時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

小保方晴子氏は荒このみ氏や加藤哲郎氏よりも有害か?

2014-04-30 00:07:56 | 反共左翼
「あらゆる必要な手段を用いて行われる便乗商法」というタイトルで、
 マルコムXとバラク・オバマの間に思想上の連続性があるという
 珍説を唱えた荒このみ氏への批判記事がある。


http://hakuainotebook.blog38.fc2.com/blog-entry-22.html

『マルコムX―人権への闘い』という本が岩波新書から2009年に出版された。
 終章の最後の三つの小見出しに至っては「オバマの心に響いたマルコムXの言葉」
「オバマの複眼的思考」「地球市民の連帯を望むマルコムXとオバマ」などと題され、
 あたかもオバマとマルコムXが同じ側に立つ人間であるかのように書かれている。


しかしながら、その後のオバマの行動、すなわち、

米軍基地に対する沖縄住民への冷淡な態度、
アフガン・パキスタンへの増兵(無人戦闘機による民間人殺害)、
グアンタナモ強制収容所の閉鎖に対する曖昧な態度、
リビアの爆撃・文字通りの消滅、
シリアへの爆撃未遂、
ウクライナ国内へのネオナチの支援、
アメリカに有利なTPP締結の強要、
フィリピン・日本と協力しての軍拡

などなど、やってることだけ列挙すると、
ブッシュと大して変わらないのでは?と怪しみたくなるほどだ。

日本でもオバマ旋風が吹き荒れた時期に出版されたので、
便乗したのではと思えてならない。仮にも日本の知の番人とも言える
岩波書店から、こんな便乗商法をマルコムX研究者が行うのは、
日本の研究者の信用を著しく貶めるものだと言えよう。


また、前記事でも「結局、アメリカの利益になることしか言っていない」
と批判した加藤哲郎氏が出版した岩波全書の『日本の社会主義』でも、


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『日本の社会主義ーー原爆反対・原発推進の論理』では、
(1)労働力を摩滅・破壊する放射線被曝労働の不可避、
(2)絶対安全はありえない巨大なリスクを持つ装置産業で、
人間の完全制御はありえない、
(3)10万年後も残される「未来への暴力」としての核廃棄物、

をあげて「核と人類は共存できない」と主張しました。

地震列島の日本国民全体が当事者であるのみならず、
地球と文明そのものが危機にさらされている、という意味です。

その観点から20世紀日本の平和運動・社会主義を見直し、
「原子力は、日本の社会主義のアキレス腱だった」と結論づけました

(2014年4月15日の日誌より)
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と書いているが、ここでも国際原子力機関(IAEA)に代表される
アメリカをはじめとする先進諸国の核戦略という視点が抜け落ちている。


換言すれば、原子力問題で必ず言及しなければならない
先進国による核の独占、政治利用という問題を度外視されており、
あたかも問題が日本だけの問題(日本の政治変革だけで解決できる
問題)だと錯覚させる危険性を孕んでいる(というか、そうでしかない)。


歴史的には、先進諸国の核戦略という大きなプランがあり、
そのプランに従った形で日本の原発が推進されているのだから、
脱原発を掲げたって、アメリカなどの大国の意向に対して
ノーを叩きつけなければ、反核も脱原発も難しいだろう。

こういう肝心な問題、本当に戦うべき敵を見えなくさせるのは、
非常に問題がある行為ではないだろうか?


加えて、同氏は日本共産党が80年代に原子力の平和利用を主張したことを
「日本が社会主義国化したあとにも核を温存させるためだった」という
珍説をとなえているが、当の共産党は現在の原発推進が日米の核戦略に
従った形で行われており、核の放棄を行わなければ原子力の平和利用は
できないと、当時、出版物を通して主張している。

正直、震災以降、急に原発をネタにして
正義は我にありと称する知識人が増えたが、
加藤氏本人も、震災以前には軽く言及する程度で、
自身の研究で原子力と戦後の左翼運動の関連性を指摘したことはなかった。

これもまた、立派な便乗商法である。



はっきり言って、日本の社会主義の妨げになったのは、
戦後の冷戦構造の中で戦うことを強いられたこと、
反共主義と容共主義との対立だったことは明白である。


冷戦という大きな構造の中で、制限がかけられた中で
行動せざるを得なかったことが、結果的に容共左翼と反共左翼
という二種類の潮流を生ませて、連携が取れないまま潰し合ってしまった。

これが最大の原因である。

しかも、反共左翼が主流になる、すなわち、
天皇制と比肩する大日本帝国の国是、反共主義を受け継ぐ形で
日本の左翼運動が展開されていったのも見逃せない。

ここでいう反共とは「反・日本共産党」であり、
不思議なことに、彼らは共産党を否定する一方で、
マルクス主義や、日本共産党と対立するソ連・中国、
北朝鮮と連携をとるなどの矛盾した行動を行っていた。


「日本の社会主義のアキレスけんは原子力」などという言葉は、
 当時の文化大革命や学生運動を支持した反共左翼の責任を
 はぐらかしてしまう危険なものだと言えよう。

また、議会制民主主義を維持したままでの選挙による革命を唱えた
日本共産党と、直接の武力行為を通じての革命を実行した新左翼の
間の対立は、決して原子力ではなく、革命の手段を巡るものだった。

安田講堂事件の中心人物であるにも関わらず、
この点をうまーくごまかしているのは、何ともいえないものがある。


「核と人類は共存できない」、
「原子力は、日本の社会主義のアキレス腱だった」という、
 人類の問題、原子力の問題として片付けようとする姿勢は、
「誰が核を推進しているのか」「なぜ推進させるのか」といった
 主体者や構造をはぐらかす性質を持つものであり、非常に問題だ。


疑うものは、このようにして考えてみればよい。

「ミサイルと人類は共存できない」、
「ロケットは、日本の社会主義のアキレス腱だった」

軍事目的に転用できるからといって、
ロケットの容認が軍拡に拍車をかけただなんて暴論だし、
ミサイルと人類が共存できないのは常識の範疇であり、
問題なのは「どこの国が」「なぜ作るのか」である。

実際には、加藤氏は核を容認するか否かで敵・味方を判別しており、
北朝鮮やキューバ、ベネズエラといった悪の枢軸+αに対して
核保有を認めるというただそれだけの理由で否定的な態度をとっている。

これがアメリカにとって都合のよい態度であることは言うまでもない。



以上、両氏の行動を俯瞰してみると、
バラク・オバマの個人崇拝や、先進諸国の核戦略の度外視といった
重大かつ致命的なミスを犯していることに気づかされる。


これは、日本の左翼運動、社会改革運動、あるいは
それを目指すであろう青年運動化を育てるにおいて害悪であるとしか言えない。

実際に、彼らが掲げる正義は、アメリカの戦略を妨害しない範囲のものだ。
本当に必要なのは、その範囲を飛び出て毅然と立ち向かう正義なのだが…

これに比べれば、個人的なミスで論文に誤りを作った小保方晴子など、
人畜無害の女性である。そもそも、この論文が載った科学雑誌、
ネイチャーのレフリー(論文を審査する人)や、共同研究の同僚、
理研の上司などのチェックの不備が招いたことであり、
小保方氏本人よりも、そういう論文を載せた他の連中の責任のほうが重大だ。


