時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

イギリスのEU離脱、何が問題なのか

2016-06-28 00:18:42 | 欧米
普段は政治に興味がなさそうな人たちまでイギリスのEU離脱について話をしている。
今回の国民投票の結果が、それだけ世界的な関心を引いているということなのだろう。


ところが、イギリスがEUから離脱して何が問題になるのかというい点については、
これといった説明がされていないように感じる。

どちらかと言えば、世界中で経済が悪化するぞという声ばかりが喧伝されていて、
実際にはどうなのか、何が問題なのかという点については丁寧に語られてはいない。


そういうなかで、次の人民網の記事は比較的、状況をよく説明してくれている良記事だと感じた。



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まずはっきりさせておかなければならないのは、いわゆる「英国のEU離脱」とは、
もちろん「地理的」な離脱ではなく、「政治的」な意味合いでEUと袂を分かつことを意味している。


経済のグローバル化という背景のもと、英国がEUを離脱してしまうと、
それによって生じるバタフライ効果(極めて仔細なことが諸々の変化を誘発して大きな変化をもたらすこと)は、
疑いもなく世界金融市場に大きな衝撃をもたらす
ことが予想される。


~中略~



中国がまず衝撃を受けるのは、人民元相場だろう。

世界の主要国際金融センターであるロンドンは、
人民元にとってアジア以外の最重要取引市場のひとつとなっており、
人民元の国際化戦略を進める上での重要な鍵を握っている。



人民元の国際化は、中国が以前から掲げている努力目標である。
人民元の国際化によって、
中国が人民元建て債券を発行し、外貨への依存から抜け出すことが可能となり、
さらには世界金融に対する影響力を備えた本当の金融大国となることが可能だ。

英国のEU離脱が決定すれば、
ロンドンがこれからも人民元の国際化のための重要拠点であり続けるどうかは、きわめて疑わしい。


盤古シンクタンク・マクロ経済研究センターの張明シニア・アナリストは、
「長期的な視点で見た場合、英金融業が直面する衝撃は、人民元の国際化プロセスにも影響を及ぼすであろう。
 欧州統一大市場において、欧州で最も重要な人民元オフショアセンターである
 ロンドンの地位が凋落することは、人民元オフショア市場の発展のマイナス要因となるだろう」
との見方を示した。

英国のEU離脱が決まれば、英ポンドとユーロが下がり、
さらには市場のリスク・アペタイト(リスク許容度)がダメージを受け、
ドル高を推し進めることになり、対ドル人民元レートは大きな圧力にさらされることになる。

http://j.people.com.cn/n3/2016/0623/c94476-9076526.html

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つまり、イギリスの通貨の価値が下がることをはじめとした、
金融不安を世界的に引き起こす危険性があるという意味で重大な事件だと言える。



では、なぜイギリス国民の半数が離脱を希望するようになったかというと、
EU経済の低下の影響をイギリスがモロに受けているから
に他ならない。


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中国人民大学財政金融学院の趙錫軍副院長の説明によると、
「英国国内では多くの人が、
 EUは英国の発展にいささかのメリットももたらさなかっただけでなく、
 英国の権利を制限し、英国経済に(マイナスの)影響を与えたと考えている」という。


英国のEU離脱派は、EUは米国、中国、インドなどの重要エコノミーと自由貿易関係を樹立しておらず、
英国とこうした国々との貿易が影響を受けている。


EU経済の長期的な低迷が英国・EU間貿易の発展にとてマイナスになっており、
英国は新たな貿易市場を開拓する必要に迫られている
、との見方を示す。


さらに離脱派は、EU離脱による資本の流出はないとしている。

これについて、中国人民大学重陽金融研究院マクロ研究部の賈晋京部長は、
「最終的な結果がEU離脱なら、最も重要な集中的打撃は際金融市場の
 短期的な動揺の中に出現することになり、最も大きな影響を受けるのはEUだ。
 だが長期的には英国にそれほど大きな影響は与えない」
との見方を示す。

また賈部長は、
「英国経済は、一種のポンド経済と呼べるもので、
 これまでに蓄積してきた金融ネットワークと関わりがある。
 英国は現在、EUに加盟するが、ユーロ圏のメンバーではない。
 さらにEU離脱はEUとの決裂を意味しない。

 英国がEUにとどまろうととどまるまいと、
 国際金融市場における英国の地位にはそれほど影響を与えず、
 マクロ的な影響も外部で考えられているほど大きくはない。

 最近、ポンドが国民投票の影響で急激に上下しているが、
 次の一手が決まれば、影響は徐々に薄れていくだろう」と述べた。

http://j.people.com.cn/n3/2016/0623/c94476-9076089.html
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EUの基本的な考えは「人とモノの自由な移動」であり、
それは現在でも論議の最中であるTPPに通じるものがある。


当然、このシステムは他国がもたらしたマイナス要素を自国が背負うことを意味し、
ウクライナやトルコのような途上国が参加を目指す場合はともかくとして、
世界第5位の経済大国であるイギリスにとっては負担もまた馬鹿にならなかったのである。

(同様の理由で、アメリカでもTPPに反対する声が労働者を中心として多く存在する)



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新しい調査によって、
360万人のイギリス市民が、
慢性的な貧困に陥っていることが明らかになりました。


プレスTVの報告によりますと、16日月曜、イギリスの国家統計局により報告書が公表されて、
近年3人に少なくとも一人のイギリス人が、貧困生活を経験したと報告されています。

この報告書ではまた、イギリスの貧困は近年収入の減少に関連しているとされています。

更に同国の貧困率は、2013年の15、9%から2014年には16、8%に増加しています。


http://parstoday.com/ja/news/world-i8554
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もっとも、これはEUに加盟したばかりに起きた事態だとは一概には言えない。
あわせて次の記事も読んでみよう。



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新たな調査の結果、イギリスで子供の貧困が拡大していることがわかっています。

プレスTVによりますと、イギリス・ロンドンの調査機関フィスカル・スタディーズは、
時間の経過とともに、イギリスにおける子供の貧困率が上昇していると発表しました。

フィスカル・スタディーズはまた、
イギリスの政府の支援金の削減と増税は、子供の貧困が拡大している主な要因だとしました。


この報告によりますと、イギリス政府の5人以上の家族に対する支援金の削減と増税により、
このような家族は、最大限の打撃を受けており、
貧困ライン以下の生活を送る子供の数が増えている
ということです。

フィスカル・スタディーズは、貧困層の子供の数は、
2020年から2021年までに、260万人に達すると予想しました。


およそ2ヶ月前にも、イギリスのキャメロン首相は、イギリス社会における貧困を認め、
これに関する措置は行われているが、貧困問題は深刻で、これまでに解決できていないとしました。

イギリス労働党の調査の結果から、6万9千世帯が貧困層となっており、
これは2008年以来最悪の数字だということが明らかになっています。


http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/62753-
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このようにイギリス政府の福祉を削減し税を増やすという
新自由主義的な政策が経済の低迷と貧困問題の悪化をもたらした。



加えて、アメリカやフランスといった他国も含めた離脱派の多くが極端な国家主義者であり、
移民に対する差別的発言を堂々と行っている点も見逃せない。



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ジョンソン氏は、
移民の増大によって、英国人の生活に数々の不安がもたらされると煽り、
離脱のデメリットを強調する政府や経済界のやり方を「プロジェクトフィアー(恐怖作戦)」だと猛批判した。


その過激な発言によって、ジョンソン氏は、
「髪型がまだましなドナルド・トランプ」と、残留派のメディアから揶揄されるようになった。


だが、ジョンソン氏は、ただのポピュリストではない。
筆者はかつて学生とともに、ジョンソン氏がロンドン市長として実施していた
アプレンティスシップ・プログラム(徒弟制度をモデルにした職人養成制度)などの
雇用・職業訓練政策を視察に行ったことがある(第43回)。


前述の通り、規制緩和・構造改革への理解もあり、優れた実務家の側面を持っている。
また、「結果良ければすべてよし」という現実主義者でもある
(JBpress「髪の毛ボサボサの人気者が書いたチャーチル論」)。


EU離脱への支持は、ただ首相になりたいだけの後先考えない行動ではないだろう。
ジョンソン氏なりの勝算があるはずと考えるべきだ。


http://diamond.jp/articles/print/93364
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上の記事で重要なのは離脱派が、
景気の低迷の原因が欧米に蔓延する過剰な自由主義にある点を認めながらも、
自由主義の原則自体には肯定的で、規制緩和・構造改革などの生存権を脅かす政策に同意していることだろう。



実際、日本を例にしても90年代以降の新自由主義の導入に伴って、
人やモノレベルの規制緩和により、雇用の不安定化と極端な物価の低下あるいは上昇によって
生活に苦しみを感じる人間が増大した。最近のアベノミクスはその典型的な例である。

(自民党の支持者ですら、その成功は否定している。
 そのくせ自民党に票を入れようとするのだから、なんともいえず滑稽なのだが)



