時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

北朝鮮の「ほほえみ外交」(メディアの造語批判)

2020-06-25 22:44:15 | 北朝鮮

緊急事態宣言が解除され、非日常から日常へと生活が戻りつつある。
・・・わけでは決してなく、未だに東京では感染者が後を絶たないのだが、
都知事選を前にしてあえて日常を演出したいマスメディアは
いつものように外国に対するバッシング報道を展開し始めた。

本日、6月25日のクローズアップ現代では
金与正氏の発言を取り上げ、仮にも他国の大統領を罵倒するなど
言語道断と見栄を切った。吹き替えを担当した女性は、与正氏の声明を
あえて重く、暗いトーンで、いかにも危険人物の発言であるかのように
強調して翻訳文を読み上げた。

 

挑発する金与正氏 北朝鮮の強硬姿勢の行く末は…衝突か、新たな交渉のテーブルか

 

日本メディアのシナリオとしては
北朝鮮が韓国や米国に対して乱暴な「挑発」を行った
というものを狙っているらしい。

しかし、実際には韓国の保守派が脱北者と結託して
軍事境界線付近で挑発行為を行ったのが発端となっている。

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他の誰かなら知らないが、「脱北者」というくずの連中、
人間の出来損ないを押し立ててそんなにもよく知っている
その合意を違反するビラ散布妄動をそのまま黙認し、放置しておいた当事者らが
われわれに「違反」という言葉をそれも白昼に公然と言えるのか疑わしいだけだ。

顔が熱くならないかということだ。

板門店宣言と平壌宣言、北南合意に対しては、
北侵戦争演習を含むあらゆる敵対行為を公然と働きながら、
それを今まで系統的に違反して破棄してきた南側が
口が十あっても合意違反について問題視する資格さえないようになっている。

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(http://www.kcna.kp/kcna.user.article.retrieveNewsViewInfoList.kcmsf#this)

上の文章は朝鮮中央通信の2020年6月17日付の記事
(「破廉恥の極み」というタイトル)から引用したものだが、
ここにも触れているように板門店宣言にはビラ配りの扇動も含む
一切の敵対行為の中止が明記されている。

また、大々的なものこそ自粛したものの
北朝鮮への先制攻撃を想定した韓国の軍事演習はこれまで継続されてきた。

そして北朝鮮は約束に従い、これまで一切の核開発を行っていない。
(日本のマスメディアは核「保有」を理由にこの事実を無視したがるが)

双方の歩み寄りが望まれた2018年から約2年が経過してもなお、
このように進展が望まれない状況下、強硬派の軍部をなだめるために
行ったのが今回の一連の言動ではないかと筆者はにらんでいるが、
それはともかく、いわゆる「挑発」をしたのは韓国の保守派であり、
北朝鮮の言動はそれらに対するリアクションだということを忘れてはならない。

 

対北朝鮮 日米、韓国へ結束求め 「ほほ笑み外交」警戒

 

ところで、北朝鮮と他国との間の雪解けをメディアは「ほほえみ外交」と呼んでいる。
この言葉は当初、ある種の侮蔑の意図を込めて使われていたのをご存知だろうか。

北朝鮮の「ほほ笑み外交」 日本の懸念

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「ほほ笑み外交」

安倍氏もほぼ確実に同意するだろう。
五輪開始前のインタビューで河野太郎外相は筆者に対して、
韓国が北朝鮮の「ほほ笑み外交」に取り込まれてしまう懸念について話した。

そしてなんと盛大なほほ笑み外交が行われたことか。

最大の見せ場は疑いもなく、金正恩氏の実妹、
金与正(キム・ヨジョン)氏が3日間訪韓したことだ。

与正氏は魅力的な笑みを浮かべ、
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領を平壌に招待した

これらは全て安倍晋三首相にとっては悪い知らせだ。
日本政府による、北朝鮮の核の脅威を阻止するための政策を根幹から覆す恐れがある。

米国にとって、北朝鮮が核兵器の備蓄を増やすことは
間もなく現実の脅威となるだろう。日本にとってはすでにそうだ。

昨年に北朝鮮が発射した2発の長距離ミサイルは日本の上空を飛んでいった。
ここで大きく懸念されることは、どんな種類の軍事衝突であっても、
北朝鮮が核を使うのはソウルではなく東京へ向けてではないかということだ。

「我々は広島や長崎が再び起きるのを絶対許してはいけない」
と最近、日本の退役将校は筆者に話した。

よって安倍晋三首相は非常に強硬な立場を確立した。
週末にソウルで見られた「愛の祭典」以来、全ての声明で、
文大統領に訪朝してほしくないという立場を明確にしている。

ソウルにある国民大学校のアンドレイ・ランコフ教授は、
北朝鮮の思惑に対する日本の懸念をうまく説明している。

北朝鮮情報に特化したウェブサイト「NKニュース」の記事中で、
「北朝鮮の外交手腕は卓越している。
敵の弱点と分断を利用することに精通している」とランコフ教授は書いている。

「12月中旬以来、北朝鮮の外交は大きく分けて2つの目標に向かっている。
まず北朝鮮は、米国が先に軍事攻撃に出る可能性を低くしようと懸命に取り組んでいる。
第2に、米韓の間にくさびを打ち込むことに精力を傾けている」

日本の河野外相は北朝鮮に対する経済制裁が「効き始めている」
との認識を筆者に示した。

昨年の晩夏に課された制裁措置により、
いよいよ北朝鮮経済に影響が出始めている、と。

だからこそ北朝鮮は五輪大会という
ほほ笑み外交の手段を講じ時間稼ぎをして、
息が止まりそうな状態を緩和している、と。

(英語記事 Japan's worries about North Korea's 'charm offensive'

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原語では「charm offensive」とあるように「ほほえみ外交」とはOffensive(攻撃態勢)、
すなわち、米韓の分断を目論んだ作戦なのだという意味をこめて使われていたのである。

 

韓国五輪外交、北朝鮮を利するだけに終わった「大失策」の裏側

 

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「南北友好対話ムード」を演出しての
ピョンチャン・オリンピックの“主役”は、
金正恩の妹で、朝鮮労働党副部長の金与正(キム・ヨジョン)だった。

その「微笑み外交」の陰で、
韓国・文政権の「5人組」と米国との間では
ぎくしゃくした関係が目立った格好になった。
それには理由がある。(朝日新聞ソウル支局長 牧野愛博)

五輪外交の主役は金与正
ソフトなイメージ戦略実践

~中略~

北は「最高のカード」出した
「南北蜜月」は北の本音ではない

~中略~

ここまで検証してみると、北朝鮮が金与正を派遣した狙いが浮かび上がる。

「最高のカード」で韓国に恩を売り、
同時に南北関係の蜜月ぶりを日米など国際社会に印象づける思惑だが、
ただ、南北関係を蜜月にしたいというのは北朝鮮の本音ではない。

それを裏づけるように、会談でも、文大統領の訪朝を求めたものの、
南北首脳会談の具体的な日時に触れることはなかった。

会談後の昼食会で「早く平壌でお目にかかれたらうれしい」と、話した程度だ。

また北朝鮮は韓国が提案してきた
南北離散家族の再会事業や南北軍事当局者会談の開催などには依然、応じていない。

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このように、メディアは平昌五輪における南北間の歩み寄りを冷笑しつつ、
北朝鮮の行動には裏があるに違いないと決めつけていたのである。

彼らの読みが的外れだったことはわずか1か月後に証明されることになる。
その際、メディアは日本政府にだけ米朝韓の対話路線への転向を知らされていなかったことに対して
「蚊帳の外」と揶揄したが、実の所、本当に蚊帳の外だったのは彼らマスメディアだったと言える。

以下の文章は2018年2月11日に掲載された毎日新聞の社説を抜粋したものである。

 

北朝鮮が文氏に会談提案 平和攻勢に惑わされるな

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筋の悪いくせ球だ。
独裁者のエゴを貫くために計算され尽くした甘い言葉に、惑わされてはいけない。

北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が
特使として派遣した妹の与正(ヨジョン)氏を通じて、
韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領に平壌での近日中の会談を提案した。

文氏は、会談実現へ向けた条件を整えていこうと応じたという。

核・ミサイル開発に対する経済制裁で陥った苦境を打開しようという北朝鮮の狙いは明白だ。

北朝鮮への国際的圧力は強まっている。
後ろ盾だった中国が制裁に同調するようになり、
石油精製品の輸入にはこれまでの9割減という上限が設定された。
洋上での密輸に対する監視も強化された。

金政権は貿易に頼らない経済作りを国民に呼びかけ、
厳しい制裁にも耐えられると主張する。

しかし当面はしのげたとしても、長期的な将来展望など描きようがない。

米国による軍事的圧迫も負担になっているはずだ。

朝鮮半島周辺で米軍が大規模に展開すれば、北朝鮮軍も警戒態勢を強化せざるをえない。
貴重な燃料を消費し、動員される将兵は疲弊する。
軍に不満がたまれば権力基盤にも悪影響が出かねない。

こうした閉塞(へいそく)状況を打破する突破口として、
対話に前向きな文政権に狙いをつけたのだろう。

北朝鮮は
いま平昌(ピョンチャン)冬季五輪を舞台にした平和攻勢を韓国に仕掛けている。

北朝鮮は一方で五輪開幕の前日に大規模な軍事パレードを行い、
大陸間弾道ミサイル(ICBM)も登場させた。核放棄に応じないという姿勢は明確だ。

文氏は核問題をめぐる米朝の対話を仲介しようとしている。
しかし朝鮮半島の非核化につながらない限り意味はない。
成果を急ごうとする文氏の態度には危うさを感じる。

五輪開会式前のレセプションでは
北朝鮮の金永南(キムヨンナム)最高人民会議常任委員長と
米国のペンス副大統領を同席させようとしたが、ペンス氏が席に着かなかった。
米国との調整が不足したまま準備を進めたようだ。

南北の首脳会談を必要としているのは北朝鮮である。
そこを見誤ると、核を温存したまま国際包囲網を突破しようとする
北朝鮮に手を貸すことになってしまう。

(https://mainichi.jp/articles/20180211/ddm/005/070/042000c)

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ここでも「平和攻勢」という言葉で北朝鮮の軟化を非難している。
いずれの言葉にしても北朝鮮の姿勢を、
「表面的には友好的に接しているが、
その実、裏側では相手を出し抜くことを考えている」
という、したたかで嘘のあるものとして強調づけている。

強硬姿勢をとればそれはそれで口やかましく非難するのに、
協調へと舵を切ると、それはそれで気に入らない、どうせ嘘に決まっている、
裏があるのだ、話を聞くな、北朝鮮の思うつぼだ・・・などなど、
こういう態度を一貫して取ってきたわけだ。

ところが、最近になって、この「チャーム・オフェンシブ」とか
「平和攻勢」、「ほほえみ外交」という単語が意図的に別の意味に組み替えられる
現象が起きているのである。次の牧野愛博氏の記事を読んでみよう。

 

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 ケソン南北連絡事務所爆破の“主役”、金与正氏の「本当の役割」
牧野愛博 2020/06/18 06:00

激しい言葉で韓国批判  「ほほえみ外交」のイメージ一掃

~中略~

とりわけ金与正氏の韓国批判の激しい言葉は、これまでの人物像を一新するものだ。

与正氏は利発で礼儀正しい人物として知られる。
初めて外交舞台に登場したといえる18年2月、
平昌冬季五輪開会式に参加するために訪韓した際は、
文大統領とにこやかに談笑する姿が「ほほえみ外交」として注目された。

形式的には団長は、金永南最高人民会議常任委員長(当時)だったが、
与正氏は金氏を立てることも忘れなかった。

会談では金氏を上座に着席させようとし、慎重な金氏をドギマギさせた。

当時、金与正氏の受け入れに当たった韓国政府当局者は
「与正氏は公式日程以外の時間も、絶えず周囲に気を配っていた。
話題も豊富で、相手をしらけさせない。頭の良さを感じた」と語っていた。

父親の金正日総書記が金与正氏に愛情を注いでいたのは有名な話だ。
そして金総書記は、粗暴で反抗的な兄の正恩氏にむしろ手を焼いていたという。

2010年9月の労働党代表者会で正恩氏が公式に登場してからしばらく後、
歌唱力を認められた女性が、金正日総書記の私的な席で歌を披露したことがあった。

この席には、金総書記と事実上の婚姻関係にあった金玉氏や
正恩氏らが参加したが、金総書記は与正氏とばかり談笑し、
正恩氏は端の方でつまらなそうにしていたという。

正恩氏を巡っては、女性をめぐる醜聞や酒席などでの
「自分勝手な酒で、周囲に気を配らない」といった
悪評がたびたび漏れてきたが、金与正氏にはそうした話もない。

(https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E3%82%B1%E3%82%BD%E3%83%B3%E5%8D%97%E
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~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