私は、小保方氏に対して非常に同情している人間の一人だ。
今回の騒動では、下手をすれば小保方氏が手違いではなく、
意図的に論文の資料をねつ造したことにされてしまう。

もし、そのような事実が公式の見解になってしまえば、
小保方氏の研究者生活はお終いだ。結婚していればまだマシだが、
そうでないならば、転職するしかない。安定した職業に就ける保証もない。


弱冠30歳の女性が日本でも一流の研究所で活躍している。
これは本当に素晴らしいことで、バックアップすべきことだが、
共同研究であるにも関わらず、全責任を若手の研究者に転嫁して、
今後の人生まで潰してしまいかねない事態を皆、面白がって見ている。

悪趣味としか言いようがないではないか。

こういう若手を潰される一方で、上の連中が珍説を唱えて
ふんぞり返っている限り、理系のみならず、文系の研究者も
優秀な人材を自らの手で葬ってしまっているといっても過言ではないだろう。

加藤哲郎氏は、ウクライナ問題になぜ沈黙するのだろうか

2014-04-29 22:35:39 | 反共左翼
加藤哲郎氏のネチズン・カレッジを久々に閲覧しましたが、
ロシアに滞在(おそらく研究目的)しているにも関わらず、
ウクライナ問題に対して何も語らないのは不思議でなりません。


何度も言及しましたが、現在のウクライナは、EUやアメリカに支援され、
ネオ・ナチが政権の中枢に君臨している異常事態になっています。

各地では自警団も結成されていますが、彼らの中には
ナチス・ドイツのシンボルであるカギ十字に×マークをした
旗を掲げている者もおり、こういった人たちの動きがNHKをはじめとした
日本のメディアでは一切、取り上げられないままロシアが批判されているわけです。


この批判者のなかには共産党もいます。
もともと、共産党とロシアは非常に仲が悪いので、
今回のような態度は容易に想像がつきました。逆を言えば、
共産党が何だかんだで冷戦から抜けきれないまま今に至るということです。


だとすれば、日本共産党を否定している加藤氏は
必ずや、日本共産党はロシアを批判しているが、
実際には、簡単にロシアを否定できる問題ではないと
それこそ、声を大にして叫ぶはずだと思っていたのです。


ところが、サイトを見る限りでは二ヶ月前から騒がれている事件であるにも
関わらず、一切のノーコメントの状態です。これは不思議でなりません。


正直、共産主義国研究の泰斗であり、市民運動にも積極的に参加し、
講演を精力的に行っている加藤教授が語ってくれたほうが、
私のような名もなき草の根の小僧が弱小ブログで書くよりも説得力があるのですが…


これは先生が普段から熱をこめて批判している共産党の言動にも
ケチをつけられる絶好の機会でもあるのですけれどねぇ……


加えて、日本国内では「ロシアの声」や「ロシアNow」、「ロシア・トゥデイ」
などの海外メディアのサイトでしか向こうの側に立った情報が得られないのが実情です。


ロシア本国で、同問題がどのように語られているのかを紹介するだけでも、
私たちの国際政治に関する間隔を磨く格好の材料になるはずです。
(まぁ、加藤教授に限らず、ロシア政治研究者は向こうの
 政府批判者と仲良くなっているのが常ですが…)


これをなぜ行わないのか・・・
その理由は定かではありませんが、結局のところ、
彼の沈黙はアメリカの公式見解を支持していることになるでしょう。
(日本国内では、アメリカ側の情報・意見ばかり氾濫しており、
 それらに異議を唱えないのは、黙認と同義の行為であるため)


結局、アメリカに都合のよい態度をとっている。

北朝鮮への極右と協力してまでの非難活動や、アラブの春の礼賛など、
ことごとくアメリカの利益を侵害しない限りでの人権運動を行っている
加藤教授ですが、現在でも世界各国を巡り、資料収集と研究者との交流を重ね、
その辺の椅子に座っているだけの名ばかり研究者よりもよっぽど働いている、
そんな研究者の鏡とも言える方が、なぜこのような裏切りを平然と行うのか。

私には理解できないことです。

「裏切り」と表現しましたが、おそらく教授にとっては、
 ものすごく筋が通った行動なのだと思います。

 また、こういう行動をとってしまうのは彼に限ったことではなく、
 戦後の主流左翼全体に見られる重大な欠陥だと思われます。


しかしながら、実のところ、この種の欠陥を抱えた左翼、
反対のポーズをとりながら、その実、支持をしている左翼、
「ノー」と言いながら「ゴー」のサインを指で作る左翼は、
海外のみならず日本における社会発展の上でも非常に問題があるでしょう。

アメリカのツィッターによるキューバ政権転覆作戦

2014-04-29 21:12:24 | リビア・ウクライナ・南米・中東
冷戦の半ばから、ゲリラよりも現地の市民運動家を支援したほうが、
敵国の政権転覆が容易に行えることに気がついたアメリカは、
民主化運動支援を駆使して、各国で工作をしかけています。



悪の枢軸と名指しされた、
イラク・リビア・シリア・イラン・北朝鮮・キューバの6カ国のうち、
イラクとリビアは文字通り消滅し、残りも制裁を受けており、
文字通りの存亡の危機にある状態です。

朱色の筆で、一つ国が消えるごとに横線で国名を打ち消して、次の行動に移る。

「中国の脅威」などとは違って、これは本物の脅威です。

名指しされた諸国家は、実際に現在進行形で、
次々と侵略・制裁をされているのですから。



イラクやリビアではアメリカの傀儡政権が君臨し、
国内で反対勢力が武装し、テロを連日起こしています。

他方、シリアは危うく爆撃されかけ、
イランや北朝鮮は核を口実に執拗に経済制裁をかけられています。

キューバもまた、そのようなアメリカに攻撃をされている国の
ひとつで、経済制裁はもちろんのこと、政府転覆の工作が
常に行われており、気を緩めてはいけない状況だと言えるでしょう。


さて、そのキューバに対してアメリカがツィッターを利用して
政権を転覆しようと画策していたことが判明しました。

赤旗からの記事です。


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キューバ向けツイッター
米の政権転覆作戦だった
国際法違反と非難



米国が2009年から11年にかけて
“キューバ向けツイッター”を立ち上げ、
同国のカストロ政権転覆を狙う秘密作戦を画策していたことが、
4月初めに米国の報道機関によって暴露されました。



キューバ側は国際法違反と非難しています。
その拠点が置かれたコスタリカ政府も、事前の了解なく
自国領土を他国への干渉の拠点とされたことに反発。
両国間の外交問題に発展する事態となっています。

