時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

北朝鮮はなぜミサイルを持つようになったのか?

2016-04-24 00:39:34 | 北朝鮮
今宵もまた合法詐欺師池上彰の洗脳番組が行われた模様。


テレビ朝日は先日、古舘一郎を政府批判を理由に降板させているが、
人気クイズ番組『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』でも

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「学力王No.1決定戦」橋下徹も!池上彰も!
 知識人・博士・先生が選んだ“スゴい指導者BEST30”から出題
 坂本龍馬・田中角栄チャーチル…歴代偉人1位は誰?
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というキャッチコピーで合法詐欺師や脱税弁護士兼不倫政治家を宣伝に利用している。

極右政治家とメディアの癒着が騒がれて久しい。
メディアが積極的に右翼・極右の活動家をテレビに登場させる文化が出来上がっている。

正常な国なら田原総一朗や古市憲寿や池上のような合法詐欺師どもは門前払いにされているはずだ。
ところが、現実では田原が小林よしのりや古市をプロデュースして連中のキャリア形成に貢献している。

(ちなみに『朝まで生テレビ』もテレビ朝日の番組だ)


話題がそれたが、今日(正確には昨日)のプロパガンダでは
「北朝鮮はなぜミサイルを持つようになったのか?」がテーマになっていたらしい。


池上と言えば、北朝鮮と日本がストックホルム合意により若干、関係が改善されるや否や、
池田大作を崇拝している佐藤優と一緒になって「食い逃げ」「金が目当て」と合唱をしている男だ。



関係が悪化すればすればで文句を言い、良くなればそれはそれで文句を言う。
「北朝鮮をぶっ潰す」という極右思想がなければ不可能な言動である。


北朝鮮がどのようなアクションをしても悪意をこめて誹謗中傷をすることしか出来ない輩が
はたして、冷静な解説を行えるのだろうか?すこぶる怪しいものだ。


そういうわけなので、この記事では当てつけの意味も込めて、
最近、書かれたタチヤナ・フロム氏のオピニオンを紹介したいと思う。


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北朝鮮:罪なき罰は真の犯罪を誘発する

韓国国防省(国防部)の文尚均(ムン・サンギュン)報道官は
「北朝鮮は、弾道ミサイル用の熱核弾頭の実験に向け準備している」と述べた。


ロシアのコリア問題専門家アレクサンドル・ヴォロンツォフ氏は、
このムン報道官の発言の中の「北朝鮮は準備している」という部分が、重要だと見ている。

以下ヴォロンツォフ氏の見解を抜粋して、皆さんにお伝えしたい。

実際これまで、北朝鮮は、彼らがしなかったことに対する制裁によって罰せられてきた。
長距離戦略弾道ミサイルの打上げ実験は、まだ行われていない。
打上げられたのは、人工衛星で、それも一回目は失敗、二度目にやっと成功した。

人工衛星打上げに対し罰を課すのは、国連の権威を台無しにする。

なぜなら、宇宙空間の平和的開発は、国際法により、
例外なくすべての主権国家に保証されているからだ。北朝鮮以外、すべての国が可能なことなのだ。


ミサイルの専門家らは、
人工衛星の打上げと長距離弾道ミサイル実験の間の違いを非常に良く理解している。

人工衛星は、運搬ロケットにより軌道上に投入されるが、
地球表面のあるポイントから別のポイントに『貨物』を運ばなければならない弾道ミサイルは、
衛星よりも大変複雑で高価なものを沢山搭載している。

特に、地球に戻る際に厚い大気圏の中で燃え尽きないように特別の防護カバーを備えている。
そして標的に誘導するシステムもついている。人工衛星の動きは、一方向のロケットの動きだ。
地球上へは、何も戻ってこない。軌道までの距離は、せいぜい100キロから150キロに過ぎない。
一方、大陸間弾道ミサイルの場合は、何千キロも飛行しなければならない。

あらゆる事から判断して、
北朝鮮は『自分達がしなかったことに対しても、やはり罰せられるのなら、してしまう必要がある』
と決めたようだ。今も北朝鮮国内では、大陸間弾道ミサイル製造に向けた措置が講じられている。

これは、今後北朝鮮が核実験を放棄するつもりのない事を考慮するなら、不安を呼び起こす。
北朝鮮は今や、何らかの実験を、事実上ノンストップで行っているからだ。」


北朝鮮は、自分達がなぜそうした行動をとるのかについて、
米国の側からの敵対的政策、そして絶えず繰り返される脅威を理由として挙げている。

大規模な米韓合同軍事演習を見ても、
北朝鮮の最高指導部殲滅に向けた宣戦布告なき先制攻撃が仕上げの段階に入っている事は明らかだ。


制裁と合わせ、米国や同盟国のこうした行為は、
北朝鮮を核ミサイルプログラム発展の道にますます追いやっている。

北朝鮮は、
 何度となく米国に対し、
 新たな平和合意調印の開始を提案してきた。


なぜなら1953年の臨時停戦合意は、すでに古くなってしまったからだ。

昨年北朝鮮は、全く抜本的な提案を出した。
米国は軍事演習を凍結し、北朝鮮は核実験を凍結するというものだ。

しかし米国とその同盟諸国は、
北朝鮮が一方的に、自国の核プログラムを放棄すべきだとの要求を持ち出した。
これは、事実上、何の保証もない北朝鮮の降伏を意味するものだ。

歴史は、前提条件の遂行が誰かを助けた例は少ない事を物語っている。
北朝鮮指導部は、リビアのカダフィ政権の悲しい二の舞を踏みたくはない。
彼らは、自分達の条件で交渉する用意ができている。 

まずは平和条約を結ぶ。信頼の雰囲気ができれば、
核ミサイルプログラムのようなデリケートな問題も話し合う事は容易だろう。」

とはいえ米朝交渉の為の秘密のチャンネルについて、そうしたものはないと断言する事は出来ない。 
世界が、思いもかけず、米朝が何らかの合意に達したと知ることもよくあることだ。

例えば1994年、米国と北朝鮮は枠組み合意に達し、
それにより北朝鮮の核プログラムは凍結された例がある。
合意が効力を発していた8年の間、朝鮮半島は実際、最も穏やかな時代だったと言ってよい。

http://jp.sputniknews.com/opinion/20160419/1988355.html
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池上彰をはじめ、多くの人間はミサイルとロケットが違うものであることは理解している。
にも拘わらず、なぜ「ミサイル」と称して話を進めようとするのだろうか?

言うまでもなく、北朝鮮の脅威が日本の軍拡の口実になるからに他ならない。


では、この脅威とやらは本当に実在するのだろうか?
この点について、同じくフロニ氏が別の日に書いた記事を見てみたい。


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アメリカと北朝鮮 核戦争と交渉対話の間

中谷元防衛大臣は、記者会見で
「北朝鮮が自らの核兵器や、弾道ミサイル能力の増強を企図している。
 対米抑止力を過信している」と述べた。


北朝鮮の発射場で、新型のICBMのエンジンの燃焼実験を行い、
それが成功したと北朝鮮メディアが伝えた情報に対し、中谷防衛大臣は
「仮に北朝鮮がこうした弾道ミサイルの長射程化、技術の向上をさせると
 同時に核兵器の小型化・弾頭化を実現した場合は、
 北朝鮮が、米国に対する戦略的抑止力を確保したという認識を、一方的に持つ可能性がある。
 仮に、北朝鮮がそのような抑止力に対する過信、誤認をすれば、
 北朝鮮による、地域における軍事的挑発行為の増加、重大化につながる可能性もある」
と述べた。

朝鮮半島の問題に詳しいロシア人専門家のゲオルギー・トロラヤ氏によれば、
今日、北朝鮮の指導部では、アメリカは北朝鮮との関係を、
昔のソ連との関係をモデルにして構築しようとしているという理論が支配的
である。


それはつまり、お互いを滅亡させることが確実である、という危険性を基にしている。
そして北朝鮮は、自国の核弾頭の威力増大をデモンストレーションするという戦略を選んだ。

これは、アメリカに交渉のテーブルにつかせるためであり、
アメリカと何らかの妥協点を見出したいためである。

このようにして北朝鮮当局は、他国が侵略・干渉をしてきた際、
北朝鮮には自国を守るに十分な能力があり、単に圧力をかけるだけでは無意味である
という内容のシグナルを世界に向けて発している。


しかしながら、このような政策をとるにあたっては、北朝鮮自身にも
大きな危険性が及ぶとトロラヤ氏は指摘している。北朝鮮の核弾頭プログラムについて
討議が行われたアメリカから帰国したばかりのトロラヤ氏に見解は次のようなものである。


「危険性とはつまり、北朝鮮がアメリカを実際に攻撃できる能力がない、
 見せかけ状態であるうちに、アメリカ人が現行の状況に甘んじることができず、
 北朝鮮の核施設に対して、先制攻撃を与えるかもしれないということだ。
 このことにおいて、私と会話した専門家たちの大部分の意見というのは一致している。

 しかし、日本の防衛大臣の言及からは、
 北朝鮮が選んだロケット核弾頭による「恐喝戦略」というのは、
 ある程度の効果があるということが見えてくる。問題はこういうことだ。

 アメリカ人というのは病的なまでに、世界の中の誰かがアメリカに攻撃を仕掛けて
 被害を及ぼすことを、技術的に可能にしてしまうのではないかと憂慮している。
 このことは深くアメリカ人の精神の中に植えつけられている。
 なぜならアメリカ人は未だかつて一度も、自分たちの領土で戦ったことがないし、
 自分たちのことを「守られた大洋」だと見なしてきたからだ。
 そして北朝鮮は今、この痛い所に明らかに圧力をかけている。
 アメリカに憂慮を呼び起こさせ、彼らに何らかの手段をとらせるためだ。

 この何らかの手段というのは、北朝鮮が思い描いているところで言えば、交渉し、妥協を見出すことだ。
 ある程度、この理論は生きている。1月初旬から、
 アメリカは静かに北朝鮮と対話を始める道を探しているのだから。

 ここにおいては、以前のように、核を放棄することに関しての前提条件さえも設けられていない。
 これはアメリカの立場において、肯定的な変化、雪解けといえる。

 北朝鮮が核の盾を利用して行うことができただろう挑発について言えば、
 これはむしろ、政治家と一般の人々を驚かせるためのものだ。



 ここ数年、北朝鮮はどのような扇動行為もしていない。

 そう、北朝鮮はプロパガンダ的な言動をしたり、プロパガンダ映像を流したりして、
 デモンストレーションとも言える練習射撃とテストをしているだけなのだ。
 まあしかしこれは、PR行動によって、広く注意を集めようとしているだけなのだ。
 実際には、世界や安全保障体制を脅かすような行動には出ていない。

 しかし北朝鮮への様々な場所の攻撃を想定した
 アメリカと韓国の合同軍事演習はこれとは事情が違う。


 米韓合同部隊は、陸上部隊を北朝鮮に上陸させる想定演習をしているし、
 物理的に北朝鮮の上層部を排除するトレーニングもしている。」

朝鮮半島にアメリカ軍が最新軍備を配置していること、
そして戦略的に爆撃機や航空母艦を配備していることは、
北朝鮮のプロパガンダ風のおしゃべりに比べれば、
朝鮮半島の安定化のためには全く容易ならぬ、重大なことだとトロラヤ氏は見なしている。


http://jp.sputniknews.com/opinion/20160412/1949364.html
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目の前で自分の家を強盗しようと練習を行っている人間を目の当たりにすれば、
自然、それなりの対策を立てるのは当然の帰結である。


北朝鮮は現在、アメリカや韓国の正真正銘の挑発行為に対して、対抗措置を取っている。
池上をはじめ、合法詐欺師の連中は、このことを確かに伝えるだろうか?違うと思う。

実際、主流の知識人やメディアは北朝鮮の外交を「脅迫外交」と呼ぶ。
だが、北朝鮮はこれまで一度もアメリカや韓国に対して制裁を下してはいない。

両国の経済活動を妨害してもいない。ホワイトハウスを攻撃する演習も行っていない。
逆にアメリカや韓国は軍事力や経済力といったハード・パワーで北朝鮮を屈服させようとしている。
ちなみに北朝鮮の2010~2015年の核実験の回数は1回であるのに対してアメリカは15回だ

客観的に見て、挑発行為や脅迫を行っているのはアメリカや韓国のほうだ。
我々に従わねば、経済制裁を下すぞ、武力の行使も厭わないぞ。これはどう考えても脅迫である。
(現在、北朝鮮はアメリカの核攻撃対象国になっている)


つまり、順番があべこべになっていて、アメリカや韓国の軍事的挑発に対して、
「仮に我が国を攻撃するならば、それ以上の攻撃をもって応戦するぞ」と北朝鮮は述べているし、
 それは朝鮮中央通信を主とした北朝鮮のメディアでもはっきりと述べられているのだが、
 なぜか北朝鮮がアメリカを脅迫して言うことを聞かせようとしていると語られている。


かつて、アメリカは幕末のころ、
浦賀に黒船をズラリと並べて日本に開国を迫った。

こういうのを脅迫と言うのである。


現在、アメリカはB52戦闘機を主とした現代の黒船を北朝鮮の領海付近に展開し、
演習を行いながら経済制裁を下している。これに反撃・抗議することのどこが脅迫なのだろうか?


ロシアでは上のような見解はごく普通に発言されている。その逆の意見もしかり。
佐藤優いわく、国内ではドイツやイタリアのファシスト政権と似た政策が取られているはずの
ロシアでは、どちら側の人間もメディアに露出できる権利を有しているのに日本ではそれが出来ない。

思えば、北朝鮮が脅迫外交をしているというレッテルはもう20年近く行われている。
右も左も北朝鮮の「脅迫外交」を非難するというのは、なかなか凄いことだ。

連中の理屈に従えば、ペリーが黒船を並べて大砲を撃ってきたのは「交渉」で、
それに対して、何らかの対抗措置を講じることは「挑発」になるらしい。

そういう見解を持つ人間があらゆる所で時事問題を解説している。
思うに、私たちは知らず知らずのうちに戦時の状態に立ち返っているのではないだろうか?

自分たちが当たり前と思っていた考えが実はそうではないと知らずに生きているのではないだろうか?