このように「オフェンシブ(敵対行為)」と呼ばれていたものが
いつの間にか文字通りの平和的協調的姿勢として定義が書き換えられているのである。

これはかつて自分たちが仕組んだバッシング、それも見当違いだった主張を
隠ぺいするものだと解釈ても差し支えなかろう。

記事では金与正の変節を印象付けるために、
この「ほほえみ外交」の言葉を使っているが正直、呆れたのは言うまでもない。

与正の人物像を良くするために兄の金正恩を暗愚な人物と対比的に説明するのも
いささか強引だし、記事の末部ではいつもの通り、北朝鮮は金正恩のせいで貧窮な生活を
強いられていて、民衆の不満がたまっているというお約束の定型文が載せられている。

牧野氏の合法詐欺師ぶりはいつもの通りだが、
他も似たり寄ったりであり、2018年6月の米朝、南北対話を経てもなお、
日本メディアの北朝鮮に対する分析力や敵意は変わらなかったと言うことであろう。

それにしても、自分たちがかつて北朝鮮の融和路線に対して
悪意あるもの、真意は別にあると主張してきたことを棚に上げ、
ここ最近の北朝鮮の言動に対して強硬姿勢はやめよと説教するのは本当に痛ましい。

ちまたでは安倍晋三の退陣がほのめかされているが、
仮に安倍政権が崩壊したとしても、メディアがこの在り様では事態は何も変わらないだろう。


北朝鮮に経済制裁は効くのか

2019-03-05 00:12:03 | 北朝鮮
先日、ベトナムにて開かれた米朝首脳会談について
マスメディアは交渉が「決裂した」と報じている。

この点についての反論は後日述べるとして、
今回は北朝鮮が対話路線に変更したのは経済制裁が効いたからだという説を
論ばくしようと思う。


①北朝鮮は何を主張していたのか

まず、
北朝鮮は一貫して
米韓合同軍事演習の中止と引き換えの核実験停止
を主張してきた

ということを確認したい。


日米韓の北朝鮮ミサイル実験に対する茶番

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米国と韓国が軍事演習を停止すれば北朝鮮は核実験を停止する。
北朝鮮外相イ・スヨン氏が述べた。AP通信が土曜報じた。


「朝鮮半島での核軍事演習を停止してほしい。
 そうすれば私たちも核実験を停止する」という。

国には抑止手段としての核兵器を持つ権利があり、それが制裁に左右されることはない、
と大臣は強調。核兵器の開発は米国に促されたことだ、と改めて述べた。

これは西側メディアが北朝鮮の閣僚に行った最初のインタビューであるという。


http://jp.sputniknews.com/world/20160424/2017820.html


何のことはない。米韓合同軍事演習を中止してくれれば、
核実験を停止すると北朝鮮のほうから提案されていたのである。一週間も前から。

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この記事で私は
「北朝鮮の条件自体は10年以上前から何度も提示されているものだ。
 その都度、韓国とアメリカは北朝鮮の無条件の非核化を要求し、拒絶している。


 要するに、非核化に向けての協議は今すぐ始められるのに、
 それを毎回、「信用ならない」と言って、話すら聞こうとせず、
 軍事威嚇と経済制裁を続けているのはどこの国だということだ。」

と述べている。


なお、米韓合同軍事演習については
私が過去に書いた以下の記事を紹介したい。

米韓合同軍事演習とは何か1

北朝鮮はなぜ核を持とうとするのか



②2018年~2019年初頭に何が起きたのか?


以上の予備知識を得た上で、去年からの動向を追ってみよう。
ParsTodayの記事を列挙する。

朝鮮半島で米韓合同軍事演習

アメリカが北朝鮮に譲歩

アメリカが、韓国との合同軍事演習を当面中止

米韓合同軍事演習「フリーダム・ガーディアン」が中止


簡潔に述べれば

①北朝鮮からの苦言に応える形で

②米韓合同軍事演習が停止され

③同時に北朝鮮も核開発を中断している


のだが、これが北朝鮮の要求をほぼ丸呑みしたものとなっている
ことは、これまでに紹介した記事をもとに読めば明白だろう。


ここで考えてほしいのが

経済制裁が真に有効ならば
なぜアメリカ側の要求である核の完全撤廃がなされず、
代わりに北朝鮮の条件に従う形で軍事演習が停止されるのだろう


という問いである。


加えて、今回の対談直後に以下のニュースが流れたことも見逃せない。


米韓、大規模合同軍事演習を中止の意向

仮に米韓の関係が悪化したのであれば、北朝鮮の長年の悲願である
「キー・リゾルブ」、「フォール・イーグル」合同軍事演習の中止を
なぜ敢行しようとするのかについて解が得られない。


ましてや経済制裁が効いているのであれば、
わざわざ軍事的な威圧を解除する意味もない。


北朝鮮の筋書き通りに動く必要は全くない。



③今後の動きについて

本記事では、要するにアメリカが北朝鮮の要求を
ほぼ受け入れる形で交渉を行って「いる」こと

それこそが経済制裁が効かない何よりの証左だと主張してきた。


ちなみに、制裁下で北朝鮮がどのように経済を発展させてきたかについては
以下の過去記事が参考になるはずだ。


北朝鮮問題で池上彰氏が伝えないこと



結局のところ、アメリカが譲歩しない限り、北朝鮮の核が撤廃されることはない。

逆に軍事演習を停止し、平和条約を結び、
かつ北朝鮮をアメリカと同格の相手だとみなして交渉を続ければ
簡単に問題は解決される。


以上のことを私は2018年以前から何度も主張してきたつもりだが、
実際にそのように事態が動いているので、若干、後悔もしている。

つまり、もっと出版社やジャーナリストに売り込めば
2018年以降の雪解けを的中させた人物として本の一冊でも書けた

・・・はずがない。この1年のメディアの不変ぶりを観察する限りにおいては。

首脳会談の最中において、
北朝鮮は経済、国民の生活に支障をきたす項目に限り
制裁を解除することを引き換えに核物質生産施設の破壊を提案した。



北朝鮮、核・ミサイル実験中止に関する合意に署名する用意がある


今回、アメリカは北朝鮮の提案をける形で交渉を切ったが、
どのみち、条件に従わざるを得ないだろう。


北朝鮮にとっては、また開発を再開すればいいだけの話であり、
それを行う頃には今よりも国力を上げている。


シリアやベネズエラに対する圧迫的な政策を思えば、
皮肉な話だが、北朝鮮の核開発は結果的には功を奏したと言える。


メディアは相変わらず北朝鮮を悪魔化した報道を流してきたが
その間に北朝鮮は着実に露中米韓と関係を修復させてきた。

他方で去年から北朝鮮は日本を糾弾する主張を
以前より多く行うようになっている。


北朝鮮の孤立化を目指した結果、日本の方が孤立していた
などという事態はありえなくもないし、現に去年は蚊帳の外にされたし、今もそうである。

アメリカに歩調をあわせているつもりで
見当はずれの行動を取る前に、もう少し冷静に状況を分析するべきではないだろうか?


米朝首脳会談中止の背景

2018-05-27 00:55:12 | 北朝鮮
Pars Todayの記事より。


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アメリカ大統領が再び北朝鮮指導者との約束を反故に


北朝鮮が核実験場を閉鎖したにもかかわらず、
アメリカのトランプ大統領は来月に予定されていた北朝鮮との首脳会談を中止しました。

CNNによりますと、トランプ大統領は、24日木曜、
北朝鮮のキムジョンウン朝鮮労働党委員長に宛てた書簡の中で、
6月12日に予定されていた両国の首脳会談を断念するとしました。


また、この書簡の中で、中止の理由は、
北朝鮮のキムジョンウン朝鮮労働党委員長の
最近のメッセージによる「明らかな敵意と大きな怒り」だとしました。

さらに、この書簡で、自国の核能力を北朝鮮に対して誇示しました。


北朝鮮は公約どおり
外国人記者が参加する中で数回の爆発により、
プンゲリの核実験場を破壊しました。


一部の西側メディアは、
誠意ある行動として、この北朝鮮の行動を歓迎しました。

プンゲリの核実験場の破壊は、
南北朝鮮の首脳会談による成果の一つです。



双方は共同宣言により、朝鮮半島地域の核兵器廃絶、
朝鮮戦争の休戦の平和協定への返還、敵対的行動の中止
といった事柄に合意しました。


http://parstoday.com/ja/news/world-i44340
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会談中止の背景として以下の理由が挙げられると

ロシアアジア戦略センター所長ゲオルギー・トロラヤ氏
および吉林大学東北アジア研究院所長、巴殿君氏は語る。


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トランプ米大統領が会談を中止したのは
「熟慮されない突発的な反応」だとしてトロラヤ氏は次のように述べた。



「米国の内政要因が働いた可能性もある。
 譲歩しないようトランプ氏に圧力がかかり、
 そのため彼は金正恩氏が悪意ある発言を行ったと非難した。

 実際には正恩氏からの敵対的な発言は一切ないのだが。



シンガポールでの会談の準備をすすめるはずだった
米国側のメンバーが発表されたあと、
トロラヤ氏は会談実施の可能性を10%だと見積もっていた。


巴氏はまた、トランプ氏のチームが会談中止の一因だと述べた。


「双方は非常に短時間で両者を満足させる合意に
 こぎつけることを期待していたが、これは難しい。

 会談実施のために急いで作られた代表団が
 完全に『タカ派』からなっていた
米政権にとってはとりわけそうだ。


 この代表団は米国に存在する政治の方向性を全く1つにせず、
 会談への関心を示さなかったため、代表団には非常に多くの議論の余地があった。


 さらに、近ごろではトランプ氏が
 金正恩氏との会談中止を検討しているとの情報が漏れていた。

 彼は、北朝鮮による核実験場の施設爆破を待ち、そのあとに決定を発表した。」 



決定発表には「かなり意外な」タイミングが選ばれたとトロラヤ氏は述べる。


これは、北朝鮮が海外からの記者団を引き入れて
豊渓里(プンゲリ)の核実験場を盛大に閉鎖した日だった。


つまり、みなが北朝鮮に
核・ミサイル実験の凍結を呼びかけていた1年前に
楽観主義者が期待できた状態より一歩進んだことが行われたのだ。


しかも北朝鮮は
核実験を単に凍結したのではなく、
実質的に完全な中止を発表した。



つまり事実上、核実験禁止条約に加盟したのだ。
なお、米国は今に至るまでこの条約に加盟しておらず、するつもりもない。



同日、韓国の文在寅大統領は米国に訪問中だった。
トランプ氏の発表は「同盟国への平手打ち」であり、
米国は韓国の国益を考慮していないことを示した。

なぜなら、文大統領こそが
多くの点でこの会談の開催を促進してきたのだから。


巴氏は一方、双方は予定されていた会談の妨げとなった
障害を乗り越える必要があるとして、その障害について分析した。



「核兵器放棄の問題で
 北朝鮮と米国のアプローチを合わせることは非常に難しい。

 北朝鮮にとって重要なことは、段階的で均衡であることだ。
 米国は一方、北朝鮮に不可逆的で完全な放棄を求めている。

 トランプ氏の正恩氏に対する冒険的な行為が原因で、
 双方の深刻な政治的不信感が最近形成された。


 彼らの相互的な戦略的かつ外交的な動きは政治的不信感から、
 お互いにダメージを与える戦略形成に進化した。

 この政治への不信感は新たな危機の拡大につながりかねない。」

https://jp.sputniknews.com/opinion/201805254917442/
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ロシア科学アカデミー極東研究所・朝鮮研究センター
コンスタンチン・アスモロフ主任研究員も次のように語る。



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北朝鮮が望んでいるのは正真正銘の対話であり、
自らに対する一方的な圧力ではないと、

