介入を構えを見せつつ、
大統領と独自憲法を廃止させ、クリミアはウクライナの統治下に戻った。


クリミアはウクライナ国内の自治共和国となり、
98年12月にウクライナ政府の承認で新たな憲法が制定された。



ロシアがクリミアに関心を示すのは、
なにも「ロシア人が多いから」ではない。


クリミアには
地中海に睨みを利かせる黒海艦隊の母港が存在するからだ。


ソ連解体で黒海艦隊は
ウクライナ海軍とロシア海軍で分割することになったが、
その具体的な条件についてはなかなかまとまらず、交渉が続いていた。


結局、クリミア半島の海軍基地はロシアが20年間使用できることになり、
基地使用料や艦隊分割にあたってウクライナから艦船を購入する費用は、
ロシア がウクライナへ供給した天然ガスの債務で帳消しとなった。

つまりロシアは現金を払わずに
クリミアの基地と艦隊を手にすることができたわけだが、
クリミア独立にロシアが支援をちらつかせることは、
交渉を有利に進めるためのカードになった。


~中略~

94年の大統領選に敗れたバハロフは、
政界を引退して本業の地理学教授として大学の学長などを務めている。

一方で大統領を失職させられたメシコフは、
その後ロシアへ渡りモスクワで大学教授をしていたが、
2011年にクリミアへ戻り、
独立憲法復活のための住民投票の実施を呼び掛けたところ、
ウクライナ政府から強制退去を命じられている。

http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Lake/2917/syometsu/crimea.html

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出来れば全文を読んでもらいたいが、

要所だけ抜き出して説明すると
冷戦終結直後から同地域では独立運動が続いており、
14年のウクライナからの離脱もこの流れに沿ったものであった。



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2013年11月、首都キエフで、所謂「マイダン」が始まり、
クリミアは、これに抗議の反応を示した。



セヴァストーポリでは実際すぐに、EUへの統合に反対し、
関税同盟に賛成する「69番書簡」が現れ、町を代表する人々がこれに署名した。
その後、組織されたのが社会運動体「レスプーブリカ(共和国)」である。


2014年2月、キエフで国家クーデターが起こった。
セヴァストーポリとクリミアは、
そうしたできた自称ウクライナ当局の合法性を認めなかった。


セヴァストーポリの中心広場、
ナヒーモフ提督広場では2月23日(ロシアにおける祖国防衛者の日)、
集会が開かれ、自分達の市長としてアレクセイ・チャルィ氏を選出した。

同じく23日の夕方、義勇軍の組織が開始され、
クリミア北部境界線防衛のために、セヴァストーポリの特務部隊「ベルクート」が前面に出た。
彼らは前日「民族主義のウイルス」が蔓延したキエフから戻ったばかりだった。

こうして、まさに「祖国防衛者の日」、クリミアではロシアの春が始まったのだ。


ウクライナ軍は、サバイバルを図り,
軍人達は、参謀本部やセヴァストーポリ郊外のベリベク軍事飛行場に立てこもった。
キエフからは、武装したナショナリストで満員の「友情列車」を送るとの脅迫があった。


集会に参加していた一般の人々は日一日と増えて行ったが、
ロシアが今後どういった措置をとるのか、
知らなかったし確信を持って知ることはできなかった。しかし彼らは信じていた。

セヴァストーポリに続き、シンフェローポリでも26日、集会が開かれた。
そして27日、クリミア最高会議の建物に、ロシアの三色旗が翻ったのだった。

続きを読む: https://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2015_03_17/283374969/


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以上のようにクリミア自治共和国の離反は
EUへの統合の動きを巡る数か月間の対立を背景に
引き起こされたもので、通常なら「内戦」と表現されるものである。


ウクライナ本国が推し進める
公共料金の値上げ、社会福祉の縮小、
国内炭鉱の閉山および外国産石炭の輸入といった
新自由主義的な中央政府の政策を否とはねつけるものだった。


池上氏の記述ではこの点に関する説明が一切ない。



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ウクライナ南東諸地域党の党大会がハリコフで行われ、
議員たちは、キエフに憲法秩序が回復されない間は、
クリミア自治共和国およびセヴァストーポリが全権力を握る、
との提案を支持した。

続きを読む: https://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2014_02_22/129049289/

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カナダからのケベック独立。

スペインにおけるカタルーニャ独立運動。

イギリスのウェールズ分離運動。

中国と台湾との相克。


ウクライナとクリミアも
このような本国と国家内国家との対立として
描かれるはずのものだが、なぜか同氏はこの点は無視する。


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ウクライナのクリミア自治共和国議会は、
同自治共和国の今後を決める全クリミア住民投票を実施することを決めた。



クリミア議会議長団の住民向けメッセージには次のように記されている。

「ウクライナは完全なるカオス、専制、経済的崩壊に落ち込もうとしている。
 こうした状況を受け、クリミア最高議会は、クリミアの命運について全責任を引き受ける」


「全クリミア国民投票の実施によって自治共和国のステータスを向上させ、
 その権力を増大させることによってのみ、自治共和国は外部からの圧力や指導なしに、
 自らの力によって、自治共和国の命運を定めることが出来ると確信している」

続きを読む: https://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2014_02_27/129237633/

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このようにクリミア自治共和国の独立は
地方政府による公式の宣言だった。

池上氏が説明するような形のない世論ではない。


よって、通常ならば

クリミア自治共和国議会が独立を宣言したが、
これをロシア連邦が承認した

と書くべきところである。


池上氏は、あたかも自治共和国など
存在しないかのように説明をするので、


この問題が
元々はロシア帝国の領土であり、
スラブ系民族が多く暮らすクリミア自治共和国が
ウクライナとロシア、どちらの国家に属するかを巡って
起きた争いだとは気づかないのではないだろうか?