報道によると、“キューバ向けツイッター”の名称は「スンスネオ」。
キューバのハチドリのさえずりの意味だといいます。

キューバ当局による厳しいインターネット規制を避けて、携帯電話網を活用。
若者を中心に一時は約4万人が登録したとされていますが、12年に活動を中止しました。


内容は当初、個人的メッセージや気象情報、スポーツや音楽の話題が中心でした。
米国側は一定の人数が集まった段階で、政府批判のメッセージを流し、
抗議デモなど政府転覆の行動を呼びかける計画だった
と報じられています。




米国の政府機関、米国際開発局(USAID)の予算で実行されたもので、
同局と契約した民間会社がコスタリカ国内の拠点から「スンスネオ」を管理していました



キューバ外務省のビダル米国局長は問題が暴露された翌日4日の声明で、
米国が「不安定な情勢をつくり出すことをめざす
対キューバ反体制計画を放棄していないことを示すものだ」と批判。

米政府に国際法と国連憲章の尊重や秘密作戦の中止を改めて要求しました。
ボリビアやベネズエラも米国の行動を厳しく批判する声をあげています。


米政府高官は、キューバ社会に情報・通信の場を提供するのが目的で、
「秘密行動ではない」と説明しています。しかし、今回の問題は、
米国と比較的良好な関係をもつ周辺国にも波紋を呼んでいます。


http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-29/2014042906_01_1.html
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米国の政府機関と契約した民間会社が
ツィッターなどの最新の情報技術を駆使して
若者をターゲットにして「民主化運動」を促す。


実は、この手の工作は、オバマが大統領選挙でとった
戦術と同じもので、エジプトでのアラブの春でも行われました。

以前、書きましたが、このエジプトの民主化運動も、
蓋を開ければ、彼らに具体的な戦術を伝授していたのは
米国の民主化支援団体だったというオチがついており、
結局は米国の手のひらで転がされる形で展開されました。


この手の作戦の目的は政府の転覆(或いは政権交代)であって、
治安の安定や経済の復興といった、その後の問題は丸投げされたものです。

エジプトの経済や失業率が全く改善されないままであることは
決して偶然ではなく、必然の結果であるとも言えるでしょう。



海外のニュースサイトの記事を精力的に翻訳している
「マスコミに載らない海外記事」様では、以下の記事が紹介されています。





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USAIDは自らを“極端な世界の貧困を終わらせ、潜在能力を現実化する為に、
はつらつとした民主的な社会を可能にすべく活動する主要アメリカ政府機関”だとしている。

しかし、この機関は、特に中南米で、政権転覆を推進し、
この地域の住民達に対し、他の犯罪を行なってきた長い残忍な実績がある。

1960年代と、1970年代、この機関のOffice of Public Safety=公安部
(現在閉鎖されている)は、中南米の警官をに、拷問と暗殺を含む
対ゲリラ戦術訓練を行なった。

中でも最も悪名高い職員に、農業顧問を装って働き、ブ
ラジルとウルグアイで、ホームレスの男達を街頭から拉致し、
集めた警察官の前で拷問し、殺害する講義をしたダン・ミトリオーネがいる。

エボ・モラレス大統領は、昨年、この機関が政権を不安定化する目的で、
非政府組織、反政府集団や一部の農民組合に資金援助していたと非難して、
ボリビアから、USAIDを追放した。

ラファエル・コレア大統領が同様に、
この機関が政敵に資金を注ぎ込み、エクアドルの内政に干渉していると非難して、
エクアドルがそれに続いた。

ベネズエラでは、USAIDは、
そのOffice of Transition Initiatives(移行イニシアチブ局?)と、
全米民主主義基金NEDとで、ウゴ・チャベスとニコラス・マドゥロの政権を
不安定化する取り組みに、何百万ドルも注ぎ込んできた。

ベネズエラで過去二ヶ月間行なわれている
暴力的抗議行動を組織している主要団体が、この資金の主な受け手だ。

シリアでは、USAIDは、いわゆる反政府派に資金を注ぎ込み、
Socialist Organization(国際社会主義協会?)等の似非左翼集団によって、
ある種代用的な“革命家”だとしてもてはやされている、
いわゆる現地調整委員会の作戦に資金援助している主要機関だ。

ウクライナでは、自らの活動と、NEDの活動を通して、
USAIDは、何億ドルをも右翼政党や団体に注ぎ込み、
ファシストが率いた最近の親NATOクーデター準備を助けた。

アメリカ政府は、ウクライナを巡るロシアとの対立では、
小国の擁護者で、国家主権の旗手のようなふりをしているが、
ウクライナそのものからキューバに至る、USAIDや、
その契約業者やルートの諸々の作戦行動が、
アメリカの権益に服従する政権を押しつける為、
世界中で違法で暴力的な介入を行なう上での、
アメリカ帝国主義の真の役割を暴露している。

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/usaid-b104.html
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不思議と、この種の帝国主義的横暴を繰り返すアメリカに対して
日本の政治研究者は、なぜかアメリカに都合のよい見解ばかり述べて
ろくに抗議を行おうとすらしません。


むしろ、彼らは北朝鮮などの悪の枢軸に対して、
もっと彼らを弱まらせるよう圧力をかけよと言っているのです。

[http://blog.goo.ne.jp/sanzenri2010/e/aa8232065ea787454cddc79e8ce48ded]


一時期、共産党に攻撃的な左翼集団が絶賛したカレル・ウォルフレンしかり、
共産国研究の泰斗である和田春樹しかり、中東研究者である酒井啓子しかり、
悪の枢軸国が文字通り悪であることを強調するばかりで、
客観的に見れば、アメリカが正義だったと追認する内容になっています。


和田氏などは、かなり巧妙で、他方では北朝鮮バッシングに対して
否定的に取り扱っているのですが、上に紹介したように、
拉致問題よりも核のほうが大事という路線で、
「捨てろ、核捨てろ」と圧力をかけている。

もちろん、北朝鮮が自国の核放棄の条件として、
韓国や米国の核放棄と在韓米軍の撤退、軍事威嚇の中止を
挙げていることを一言も言及していません。

アメリカや韓国が銃をこちらにむけている中で、
平和のために武装解除せよと叫んでいるわけで、
これは、投降と同義に受け止めても過言ではないでしょう。


これを三流学者ではなくて、その分野の権威が語っているというのがポイントです。

加藤哲郎氏といい、和田氏といい、
左翼を自称し、そう認められている人間の中には
致命的な欠陥を抱えている方も決して少なくはありません。

これをなぜかと考えると、やはり民主主義という思想へ対する
過度な期待があるように思えてなりません。


民主主義は政治制度の一つの形態に過ぎず、絶対視するものではない。
また、現在の民主化運動は、その実、特定の集団の利権獲得のために
展開されており、決して慈善活動でない。その点を無視して同運動を
神聖視し、手放しに礼賛すると、結果的には権力者を支援することになる。