ロシア科学アカデミー極東研究所・朝鮮研究センターの
コンスタンチン・アスモロフ主任研究員は考えている。


「トランプ大統領は一度ならず、もし何かが自分の気に入らなければ、
 拳でテーブルを叩いて立ち去ると述べてきた。北朝鮮にも同じような権利がある。

 北朝鮮はこれまで、善意のジェスチャーを文字通り次々に示していた。

 その一方で米国側からは、
 制裁がさらに長期間続いていくとの声明が出されている。

 恐らく、北朝鮮指導部の忍耐力にとって最後の打撃となったのは、
 開始された米韓軍事訓練だった。

 ここでは、奇妙なことだが、
 平壌への爆撃の訓練が再び行われている
」。

トランプ大統領との6月の会談が北朝鮮の指導者によって中止されれば、
最近の南北首脳会談で最も顕著に表れることになった、
南北関係の前向きな傾向も最小限に抑えられてしまう可能性がある。


しかし、トランプ大統領は依然として、
金正恩朝鮮労働党委員長と「偉大な取引」を結ぶことを期待している。

だが、これが米国にとって外交的大失敗で終わることにはならないだろうか。


https://jp.sputniknews.com/opinion/201805184892083/
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ここ数日、北朝鮮はアメリカに対して
強い語気で批判を行っていた。



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朝鮮中央通信は16日、
南朝鮮が米国と連合空中戦闘訓練「マックスサンダー」
を行っていることを「板門店宣言に対する露骨な挑戦であり、
良好に発展する朝鮮半島情勢の流れに逆行する意図的な軍事挑発だ」
と非難する報道を発表。

同日に予定されていた北南高位級会談について
「中止する措置を講じざるを得なくなった」と明らかにした。



11日に始まった連合空中戦闘訓練には、
ステルス戦闘機F22ラプターなど、100余機の各種戦闘機が動員され、
25日まで行われる。当初、戦略爆撃機B52も動員される予定であったが、
北南高位級会談中止に関する報道が発表されるや、急きょ取りやめになった。



板門店宣言第2項では
「北と南は、朝鮮半島で先鋭化した軍事的緊張状態を緩和し、
戦争の危険を実質的に解消するため共同で努力する」と合意されており、
米国もまた、これを支持した。




通信は、
「南朝鮮当局と米国は、歴史的な4.27宣言のインクが乾く前に
 わが国に反対する大規模の連合空中訓練を行うことで、
 これまでわれわれが示した平和愛好的な全ての努力と善意に無礼、
 非道な挑発で応え、宣言の履行を望む全同胞と国際社会に大きな懸念と失望を与えている」と非難。


「善意を施すにも程があり、機会を与えることにも限界がある」としながら、

「歴史的な板門店宣言は、どちらか一方の努力では履行することができず、
 双方が履行のための有利な条件と環境を、力を合わせてつくっていってこそ、
 はじめて良い結実につながる」と板門店宣言履行のための双方の努力について強調した。



通信は、今回の北南高位級会談の中断と、
北南関係に難関と障害がもたらされたすべての責任は、
無分別に振る舞う南朝鮮当局にあると非難した。また、米国に対しては、

「南朝鮮当局と行っている挑発的な軍事的騒動の局面をもって、
 日程に上がっている朝米首脳対面の運命について熟考すべきだ」と警告。

「われわれは、米国と南朝鮮当局の今後の態度を鋭意注視している」と強調した。

http://chosonsinbo.com/jp/2018/05/yr201804517-1/
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一方的核放棄強要なら、朝米首脳会談考慮/
朝鮮外務省 金桂官第1次官の談話


米の敵視政策と核威嚇の終結が先決条件



朝鮮中央通信によると、朝鮮外務省の金桂官第1次官は16日、
談話を発表し、ボルトン米ホワイトハウス補佐官らが
来月の朝米首脳会談を前に、朝鮮に対して「先核放棄、後補償」
「リビア式核放棄」を主張していることを批判。


「トランプ政権が一方的な核放棄を強要するなら、
朝米首脳会談に応じるかどうかをあらためて考慮せざるを得ない」
と表明した。


談話は、金正恩委員長の崇高な志に応えて、
トランプ大統領が歴史的根源の深い敵対関係を清算し、
朝米関係を改善しようとする立場を表明したことについて肯定的に評価し、
朝米首脳会談が朝鮮半島の情勢緩和を促し、素晴らしい未来を
建設するための大きな歩みになるだろうと期待していたと前置きしながら、
米国において対話相手を甚だしく刺激する妄言が吐かれていることに失望感をあらわにした。



談話は、米国の「リビア式核放棄」
「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」
「核、ミサイル、化学兵器の完全廃棄」などの主張について

「対話を通じて問題を解決するのでなく、
大国に国を丸ごと委ねて崩壊したリビアやイラクの運命を
わが国に強要する不遜な企図の現れだ」と非難。


「米国のこのような行為に怒りを禁じ得ず、
米国が果たして健全な対話と協議を通じて
朝米関係改善を望んでいるのかを疑う」と指摘した。



談話は、朝鮮が既に朝鮮半島非核化の用意を表明し、
このためには、米国の対朝鮮敵視政策と核の威嚇を終結させることが
先決条件になると何度も宣明したことを想起させながら、

「米国は、われわれが核を放棄すれば経済的補償と恩恵を与えると言うが、
われわれは1度も米国に期待を掛けて経済建設を行ったことがなく、
今後もそのような取引を絶対にしない」と強調した。


談話は、
「トランプ政権が朝米関係改善のために誠意を持って
朝米首脳会談に出てくる場合、われわれの相応の呼応を受けることになるが、
われわれを隅に追いやって一方的な核放棄だけを強要するなら、
われわれはそのような対話に興味を持たないし、
朝米首脳会談に応じるかどうかをあらためて考慮せざるを得ない」と表明した。

http://chosonsinbo.com/jp/2018/05/yr20180517-2/
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先ほど放送されていた『新情報News7Days』では

明治大学の講師が大声で
首脳会談が中止になったのは
北朝鮮が揺さぶりをかけすぎたからだと説明していた。

①平壌攻撃を想定した
 マックスサンダー作戦への非難 

(ステルス戦闘機F22ラプターは
 斬首作戦に最も適した機体との見解もある)

②リビア式の一方的な核放棄に対する非難

「対話を通じて問題を解決するのでなく、
 大国に国を丸ごと委ねて崩壊したリビアや
 イラクの運命をわが国に強要する不遜な企図の現れだ」

「米国のこのような行為に怒りを禁じ得ず、
 米国が果たして健全な対話と協議を通じて
 朝米関係改善を望んでいるのかを疑う」

これらの発言が「揺さぶり」に該当するのだそうだ。

核施設の爆破についても
海外メディアが注視するなか、大々的に行われたものだったが、
これについても「専門家を呼ぶ約束を破った」と非難、
暗に破壊したのかどうか疑わしいという見解を示した。

(専門家を招く約束が本当にあったかは不明。
 少なくともこの講師以外にそのような取り決めが
 あったとはニュースサイトを調べた限り、見受けられなかった。
 全くの嘘だとは言わないが、出所を示して欲しいとも思う)


客観的にみれば、

北朝鮮は、韓国と協調しつつ対話路線を呼びかけ、
核実験施設を爆破し、軍事的示威行動を行わない方向へ転身したのに対して、

アメリカは、軍事演習を続行し、経済制裁を解く気配もなく、
一方的な核放棄を求め、先制攻撃、爆撃も辞さないという態度。


これに対して非難することが「ゆさぶり」になるらしい。


こうした見解は、おおよそ
北朝鮮のやることは信用ならないという
先入観に基づいたものだと言えるだろう。


すでに日本では、
実験施設の爆破は政治ショーだと評価する専門家も少なくない。

だが、考えてほしい。

仮に北朝鮮が爆破を中止したならば、
それはそれで約束を反故にしたと激怒するのではないだろうか?


アメリカの北朝鮮に対する不実な姿勢に対して
全く非難しないのも奇妙である。


少なくとも番組内に登場した明治大講師は
マックス・サンダー作戦やペンス氏の発言については
一切、取り上げなかったし、番組自体も
なぜかこの箇所をカットして朝鮮中央通信の記事を紹介していた。



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朝鮮中央通信によると、朝鮮の崔善姫外務次官は24日、
米国のペンス副大統領がFOXニュースとのインタビュー(21日)で
朝鮮の核問題で軍事的対応の排除を否定し、「リビアのように終わるだろう」
などと発言し、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」を
主張したことを非難する談話を発表した。



崔次官は、ボルトン国家安全保障担当補佐官に続き、
ペンス副大統領までもが朝鮮に対し、
リビアの轍を踏むだろうと力説したことについて、


「われわれは、リビアの轍を踏まないために高い代価を払って自分自身を守り、
 朝鮮半島と地域の平和と安全を守ることのできる強力で頼もしい力を育てた」と指摘。

「この現実をいまだに分からず、
 われわれを悲劇的な末路を歩んだリビアと比べるのは、
 米国の高位政治家が朝鮮をあまりにも知らない」と非難した。


崔次官は
「米国が先に対話を請託したにもかかわらず、
 われわれが要請したかのように世論をミスリードする底意が何なのか、
 果たして米国がここから何を得ようと打算しているのか分からない」としながら、


「われわれは米国に対話を哀願しないし、
 米国がわれわれと対座しないというなら、あえて引き止めない」と強調した。


そして、
「米国がわれわれと会談場で会うのか、
 核対核の対決場で会うのかは全的に米国の決心と行動に懸かっている」としながら、

「米国がわれわれの善意を冒涜し、非道に振る舞う場合、
 朝米首脳会談を再考する問題を最高指導部に提起する」と表明した。

http://chosonsinbo.com/jp/2018/05/yr20180524-1/
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上の記事から
最後の「われわれは米国に対話を~引き止めない」だけが
抜き出され、その前の北朝鮮への攻撃を示唆するアメリカの発言はカットしていたのである。


つまり、アメリカは北朝鮮の行き過ぎた揺さぶりについて対処したにすぎない
というのが日本メディアの見解だった。


このアメリカ完全無罪論を前提とした解説に私は唖然としてしまった。


軍事演習の継続にリビア式の解決方法の示唆。
これは揺さぶりや挑発というものにならないのだろうか。


アメリカはどれだけ挑発的な発言をしても許され、
北朝鮮は実験施設を爆破しても疑われる。


これが日本のメディアやエキスパートの姿勢なら
確かに日本がこの問題で蚊帳の外にされたのも納得がいく。


現在、森友問題や加計問題で顕著なのが、
証拠や証言が出てきても「これはこういう意味なのだ、あれはそういう意味なのだ」
と都合の良い解釈をして、現実を直視しようとしない政治家の態度だが、

実のところ、これは専門家やジャーナリストを含む
日本の北朝鮮に対する姿勢にも通じるものではないだろうか?


蚊帳の外なのは左翼も同じ①―南北朝鮮の歴史的な対談について―

2018-05-03 23:32:30 | 北朝鮮

南北朝鮮の歴史的な和解のセレモニーが開かれ、数日が経つ。

この間、何かコメントを書こうとしてきたが、
またしても多忙を理由に記事に上げるのを躊躇してきた。


手前みそだが、
当サイトの過去に挙げた記事を読めば
北朝鮮を巡る政治情勢が如何に日本のメディア(と大多数の知識人)
の言い分と食い違うか自ずと知れるはずである。

わざわざ書かなくても
もう一度読めば、伝わるはずだと甘えていたのかもしれない。



話を元に戻そう。



左翼・自称リベラルは、この対談を呑気に歓迎しているが、
私はどうも楽観視することができない。



それは、この対談(雪解けの動き)が
日本の平和主義者が参加しない形で進められたからだ。




①北朝鮮の脅威など存在しない
②平和条約の締結と合わせた核廃棄を北朝鮮は当初から提案し続けている
③一方的な武装解除を求めて経済的軍事的圧迫をかけても効果はない


以上、3点を4~5年前から繰り返し具体的に説明してきたのだが、
この考えが日本の政治家や知識人の間に浸透するよりも先に
米韓の政治家のほうが動いた。


これは換言すれば、日本の左派が継続的に
アメリカや日本、韓国の軍事的経済的包囲網に
異議を唱えてきた苦労が報われたというよりは、

平和の旗を振りながらも、いざ北朝鮮が相手となると
途端に政府と一緒に北朝鮮を悪魔化してきた過程で
ふと湧いてきたにすぎないと言えよう。


実際、大半の平和主義者は核のことには言及しても
さらに踏み込んで経済制裁の完全撤廃、ならびに
朝鮮半島からの米軍撤退を主張してはいない。


北朝鮮が核を捨てるか否か。

ただ、それだけが彼らの関心事であり、
肝心の北朝鮮の民衆の生活や安全の確保には
さして興味がないのではないだろうか?