②国民の反対運動→× 武装組織の蜂起→〇


池上氏は「国民の反対運動」の結果、
反ロシア政権が誕生したと説明しているが、


実際には、上のような国粋主義者を先頭にした
武相組織の蜂起によって政権は崩壊した。

この時点では大統領職は空位であり、
「新政権」であるポロシェンコ政権は5月に誕生することになる。


この暫定政権は選挙によるものでもなかったし、
住民投票によって承認もされていない。


つまり、武力革命あるいはクーデターと呼ばれるものだったのだが、
池上氏はなぜか国民の総意による民主的な運動であったかのように
ぼかして表現している。


そのため、この時点で国内が
政治的に分裂状態だったことが読者には伝わってこない。





ウクライナの一般的国民のファッション(池上視点)


③そもそもロシアは軍を派遣していない


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2月26日、ロシア大統領および最高指揮官である
ウラジーミル・プーチンの命令により、
西部軍管区および中央軍管区では黒海地域での大規模軍事演習が始まった。


ドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、
「大規模な抜き打ち演習である。」としており、
約15万人の将兵、90機の航空機、120機以上のヘリコプター、
約880台の戦車、80隻の艦艇が参加している。
続きを読む: https://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2014_02_27/129219105/

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ロシア上院におけるロシア大統領公式代表である
グリゴリイ・カラスィン外務次官は、マスコミ取材に対し

「ウクライナでロシア連邦軍を利用する事に上院は同意したが、
これは、大統領によってすぐにその権利が行使されるであろうことを
意味するものではない」と伝えた。
続きを読む: https://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2014_03_01/129306849/

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時系列順に並べると


クリミア自治共和国、ウクライナからの独立を決意
住民投票の実施を宣言



ロシア政府、自軍の派遣を決定


となっており、
池上の「軍を送って占領した」という説は時間的に成り立たない。


このロシア軍の占領という妄想はどこから来たのだろうか。


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クリミアは、黒海に突き出た半島部に位置する
ウクライナの余り大きくない一地域で、現在、革命的な暴力の波の渦中にある。

現地の秩序を維持しているのは住民達自身で、
警察が、住民らによる自衛団を援助している。


最高会議の建物の前には、再び何千もの人々が集まり、
男性達は、自衛団への入団署名を行っている。


一方議会では、議員達が、新たな政府を準備中だ。
こうしたすべての事は、ウクライナの首都キエフで
権力を奪取した勢力の側からの強力な圧力という条件下で生じており、
クリミア議会のほぼすべての議員達、そして彼らの子供達にまで、脅迫電話がかけられた。


暴力によるシナリオを許さないため、自衛団は、
クリミア最高会議を自らのコントロール下に置き、内部に立てこもった。

現在中に入れるのは、議員達のみである。


シンフェローポリ空港も昨夜、
どこの所属か明らかでない軍服を着た人々によりコントロール下に置かれた。

おそらく彼らも、クリミア自衛団のメンバーであると思われる。

彼らは、自分達の目的は、
外部からの戦闘員のクリミア入りを防ぐ事にあるとしている。
続きを読む: https://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2014_03_01/129286472/

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シンフェローポリ、セヴァストーポリ、ケリチ、
エフパトリヤの住民たちは、ロシア国旗やロシアのアンドレイ海軍旗を掲げ、
クリミア半島のステータスをめぐる住民投票の実施を要求している。


多くの人々が、クリミアのロシアへの編入、
ないしは独立への願いを、公言している。


「マイダン」のシンパを公言する人の姿は、クリミアには見つけることが出来ない。
一方、マイダンによって退位させられたヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領も、
人気を得ているとはいえない。


クリミアでは公然と、彼は裏切り者であると非難されている。

民衆はすでに新たな指導者の擁立に動いている。
中でも特に著名な人物は、セヴァストーポリ新市長アレクセイ・チャールィイ氏だ。


同時並行で、新たな自治機構の創設も進められている。
自衛部隊、「ロシア・ブロック」というグループ、
その他の組織がミーティングに参加し、治安の維持にあたりつつ、
重要拠点への通路を閉鎖している。そうした勢力のひとつに、
上に述べた「礼儀正しい人々」も含まれる。


クリミア自衛部隊および地元「ベルクート」は、
<「マイダン」政府>内務省のアヴァコフ大臣の解散命令に従わず、
右翼セクター武闘派その他ウルトラナショナリストらの攻撃に備え、
クリミアの防備に当たっている。

続きを読む: https://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2014_03_01/129292066/

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恐らく、2月末にクリミアに出現した武装集団のことを指しているらしい。