以上の見解を持つことが今後の社会運動には必要なことだと思われます。


アメリカのアジア戦略と日本の軍拡

2014-04-29 20:18:37 | 軍拡
私がアメリカ研究を始めて間もないころ、バラク・フセイン・オバマが
ジョン・マケインに勝ち、アメリカ大統領になったニュースを読み、
胸がスッとした思いだったのを今でも覚えています。

あの頃の私は、民族論・ナショナリズム論というのを
あまり真面目に研究しておらず、しかも親米だったので、
アメリカには自浄作用があり、変われる国なのだと本気で信じていました。

他国と比べると、合衆国には改革の気運があり、そうであるからこそ、
世界有数のNPO大国であるという認識は今でも変わりません。
(それは貧困や差別が看過できないレベルである裏付けでもある)


しかし、今ではオバマを「食えない男だな」以外の感想が持てなくなっています。

その発端は、普天間基地の移設が問題化した2010年。
どうにかして話を聞いてもらおうと対話を持ちかける鳩山氏を
冷たくあしらったオバマ氏を見て、アメリカの怖さに気がつきました。


普段は、対話だの友好だの、差別解消だの、反核だのを訴えていたオバマも、
こと米軍基地の話になると、沖縄住民の代弁者に対して徹底無視を決め込んでしまう。

(少なくとも当時の首相は、沖縄住民の立場から基地の県外移設を訴えていた)


私の中のアメリカ像がガラガラと崩れていく瞬間でした。

以降、改めてアメリカ外交史と、それに伴う途上国へ対する干渉、
および国内における社会運動および民主主義思想の問題点等々に
取組み、この国の独善性や一見正しく見える行為の裏側に何があるのか
を観察してきました。北朝鮮や中東、東欧、南米への本サイトの批評も
その研究の産物といっても過言ではないでしょう。
(もっとも、レポート以下の感想文ではありますが)


さて、連日、安倍とオバマの対談について記事を書いていますが、
今回は、実は日本の軍拡は米国のアジアにおける軍事的拡張と
連動している
ということをここに指摘しておきたいと思います。

以下、赤旗からの記事です。

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米国とフィリピン両国は28日、10年期限の新軍事協定
「防衛協力強化協定(EDCA)」を締結しました。

比軍基地内に施設を建設し、
米軍部隊の「一時的」駐留をおこなうことを認めるもの。

同日午後には、アジア歴訪最後の訪問先として
オバマ米大統領がフィリピン入りし、アキノ大統領と会談しました。

終了後の記者会見でオバマ氏は、同協定について、
中国の「封じ込め」が目的ではなく、「平和的台頭」を歓迎すると表明。

アキノ氏も南シナ海の領有権問題で「平和的解決」を強調しました。


~(中略)~

国内では「米軍が復帰するのではないか」と懸念する市民らが、
大統領宮殿近くで新協定締結反対の抗議行動を起こしました。



現地からの報道によると、政治評論家ラモン・カシプル氏は新軍事協定締結の背景に、
中国の域内での台頭にたいする国防力強化を「切迫した」課題とするフィリピン側と、
「アジアにおいて再度その関与を模索している」米側の思惑の一致がある
と指摘しています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-29/2014042907_01_1.html
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状況が、日本のそれと完全に一致してますね?


フィリピンを日本、アキノを安倍、市民を沖縄県民と置き換えれば、
そのまま、沖縄の米軍基地問題と同じ内容になります。


どちらにおいても、対話や平和的解決を建前としながら、
軍備拡張に舵をきっており、中国へのけん制を目的としている。


オバマの狡猾なところは、責任をアキノに転嫁し、
自分は平和論者であるかのようにごまかしている点。


かつて、冷戦時代にアメリカは、自らの手を汚さず、
現地のゲリラや独裁者を支援し、間接的な支配を行ってきましたが、
それは冷戦終結によって終わったわけではありません。


アメリカにとっては、中国とのトラブルは避けたい一方で、
同国の台頭を防ぎたい思惑もあり、日本やフィリピンのような
中国と衝突のある国を焚きつけて、高みの見物を決め込んでいるわけです。


冷静に考えれば、現地の住民の意思を無視してまで、
アメリカの走狗になる義理などない
のですが、
アキノも安倍も米国を後ろ盾に自己の確固たる権力を築きたい野心がある。

結果的に、支配する側の権力者が支配される側の権力者を懐柔して、
本来なら敵対する国家が逆に主従関係を結んで行動している
わけです。

アメリカは、その歴史を紐解くと、綿花やタバコ栽培のための土地を
アメリカ・インディアンから奪い取るために、その部族と敵対する
部族と友好関係を結び、彼らを孤立させた上で武力侵攻して絶滅させて
いったのですが、こういう巧妙な政治の駆け引きはさすがだとしか言えません。

似たようなことは、実は大日本帝国やイギリス、フランスといった
旧帝国主義国も行っているのですが、まぁ、この点にかけては
アメリカの右に出るものはいないのではないでしょうか?


池上彰大先生のニュース番組について

2014-04-28 21:17:03 | マスコミ批判
前の記事で、
アメリカに有利な形でTPPが結ばれそうになっている
という非常に危機的な状況であることを
どうしてメディアは報道しないんだ
といったことを書きました。


書き終わり、投稿して、テレビをつけてみると、日本の誇る名ジャーナリスト、
池上彰大先生が韓国での沈没事故のご解説をされていました。


ここのブログも、時事ネタを扱うと目に見えてアクセス数が増えるので、
流行の話題に飛び乗って解説するのは、この手の人間が食っていくのに
必要なスキルなのかもしれません。


けれども、それでも、あえて言いたいのですが、
それほどまで他所の国の事故にここまで執拗にこだわるのならば、

なぜ今年の1月に民間人を死亡させた
軍艦おおすみの事故を深く追及しないのでしょう?



1月17日付の赤旗の社説を抜粋します。


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海上自衛隊の大型輸送艦「おおすみ」と釣り船「とびうお」が、
広島県大竹市の阿多田(あたた)島沖で衝突した事故は、
海に投げ出された釣り船の船長と乗客、合わせて2人がなくなる
痛ましい事態となりました。

海上保安庁などによる事故原因の究明が始まっていますが、
見過ごせないのは海上自衛隊の艦船によるこうした事故があとを絶たないことです。

直接の事故原因にとどまらず、なぜ艦船による衝突事故が繰り返されるのか、
その背景にまで踏み込んだ徹底した究明が不可欠です。



海上自衛隊の艦船による主な衝突事故は、
1988年7月の神奈川県横須賀市沖での潜水艦
「なだしお」と遊漁船「第1富士丸」の衝突で
遊漁船の乗客・乗員30人が死亡したのをはじめ、

2006年11月の宮崎県沖での練習潜水艦「あさしお」と
パナマ籍のタンカーとの接触、08年2月の千葉県房総半島沖での
イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突(2人死亡)、
同年12月の横須賀港内での護衛艦「しらね」と作業船「第6本栄丸」の衝突、
09年10月の関門海峡での護衛艦「くらま」と韓国籍のコンテナ船の衝突と、
繰り返し発生しています。

国民の生命や財産を守るたてまえの自衛隊の艦船と民間の船舶との衝突で
人命が損なわれるのは許されるものではありません。


http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-17/2014011701_05_1.html
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あの時、私はもっと大々的に連日にわたって
精力的に事故の原因と自衛隊の責任が追及されるものだと思っていました。


ところが今では、「そんなこともあったなぁ」といった扱いです。


この件で非常に重要なことは、
最近の自衛隊の事故では、自衛隊ではなく、
その被害者(死亡者)に責任がなすりつけられている
ことです。

自衛隊のやることなら、どんなことでも黙認される、
自衛隊なら責任を問われないという恐ろしいことが
現在進行形で行われているのですが、
なぜ誰も言及しないのでしょうか?