そう思えてならないのである。


・・・とこれだけ書いても、
言葉不足でやや説得力がないだろう。


生憎、時間が足りないので
詳しいコメントは明日の夜に改めて書くつもりだ。


繰り返すが、私が気にしているのは

一連の和解は、政府のみならず、
日本の平和運動の北朝鮮に対する敵意を骨抜きにして
進められたものであり、安倍だけでなく左翼も蚊帳の外にされていた


という事実について、当事者があまりにも無自覚ではないかということである。


今後の交渉・行動自体では、
北朝鮮はまた核開発に着手するかもしれないが、
その時に日本の平和主義者は北朝鮮の側に立って弁護できるだろうか?


核をなぜ手放せないのか(その理由はこれまで何度も説明してきた)
について、特に考えず、核開発を行うという理由をもって、
また政府と並んで北朝鮮バッシングに奔走しないだろうか。


そのような不安が拭えないのである。

(2へと続く)



五輪の最中でも北朝鮮バッシング

2018-02-13 23:51:57 | 北朝鮮



平昌オリンピック開会式で実現した南北和解のセレモニーは
世界中から喝さいを持って受け入れられた。日本を除いては。


NHKは、開会式中継ではこの式を歓迎する態度を示したが、
その裏では上のように北朝鮮の軟化は裏があるのだと扇動している。

インターネット上の極右論者ならいざ知らず、
国有メディアがイエロー・ジャーナリズムに奔走する姿は
民主主義国家でも類を見ないのではないだろうか?



仮に韓米同盟の分断が狙いだというのが事実だとしても、
それがなぜ悪いのかについてメディアは何も語らない。


韓米同盟は大事なのだ。分断してはならないのだ。
北朝鮮と和解してはならないのだ。あってはならないのだ。


以上の教義を反芻して憎悪を込めて祈りを捧げ、
なぜ大事なのか、なぜ分断してはならないのかを考えようとしない様は、
あたかもカルト教団の信者のようである。


歴史的には朝鮮半島こそ 米ソによって分断された地域だ

これに関して北朝鮮は一貫して南北の統一、それも米ロが干渉しない形による
各自の政治体制を維持しながらの合併的統一を提言してきた。


軍事演習の中断および平和条約の締結を伴う核開発の中断。
これも10年以上、幾十、幾百も叫ばれてきたものである。
(この提言を中露はダブルフリーズと名付け支持している。)

よって、北朝鮮が軟化したというのは正確ではない。
正しくは韓国が軟化したのである。

そして韓国の「ほほえみ外交」は 経済制裁の解除や在韓米軍の撤退を意味するものではない。

依然、北朝鮮は医薬品や食料品、生活用具、スポーツ用品といった
非軍事的な製品すら経済制裁によって購入できない状態にある。

(このような兵糧攻めを日本政府および日本メディアは当然視し、  
 圧力を弱めるなと絶叫する)

そのため、今回の和解は本格的なものではなく、
今後に備えての下ごしらえといった程度におさえるのが妥当だろう。

実際、北朝鮮も核開発を中断したわけではない。
朝韓両国、そして米国もそれを前提とした上で
着地地点をどこにするかで駆け引きを行っている中、
土俵の外側から「圧力をゆるめるなぁっ!」と老人が奇声を発している。

これが現実である。


それにしても、アメリカも含めて雪解けに積極的であるなか、
日本政府および日本メディアの憎悪に満ちた攻勢は異常に感じられる。


先ほど、NHKが金正男暗殺事件から1年が経過したことを伝え、
新事実として北朝鮮による正男殺害の証言が得られたかのような報道を行っていた。

実際には中国の幹部が正男を後継者にしようとする旨を
張成沢が話していたというだけにすぎず、北朝鮮の関与を裏付けるものではなかった。

正男暗殺事件については

実行犯であるアジア人女性が北朝鮮の関与を証言していない、
容疑者として逮捕された北朝鮮国籍の男性が証拠不十分で釈放される、
猛毒であるVXを手に塗れば暗殺者も死亡する、
そもそも北朝鮮犯行説を捜査に関わっていない韓国の工作機関が主張している
等々の状態で、

一言で言えば
北朝鮮の仕業に違いない
なぜなら兄弟仲が悪かったからだ


金正恩には動機がある。
だから犯人だ。

というレベルの報道を2か月以上にかけて
連日、テレビジョンや新聞、パソコン画面に垂れ流しにするものであった。

これは「ニュース」と呼ばれていたが、
私に言わせれば「詐欺」以外の何物でもない。



物的証拠どころか状況証拠ですらない証言を理由に
正男殺害の犯人を北朝鮮と断定し、バッシングを意固地に続けるNHK。

NHKのみならず、全国紙も民放も同じスタイルだ。
そして世論調査すら雪解けのムードを否定的にみなしている。


実に不思議な現象だ。


これは檻に手を突っ込み、熊の鼻をペチペチと叩く行為に等しいのだが、
彼らはそのような愚行を続けることで熊にかじられる可能性が出てくることを考えないのだろうか?


北朝鮮は日本国が改憲・軍拡するものなら
敵国とみなし、非常時には攻撃を加えると明言している。

これに対して日本政府は
「北朝鮮は危険だぁ!改憲だぁ!軍拡だぁ!」と答えている。

意味がさっぱりわからないのだが、
メディアも声をそろえて「そうだ、そうだぁ!」と連呼している。


火の用心と言いながら
ガソリンに火をつけるようなものだ。



良い加減、こういう自殺行為に対して
どこかの誰かが批判すべきではないだろうか?

残念ながら、岩波書店も週刊金曜日もそうした批判はせず、
個人で行っているサイトも声が小さすぎて大衆には声が届かない。

とはいえ、書くという行為自体には意味があると思う。


10月に記事を書きあげて以降、3か月半、 多忙を理由に執筆を中断していた。

だが、この間に日米韓侵略トリオの経済的軍事的脅迫は拍車がかかり、
それを報道機関が手放しに礼賛、支持するというナチ政権さながらの状況になってきた。

今思えば、あの時にこそ声高に「否」と叫ぶべきだった気がする。

今年は今年で多忙極まる気がしてならないが、
それでも北朝鮮関連の記事だけは書き続けるつもりである。
意味はないのかもしれないが、それでも書かなければいけない気がする。


ミサイルは領空を通過したのか?

2017-10-21 21:55:09 | 北朝鮮
ミサイル発射。ミサイル発射。
北朝鮮からミサイルが発射された模様です。頑丈な建物や地下に避難して下さい。


黒塗りの画面に白文字で大きく連呼される「ミサイル」の文字。
今年8月末に発信されたJアラートのメッセージである。


内容があるように見えて、その実、何一つ明確な情報が告知されていない。
これは安倍政権ならず日本のマスメディアの病巣を象徴したものだと思われる。


そこで本記事では、ミサイルは実際に領空を通過したのかを考察してみたいと思う。


北朝鮮ミサイル通過、その時何が起きたのか
(http://fingfx.thomsonreuters.com/gfx/rngs
 /NORTHKOREA-MISSILES-LJA/010050LF1DV/index.html)



まず、北朝鮮の弾道ミサイルは宇宙空間を通過していることを指摘したい。


ミサイルが日本「上空」を通過した際の高度は約500kmだった。


旅客機が飛行する際の高度が10km、
国際宇宙ステーションの軌道高度が408kmであることを踏まえれば
想像がつくだろうが、これは日本の領空外域である。


この点は英語だと更に明確に表現され、
発射直後には「through Japan’s airspace」と表現されたが、
後に「over Japanese territory」と訂正された。

(https://www.rt.com/news/403380-north-korea-pyongyang-missile/
 https://www.theguardian.com/world/2017/aug/29/whats-the-mood
 -like-in-japan-after-north-korea-missile-launch)



つまり、弾道ミサイルは日本列島を立体的に迂回して飛翔したのだが、
発射地点と落下地点を直線で結ぶと襟裳岬と交差するので、
あたかも日本の空をミサイルが通り過ぎて行ったかのようなイメージが拡散された。


そもそも、放物線を描きながら宇宙空間を通過し目標を破壊するのが弾道ミサイルである。
通常のミサイルと混同した説明をする人間が多いが、
それは基本的な軍事知識がない人間が国家の一大事を賢しらに語っていることを証左する。



日本の反応は例えるならば、
自宅前の道を行く歩行者に悲鳴を上げているようなもので、
傍から見れば「理解不能」「異常」「狂気」じみている。


と思ったかどうかは知らないが、このヒステリックな反応には
米ニューヨークタイムスも、きちんと言及している。

(https://www.nytimes.com/2017/09/14/world/asia/north-korea-missile.html?mcubz=1)



重要なことは、日本には北朝鮮のミサイルを防ぐ手段がないということである。


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「米国のパトリオット」は東京を守ることができるか?


~中略~

軍事専門家のウラジーミル・エフセエフ氏は、
「パトリオット」(PAC3)配備による日本の措置について、
北朝鮮のミサイル脅威から東京を守るには全く不十分だとの見方を示している。


同氏は、それは最も単純な理由によるものだと指摘し、
米国のパトリオットはこの目的のためにつくられたものではないからと述べ、次のように語っている-


「迎撃ミサイルシステム『パトリオット』は対空システムであり、ミサイル防衛システムではない。
 その弾道ミサイルの迎撃能力の有効性はかなり低い。なぜなら射程高度が20キロ未満だからだ。

 仮にミサイルの危険性のある方向に『パトリオット』(PAC3)が配備されたとしても、
 例えば政府庁舎が多く集まる地区など、ごく限られたエリアしか守ることができないだろう。

 『パトリオット』(PAC3)は、日本のあらゆる地点に到達可能な
  北朝鮮の『ノドン』あるいは『ムスダン』などの弾道ミサイルから東京全体を守ることはできない」。


ではなぜパトリオットは東京に配備されたのだろうか?エフセエフ氏は、次のように語っている-


「このようなシステムは、9.11テロ後にホワイトハウス周辺に配備された。

 だが私は、これが実際に非常に必要なことであるとは、それほど確信できない。
 ミサイル防衛に最も効果的なのは、
 ミサイル発射から数千キロの距離で標的を迎撃できる米国のTHAADやイージスシステムだ。


 しかし弾頭の迎撃という面では、もし標的が軽量の偽の標的で覆われている場合、
 これらのシステムの能力も限られる。迎撃は、大気の厚い層でのみ可能となる。
 なぜなら、より上の層では実際の標的と偽の標的を区別するのが不可能だからだ」。

https://jp.sputniknews.com/opinion/201709074061689/
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北朝鮮ミサイル厳戒 PAC3、緊張の迎撃シナリオ
(https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS14H6P_U7A810C1EA1000/)

PAC3の迎撃能力は以上のようなものだが、
安倍政権はミサイル発射に向けてよりによって、このPAC3を配備していた。



私が危惧しているのは、扇動目的のフリではなく、
どうも安倍政権が本気で竹やりをもってミサイルを迎え討とうとしているらしい
という点なのである。


北朝鮮は頻繁にアメリカの敵視政策を非難し、
ミサイルはアメリカを標的にしており、いつでも発射可能と警告している。


ところが、これを日本は何故か自国を狙ったものだと解釈し、
無用の兵器を配備し、改憲を望んでいる。






あくまでギャロップ社の世論調査にすぎないが、
他国の民衆の多くが外交による解決を望んでいるのに対して、
日本人だけは半数が軍事的解決を切望しているという凄まじい様相を呈している。



これもまた例えれば、ある人間がニューヨーク・ヤンキースを嘲笑したところ、
なぜか隣にいた人間が「反日め!」と絶叫したようなもので、全く意味がわからない。


ヤンキースの場合、日本人選手がいるのでまだ理解可能だが、
アメリカを標的にしたミサイルが日本を狙っているという解釈がなぜ通るのだろうか。


思い当たるとすれば、本記事で述べたこと、
すなわち、立体的に日本領を迂回している弾道ミサイルを
あたかも日本領を通過したかのように報じ、騒ぎ立てたマスメディアの働きが背景にあるのだろう。



メディアが伝えるべきは
日本にはミサイルを防ぐ手立てがない、北朝鮮が現時点では日本を狙ってはいない、
ただし日本が改憲し、本格的に参戦してきた場合は容赦なく標的にされる、
にも拘わらず与党が「この国を守り抜く」と語り改憲を狙っていることだろう。


闘牛の前で赤旗をヒラヒラふり回すことが日本を守ることになるのだろうか?
この点を追及し、彼らのペテンを暴くことではなかったのではないだろうか?