北朝鮮に限らず、ウクライナ、シリア、イラン、キューバ、イエメン、中国、
その他諸々の海外情勢は言うに及ばず、国内の経済や政治すら歪められて伝わっている。

もちろん、戦時とは違い、それはおかしいという声を挙げる権利は保障されている。
ただし、それはごく小さなメディアでのみ発言が許されており、
さしずめ、口をパクパク動かすといった程度の自由でしかない。

被災地で敢行される日米合同演習

2016-04-19 23:53:30 | 軍拡
熊本の余震が止まらない。今日、再び震度5弱の揺れが八代市を襲った。
小さなものも含めれば、すでに400回を超える地震が熊本で発生していると言える。

都市部がそれほど被害がない一方で、地方では壊滅する村も存在した。
耐震工事を行うための予算がある個人や企業が所有する建設物がさほどダメージがない一方で、
それだけの予算がない、特に農村部で生活する高齢者は建物を失い、最悪の場合、死傷してしまっている。

本当に今の日本は命の格差まで出来てしまっているのだなと愕然とする。


さて、このような早急に対策を練るべき状況において、
日本政府はどのような対応をとっているのだろうか?次の記事を薦めたい。


熊本地震でオスプレイ投入の一方、
輸送能力がより高い自衛隊のヘリが棚ざらしに! 安倍-中谷が米軍と裏取引



以前から安全性が疑問視されている米軍のオスプレイ機が使われる一方で、
より輸送能力の高い木更津の陸上自衛隊第1ヘリコプター団のCH-47Jの稼働は要請されなかった。

その理由は次のようなものだとリテラは推測している。


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「官邸内で中谷元防衛相から安倍首相にアメリカの強い意向を伝えられたようだ。
実際、米国国防総省のデービス報道部長は
『長年の日米同盟があるからこそ迅速な支援ができる』などと
米軍側が申し入れたことを事実上認めているからね。実は、

 今回のオスプレイ投入劇は、中谷防衛相と米軍との“取引”だったという指摘もある。
 今月24日、鹿児島県鹿屋市にある海上自衛隊鹿屋基地で行う予定だった
 航空イベントに沖縄の米軍普天間飛行場所属のオスプレイが飛来し、公開する予定だったんだ。

 大地震の影響で取りやめになってしまい、
 米軍はせっかく日本にオスプレイを売り込むチャンスを逃してしまった。
 それに代わる苦肉の策が、今回の輸送劇だったのではという話だ」
 

安倍政権がオスプレイのパフォーマンスを受け入れたのはもうひとつ理由がある。
今度は防衛省クラブ記者の話。

「陸上自衛隊がオスプレイ17機の導入を打ち出していて、
 2019年度から佐賀空港に順次配備する計画をもとに地元と3年越しの交渉を続けているのですが、
 いまだに同意を得られていません。今回、自然災害にも役に立つ輸送機だと宣伝できれば、
 同じ九州である佐賀の住民にも受け入れられるのではないかとの思惑があります」

いずれにしても、今回のオスプレイ投入劇は、
被災地救済などでなく、安倍政権によるパフォーマンスだったのだ。


実際、オスプレイの“勇姿”を是が非でも国民に見せつけようと
大手マスコミを使う政府の手口はあまりに露骨だった。

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実は、このような震災に乗じて、
裏で米軍と日本軍がコソコソと不要な訓練を行うのは今回が初めてではない。



以下の文章は、赤旗の記事から抜粋したものだ。


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陸自、米艦で「災害派遣」
被災地まで9日も
3・11直後 北海道から 民間船なら1日前後



2011年3月の東日本大震災で「人命救助」が最優先されるべき初動の時期に、
陸上自衛隊と米海軍の揚陸艦による史上初の戦闘部隊の「移動作戦」が
「9日間」をかけて実施されていたことが12日、本紙の取材でわかりました。


災害派遣活動の一環として行われた「作戦」ですが、
軍事作戦的色合いが強く、移動日数もかかりました。



~中略~

同震災での自衛隊の災害派遣活動を指揮し、国内の災害派遣では
初の統合任務部隊指揮官だった東北方面総監の「東日本震災対処(概況説明)」では、
震災発生の11日から19日を「人命救助」としています。


ところが米揚陸艦での戦闘部隊移動は同時期に9日間もかけたのです。

苫小牧や近隣の函館港から民間フェリーを使えば
「1日前後で被災地入りでき、被災者救助ができたはず」と関係者は悔しがります。


 

~中略~

本紙が入手した陸自北部方面隊広報紙「あかしや」は、
「米海軍揚陸艦による部隊移動 陸上自衛隊史上初」と絶賛しました。(2013年4月1日号)

関係者は指摘します。

「陸からの“敵”の攻撃を回避するため沖合で陸揚げするなど、
 いずれも戦場を想定したもので、上級幹部は
 ミーティングで『日米共同の検証訓練だ』と口にしていた」



自衛隊は、国内の災害派遣では初の「日米調整所」を
「日米ガイドライン(軍事指針)に準じて」設置し、「共同作戦」を実施。

防衛省は、こうした「日米共同作戦」を「将来の各種の事態への対応に係るモデルとなりうる」
(「東日本大震災への対応に関する教訓事項」)としています。


http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-04-13/2016041315_01_1.html
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まさに、この時期に敢行されたオスプレイ機の派遣は政治的なものであり、
日米両軍の将来の共同作戦遂行のための演習であった。


はるか上空を飛ぶ航空機から下を見下ろすと、町がミニチュアのように見える時がある。
日米両政府の関係者は、まさしく崩壊した村や寝床を求め彷徨う人々はジオラマのパーツだった。

非常事態における日米共同作戦のテストのために、被災者がないがしろにされた。


この問題を考える上で重要なのは、沖縄や南シナ海における日米両軍の動きを抑えることである。
スプートニク紙の徳山あすか氏のオピニオンならびにパルストゥデイの記事を下に引用する。


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小さな集落をオスプレイが取り囲む恐怖…ヘリパッド建設問題、沖縄の決断は?


沖縄本島北部の国頭村(くにがみそん)・東村(ひがしそん)にまたがって
位置している米軍の北部訓練場をめぐり、政府・沖縄県・地域住民の思惑が交錯している。


北部訓練場は総面積が7800ヘクタールにものぼり、ジャングル戦闘訓練センターとも呼ばれている。
この一帯は「やんばるの森」として有名な森林地帯となっており、
国の天然記念物、ヤンバルクイナやノグチゲラなどの希少種が生息している。

北部訓練場は、ベトナム戦争時には米軍にとってゲリラ戦のための格好の訓練場となった。
当時、訓練のため猛毒・ダイオキシンを含む枯れ葉剤が沖縄に持ち込まれ、
そのために健康被害を受けたと複数の米兵が証言している。

ジャパン・タイムズ紙が米退役軍人省から入手した資料によれば、
96年から2010年にかけて健康被害を訴えた米兵の数は132人にものぼるということだ。
しかし米政府は、枯れ葉剤を沖縄に持ち込み、訓練に使用したことは否定している。
日本政府も、この問題を突き詰めて調査することはなく、現在まで曖昧になったままだ。


この北部訓練場は、1996年のSACO合意に基づき、過半(約3987ヘクタール)を返還することになっている。
しかしその交換条件として、ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)を
返還されない区域に6カ所建設しなければならない。6カ所中、2カ所は既に建設済みだ。

北部訓練場の部分返還は当初2002年度末を目処としていたが、
ヘリパッド建設問題が解決されないため、延びに延びている。
しかし国はこの問題に決着をつけるべく、年内の部分返還を目指すと明らかにした。

沖縄県は難しい立場に置かれている。

新しいヘリパッドが完成すれば、新型輸送機オスプレイが配備されるだろうことは明らかだ。
このためオスプレイの配備撤回を掲げる県は、
ヘリパッド建設に反対する住民たちの運動を直接排除することはしていない。

しかし沖縄における米軍専用施設の面積を減らしたいという点では、皆の思いは一致している。
翁長知事は今のところ、返還計画の賛否に関して「交通整理が必要」だとし、態度を明らかにしていない。


ヘリパッドが全て完成すると、
東村の高江の集落(人口約150人)は、
ヘリパッドに囲まれるような形になってしまう。
高谷の集落の住民としては、当然建設に反対だ。


反対運動関係者は
「東村としてはヘリパッド建設を認めています。
 基地を提供すれば交付金が出て、村の財政になりますから。
 沖縄本島最北部の国頭村の方は返還される部分が多いですが、
 東村はほとんど返還されずに訓練場が残ってしまいます。
 国頭村と東村の足並みが揃っておらず、そこに国がつけこんでいるのです」と話す。

工事現場周辺では、「ヘリパッドいらない住民の会」と、
「高江ヘリパッド建設反対現地行動連絡会」のメンバーが座り込みで反対運動を行っている。

メンバーの一人は、
政府としては我々の反対運動のために工事ができなくなっているので、
 これを排除することを沖縄県に依頼しています。

 この行政指導の求めに対し県がどのように対応するかが、目下の我々の問題です。」と話している。

http://jp.sputniknews.com/opinion/20160413/1954138.html
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南シナ海での中国の軍事演習



アメリカが中国の抑制政策を続ける中、中国が南シナ海での軍事演習を開始しました。

ヴァガーリー解説員

中国の軍事関係者は、南シナ海での中国の大規模な軍事演習の開始に触れ、
「中国軍はこの演習で、仮想敵国との新たな戦闘方法を試す」と語りました。

また、この演習の目的は、海軍の力の増強と防衛方法の訓練だとしました。

中国は、ベトナム、マレーシア、
ブルネイ、台湾、フィリピンと、南シナ海の領有権を巡って対立しています。

この対立を政治的に解消するための中国の努力にも拘わらず、
フィリピン、ベトナム、タイは、中国との対立を国際的な問題にしようとしています。

フィリピン政府は、この問題を巡って国際仲裁裁判所に提訴しました。
こうした中、フィリピン、ベトナム、タイは、中国に対して自分たちの軍事的な立場を高めるため、
アメリカとの軍事・防衛協力を拡大しており、アメリカを南シナ海周辺に進出させています。


中国は、これによって地域の治安が脅かされたと考えています。

中国と領土問題を抱える東南アジアの一部の国が、アメリカと軍事演習を行っているため、
中国政府は、地域における軍事的な立場を強化しようとしています。

この中で、中国は日本とも、東シナ海の領有権を巡って対立しています。

日本政府は、この機会を利用して軍事化を図ろうとしています。
アメリカ政府も、自衛隊の強化により、日本を中国に対抗させようとしています。


さらに、北朝鮮の核・ミサイル問題も、
中国がこれまで以上にアメリカから地域的、国際的な圧力をかけられる原因になっています。
中国政府は、アメリカが、北朝鮮の核・ミサイル問題を口実に、
弾道ミサイルシステムの設置など、韓国での軍事駐留を強化しようとしていることをよく知っています。


アジアでの軍事・治安情勢から、中国は、アメリカが、南シナ海や東シナ海での中国の対立を利用して、
この国を軍事的に封じ込めようとしているという結論に達しています。

アメリカの東アジア重視の政策とこの地域での軍事駐留の拡大に関する
オバマ大統領によるアメリカの戦略政策の発表は、アメリカ政府が、
中国の軍事力と経済力の拡大を恐れ、将来、中国がアメリカのライバルとなり、
この国の力が縮小すると考えていることを示しています。

そのため、アメリカ政府は、南シナ海や東シナ海の軍事化により、
武器競争を煽り、この地域の国々との防衛・軍事協力を強化することで、
中国を封じ込めようとしている
のです。

こうしたことから、中国政府は、地域諸国との対立解消に向けた外交を続けることを強調すると共に、
アメリカによる封じ込めの陰謀を退け、南シナ海での演習の実施により、
アメリカの覇権主義的な政策に対し、自分たちの軍事力を誇示しようとしているのです。

http://parstoday.com/ja/news/world-i6376
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東アジアにおける宗主国アメリカの戦略というものが沖縄の米軍駐留を強要し、
その存在意義をアピールし、かつ非常時の訓練を行うために非効率的な災害救助が行われる。




アジアの米軍駐留は、アメリカの国益のために行われているものだ。
当然、アメリカは善意で日本人を助けようとはしてくれない。


アメリカのために行われる救助は、必ずしも日本人のために最善の策になるとは限らない。
日米関係を優先して、現地の人間など目もくれようとしない。蟻か何かを見るような感覚。

そういう意識が中国にも向けられているとするならば、
私たちがすべきなのは、中国の脅威という幻影に怯えて本当の脅威に唯々諾々と従うのではなく、
アメリカの脅威によって被害を受けるであろうアジアの人々と団結して抗うことなのだろう。

アベノミクス失敗の中、参院選へ。松尾匡先生は今何を思っているのだろう?

2016-04-17 00:00:12 | アベノミクス批判
ずいぶん前から、アベノミクスが失敗したという評価をよく聞くようになった。

異次元緩和は失敗だった。クルーグマンの『Rethinking Japan』を読む=吉田繁治

共産党をはじめ、いわゆる左翼は、開始直後から、
この金融政策が破たんすることを予言していた
わけだが、
インフレターゲット理論の主唱者が失敗を認めたのは、ある意味衝撃だった。


クルーグマン氏に限らず、海外ではアベノミクスは駄目だったという意見がメジャーである。


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日本のマスコミでは
「アベノミクスで景気が良くなってきた」という安倍首相のウソがいまだに通用しているが、
海外メディアでは、完全に「アベノミクスは失敗した」という認識が一般的だ。


たとえば、
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは「アベノミクス、今こそ再考の時」と題した社説を掲げ、

 「アベノミクスの『3本の矢』は、財政出動と金融緩和で始まった。
  その結果、日本の公的債務残高は年末までに対国内総生産(GDP)比250%に達する勢いだ。 
  日銀は年間約80兆円規模の国債購入を実施しており、
  これは米連邦準備制度理事会(FRB)以上に急進的な量的緩和だ。
  それでも、銀行各行は融資を増やしておらず、デフレは続いている」

 「日本経済の停滞に終止符を打つという首相の公約は達成できておらず、
  今こそ抜本的に再考しなければならない」

と勧告している(11月17日付)。


また、国際ニュース通信社ロイターはデンマークの投資銀行で
デリバティブ取引の世界的大手・サクソバンクのCIO(最高運用責任者)にして
主任エコノミストであるスティーン・ヤコブセンのインタビューを配信したが、


アベノミクスは失敗に終わったと思う。
 新・第3の矢は、もはや矢ではない。構造改革はどこへ行ったのか


「日本にはモーニング・コールが必要だ。長い眠りから呼び覚まされなければならない」


などと断言している(11月18日付)。


実際に数字に見ても、「アベノミクスは失敗した」ことは明らかだ。

内閣府が昨年11月16日発表した6~9月期GDP速報値では年率換算0.7%のマイナスで、
4~6月期の同0.7%マイナスに続いて2四半期連続のマイナスに陥ったことが明らかになったのだ。

2四半期連続のマイナスは欧州など海外では「景気後退期」とみなされる。
さきほど紹介した海外メディアの「アベノミクスは失敗した」報道は、これを受けて行われたものだ。

しかし、日本は景気循環について内閣府が認定するために、
「景気の足踏みが長引いている」(日本経済新聞11月16日夕刊1面)
などという官製報道がまかりとおっている。

http://lite-ra.com/2016/01/post-1899_2.html
http://lite-ra.com/2016/01/post-1899_3.html
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今日のスプートニク紙では、タチヤナ・フロニ氏がアベノミクスの破たんを論じていた。
以下に引用してみよう。



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ブルームバーグ通信は、
世界の価格変動(ボラティリティ)の中心は、徐々に中国から日本へと移りつつあると指摘した。

経済学者や投資家達は、日本経済における大規模な危機を懸念している。


巨額の公的債務を抑制し、
「三本の矢」を推進力に
極めて低い経済成長率を引き上げようとの
安倍政権の4年に渡る試みは、どうやら失敗に終わったようだ。


この事は、アベノミクスの破綻を意味するものではないのだろうか?