当時において、一応社説で言及はされましたが、今の韓国での事故と比べれば、
とりあえずコメントしたといった程度以上のものではなかったと思います。


当り前の話ですが、あの事故で最も亡くなったのは韓国人なのですが、
日本では、なぜか日韓の友好関係に支障をきたす大事故とみなしています。


この論法が通るなら、当然、2011年3月に東北で暮らしていた
全体でいえば被災者の数パーセントにも満たないだろう韓国系外国人の死亡を口実に、
確かな防災対策を行ってこなかった日本政府や東北の各自治体に対して
韓国が喧嘩を売っても文句は言えなくなるはずです。


安倍政権の政策のメインとも言える軍事に直接関係のある自衛隊が有する
軍艦の衝突事故が、他所の国の沈没事故よりも扱いの比重が小さい。


これこそ、メディアがなんだかんだで
私たちに考えるための情報を提供するのではなく、
考えを妨げるためのネタをばらまいている

何よりの証左と言っても過言ではないと思えてなりません。


最近のNHKの報道はおかしい

2014-04-28 21:00:34 | マスコミ批判
この間の記事の続き。


NHKは、以前から安倍首相とつながりが深く、
同氏が介入して慰安婦を取り扱った番組を改変させたりと、
体制協力の色が濃い情報機関でしたが、ここ最近のHNKを見ると、
「こんなに安倍礼賛をやっていていいのだろうか」と不安になります。


たとえば、日米首脳会談で領土問題を日米安保に関連する問題だと
明言したことを、鬼の首を取ったかのように得意げに報道していましたが、
その一方で、実はアメリカの見解は少しも変わっていないこと、
交渉が滞っているTPP問題でかなり強硬な姿勢をとられたことは
指摘されていません
でした。


しんぶん赤旗の記事より。


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最大の焦点だった環太平洋連携協定(TPP)では、
断続的協議で米側の強圧姿勢が際立ち、

共同声明で「前進する道筋を特定した」
「TPP協定を達成するために必要な大胆な措置をとる」と明記しました。


一方で、「TPPの妥結にはまだなされるべき作業が残されている」としており、
矛盾が深まっていることを示しました。


昨年末の靖国参拝で米政府から「失望」を表明された安倍首相は、
今回の首脳会談で安全保障問題を中心に「日米協調」を演出し、
対中国で強いメッセージを出そうとしました。

その結果、共同声明では日米安保条約が
「尖閣諸島を含め、日本の施政の下にある全ての領域に及ぶ」
ことが改めて明記され、安倍首相は「日米同盟は力強く復活した」と胸を張りました。


しかし、共同声明では北朝鮮問題をはじめ国際的な脅威で
「中国は重要な役割を果たし得る」
「中国との間で生産的かつ建設的な関係を築くこと」もあわせて確認されました。


英紙ガーディアン(電子版)はこの問題で
彼(オバマ氏)は主権問題で一方の立場を支持しないという
 米政府の立場を再確認し、中国と日本が対話を通じて違いを
 解決するよう呼び掛けた
」と報じました。


24日の記者会見でも、オバマ氏が尖閣問題で
「事態がエスカレートし続けるのは正しくない」とくぎをさすと同時に、
中国の「平和的台頭を米国も支持する」と語りました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-26/2014042601_01_1.html
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ガーディアン紙が報じた内容を、NHKは全く触れていません。
これは意図的な隠ぺいと受け取られかねない行為です。


よその国は、アメリカの尖閣問題に対する態度は変わりないものとして見ているのに、
日本だけアメリカが味方になってくれたと勘違いしている
わけです。
(もっとも、中国がアメリカにこの件で抗議の言葉を送りはしましたが)

これでは、国民をだましたまま、国民が実態をつかめないまま
領土問題が混乱していくのを促しているようなものです。

臭いものにふたをしているようなものです。

非常に問題ある行為だと思います。



また、日本に対して領土問題で歩み寄った見返りとして
TPPに対して譲歩せよと暗に強調されたことも
本来なら、もっと中心的に扱うべき事項でした。


TPPをアメリカの要求に応じて受け入れてしまうと、
米をはじめとした農作物に関税をかけることができなくなり、
国内の農業労働者を保護することができなくなります。


簡単に言えば、
国内の農家が減り、食料自給率がますます減ります。



事実、TPPと同様の条約を締結した途上国では、
国内の農家が安価な輸入作物に勝つことができず、
結果的に商品作物の栽培に勤しむようになっています。

自分が食べるものは不足しているのに、
外国国へ捧げる作物は安価で買い取られるという悲惨な状態です。

これは安定して国民に食料を供給することを考えれば、
大変危険なことなのですが、NHKは無視しています。


TPPは農作物に留まらず、医療や保健、金融、人材派遣といった
多岐にわたる条約であり、日本経済に大きな影響を及ぼすものです。

もっと本格的な議論と批判がなされてもおかしくないのです。



NHKをはじめとしたメディアは
韓国での沈没事故ばかりクローズアップして、
肝心の私たちの毎日に関わる話をしてくれません。



後になって気がついてももう遅いのです。

NHKをはじめとした御用メディアには、
少しでも早く、議論に掲げるべき内容を報道してくれるように望みます。

オバマ大統領と天皇陛下の宮中晩餐について

2014-04-24 22:44:53 | 日本政治
NHKのサイトより。

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国賓として来日したアメリカのオバマ大統領を歓迎する
宮中晩さん会が、まもなく皇居宮殿で始まります。

オバマ大統領は、先ほど今夜7時すぎに
皇居宮殿の「南車寄」に到着し、出迎えた天皇皇后両陛下と
あいさつを交わして宮殿に入りました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140424/k10014007611000.html
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朝日新聞の記事より。


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天皇、皇后両陛下は24日夜、国賓として来日した
オバマ米大統領を歓迎する宮中晩餐(ばんさん)会を皇居・宮殿の豊明殿で開いた。

安倍晋三首相ら三権の長や
元大リーガーの野茂英雄さんら168人が出席し、平成に入り最大規模となった。


天皇陛下は乾杯に先立ち、東日本大震災時に
2万超の米国軍が参加した「トモダチ作戦」などの支援に謝意を表明し、
「物のない厳しい環境にあった被災者にとり、大きな支えとなりました」と語った。


また、太平洋戦争を踏まえ
「両国民は、先の戦争による痛ましい断絶を乗り越え、
緊密な協力関係を築きました」と述べ、「来し方を振り返り、
互いの理解を一層深め、相携えて進んでいくことを願ってやみません」と話した。

http://www.asahi.com/articles/ASG4S4GHPG4SUTIL014.html?iref=com_alist_6_02
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このように、微笑ましい雰囲気で報道されているのですが、
確か私の記憶が正しければ、
2009年の中国の習近平副主席と天皇陛下が対談した時には
猛反対されていましたよね?