事前情報では明日の選挙は与党の大勝になるらしい。
素人が赤旗を闘牛の前でヒラヒラすることを支持する大衆。


日本はイラク戦争の際と同じ道を歩むのだろうか。

米韓合同軍事演習とは何か

2017-10-21 20:43:56 | 北朝鮮
時事通信社の記事より。


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【ソウル時事】

北朝鮮の対米関係団体は18日、報道官声明を出し、
米韓海軍が16日から朝鮮半島周辺で始めた合同海上演習について、
「緊張局面を最悪の爆発限界線へと追い込んでいる」とした上で、
「われわれ独自の超強力対応措置」が十分に準備されており、
「適切な自衛措置が任意の時刻に断行される」と威嚇した。


北朝鮮国営の朝鮮中央通信が19日、伝えた。

2000年に「原爆保有」明言=故金総書記がロ大統領に



声明を出したのは「北侵核戦争演習反対全民族非常対策委員会」と称する団体。
米原子力空母「ロナルド・レーガン」などが参加した演習を「危険千万な軍事的挑発」
「国家武力完成の終着点へ向けたわれわれの前進を阻もうとする断末魔的なあがき」と決め付け、
「予想外の時刻に想像できない打撃に直面することを覚悟しなければならない」と警告した。
(2017/10/19-11:32)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2017101900320&g=prk

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実際には朝鮮中央通信はどのように報じているのだろうか?



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【平壌10月18日発朝鮮中央通信】



米国と南朝鮮のかいらい一味が、
16日から朝鮮の東海と西海で史上最大規模
連合海上訓練を強行して現緊張局面を最悪の爆発ラインに追い込んでいる。



すでに、訓練水域に展開した米国の原子力空母ロナルド・レーガン打撃団と
ミシガンをはじめ3隻の原潜、イージス駆逐艦を含む40余隻の各種の戦闘艦船と
戦闘機が濃い火薬のにおいを漂わせながら戦争狂気を振るっている。




米国とかいらいは訓練が終わった後も、
核戦略資産を南朝鮮とその周辺水域に配備し続けて、

10月末頃に米原子力空母セオドア・ルーズベルト打撃団を追加投入して
もう一度の大規模の連合海上打撃訓練を行おうとしている。



23日からは
南朝鮮に居る米民間人を海外に迅速に退避させるための
「ネオ訓練」(非戦闘員後送作戦)まで強行する
ことによって、
戦争前夜の緊張を意図的に醸成しようと画策している。




北侵核戦争演習反対全民族非常対策委員会
(全民族非常対策委)のスポークスマンは18日に発表した声明で、
これは米国とかいらいが「対北先制攻撃」を既定事実化し、機会をうかがって
朝鮮半島でなんとしても戦争の火ぶたを切ろうと企んでいることを実証していると暴いた。



スポークスマンは、
敵が今回の訓練がわれわれに加える実際の打撃行動の誇示になると唱えているだけに、
それを一撃のもとに無用の長物につくってしまう
朝鮮式の超強力対応措置が十分に取られているということも知っておくべきだとし、
次のように強調した。



特に、われわれが第1次的撃滅対象に定めておいた
敵撃滅の標的をわれわれの面前に近く送り込んで無謀に振る舞っていることによって
予想外の時刻に想像外の打撃に直面することになるということを覚悟すべきであろう。



目前の破局的災難を感得できずに米国の核戦略資産を領域に引き入れて
南朝鮮全土を史上最悪の核の戦場につくったかいらいもやはり、無事ではないだろう。


http://www.kcna.kp/kcna.user.article.retrieveNewsViewInfoList.kcmsf#this
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このように中央通信では
現行の米韓合同軍事演習の実態を詳細に記述しているのだが、
時事通信社の記事では、それらの個所が全てカットされている。



北朝鮮の領土近辺で最新鋭の軍艦がズラリと並び、
自分たちを攻撃することを想定した演習が行われている。

その中には在韓米国人の救出作戦まで演習されている。


先制攻撃を選択肢に入れているゆえの行動だと捉えるのはごく自然な反応だが、
時事通信社は「決めつけ」と根拠もなく断じている。



中央通信はこういう記事も載せている。


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談話によると、10日、
米軍部の上層は国防総省庁舎でトランプに対朝鮮軍事的方案を報告しながら、
先制攻撃を行うが可能な限り全面戦争が起こらないようにし、
自分らの損失は最少にし、不意の打撃で最短期間に速戦即決できる軍事的選択案を集中的に論議した。



その中でサイバー戦を配合した「斬首作戦」が最も適中した方案に設定され、
これに従って偵察衛星と無人偵察機のような先端偵察監視手段による北の最高首脳部の正確な位置把握、
核戦略爆撃機をはじめ遠距離打撃手段による精密打撃、
準備された特殊作戦部隊浸透による北の中核施設と核・ミサイル基地に対する破壊、
悪性ウイルスのストゥックスネットなどを導入したサイバー戦の活用問題を長時間にわたって謀議したという。



談話は、これは米国が最も危険極まりない戦争シナリオに従って
事実上、われわれに対する宣戦布告のない戦争を開始したということを示しているとし、
次のように強調した。




朝鮮半島はそれこそ、核戦争の爆発を止めがたい最悪の状況に瀕した。
火を好む戦争狂らを無慈悲に火で馴らすのは、チュチェ朝鮮の変わらない断固たる対応方式である。



わが最高首脳部にあえて挑戦する者は地球上のどこにいようと、
千丈(せんじょう)の深い地中を探ってでも最後の一人まで徹底的に掃討するというのが、
わが軍隊と人民の胸で恐ろしく爆発している敵撃滅の気概である。

------------------------------------------------------------------


自分らの損失は最少にし、
不意の打撃で最短期間に速戦即決できる軍事的選択案を集中的に論議した。



その仔細に加えて紛争時の米国人救出作戦の訓練の実施。
これを「防衛目的で日頃から行われている他意の無いもの」と
決めつけることこそ、噴飯物だろう。




もっとも、これに加えて
一部の訓練は自衛隊も参加していることを忘れてはならない。



日本、韓国、アメリカの3カ国が合同軍事演習
(http://parstoday.com/ja/news/world-i19135)



日本の行動は虎穴の傍で銅鑼を鳴らし、
トラが姿を現すと「危険だぁっ!」と絶叫しているようなものだ。



馬 鹿 としか言いようがない。


しかし、こうなったのもマスメディアによる
北朝鮮の悪魔化が激烈だったこと、それは現在も進行中であることが背景にある。



さしづめ、安倍と一緒に銅鑼を鳴らしていた人間が
いざ武装して突撃せよという命令が下されそうになるやいなや、
「平和国家、日本!」と叫ぶようなものか。彼らには知性が存在しないのではないだろうか?


衝撃スクープ?金正男暗殺の真相

2017-10-08 21:34:21 | 北朝鮮
韓国の情報機関、国家情報院(通称「国情院」)が
どのような組織であるかを知るには次の記事を読むと良い。


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ブラックリストの芸能人、国情院の予告どおり追い出し



国家情報院(国情院)の「ブラックリスト芸能人」追い出し作業は想像以上だった。
29日、「ハンギョレ21」が確認した芸能人ブラックリストに
関連した国情院の文書14件の内容によると、国家情報機関が全方位的に、
また持続的に該当する芸能人たちの追い出しに尽力した
具体的な情況を把握することができる。





まず、国情院がブラックリストの芸能人らの追い出し時期と
方法まで子細に言及した部分が目を引く。



2011年7月に作成した「MBC左傾向出演者の早期追い出し施行」報告書によると、
「4月にキム・ミファ、7月にキム・ヨジンを降板」、
「後続措置としてユン・ドヒョン、キム・ギュリを8月ごろ交替予定、
10月秋の改編の際にシン・ヘチョル、キム・オジュンも降板させ交代させる方針」など、
多くの芸能人らの追い出し時期と方法を言及している。


実際、ユン・ドヒョンは同年9月に文化放送のラジオ番組「2時のデート」から、
キム・オジュンは10月に「風変わりな相談所」からそれぞれ降板した。



オン・オフラインの「世論工作」が試みられた情況も見られる。

「VIP(大統領を指す)に言葉テロを加えて国家元首の名誉を失墜」させたと
名指された放送人のキム・グラや歌手のキム・ジャンフンの場合、
「アンチ勢力を活用した萎縮」を試みた。



実際、国情院が報告書を作成した時点を基点に、
キム・グラの場合、過去の暴言の動画などがコミュニティサイトに配布され、
キム・ジャンフンは偽りの寄付論議に巻き込まれた。


当時は国情院心理戦団と軍サイバー司令部の活動が活発だった時期でもある。


http://japan.hani.co.kr/arti/politics/28614.html
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国情院の歴史を辿ると、その前身は植民地時代の特高にたどり着く。
終戦後、特高の組織を継承した形でKCIAが発足、軍事政権下、
反対派の活動家および容疑者を拘禁、拷問を繰り返した。


日本メディアは全く注目していないが、朴槿恵の事実上の親衛隊として
思想弾圧に加わった国情院の余罪追及は未だに継続している。






金正男暗殺、北朝鮮工作員の手口と謎の愛人
たった500ドルの報酬で彼の命は奪われた


10月8日夜の特番にむけたダイジェスト記事が東洋経済に記載されている。
「真相」と銘打っているが、実際には既存のニュースを映像化しただけのもので、
 事実、同サイトの検索欄に「金正男」と打ち込んでやれば同様の記事がヒットする。


注目すべきは
なぜか北朝鮮の工作員の仕業と断定していること。



クアラルンプールの旅客数は2015年度で4893万8424人。
1日当たり100万以上の人間が利用している。

その中で当日、空港市内にいた北朝鮮の人間のみを「容疑者」に絞り上げ、
見込み捜査を始めたわけだが、当然、これといった証拠も発見することが出来ず、
結果、ほぼ迷宮入りとなって事件は終息した。


金正男氏殺害事件の新委曲 リ容疑者、捜査は謀略と非難

容疑者として拘束された北朝鮮の出稼ぎ労働者は証拠不十分で釈放後、
マレーシアから国外追放された。人権侵害だが、非難するメディアはなかった。


さて、この事件に対しては以下のような論評がある。


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大騒ぎは米南日のマスコミだけ、
海外から見たクアランプール事件

/李東埼



完敗したCIAと国情院の謀略劇

マレーシアのクアラルンプール国際空港で2月13日に死亡した朝鮮公民の遺体は、
両国の共同声明にもとづき3月30日、朝鮮側に引き渡された。



共同声明は「両国は、ビザなし渡航の再導入について肯定的に討議することにし、
双務関係をより高い段階へ発展させるために努力することで合意した」と明記した。



マレーシア警察は朝鮮民主主義人民共和国の公民に嫌疑をかけると
同時にビザなし渡航を一方的に廃止した。その、ビザなし渡航を復活させるというのである。



これはとりもなおさず、嫌疑を撤回するという意味である。
さらに両国関係をいっそう緊密化するとも言っている。


これには、朝鮮の威信と名誉を故なく汚したことへの、反省と謝罪が込められていると見てよい。



恥知らずの日本マスコミ



CIAと南朝鮮の国家情報院が、
マレーシアの一部不純分子を巻き込んで敢行した一大謀略劇は完敗し、醜態をさらした。
この間、日本では狂乱的な「北朝鮮たたき」が吹き荒れた。恥を知るべきだ。



海外ではどうだったのか。


清華大学客員教授・鄭己烈氏は、
3月下旬時点で世界中のウェブサイトに上った
同事件関連の報道、論評は10余編にすぎず、それも「米韓日の報道に批判的なのが大部分」という。




中国、ロシアの両政府は、
米日南の報道とマレーシアの発表を疑っている。




人民日報の海外向けソーシャル・メディア「侠客島」は
「今回の事件で利益を得るのは韓国の保守層だ」と書いた。



元ジャパンタイムズ編集長で、調査報道専門記者として
世界的に有名なヨイチ・シマズ氏(日系米人)は3月の早い段階で
「CIA・国情院の犯罪者たちが演出したマレーシア空港事件」と題する詳しい論評を発表した。




見せびらかす劇場型暗殺


事件は空港の雑踏の中、監視カメラの下で行われた。
こっそり殺すのが暗殺。だがこれは、見せびらかす劇場型暗殺である。
マスコミを動員し朝鮮を窮地に追い込むためなら極めて効果的といえよう。