スプートニク日本のタチヤナ・フロニ記者は、
ロシアの経済誌「エクスペルト」の分析専門家、セルゲイ・マヌコフ氏に意見を聞いた-


「元IMFの主任エコノミストで現在ワシントンのピーターソン国際経済研究所で働いている
 オリヴィエ・ブランチャード氏は、日本は今急速に、深刻な支払い能力危機に移行中だと見ている。

 またIMFや世界銀行といった金融組織やエコノミストの大部分も、
 日本経済に対するそうした否定的観測を口にしている。


 3年前、安倍首相は、日本を長く続く不況から脱却させると公約して政権の座に就いた。

 そして彼のアベノミクスといわれる経済改革が、
 実際、肯定的な効果を持っている事は、多くの人々に示された。
 日本の新たな奇跡とまで言われたものだ。しかし奇跡の期間は、大変短いものだった。

 今もますます多くのエコノミストが、外国人も日本人も含め、
 全体としてアベノミクスは、その破綻を示したと指摘するようになっている。


 アベノミクスの基礎に置かれたのは、円安だった。
 日本銀行は、絶えず数千億を日本経済につぎ込んだ。

 そうした強力な流動資産の流入は、東京の証券市場で時に、
 真の陶酔を呼び起こし、主要企業の株は相当上がり、86%という数字さえ記録した。

 当時は、日本の新たな奇跡だと語られたものだった。


 しかし、人工的に作られたこのブームは、長くは続かなかった。

 今の日本銀行の主な夢は、インフレ率を2%にまで上げる事だ。
 そうした目的を持って今年1月、日銀はマイナス金利を導入し、皆をひどく驚かせた。

 この決定は、日銀内部の分裂を呼び起こした。
 マイナス金利導入に際しての投票では、5対4と支持派はかろうじて勝利した。
 この政策は、商業銀行の収益性を疑わしいものとし、様々な国々の市場下落を招いた。

 日銀が主な目的とした円安の代わりに、円の対ドルレートは思いもかけず7%も上がってしまった。
 しかし日銀指導部は、マイナス金利は、インフレ率が期待する2%にまで
 上がるまで据え置くと主張している。その際日銀は、今後国債を買ってゆくと発表した。
 そのため80兆円という途方もない資金を費やす考えだ。つまり重大な措置を講じているという事だ。
 しかし、それによって必要な成果は得られない。


 客観的原因と並んで、純粋に日本的特殊性が、そこにはある。
 国民の高齢化、そして急速に進む労働人口の減少だ。

 人口動態学的予測によれば、日本の人口は、2060年までに8600万人にまで減る。
 つまり、今の人口の事実上三分の一が失われるという事だ。

 昨年第4四半期のGDPは、ほぼ1,5%減少した。国民の実質収入は、すでに4年連続で減っている
 それゆえ日本人が、お金を消費するのを急がず、
 まさかの時のためにお金を貯蓄している事は驚くに値しない。

 経済学者らも、そうした形で日本人自身が、自国経済の成長にブレーキをかけているのだと捉えている。
 一方円高によって、経営者は、より用心深くなり、労働者の給与を上げる事に強く抵抗している。

 しかし安倍首相が、自分の政策を変更する事はないだろう。
 今年、経営陣と労働組合の間の交渉で、彼は、経営陣に対し、労働者の賃金を上げ、
 そうする事で国内に漂うデフレの雰囲気を壊すよう根気よく求めた。給与が上がれば、消費の伸びを助ける。
 そうなれば、日本が抱える巨額の債務を助けることになるというわけだ。

 ちなみに日本の債務は、およそ10兆5千億ドルで、対GDP比250%に近づいている。
 世界の先進国の中で、これだけ高い債務を抱えた国は他にない。

 http://jp.sputniknews.com/japan/20160416/1976564.html
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素人の見解ではなく、多くの経済学者やエコノミスト、投資家が日本に見切りをつけている。
これは言い逃れのできない事実。知らないのは海外メディアに触れていない人間だけだろう。


フロニ氏の論説の中では、円安によって株価が上がったことをもって、
アベノミクスが当時多くの人間に絶賛されたということが書かれている。

確かにアベノミクスが事実上開始された2013年度は、
毎日のようにアベノミクス成功ニュースが流されていた。


だが、その一方で、景気の回復を実感できないと答えた人間が半数を超えていたのである。


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景気回復、7割実感せず=時事世論調査

安倍内閣の発足以降、景気の回復を実感するかどうかを時事通信の4月の世論調査で尋ねたところ、
「実感する」と答えた人は23.7%にとどまり、「実感 しない」とした68.6%を大きく下回った。

「アベノミクス」効果で株式市場などは活況を呈しているが、
国民全体では景気回復の実感が乏しいことが浮き彫りになった。(2013/04/13-14:22)

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アベノミクス効果「実感せず」8割超、消費増税「反対」7割超 各社世論調査


2014年10月の記事

アベノミクス道半ば 景気回復「実感せず」が78% 期待度低調

2015年1月の記事

景気回復実感ない人は「たまたま」 世論調査73%でも首相強弁

2016年2月の記事


同時代を生きた人間として告白するが、アベノミクスが効いていると言っていたのは
メディアや御用学者リフレ派の学者だけだった。


円安と株価の上昇で恩恵を受けたのは輸出を生業とする企業、いわゆる大企業だったが、
ほとんどの人間は、暮らしの悪化(もしくは無変化)は実感しても、その逆はなかった。


私は、身の回りの人物、彼らの知人や上司、両親の労働について
よく話を聞いていたから、アベノミクスなど毒でしかないと考えていた。


例えば、さる学生の上司は非正規から正規雇用になったはいいものの、
その代償として週休1日という明らかに法に触れるだろう労働を強いられるようになった。

正規職に就けず、非正規職としていわゆるワーキング・プアに陥っている若者も少なくない。
(特に高卒の青少年)


こういう状況下で物価が上がればどうなるか、まともな人間ならば想像がつくだろう。


ところが、世の中にはイマジネーションというものとは無縁の人種が存在するらしく、
一貫してアベノミクスに効果あり、景気は回復すると強く主張し続けている人間も少なくない。

彼らのほとんどは政府とつながりのある人間だったり、
あるいは政権の支持者であるわけだが、なんと左翼を自称している人間にもそういう輩が存在する。


それが今回の記事の副題で名指しされている松尾匡さんで、
彼は立命館大学の経済学教授という立場から、盛んにアベノミクスの正しさを主張し続けてきた。



2014年12月にはこういうことを書いている。

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【設備投資は増えないのか】
 設備投資が増えていないというご指摘がなされることもよく耳にします。
 日本政策投資銀行(旧長銀)が6月に発表した今年の「全国設備投資計画調査(大企業)」では、
「大企業(資本金10億円以上)の2014年度国内設備投資額は、
製造業(18.5%増)、非製造業(13.2%増)とも増加し、全産業で15.1%増と3年連続の増加となる」と、
大幅な増加が示されていました。
 (※原文でもわざわざ大文字で表示されている)
 
もっとも、消費税増税の悪影響で、実際にはかなり抑えられると思います。
この計画の勢いが復活するかどうかは、今後の景気対策次第だと思います。

今後何もたいした対策をとらなければ、消費税増税の悪影響を抜け出すことはなかなかできないと思います。
しかし、もし消費税増税がなければ、もともと景気拡大の勢いには底堅いものがあったと言えます。

今後、追加的な財政、金融の拡大政策がとられることで、
来年一年間かけて、それなりに好況が実感されるところまでいくのではないかと思います。

これは、「楽観」で言っているのではなくて、
改憲に向けた安倍スケジュールが着実に進むことを警告して言っているのだ
ということを間違えないようにお願いします。


それゆえ安易な「アベノミクス失敗」論はやめてほしいし、
そもそも何度も言いますが、「アベノミクス」という言葉を反対側の陣営が口にするのはやめて下さい。

2016年に好況の熱狂の中で、
安倍応援アイドルが「アベノミクス!アベノミクス!」と叫んで踊り回ったらどうする!


私をはめるときには、アイドルのハニトラでお願いします。

http://matsuo-tadasu.ptu.jp/essay__141215.html
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踊り回ったらどうする!ヽ(`Д´#)ノゴルァッ!

と確かに松尾さんは仰っていたのだが、今となっては何とも言えないものを感じる。
ここまで堂々と書くからには、景気が良くなると本気で信じていたのではないだろうか?


上のページでは、アベノミクスの仕掛け人である浜田宏一氏の言い分を彼なりに
かみ砕いて説明している(意図的かどうかは知らないが)だけなので、
浜田のことを知っている人間には読む価値なしの文章なのだが、
浜田宏一と同じことを語っている人間が左翼を自称するということを思えば何とも凄まじい。

まぁ、もっとも、彼は左派系出版社の大月書店から新著を出したし、
護憲派の団体にも呼ばれたようだから、今の護憲派の連中のレベルもこの程度なのかもしれない。


ところで、上の文章が書かれた2014年12月15日の少し前、
共産党の機関紙である「しんぶん赤旗」では次のような記事が掲載された。


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GDP改定値 「増税不況」くっきり
エコノミストも “若い世代ほど重負担”



8日発表された7~9月期の国内総生産(GDP)改定値が
実質で2四半期連続のマイナスだったことは、消費税率の引き上げで
「増税不況」に陥った日本経済の実態を改めて示しました。

「所得の低い人や就職、結婚をして子育てしている若い世代の人たちほど負担が重い。
 物価が上がり実質賃金が抑えられている」


政府の経済政策に影響力を持つエコノミストも、消費税増税の影響をこう分析しています。


2012年からの1年間で働く貧困層(年収200万円以下のワーキングプア)は、30万人拡大。
貯蓄なし世帯の比率は、14年に30・4%と、3割を超えました。
消費税増税は、社会的弱者を直撃しています。


金融緩和による円安が物価を押し上げ、家計を圧迫しています。
日銀が追加緩和に踏み切って以降、わずか1カ月余りで10円以上円安が進行。
即席麺やアイスクリームなど身近な商品の値上げ発表が相次いでいます。


今回の改定値では、GDPの6割を占める個人消費の低迷に加え、設備投資の弱さも鮮明になりました。
設備投資が、速報値より改善するとの事前の見方に反して下方修正されたのは、
「小規模事業者や個人事業主の設備投資の動向が弱かったため」(内閣府)です。


町工場やクリーニング店など暮らしに密着した
個人経営の商店などの景気判断(総務省の個人企業経済調査)が、4月以降落ち込み続けていることが要因です。


今こそ、大企業応援の経済政策から、暮らし第一に転換することが求められます。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-09/2014120903_03_1.html
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つまり、松尾教授が古いデータをもとに「大幅な増加が示されていました」と
大文字で表記し、アベノミクスには効果があるかのように論じた数日前に、
共産党は最新のデータをもとに設備投資が減ったことを伝えていたのである。



経済学者の松尾氏は、当然、専門家なのだから、この国内生産改定値を知っていたはずだ。
にも関わらず、修正前のデータをあえて使ったのは、何か理由があるのだろうか?ないのだろうか?


なお、上の赤旗の記事ではワーキングプアの増加、特に若者の負担増を主張しているのだが、
松尾氏は同記事が書かれた2か月後に朝日新聞の取材に対し、こう答えている。


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 ――日本では自民党が金融緩和を進める一方、
   共産党が反対して、政治的立場と政策がねじれています。


なぜ左派が金融緩和に反対するのか。
 言ってしまえば、左派は雇用問題が一番深刻な若い世代の支持がだいぶ細っていて、
 古参の支持者に依存する現実がある。

 退職して年金生活者になっている支持者は金融緩和による物価上昇を恐れる気持ちが強い。
 それが一つの理由ではないか


http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20150217/1424131087
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どうも松尾氏は赤旗を読みもしないで、上のような評価を下したのではないだろうか?

アベノミクス(金融緩和)を支持しないのは、若者のことを考えていないからだ。
こういう印象操作が全国紙の紙面に載り、読者に伝わるその意味をよく考えてほしい。

これは、関連資料を読まずに南京事件を否定する意見広告を
ニューヨークタイムスに載せた極右の連中のそれとどこが違うのだろうか?