ウィキペディアにまとめがありますので、それを引用しましょう。


『産経新聞』→「“政治主導”という名のもとによる“天皇陛下の政治利用”である」

『毎日新聞』→「天皇の政治利用とも受け取られかねない」

『西日本新聞』→「“天皇の政治利用”という疑念さえ生んでおり、
          宮内庁の訴えを聞くべきであり、
          厳守されてきたルールは過去の“政治利用”による
          苦い教訓をもとにしたものであるので踏み外すべきではない」

『読売新聞』→「天皇陛下が時の政権に利用されたと
        疑念が持たれるようなことは厳に慎むべきであり、
        その基本を現政権はわかっていないのではないか」

『中日新聞』→「政治利用との疑念が持たれるようなことは厳に慎むべきだった」

『朝日新聞』→「天皇と内閣の微妙な関係に深く思いを致した上での判断にはみえない。
        国事に関する天皇の行為は内閣が決めるからといって、
        政権の都合で自由にしていいわけがない」


『沖縄タイムス』→「外国要人との会見は、国事行為ではない。
          内閣の責任の下でなされ政治的な性質を持たない
          公的行為とされる。」
         「友好親善のための公的行為が政治化してしまった」

(以上、http://ja.wikipedia.org/wiki/天皇特例会見を参考に作成)


・・・・・・今、安倍政権がやっていることは、彼らに言わせれば、
アメリカとの友好関係を深めるために陛下に接客させる行為であり、
思いっきり天皇の政治利用に当たるのでは?



私は、てっきり、「陛下にご機嫌取りをさせるなど言語道断!!!」と
政治家やメディアも怒り心頭に発するもんだと思っていました。


「今回は国賓として招いたから特別なのだ」とか
「前回は一カ月ルールを民主党が破ったからだ」とか言い訳はあると思います。

しかし、上で挙げた各メディアは、突き詰めれば
「天皇の政治利用」に反対していたはず
です。



ならば、天皇とオバマを一緒に食事させて、
日本とアメリカは仲が良いんだよと内外にアピールするパフォーマンスにも、
いくら公的行為に当たるとはいっても、もっと怒ってもいいはずです。


この態度の違いは一体なんなのでしょう?


一つには、日本人が持つ人種差別にあると思います。

東洋の猿ごときに天皇陛下を会わせるのは我慢ならんということです。
大日本帝国の時代から、アジアには蔑視、欧米には尊敬の
二種類の態度をとってきた我が国ですが、その態度は
今もたいして変わっていないのでしょう。


もう一つ、当時と今では、
メディアの政権に対する姿勢が真逆にあることが挙げられます。


民主党政権時には、メディアと政権は対決していましたが、
今は、NHKをはじめとして各メディアのトップが
安倍首相と会食を開くなどの工作をもってして、懇意の仲を築いています。


アベノミクス、消費税増税、安全保障問題。
どれも皆、礼賛、礼賛、礼賛です。


日本は、象徴天皇制という形をもって、
個人崇拝システムを維持したまま、民主主義国を名乗ってきました。

また、北朝鮮や中国を名指しして、言論の自由がない独裁国家と罵倒してきました。


しかしながら、どうでしょう?

軍拡や戦争犯罪の否定、増税といった様々な悪政を敷いているはずの極右政治家が
どのメディアも一斉に美化して報道しています。批判のひとかけらもありません。


今回のオバマ大統領と安倍首相の微笑ましい報道によって、
間違いなく、同政権の支持率は回復することでしょう。


こういう人気取りのパフォーマンスの効果を最大限に高めるような
報道を流し、政権に加担する。それも安倍首相との個人的な繋がりを
どのテレビ局も持っている。これが独裁でなくて何なのですか?


本当に不幸なのは、言論の自由があるはずの民主主義国家が
軒並み、権力者に迎合して、彼に都合のよい情報を流し、
民衆から考える力を奪うことです。

それは、独裁国家における言論の不自由より、なお性質が悪い。
彼らは無理やりですが、我らは自発的に協力するのですから。

自由があるのに、その自由をもって支配者に媚を売るのですから。


私は真の独裁国家とは、他ならぬ民主主義国家であり、
そこでは、自由があるがゆえに、不自由であると思います。



※今も現在進行形で罪もないアフガン・パキスタンの民衆を
 大量殺害しているのは、オバマをはじめとするアメリカの権力者たちです。
 そういうアフガンの敵とも言える人を少しも批判しない。
 そういう人を国賓として招くことを誰も不思議に思わない。
 中国なみの猛反論が全く国民的現象として生じない。
 これこそが本当に恐ろしい、現在の独裁国家で起きていることです。

中国による商船三井の船舶差し押さえに対する天児慧氏のコメントについて

2014-04-21 22:56:38 | 反共左翼
人民網の記事より。

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上海海事法院(裁判所)は有効な判決を執行するために、
関連規定に基づき、今月19日に浙江省◆(「山偏」に「乘」)
泗馬跡山港で被告人の日本の海運大手・商船三井の船舶を押収した。

新華社が伝えた。


原告の陳震さん、陳春さんらは1988年12月30日、
日本海運株式会社(商船三井の前身の一つ)を被告に、
定期チャーター船の契約に不備があること、権利の侵害があることを理由として、
上海海事法院に損害賠償を求める訴訟を提起した。
未払いだった第二次世界大戦中の「順豊号」と「
新太平号」のリース料金の支払いと経済的損失の補填も求めた。

同法院は公開の審理を行い、2007年12月7日に法律に基づいて判決を下し、
被告の商船三井に賠償金、「順豊号」と「新太平号」のリース料金、
営業損失の補填、船舶の受けた損害の補償、発生した利息などとして、
総額約30億円の支払いを命じた

中華人民共和国上海市高級人民法院(高裁に相当)は
10年8月6日、一審の判決を支持する判決を出した

同年12月23日には、中華人民共和国最高人民法院(最高裁に相当)が
被告の再審請求を退け、判決が確定した。

この案件は対外的な商事案件だ。
判決が有効になると、原告側は法律の規定に基づき、
上海海事法院に強制執行の申請を提出し、
被告に判決で確定した支払い・賠償の義務を履行すること、
法律に基づいて延滞期間の利息を支払うことを求めた。