社会に対する不安や生活の悪化自体は右も左も感じていることで、
両者を区別するのは、その原因が何かということに他ならない。




一般的に左翼は生活悪化の原因を政府の大企業優先政策に見出す。
これに対して、右は異民族や他国が自国を害していると解釈している。



彼らの言い分によれば、移民を排除し、他国より政治的軍事的に優位なポジションに立つことで
新自由主義は極めてうまく機能するということになるらしいが、実際にはそんな保証はどこにもない。


そればかりか、おそらく世界で最も政治的軍事的経済的に独立している国家であろうアメリカを見ると、
国内における経済格差と飢餓、貧困率の高さは世界トップクラスであり、むしろ害にすらなり得る。


今回のEU離脱も短期的には大きな経済的混迷をもたらすことは必至と考える人間も少なくなく、
それゆえに、スコットランドなどの国内植民地とも言える地域の政府はイングランドの決定に反対している。


今回の事件を通して思うのは、
かつては左翼が貧困に苦しむ人間の支持を受けて政府に立ち向かっていたのだが、
冷戦が表面的には終結し、左翼が次々と自己批判に走り、結果、右翼と大差ないレベルに成り下がったために、
その役目を極端な国家主義者に譲らざるをえない状況になりつつある
ということだ。


イギリスの労働党やフランスの社会党は、
もはや左翼政党とは言えない左右混合政党になってしまっているし、
日本にしたところで、最大の野党は民進党であり、共産党や社民党ではない。


こういう右も左も大差なく、かつ左らしい左が主流の左翼と右翼によって駆逐されている中、
新たな勢力として浮上してきたのが、極端な国家主義を持つナショナリスト達なのだと思う。


彼らが気にしているのはシステムではなくプレイヤーであり、
本来なら上手に機能するはずのシステムを旧権力が独占していることで
台無しにしているという怒りを前面に押し出している。


もちろん、その根底には人種や民族に対する差別勘定があるわけだから、
金権政治に反対しながらも、その解決を移民やマイノリティの排除で達成できると勘違いしている。


橋下徹の大阪府政はその典型で、市役所の公務員や地方の政治家を悪役に仕立てる一方で、
非常に新自由主義な政策を強行し、結果、さらなる赤字と貧困をもたらしてしまった。

ところが、彼らの弁によれば、在日コリアンや生活保護者を主としたマイノリティが消えない限り、
成功は実現できないわけだから、反省するどころかさらに苛烈な差別政策をとることになる。


そういう政治が最も強力に出現した過去の事例がナチス・ドイツであることは言うまでもない。



私自身はTPPに反対する立場から、イギリスのEU離脱自体にはそれほど強く反対はしていない。
だが、今回の決定に関して言えば、これは生活が良くなるどころか、むしろ前よりも一層悪くなると考える。
(離脱派は経済政策を誰が行うかを気にしているのであり、経済政策そのものを疑ってはいないため)


長らく世界史の教科書では、全体主義の例としてドイツとソ連を挙げてきた。
それは暗にイギリスやフランス、アメリカは民主主義国家であり、
ヒトラーやスターリンが納めている国とは質的に違うと強調させる効果を生んだ。


実際には、全体主義国家は資本主義国家から発生する。
世界のほとんどが資本主義国家であることを思えば、今後、EUや日本において
この手のウルトラ・ナショナリズムが強大な力を得て政治を動かす日はそう遠くはない。


私たちが真に危惧すべきなのは、そのような他人にノーと言わせない、
政治的経済的に国民を総動員させる社会が到来するかもしれないということなのだ。




・追記

総じていえば、今回のイギリスの国民投票は

新自由主義VS反・新自由主義ではなく、
新自由主義VS新自由主義とでも言うべき対決構図だったのではないだろうか?


「何を」改めるべきかではなく、「誰を」改めるべきか。
 新自由主義を否定するのではなく、その不徹底を否定しているのではないだろうか?


ということを感じてしまった次第である。



「英国のEU離脱派は、EUは米国、中国、インドなどの
 重要エコノミーと自由貿易関係を樹立しておらず、英国とこうした国々との貿易が影響を受けている。」

「EU経済の長期的な低迷が英国・EU間貿易の発展にとてマイナスになっており、
 英国は新たな貿易市場を開拓する必要に迫られている」


これを素直に受け止めれば、自由主義(すなわち資本主義・市場主義)そのものの批判ではなく、
むしろ、それを妨害するものとして、EUが狙い撃ちされたような気がする。


EUから離脱することでイギリスが
シリアやイエメン、アフガンへの干渉をやめるかと言えば、それはないだろう。
この点を考えても、離脱派が言うほど立派な存在かと言えば、それはとても怪しく思えてくる。


ムスダンが発射されたわけではあるが

2016-06-22 22:59:17 | 北朝鮮

スプートニク紙の記事より。

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水曜日朝、北朝鮮は、またも中距離弾道ミサイル発射実験を行った。

韓国軍のデータでは、ミサイルのうち1発は、
150キロ飛行し空中で爆発、もう1発は、400キロ飛行後、日本海に落下した。


あらゆることから判断して、
6回目となる今回の発射実験は、多かれ少なかれ成功したと言ってよい。

中谷防衛相は、東京で記者団に対し
「中距離ミサイルにとって必要な一定の特徴を示すものだった」とし、次のように述べた―

「わが国の安全保障に影響を及ぼす事態は発生していない。
 弾道ミサイルの発射は、わが国を含む国際社会の安全保障上の重大な挑発行為で、
 断じて容認できない。」

中谷防衛相はまた
「ミサイルは、原則的に、日本に達することができるかどうか?」という質問に対して、これを認めた。

米国および韓国軍は、聯合ニュースの報道では、
今回の実験がどれほど成功裏になされたかを理解するため、現在ミサイル発射のデータを分析中だ。

報道によれば、今回飛行した400キロという距離は、
北朝鮮の中距離弾道ミサイルが到達できたものとしては、これまで最長である。

なお今回を含め北朝鮮は、全部で6回、中距離弾道ミサイル発射実験を行ってきたが、
これは、国連安全保障理事会決議に反するものだ。

http://jp.sputniknews.com/japan/20160622/2349852.html
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何をいまさら以外の言葉が見つからない。


北朝鮮が韓国や日本を攻撃できる中距離弾道ミサイルを所有しているのは前から知られていたことだ。

日本の安全保障を思えば真っ先に開発を中止してほしいのは
核兵器よりもこのムスダンを初めとした中距離弾道ミサイルであるはずなのに、
なぜかアメリカを攻撃するための長距離弾道ミサイルばかりが大騒ぎされている。



アメリカ本土の基地を攻撃するためにある長距離弾道ミサイルに対して
主流の右翼も左翼も「北朝鮮のミサイル開発はアジアの平和を乱す!」と吠える一方で、






実際に日本や韓国の米軍基地およびそれが所在する都市を攻撃するための
中距離弾道ミサイルに関しては、これといった批判を行わずポカーンとしてきたわけである。


こういう的外れの北朝鮮批判に対して私は結構、文句を言ってきたつもりだ。

今頃になってムスダンが取り上げられたのは、参院選を前にして自民党が
お得意の「北朝鮮の脅威」を武器にして支持を仰ごうとしているからだろう。

現に、今夜のNHKの各政党党首による放送演説では、
安倍が今日の実験を取り上げ、日米同盟の強化を力説していた。


脅威うんぬんを言えば、海外に軍を派遣し、
兵器を売りつけているアメリカやロシアのほうがよっぽど脅威である。


特にロシアは現在、北方領土に軍事施設を建設しようとしているし、
一部の島では軍事演習まで行われているのだが、これに対して政府も右翼もブチ切れない。

むしろ、今の政府はロシアとの親交を深めようとしている。
(ちなみにロシア政府は一貫して北方領土4島の返還は考えていないとの姿勢を見せている)


こういう点からも中国や北朝鮮が日本を攻めてくるというのは
単に軍拡を正当化するための口実であることがわかってくるのではないだろうか?
(現実的に最も軍事侵攻をする可能性が高いロシアに対しては全くといって良いほど危機感を有していない)



仮に日本が攻撃されるとすれば、それは前述したように
横田基地などの米軍基地に対する攻撃であり、とばっちりで周辺の都市も被害を被るかもしれない。

とするならば、アメリカとの軍事同盟の強化は逆に恒久的に日本国内に
ミサイルを当てるためのマトを作るようなものであり、とても建設的な意見とは思えない。


では、
そこまで北朝鮮は日本に対して敵対的なのかと言えば、先に述べたようにそのようなことはない。
米韓両政権に対する非難は毎日のように行っているが、日本に対しては特に何も言っていない。

むしろ、北朝鮮政府は幾度も日本や韓国、アメリカとの関係改善を求めてきた。
それを「脅迫外交」と名付けて無視してきたのはどこの誰だという話だ。

まーた古市憲寿が政府に尻尾を振りだした

2016-06-22 21:09:24 | マスコミ批判
古市憲寿は研究者ではない(&日本学術振興会は死んだ)

上の記事がなぜか多く読まれているようなので、
改めて自称若者の30代男性、古市憲寿氏について言及しようと思う。


彼に関しては

①修士論文を除いては、これといった実績を挙げておらず、
②その論文にしても皇族が設立した政治色の強い賞を受けており、
 はたして本当に公正な立場から評価されたのか非常に怪しくなるものであるのだが、

③なぜかメディアや政府に引っ張りだこにされており、
④しかも博士課程に在籍している学生であるにも関わらず、
⑤社会学者と紹介されている(一種の経歴詐称じゃないの?)