少なくとも、共産党の論調は勤労世帯の苦境を率直に代弁しているし、だからこそ、私も
同党の経済政策に関しては素直に評価している。前回、前々回で議席が増えたのもそれが一因だろう。


翻って、若者をないがしろにしている=金融緩和は若者にとって利益になるという印象を与えながら、
この数年間、浜田宏一や高橋洋一のような自民党や維新の党の協力者と同じ主張を取り続けた松尾氏。

信用を失うのはどちらなのかなと不思議な気持ちになる。


松尾氏の主張によれば、アベノミクスは正しくて景気が回復する可能性があるのに、
このまま共産党が失敗を主張し続けていれば、参院選で民心を失って後悔するぞということらしいが、
今思えば、実施当初から、その失敗を主張し続けてきたのは本当に良かったなと思わずにいられない。


松尾氏を見ると、私は慰安婦問題における朴裕河現象を連想する。


忘却のための「和解」

―『帝国の慰安婦』と日本の責任―



朴裕河の『帝国の慰安婦』は鈴木裕子氏や小野沢あかね氏、金富子氏をはじめとした専門家らには、
事実を改ざんし、日本軍の協力者という虚像を植え付けようとした悪書として低く評価されているのだが、
これが、90年代のアジア女性基金を肯定しようとする一部の左翼には非常に好評なのである。

元慰安婦らが朴氏を訴追し始めると、これを連中が非難するという逆転現象まで起きている。
その抗議文は、次のように書かれている。


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検察庁の起訴文は同書の韓国語版について「虚偽の事実」を記していると断じ、
その具体例を列挙していますが、それは朴氏の意図を虚心に理解しようとせず、
予断と誤解に基づいて下された判断だと考えざるを得ません。

何よりも、この本によって元慰安婦の方々の名誉が傷ついたとは思えず、
むしろ慰安婦の方々の哀しみの深さと複雑さが、
韓国民のみならず日本の読者にも伝わったと感じています。


http://www.huffingtonpost.jp/2015/11/26/park-yuha-charge-remonstrance_n_8659272.html
-----------------------------------------------------

慰安婦本人が訴えているのに、どうして名誉が傷ついていないと断言できるのだろうか?
実に不可思議である。

この声明の賛同人には大江健三郎や高橋源一郎がいる。
高橋氏は今をときめくSEALDSの後見人だ。


つまり、「戦争はんたーい!9条まもれー!」と叫んでいる連中のボスが
慰安婦問題では被害者が抗議しているのに「朴先生を攻撃するとは許せん!」と言っている
のである。


これは非常に問題があることで、すでに前田朗氏をはじめとして、
何人かの知識人は、これに反対する書誌や講演会を開いている。

大江たちは日本の右翼の歴史改ざん行為にも反対しているのだが、
実際には、非常に悪質な歴史改ざん本を擁護するという何がしたいのかわからない行為に走っている。


これをアベノミクスの言論状況に当てはめれば、松尾氏のそれはまさに経済版高橋源一郎であろう。
護憲を唱え左翼を自称する一方で、極めて政府にとって都合の良い意見を積極的に発言している。


そもそも、安保法が可決されたのも自民党の議席数が十分に確保されていたのが背景にある。
つまり、2013年7月の参院選の時に、議席数が今よりも少なければ強行採決は不可能だった。

この時期は安倍も靖国に参拝していなかったし、今よりは過激なことをしていなかった。
改憲よりもアベノミクスの成功を前面に押し出して選挙に臨んでいた。

さて、そうなると、ここで問題になるのは、
当時、アベノミクスは正しいのだと盛んに主張したことは、
結果的に自民党に投票することを支援したことにはならないのか
ということである。


実際、アベノミクスによる景気の向上を期待して投票した人間は少なくないだろう。

あの時、テレビをはじめとするメディアによる連日のアベノミクス成功神話の大合唱がなければ、
多少なりとも、結果は変わっていたのではないだろうか?

共産党は当時からアベノミクスは効かないと主張していた。

参院選直前の2013年7月1日に共産党は
「アベノミクスをとことんやり抜かれれば日本経済は破たんします。」と主張した。


で、実際に多くの経済学者、エコノミストらからアベノミクスは失敗したと現在、評価されている。

他方、当時からアベノミクスを支持し、未だに支持しているであろう人間がそれなりにいるのだが、
彼らは2013年7月の参院選において景気向上を期待する有権者を結果的にだましたのではないのか?


少なくとも、参院選において自民党の議席数が増えたこと、
それが2015年9月の安保法強行採決を可能にさせたと認め、責任を感じるべきではないのか?


もちろん、私は浜田らのような根っからの体制支持者に自省を求めているわけではない。

戦争に反対すると言いながら、戦争をさせるシステム作りに協力したことに対して
自称左翼の連中は自覚しているのか
ということが気になるだけ
である。


そういう自覚なしの反戦なら右翼にも出来ることであり、
そうしている間にも、前の記事で述べたように日本海軍は南シナ海で活動を始めている。


中途半端なNoほど心強いYesはない。

私たちがこれから持つべきは、徹底した反抗の意志であり、
右翼と妥協できるような態度は、早々に捨て去ってしまったほうが良いだろう(※)。


※ただし、この問題(日本左翼の隠れた右傾化)は一部左翼における現象というよりは、
 より深刻なもの、冷戦終結以降、一貫して主流左翼全体におきている現象だと言える。

 中国や北朝鮮、ロシア、イラン、イラク、シリアなどにおける態度はまさにそれだ。
 そのことは、日ごろからこのサイトで指摘し、問題視している。

 また、松尾氏が現在、どのような見解を抱いているのかについては私は知らない。
 生憎、彼のストーカーではないので、逐一発言をチェックしていない。
 
 もしかすると、今は違う意見を持っているのかもしれない。
 (それでも、過去の発言に対する反省は必要だと思うが……)

 そういう意味では彼だけを責めても仕様がない。
 
 なお、私が観察する限りでは過去にアベノミクスを支持していたなかで、
 現在、その政策の失敗を多少なりとも感じている人間は、消費税の増税や中国経済の減速を
 アベノミクス失敗の原因に仕立てようと躍起になっている印象を受ける。あくまで印象だが。

 そういう御仁には、
 そういった不確定要素に左右されるような脆弱な経済政策をなぜ支持したのだ
 と問い詰めたい。

 アベノミクスの反対論は多く出版されているが、
 金融緩和が景気回復の武器になるとは限らないということを指摘した本として、
 2003年に出版された『デフレとバランスシート 不況の経済学』がある。

 これはアメリカのニューヨーク連邦準備銀行でエコノミストとして活躍し、
 出版当時、野村総合研究所の経済研究部主席研究員、チーフエコノミストだった
 リチャード・クー氏が著したもので、小泉政権が実施した金融緩和政策を批判したものだ。

 つまり、金融緩和が効かないということは10年以上前から指摘されたことだったのである。
 インフレ・ターゲット論の成功を疑問視するこういう声を無視してアベノミクスは敢行された。

 まさに、歴史は二度繰り返した。一度目は悲劇として。二度目は喜劇として。

アジア・太平洋を徘徊する海上自衛隊

2016-04-16 00:06:49 | 軍拡
イランラジオ改め、ParsTodayの記事より。


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日本の潜水艦が、オーストラリアに初寄港



日本海上自衛隊のそうりゅう型潜水艦「はくりゅう」が、
第二次世界大戦後初めて、オーストラリアに入港しました。

ABCニュースのインターネットサイトによりますと、
潜水艦「はくりゅう」は、15日金曜、オーストラリアとの共同訓練のため、シドニーの港に入港しました。

この演習は、オーストラリアの海軍・空軍と合同で行われます。
この報告によりますと、この潜水艦には、3隻の艦船が同行しました。

オーストラリア国防省は、声明の中で、
「2009年以来、両国の参加によって行われてきたこの演習は、
 日本とオーストラリアにとって、軍事協力のレベルを高めるための機会になる」と発表しました。

この演習は、両国の海軍の調整レベルを向上させる目的で実施されます。

http://parstoday.com/ja/news/japan-i6178
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オーストラリア軍は、地理的にかなり遠い南シナ海に軍艦を派遣、中国を挑発している。
それだけではない。この国は去年の9月からシリアでも空爆を開始し、多くの市民を死傷させている。

ゆくゆくはオーストラリアと協力しながら、よその国に喧嘩を仕掛ける日が来るかもしれない。


オーストラリアに限らず、最近の日本は積極的に海外に自衛隊・護衛艦を派遣している。
フィリピンしかり、ベトナムしかり。


スプートニク紙のリュドミラ・サーキャン記者のオピニオンを以下に紹介しよう。

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中国外務省は、広島での会合後に発表された共同コミュニケでG7外相らが
南および東シナ海における中国の一方的な現状変更行動に懸念を表明したことに怒りを表明した。

コミュニケで中国の名が言及されているわけではないが、
すべての未解決の問題の平和的解決に対する呼びかけは明らかに中国に対するものである。


南シナ海をめぐっては、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、マレーシアが中国と紛争を行っており、
東シナ海に関しては、尖閣諸島(魚釣島)をめぐり、
日本と中国の間の領土紛争が沈静化したり悪化したりを繰り返している。

声明の中で外務省報道官ルー・カン氏は、
経済問題に集中し、地域の対立を加熱させないようG7諸国に呼びかけた。

「世界経済の回復が弱いなか、G7は海上紛争を煽り、それに介入し、
 地域紛争を誘発するよりもむしろ世界的な経済的、政治的協力に焦点を当てるべきだ」。


先に中国の王外相は、南シナ海の島々への中国の権利に挑戦しないよう、近隣諸国に呼びかけた。


「何らの紛争地域も存在しない。全ての島は、合法的に中国に属している。
 国際仲裁を誘致しようとする試みは、直接的な挑発であり、
 内政干渉であるとして、中国側に受け止められる」


この舌戦は、
日本、フィリピン、ベトナムの関係が
大々的に成長していることを背景に繰り広げられている。



日本は両国に巡視船を供給し、その船員を養成する。
最近ベトナムのカムランの海軍基地に初めて日本のミサイル駆逐艦2隻が入港した。

訪問の目的は合同演習だ。それに先立ち同様の演習が、
しかも日本の潜水艦まで参加して、フィリピンで行われている。

http://jp.sputniknews.com/opinion/20160414/1963651.html
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あわせて、ParsTodayのガッファーリー解説員の論説にも触れておきたい。


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日本の駆逐艦2隻と潜水艦1隻のフィリピンの海域への派遣により、
軍事協力の強化が事実上、両国の政策に据えられました。


ガッファーリー解説員

フランス通信によりますと、フィリピン海軍司令部の報道官は、
日本の艦艇のスービック湾への派遣を明らかにしました。

スービック湾はマニラから200キロのところにあり、現在アメリカ軍が駐留しています。
スービック湾に加えて、アメリカ軍はルソン島のクラーク空軍基地にも駐留しています。
この2つの基地は、冷戦時代の前後からずっとフィリピン政府によって維持されてきました。


それから15年、日本の艦艇のフィリピン派遣は、東アジアや東南アジアでの
アメリカの同盟国が意識的に中国との代理戦争に入っていることを示しています。
とはいえ真の戦争が始まるかどうかは、周囲の状況やアプローチの種類によります。

フィリピンは、
日本との軍事協力は地域の平和や安定の向上や両国間の海上協力の強化を目的に行われている
と述べています。


日本は、国内世論の説得し、地域や世界の世論を違った方向に誘導しようと、

「このような措置は平和を追求したものだ」と述べていますが、
 アメリカによるアジア各地における大規模な軍事設備の配備や
 アメリカとフィリピンの合同軍事演習と共に、日本とフィリピンの軍事協力は別の意味を帯びています。

日本の艦艇がスービック湾に寄港した中、
東シナ海や南シナ海の領有権を巡り、中国とフィリピン、日本の間で緊張が高まっています。

アジアにおけるアメリカの2つの同盟国の軍事協力は新たな軍事的結びつきの強化を物語っています。
なぜなら日本はそれをフィリピンへのさらなる軍事支援に向けた下地と解釈しているからです。

日本は、航空機5機と一部の軍備をフィリピンに供与すると約束しました。
これは、南シナ海の領有権を巡る中国との対立に関して、国際裁判所の判決が出る前に、
地域での自国の立場を際立たせようとするフィリピンの措置を表しています。

現在、中国は、このような措置を単なる軍事訓練とはとらえていません。
中国は、日本とフィリピンは軍事協力によって中国にメッセージを伝えようとしていると見ています。
政治アナリストもフィリピンと日本の軍事行動と軍事協力の拡大を中国をけん制するものと見ています。


2016年3月、日本とフィリピンの間で軍事合意が締結され、
日本はフィリピンの軍事的なニーズを満たし、後方支援を行うことになりました。


このため、日本とフィリピンの軍事関係者の協力の表明は単に通常の軍事訓練とは見なされないでしょう。

日本はあらゆる種類の軍需品を第三国などの仲介なくフィリピンに供与することを約束しています。

まさにそれが、一部の政治評論家が日本とフィリピンの軍事協定の締結を
中国に対する東南アジア最大の軍事協定と見ている理由です。

日本はここ数日、アジアでのアメリカの扇動行為から利益を得ており、
フィリピンへの最新鋭の兵器の売却は、こうした方向で分析することができます。

http://japanese.irib.ir/news/commentaries/item/63413-
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先のG7の外相サミットでは、日本政府は反核を力強く叫んだわけだが、
その裏側では、これまでにない軍拡が進んでいる。



非核化宣言の裏で進む日本の軍拡

2016-04-14 00:37:02 | 国際政治
前回、前々回の記事で、すでにG7の非核化宣言の偽善性について暴いたつもりだが、
これに関して、モスクワ国際関係大学のアンドレイ・イワノフ上級研究員の見解をここに紹介したい。


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会談の目的は、全体として気高いものだった。

すべての人々にとって、もっと安全な世界へと続く道を皆で話し合い、
核兵器のない世界のための諸条件を創り上げるという立派なものだった。

会談をまとめた宣言の中で、G7の外交担当責任者達は「我々は、そうした方向に前進する」と言明し、
そうした動きを困難にしている問題があることを指摘した。

具体的には、シリアやウクライナなど
いくつかの地域の安全状況の悪化、そして北朝鮮の度重なる挑発行為である。



シリア、ウクライナ、北朝鮮という3つの地域で起きている事が、
世界の安心感を高め、軍縮を奨励するものでないことは、争う余地がない。

特に、こうした地域、さらに他の一連のホットポイントにおける緊張の真の原因を考慮するなら、
言うまでもないことだ。ついでに言うなら、その原因について、
欧米とロシアの見方は違っており、その事は、世界の安定と相互理解を妨げている。


欧米は、シリアでの出来事を「血塗られた独裁者」であるアサド大統領に対する
シリア国民の戦いとみなしているが、ロシアは、地域の一連の国々によるアサド大統領打倒の企てとみている。


なぜなら、ペルシャ湾岸のカタールからシリア領内を通じて
欧州へと通ずるガスパイプライン建設を、アサド大統領が認めないからだ。

そのため暴徒集団やテロリストを使って、アサド政権転覆を図っていると、ロシアは考えている。

さて、もう2年以上流血の無秩序状態が続くウクライナだが、
欧米は、ウクライナ人が、ロシアの影響圏に残るのを望まず、
自由をめざし汚職と闘うため「ヨーロッパへ入る選択」をしたゆえに起きたものと説明している。

一方ロシアは、そうした親西欧的傾向は実際あったが、それは一部のウクライナ人の間だけで、
そうした一部の人達が暴走し、国を分裂させ、内戦に導いたと見ている。

またロシアは、この2年間でウクライナでは逆に汚職が増え、
自由が制限された事、そしてウクライナ経済に至っては、ほぼ壊滅的な状態だ
という事をよく知っている。しかし欧米は、それを知りながら、そうした事実を認めようとしない。