この武装集団がロシア軍だという証拠はないし、
ベルクート部隊という特務部隊と共にキエフから来たらしいから
軍あるいは警察から流れてきた過激派ではないかと私は考えている。

繰り返すが、この時点でロシアは軍を派遣していないし、
半島内に前から駐屯していたロシア軍も軍事演習こそしているが、
直接、ウクライナ軍に対して何らかの攻撃をしていない。


池上氏の説は、武装集団はロシアの覆面兵に違いない、
ロシア軍が各地を占領したに違いないという思い込みを
前提にしたもので、妄想の範疇を越えないと言えるだろう。




以上、検討を行ってみたが、

端的に言えば、彼の記事は、通常なら内戦として書くべきものを
占領として描いているので矛盾や間違い、妄想が非常に多い。


例えば、記事ではプーチン大統領が
軍事的懸念から占領したのだと説明されているが、
そのような思惑をいったい、どうやって知りえたのだろうか?

公式の場では独立を支援する形を取っているし、
ロシア軍の派遣を決定した際にも地元住民の安全確保のため
と語っている。


どこぞの評論家や新聞記事の「意見」を
「事実」として歪めて書いている印象を受ける。 


軍事的思惑から干渉した「に違いない」が
軍事的思惑から干渉したとすり替えて説明がされている。

武装集団も同様で

ロシア軍「と思わしき」武装集団が「各施設」を「占拠」ではなくて
ロシア軍が各地を「占領」したのだと説明をする。


このように自己の主張を通すために事実をねつ造する人物が
これから時事問題を勉強しようとする純真無垢な児童に
ニュースを解説して聞かせるのは甚だ恐怖ではないだろうか?


今回紹介した記事がその辺の新聞記事あるいは
Wikipediaの内容をパッチワークして書いたのかどうか私は知らない。


だが、少なくとも彼が以前からクリミアでは激しい独立運動が展開されていた
という歴史に対して無知であることは確かだろう。



このようなジャーナリストの風上にもおけない人間に
義憤を覚えたのであれば、殺害予告などせずに
徹底的に言論を通じて、彼の間違いを暴露すべきだった。


問題の男性は2ちゃんねるにも書き込みをしていて
それらを読む限りではふざけているようにしか見えなかった。



なぜキエフの武装蜂起は「国民の反対運動」と表現され、
クリミアの独立運動は「ロシア軍の占領」と書かれるのか。

この疑問を叩きつけるだけでも意義はあるはずだ。



(私は池上がこのような的外れで
 結果的に出鱈目な内容を書いてしまうのは

 ①ウクライナ中央政府・日本政府の見解をなぞっただけだから

 ②ロシアの侵略戦争だという認識を前提に論を展開しているから

 ③国家内の対立を国家間の争いとして
  無理やり解釈する悪癖があるから

 ではないかと考えている。

 そういう意味では、
 沖縄の基地反対運動を中国や北朝鮮の工作員による
 日本政府転覆運動と解釈するネトウヨと大差ないレベルである。

 つまり、陰謀論以上の何物でもない)



ロシア、北方領土の基地化へと邁進中

2016-07-11 22:09:39 | ロシア・ウクライナ
クリル諸島に防衛施設、試射場、弾薬貯蔵所建設へ
(http://jp.sputniknews.com/russia/20160711/2461746.html)


スプートニク紙が報じているように、今、北方領土はロシア軍による基地化が進んでいる。

当然、普段、北朝鮮の脅威なり中国の脅威なり、あるいは尖閣なり竹島なりに反応して
ギャーギャ―騒いでいるマスメディアや知識人、政治家、ネトウヨ等々は、
上の動きについても猛抗議する・・・はずなのだが、そういう現象は起きていない。


こういう点からも私は普段、安全保障だの固有の領土だのを唱えて
自国の軍拡を当然視する連中を一切、信用していない。


私自身はクリル諸島はロシアの土地でいいじゃんと考えている不届き者だが、
恐らく、ほとんどの日本人は北方領土は日本の土地だと考えているのではないだろうか?

ならばなぜ、その土地を勝手に軍事目的で開発しようとしている動きに対して一言も批判しないのだろう?

一般人なら単に知らないだけなのかもしれないが、政治家や官僚、記者は知っているだろう。
こういう点からも、何が脅威で何が脅威でないのかは権力者が構築するものであり、
大衆が追認・補強するものであることがわかるのではないかと思う。




書評『プーチンとG8の終焉』(ウクライナ問題・概観)

2016-04-06 23:01:57 | ロシア・ウクライナ
とあるサイトに投稿した書評をここにも加筆・修正し転載しようと思います。

何と言いますか、これは私が読んだロシア本でも最高に優れた洗脳本ですね。
右翼の書いた本は、色々と景気の良い言葉が書かれているから、いかにも嘘くさく見破るのは容易ですが、
岩波書店という老舗の左派系出版社から売り出された本書にだまされる人は多いのではないでしょうか?