⑥田原総一朗が司会を務める朝ナマは小林よしのりや山野車輪といった
 元祖ネトウヨに発言権を与え、メディアへの露出の機会を与えてきたろくでもない番組だが、

⑦古市が目立つようになったきっかけもまさにこの朝ナマへの出演であり、

⑧加えて最近は自民党の稲田朋美のような極右政治家と親交を深め、

⑨「右翼も左翼も僕には響かない」とたそがれながら

⑩思いっきり反自民党の人間を攻撃している。

⑪今はギリギリ20代だから若者という記号を武器にできるけれど
⑫そのうちネタが尽きてきたら本格的に御用学者への道を歩みだすんじゃないだろうか?


ということを当サイトで述べてきた。

その予感は悲しいことに的中したようだ。
以下はリテラに掲載された水井多賀子氏の文章から引用したものである。

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党首討論の司会で露骨な安倍首相贔屓をした古市憲寿と読売・橋本五郎に非難殺到!
小沢、岡田攻撃もヒドすぎ


党首討論という公の場で、
橋本氏のような御用ジャーナリストが安倍総裁に代わって
野党を政策とはまったく関係のない話題で口撃し、肝心の政権の失策には目をつむる……。


こんな状態でまともな議論が行われるわけがない。

それは今週日曜日にニコニコ生放送で行われた党首討論も同じだ。
この党首討論では司会を社会学者の古市憲寿氏が務めたが、
そこでも古市氏は橋本氏と同様、くだらない野党攻撃を行っていた。


討論の真っ最中、古市氏は口を開くや否や、小沢代表にこんなことを言い出したのだ。

「僕、できれば小沢さんが再婚相手が見つかったかどうかちょっと訊いてみたいんですけど」

唐突なこの質問に、小沢氏も「え?」と絶句してフリーズ。
「それはきょうのテーマですか?」と冷静に古市氏に問うと、
古市氏は「興味があって。小沢さんが最近どうしているのかなあと思って」と返答した。


政策を問うでもなく、俎上に載せたのが再婚。
さすがにこれには批判が殺到したのか、
討論の最中に古市氏はスタッフに手渡されたお詫びの文面を
「これ俺、読んだほうがいいんですか? この通りに読んだほうがいいの?」などと言って渋々読み上げた。


しかし、古市氏は小沢代表にだけ無用な攻撃を行ったわけではない。
たとえば古市氏は、おおさか維新の会の松井一郎代表や新党改革の荒井広幸代表が
民進党批判を行うと、岡田代表に対して「自民党が攻められるかと思ったら、
岡田さんがさっきからずっと攻められていますよねえ」と発言。


共産党も社民党も同じように与党の政策の問題点を追及していたにもかかわらず、
まるで“与党よりも野党のほうが問題が多い”とミスリードするかのようだった。

その一方で、“質問・回答は30秒で行う”というルールのもとで行われているのに、
安倍首相が「おふたりから質問があったので30秒30秒に」と言い出すと、
古市氏は「じゃあ40秒くらいで」と甘い返答。


だいたい、街頭演説では一切、憲法改正に一言もふれていない安倍首相が、
自分の応援部隊であるネトサポ(自民党ネットサポーターズクラブ)をバックにつけた
ニコニコ生放送であるため大船に乗った気分だったのか、この日は改憲についても言及。


「どの条文が(改正すべきか)っていうことが決まってないんですから、
この選挙においてはどの条文を変えていこうということは議論できないと申し上げている」
などと選挙戦での争点隠しを開き直ったが、こうしたせっかくの議論も、
前述した「小沢再婚発言」のお詫びのせいで腰を折られてしまった。


だが、こうした事態になることは、最初からわかっていたようなものだ。
本サイトでは指摘しつづけているが、古市氏は2014年4月に
「第2期クールジャパン推進会議」の委員に選ばれたことを機に、
当時担当大臣の稲田朋美と急接近、昨年秋には稲田政調会長が仕切る自民党の勉強会
「歴史を学び未来を考える本部」にもオブザーバーとして起用されるなど、自民党と距離を縮めているのだ。


さらには、安倍政権と接近して以降、古市氏は著作『だから日本はズレている』(新潮社)で、
初出時にあった稲田氏を皮肉った記述を褒め言葉に改ざんしたり、
『誰も戦争を教えてくれなかった』(講談社)という著作の文庫化に際して、
タイトルを変更した上、歴史修正主義に寛容な言葉を付け加えたりと、
明らかに政権に気を使って自分の言論を後退させている。


そのような政権寄りの人物が党首討論の司会を務める。
政権に忖度するNHKが仕切る『日曜討論』も同様だが、その時点でまったくフェアではないのだ。

しかも嘆かわしいことに、
橋本氏のような御用ジャーナリスト、古市氏のような御用学者はごまんといる。

こうした人物がコメンテーターと称して政権を“補佐”し、
安倍政権の欺瞞に満ちた政策の問題点がメディアに取り上げられないまま、
参院選に突入しようとしているのだ。

http://lite-ra.com/2016/06/post-2358.html

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まぁ、予想通りの道を進んでいるかなと思う。


正直、私は古市氏自身はどこにでもいる右翼タレントで、さして興味はない。

関心があるのは、そういう人物を上野千鶴子や加藤典洋のような
恐らく左翼を自称しているであろう連中がやたらと持ち上げてスターにしてしまったことだ。


SEALDsの奥田氏も最近、自分の顔写真を表紙にした本を
河出書房というちょい左寄りの出版社から出していて、
どこの芸能人だよ」と呆れてしまったのだが、
何というか、左翼がしばしば20代の人間をアイドル化して
市民運動を活性化しようとする行為は、どこか商売くさくて好きになれないし、
赤木智弘氏のようにアイドル活動に失敗して消えた人間も少なくない。


田原総一朗のような人物が右翼の卵を応援するのは当たり前の行為であるが、
一応、左翼を自認しているはずの人間たちまで支援してしまったのは、
現在の日本のリベラル勢力の思想の浅はかさが露見されたように感じてしまうのだ。

実際、ロシア・トゥデイやリビア360やパルス・トゥデイやスプートニクなどの
海外メディアに登場する知識人たちの発言と我が国の主流左翼のそれとを比べると、
ウクライナ問題しかり、中東問題しかり、アジア問題しかり、レベルの差が歴然としている。


つまり、海外の学者や活動家の意見と比べると日本の主流左翼はほぼ右に見えてしまう。



よく選挙に行かない人の言い分として「支持政党がない」というのが挙げられるが、
日本の主流左翼もまた右翼と大差ない姿勢を見せてしまうために
大衆に信用されないという一面はどこかにあるのではないだろうか?


もちろん、そういう連中とは距離をおいて、
別の側面からアプローチをかけている傍流左翼は腐るほどいるのだが、
一般の人間が目にする左翼とは雑誌や新聞やテレビに露出している連中であり、
そうである以上、もう少ししっかりしてくれないと困ってしまう。


奥田氏は、あれだけのデモを敢行したのだから右傾化することはないと信じたいが、
あの古谷経衝氏と対談を設けたりとだんだんタレントくさくなっていて、少々不安になる。


今の論壇は完全にビジネス化しており、
それが日本の主流左翼の右傾化を引き起こす原因の一つだと思うが、
こういった既存のグループと手を切って独自に活動する青年活動家たちが
自然に(第三者に利用される形で宣伝されるのではなく)評価された時、
ようやく日本の右傾化に歯止めがかかるのではないかと思う。

サンダース氏、クリントンの手下になることを決意

2016-06-18 00:28:16 | 欧米
ここ数日、私はヒラリー・クリントンはオバマ政権下で非常に
帝国主義的かつ植民地主義的な外交政策を行ってきた女性であることを論じてきた。


サンダース氏、ヒラリーとサウジアラビアの関係を暴露

トランプとヒラリー、どちらがマシか


仮にこの老婆が大統領になったら、
オバマと同等かそれ以上に中東やアジアの平和が脅かされるに違いない。


それゆえに、私はヒラリーとトランプ、どちらかが大統領になるとすれば、
トランプのほうになってもらいたいと思っている。まぁ彼が大統領になることはないが。


トランプを推しているのはもう一つ理由がある。
それは彼が人種主義者であるがゆえに、非常に叩きやすい男であるということだ。


仮にヒラリーが大統領になったとすると、それはまぁ、確実に

「アメリカ史上初の女性大統領!」
「女性の権利獲得のために奔走した政治家!」
「アメリカの女性差別が改善されている証!」

と新聞もテレビも終始べた褒め、批判の「ひ」すらされないだろう。


逆にトランプが大統領になったとすると、
ブッシュ同様、叩きやすい男であるため、アメリカの外交政策に対しても
批判的な見解を述べる本や雑誌が多く出版されることが想像される。


今となっては信じがたいが、イラク戦争からしばらくの間、
日本の本屋にはブッシュやネオコン、イラク戦争を徹底的に非難する本が多く並んでいたのだ。


ところがこれがオバマが大統領になった途端、
依然、反米を掲げる本は売られているもののオバマ本人やオバマ外交、
特にウクライナやイエメン、シリア、アフガンにおける帝国主義的行為には何ら非難がされなくなった。