さてここで、一つの問いが生じてくる。
ロシアのどこが悪かったのか、なぜロシアに対し制裁が導入されたのか?という問いだ。

また、今回広島でまとめられた宣言の中では
「対ロシア制裁を今後も続けるかどうかは、ロシアがミンスク合意を完全に履行するかどうか、
 ウクライナの主権を尊重するかどうかに直接左右される」と述べられている。

これは、明らかに狡猾なやり方だ。まず第一に、ロシアはミンスク合意を実現する事が出来ない。
なぜなら、それを守っていないのはウクライナだからだ。

第二に、ロシアはウクライナの主権を尊重しており、その侵害をたくらんでなどいない。
クリミアについて言えば、ロシアの一部であって、ウクライナの主権とはもう何の関係もない。
これはクリミアの住民自身が、真に民主主義的手段によって、自分達で決めた事だ。

最後に、北朝鮮について言えば、すべてはかなり単純だ。
世界を核実験によって脅すような事は、もちろん、よい事ではない。
それゆえロシアは、つい最近の、北朝鮮当局を非難し制裁導入を求める国連決議を支持した。

しかし、米国のような力のある大国が、介入するとか、
体制を打倒するとか言って小さな国を脅すのは、よくない事だ。


小さな国の中では、恐怖のあまり、核兵器を作り始めている国もある。
そうした行動に駆り立てた責任は、一体誰にあるのか? それは明らかだろう。

広島での今回の会議では、こうしたあれやこれやの問題に答えが出されなかった。
それゆえ核兵器のない世界という夢の実現が、近づく事はなかった。

http://jp.sputniknews.com/opinion/20160411/1941295.html
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加えて、今回の外相会議が中国に対してどのような反応を与えたかにも注目したい。
次の文章は広島宣言の直後に掲載された人民網の記事から引用したものである。


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G7外相会合がこのほど日本・広島で開催された。
会議で議論される安全保障問題の中で、西側メディアは中国関連の海上紛争に特に注目し、
東中国海と南中国海での「挑発行為」に参加各国が反対したと次々に報じた。

~中略~


日本の行動は決して偶然ではない。
近年の同国による南中国海問題へのたゆまぬ介入には、大きく次の動きがある。

第1に、南中国海での中国の合法的で理にかなった行動を非難する。
日本高官は南沙(英語名スプラトリー)諸島の島・礁での中国の建設活動について、
南中国海の「軍事化」を招くとして繰り返し批判している。

第2に、領有権主張国との安全保障協力を強化する。

フィリピンとのハイレベル往来はことのほか頻繁で、
安倍首相とアキノ大統領の会談では南中国海問題への言及が必ずある。


日本はフィリピンの軍事力を高めるため
装備面で支援することも決定した。


第3に、南中国海問題の国際化を推し進める。

日本はフィリピンが一方的に提起した国際仲裁を明確に支持しているうえ、
G7など国際的な場で機会を探っては南中国海問題を議論している。

第4に、南中国海での米国の軍事行動を支持する。
米国は艦艇や航空機を中国の南中国海海域に進入させ、いわゆる「航行の自由作戦」を実施している。

日本は米軍の南中国海巡航を支持しているうえ、
現在実施中の米比「バリカタン」を含む関連する演習への参加を望んでいる。

日本は南中国海をめぐる争いの当事国ではなく、南中国海問題への介入の背後には計算と私利がある。

日本の差し迫った課題は地域の安全保障問題で「存在感」を増すことだ。

安倍首相の現在の任期における主要課題の1つは、
第2次大戦後の束縛を脱して、日本を政治大国、軍事大国にすることだ。

日本はすでに集団的自衛権の行使を容認し、新安保法も正式に施行した。
束縛を脱した後、日本は地域の安全保障問題で役割を発揮することを急いでおり、
南中国海問題という紛争は便利な取っ掛かりとなっている。

http://j.people.com.cn/n3/2016/0412/c94474-9043225.html
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これらの指摘を読めば、以下に広島宣言の裏で非常に好戦的な動きが取られているか、
知れるものだが、加えて次の記事にも注目しなければなるまい。


G7外相会合と安倍政権に抗議、広島県民が集会とデモを実施 日本

在日朝鮮青年抗議団が米、南大使館前で抗議

実はこのサミットが行われていた期間、日米韓政府を非難するデモが行われていたのだが、
どちらのデモも無視された状態で、広島宣言は発表されたのだった。

特に在日コリアンのデモに対してはかなり陰湿な対応を取られている。


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朝鮮に対する米国と南朝鮮の侵略策動に反対し、
在日朝鮮青年抗議団が11日、米国大使館と南朝鮮大使館前で抗議活動を行った。

朝青中央・金勇柱委員長を団長とし、関東地方の朝青専従活動家ら約50人で構成された抗議団は、
米大使館前で横断幕とプラカードを掲げながら
「『制裁』と核威嚇、侵略戦争策動を中止せよ!」「平和協定を締結せよ!」「朝鮮は一つだ!」
などのスローガンを叫び、抗議文を読み上げた。


抗議団の正当な抗議行動に対し日本の警察は、
大使館前での抗議行動は認められないなどとしながら、
抗議団を強制的に解散させようとした。


また、大使館側に抗議文を伝達したいという抗議団の要求に対して、
米国大使館側は事前申請がないという理由で拒否した。

抗議文は、朝鮮の首脳部を狙った米国と南朝鮮による合同軍事演習を
朝鮮半島に核戦争の危機をもたらすものとして糾弾するとともに、
対朝鮮敵視政策を即刻中止し、平和協定締結に向けた対話に臨むよう、米国政府に強く求めた

http://chosonsinbo.com/jp/2016/04/11suk-3/
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要するに、広島宣言とは沖縄県民や在日コリアンといったアジアの紛争の被害者の言葉を
ガン無視して発表された被害者不在の声明であり、それは自国の侵略的性質をごまかすものでしかない。


アメリカは「民主主義」という言葉を巧みに操って他国への干渉行為を正当化しているが、
日本の場合は「非核・反核」というイデオロギーを隠れ蓑にして自国の権威を高めようとしている。


これについては、人民網が良い論評を書いている。


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日本はなぜ「核被害者」のイメージを作るのか?


日本・広島で行われていたG7外相会合が11日に閉幕した。
日米など7カ国外相は
各国指導者に被爆地訪問を呼びかける内容を含む「広島宣言」を発表し、現地の被爆慰霊碑に献花した。

日本はG7議長国であることを利用して被爆経験を伝え、
いわゆる「核被害国」としてのイメージを作ることで、
核軍縮と核不拡散の雰囲気を推進することを望んでいる。中国新聞網が伝えた。


日本側が発表しようとした宣言の内容について米政府は警戒し、
「加害者」としての自国のイメージが作られることを警戒したうえ、
オバマ大統領の今年5月の広島訪問についても慎重な姿勢だったと分析される。

ケリー米国務長官は日本側の願いと異なり、広島への原爆投下について謝罪しなかった。
韓国外務省も、自国の必要性を超える核物質を保有するのなら、自国と他国の安全に脅威をもたらすと強調した。

安倍政権は広島宣言を非常に重視し、G7外相会合の成果、
G7サミット首脳宣言の「核心的内容」とすることを計画してきた。


その背後には、いくつもの意図がある。

日本が自国の被爆の「傷痕」を再び示すことについては、
時勢に従い視線をそらし、世界を欺く安倍政権の行動だとの見解がある。


1つには、安倍政権は「被害者」ムードを引き続き誇張することで、
日本の核物質に対する国際社会の注目を弱めようとしている。

もう1つには、日本国民は反核意識が非常に強く、核問題で慎重な姿勢を政府に求めているため、
安倍政権はこれによって民意をなだめ、国内圧力を緩和しようとしている。

特に新安保法の正式施行および自民党の改憲計画の展開に伴い、
日本の軍事化は加速し、「核兵器製造」など右翼の発言が国際社会の注視と強い警戒を招いている。

安倍政権のやり方によって平穏であるかのように取り繕うことは難しいだろう。

http://j.people.com.cn/n3/2016/0412/c94474-9043179.html
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非核化宣言とは裏腹に、東南アジアの国々に日本の軍隊が派遣されている。

そこで私が思うのは、大日本帝国がアメリカのやり方を真似て朝鮮を侵略したように、
現在の日本もアメリカを真似て、フィリピンやベトナムを属国にしようとしているのではないか

ということだ。


つまり、今のところは軍事演習のために軍艦を派遣する程度にとどまっているが、
将来的には沖縄のように、両国に日本軍の基地を置こうとしているのではないかという懸念である。
(ちなみに日本軍の海外基地はすでにソマリアにある)


よく安保法案が施行されると、ただちに戦争が始まるかのような言われ方がするが、
米英仏侵略トリオのシリアやウクライナにおけるやり方をみればわかるように、
基本的には、侵略というものは現地の政府や武装組織の支援、自軍の派遣から始まる。

ウクライナやイエメンはその好例だろう。

G7による広島記念公園の訪問、献花という茶番2

2016-04-11 22:10:07 | 国際政治
前の記事の続き

(読んでいない人は、ぜひご一読を)


前の記事で、平和を願うと言いながら、
現在進行形で他国を爆撃し、現地の武装勢力を支援しているG7の偽善を指摘したが、
先ほど、良いタイミングでイランラジオの関連記事がアップロードされたので紹介をしたいと思う。


まず、イランラジオの記事を読む前に毎日新聞と日経新聞の記事を読んでみてほしい。

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(毎日新聞の記事より)


現役の米閣僚として初めて被爆地を訪れたケリー国務長官は
11日、G7外相会合後に広島市内で記者会見した。

訪問した原爆資料館について、「私は忘れることはないし、忘れられる人はいないだろう」と述べた。
さらに「戦争とは最後に残された手段であり、最初の手段とすべきではないことを再確認した」と語った。


ケリー長官は、原爆資料館で目にした投下直後の絵画について
「胃をたたかれたようで、驚くべきものだ」と感想を述べた。

平和記念公園では原爆慰霊碑に献花しており、被爆地訪問で
「深く心が動かされたし、初めて広島を訪ねた国務長官であることを光栄に思う」と強調した。


一方でケリー長官は、訪問の目的を
「過去を振り返るためではなく、過去(の教訓)を現在や将来に生かすことが、
どれほど大切なのかを示すためだ」と指摘。第二次大戦で戦った日米両国が終戦後は
同盟国となったことに言及し、「この地(広島)は、同盟の堅固さを示す事例になっている」と強調した。


また、オバマ政権が取り組む国際的な核不拡散や核物質管理強化にも触れた上で、
「資料館を訪れたことで、世界平和の維持のために果たすべき(米国の)義務を再確認した」と語った。

【大前仁】

(日経新聞の記事より)


主要7カ国(G7)外相会合で広島市を訪れたケリー米国務長官は11日記者会見し、
オバマ米大統領が5月のG7首脳会議(伊勢志摩サミット)に合わせて
広島市を訪問する可能性について「オバマ氏を含め、全ての人が広島に来るべきだと思う。
だが実際に来れるかは分からない」と述べた。


冒頭、原爆を投下した米国の現職国務長官として初めて市内の平和記念公園を訪れたことを
「感激している。誇りに思う」と表明。

原爆の惨状を示す資料館内の展示物についても触れ
「驚くべき、忘れられない内容だった。核兵器のない世界を目指す必要性を再認識した」と発言した。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK11H6K_R10C16A4000000/

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これら記事を読んだうえで、イランラジオの記事を読んでみてほしい。



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アメリカのケリー国務長官が、広島で、
原爆による攻撃については謝罪せずに
「広島平和記念資料館を訪れたことを誇りに思う」と述べました。


ケリー長官は、G7主要7カ国の外相会合に出席するため、日本を訪問しました。

1945年の広島と長崎へのアメリカの原爆による攻撃で、20万人以上が死亡しました。
その後も後遺症で数万人が死亡しています。

それから70年以上が経過した現在、アメリカの国務長官が初めて広島を訪問し、
広島の記念資料館を訪れました。

こうした中、ケリー長官の広島訪問に際して行われた広島での抗議デモにもかかわらず、
アメリカの関係者は、「国務長官が原爆投下に関して謝罪することはないだろう」と述べました。


ケリー長官はツイッターで、広島記念資料館の訪問に関して、
「広島記念資料館を訪問した最初のアメリカ国務長官であることを誇りに思う」と述べています。

ケリー長官は、原爆攻撃で広島市民が死亡したことについては語らず、これについて謝罪もしていません。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/63566
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前者は基本知識を淡々と述べている印象を受けるが、後者はより批判的な内容になっている。


イランのニュースサイトは、ケリー氏の発言の偽善さについて強く非難しているのに対して
肝心の事実を伝えようとしない日経や毎日の報道姿勢は一体何なのだろうか?