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著者が共同通信社の元モスクワ支局員ということもあり、基本的には日本の報道に沿ったものになっています。
そのため、日常的にウクライナ問題に関心のある人間にとっては、さして新しい情報はないと思います。

問題点としては、あまりにもウクライナ中央政府に都合のよい内容になってはいないかということ。

例えば、ウクライナ東南部の「親ロシア派」との紛争ですが、この紛争では
ウクライナ軍が病院や学校、住宅地に爆撃を行い、その結果、多数の市民が死傷しているのにその描写がない。

2014年5月、ドネツク州のマリウポリでは、多くの住民が対ナチス戦勝を記念する行事に参加したところ、
ウクライナ軍が警察署を攻撃、これに抗議した市民を数名殺害しているのですが、それもない。

2014年5月11日、住民投票の実施日にはウクライナ軍が投票所を数か所占拠し、
クラスノアルメイスクでは、占拠した兵士が抗議する市民に発砲、2名が死亡しました。

このこともまた書かれていません。

過去最大の衝突があったとだけ説明され、主語が省略されています。
(実際には、武器を持たない市民を軍が殺害している)

この本の該当箇所を読む限り、ポロシェンコ大統領は何度も停戦を促したのに
「親ロシア派」が強硬姿勢を貫いたせいで御破算になったという説明がされています。

しかし、そもそも2014年4月に軍隊を派遣し、民家や学校、病院を爆撃したのは
中央政府であって、決して親ロシア派がキエフまで行ってテロを起こしたわけではないのです。


砲撃を受けた学校に勤めていた職員は次のようなコメントを残しています。

私たちは、ただ恐れているだけです。いいですか?
 勇敢な軍隊、私たちが税金を払って維持させている軍隊は、私たちを殺す以外の何もしていません。
 それに恐怖しているのです。
 私たちの大統領は、市民を保護する義務があるはずなのですが、彼は我々をせん滅することを決めました


同年5月27日の水曜に、ドンバスの炭鉱労働者たちがウクライナ軍の撤退を求めてデモ行進を行いました。
また、同地域の高校に通う学生も抗議運動を行っていますし、フェイスブックでも「Save Us Donbass」、
つまり「私たちドンバスを救ってください」というカードを持ち、写真を投稿する運動が当時あったのを覚えています。

私には、これは「市民」と呼ぶべき人たちだと思うのですが、
こういった人たちをひっくるめて「親ロシア派」と呼ばれています。


佐藤氏は事実をなぜ隠すのでしょうか?



この本では、どうも2014年に民衆に対する軍の弾圧および虐殺があったことが書かれていなく、
親ロシア派という過激派が地方を占領し、ウクライナ軍と抗争を行っているようになっています。

実際にはルガンスク州の州議会幹部会は、彼ら「親ロシア派」が実施する住民投票の支持を表明していました。
文書では次のように書かれています。

大きな痛みと共に確認する。
 ウクライナでは現キエフ政権とその保護者たちが扇動した内戦が起こっている。

 数十人の人々が命を落とし、数百の家庭が喪に服し、
 数百万人の人々の心に憎悪が生まれたのは彼らの責任だ。
 
 ウクライナ国民の半分が、犯罪者やテロリストとみなされた。

 それは、彼らが考えるウクライナの未来と、
 キエフで政権に就いた政治家たちが考えるウクライナの未来が異なっているからだ。

 キエフ政権は彼らと対話するかわりに、数百万人の市民に対して、
 対テロではなく、まさにテロ作戦を展開した。
 
 これは欧州現代史における自国民に対する最初の軍事作戦であり、市民に対する公のテロだ


ドンバスの基幹産業は炭鉱ですが、当時、中央政府は外国から支援を受ける代わりに
ドンバスの炭鉱を閉山することを約束しました。前述の炭鉱夫の抗議はこのような背景があるわけです。

これらの声、運動を書かず軍事衝突として描くのが中立の姿勢を保つためならば納得がいくのですが、
本書では、シドニーでプーチンに抗議するデモが行われたとか、
ドネツク・ルガンスク共和国の軍の重要ポジションに悪魔とあだ名される男がついたとか、
共和国軍の兵士が中央政府の役人を空港で殺害したとか、そういう情報は逐一報告されており、
どうも中立を保つためにあえて知っている情報を教えないわけではなさそうです。


未だにどちらが落としたのかもわからないマレーシア航空機撃墜事件にしても、
共和国軍の兵士が残骸を押収したことは書かれている一方で、同じく証拠を収集した
オランダ・アメリカ政府が証拠物件を公表しようとしなかったこと、いまだに何点かの物件は
秘匿されていることは触れていません。明らかに著者はキエフの権力者に沿った見解を行っている。

これらの情報は海外のニュースを読んでいれば自然と頭に入るものです。

私の記憶ではモスクワはロシアにあったと思うのですが、
佐藤氏はどこか別の星のモスクワ支局に勤めていたのでしょうか?