ブッシュを名指しで攻撃する本はいくらでも見つかるが、オバマとなるとこれは少ない。
それは彼が「黒人」というマイノリティを前面に押し出しているからだと思われる。




さて、話は変わるが、
私は今までトランプとヒラリーの話だけをして、サンダースのことには触れてこなかった。


それは彼がヒラリーに勝つのは絶望的だったこともあるが、
何よりも私はこのサンダースという男が信用できなかったのである。


その不信感は見事、的中した。次の記事をご覧いただきたい。


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サンダース氏が、クリントン氏との協力を表明、オバマ氏も支持

アメリカ民主党の大統領選挙候補者選びでクリントン氏と争っていたサンダース氏が、
共和党のトランプ氏に勝利するために、クリントン氏と協力する意志を強調しました。

フランス通信によりますと、サンダース氏は、
9日木曜、ホワイトハウスでオバマ大統領と会談した後、
トランプ氏に勝利するためにクリントン氏に協力すると表明しました。

サンダース氏は、
「トランプ氏が大統領になれば、アメリカ社会は惨事に見舞われることになるだろう」としました。

さらに、
「近い将来、クリントン氏と会談し、どうすればトランプ氏をに勝つことができるかを考えたい」
と述べました。

サンダース氏は動向を左右する可能性のある若者の支持者を有しています。

オバマ大統領は、民主党党内の分裂を避け、
クリントン氏の一本化を呼びかけるため、クリントン氏のライバルであるサンダース氏と会談しました。

オバマ大統領は9日、クリントン氏を支持し、
「クリントン氏ほどホワイトハウス入りにふさわしい候補者はいない」と述べました。


オバマ大統領は、クリントン氏の選挙事務所が発表したビデオメッセージで、
クリントン氏のこれまでの業績を賞賛し、
「私はクリントン氏を支持する。彼女の宣伝を行うために選挙活動するのが待ちきれない」
と語りました。

http://parstoday.com/ja/news/world-i10144
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つい最近、自分でヒラリーがサウジから金銭的な支援を受けていることを暴露したばかりなのに、
こうも簡単にヒラリーを支持してしまうというその精神構造が理解できない。


「協力」とは言うものの、民主党内の権力構図を思えば、
 これは民主党で権勢を振るっているクリントン一家にサンダースが降参し、
 ヒラリーを大統領にするために奔走することを決意したということだろう。

 つまり、彼はヒラリーの「良い面」をせっせと宣伝する手下に成り下がったということだ。


私は中国や北朝鮮、日本共産党が憎いがために簡単に右翼とつるんでしまう左翼を
反共左翼と呼び、徹底的に唾棄し非難しているわけだが、サンダースもトランプを
大統領にさせないためなら簡単にヒラリー・クリントンの手下となって働いてしまうようだ。


トランプは人種主義者であるが、ヒラリーもまた負けず劣らず人種主義者である。
サンダースに良心があるのならば、潔く協力の要請を断るべきだ。

断ることが出来ないのであれば、はじめからヒラリーと戦うべきではなかった。


米大統領選でサンダースが健闘、英でもコービンが労働党党首に!
欧米では反格差、社会主義者が評価されているのに日本は…


サンダースのような共産主義者ではない社会主義者は日本の左翼の間では妙に人気がある。

正直、やっていることだけを見れば、
長らく中国政治で跋扈していた汚職政治家や役人を徹底的に糾弾し、
鄧小平以降、顕著となった中国国内の経済格差を埋めることに執心している
習近平のほうが結果を出しているのだが、彼は共産主義者なのでこれといって評価されない。

むしろ中国に対しては右翼よりも左翼のほうが
露骨にマイナスイメージを植え付ける作業をせっせと行っているような印象さえ受ける。


で、こういう人たちが支持している連中に総じて言えるのは
非常に中途半端な政治信条を持っているために簡単に政敵に屈してしまうということ。


本来ならヒラリー倒せぬなら我もまた政治家をやめるまでというぐらいの
意気込みを見せなければならないのに、負けた途端に簡単に寝返ってしまう。


サンダースが考えているのはホワイトハウスを人種主義者の住まいにさせないということではない。
もし、それを考えているのであれば、ヒラリーもトランプも凄まじい人種主義者であることを述べ、
いくらトランプが非道いからといって、代わりにヒトラーを大統領にするような真似に協力できない
と語り、協力しない姿勢を見せるはずである。


結局、この男の頭にあるのは大統領候補選に負けた人間はその後、候補を応援するという
アメリカ政治の掟を守ることと、民主党が共和党に勝つことしかなかったのだ。





アメリカやイギリス、フランスには一応、政党がいくつか存在するのだが、
実際には長らく二党独裁体制が築かれており、これに対抗する手段を民衆が持ち合わせていない。


むしろ形式的かつ表面的には民主主義的に見えるこの二党独裁体制のほうが
共産主義国家やイスラム国家にある一党独裁あるいは君主体制よりも性質が悪いと私は思う。

なぜなら、中国や北朝鮮の政治システムは「一党独裁」と呼ばれ
非常に「非民主的」で撤廃しなければいけないものだと言われる一方で、
アメリカやイギリス、フランスの二党独裁制は「二大政党制」と呼ばれ、
「民主的」なシステムであり、特に撤廃しなくても良いものだと評価されているからである。

(左派雑誌『世界』にもよく登場するリベラル系政治学者山口二郎氏は、
 この「二大政党制」を大変高く評価し、日本もまた
 自民党と民主党(現・民進党)の二大政党制を築くべきだと力説していた)

21世紀初頭、アメリカは共和党から民主党へと与党が交代したが、
中東やアジア、東欧に対する軍事的経済的干渉行為は全く変わらないどころか余計に非道くなった。

二大政党制は確実にアメリカの好戦的な政策を維持することに一役買っている。

本質的には何も変わらない二つの政党が
あたかも別々の集団であるかのように振る舞い、あたかも民主的な政争が行われているかのように演じる。


こういう茶番に興じなければいけないことが今のアメリカ市民の最大の不幸だと私は思う。

トランプとヒラリー、どちらがマシか

2016-06-14 23:30:00 | 欧米


ドナルド・トランプとヒラリー・クリントン。
次の大統領選はこの二人の熾烈な争いになるのはほぼ確実だろう。


日本のメディアはトランプを執拗に攻撃する割にはヒラリーに対しては随分と甘い。

前に説明した通り、彼女はオバマ政権において軍事問題に携わっており、
特にリビア侵略においてはカダフィ抹殺に関与しているのだが。


そればかりでなく、テロ支援国家サウジアラビアから巨額の献金を受けていたり、
スポンサーが国内の軍需産業だったり、率直に言えば彼女は戦争屋以外の何者でもない。

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〈World Opinion〉両米大統領候補の本質的な違い/ロシア・トゥデイ


介入主義VS孤立主義

ロシア・トゥデイ紙は米大統領候補である共和党のトランプと民主党のクリントンの本質的な違いについて
分析したジャーナリストのラニア・ハレクとのインタビューを掲載した。以下は要旨。



トランプが選挙戦で終始一貫して言っているのは、
米国の海外介入には反対だということ。



それは現在の米国の外交政策と比べれば多くの点で孤立主義的な考え方だ。
一方で彼は中国やロシアなどの国々との外交関係改善を目指している。

イランに対しても同じことを言っていた。要するに彼がしようとしているのは、
現在米国の外交政策を支配しているネオコンのやり方と、持論である孤立主義とのバランスをとることだ。


トランプは確かにひどい扇動家、人種主義者でとんでもないことを言い、頑迷固陋なので実に奇妙だ。
彼は政治を行ったことがなく比較すべき実績がないが、その発言や演説を聴く限りでは、
現在のワシントンDCにおける超党派合意より遥かに非好戦的な外交政策だ。


それに比べてクリントンは遥かに好戦的であり、多くの点でネオコンだ。

彼女は政権転覆に大いに関心を持っていて、それをあからさまに発言している。

実際、彼女はリビア攻撃に関与したが、トランプが指摘したようにそれは悲惨な結果を生んだ。
彼女はホンジュラス政権打倒にも参加したが、これも同国に大混乱をもたらした。
クリントンはイラク戦争のような外交政策の大失策の継続に関心を持っている。

トランプは外交政策の最優先課題は安定と平和だと言う。

外部世界、海外とくに中東や中米の人々にとって、
この2人の発言を比較すれば
トランプの方がましな候補者であることに疑いの余地はない。


だが現実的には、トランプは人種差別主義や問題の多い発言、
そして彼の国内政策などから米大統領になれる可能性はほとんどないだろう。


共和党内にはトランプに反対している人が多いが、
それは彼の人種差別主義ゆえにではなく、彼らが好むネオコン・タカ派路線とそりが合わないからだ。

リベラル派はもちろん、そういう連中はヒラリーに投票するので、
両者の対決となればクリントンが時期大統領になる可能性が高いと思われる。


結果はどうであれ、トランプはヒラリーにはっきり言える。
例えば、「あなたはイラク戦争に賛成したが、私は反対だった。
     リビアであなたがしたことを考えなさい。私は反対でしたよ。
     アメリカが介入する至る所にISISが出現するのです
」などと突っ込めば、
二人の議論は興味深いものになるだろう。