事件当時、CIAなど米政府内のタカ派が
3月初予定の朝米非公式会談をつぶそうと必死になり、
南朝鮮の与党と保守派は朴槿恵弾劾を阻止すべくあせっていた。


「北朝鮮の脅威」で朝米会談も朴槿恵弾劾も吹き飛ばそうとすれば、
 これほど絶妙のタイミングはない。



重大な捜査サボタージュ



マレーシア警察の発表をみると、重大な捜査サボタージュが発見できる。



(1)金氏が空港に入る前の行動をなぜ捜査しないのか。
(2)監視カメラには金氏をはさんで2人の男が一緒に歩いている。なぜ彼らを捜査しないのか。
(3)VXを素手で扱った容疑者はなぜ死なないのか。
(4)女性容疑者の南朝鮮行きについて、なぜ捜査当局は沈黙しているのか。


ヨイチ・シマズ氏は、金氏が空港に入る前にカフェで毒を盛られたと推理している。


なぜマレーシアなのか



09年に就任したナジブ・ザラク現首相は汚職まみれ。
15年には国営マレーシア開発有限公社からの巨額横領が発覚。
彼の腹心ザヒド・ハマディ氏と賭博王ポール・プアの腐れ縁もそれ以前に発覚した。


資金洗浄を依頼したゴールドマンサックスを通じてCIA、FBIは証拠を握った。
こうして現首相は米国の「奴僕」となった。マレーシアはでっち上げに最適の舞台だった。
事件後、親米サウジアラビアは、対マレーシア70億ドル巨額投資を発表した。

 (ジャーナリスト)

http://chosonsinbo.com/jp/2017/04/0407jy/
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Demonization Campaign:
ROGUE CIA-NIS Agents STAGED Murder Of Kim Jong Nam



島津洋一氏の評論は上のページから閲覧可能。かなりの長文だが読みごたえがある。



実行犯に当たる女性2名は
日本人を名乗るアジア人に依頼されたと告白しているが、
フジテレビ取材班はこれを強引に「日本人を装った北朝鮮工作員が声をかけた」と解釈。


誰が初めに工作員の仕業と決めつけたのか。
何を隠そう、その人物こそ国情院院長、リ・ビョンホ氏である。


「犯行直前の工作員たちの動きが今回の取材で判明した。
 空港内で入念な下調べをした後、女実行犯たちと合流、
 金正男氏への襲撃の指示を出す様子なども明らかとなった。
 女たちの手には、工作員によって謎の液体がつけられる。」


幾度にかけて専門家によって指摘されているが、猛毒VXを手に塗り無事で済むことはありえない。
次の記事を参照。


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マレーシアのカーリド・アブ・バカル警察長官は
「犯行前に一人の男性容疑者が女性容疑者たちの両手に毒劇物をたっぷり塗り」、
「アイシャが先に前から接近し、彼の顔に毒劇物の付いた自分の手をこすり付け、
 続けて背後から彼に抱きついたフオンが再び両手の毒劇物を彼の顔に塗りつけた」と述べた。


同紙は、
専門家たちは空港の監視カメラの分析結果などを挙げ、警察発表を疑問視していると指摘。

監視カメラの画面を見ると、
男性が攻撃を受けた後も顔や目を手や服で拭うしぐさを一切しなかったとし、
空港の監視カメラ映像を入手した日本のフジテレビ側の依頼
50数分間の動画の原版を分析したある消息筋は、

「人間は目や顔に水滴が少しでも付くと本能的に拭うはずなのに、
 何度も見返したが、男性は襲われた後、服や手で顔を拭うしぐさをまったくしなかった」
としたうえで、「男性の顔に液体が塗られていなかったということだ」と述べたと報じた。


また、医療専門家も、手に塗っても平気だが、
顔に塗ると致命的という毒劇物が果たして存在するのか疑問を呈したと同紙は報じている。

http://chosonsinbo.com/jp/2017/02/02suk-12/
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勘の鋭い読者は既にお気づきだろうが、フジテレビは事件当初から
執拗に北朝鮮犯行説(発信元は国情院)を連呼していたメディアだった。


今回のスクープ(笑)はその集大成に当たるが、
未だに「毒物を手に塗り付けた」と平然と語るあたり、
取材は結論ありきのもので、ろくに検証がされていないのではないだろうか?



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〈クアラルンプール事件〉北の工作員が韓国に旅行?(自主時報、2月25日)

ドアン・ティ・フォン容疑者は昨年、2人の女性と共に韓国を訪問、
フェイスブックに男性の友人に会いに韓国を訪問するという情報を載せた。



韓国は対共(反共)意識が極めて高く、
国家情報院や警察などの機関が整備されているなど北に対する警戒心がとても高い国である。
それなのに北に取り込まれている女性が韓国旅行にくるということは理解しがたい。


それならば、フォンと韓国の関係についても調査が必要であるにも拘わらず、
マレーシア警察当局は調査する気はないようだ。



一方の国情院も調査すべきだが、そんな気配はない。
ベトナム人女性3人を招いた韓国人男性がフォン逮捕の前日にフランスに向かったが、
マレーシア当局は彼に対する調査を行っていない。




韓国の公安機関がそうさせないようにしたという情報も伝わってきている。

http://chosonsinbo.com/jp/2017/02/04suk-4/
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私自身は情報を整理する限り、韓国黒幕説が濃厚ではないかと素人ながら考える。

実行犯の一人が事件直前に韓国に向かっていたこと、
彼女らと関わりの有る韓国人男性が逮捕前日にマレーシアを出国していること、
この件に関してマレーシア当局が意図的に捜査をしていないこと、

事件が起きた同時期に朴槿恵陣営に対する大々的な弾劾運動が起きていたこと。


そして北朝鮮犯行説の情報源は国情院。


マスメディアのように状況証拠のみで憶測をしても許されるならば、
十中八九、韓国が裏にいると断言しても良いだろう。

実際には憶測のみで断定をするのは論理の飛躍も甚だしいが。


フジテレビは懸命に金正男を反体制派の急先鋒であるかのように描きたがっているが、
本人はマカオで豪遊していた政治的にも存在感の薄い人物だった。


今も金正男氏が生きていたら北朝鮮をめぐる国際情勢は違っていたのだろうか? 
10月10日の朝鮮労働党創建記念日に向けて新たなミサイル発射の動きが指摘されている。

金正恩委員長とドナルド・トランプ米大統領の舌戦も
過熱の一途をたどり、北朝鮮はますます孤立している。


もし、金正男氏が生きていたなら、
北朝鮮と国際社会を結ぶ有力なチャンネルになれただろう。
孤立化への道をつき進む北朝鮮、一筋の希望はもう光を失ってしまっている。

http://toyokeizai.net/articles/-/191748?page=3


マカオの遊び人がどうやったら有力なチャンネルになれるというのか?
事件後、一部メディアで正男の個人崇拝がはびこったが、これは期待過剰というものだろう。


なお、北朝鮮は8月下旬に、すでに日本に対してアメリカとの仲介役として
コンタクトを取っている。結果は言うまでもない。


故人に対して、お涙頂戴のストーリーをでっち上げるよりも
日本政府が米朝衝突の緩衝材となることをフジは主張すべきではないだろうか。


粉飾戦争 ブッシュ政権と幻の大量破壊兵器

(https://honto.jp/netstore/pd-book_02423226.html)

アメリカ・メディアがイラク戦争の大義をねつ造した事件を
厳しく批判した書。絶版だが、BookOff等の古本屋ではよく見かける。


イラク戦争に限らず、あらゆる事件において
同様の構造(政府有利の情報をメディアが作り上げ宣伝する)が散見される。


フジの特集もなぜか衆院選直前の時期に放送。
安倍政権は北朝鮮の脅威を盾に改憲を主張。狙いは明々白々である。







作為された脅威・北朝鮮

2017-10-04 22:55:33 | 北朝鮮
朝鮮新報に寄稿した纐纈厚氏(日本近代史)の発言を備忘で載せる。


朝鮮新報は登録さえすれば誰でも閲覧することが出来るのだが、
そこまでして読むのを望む人間もそうはいないわけで、
恐らく、同氏の文章を大半の日本人は知らないのではないだろうか?


ここ最近の情勢を知るには格好の資料なので、
出来れば読了して欲しい。


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米国の覇権主義と追随者たち/纐纈厚



韓国の新たな動き


“Is this an alliance?

Get lost with your THAAD!”(これが同盟なのか。サードを持って消えろ!)。



これは、韓国の人々が米政府や米軍基地に向け、口々に叫んでいるスローガンだ。




不平等な韓米関係と従属的な韓米同盟の見直しを望む切実な声である。
現在、韓国では、文在寅大統領の登場と前後して活発な運動が展開されている。


その運動とは、長期にわたる南北朝鮮の対立関係の固定化の原因が、
実は米国と北朝鮮との敵対関係にあること、そして、韓国政府は
今日まで韓米同盟に規制されていたがため、この固定化を受け入れざるを得なかった
ことへの見直しを求めるものだ。



この対米従属姿勢を改めさせることなくして、
韓国にも北朝鮮にも、平和実現の機会は訪れないと喝破しているのである。



同時にそれは、朝鮮のミサイル発射実験や核開発を挑発と断じる一方で、
米国や韓国の軍事演習や航空母艦を中心とする機動部隊の展開を、
北朝鮮への挑発とは捉えようとしない、まさしく偏在した視点への異議申し立てでもある







「戦闘なき休戦」の時代を越えて



硬直化した米国の対朝鮮強硬政策に、日本と韓国の二つの同盟国が随伴することで、
朝鮮半島情勢は、これまで以上に緊迫の度を増している。




米国は、ここにきて日米・韓米同盟のさらなる強化を急ぎ、
日本はこれに呼応して集団的自衛権行使容認や安保関連法を制定させた経緯もあった。




そもそも米国の
対北朝鮮恫喝政策の基本的命題は、
北朝鮮の体制転換である。





例えば、ジョージ・W・ブッシュ政権の対北朝鮮政策を検討した
ジョン・フェッファーは、米軍が韓国軍を巻き込んで実施する米韓合同軍事演習が、
軍事演習の範疇で捉えきれないものであって、事実上〝演習〟という名の戦争である、とした。



1953年7月27日に調印された朝鮮軍事休戦協定は、
その意味で事実上全く機能していないことになる。



韓国と北朝鮮の衝突も繰り返され、取り分け、
北朝鮮の壊滅を意図する軍事演習が繰り返し強行された。





これは北朝鮮側からすれば、
米国からの脅威が増大する一方と受け取られていたはずだ。




ここでの問題は、休戦協定調印と共に発足していた軍事停戦委員会や中立国監視委員会が、
その設置目的を全く果たしていない結果として、
言うならば「戦闘なき休戦状態」が続いてきたことである。





別の表現をすれば、〝休戦〟という名の事実上の戦闘が、
一方的に米国側から仕掛けられている現実があると言うことだ。




米国は、この〝休戦〟状態のなかで事実上の戦争を常態化させ、
北朝鮮の国力を削ぐ手法を採っているのである。





その意味でこの「戦闘なき休戦状態」とは、
換言すれば〝戦闘なき戦闘状態〟とも表現可能であり、米国にとって極めて都合が良い状態なのである。


それで肝心なことは、この「戦闘なき休戦状態」から解放されたいと望むのが、
北朝鮮だけでなく、米国の同盟国である韓国も同様であることだ。



休戦協定を潰した米国



ここで休戦協定の意味に少し触れておきたい。
特に問題としたいのは、休戦協定第13節のd条項に絡むことだ。


それは米国が、朝鮮に新しい武器の持ち込みを禁止した内容である。
しかし米国は同条項を悉く反故にしてきたのである。




すなわち、56年9月、
当時の米国のアーサー・W・ラドフォード統合参謀本部議長が、
朝鮮半島への核兵器持ち込みを主張し、アイゼンハワー大統領(当時)の承認を得た経緯があった。


そして、翌年の57年6月21日、在朝鮮国連司令部軍事休戦委員会会合で、
米国は北朝鮮代表団に、国連軍(UNC)が休戦協定第13節(d)に対する義務を履行しない、と通告した。



この結果、58年1月には、W7等の核砲弾発射可能のMGR1(オネスト・ジョン)と、
W9及びW31核砲弾発射可能のM65二八〇ミリ・カノン砲が韓国に配備された。




以来、最近における弾道弾迎撃ミサイル・システムである
THAADミサイル(Terminal High Altitude Area Defense missile)の配備に至るまで、
米国は核兵器やロシア・中国・北朝鮮を対象とした攻撃・迎撃兵器を
大量に持ち込み続けている事実は、繰り返し問題視せざるを得ない。