同法院は11年12月28日、法律に基づいて商船三井に「執行通知書」を送付。
これより先に当事者の間で和解に向けた話し合いが何度か行われたが、
和解には至らなかった。このため同法院は法律に基づいて、
商船三井の船舶を差し押さえた。

商船三井が義務の履行を拒絶すれば、
同法院は法律に基づいて押収した船舶を処分することになる。

http://j.people.com.cn/94476/8604665.html

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安倍政権のここ数日の靖国参拝はスルーする一方で、
中国のすることなら、どんな些細なことでも
目ざとく発見し、事を荒げようとする正義のメディア・知識人。

NHKでは、「何十年も前の話を今さら持ち出しおって」と
文句タラタラの報道をしていました。

ここで気になったのは、専門家のコメントとして
中国研究者の天児慧氏がNHKの主張に
同調するような意見を述べていた
ことです。


「日中の経済関係に支障をきたす恐れがある」
「昔の話を持ち出して差し押さえるのは道理に合わない」

こういう趣旨の発言を行っていました。
当のNHKのニュースサイトには、次のような記述もあります。

中国では、戦時中に日本に強制連行され過酷な労働をさせられたとして、
中国人の元労働者や遺族が日本企業を相手に損害賠償を求める訴訟が相次いでいます。

今回の差し押さえによって、中国での戦後賠償に関連する裁判で、
今後、原告側が勝訴した場合、日本企業の中国国内にある資産が
差し押さえられる可能性も出てきたとして、議論を呼ぶことになりそうです。

(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140420/k10013885491000.html)


要するに、今回の判決は、中国人強制連行という
大日本帝国の戦争犯罪の責任の取り方とリンクする問題
なのですが、
これを天児氏は無視したということになります。


仮に編集でカットされたならば、
今後、中国を一方的に非難する見解であるかのように報道されたことについて
抗議するなり、改めて自身の見解を述べるなりするべきでしょう。


少なくとも、現段階では天児氏のコメントは、
「戦時の事件なんぞ持ち出すな」
「経済が大事なら、余計なことをしゃべるな」

という内容で、要するに「黙ってろ」と発言しています


これが、三流タレントや作家の言葉ならいざ知らず、
同氏は1989年には第1回アジア・太平洋賞特別賞を受賞し、
1999年から2001年までアジア政経学会理事長を務め、
現在、日本国際フォーラム政策委員も務める超一流の政治学者です。



間違いなく、中国政治研究の権威としてご活躍されている方です。
そういう方が、こういう発言をしてしまうということが
どれほど恐ろしいことか、よくわかっていない人が多いのではないでしょうか?


ある意味、安倍や田母神が中国を批判しても、
あまり効果はないのです。彼らは極右なのですから。

極端な考えを持っている根っからの中国嫌いが
中国を批判しても、これは脅威には当たらない。
ある意味、極右としては当然とるだろう行動なのですから。

問題なのは、中国を専門としている研究者が
このような中国バッシングの動きに同調して
援護射撃をしてしまうことです。


本来、一連の動きに「待った」をかけるべき人間が、
「おおいにやるべし」と支持してしまう。これは本当に危険な兆候です。

反戦論者が例外的に武力介入を認めるほうが
よっぽど大衆に参戦を納得させるのに効果があるように、
中国研究者が事件の本質を隠匿し、日本政府に有利になる発言をするのは
平和団体や人権運動家を納得させるのに、この上なく効き目があるでしょう。


実はイラク戦争の折にも、似たようなことを
酒井啓子教授をはじめとした中東研究者が行っていました。
(フセイン政権を徹底的に非難する著作を開戦間近に出版していた。
 これは悪しき独裁政権を粉砕するというアメリカの正義を
 正当化させるにあたって非常に都合のよいことであった。)


こういう中立を装いながら、日本政府に有利な言葉ばかりを
述べ、遠まわしに中国のほうが悪いという見解が広がるように促す。


非常に悪質な行為だと私は思います。


しかしまぁ、天児氏といい、酒井氏といい、加藤哲郎氏といい、
北岡伸一氏といい、政治学者はなぜ政府に都合のよい見解ばかり語るのでしょうか


一応、前者3名は一般的に左翼のジャンルに属し、
岩波書店から本を書いていますが、やってることは
北岡氏のような保守系の政治学者と大差ありません。


むしろ、前述したように、市民への説得、プロパガンダということを
考えれば、彼ら左派系学者のほうが政府に協力しているとも言えるでしょう。


私は戦後の主流左翼(岩波・社会党系列の人間)を「反共左翼」と称して、

①日本政府の反共政策にかなった形を超えられなかったこと、

②それが結果的に国内の共産党陣営を攻撃する形で利用されたこと、

本人たちも、その役目に嬉々として応えたこと

④結果として冷戦終結後、用済みとなり切り捨てられたことで
 主流左翼が急速に縮小、消滅の危機にあること

を指摘し、その問題性について説いています。


天児氏もまた、ちまたでは、尖閣諸島について
「反日的な」発言をした「売国奴」という悪評を得ているようです。

岩波新書から本を出されていることからも、
同氏は良心的な学者としての評価が名高いものと思われます。
実際、次のようなインタビュー記事からは
冷静な分析力を有する方だと感じられます。
(http://iwj.co.jp/wj/open/archives/101507)

しかし、このような人物が結果としては体制に貢献しているのもまた事実です。
領土問題にしても、基本的には日本の国益に沿った形での見解であることは見逃せません。

にも関わらず、左右どちらの陣営もこの事実にはあまり気づいていないようです。
右は売国奴と罵り、左は彼を良心的と讃えています。


右がそうなのはともかくとして、左が誰彼かまわず、
敵も味方もわからずに突っ走っているのは、問題があると言って良いでしょう。

何とかすべきことですが、まぁ・・・何ともならないでしょう。


・追記

こういう方々の外国研究というのは、どれほど信頼できるものなのか…
まぁ、仮にも研究者ですから一切のでたらめは述べていないと思いますが、
どうも穴があるような気はしなくもないです。

また安倍首相が靖国神社に真榊奉納

2014-04-21 21:44:15 | 軍拡
前回、ギリギリ20代のアラサー男子、古市憲寿氏が、
日本には国営の歴史博物館がないことを根拠に
日本人の歴史観があやふやになっているという主張に対し、
「靖国神社と遊就館の存在が完全に無視されている」と批判しました。


改めて書きますが、同施設は日亜(太平洋)戦争を
正義の戦争と美化しており、こういう施設が戦後、一貫して
国の保護のもと、存続し続けているその意味をもっと知るべきです。


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靖国神社に建つ「遊就館」と呼ばれる軍事博物館は
「アジア諸国の解放と共存共栄の新秩序を確立する」
(「特別展 大東亜戦争七十年展II」・徳川康久宮司のあいさつ文)
ことが戦争の目的だったと掲げる
など、
戦前の理屈そのままに侵略戦争をまるごと肯定・美化し続けています