オバマ大統領とヒラリー・クリントン国務長官の下での外交政策は「全くの大失敗」だった
というトランプの発言はやや誇張だと思うが、いいところを突いている。

彼はある種、風変わりな候補者だが
その見解は非常に実際的で、現実主義派の外交政策を目指している。

オバマはリビアの政権を打倒しようとして介入し、
イラクとシリアでも違法な無人機戦争をしている。

その点に関するトランプのオバマ批判は
誇張はあっても概ね正しい。


トランプは自分の政権の下ではISISはたちまち消えると言っているが、
ISISから都市を奪い返しても、連中は身を隠し、ゲリラ作戦を取るだろうからいささか楽観的過ぎる。


しかし、軍事力だけを行使するのではなく、哲学が必要だというのは的を得ている。
イスラム主義者集団の多くは現地の権益を握っているが、
米国の介入によってそれが国際的権益に変わっている。連中に志願兵が加わり戦闘で金を得るのである。
トランプが主張するように、米国が関与をやめればテロ問題も緩和されるだろう。

トランプがロシアと中国との関係を改善するというのはよい考え方だ。

http://chosonsinbo.com/jp/2016/06/sinbo-j_160613-2/
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日韓からの米軍撤退を提案したトランプと更なる日米韓三国軍事同盟の強化を図るヒラリー。
どちらの姿勢がアジアの平和に貢献できるかは火を見るよりも明らかだ。


トランプの米軍撤退発言を聞いたとき、私は素直に喜ばしいことだと思ったが、
ほとんどのメディアや学者は「日本の核武装も否定しない」という部分だけを取り上げ、
実にけしからん男だと酷評した。核はNoだが軍拡はYesというわけのわからぬリアクションだ。


トランプがあの場で発言したのは「自分の国は自分で守ってくれ」というもので、
日本は核武装せよとか韓国は核武装しなければならないと言ったわけではない。


アメリカは他国を守るほど余裕がないので、自分たちで何とかしてほしい。
これがトランプの意見の本筋であり、他国の核武装を主張したわけではない。


ところが、オバマ政権下でせっせと日米同盟の強化に努めてきた日本においては
「トランプは核武装を求めてきた。恐ろしい男だ」という評価が当たり前のように吹聴される。

「核を持っても良い」が「核を持つべきだ」と言ったかのように話される。これは実に奇妙なことだ。


もちろん、トランプは博愛主義者ではないし、平和主義者でもない。
特にムスリムに対しては典型的なレイシストとしての顔を覗かせているが、
日本のほとんどのメディアや知識人の見解はあまりにも図式的ではないだろうか。


悪としてのトランプ、善としてのヒラリーという二項対立で説明するのは確かにわかりやすい。
実に池上彰的な明快な解説だ。だが、それは現実をかなり無視したものであり、
結局、読み手側、聴き手側の判断を鈍らせているように感じるのである。

(ちなみに池上彰はヒラリーのヨイショ本をわざわざ翻訳し、解説文を書いている。
 もちろん、この解説もヒラリーを褒めたたえるバカみたいな内容である)


サンダース氏、ヒラリーとサウジアラビアの関係を暴露

2016-06-08 00:26:42 | 中東
ヒラリー・クリントンが典型的な戦争屋であることは、
彼女について少しでも調べている人間なら誰でも気づくだろうが、
どういうわけかクリントン元大統領の妻ということで日本では妙に人気がある。


池上彰訳、 ライザ・ロガック著『ヒラリー・クリントンの言葉』
(かんき出版、2016年)
(http://honto.jp/netstore/pd-book_27705838.html#productInfomation)



1620円もするゴミだが、電子書籍でも販売されているらしい。
この本で語られているヒラリーはまさにマザーテレサであり愛と平和の使者である。

では、実際はどうか。彼女の政敵でもあるサンダース氏の言葉を聞いてみたい。


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サンダース氏、クリントン氏を「サウジの配給受給者」



アメリカ大統領選挙の候補者争いで、
民主党のサンダース氏がクリントン氏を外国の独裁政府、特にサウジアラビアの配給受給者だとしました


イルナー通信によりますと、サンダース氏は5日日曜、CNNのインタビューで、

「クリントン氏は国務長官時代に、
 サウジアラビア政府から援助を受けることで、アメリカの価値を貶めた」としました。

さらにサウジアラビアでの社会的自由の欠如や人権侵害、また
サウジアラビアの政府が
クリントン氏の国務長官時代に
彼女の財団に資金援助を行っていた

ことを非難しました。

サンダース氏は、アメリカのイラク侵攻へのクリントン氏の支持は、
彼女がアメリカの外交政策において正しい決定を下すことができないことの表れであるとし、
下院議員時代、アメリカがイラク侵攻を決定した根拠となった文書を調査し、
その調査の後、アメリカのイラク侵攻に反対したが、
上院議員だったクリントン氏はこの戦争を支持した、と述べました。

アメリカ大統領選挙の予備選挙の終盤、
サンダース氏とクリントン氏の間の争いはピークを迎えています。

http://parstoday.com/ja/news/world-i9895
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1970年代に結ばれた米国とサウジアラビアの秘密合意の詳細が明らかに
(http://jp.sputniknews.com/politics/20160601/2227620.html)


70年代にアメリカは軍事支援の見返りに巨額のオイルマネーを受け取ったらしいが、
ヒラリーの場合は巨額の援助を受ける代わりに何らかの要求を呑んだのではないだろうか?

まぁ、この点については不鮮明なのであまり問わないが、
少なくともヒラリーが真っ白だと勘違いするのは非常に危険な発想だと思う。


ちなみに前述の本だが、目次に「生き方の章」「人生について」という部分がある。

この見出しだけでも自己啓発ジャンルの本特有のうさん臭さを感じるのだが、
この本によると、ヒラリーは過去にこういう発言をしたらしい。


「配られたカードではありません。カードは自分で選びます。
 そのカードでベストをつくします。そして次の手へと進みます。」





この大衆にむけて自己啓発本を書く一方で、
裏側で軍需産業やテロ支援国家から献金を受けているあたり、
どうもあの腹黒女を思い出す。


「お金返して」「燃やしたい」…ベッキー著書「心のとびら」レビューが大炎上
(http://www.asagei.com/excerpt/51955)


池上彰は、ヒラリーは大変立派な女性運動家で
女性の権利を獲得するために一生懸命頑張ってきた素晴らしい御方だと絶賛しているが、
私に言わせれば彼女は女である前に大変保守的で狡猾な政治家だ。


ベッ○ーにせよヒラリーにせよ自分が女であること、
純真であることを強調して周囲の共感を呼ばせるのが非常に上手い。


ある意味、トランプは典型的な差別主義者でありポピュリストだから、
その分、彼の危険性を指摘するのは容易いことではあるが、ヒラリーの場合、
オバマと同様、自分はマイノリティ出身であり、弱者の庇護者だという主張をしているので、
いわゆるリベラルとか左翼とか中立派を自認する人間にも一定の評価を受けているのではないだろうか?



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上の写真は、アメリカ軍の兵隊と一緒にピースサインを出す、
最高の笑顔を浮かべたヒラリーという印象である。しかし、事実を知るヒラリーの本性が分かる。


実は、写真は、カダフィが惨殺される2日前の2011年10月18日に撮影された。

彼女の周りの男たちは、アメリカ軍の兵隊はひとりもいない。
マフィアのような男たちは、リビア人やアラブ人ではない。
彼らは、アフガニスタン人であり、アメリカの特殊部隊に雇われている傭兵(マーシナリー)である。

この男たちが首にかけている認識カードは、背後の米軍輸送機に乗れる資格証である。


当日ヒラリーは、カダフィー暗殺部隊最高司令官として着任した。
まるでマッカサーのように、思いのままに、防諜作戦を遂行し、
その成果如何で次期大統領の椅子が約束されていることを確信しての満願の笑顔だったのだ。


しかし、ヒラリーと一緒に映っている彼らは、カダフィを殺した後、処分された。
彼らは、故郷のアフガニスタンに凱旋(がいせん)しようとして、
首都カブールの空港に着陸しようとしたとき、タリバーンの反政府ゲリラ(笑)の
ロケット弾で撃墜され、全員、死亡。アメリカによる実行犯たちの口封じである。


http://www.asyura2.com/13/warb11/msg/167.html
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クリントン前国務長官
「リビアのカオスに責任はない」



米大統領選に向けた民主党候補指名争いでトップに立っているクリントン前国務長官は、
14日のサンダース上院議員との討論会で、彼女が国務長官を務めていた2011年、
米国の介入後リビアがカオスの状態に陥った責任について、これを否定した。

クリントン候補は、次のように述べた―


「我々は、あの時、大変複雑で困難な状況にあった。
 リビアは、米国があの国に秩序を確立させることを望んでいなかった。
 しかし彼らは、自分達の安全を保障する事が出来なかった。」


これに対し、討論相手のサンダース上院議員は
「クリントン氏がリビアにおける『体制の交替』を支持しながら、
 ホワイトハウスにはその後の行動プランが無かった」として、彼女を批判した。


一方クリントン候補は
オバマ政権は、国連の勧告に従ったまでだ
と反論した。

2011年、リビア国内の騒乱は、内戦へと発展した。
この年の3月、国連安全保障理事会は、
当時のカダフィ政権から平和的に暮らす一般住民を保護するためとして、介入を容認した。


米国主導による連合軍、そしてフランスおよび英国が、リビアを空爆した。

http://jp.sputniknews.com/politics/20160415/1969949.html
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テロリズム terrorism

政治的に対立する個人または集団に対し,
その肉体的抹殺をも含めて,組織的暴力を加える行為をいう。


(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)



テロリズム(terrorism)

政治的目的を達成するために、
暗殺・暴行・粛清・破壊活動など直接的な暴力やその脅威に訴える主義。

(大辞泉)


これらの定義に則れば、
アメリカ、イギリス、フランスは正真正銘のテロ国家である。



そのテロ国家が犯した戦争犯罪に対して全く反省しようとしない老婆が
次期大統領として最有力候補となっている。これほど恐ろしいジョークが存在するだろうか?