ちなみに朝日新聞は、こう書いていた。

「ケリー氏は公園訪問で、原爆投下を謝罪する表現は使わないものの
「憎しみではなく愛情の心で再建してきた広島の市民と米国民が、
 戦争を憎み、平和に向けた決意を共有する」と語った。
「日米の和解が並外れたレベルにまで達したことを示すことになるだろう」とも述べた。
 さらにこの高官は「核兵器を唯一使った国として、米国は世界の核軍縮に向けて努力をする責任がある」
 とも語り、オバマ政権が2009年のプラハ演説で提唱した「核なき世界」の実現に向けて
 今後も努力していく考えを強調した。」


アメリカの非核の意思は、自国の戦争犯罪を反省しない程度のものだと非難するイランラジオと、
謝罪こそしないが、アメリカの非核の意思は本物だと言わんばかりに褒めたたえる朝日新聞。

徹頭徹尾、アメリカを擁護する文体。
この国の言論の自由など、有って無いようなものだと改めて実感する。


平和記念公園を訪問し、何かしら思うことがあったのであれば、
広島に原爆を落としながらも未だに謝罪の一言もない自国の有り方について言及すべきだろう。


とはいえ、ケリーの姿勢は、このG7サミットの本質をえぐったものだと思う。
自分たちの行いに対しては、全く反省せず、中国や北朝鮮を非難するというものだ。


これについては朝日新聞も伝えている。

「各国外相は10日夕に世界遺産・厳島神社を訪問。宮島で夕食会を開き、
 核実験や弾道ミサイル発射など挑発を繰り返す北朝鮮の問題や、
 南シナ海で軍事拠点化を進める中国を念頭に海洋安全保障について議論した」

ここにはG7の好戦的な姿勢こそが国際平和を乱しているという意識がない。


無論、朝日新聞もこの独善性について特に非難していない。

まぁ、朝日新聞は先日、話題になったパナマ文書についても
中国については社説で強く非難し、お決まりの「中国は非民主的な国だ」論を述べる一方で、
三菱商事、丸紅、オリックス、バンダイ、大和証券などの日本企業の税金逃れについては
全く非難しない新聞だから、こうなるのも当然と言えば当然かもしれない。


朝日新聞は一応、ヘイト・スピーチに反対しているはずだが、
実際には隣国の悪印象を与える記事や社説を大量生産している。

同社の主筆だった舟橋洋一氏が今、右翼として活動しているのもある意味納得である。

(彼によると、戦後保守は弱者を切り捨てず、国際協調を重んじていたらしい。
 そいつらに長年にわたって攻撃されていたのはどこの新聞だったのか。

 こういう自社の被害を忘却して権力者にすがる卑怯者が
 主筆になれる時点で朝日は終わってしまったのかもしれない)

G7による広島記念公園の訪問、献花という茶番

2016-04-11 22:04:26 | 国際政治
4月11日、G7(米英仏侵略トリオ+日独伊ファシスト同盟+カナダ)外相が
広島記念公園を訪れ、原爆死没者慰霊碑に献花し、合わせて世界の非核化を求める広島宣言を発表した。


とんだ茶番である。

核を減らしたいのであれば、7千発以上の核弾頭を保有しているアメリカこそ、
真っ先に非核化すべきであるし、経済制裁を受けねばなるまい。

そればかりか、今世紀に入ってからアメリカは更に積極的な核開発を行っている。

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このなかでアメリカが急いでいるのは小型核兵器の開発である。

06年2月には小型核兵器を開発するための臨界前核実験を英国と共同で実施

その翌月に核兵器の中枢部分「プルトニウム・ピット」の生産について、
核安全保障局(NNSA)のブルックス局長が、今後6年間で年間30~40個の生産体制を確立すると表明。

年間最大450個を量産する新型ピットの工場を建設する方向を明らかにした。

そして米議会で2007年会計年度の新型核弾頭の事業予算を
06年分の2倍にあたる5000万㌦(約58億円)を計上。

ブッシュ政府は新型核弾頭を2012計年度(11年10月~12年9月)に製造する方針を議会に伝達。

小型核量産体制にむけ、「テロ組織への核物質流出を阻止する」と主張し
これまで8施設でしていた核開発を2大施設に集約し、2022以後は
年間125個のプルトニウム・ピットを生産すると決めた。

こうしたなかでミサイルを配備したイージス艦が、ハワイ沖で活発に発射実験を繰り返している。
2月に漁船を沈没させた海自イージス艦「あたご」もその訓練の帰りだった。

ミサイル防衛システムは大気圏外で迎撃する上層システムと、
パトリオット・ミサイルなどを利用する下層システムで構成されるが、
放射能被害の及ぶ下層システムはすべて日本の国土や海域に配備する。


米軍岩国基地内での核ミサイル攻撃を想定した待避演習は米兵とその家族だけを国外に脱出させ、
岩国市民は攻撃されるにまかせる訓練を繰り返している
が、それは全国共通の問題となっている。

http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/nihonntatenikakusennsoutakuramubeikoku%20kyoui%20aorisennseikakukougekitaisei.htm
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そもそも、アメリカは今年の2月に核ミサイルの実験を行っている。


「 アメリカとロシアの緊張が高まる中、アメリカ軍が軍事競争に対して
  核の力を見せ付けるため、2発目の弾道ミサイルを実験しました。

  この弾道ミサイルは、25日木曜夜、カリフォルニア州の空軍基地から
  マーシャル諸島に向けて発射されました。

  アメリカ国防次官は、この実験の前に、

 「アメリカは2011年1月以来、これまでに少なくとも15回のミサイル実験を行っており、
  ロシア、中国、北朝鮮といったアメリカの戦略的な競争国に対し、
  アメリカは強力な核兵器を有しているというメッセージを含んでいる
」と語りました。

  http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/62616-」


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アメリカが、中国あるいはロシアに対する初の核攻撃を計画中



アメリカ人ジャーナリストで反戦活動家のブルース・ギャノン氏が、
アメリカは現在、中国あるいはロシアに対する初の核攻撃を計画中である」と語りました。

ギャノン氏は、プレスTVの取材に対し、
アメリカによる韓国へのTHAAD・終末高高度防衛ミサイルの配備は、
 中国あるいはロシアに対し初の核攻撃を行うというアメリカの計画の一部である
」と述べています。

また、「THAADの配備は中国とは全く関係がない、
    とするアメリカのカーター国防長官の主張は虚偽である」としました。

さらに、「北朝鮮は決して、アメリカにとっての脅威とはみなされず、
     アメリカによるこの措置の主要な動機となっているのは中国だ」と語っています。

ギャノン氏によりますと、北朝鮮は低レベルの宇宙技術しか保有しておらず、
アメリカにとっての脅威とはならない、ということです。

ギャノン氏はまた、
「アメリカは、韓国へのTHAAD配備を正当化するために、北朝鮮を口実として利用している」
と語りました。

さらに、
「アメリカは、イランの核問題を口実に、THAADに類似したミサイル防衛システムを中東に配備し、
 それによってロシアを包囲しようとしている」と述べています。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/63557
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中国や北朝鮮、ロシアの核保有に対しては・・・




G7「やめろぉおおおおおお!!!!」



アメリカの核保有、先制攻撃を想定した実験と演習に対しては・・・







G7「・・・・・・」




このやる気のなさ、どうしたものか・・・


このG7外相の目的は反核ではなく、むしろ北朝鮮と中国にむけたけん制、
ならびに大国がテロリストと決めつけた連中に対する空爆や斬首、拉致作戦にむけての相談だろう。



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文書は「核兵器保有の透明性を向上させたG7の核保有国の努力を歓迎する」としたうえで、
保有している核兵器の数を明らかにしていない中国を念頭に、「他国にも同様の行動を求める」として、
透明性の向上を求めています。

~中略~

会合の成果などをまとめた共同声明では、
「テロ・暴力的過激主義対策」に最も多くの分量が割かれ
テロを「全世界的な喫緊の安全保障の脅威」と位置づけたうえで~(中略)

また、ことしに入っての北朝鮮による核実験や弾道ミサイルの発射について、
「最も強い表現で非難する」としたうえで、北朝鮮にこれ以上、挑発的な行動をさせないため、
国際社会に対し、国連の安全保障理事会が決定した北朝鮮に対する制裁措置を完全に実施するよう呼びかけています。


~中略~

直接の名指しは避けながらも、中国が南シナ海などで海洋進出の動きを活発化させていることに
G7として懸念を共有するとしたうえで、大規模な埋め立てや軍事拠点化の動きを自制するよう求めています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160411/k10010474921000.html?u
tm_int=news-international_contents_list-items_001

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この声明はアメリカ軍やオーストラリア軍が
南シナ海を旋回している
ことにはまったく触れていない




長らくアメリカは防衛ライン以内における中国軍の侵入を警戒していたが、
最近では防衛ラインより外側、つまり南シナ海より内側の海を徘徊し、挑発的な行動を取っている。

アメリカの影にこそこそ隠れて同様の行動を取っているのがオーストラリアで、
この国は、シリアに対しても去年の秋から空爆を行っている。

客観的に言って、G7は世界中で戦争をしている。


イギリス、アメリカ、フランスを中心とするG7の面々は、
一貫して、中東や中央アジアにいる武装勢力を支援してきた。

その目的は現地のテロ集団を利用した国家転覆であり、
特にシリアとリビアにおいてはアルカイダの系列にある過激派を支援したことで、
地域内の治安を余計に悪化させ、その中には欧米にも牙をむける組織も出現してきた。

言わずもがな、ダーイシュ(イスラム国、IS)である。


こうして情勢が悪化するなか、不可避に生じた大量の難民を欧米圏から締め出し、
現地人の復讐をテロリストによる逆恨みであるかのように演出し、悲劇の主役を気取って見せている。

その裏側では自国の民衆に対する監視体制を強め、他国の空爆を開始・支援している。


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欧州議会で、サウジ向け武器禁輸要求決議が採択


欧州議会が、イエメンでの戦争犯罪を理由に、
サウジアラビアに対する武器の禁輸を求める決議を採択しました。

ファールス通信が25日木曜、報じたところによりますと、
この決議はイエメンでの国際人道法に関する調査が行われるまで、
EUによるサウジアラビアへの武器の大規模な禁輸を求めています。

この法案は、サウジアラビアに大量の武器を輸出している国として、
はっきりとイギリス、フランス、ドイツ、スペインを挙げています。


この法案の採択に努力した、欧州議会のアラン・スミス議員は、
「サウジアラビアへの武器禁輸という欧州議会の要求は前代未聞であり、
 サウジアラビア空軍によるイエメン戦争の管理方法に対する失望を示すものだ」と語りました。

また、
サウジアラビアは、イギリスとフランスの武器の主要な顧客であり、
 イエメンでこれらの武器が国際法に違反して使用されているという証拠が存在している。


イエメンでは、昨年3月にサウジアラビアに戦争をしかけられてから、
これまでに数千人の民間人が死亡している」と述べています。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/62599



なお、アメリカもサウジアラビアに武器を与えているという情報がある。
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イエメンにおけるサウジ軍の空爆で、最低3万人の国民が死傷し、インフラの8割が破壊された。
これら空爆はイエメンで勢力を握っているフーシ派というテロリストを掃討するためのものだと言われた。

欧州議会は武器の輸出を禁じてはいるが、侵略を援助した国々に対する制裁は与えていない。


同様に、アメリカや日本、EUはウクライナ政府を経済支援しているが、
同政府がテロリストを倒すための作戦と称して自国民を爆撃し、
住宅地や病院、教会を破壊してきたことについて全く責任を問いていない


(それどころか今回のサミットではウクライナ問題の処置について、
 つまり、自分たちの行いが正しいことを前提にどう事態を収拾させるかを話し合っている)

ある集団をテロリストとみなすか、
それとも抵抗勢力とみなすかは侵略者の気分次第である。



G7やNATOはどれだけ破壊工作を行っても制裁を受けはしない。


北朝鮮の核実験は今のところ、一人も犠牲者を生んでいないが、
アメリカやイギリスやフランスが現在進行形で行っている反テロ戦争では
直接的な死傷だけでなく、テロ容疑者の拉致、拷問も発生した(悪名高いグアンタナモ基地が好例)。


これら自分たちの悪行を列挙した上での献花と非核宣言ならば意味があるだろうが、
実際には、非核という言葉が侵略の隠れ蓑として利用されている。

G7は、まずイエメンやウクライナの犠牲者に向けて花を捧げるべきだろう。


自らの行いを真に反省しない限り、そこで行われるのはいつまでたっても茶番でしかない。



※追記

そもそも、G7は元はG8、つまりロシアも含まれていたのだが、
ウクライナ問題で米英仏と対立したために、ロシアはG8から外されてしまった。


2015年のドイツでのサミットではG7のメンバーはロシアに対し、
ウクライナ問題への介入継続に関して警告を発し、更なる厳しい制裁を行使すると述べている。

この「言うことを聞かない国は追い出してしまえ、制裁してしまえ」という独善としか
言いようのない行動をしている連中が、平和記念公園の前で何を思うと言うのだろうか?


書評『プーチンとG8の終焉』(ウクライナ問題・概観)

2016-04-06 23:01:57 | ロシア・ウクライナ
とあるサイトに投稿した書評をここにも加筆・修正し転載しようと思います。

何と言いますか、これは私が読んだロシア本でも最高に優れた洗脳本ですね。
右翼の書いた本は、色々と景気の良い言葉が書かれているから、いかにも嘘くさく見破るのは容易ですが、
岩波書店という老舗の左派系出版社から売り出された本書にだまされる人は多いのではないでしょうか?



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著者が共同通信社の元モスクワ支局員ということもあり、基本的には日本の報道に沿ったものになっています。
そのため、日常的にウクライナ問題に関心のある人間にとっては、さして新しい情報はないと思います。

問題点としては、あまりにもウクライナ中央政府に都合のよい内容になってはいないかということ。

例えば、ウクライナ東南部の「親ロシア派」との紛争ですが、この紛争では
ウクライナ軍が病院や学校、住宅地に爆撃を行い、その結果、多数の市民が死傷しているのにその描写がない。

2014年5月、ドネツク州のマリウポリでは、多くの住民が対ナチス戦勝を記念する行事に参加したところ、
ウクライナ軍が警察署を攻撃、これに抗議した市民を数名殺害しているのですが、それもない。

2014年5月11日、住民投票の実施日にはウクライナ軍が投票所を数か所占拠し、
クラスノアルメイスクでは、占拠した兵士が抗議する市民に発砲、2名が死亡しました。

このこともまた書かれていません。

過去最大の衝突があったとだけ説明され、主語が省略されています。
(実際には、武器を持たない市民を軍が殺害している)

この本の該当箇所を読む限り、ポロシェンコ大統領は何度も停戦を促したのに
「親ロシア派」が強硬姿勢を貫いたせいで御破算になったという説明がされています。

しかし、そもそも2014年4月に軍隊を派遣し、民家や学校、病院を爆撃したのは
中央政府であって、決して親ロシア派がキエフまで行ってテロを起こしたわけではないのです。


砲撃を受けた学校に勤めていた職員は次のようなコメントを残しています。

私たちは、ただ恐れているだけです。いいですか?
 勇敢な軍隊、私たちが税金を払って維持させている軍隊は、私たちを殺す以外の何もしていません。
 それに恐怖しているのです。
 私たちの大統領は、市民を保護する義務があるはずなのですが、彼は我々をせん滅することを決めました


同年5月27日の水曜に、ドンバスの炭鉱労働者たちがウクライナ軍の撤退を求めてデモ行進を行いました。
また、同地域の高校に通う学生も抗議運動を行っていますし、フェイスブックでも「Save Us Donbass」、
つまり「私たちドンバスを救ってください」というカードを持ち、写真を投稿する運動が当時あったのを覚えています。

私には、これは「市民」と呼ぶべき人たちだと思うのですが、
こういった人たちをひっくるめて「親ロシア派」と呼ばれています。


佐藤氏は事実をなぜ隠すのでしょうか?