(もっとも、事件が起きた年には日本に戻ってきているようですが・・・)

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なお、当時、私が書いた記事を何本か紹介します。

日本と欧米のメディアはウクライナ軍がマリウポリ市民を弾圧することを「反テロ作戦」と呼ぶらしい

NHKの偏向報道:ウクライナ南東部における住民投票について

マリウポリの惨劇:朝日新聞では警察官のことを武装勢力と呼ぶらしい。

ドネツクの学生、平和の歌を歌う。ドンバスの炭鉱労働者、ウクライナ軍撤退のデモを行う

続くウクライナ軍の砲撃 ―惨状を徹底的に無視するアムネスティ―


ウクライナ新政府、国民への空爆を止めず


ウクライナについては、当時、連日のように中央政府を非難する記事を私は書いていました。
現在、内線は一応、停戦状態ですが、それでも衝突はありますし、
日本がウクライナに多額の経済支援を行っていることも見逃せません。


北朝鮮の人工衛星発射や水爆事件はルール違反かもしれませんが、人は殺していません。
他方で、ウクライナ軍の砲撃と空爆は、自国の国民を無差別に攻撃、死傷させたものです。

どちらがより残忍な行為かは子供でもわかることでしょう。


佐藤氏の本を読み、私は、
まだ2年も経っていない事件がこうまで都合よく歪曲されるのかと戦慄を覚えました。

こうして現代史が巧妙に塗り替えられていくとすれば、これは本当に恐ろしいことです。

「マスコミに載らない海外記事」さんが最近、挙げた記事に次のようなものがありました。

 連中が我々を洗脳する手法

 向こうの洗脳もなかなかだが、日本においては、産経や文春は言うに及ばず、
 私たちが本来、知識の助けとしてすがることが出来るはずの左派系出版社が重要な役目を負う。

 つまり、ほとんどの左翼は文春や産経の書くことは信じないし、見破る目も持っているが、
 岩波書店のような老舗の学術出版から発信された情報の目利きには非常に弱いのです。

 ましてや岩波新書は『沖縄ノート』、『従軍慰安婦』など、
 現在、あるいは過去に右翼によって攻撃を受け、裁判にもなった本を生み出してきました。

『プーチンとG8の終焉』はその信頼を大きく傷つけるものとなったのではないでしょうか?

 この本に限ったことでなく、先日、出版された『香港 中国と向き合う自由都市』といい、
 アラブの春や雨傘革命を全肯定し、非欧米圏の政府を糾弾する。こういう動きがあるように感じます。

 日本の左翼は愛国という言葉には強いのに、民主化という言葉には実に弱い。
 本日、ミャンマーのスーチー氏が国家顧問(事実上の元首)になる法案が下院で可決されたそうです。

大統領や両院よりも力のある国家顧問になることについて軍部から三権分立の侵害と批判されていますが、
これも長年続いていた軍政を引き合いに軍部→独裁、スーチー→民主主義という印象操作がされるのでしょう。

なお、バラク・オバマもアウンサン・スーチーもノーベル平和賞受賞者です。

ウクライナ治安当局、ドンバスに地雷を施設

2016-02-16 00:27:39 | ロシア・ウクライナ
ウクライナのドネツク・ルガンスク地方では、
一応の停戦状態ではあるものの、政府軍と独立軍との間で衝突が頻繁に起きている。

前々から「テロリスト掃討」という名目で住宅地や病院、学校を爆撃する政府軍のやり口に対して
非難の声はあったわけだし、白リン弾が使用されたとのニュースもあったわけだが、ここにきて
とうとう地雷まで使い始めたとのニュースが登場した。以下はスプートニク紙から引用したものである。

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ウクライナの治安当局は、一般市民に直接的な脅威を与える場所で地雷の敷設を続けている。
独立を宣言するドネツク人民共和国の国防省が情報機関の情報として伝えた。

ドネツク人民共和国国防省は、次のように発表した-


「ドネツク人民共和国軍の情報機関は、ドンバスの一般市民に対して
 ウクライナ懲罰隊員らが地雷爆発テロを実施した事実に関する情報の収集を続けている。

 ルガンスクの居住地区周辺(接触ラインから7.5キロ)では、地雷の設置が確認されており、
 人々の命に直接脅威を与えているほか、これはジュネーブ条約の深刻な違反でもある。」

ドネツク人民共和国国防省は、ウクライナ治安当局による地雷の敷設について、
ウクライナの管理外にある領土を孤立化させためのものだと指摘している。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/europe/20160214/1608019.html#ixzz40FeTTxJ5

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Civilian got wounded in time of the mortar shelling in northern suburb of Gorlovka,
Donetsk was shelled for 4 hours


先日、ドネツク地方のゴルロフカ市で政府軍は4時間に及ぶ爆撃を行った。
その結果、学校は破壊され、何人か(数は不明)の市民が死傷した。

Crisis News From Donetsk And Lugansk Republics,
Death And Destruction By The Kiev Junta Regime !


爆撃に地雷。どう考えても中央政府のほうが人命を奪っている。
もはや政府はドネツクに住む全ての人間がテロリストだと考えているのではないだろうか?