追記

・瀬長 亀次郎『民族の怒り もえあがる沖縄』(新日本出版社、2016年)1296円
『民族の悲劇 沖縄県民の抵抗』(新日本出版社、2013年)1296円

なお、ヒラリーだけを責めてもどうしようもないので、
ヒラリーの諸発言は特異というよりもむしろ
 過去の政治家や軍人と比べると非常にノーマルなものである

ということを知るためにも、上の瀬長亀次郎氏の著作をお勧めしたい。


少なくとも池上がわざわざ翻訳した宗教書よりは読む価値があるはずだ。

サウジアラビアのイエメン侵攻とIS結成、9.11事件への関与

2016-06-06 23:43:24 | 中東
世界最大のテロ支援国家サウジアラビアがようやく国連に非難されるようになった。


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イスナー通信によりますと、国連のパン事務総長は、
2日木曜、報告の中で、サウジアラビアが率いる連合軍のイエメン攻撃を強く批判し、
イエメンの多数の子供たちが死亡している責任は、彼らにあるとしました。


パン事務総長は、
「この連合軍は、戦争の中で子供の権利を無視する勢力のブラックリストに入った」
と語りました。


さらに、「イエメンでの衝突の拡大により、子供に対する暴力が恐ろしく増加している」と強調しました。

また、「サウジアラビア連合軍は、イエメンの学校や病院に対する軍事攻撃の責任を負っている」としました。

サウジアラビアは、中東の一部のアラブ諸国と連合し、
アメリカの支援を得て、ハーディ元大統領を復権させるため、
2015年3月からイエメンに対する大規模な攻撃を開始しました。


この攻撃により、これまでに数百人の女性や子供を含むイエメン人数千人が死傷した他、
数万人が住む家を失い、インフラ、サービス、医療施設に深刻な被害が出ています。

http://parstoday.com/ja/news/middle_east-i9676
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イエメン侵攻は当初、大統領を追放したフーシ派に対する批判が多くなされた。

例えば、人権団体アムネスティ・インターナショナルも、フーシ派の人権侵害を強く責め、
同時期に行われていたサウジ軍による大規模な空爆は気にもとめていなかった。


事態が大きく変わるのは、半年以上経ってからの話である。
この頃になると誰の目にも暴力的なのはサウジ連合軍であることが明らかになってくる。


とはいえ、この半年間に流された民衆の血は数知れず、
正直、全てが終わった後に騒ぎ出すアムネスティには心底怒りがこみあげてくる。


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アメリカの議員が、世界でサウジアラビアがテロを拡大していることを認めました。

インターネットサイト、ザ・ヒルによりますと、アメリカの共和党と民主党の議員は
24日火曜、2001年の同時多発テロの遺族が参加した公聴会で、
サウジアラビアは世界でテロを拡大している国だとしました。

アメリカ下院のブラッド・シャーマン民主党議員は、この公聴会で、
「懸念すべき事柄とは、サウジアラビアの政府関係者が、
 アメリカ政府に、9.11同時多発テロの犠牲者の訴追法案に対して、
 彼らを擁護するよう求めているとともに、反対派に対する暴力と殺人を追求している
 サウジのワッハーブ派の宣教師を支持していることだ
」と語りました。


シャーマン議員はまた、
毎年、サウジアラビアは、テロの種をまく人物に対して、数億ドルをばら撒いているとしました。


共和党のテッド・ポー下院議員も、この公聴会で、
もしある国がアメリカ国内におけるテロを支援していることがわかれば、
犠牲者やその家族はその国を訴追する権利を持つべきだとしました。

アメリカ上院は5月17日、テロ支援者に対する正義法案という法案により
、同時多発テロの遺族がサウジアラビアに対する異議申し立てを行い、賠償を請求できるよう計画しています。

この法案は下院でも通過する必要性があります。

http://parstoday.com/ja/news/world-i9121

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最近、9.11同時多発テロの被害者や遺族が
サウジアラビア政府に対する提訴を行い、賠償請求をする法案が可決された。


あのテロのメンバー19人のうち15人はサウジ国籍、
加えてアルカイダを育てたのはサウード王家とワッハーブ派なのだから訴えられるのは当然だろう。


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サウジアラビア、地域のテロと部族主義の根源


サウジアラビアのムアリミ国連大使が、
同国はテロ対策と地域や世界の治安確立の用意があると主張しました。

キャラミー解説員

ムアリミ国連大使は、11日水曜、
「テロリズムの下図とイデオロギー」と題する国連安保理の会合で、
シリアやイラクのテロリストに資金援助を行い、テロリズムを拡散している自国の役割には注目せずに、
「イランは西アジアのテロの根源だ」と主張しました。


サウジの外交官の事実に反する主張の一方で、
同国はワッハーブ派、サラフィー主義の支持者であり、テロの養成とその世界各地への拡散の根源です。

ISIS、アルカイダ、タリバンといった様々なテログループの中には多くのサウジアラビア人がいます。
あらゆるテロ行為において、サウジの関与は完全に明らかです。

これに加えて、地域におけるサウジアラビアの計画された行動には、
過激派やテロリストへの支援の傘があり、
これに関してイスラエル、アメリカ、カタール、トルコと協力しています。



シリアやイラク、イエメンの一部におけるテロリストは、
サウジアラビアの資金、政治、思想面での支援を受け、活動しています。


サウジアラビアはテロの支援と平行して、地域で過激主義をあおっており、
すべての暴力の根源は、ワッハーブ派やサラフィー主義の思想の中で探るべきでしょう。


テロの元凶であるサウジアラビアは、イランをこの悪しき現象の支援で非難していますが、
イランこそテロの犠牲国であり、テロ対策において大きな被害をこうむってきました。


~中略~


イランのデフガーニー国連次席大使は、何よりもまず、
イスラム世界やそれ以外の世界の若者たちの中に憎悪や暴力を育てる
過激派やテロリズムのイデオロギーの源に対抗しなければならないとしています。


現在、暴力的な過激派が西アジアや世界の多くの国の治安にとって
最も深刻な問題となっていますが、サウジアラビアは思想や実践面でそれに直接関わっています。

ISIS、ヌスラ戦線、アルカイダ、タリバンは、サウジのワッハーブ派の思想から生まれたもので、
これらのグループはどれも、サウジの学校で教えられた思想によって、自らの計画を進めています。



サウジアラビアの政策は、様々なテログループを支持すると共に、
イラクなどの地域諸国の様々なグループを対立させようとする部族主義の元凶でもあります。

サウジアラビアの現在の政策は、イスラム世界に圧制を加えるものです。

様々なテログループへの支持やシオニスト政権イスラエルとの協力は、
サウジが主張している「暴力思想への対抗」という政策に反しています。

というのも、テロリズムとシオニスト政権はまさに暴力そのものだからです。


http://parstoday.com/ja/news/middle_east-i8164
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アルカイダやダーイシュ(IS)がシーア派教徒を集中的に攻撃する一方で
なぜかイスラエルに対しては全く攻撃を仕掛けないのは、以上のような背景があるためである。


なお、サウジがダーイシュを育てたということについては
未だに日本では認知度が低いので、合わせて次の記事も紹介する。


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CIAのゴーサインによりサウジアラビアが出現させたテロ組織ISIS


アメリカの複数のメディアが、
テロ組織ISISはサウジによって育成され、CIAもこれを熟知」というタイトルの報告を、
トップニュースとして大々的に報じました。

キャラミー解説員


サウジアラビアの自白に関する報告は初めて、
イギリスの新聞フィナンシャルタイムズがアメリカのケリー国務長官に関する記事において発表し、
サウジアラビアはケリー長官に対し、ISISはサウジによって育成されたこと、
 これはCIA・アメリカ中央情報局にとっても周知の事実であることを伝えた
」と報じました。


フィナンシャルタイムズによるこの報道以来、今度はアメリカの報道各社がこの内容を再度報じています。

サウジアラビアの関係者はまた、ケリー長官との会談で、
アメリカが中東問題に干渉しているため、サウジアラビアはまず、
 テロ組織アルカイダを、次いでISISの基盤を築いた
」と語っています。