この本では、どうも2014年に民衆に対する軍の弾圧および虐殺があったことが書かれていなく、
親ロシア派という過激派が地方を占領し、ウクライナ軍と抗争を行っているようになっています。

実際にはルガンスク州の州議会幹部会は、彼ら「親ロシア派」が実施する住民投票の支持を表明していました。
文書では次のように書かれています。

大きな痛みと共に確認する。
 ウクライナでは現キエフ政権とその保護者たちが扇動した内戦が起こっている。

 数十人の人々が命を落とし、数百の家庭が喪に服し、
 数百万人の人々の心に憎悪が生まれたのは彼らの責任だ。
 
 ウクライナ国民の半分が、犯罪者やテロリストとみなされた。

 それは、彼らが考えるウクライナの未来と、
 キエフで政権に就いた政治家たちが考えるウクライナの未来が異なっているからだ。

 キエフ政権は彼らと対話するかわりに、数百万人の市民に対して、
 対テロではなく、まさにテロ作戦を展開した。
 
 これは欧州現代史における自国民に対する最初の軍事作戦であり、市民に対する公のテロだ


ドンバスの基幹産業は炭鉱ですが、当時、中央政府は外国から支援を受ける代わりに
ドンバスの炭鉱を閉山することを約束しました。前述の炭鉱夫の抗議はこのような背景があるわけです。

これらの声、運動を書かず軍事衝突として描くのが中立の姿勢を保つためならば納得がいくのですが、
本書では、シドニーでプーチンに抗議するデモが行われたとか、
ドネツク・ルガンスク共和国の軍の重要ポジションに悪魔とあだ名される男がついたとか、
共和国軍の兵士が中央政府の役人を空港で殺害したとか、そういう情報は逐一報告されており、
どうも中立を保つためにあえて知っている情報を教えないわけではなさそうです。


未だにどちらが落としたのかもわからないマレーシア航空機撃墜事件にしても、
共和国軍の兵士が残骸を押収したことは書かれている一方で、同じく証拠を収集した
オランダ・アメリカ政府が証拠物件を公表しようとしなかったこと、いまだに何点かの物件は
秘匿されていることは触れていません。明らかに著者はキエフの権力者に沿った見解を行っている。

これらの情報は海外のニュースを読んでいれば自然と頭に入るものです。

私の記憶ではモスクワはロシアにあったと思うのですが、
佐藤氏はどこか別の星のモスクワ支局に勤めていたのでしょうか?

(もっとも、事件が起きた年には日本に戻ってきているようですが・・・)

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なお、当時、私が書いた記事を何本か紹介します。

日本と欧米のメディアはウクライナ軍がマリウポリ市民を弾圧することを「反テロ作戦」と呼ぶらしい

NHKの偏向報道:ウクライナ南東部における住民投票について

マリウポリの惨劇:朝日新聞では警察官のことを武装勢力と呼ぶらしい。

ドネツクの学生、平和の歌を歌う。ドンバスの炭鉱労働者、ウクライナ軍撤退のデモを行う

続くウクライナ軍の砲撃 ―惨状を徹底的に無視するアムネスティ―


ウクライナ新政府、国民への空爆を止めず


ウクライナについては、当時、連日のように中央政府を非難する記事を私は書いていました。
現在、内線は一応、停戦状態ですが、それでも衝突はありますし、
日本がウクライナに多額の経済支援を行っていることも見逃せません。


北朝鮮の人工衛星発射や水爆事件はルール違反かもしれませんが、人は殺していません。
他方で、ウクライナ軍の砲撃と空爆は、自国の国民を無差別に攻撃、死傷させたものです。

どちらがより残忍な行為かは子供でもわかることでしょう。


佐藤氏の本を読み、私は、
まだ2年も経っていない事件がこうまで都合よく歪曲されるのかと戦慄を覚えました。

こうして現代史が巧妙に塗り替えられていくとすれば、これは本当に恐ろしいことです。

「マスコミに載らない海外記事」さんが最近、挙げた記事に次のようなものがありました。

 連中が我々を洗脳する手法

 向こうの洗脳もなかなかだが、日本においては、産経や文春は言うに及ばず、
 私たちが本来、知識の助けとしてすがることが出来るはずの左派系出版社が重要な役目を負う。

 つまり、ほとんどの左翼は文春や産経の書くことは信じないし、見破る目も持っているが、
 岩波書店のような老舗の学術出版から発信された情報の目利きには非常に弱いのです。

 ましてや岩波新書は『沖縄ノート』、『従軍慰安婦』など、
 現在、あるいは過去に右翼によって攻撃を受け、裁判にもなった本を生み出してきました。

『プーチンとG8の終焉』はその信頼を大きく傷つけるものとなったのではないでしょうか?

 この本に限ったことでなく、先日、出版された『香港 中国と向き合う自由都市』といい、
 アラブの春や雨傘革命を全肯定し、非欧米圏の政府を糾弾する。こういう動きがあるように感じます。

 日本の左翼は愛国という言葉には強いのに、民主化という言葉には実に弱い。
 本日、ミャンマーのスーチー氏が国家顧問(事実上の元首)になる法案が下院で可決されたそうです。

大統領や両院よりも力のある国家顧問になることについて軍部から三権分立の侵害と批判されていますが、
これも長年続いていた軍政を引き合いに軍部→独裁、スーチー→民主主義という印象操作がされるのでしょう。

なお、バラク・オバマもアウンサン・スーチーもノーベル平和賞受賞者です。

米韓合同軍事演習とは何か1

2016-04-05 00:08:00 | 北朝鮮
毎年、批判にさらされながらも、日本では問題ないとみなされてきた米韓合同軍事演習。
皮肉なことだが、北朝鮮が強い反応(水爆実験)を示してようやく言及されるようになった。


とはいえ、これが朝鮮半島の情勢を不安定化させる極めて危険な行為だと非難する声は小さく、
全体を通してみると、むしろ北朝鮮の「挑発」に対抗して実施された強硬な対抗策とみなされている。


そこで、この米韓合同軍事演習(キー・リゾルブ、フォール・イーグル)とは
どういう「演習」なのかを本記事で取り上げてみたいと思う。

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〈そこが知りたいQ&A〉米南軍事演習の危険な中身とは?


国際法に違反、先制攻撃を想定した実戦訓練

米軍と南朝鮮軍が「キー・リゾルブ」「フォール・イーグル16」
合同軍事演習を開始したことで、朝鮮半島の軍事的緊張が高まっている。
「過去最大規模」とけん伝されている合同軍事演習の内容をQ&Aでまとめた。


Q. 今回の合同軍事演習はどれほどの規模で行われているのか。

軍事演習は3月7日に始まり、4月30日まで行われる。
米南両軍が毎年この時期に行う合同軍事演習は、指揮系統を確認する増援演習の「キー・リゾルブ」と、
米南両軍の海兵隊による上陸演習「フォール・イーグル」から成る。


今回の合同軍事演習には、米軍が前年比2倍にあたる1万7000人、南朝鮮軍が同1.7倍の30万人が参加している。
射距離1200~2500kmのトマホーク巡航ミサイルなどを搭載した攻撃型原子力潜水艦ノースカロライナや、
ステルス戦闘機F22、ステルス戦略爆撃機B2など最新鋭の戦略兵器が投入されているという。

~中略~

今回の合同軍事演習はその規模もさることながら、
例年に比べてより侵略的な軍事行動が実施されている。



これまでの米南軍の海兵隊による合同軍事演習は、
北側の海岸を想定した上陸作戦が中心となっていたが、
今回の演習では上陸後さらに内陸部の軍事施設に進むための訓練が強化されているという。

12日、浦項一帯の海岸での上陸および内陸への進撃訓練「双竜訓練」がメディアに公開された。
朝鮮が「平壌進撃作戦」と見なす今回の「双竜訓練」には、
米南に加えてオーストラリア、ニュージーランドの海軍、
海兵隊約1万9000人が参加。同種の訓練としてはこれまでで最大規模だという。


Q. 合同軍事演習には昨年策定された新作戦計画「5015」が初めて適用されるという。その内容とは。

「作戦計画5015」とは、朝鮮が核・ミサイルを発射する兆候を確認した場合、
 朝鮮国内の核・ミサイル施設をピンポイントで破壊する先制攻撃作戦だ。

その柱として朝鮮の首脳部を狙った「斬首作戦」がある。
核・ミサイルの発射命令の権限を握る朝鮮の最高指導者を暗殺する内容だ。


「斬首作戦」には、イラク戦争やアフガニスタン侵攻の際に敵の要人を暗殺する作戦に従事していたとされる
Navy SEALs(ネイビーシールズ)や第1空輸特戦団、第75レンジャー連隊などの特殊部隊が参加すると言われている。
これらの部隊は、合同軍事演習が始まる前の2月上旬にすでに南朝鮮に派遣されたと報じられた。



Q. 米南は年次的な「防衛訓練」だと説明しているが。


主権国家の首脳部を狙った「斬首作戦」を公言しながら
実働部隊を展開する訓練が「防衛」目的ではないのは明らかだ。


作戦計画「5015」の遂行は、
「演習」という名の下の侵略戦争そのものであり、国連憲章にも反する。

米南は朝鮮が核・ミサイルを発射する兆候を確認した場合、先制攻撃するとしているが、
その判断基準は米国にある。朝鮮が武力行使をしなくても攻撃するということは
事実上、予防戦争を想定しているということだ。

予防戦争とは、差し迫った危険性がなくても、
将来的に脅威となる可能性のある潜在敵国に対して先制攻撃し、敵の攻撃を未然に阻止するものだ。
きわめて積極的な攻撃意思を有した、侵略戦争の一種といえる。

米国が「大量破壊兵器の脅威」に関する虚偽の情報を口実にして侵攻を開始したイラク戦争が代表例だ。

米国主導のイラク戦争が明白な国連憲章違反、国際法違反であることは周知の事実だが、
同様の違法行為が今、朝鮮半島で行われている。


また、北への軍事制圧訓練に
日本にある米軍基地から米軍が参加していること自体、
憲法9条に違反する行為だ。



作戦計画「5015」に基づく先制攻撃訓練がいつ実戦に移行しないとも限らない。
実際に演習には、有事の際に一定期間の戦闘能力を有する海上事前集積船団(MPSS)が投入されているという。
MPSSは、戦車と装甲車、弾薬など戦争に必要なすべての装備を搭載する、一種の軍需司令部だ。

さらに米南両軍は今回の演習で、
有事の際に米軍の増員戦力を朝鮮半島に迅速に展開することにも焦点を当てるという。



Q. 合同軍事演習の実施によって、朝鮮半島の緊張が高まっている。

侵略的な軍事行動によって核戦争を挑発しているのは米南だ。

「斬首作戦」のような武力による威嚇は、最高指導者を国家の「最高尊厳」として
重んじる朝鮮が強い反発を示すのは必至であり、結果として軍事的緊張が激化する。

米南は今回の合同軍事演習を「過去最大」だとけん伝し、
核攻撃手段が大挙投入された戦争演習の場面をメディアを通じて拡散させることで人々の不安を煽っている。

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北朝鮮は、最近、ノドンなどの中・短距離弾道ミサイルを発射することで
アメリカや韓国に警告を発しているが、なお、米韓は気にも留めず演習に固執している。


なぜ彼らは、それほど演習にこだわるのだろうか?
その答えを知るためには、評論家の朴斗鎮氏の意見が参考になる。


基本的に、彼の意見は米韓日首脳部の意向をそのまま伝えたものなので、その主張を聞くことで
アメリカや韓国がなぜ執拗に米韓合同軍事演習を行うか、その理由がハッキリしてくると思う。




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米国や韓国との連携も強めていく。人権問題として、北朝鮮追及の国際化をはかる。
北朝鮮は今、国連の追及で防戦に必死じゃないですか。

米韓軍事演習も圧力になっています。

軍事演習をすると、北朝鮮もそれに合わせて、軍隊を動かさなければいけない。
演習は3月と8月ですから、田植えの準備と刈り入れのときです。この圧力はキツイ。

国際的な圧力を高めれば、外貨が枯渇し、内紛の火種になっていく。
こうやって、相手の政治的権威を揺さぶるんです。そうしないと相手は脅威を感じない。
餓死者が何万人出たところで、眉毛ひとつ動かさないような国ですからね。
しかし、トップの権威が揺らぐと、あの国は意外にもろいんです。


今の安倍首相は欲と過信で判断が甘い

――小泉訪朝で拉致を認めたときもブッシュ大統領が徹底的に悪の枢軸として叩いたときでしたね。

1976年、ポプラ事件という米朝が一触即発の事件がありました。
板門店の共同警備区域で視界を妨げるポプラの木を切ろうとした国連軍の米兵が殺され、
韓国兵も負傷し、緊張が高まりました。この時、米・韓軍が臨戦態勢を敷いたら金日成が謝ってきた。
歴史に学ばなければいけません。

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/154599/7
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江華島事件【こうかとうじけん】

明治8年(1875)、日本の軍艦雲揚号が江華島付近で挑発行為をし、江華島砲台と交戦した事件。
これを機に日本は朝鮮に開国を強要し、翌年日朝修好条規(江華島条約)を結んだ


1875年9月,日本の軍艦雲揚号が朝鮮の江華島付近に進入,砲撃され,これに対し砲台を撃破した事件。
これを理由として維新後間もない明治政府は,欧米列強にならうやり方で朝鮮政府に迫り,
鎖国政策をやめさせ,1876年2月,不平等条約である日朝修好条規を結ばせ,朝鮮半島侵略のてがかりを得た。

(https://kotobank.jp/word/%E6%B1%9F%E8%8F%AF%E5%B3%B6%E4%BA%8B%E4%BB%B6-61628)


要するに米韓合同軍事演習は
北朝鮮の攻撃を誘うパフォーマンスなのである。



辞書によれば、挑発とは
相手を刺激して、事件や欲情などを起こすようにしむけること」らしい。

ポプラ事件は未遂に終わった江華島事件にすぎない。
北朝鮮の攻撃を誘い、いざ事件に発展すれば、すかさず、侵略を開始しようとする。
これが向こうの策略であり、挑発としか言いようのない行為である。


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朝鮮の外相は核戦力の強化は米国との戦争を防止するための手段と呼んだ。

朝鮮の政治家は、ワシントンが真剣に戦争の準備をしており、
そのために南朝鮮に弾道弾迎撃ミサイルシステムであるTHAADを配備したがっていると考えている。

朝鮮当局者たちは核問題に関して交渉の用意があると言明しているが、
米国は様々な予備条件を持ち出すことで二国間対話の開始を妨げていると信じている。

朝鮮が米国が嘘をついていると非難しているが、それは、
米国側が朝鮮半島での戦争演習を中止するならばその見返りに
朝鮮側は核実験を一時中断する措置を講じるとする提案を米国が拒絶したからだ。


「今の状況は朝鮮の指導部を悩ませている。
それは、過去1年半の間に有益な対話を進めようとする彼等のあらゆる試みが
無視、拒否された事実と関係がある。にも拘わらず、朝鮮側は米、日、南朝鮮など
すべての関係国に対し幾多の事態打開のための実践的な試みを行ってきた」