ロシア、北方領土で戦勝記念式典を実施

2015-09-04 00:32:50 | ロシア・ウクライナ
ネット・リアルを問わず我が誇り高き愛国者たちは、
よく中国や韓国の反日行為(笑)に対して発狂しているが、
正直、反日の度合いで言ったらロシアのほうがよっぽど凄いと思う。



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ロシア軍が、プーチン大統領の直接的な指示により、
北方領土で戦勝記念式典を行いました。


ロイター通信によりますと、ロシアは2日水曜、
北方領土の占領記念日に際して、戦勝記念式典を行い、軍事パレードを行いました。

この報告によりますと、この式典に
700人の兵士と14の航空機、ヘリコプターが参加しました。
ロシアの軍報道官は、このような式典が行われたのは初めてだとしています。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/
57734-%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E8%BB%8D%E3%
80%81%E5%8C%97%E6%96%B9%E9%A0%98%E5%9C%9F%E3%8
1%A7%E6%88%A6%E5%8B%9D%E8%A8%98%E5%BF%B5%E5%BC%
8F%E5%85%B8%E3%82%92%E5%AE%9F%E6%96%BD


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イランラジオのホセイニー解説員は、
この軍事パレードが日露関係の悪化を誘発するものだとみなし、危惧している。


普通に考えれば、その通りなのだが、
今のところ、中国の記念式典のほうばかり取り上げられている。


これは、別に日本がロシアに頭が上がらないわけではなく、
単純に中国→反日、韓国→反日という差別思想がベットリこびりついていて、
連中の基準で言えばそれ以上のことをその他の国がしていても気にならない
のだろう。





「ロシアのモルグロフ外務次官が、
 北方領土問題に関する日本側とのあらゆる交渉を拒否しました。


ロシアの新聞コメルサントによりますと、モルグロフ次官は、
3日木曜、「ロシアは平和条約問題について日本との協議を再開する用意はあるが、
クリル諸島の領有権に関して交渉するつもりはない」と語りました。


また、北方領土問題に関するあらゆる交渉を否定し、
「この問題は70年前に解決しており、第二次世界大戦の結果、
法的に我々の側に移った。そのことに疑いの余地はない」としました。


モルグロフ次官は、「ロシア政府は、日本と平和条約に関して
建設的な協議を行う用意があるが、納得のいく解決法を見出すために
両国が努力すべきであり、我々はあらゆる分野でのロシアと日本の
協力を拡大する用意がある」と語りました。


日本の政府関係者は、この数週間、ロシアのメドベージェフ首相が
北方領土を訪問したことに抗議し、この行動は容認できないとしています。


ロシアのロゴジン副首相は、最近、これについて、ツイッターで、
「男ならハラキリしておとなしくすべき」などと発言しました。


ロシアと日本は、戦後70年が経った今も平和条約を締結していません。
日本政府は、北方領土問題が解決した後での平和条約の締結を主張しています。

北方領土問題は、日本とロシアの関係に問題を生じさせています。



http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/5
7753-%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%80%81%E5%8C%97%
E6%96%B9%E9%A0%98%E5%9C%9F%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%9
9%E3%82%8B%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%A8%E3%81%AE%E4%BA%
A4%E6%B8%89%E3%82%92%E6%8B%92%E5%90%A6



発言だけを読めば、韓国や中国よりロシアのほうがより高圧的だ。
にも関わらず、なぜか中国の脅威が騒がれる一方でロシアは無視されている


こーいうところが私が右翼を信用しない理由の一つだったりする。
本当に怖い相手とは戦おうとしないところが嫌い



私自身は、ロシアの行動は全く反日的でない(欧米への威嚇が目的)と
受け取っているが、誇り高き愛国者は当然キレるべきだろう。


やっぱりロシア人相手だと怖いのか?という訳でもあるまい。

やはりここには中国→反日、韓国→反日という信仰が存在し、
そのため眼前のより強烈な反日行為(連中基準)に気づけないのだと思う。

ウクライナに金を捨てる日本政府 (計2600億円)

2015-08-29 00:31:28 | ロシア・ウクライナ
キエフ政府に世界で最も金をつぎ込んでいる国。それが日本。


以下、ロシアの政治学者アンナ・コロレワ氏の発言。

「債券のみに限っても、今ウクライナの負債総額は18億ドルを超えている。
 西側諸国の貸付という問題は明らかに政治的だ。
 連携して動いているすべての国の政府と中央銀行は、
「問題のある国は、特にその国に以前に投資したお金を取り返すために、
 少なくとも上辺上、経済的安定を回復するまでは、支えてやることが必要である」と確信している。

同じ理屈で日本当局も、すでに貸したお金を取り返すべく、行動しようとしている。
そして、その額は小さくない。日本はウクライナの債権国の中で第一位である。
日本は5月、キエフに15億ドルを拠出、6月にはさらに8億ドルを拠出している。
さらに今度は国として3億ドルという」。

http://jp.sputniknews.com/opinion/20150828/817889.html#ixzz3k7lQoQH0



同記事には、次のような説明文も。


「日本には他のリスクもある。IMFと世界銀行の立場に関するリスクだ。
 2000年代初頭のアルゼンチンの状況を思い出してみよう。

 国は、国際的な金融支援を当てにして、改革案を構築した。
 ちなみにこの時アルゼンチン債を積極的に購入したのは
 今日ウクライナの最大の債権者となっている人たちだ。

 IMFと世界銀行が突如、アルゼンチン支援の中止および、
 アルゼンチンに次のトランシェを与えない決定を取ると、
 アルゼンチンはデフォルトを起こし、その債務を支払うことができなくなった。

 これを今のウクライナに置き換えると、
 IMFと世界銀行がキエフ当局へのサポートを継続する場合は、
 日本がお金を取り返せる可能性はもちろん、増加する。

 日本にはグローバルな金融機関によるサポートが同時に行なわれていることが必要なのだ。
 日本がウクライナ政府と一対一になったなら、貸したお金を取り返す可能性は最小化する。