サウジアラビアの主張によれば、2003年のアメリカによるイラク攻撃により、
状況はイランにとって有利に転じ、イランに対する措置が講じられるべきだったということです。


アメリカ共和党の元連邦下院議員だったロン・ポール氏は、
ロン・ポール研究所のダニエル・マクアダムス理事との会談で、
ISISを自ら育成したというサウジアラビアの自白は、必ずしも衝撃的なことではない」と語りました。


ロン・ポール氏によれば、
サウジアラビアはCIAへの通告なしにISISを出現させることはできなかったということです。

ロン・ポール氏はまた、
「CIAとアメリカ国防総省は、シリア危機の勃発により、
 同国のアサド大統領を辞任させるお膳立てをしており、
 まさにこのためにISISを必要としていた」と述べました。


ロン・ポール研究所のダニエル・マクアダムス理事も、
ISISを立ち上げ、資金援助を行ったのはサウジだが、
 ISISとアルカイダが国際舞台に台頭する必要な条件を整えたのはアメリカだ
」と考えています。


マクアダムス理事によれば、この問題は中東への干渉というアメリカの政策が発端となっているということです。

サウジアラビアは、強硬派の1つ・ワッハーブ派の発祥地であることから、
過激派組織の形成に直接役割を果たしていますが、過激派はまた違った名称や方法により、
ワッハーブ派の思想を利用してその存在を宣言しています。

たとえば、サウジアラビアはテロ組織タリバンの結成に重要な役割を果たしていることが指摘できます。

タリバンは次第に、サウジアラビアの資金を利用して、
ワッハーブ派の思想の教育を開始し、過激派の新世代を育成しました。

ロン・ポール氏によれば、彼らはISISとなってテロリストの世界に入ってきたということです。

ISISの原始組織は、2003年のイラク占領と同時に、
「イラクとシャームのイスラム国」の発足を宣言しています。


その指導者は、アルカイダの過激な危険因子で現在収監中のアブーバクル・バグダーディですが、
彼はアメリカの口説きにより釈放されます。


イラクのバース党政権の崩壊により、バース党の幹部とISISの協力関係が成立し、
イラク政府は深刻な問題に直面することになります。

バース党をISISとの協力に誘導したのは、
まさにサウジアラビアとアメリカによる共同の政策の結果なのです。

さらに、2001年のアメリカ同時多発テロに関する報告の、
28ページにわたる部分の削除は、サウジアラビアがテロ支援に直接関与していることを裏付けています。



しかし、アメリカ政府はサウジアラビアとの協力関係を理由に、
同時多発テロにサウジが関与していた事実の公開に反対しています。

この報告書の削除された部分には、
CIAの名が直接あるいは間接的に述べられていると言われています。



このような措置は、サウジアラビアの同時多発テロへの関与、
CIAが地域におけるサウジの行動やテロ組織の結成を周知していたことが、
疑いのない事実であることを物語っています。

http://parstoday.com/ja/news/middle_east-i6799
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アメリカ政府高官が9.11に関与
(http://parstoday.com/ja/news/world-i6547)

CIA局長が、9.11テロ事件のサウジ関与に関する機密文書の公表に反対
(http://parstoday.com/ja/news/world-i7417)

サウジ王子の妻とアメリカ同時多発テロの容疑者との関連性が明らかに
(http://parstoday.com/ja/news/world-i7060)


サウジの9.11テロ事件への関与はアメリカ政府によって隠ぺいされている。

調査報告書のうち非公開とされた28ページの文書には
アメリカ政府高官やサイード王家がアルカイダとつながりがあることを示しているらしい。

現在、CIAを初めとした合衆国政府は文書を公開しまいと躍起になっているが、時間の問題だろう。




英国製の禁止されている兵器がイエメンとサウジアラビアの国境付近で見つかる
(http://jp.sputniknews.com/middle_east/20160523/2181450.html)

国連報告「米軍無人機 イエメン国内で『アルカイダ』以上に一般市民を殺害」
(http://jp.sputniknews.com/middle_east/20150915/900690.html)

シリア内戦にせよイエメン侵攻にせよ、米英仏侵略トリオはサウジを支持・支援し続けている。
少なくとも中東に目を移してみれば、平和を乱しているのは米英仏であり露中朝ではない。


にも関わらず、イランやロシアや北朝鮮は経済制裁を受ける一方で
米英仏はお咎めを受ける気配が一向にない。イランやロシアは軍隊をシリアに送っているが、
北朝鮮はどこの国にも軍を派遣していない(シリアに朝軍がいたという情報も一応はある)


本当にテロを支援している国が野放しになっている一方で、
ほぼ言いがかりに近い理由で彼らの敵国はペナルティを課せられている。

それはおかしいじゃないかという話だが、
残念ながらそのおかしさを積極的に指摘するメディアは稀有である。


自民党、懲りずに消費税増税を主張

2016-06-04 00:16:28 | アベノミクス批判
3日、自民党は参議院選挙の公約を明らかにした。
それによれば「2019年10月に消費税率を10パーセントに引き上げ
その間、赤字国債に頼ることなく安定財源を確保して可能な限り社会保障の充実を行う」としている。

赤字国債に頼らず、どのように社会保障政策の財源を捻出するかについては、明記されていない。

http://jp.sputniknews.com/opinion/20160603/2246059.htmlより)





こんな公約掲げられても自民党に票を入れる奴らって一体・・・


舛添知事にせよ猪瀬元知事にせよ
「野党は信用できない(キリッ)」「他に選ぶべき人間がいない(キラッ)」とかっこつけておいて
ことごとく、権力と癒着している連中ばっかり選ぶというのは、ある意味才能だと思えてならない。


先の衆院選の折も、消費税増税により経済状況が思いっきり悪化した時だったのだが、
それにも関わらず、結果を見れば、与党の圧勝だった。


もちろん、死票が多すぎて得票率自体は低いのに議席を奪取できてしまうという点もあるが、
明らかに自らの首を絞めてくる輩に喜んで票を入れる連中がそれなりにいるのも事実である。


それはさておき、今回の増税見送りはアベノミクスの成功の可否と関連付けて語られている。

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「新しい判断」で失笑の安倍首相が「アベノミクスのエンジンふかす」と…
実態は“空ぶかし”で排ガスまき散らすアベノミクス


よくもまあこれだけウソばかり並べ立てることができるものだ。
昨日、安倍首相が消費増税を2019年10月まで2年半先送りにすることを正式に発表した会見のことだ。


これまで一貫して「増税延期はない」と強調してきたが、
参院選を見込み、消費税率引き上げ先送りを打ち出す必要に迫られていた安倍首相は、
G7を利用するかたちで“世界経済はリーマンショック級の危機”なる珍説を世界に披露。


これが海外で失笑を買うと、
今度は「私がリーマンショック前の状況に似ているとの認識を示したとの報道があるが、
まったくの誤りである」と、誰にでもわかる大ウソをつきはじめた。


そして、昨日の会見では「私たちが現在直面しているリスクは
リーマンショックのような金融不安とはまったく異なります」としながらも、
「しかしリスクには備えなければならない」と言って消費増税の先送りの理由としたのだ。


いや、どんなときだってリスクの可能性はある。

そういう言い訳が通用するなら、増税は未来永劫行うべきではないはずだが、
増税の必要性を訴えてきたのは当の安倍首相であり、
“アベノミクスで消費税を引き上げる環境が整っていく”と述べては
「増税先送りはない」と断言した先の総選挙の明確な公約違反だ。

しかも、言うに事を欠いて、安倍首相ははっきりこう述べた。

「今回、再延期するという私の判断は、これまでのお約束とは異なる、新しい判断であります」

俺の決断は約束とは違っても“新しい判断”だから公約違反じゃない! 
……って、そんなバカな話があるだろうか。


そんなことを言い出したら、“俺が決めた新しい判断だから”と言えば、
どんな選挙公約も覆せるではないか。有権者を愚弄するのも甚だしい。

~中略~


繰り返し指摘されつづけているように、アベノミクスがすでに破綻しているのは明白な事実だ。

アベノミクスにとって最大のキモは、まず富裕層を優遇して儲けさせ、
その富の一部がやがて低所得者層にまで“したたり落ちてくる”トリクルダウン理論にあった。

だが、これはトマ・ピケティ氏が
「過去を見回してもそうならなかったし、未来でもうまくいく保証はない」(東大講義講義)
と一蹴したように、アベノミクスによって格差が広がっているのが現状だ。


また、安倍首相は昨日の会見で、
アベノミクスの成果だとして、賃金と有効求人倍率の高水準化を挙げ、
「(増税のタイミングを誤れば)また20年間続いたデフレに戻る。
『どんなに頑張ったって仕事がない』という状況に戻ってしまう。
『どんなに頑張ったって給料があがらない』という状況に戻ってしまう」と、
国民の不安を煽ったが、これはとんだペテンでしかない。


求人倍率は求職者数が減っているため倍率が上がるのは当然で、問題は非正規雇用が増えたこと。
いまは労働者派遣法改正によって、非正規雇用をさらに増やしかねない状態だ。

さらに、正規雇用と非正規雇用の賃金格差は広がるばかりで、現に実質賃金はずっと下落している。
これでは消費が伸びないのは当たり前だ。

http://lite-ra.com/2016/06/post-2299_3.html
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上のリテラ編集部の記事で述べているように、雇用が伸びたというのはペテンでしかない。

実質賃金は向上の余地がなく、各企業が人件費を削減したがるため、
一つの企業をフルタイムで働くのではなく、パートタイムを掛け持ちする人間も増えているぐらいだ。
(主にシングル・マザーが多い。女性の雇用は未だ改善されているとは呼べないだろう)

こういう働き方を知ってか知らずかアベノミクスを礼賛し続けている(あるいは過去に支持した)
経済学者は今すぐ辞表を出して、原発労働者として再スタートを切ったほうが良いと本気で思う。


(結局、支持するような学者はそれなりに良い待遇を得て生活に困っていないから言えるのである)



筑摩選書 これからのマルクス経済学入門

搾取と貧困が深刻化する今、「階級」「疎外」「労働価値説」「唯物史観」といった、
マルクス経済学の基礎概念を再検討し、現代的な意義を明らかにする、画期的な書!