-ロシア科学院・朝鮮・モンゴル部のアレクサンドル・ボロンツォフ部長はこう述べている。

ボロンツォフ氏によると、朝鮮への米国の侵略的意図を示すさらなる証拠は、
1月のバラク・オバマのユー・チューブとのインタビューだった。

1月22日、彼(オバマ)は北朝鮮を崩壊させ、
 南朝鮮に吸収させるのが米国の政策であると明言した。

 北朝鮮の人々は米国の侵略的政策は上辺だけのものではないと言う。
 朝鮮側に残された選択肢は、核抑止力の強化に主眼をおいた防衛力向上の集中以外にない」

この専門家はさらに言う。

米国としては、
この地域での弾道弾ミサイル防衛システム構築を正当化するために朝鮮を悪魔化する必要がある。

これは軍事専門家たちに言わせれば、実際にはロシアと中国を標的にしたものだが、
朝鮮にとっては米国の行動は朝鮮半島における核の圧力を増大させるだけである。

制裁、孤立化の圧力強化と朝鮮の核能力強化は正の相関関係にあることは明白だ。

http://chosonsinbo.com/jp/2015/06/sk616-7/
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上の記事は2015年の6月に書かれたものだ。
つまり、今まで何度も継続して北朝鮮は平和条約の締結を提言してきたのに、
それにも関わらず、アメリカと韓国は無視を決め込み、挑発行為を続けてきた。


これが北朝鮮の攻撃を誘うものであることは朴斗鎮のコメントからも伺える。
そういう意味では、北朝鮮の水爆実験は向こうの狙い通りの行為だったとも言えよう。


 ちなみに彼は産経新聞主催、櫻井よし子が音頭を取る講演会に招かれ、
 講演料をたんまり頂きながら、連中と一緒になって韓国の反日(笑)行為を非難している。

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近年の韓国政府による歴史認識に根ざした反日行動は度を超していると言わざるを得ません。
天皇への不敬発言然り、「竹島」問題然り、所謂「従軍慰安婦」問題に関する国際社会への喧伝然り、
五輪開催地決定直前の禁輸措置然り、朴政権による安倍政権への悪口雑言然り
―これらは到底看過できるものではありません。

韓国がこのままアプリオリに反日一色に染まった振る舞いを継続すれば、
日韓関係のみならず韓国の国益をも大きく損なうことに気づくべきでしょう。

我が国も自虐的歴史認識による従来の日韓外交の立て直しが必須であることは言うまでもありません。
最近になって韓国国内からも朴政権の反日姿勢に対する疑問の声が上がっているとはいえ、
我が国は今こそ「韓国」の国柄を再考し、
確かな認識の下で今後の日韓関係の在り方を模索する時ではないかと考えます。

http://www.jfss.gr.jp/shinpujum/symposium30kai/20140131a.htm
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朴斗鎮は沖縄の米軍基地も「気の毒だが必要」と述べているし、
韓国市民による日本の戦争責任を追及するのも北朝鮮の思想にかぶれたからだと語っている。

悪いのは全部、北朝鮮と中国。これが氏の基本的なスタンスだ。

こういう妄言としか言いようのない発言を繰り返す老人が極右評論家と仲良く
産経主催のシンポジウムで御高説を垂れ、講演料を頂いているのは、ある意味自然で必然なことだ。

問題は、こういう人物に北朝鮮を攻撃する本を書かせる左派系出版社だろう。

揺れる北朝鮮

上の本は「自由な発想で同時代をとらえる」つもりになっている左派系出版社、
花伝社から最近、売り出された可燃ゴミだが、同書では当然、米韓の挑発行為には一切触れていない。

金正恩が政権を握ってから、北朝鮮の経済、食糧事情が飛躍的に改善されたのは
専門家なら誰もが知っている事実であるが、これを朴はアメリカのCIAと関わりのあるNEDという組織
から資金援助を受けているデイリーNKというサイトの情報をもとに、否定しようと躍起になっている。

要するに、産経新聞に載っていそうな文章を左派系出版社が発信しているのが今の日本というわけだ。
(なお、同じく左派系出版社の大月書店からも類書が出版されている)


歴史問題に固執せず米韓日の軍事同盟を強化せよとか
沖縄の米軍基地は必要だとか、韓国の反日行為は冷戦後、韓国市民が
反共を忘れたことで北朝鮮の主体思想の影響を受けるようになったからだとか
その辺の右翼よりもクレイジーな陰謀論と帝国主義的策略を述べるこの男に本を書かせる。

これが今の左派系出版社のありのままの姿である。

差別主義者や軍国主義者と握手をしながら平和と共存を叫ぶ。
こういう連中の何を信じればいいと言うのだろう?
(そういう意味では鳩山由紀夫元首相や孫崎享氏の語る東アジア共同体論も、
 北朝鮮を生贄にした平和論であると言える。)


日本の右傾化は左翼の右傾化だ。
護憲派が米韓合同軍事演習を違憲として訴えたことがあったかどうか考えてみてほしい。

私が今の日本の平和運動を非常に偽物くさく感じているのは、
その思想の根底にある矛盾を直に感じ取るからである。

つまり、戦争をする国にして良いのかと騒ぐわりには
戦争を起こそうとする行為に対して強い拒否反応を示さない。


こういうのは反戦ではなく、厭戦というものだと言えよう。
(よそで好きにやってくれ、巻き込まないでくれというスタンス)


今回の記事では長くなるため触れなかったが、米韓合同軍事演習は、
実のところ、冷戦時代から続いているもので、その起点は1957年の在韓米軍の核武装化にある。

この点を朝日新聞は完全に無視をして、米韓合同軍事演習は北朝鮮の水爆実験に起因するもので、
自業自得なのだと社説でほざいている。朝日といい花伝社といい、リベラルのイメージをふりまいて
良心的な人物をだまし、購買意欲を誘う合法詐欺集団は、総じて痴呆症にかかっているのではないだろうか?


歴史的に米韓合同軍事演習はアメリカの核威嚇とセットになって展開されてきた。
これについて、おあつらえの記事が2本あるのだが分量があるのでそれらは次回で紹介することにしたい。

北朝鮮はなぜ核を持とうとするのか

2016-04-01 00:36:27 | 北朝鮮
前回の記事では北朝鮮が核を保有する前からアメリカの先制攻撃の対象とされていたこと、
その先制攻撃には核兵器の使用も含まれていることに触れたのだが、つい最近、
この問題について北朝鮮の外相がロシアのメディアであるタス通信社の同様の質問、
つまり、なぜ北朝鮮が核を保有しようとするのかについて回答をしたので、以下に紹介したい。


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朝鮮外相 タス通信社編集局長の質問に回答

【平壌3月29日発朝鮮中央通信】

李洙墉外相は、朝鮮半島に生じた現情勢に対処するわれわれの立場に関連して
29日、ロシア・タス通信社編集局長が提起した質問に次のように答えた。


米国の極端な対朝鮮敵視政策と核脅威は、
朝鮮半島情勢の激化とわれわれの核抑止力強化を生じさせた根源である。

米国は、われわれが核を保有する久しい前から
われわれに核脅威をしつこく加えてきた
し、核先制攻撃を政策化し
それを実践に移すための核戦争演習を絶え間なく行ってきた。

米国は、過去の朝鮮戦争の時期にすでに、われわれに核攻撃を加えようと画策し、
早くも1950年代から南朝鮮に膨大な核兵器を搬入して
われわれを脅かし、恐喝した。


米国のブッシュ行政府は、わが共和国を「悪の枢軸」、
核先制攻撃の対象に指定し、このような政策は今も変わらず持続している。



オバマ行政府が2010年4月、
いわゆる核不使用の対象からわれわれを除いた事実と、
今も数多くの核攻撃装備を南朝鮮に送り込んで合同軍事演習を行いながら
われわれに対する先制攻撃を公言している
のが、それをはっきり実証している。


米国が、自国が保有したすべての戦略核打撃手段を朝鮮半島地域に総集中して
われわれを狙った核攻撃演習を行っているような深刻かつ現実的な核脅威を、
世界のどの国も、どの時期にも受けたことがない。

核でわれわれを脅かす米国に、核で立ち向かうのはあまりにも当然なことである。

米国があくまで核でわれわれを圧殺しようとしたため、
これに対処してわれわれは自主権と民族の生存権のために
不可避に核保有の道を選ぶことになったのである。



米国こそ、われわれが核保有へ進むようにした張本人であり、
過去数十年間、毎日のように強行されている米国の核脅威・恐喝は、
われわれを核保有国につくった基本要因であった。


世界唯一の核兵器使用国、最大の核保有国である
米国の恒常的な核脅威と戦争挑発策動に立ち向かうための唯一の方途は、
核戦力の強化による力のバランスを取ることだけである。



われわれには、米国が願ういかなる形態の戦争方式にもすべて対応できる強大な軍事力がある。
われわれは、弾道ロケットに装着できるように小型化、軽量化した核弾頭を実物で公開し、
大陸間弾道ロケットの大気圏再進入能力も見せた。

われわれは、米国の無分別な敵視策動と露骨な核脅威に対処して、
核戦力を中枢とする国家的防衛力をいっそう強化していくであろう。

今後、わが核戦力の発展速度は米国の行動いかんと
われわれを見る視覚の変化によって左右されるであろう。


今米国は、われわれの度重なる警告にもかかわらず、
南朝鮮全域でわが共和国に反対する歴代最大規模の「キー・リゾルブ」
「フォール・イーグル16」合同軍事演習をヒステリックに行っている。


数十万の膨大な兵力と各種の核戦略資産が総投入された今回の戦争演習は、
われわれに対する核先制攻撃はもちろん、最高首脳部と「体制転覆」を狙った
「斬首作戦」まで実行する実動的な戦争遂行方式で強行されている。


米国は、今回の合同軍事演習が北侵戦争の現実性を最終的に検討するものだということを
はばかることなく明らかにして、今まで表面上「定例的」「防御的」と正当化していた
欺まん的で破廉恥な看板さえ完全に投げ捨てた。


米国が、われわれを狙った各種の軍事的奇襲打撃をすべて想定した
実動訓練を行って先制打撃を既定事実化していることによって、
今にでも戦争が起こりかねないのが朝鮮半島の現情勢である。

われわれが目の前に迫ってきた米国の侵略脅威を
絶対に袖手傍観できないということは、あまりにも明白なことである。


われわれは、米国の核戦争狂気に対処してわが軍隊の軍事的対応方式を
先制攻撃的な方式にすべて転換し、断固たる核先制攻撃意志を明らかにした。

一言で言って、こんにちの朝鮮半島は核戦争か、平和かという岐路に立っている。
朝鮮半島に生じた極度に先鋭な現情勢は前例のないものであり、
これに対して貴国(ロシア)を含む全世界が大きな憂慮と不安を抱いて注視している。

朝鮮半島で日増しに深刻になっている緊張激化の悪循環を防ぎ、
戦争の危険を取り除いて平和と安全を保障するには、現れた現象だけ見るのではなく、
その根源を正しく見て根源治療のための対策から講じるべきであろう。


朝鮮半島と地域の平和と安定を願うすべての国は、
世界支配のための戦略的中心をアジア太平洋地域へ回し、
われわれを第1次的な攻撃目標にしている米国の策動に警戒心を持って対し、
それを防ぐための当然な努力を傾けるべきであろう。---

http://www.kcna.kp/kcna.user.article.retrieveNewsViewInfoList.kcmsf#this
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客観的に言って、北朝鮮はアメリカと韓国の軍事的挑発に対して
これ以上の挑発を行うのであれば、攻撃もありえると警告をしているのだが、
これも大国のメディア(ロシアや中国も含む)では威嚇脅しと表現されている。

他方で、アフリカや東欧、アジア、中東の小国では北朝鮮に同情的な声も多い。
北朝鮮が孤立しているように見えるのは、
周りを中国、ロシア、日本、アメリカと大国にぐるりと囲まれているからだと思われる。

北朝鮮は10年以上前から一貫して、平和条約の締結と
米韓合同軍事演習の中断を条件に自国の核開発を取りやめることを提言している。


北朝鮮の核開発を中断させるには、アメリカの北朝鮮に対する敵視政策を止めさせ、
北朝鮮がアメリカに攻撃されることがないという安心感を得させなければならない。

そのためにはロシアや中国なども有事には
北朝鮮に向かい、友軍となるということを約束しなければならないだろう。

少なくとも、北朝鮮の武装だけ解除して、
アメリカの兵器開発、特に核開発はそのままにさせるというのでは話を聞いてもらえるわけがない。

(北朝鮮のような経済的に影響力のない国は
 リビアやイラクのように外国に滅ぼされる危険が常に伴っていることを忘れてほしくない)

加えて、この10年以上、北朝鮮の提言に聞く耳を持たず挑発的な軍事演習を毎年実施し、
核開発とミサイル実験に勤しんでいたのはアメリカなのだが、
なぜかこの点は一切、無視され、お咎めを受けることがない。


日本では、核先制攻撃を含む軍事演習は「例年どおりのものだから問題ない」と言われてきた。
例えば、朝日新聞社の記者だった田岡俊次氏は合同軍事演習を見学しながらも、
全く問題がない、危険なものではないと断定している。


アメリカの言い分をそっくりそのまま伝えるしか能がないクズ記者しかこの国にはいないのだろうか?
思えば、記者クラブ制度など、事実上の御用メディアとしか機能していないこの国のマス・メディアが
海外ニュースに限って、政府の意向に逆らうような報道をするはずがない。問題はその他の人間だ。


この国には北朝鮮の専門家がいないのだろうかと不安に思う時がある。
仮にいるとすれば、普段どこで何をしているのだろうか?

ロシアや中国では、北朝鮮に対してフォローする人間とそうでない人間がいて、
彼らはどちらも等しく発言の機会を与えられている。アメリカでさえ著名な人物、
例えば、ノーム・チョムスキー氏やブルース・カミングス氏のように、
内政には否定的ながらも外交の面では北朝鮮の主張に賛意し、擁護的発言をする人物がいる。


北朝鮮に対して擁護する者も非難する者も共通見解として、
アメリカの帝国主義的な行為がそもそもの発端なのだという意識があるように感じる。
それは、ロシア政府や中国政府の発言からも伺える。

対して、日本では、ブログやツィッターのような個人が用いる極めて小さなメディアでしか
北朝鮮の発言や主張、それを取り巻く状況を踏まえた上で見解を述べることが出来ない。

発言の自由はあるが、それは口をパクパク動かしても逮捕されない程度でしかない。
そのような有っても無くてもさして変わらない自由なら、どこの国でも十分に保障されている。