そうした米国の姿勢に対抗してきた北朝鮮も、
94年を初回とし、最近では2013年まで合計六回にわたり、
休戦協定に拘束されないとする表明を繰り返してきた。



その背景には、1996年10月、国連安全保障理事会が同議長の声明で、
休戦協定が平和協定に転換されるまで休戦協定は
十分に順守すべきとの要請を、米国が事実上拒否してきたからだ。




また米国は、2013年、北朝鮮が「休戦協定は過度期の手段」と主張し、
平和協定への転換プロセスのなかで、停戦と平和の移行措置を講じる
提案を行ってきたにもかかわらず、この対案も無視し続けた。





それどころか昨年の16年6月、韓米連合司令官兼在韓米軍司令官が書名して、
新たな北朝鮮侵攻作成計画「5015作戦計画」の採用に踏み切った。



これは従来の「5027作戦計画」と異なり、
全面戦争開始前に迅速かつ積極的に北上侵攻作戦を進め、北朝鮮の壊滅を意図する作戦計画であり、
韓米安保協議会(SCM)が北朝鮮の戦略転換に対応して作成したものである。


同協議会では、これに併せて戦時作戦統制権(戦作権)の転換を、20年代まで延長するとした。



このように、米国は南北朝鮮間で一旦合意された休戦合意を事実上廃棄し、
自らの作戦統制権を確保して対北朝鮮恫喝政治を強行し、
これを担保するために強大な核戦力を中心とする侵攻部隊を韓国及び日本に展開してきた。



取り分けTHAADミサイル・システムは、
北朝鮮以上に中国とロシアへの威嚇行為を発揮するものであり、
両国の北朝鮮支援を軍事的威嚇によりブロックする意図が透けて見える。



従って、ここから指摘せざるを得ないのは、
第一に米国が北朝鮮・韓国・中国・ロシア間に構想される、
広範囲のアジア地域の安全保障体制構築を阻止しようとしていること、
第二に、それゆえに南北朝鮮の和解と統一への動きを加速するためには、
日本を含めた東北アジア地域からの米国の軍事プレゼンスの排除と、
韓国における戦作権の放棄が主要な課題となろう。


そこでも問題は、言うまでも無く米国のスタンスである。




軍事プレゼンスに執着する理由は何か



米国外交の常套手段は、分断政策である。


かつてユーゴスラビアを解体し、続けてチェコスロバキア・中央アフリカ・
イラク・シリア・スーダンと事実上の分断による内紛の常態化政策を直接間接に行った


それと同質の外交手法が朝鮮半島でも採用されている、とする把握も不可欠であろう。



例えば、1997年成立の「アメリカ新世紀プロジェクト」
(Project for the New American Century,PNAC)のように、
米国第一主義を掲げる米国の権力集団が、米国主導の朝鮮統一を目途とし、
朝鮮半島全域に米国の軍事力プレゼンスを展開し、米国の意向を汲んだ統一朝鮮を、
新たな経済収奪対象地域と算定している。



そこから米国としては、
自主的平和的統一を絶対に許容できない、
とする姿勢を崩しておらず、
ここに朝鮮問題の最大の問題が孕まれている。





そこからも思考すべきは、
在韓米軍の核・通常戦力の存在は、北朝鮮を対象としたものだけでなく、
実は韓国自体への威嚇と制圧を目的としたものであって、
決して韓国の安全保障に寄与するものではないことである。

それは在日米軍が、日本の安全保障を目的としたものでないのと全く同様にである。



従って、韓米同盟も日米同盟も、南北朝鮮の自主的平和統一の阻害要因であり、
日本・中国・ロシアを含めた東アジアの平和と安全に帰結するものではないのである。



そこから段階的であれ同盟関係の緩和、
さらには解消に向けたプログラムの構築が大胆に検討されるべきであろう。



そのプロセスと反比例する恰好で、南北朝鮮の和解と統一という、
希望のシナリオが初めて実行に移されるはずである。




それゆえ現在最も対話を必要としているのは、
北朝鮮と米国との対話と同時に、日本・韓国・朝鮮・中国・ロシアの五ヵ国が、
米国の東アジア政策の変更を促すための対話ではないか。



朝鮮半島の平和の先導者
作為された〝脅威論〟の果てに




恐らく本書に通底するテーマとなる北朝鮮〝脅威論〟の虚妄性についても触れておきたい。


多様な視点から指摘されることになろうし、重複するかも知れないが、
筆者の端的な結論は、それが「作為された脅威」ということだ。



確かに、今や北朝鮮の核兵器は存在し、
その大陸間弾道弾(ICBM)化への技術の進展は、日進月歩の感がある。


それがどの国の通常兵器であれ核兵器であれ、
戦争のための兵器自体が平和と安全を希求する人々にとっては脅威である。


その意味で言えば、北朝鮮の核兵器は通常兵器と同様に、
そのレベルや兵器運用計画如何に関わらず、物理的かつ精神的に脅威である。



ただ、ここで言う脅威とは、外交軍事政策を履行するために、
現実に利用される可能性が高くなったとき、それに比例して上昇する意味での脅威である。


したがって、そこでは軍事技術上のレベルの問題ではない。
レベルを低位に見積れば脅威も低く、高位であれば脅威も高いという意味で、
脅威論を語っているのでもない。




最大の意味は、この〝脅威〟が
米国の朝鮮半島における軍事プレゼンスを正当化するために利用されていること、
そして、日本では安倍首相の言う「東アジアの安全保障環境が変わった」という言辞によって、
集団的自衛権から安保関連法、さらには共謀罪まで次々を法制化されていく
外交軍事政策の口実にされていることが、実は平和を希求する人々にとって、本当の脅威であることだ。



勿論、それでは北朝鮮の物理的意味での脅威は零かと言えば、決してそうではない。
ただ、明確にしておくべきは、北朝鮮の核戦力が今後さらに高度化されたとしても、
それは米国の侵攻作戦を事前に防禦するための、いわゆる防御的抑止力の要とされるものであって
、圧倒的な侵攻軍事力を蓄えた米国が先制確証破壊の軍の論理を優先させて、
文字通り核先制攻撃をも辞さないと言う意味での、いわゆる懲罰的抑止力とは決定的に異なることだ。



北朝鮮には韓国であれ日本であれ、さらには遠く米国本土であれ、
ミサイル攻撃をし、侵攻作戦を継続して担える正面整備もなければ、またその意図も皆無であろう。




非核化への強い意志を示す



このことは、2016年5月6日から9日まで開催された北朝鮮労働党第7回大会にいて、
金正恩労働党委員長が行った

「わが共和国は責任ある核保有国として
 侵略的な敵対勢力が核でわれわれの自主権を侵害しない限り、
 すでに明らかにしたように先に核兵器を使用しないであろうし、
 国際社会にたいして担った核拡散防止の義務を誠実に履行し、
 世界の非核化を実現するために努力するでしょう」との発言からも理解されよう。



また、これを受ける形で北朝鮮政府スポークスマンは、
同年7月6日に「われわれの主張する非核化は朝鮮半島全域の非核化であり、
これには南の核廃棄と南朝鮮周辺の非核化が含まれている」との声明を発している。



言うまでもなく、
ここには日本における米国の「核の傘」撤廃も含まれている。




問われているのは、北朝鮮の核の脅威を煽る日米政府ではなく、
まさに米国の核兵器の存在と「核の傘」を受容することで、
間接的ながら事実上核武装している日本が、核放棄に勇気を奮って踏み出すことであろう。




勿論、自主的平和的統一までには紆余曲折があろうが、
少なくとも米国を筆頭として、そのプロセスを阻害してはならない。



朝鮮半島の非核化を実現するために、当面は核の鬩ぎ合いは継続しつつも、
その先に明白に朝鮮半島、さらには東アジア地域の非核化への構想を抱いているのである。




ならば、米国は朝鮮半島および日本周辺地域への核兵器持ち込みの実態を明らかにし、
その撤収へのプロセスを打ち出すことが求められよう。




確かに繰り返されるミサイル発射実験により飛翔距離如何によっては、
既に現実となっているように、日本の排他的経済水域(EEZ)への落下が懸念されている。



航行中の艦船や航空機への被害想定がなされ、安全が担保されるかの問題は残る。


ただ、その可能性は極小であり、それ以上にEEZは、
天然資源及び自然エネルギーに関する主権的権利や環境保護・保全に関する管轄権が及ぶ水域であって、
そうした権利発動の機会を有してはいるものの、そこに如何なる飛翔物が落下したとしても、
それは権利侵害に相当しない。



安全を棄損する可能性がある以外には、国連海洋法上において特段の問題はないのである。




ただ、地方自治体には国民保護法に則り、
万が一北朝鮮のミサイルが日本本土に着弾した場合に備える訓練が各地で企画実践されているようだ。



その事態とは、まさに戦争事態であって、その可能性は既述した通り、
米国の先制攻撃による戦争発動がない限り、絶無である。



ところが、ある種の政治プロパガンダの一環として
地方自治体や住民を巻き込んで、いわゆる脅威の実態化に躍起となっている。



残念ながら、この政治宣伝は〝成果〟を挙げており、
朝鮮のミサイル発射実験を危険視する世論は勢いを増す一方である。



北朝鮮のミサイルは軍事目的だけでなく、
政治目的の観点から繰り返されている政治パフォーマンスでもある。



勿論、北朝鮮は限られた資源を軍需に充当しながら軍事技術の向上に懸命である。
しかし、それは防御的抑止力の向上を意図するものであって、韓国や日本を先制攻撃するものではない。


加えて、北朝鮮としては米国の朝鮮半島における核戦力使用を極力抑え込むための苦肉の策としてある。

その意味で言えば、米国や日本の政府が言う北朝鮮の脅威とは、
北朝鮮に脅威を与え続けている米国の脅威を鏡に映し出したようなものだ。



しかし、かつて米国がリビアやイラクに空襲を敢行し、侵攻作戦に踏み切ったような、
軍事侵攻を控えている重大な理由が、北朝鮮の核武装であることも間違いないことだ。



純軍事的に見て、米国の先制攻撃で機動性と秘匿性を高めている
北朝鮮の核戦力総体を完全に無効化することは極めて困難になっているからである。



朝鮮半島を核戦争の戦場にすることは、
韓国や日本の国民だけでなく、世界の世論が許容しないはずだ。


米国の先制攻撃で甚大な被害を受けるのは韓国と日本、そして中国東北部である。




その意味で〝脅威論〟の作成者としての米国と、
これに全面的に同調する日本は、その作為された〝脅威論〟が、
逆に東アジアの安全保障の脅威となっていることを自覚すべきであろう。




つまり、北朝鮮の物理的軍事的な意味での脅威ではなく、
米国と日本の両政府が繰り返す〝脅威論〟を払拭することだ。


その先にこそ、本当の東アジアの安全保障が確約されるに違いない。




最後に次の発言を引用しおきたい。
すなわち、

「朝鮮民族が北と南にわかれていまなおおたがいに反目し対決しているのは、
 みずから民族の統一的発展をはばみ、外部勢力に漁夫の利をあたえる自殺行為です。

 これ以上民族の分断を持続させてはならず、
 われわれの世代にかならず祖国を統一しなければなりません。」と。



さらに続けて彼は言う。


「北と南が統一の同伴者としてたがいに尊重し、協力していくためには、
 相手方を刺激する敵対行為をとりやめなければなりません。

 
 相手側にたいする敵対行為は不信と対決を助長し、関係の改善をさまたげる主な障害です」と。


彼とは、北朝鮮の最高指導者金正恩労働党委員長である
(チュチェ思想国際研究所編「金正恩著作集」第二巻、白峰社、2017年刊)。



金委員長の発言は、冒頭で引用した
「これが同盟なのか。サードを持って消えろ!」と連呼する韓国同胞の思いと、
表現こそ違え、根底で深く響き合うものである。


朝鮮半島の平和の先導者は、
米国でも、ましてや日本では勿論なく、間違いなく南北朝鮮なのである。


http://chosonsinbo.com/jp/2017/09/lp170919/
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北朝鮮の核廃絶はアジア全体における核廃絶とリンクしなければならない。


当たり前の意見なのだが、なぜか全面的にこれを推す知識人は少ない。
かわりに叫ばれるのは「脅威・脅威・脅威」である。


しかも、その脅威は虚像に満ちたものなので
私は彼らが本当に日本の安全を守るつもりなのか疑わしく思う。


今の日本は村民を熊の巣穴に連れて行きながら
銅鑼を叩いて「危険だ―危険だ―」と絶叫しているようなものだ。




明らかに熊を刺激する行為こそが危険極まりないのだが、
そこを指摘すると「貴様は熊の手先だ」ということになるらしい。


カルトとしか言いようがない。


例の訓練はファニーというか何と言うか・・・
ミサイルが撃たれたら建築物の中に隠れろという文句。


今年の春、
幸福実現党から受け取ったビラに書かれていた。




大川隆法と同レベルのオピニオンを誰も怪しまないというのは
凄まじいというには余りある光景で、ショッキング極まりない。



8月中旬、池上彰大先生はテレビ番組で
「迫りくる北朝鮮の脅威」と称して、例の避難訓練について
 事細かに解説していたが、その訓練自体が異常だということを誰も指摘しなかった。


問題は現在の北朝鮮のミサイルを止める術が日本にはないということなのだが、
この国を守りたいと叫んでいる連中は、具体的な解決案を考えているだろうか?