・・・らしい(笑)


何度か指摘しているが、著者の松尾匡氏はアベノミクスの熱心な信者であり、
少なくとも2015年夏まではアベノミクスによって経済が良くなるのだとほざいていた男である。


そういう人間が入門書を書くというのは、まさに池上彰的だと思わざるを得ない。
つまり、学者向けの専門書を書く実力がないので素人相手に金を巻き上げようとしている。
(まぁ、池上と違って一応、最近の阻害論の動向を整理しているだけマシかもしれないが)


松尾氏をはじめとした専門家が「雇用が増えたんだぞ!」「失業よりはましだろ!」
と安倍晋三のセリフを丸パクリしながら(それでもプロか)政府を擁護している一方で、
中国メディアの人民網は逆にアベノミクスについてかなり詳しく、その実態について論じている。


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日本政府がよりどころとする「アベノミクス」が登場してから3年以上が経ったが、
徐々に効果が薄れているだけでなく、企業界から上がる不評の声はますます大きくなり、
世論の肯定感は低下こそすれ上昇することはない。

復興の不振ぶりをみても、たびたび先送りされるインフレ目標の達成時期をみても、
政策上の矛盾に満ちたアベノミクスが日本経済の「病状」に対してほとんど治療効果をもたないだけでなく、
効果が予想と大きく隔たっていることがありありとうかがえる。新華社が伝えた。



▽矛盾1:企業の分化とアンバランスが加速

アベノミクスの核心の1つは、金融緩和政策によって円高を引き起こし、
ひいては輸出を促進し株式市場を振興させ、最終的には企業業績を改善し、
経済全体を引き上げて成長させるという目的を達成することにある。


だが現実はそうはいかず、
こうした考え方は理想に過ぎ、幻想だとさえ言える。


年初以来の円高の加速、東京証券取引所の暴落といった「思いがけない出来事」の衝撃は言うまでもない。
2012年から15年の期間でみたとしても、アベノミクスの恩恵は日本の多くの企業には行き渡っておらず、
かえって中小企業に大きな苦しみを与えている

円安や株価上昇で大きな恩恵を受けた大手輸出企業に比べ、
日本経済の根幹を支える中小企業は円安により輸入する原材料コストが高騰し、苦しみにあえいでいる。

日本の帝国データバンクがまとめたデータによれば、
昨年12月末現在、卸売産業の原材料コストが前年同期比52.9%増加し、
衣類・繊維製造業のコストはさらに増加して同71.4%の増加となった。

このような非常に苦しい経営環境の中にあって、
中小企業の倒産件数が産業全体に占める割合が上昇を続けている。
15年は全倒産件数8517件のうち、円安による倒産が352件に上り、2年続けて増加したという。


16年3月に日本の企業界がアベノミクスに与えた評価は、ギリギリ合格の60.3点で、前年同期より3.9点低かった。


▽矛盾2:企業の投資の伸びに力無し

アベノミクスでは、金融緩和政策を通じて企業の利益を増加させ、
企業の投資拡大を喚起し、ひいては経済の好循環を実現するという構想を描く。


だが構想は現実によって「砂上の楼閣」に過ぎないことが証明された。


13年にアベノミクスが登場すると、日本銀行(中央銀行)は市場から
驚きの声をもって迎えられた金融政策とマネタリーベース拡大措置を次々に打ち出した。
これを土台として、今年はマイナス金利政策をうち出し、預金金利をマイナス0.1%に引き下げた。

こうした措置を打ち出した主な狙いは、企業向けに良好な金融政策環境を創出し、
貸出の規模を拡大し、生産設備や向上などの固定資産への投資を増やし、
企業の経営範囲を一層拡大し、より多くの利益を達成することにあった。


だが実際には、15年第4四半期(10-12月)に日本の大手企業の投資は限りなくゼロ成長に近づいた。
それだけでなく、同期の大企業の短期貸出は同2.5%減少し、長期貸出はわずか同3.6%増加にとどまった。
これと対照的に、同期の大手企業の手元にある現金は同3.7%増加し、有価証券も同4%増加した。


次のようなデータもある。
10年前に比べ、15年度(15年4月~16年3月)に日本の大手企業の手元の現金は
前年度比32.4%増加したが、固定資産投資額は同16.3%増加で、
アベノミクス実施前の12年度に比べて4.3%の増加にとどまった。

これはつまり、日本の大手企業の利益はアベノミクスという護送船団に守られて増加したが、
企業は現金を使いたがらず、投資にうかつに手を出さなくなった、ということを意味する




▽矛盾3:経済復興の実感が低下

日本の街頭で取材したところ、中産階級の女性が日本経済に対する悲観的な見方を語ってくれた。
その女性によると、日本社会は少子高齢化がますます深刻になり、年金を納める人が減り、
将来、年金がもらえるかどうかわからなくなっている。
退職後の老後の暮らしが心配で、できるだけ貯金してお金を使わないようにしているという。


ニッセイ基礎研究所社会研究部の土堤内昭雄主任研究員は、
「現在の日本社会の構造をみると、アベノミクスは中産階級にとって脅威になる。
こうした状態を炭坑地域にたとえてみると、前方には常にリスクが横たわり、
思いがけない出来事が発生すれば、あっという間に無一物になるような状態だといえる」と話す。

日本社会の構造的な問題だけではない。アベノミクスの企業業績の向上をよりどころとして、
賃金を増やし、国内消費を拡大させるという夢は徐々に泡と消えようとしている。

今年の春季労使交渉(春闘)で、日本企業はさかんに賃金上昇を口にする日本政府に一撃を食らわせた。

自動車メーカーのトヨタは基本給を月額1500円(約90元)引き上げることに同意しただけだった。
自動車産業だけでなく、電子メーカーも誠意ある回答を行わず、
パナソニックも基本給の1500円引き上げに同意するにとどまった。

業績不振のシャープなどは定期的な賃金引き上げを行うと決定しただけだった。

共同通信社が3月に行った調査では、
回答者の81.4%が「アベノミクスが経済復興を促進しているという実感がない」と答え、
64.6%が「日本政府が17年4月に消費税率を再び10%に引き上げるのに明確に反対する」とした。


それだけではない。日本国民は
さきにヤフージャパンのニュースサイトが行った世論調査で、
「アベノミクスは有名無実」との評価を下している。

中小企業と中産階級の犠牲を代償として支払うアベノミクスには数々の破綻がある。
重要なエンジンは期待したような効果を上げず、マイナス影響ばかりが次々現れる。



今年の金融環境と外部環境の不振の中、日本の大手企業は業績予想を次々に引き下げ、
日本経済の前途をさらに暗澹とさせている。(編集KS)

「人民網日本語版」2016年5月31日
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上の記事は2015年度のみの分析を行ったが、
実のところ、2013年度からアベノミクスの批判者はそれほど金融緩和の効果がないこと、
加えて実質賃金の下降と非正規社員の拡大があったことを当時から非難し続けていた。


彼らの言葉を鼻で笑っていた連中は今どうしているのだろうか?

アメリカの言語学者にして社会活動家、ノーム・チョムスキー氏の主張、
教養のある人間が政府の言い分を支持した時、民衆がそれを否定するのは非常に困難である
を強く思い出してしまう。


まぁ浜田宏氏や高橋洋一氏のような完全な御用学者がアベノミクスを支持するのは
ある意味、自然で必然的な行為ではあるが、今頃になってしれっとした顔で
アベノミクスを批判し始めたアホもそれなりにいるわけで、私としては彼らのほうが悪質だと思う。


そういう奴らは大抵、
「アベノミクスは正しかったが増税のせいでダメになった」か
「アベノミクスは正しかったが中国経済の悪化のせいでダメになったか」のどちらかを語る。

要するに自分の判断はその時点で間違っていなかったと言いたいわけである。

こういう奴らに学者やエコノミストの名を語らせてはいけないと真剣に感じる次第だが、
思えば中国経済崩壊論を名乗る輩が跋扈している今日この頃、これもまた自然な現象なのかもしれない。