ここで気になるのは、
果たしてウクライナは26億ドル(約2600億円)を返してくれるのかということ。



ロシアへの借金すら、ろくに払えない状態にあるのに?
そもそも、なぜ縁もゆかりもないはずの日本がここまで積極的に融資するのかも謎。
(さすがにEUは慎重な姿勢を見せている)



いや、わかっているのだが……(汗)
いわゆる、ショック・ドクトリン(便乗型資本主義)と言うヤツなのだろう。

セレブレニツァのムスリム虐殺事件

2015-07-13 00:18:16 | ロシア・ウクライナ
20年前に起きたボスニア・ヘルツェゴビナでのムスリム虐殺事件。



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ボスニア・ヘルツェゴビナで、数万人の人々がヨーロッパ最大規模の虐殺、
スレブレニツァ大虐殺の20周年の式典に参加し、新たに遺体で発見された
犠牲者136人の葬儀を行うと共に、この大犯罪の犠牲者を哀悼しました。


この式典には、イランをはじめとする各国の高等使節団が参加しました。

1995年7月11日、ラトコ・ムラディッチが司令官を務めるセルビア人武装勢力は、
スレブレニツァを数日間包囲したあと、国連により安全地域に指定されたこの町に進軍し、
ボスニア人のイスラム教徒の男性や少年8000人以上を家族から引き離し、
殺害、集団墓地に埋めました。この犯罪は、国連のオランダ平和維持部隊の目の前で発生しました。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/56276
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この事件を巡って、最近、ロシアが槍玉に挙げられている。



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旧ユーゴスラビアのボスニア・ヘルツェゴビナで20年前、
セルビア人武装勢力がイスラム教徒の住民8000人を殺害した事件について、
国連の安全保障理事会で、事件を「大量虐殺」として非難する決議案の採決が行われましたが、
セルビアを擁護するロシアと欧米が対立し、ロシアによる拒否権の行使で否決されました。



この事件は1995年にボスニア・ヘルツェゴビナ東部のスレブレニッツァで
セルビア人武装勢力にイスラム教徒の男性8000人が殺害されたもので、
第2次世界大戦後のヨーロッパで起きた最悪の虐殺事件とされています。


事件から20年となるのに合わせて8日、国連の安全保障理事会で、
事件を「大量虐殺」と非難するアメリカやイギリスなどが提出した決議案の採決が行われました。


しかし、セルビアを擁護するロシアのチュルキン国連大使は
「今なお続く現地の対立をあおるものだ」として拒否権を行使し、
中国など4か国も棄権して決議案は否決されました。



これに対して欧米各国から厳しい批判の声が上がり、アメリカのパワー国連大使は
「拒否権の行使は多くの肉親を失った遺族たちの思いを踏みにじるものだ」とロシアを非難しました。



安保理ではシリアやウクライナを巡って欧米とロシアが鋭く対立してきましたが、
20年前のボスニア紛争を巡っても対立が解けない現状が浮き彫りになりました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150709/k10010144291000.html
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NHKの報道だけを読むと、欧米列強のほうがマトモに見えるが、
実際に、彼らが何に対して反対していたかを知ると、評価が逆転する。



Srebrenica’s legacy should be one of peace, not war

All Srebrenica massacre culprits must be punished – Moscow


実は、ムスリムを虐殺したのはスルプスカ共和国軍であり、セルビア共和国軍ではない。

実際、殺害の責任者であるラトコ・ムラディッチ参謀総長はスルプスカ共和国軍の軍人であり、、
現在、彼はオランダのハーグに移送され、旧ユーゴスラヴィア国際戦犯法廷で罪を問われている。



つまり、今回の決議案は、
スルプスカ共和国軍の犯罪の責任をセルビア共和国に求めるもので、
これに対してセルビア共和国やロシア、アンゴラ、ベネズエラらが抗議しているのである。




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The UN International Court of Justice in its ruling on February 27, 2007,
referred to the tragedy as genocide, but found that Serbia has neither incited,
committed, or conspired to commit genocide.


The court however said Serbia failed to take all measures
within its power to prevent it thus violating its obligations
under the Convention on the Prevention and Punishment of the Crime of Genocide.


(http://rt.com/news/273037-srebrenica-massacre-anniversary-justice/)
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2007年の国際司法裁判所では、
セルビア共和国が虐殺を誘発・加担・共謀していないことが確認された。


にも関わらず、事件を未然に防げなかったことから義務を怠ったと叱責されている。


紛争の生存者でありロシア・トゥデイのジャーナリストでもあるネボジャ・マリックは
次のようなコメントを残している。

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“Tens of thousands of Muslims in the Middle East and North Africa
were killed in US 'humanitarian' wars since,
conducted under the slogan of 'no more Srebrenicas'.

(中東や北アフリカにいる何万ものイスラム教徒が「ノー・モア・セレブレニツァ」
 のスローガンの下、アメリカの「人道的」戦争によって殺された。)

Nobody in the West counted or mourned them.
This isn’t about concern for the Muslim dead, but about justifying wars worldwide.”