改憲すれば良い、制裁を強めれば良い。
現実はより複雑で、より柔軟で手間のかかるアプローチが必要なはずなのだが、
どうも「これさえやれば万事解決」という安直な思考をしてはいないだろうか?


英語塾に通えば、ネイティブ並みに外国語が話せる・・・ことなどないように、
安易な解決法は存在しないのである。



それをやれ「中国が悪い」「ロシアが悪い」と責任を転嫁し、
発想を転換することが出来ない。それは大いにマスメディアに責任があるのだが、
せめて愛国を気取りたいならば、最低限、現実味がある手段を論じてほしいものである。



北朝鮮バッシングと併進する朝鮮学校への差別

2017-10-04 21:45:40 | 北朝鮮
朝鮮総連「金正恩委員長を決死の覚悟で擁護」…中央常任委員会が声明
(http://dailynk.jp/archives/96193)

先日の声明を受けて、一部(というより大半)の極右論者が歓喜に震えている、
もとい、怒り心頭に発しているが、そもそも総連が北朝鮮が擁護することは
言うほどおかしいことだろうか?


朝鮮中央通信は同日、以下のような記事を載せている。

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【平壌9月23日発朝鮮中央通信】


朝鮮民主法律家協会のスポークスマンは23日に発表した談話で、
在日同胞に対する日本反動層の卑劣かつ幼稚な差別行為を断罪、糾弾した。






去る13日、日本の東京地方裁判所は東京朝鮮中・高級学校高級部生徒に
高等学校支援制度を適用することを求める総聯(朝鮮総聯)と
在日同胞の正当な主張を何の法的論拠もなしに棄却する暴挙を働いた。





談話は、東京地方裁判所の不当な判決は
日本反動層の反共和国・反総聯敵視政策の延長として、
在日同胞の自主権、生存権を無残に踏みにじる
不法無法のファッショ的暴挙であると暴き、次のように指摘した。





朝鮮民主法律家協会は、日本の東京地方裁判所の
不当な判決をわが共和国の尊厳ある海外公民団体である総聯を弾圧、
抹殺するための極悪非道な敵対行為、犯罪行為とらく印を押し、
峻烈(しゅんれつ)に断罪、糾弾する。







朝鮮高級学校生徒に高等学校支援制度を適用するのは
過去、日帝がわが民族に働いた犯罪を誠実に謝罪する立場や、人権を尊重し、
保障することに関する国際法上の見地から見てもこれを排除する何の法的根拠もない。







われわれは、総聯と在日同胞を対象にして
しつこく強行されている日本反動層の卑劣かつ幼稚な差別行為を絶対に傍観しないであろう。




もし、日本の反動層が総聯と在日同胞に対する差別と迫害に執着し続けるなら、
全朝鮮民族の復しゅうの洗礼、正義の審判を免れられないであろう。




日本当局は、総聯と在日同胞の尊厳と権利を無残に踏みにじり、
在日朝鮮生徒の未来に陰を投げた野蛮な行為が
どんな破局的結果をもたらすかということについてはっきりと悟り、
熟考しなければならない。---


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朝鮮学校に対する教育差別は不当以外の何者でもないので、
「仰る通り」としか言いようがない。


駄目押しで次の記事も載せる。



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それぞれの歴史観、誰も奪えない/
市の補助金不交付・千葉初中で緊急集会




「千葉市の補助金不交付に抗議し撤回を求める4.29千葉ハッキョ緊急集会」が
29日、千葉初中にて行われた。


県内の活動家、同胞・学父母、
「千葉朝鮮学校を支える県民ネットワーク(千葉ハッキョの会)」
の会員をはじめとした日本の有志ら約100人が参加した。




千葉市は、同校の主催する
「ウリハッキョと千葉のともだち展」に展示された一部の作品とその解説文に
2015年の「日韓合意」を批判する記述があったことなどを指摘。





これに対して
「補助金事業に必要とされる『地域住民との交流に資するもの』
 と言うことが極めて困難と言わざるを得ず、

 また『市長が適当ではないと認めるものでないこと(要綱第3条第6号)』の要件にも該当せず」
 よって「要綱第3条に定める補助対象事業として促進すべき地域交流事業とするのは
 適当ではないと言わざるを得ない」とし、これを補助金等の交付の決定の内容に違反していると判断。


「千葉市補助金等交付規則第17条第1項第2号に該当する」ということを理由に、
 4月27日、同校の地域交流事業への補助金の交付決定を取消した。


集会ではまず、同校の金有燮校長が報告を行った。



金校長は

「私たちには私たちの歴史観や文化があり、それを誰も奪うことは出来ない。
 子どもたちは自分たちの歴史観や文化を誇る、朝鮮民族の一員として交流をするのであり、
 日本政府と考え方が異なるからと言って地域交流を阻むのは差別以外なにものでもない」


としながら、

「戦時中に性奴隷となり尊厳を踏みにじられた朝鮮の女性たちがいる。
 その歴史的事実を直視することは、今の若者たちに必ず必要なこと。
 私たちは自分たちの歴史教育に誇りを持ち、
 朝鮮人として真の地域交流を堂々とやり続ける」と述べた。



また、

日本が未だに同化政策や
 植民地主義を捨てきれずにいることに問題の本質があり、


 日本が過去に行った植民地政策の結果としての
 朝鮮学校の存在意味を政府や地方自治体が真に理解し、
 これを保障することにこそ朝鮮学校問題の真の解決がある
」と指摘した。



続いて、千葉ハッキョの会呼びかけ人のひとりである廣瀬理夫弁護士が発言した。


廣瀬弁護士は、
「従軍慰安婦問題について、
 国際的には日本政府の見解は認められていない。

 あたかもその見解が正しいかのように宣伝をしてきたのは日本政府。
 行政府はむしろ、その宣伝によって誤解を持っている市民に
 正しい歴史を知ってもらう努力をする責任があると思う」としながら、

「そもそも異文化交流とは互いの違いを認め
 尊重し合いながら共生の道を探すためのもの。
 互いの歴史や文化、経験を知っていくのが交流の目的。
 日本政府の見解と違うことを表現すると
 地域交流にはならないというのは全くの間違いである」と市の決定に異議を唱えた。


http://chosonsinbo.com/jp/2017/05/rp170501/
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国際条約では政治的事由で教育関連の補助金を打ち切ることは
差別行為であるとみなされている。


それは、「何が反日で何が親日か」の基準を定めるのが
得てして権力側であり、政府の裁量次第で本来なら得られるはずの支援が得られないからである。



朝鮮学校にのみ教育支援を行わないという行為は
子どもの権利条約、国際人権規約、日本国憲法等に違反するものと国際的にはみなされており、
過去、幾度も注意・勧告を受けている。



よって、北朝鮮側が語る
「人権を尊重し、保障することに関する
 国際法上の見地から見てもこれを排除する何の法的根拠もない」
というのは、まさしく妥当であるし、また、排除を熱望する人間が得てして
過去の歴史を隠ぺいせんと奔走している点からも彼らの言い分は的を射ている。



自身達の置かれた状況に対して真剣に接してくれる北朝鮮政府に対して
総連や朝鮮学校が感謝の意を表するのは、ごく自然ななりゆきだと私は思うのだが、
どうもこれが極右論者および自称中立派には許せない行為になるらしい。



これは恐らく、論者の多くが2本ある記事のうち、
北朝鮮バッシングに役立ちそうな個所のみを切り取っているからだと思われる。

全体を通してみれば不自然な発言ではないのだ。


情報源たるデイリーNKは、
朝鮮学校への差別に抗議したとの記事も合わせて載せている。



つまり、今回に限ってはNKではなく、
情報リテラシーが出来ていると勘違いしている人物が
「擁護」の部分だけを見てヒステリックを上げたということなのだろう。

(別記事で述べるが北朝鮮は8月下旬の時点で
 日本に対し米朝の緊張緩和に協力してくれないかとコンタクトを取っている。
 勝手に向こうの申し出を断って独自制裁を追加し、
 あまつさえ国内の在日コリアンを迫害し、歴史を直視しない
 日本政府のほうこそ、擁護をするのは難しいというものだ)




そもそも、問題の声明は北朝鮮建国69周年記念にむけて開かれた
各国でのセレモニーの一環として発話されたものでもある。


次の記事を参照してみよう。



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【平壌9月23日発朝鮮中央通信】

朝鮮民主主義人民共和国創建69周年に際して
ブルガリア、ルーマニア、スロベニア、ロシア、
ペルー、タンザニア、ギニアで1日から10日までの間に講演会が行われた。



ブルガリア金日成・金正日主義研究グループの責任者は、
金日成主席は革命の壮途についた初期から人民が全てのものの
主人になった国を建てる遠大な志を抱いて日帝に反対する武装闘争を策定し、
導いて国を解放したし、共和国を創建して自主・自立・自衛の社会主義国家に転変させたと語った。



また、金正日総書記は類例なく厳しい試練の時期、
先軍の旗印をいっそう高く掲げて朝鮮の社会主義をしっかり守り抜いたと強調した。



そして、こんにち、朝鮮は尊敬する金正恩同志の指導の下に
チュチェの核強国として尊厳をとどろかしていると述べた。



ペルー共産党中央委員会の書記長は、朝鮮は一心団結と
強大な軍事力に依拠して国の自主権と朝鮮半島の平和と安全を頼もしく守っており、
これはわれわれに大きな力を与えていると語った。




また、偉大な領袖の指導を受ける朝鮮労働党と人民の偉業は正当であり、
朝鮮は必ず最後の勝利を収めるであろうと強調した。



タンザニア朝鮮民主主義人民共和国友好協会の副書記長は、
共和国の創建と強化発展に積み上げた白頭山の天が賜った偉人たちの業績を激賞した。



そして、現時代の傑出した指導者である
金正恩閣下が居て勝利はいつも朝鮮のものであると強調した。---

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要するに、よその団体に倣って発言した社交辞令にすぎず、
これをただちに「北朝鮮の奴隷と化した」と解釈するのは不適なのだが、
これに関してはデイリーNKは「なぜか」記事として読み手に発信していない。





http://dailynk.jp/archives/96239/2

デイリーNKは「原文は以下の通り」と称して
朝鮮中央通信の記事を載せているのだが、実はこれ、
インターネットでも参照できる日本語版の記事をコピー&ペーストしているだけに過ぎない。


つまり、仮にもジャーナリストの端くれを名乗り、
これにより利益を得ているはずのメディアがよそのサイトの記事を貼り付けて
記事を作っているのである。しかも、これといった解説文はつけられていない。



通常、原文を載せる場合は、翻訳するとしても自社あるいはフリーの翻訳家に
依頼するものであるが、私のような個人が遊びでやっていることと同レベルのことを
天下のデイリーNKがしているというのは、なかなかハイセンスなギャグである。


編集長の高英起は北朝鮮バッシングには異常に情熱を燃やす一方で、
朝鮮学校への差別や裁判の経緯には無頓着である。


NKには先日の大阪での判決に対して記事を一本も書いていない。
どうでもいいのだろう。


表面的には人権侵害を憂いでいるはずなのだが、
実際には国内の人権侵害にすら本気で怒りもしない。


「正義の使者」高英起の高潔さには頭が下がるばかりである。
 恐らく、彼の顔面は五寸釘を指されても血の一滴も流れないのではないだろうか?


(大体、彼の編集した記事が極右のコリアン差別の格好のネタになっている点からも
 彼がどれだけ差別に対して憤慨しているかは推して知るべしだろう)