侵略戦争を推進したA級戦犯についても靖国神社は
「形ばかりの裁判によって一方的に“戦争犯罪人”という
ぬれぎぬを着せられ、むざんにも生命をたたれた」
方(「やすくに大百科」)だと説明していたのです。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-27/2013122702_01_0.html
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さて、そのような靖国神社に、また安倍首相が真榊を奉納したようです。

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時事通信は21日、日本の安倍晋三首相が同日午前に
靖国神社に供え物「真榊」を「内閣総理大臣」名で奉納したと報じた。

報道によると、安倍首相は中韓両国との関係の現状や、
東アジア情勢に対する米国の懸念に配慮して、
今年の春季例大祭中は靖国神社を参拝しない方針だ。環球時報が伝えた。


NHKによると、東京都九段の靖国神社では21日から3日間、春季例大祭が行われる。
安倍首相は例大祭の開始に当たり、供え物「真榊」を「内閣総理大臣」名で奉納した

関係者によると、安倍首相は今年の春季例大祭中は靖国神社を参拝しない方針だ。
時事通信の分析によると、オバマ米大統領が23日に
「国賓」として日本を公式訪問し、安倍首相と会談することから、
安倍首相は中韓両国との関係の現状や、
東アジア情勢に対する米国の懸念に配慮して、
今年の春季例大祭中は靖国神社を参拝しない方針だ。
http://j.people.com.cn/94474/8604957.html

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21日の春の例大祭を前に、20日、
古屋圭司国家公安委員長・国務大臣が靖国神社に参拝した。AP通信が伝えた。

古屋氏は、アジア諸国では日本軍国主義を連想させる同神社に参拝した
ここ2週間で二人目の現職閣僚となった。

2週間前には、新藤義孝総務大臣が参拝し、
その後「参拝は私的なもので、他国に制限される事にはあたらない」
と述べている。

新藤総務相は、太平洋戦争最後の激戦地の一つ
硫黄島の戦いを率いた栗林忠道陸軍大将の孫にあたる。

続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2014_04_20/271430562/
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共産党の志位委員長は、去年に安倍首相が真榊を奉納したことについて

「靖国神社の最大の問題は、過去の侵略戦争について、
 自存自衛の正義のたたかい、アジア解放の聖戦だった
 と美化することを存在意義としていることだ」

「その神社に真榊を奉納することは
 侵略戦争美化の立場に身をおくものだ。
 厳しく批判したい」
と述べています。


第一、奉納も参拝も、一般人にしてみれば同じことですから、
ことさらに、両者を質的に異なるものとみなすのは詭弁です。


人民網(中国の公的メディア)は、ずいぶん甘い見解をしていますが、
他国に配慮するなら、そもそも神社に行かないはず。

しかも、総理大臣の名で奉納をしている。

日本の総理大臣が侵略を美化する施設を
公的の立場をもって認めた。


閣僚の連日の靖国参拝を考慮すれば、
現政権が積極的に、靖国史観を支持しているのは明らかです。

これは本来なら、すぐに号外を出すレベルの話なのですが、
ニュースを発信する新聞社やテレビ局は、予想通り沈黙を守っています。

代わりに彼らが熱を込めて報道しているのは、
韓国での沈没事故と中国の商船三井の船舶の差し押さえ。



この前も書きましたが、言論の自由が保障されている国で、
本人が嬉々として、自発的に権力者に有利な情報を流している。
こういう事態のほうが、第三諸国のそれよりも深刻な問題です。

戦争を知らなかった世代?古市憲寿氏の言説について

2014-04-20 21:57:18 | マスコミ批判
古本屋で『冬の兵士』を買った。
イラク・アフガンからの帰還兵の体験談をまとめたものである。


私はベトナム戦争の帰還兵の体験談を読んだことがあるが、
同書と比較して読むと、「アメリカのやってることは
60年代から全く変わっていない
な」と改めて感じさせられる。


さて、『冬の兵士』を買う時にチラリと見えた本があった。
『誰も戦争を教えてくれなかった』という書名で院生が作者だった。


帯紙を見ると、加藤典洋が推薦している。
この時点で、ろくでもない本なのは看破できたが、
若干20代の若造にどんな本を書かせているのかなと思って立ち読みした。


この本は、要するに、世界各国の戦争博物館を巡って、
歴史の記憶のされ方を論じたものであるのだが、はっきり言って、
肝心な部分に触れずに結論をまとめるので、瑣末な内容になってしまっている。


この辺は、後藤和智氏が詳しく論じているので、以下のページを参照してもらいたい。
ttp://ch.nicovideo.jp/kazugoto/blomaga/ar398664


著者は、「他国に国営の戦争博物館があるのに対して日本にはない」と語る。
それを基軸にして、日本には過去の戦争に対する歴史観が希薄であると言うのだが、
そもそも国営の戦争博物館がないというのが上手いロジックだ。


つまり、靖国神社と遊就館の存在が
この本には奇麗さっぱり抜け落ちているのである。



確かに遊就館は国営ではない。だが、民営とは名ばかりの施設であり、
そうであるからこそ、同施設の存在がしばしば議論されるのである。

靖国神社を見る限りでは、日本という国家が本音の所では、
過去の戦争について全く反省していないこと、こういう考えが
戦後、一貫して受け継がれ、今に至るということが語られていない。


これを作者が意図的に秘匿したのか、
初めから考慮に入れなかったのかは定かではない。

どちらにせよ、博物館来訪紀といった範疇を超えていないだろう。


記憶のされ方うんぬんだと、アメリカで起きたエノラ・ゲイという
原爆投下に使用した航空機の展示会での事件を思い出す。

この展示会は、広島への原爆投下を批判した解説が添えられるはず
だったのだが、退役軍人や遺族の猛攻撃を受けてこれら説明を省略した
展示に急きょ、変更させられた。未だにアメリカではこういう動きが
民主的に行われているのである(民主主義を美化する方々は、この
実に民主主義に則った抗議運動をどう捉えるつもりなのだろうか……)


こういう博物館を巡る各国の隠された公式見解の問題点を
指摘するならいざ知らず、どちらかというと、そういう事態に
無知である人間を擁護するような内容になっていて、
この本が作者の今後の研究活動に貢献するのか疑問に思った。

まぁ、加藤典洋や浅田彰などの今となっては仮面がはがれた
連中を見ても、目立ちさえすれば実力がなくても大学教授になれる
ことは実証されているので、こういう売名というか、学問を
コケにするような奴でも楽々とポストを得られるのだろう。
(代わりに学問自体に対する民衆の信頼をますます失うことになるが)


巷ではSTAP細胞を巡って下らないワイドショーが繰り広げられているが、
こういうタレントと研究活動を勘違いしている連中が、
哲学者とか社会学者を気取ってのさばっているほうが
よっぽど日本の学術研究のレベルを疑われる背任行為
だと私は思う。