(西側の中で彼らを勘定に入れたり、追悼したりする国はない。
 これはムスリムの死を心配しているのではなくて、世界中の戦争を正当化しようとしているのだ)

(http://rt.com/news/273037-srebrenica-massacre-anniversary-justice/)
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極力、直訳に努めた。意訳するならば、

 「中東や北アフリカに住む何万ものムスリムが『セレブレニツァはもうたくさんだ』
  という名の下、アメリカの「人道的戦争」のために殺された。

  西側諸国で彼らの死を考えに入れたり、追悼する国は一国もない。

  彼らはムスリムが死ぬことを心配などしていない。
  世界中の戦争を正当化することに関心があるのだ。」

という意味だと思うが、断言できないので、悪しからず。


いずれにせよ、セレブレニツァの悲劇が現在進行形の中東・北アフリカへの
欧米の軍事介入の格好の口実にされていることだけは確かである。


ジャーナリストのニール・クラークは、この件について以下のコメントをしている。


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Srebrenica, along with the genocide in Rwanda,
is regularly cited by 'liberal interventionists'
in the West as an example of what happens when the US and
its closest allies don’t ‘intervene’.

It has been used not to promote peaceful solutions to disputes,
but to strengthen the neocon/faux-left case for wars (aka, 'humanitarian interventions')
against independent, resource rich countries that don’t
run their economies to the benefit of the Western elites or have
the ‘right’ i.e. pro-Western foreign policy orientation.


We saw a classic example in 2011, during the build up to the NATO war against Libya.

(http://rt.com/op-edge/273142-srebrenica-massacre-anniversary-balkans/)
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セレブレニツァはアメリカや同盟国が軍事干渉しなかったために
起きた悲劇として介入主義者たちによく引用されている。

それは、紛争の平和的解決を推進するためではなく、
ネオコンとニセ左翼が他国の独立に反対するための戦争を正当化する時に使われる。

自国の富を西側のために使わない反米・反欧国を更正させるために使われる。

その典型的な例がリビアへのNATOの軍事介入だった。


こういう事情を鑑みれば、今回の決議案は北朝鮮の「人権」問題と同一のもので、
欧米が特定の国家を攻撃・支配するために作られたものだとみなしても良いだろう。



未だに継続する列強国の植民地主義・帝国主義に着目して、
ロシアやアンゴラ、ベネズエラ、ナイジェリア、中国の抗議を見る必要がある。



セルビア共和国は事件の存在とその被害の大きさは認めている。
この点は、「証拠が無い」とか「すでに解決済み」とうそぶいている某国とは大違いである。


ユーゴスラビア一体の国々もまた、朝鮮半島のようなもので、未だに諸国の間で軋轢があるらしい。
NATOの利益を抜きにした戦後処理が進むことを望むばかりである。

着々とアメリカ領植民地と化すウクライナ

2015-06-19 23:39:29 | ロシア・ウクライナ
アメリカ領植民地と化しているウクライナ(キエフ政権)の新情報。


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ウクライナ独立労働組合は、
「保安庁等の機関は組合を迫害している」と訴え、
ポロシェンコ大統領に対し事態の改善を求めた。




組合はこれまでに数度、キエフで抗議行動を行い、
2014年から2015年にかけてのインフレを考慮して
あらゆる社会給付の金額を是正するよう、また鉱山労働者らに賃金を支払うよう求めてきた。


そんな中、独立鉱山労働者組合のミハイル・ヴォルィネツ代表の
火曜の発言によれば、同氏は保安庁に呼び出され、尋問を受けたという。

氏はこれを、労働組合のリーダーらへの弾圧と見なしている。


ウクライナ自由労働組合協会のサイトに出された声明には次のようにある。


「ウクライナ憲法の擁護者たるウクライナ大統領は、
 保安庁等による干渉というこの反憲法的行動を即時停止させるべきだ」。


こうしたことからも、ウクライナの経済状況がいかに深刻であるかが推察される。

ウクライナは、IMFからの次なる融資も受け取れない可能性がある。

IMFの新融資プログラムはウクライナに175億ドルの借款を供与することを予定している。
その他の国際機関からの融資を合わせると、4年間の融資総額は400億ドルに上る。
しかし、IMFから融資を受ける条件として、ウクライナは経済改革を行わなければならない。

具体的には、国民のガス代を引き上げ、
銀行部門を再編し、国営企業の経営改革を行うことが検討されている。

国民は社会給付の減額を痛手に感じるようになっており、
かつて優遇を受けていた企業も、予算の制約に苦しめられている。


こうした不満を、保安庁は抑え込みにかかっている。


専門家筋は以前から、
「ウクライナ経済を欧州標準に無理に合わせようとすると、産業や社会が壊滅する」
と予言していた。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/business/20150618/471141.html#ixzz3dWFEUkE4
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これまでの情報を集めると、政治・経済・軍事すべての面において、
アメリカおよび代理機関の言うがままにウクライナが改造されている。


本来、援助というものは援助を受ける国が主体者となるべきだが、
現実は操り人形となり、大国の望むままに社会が変えられていく。被害者は民衆だ。


日本も他人事ではないだろう。前回の横須賀基地の件といい、
沖縄の基地といい、TPPといい、ますますアメリカの犬に成り下がっている。