時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

国連安保理の北朝鮮に対する非難声明

2016-08-28 23:16:54 | 北朝鮮
北朝鮮のミサイル発射実験に対して国連が非難声明を送った。
いつものことなので、さほど気にしていない。


イギリス、サウジアラビアに誘導爆弾を供与
(http://parstoday.com/ja/news/middle_east-i15172)

サウジアラビアの戦闘機がイエメン市民を殺害
(http://parstoday.com/ja/news/middle_east-i15106)

イエメンのフーシ派、アメリカ国務長官の提案に反対
(http://parstoday.com/ja/news/middle_east-i15532)

サウジアラビア軍が、イエメン攻撃で化学爆弾を使用
(http://parstoday.com/ja/news/middle_east-i15094)


毎度、言及しているが北朝鮮のミサイル実験は1人も死傷者を出していないのに対して、
中東に目を向けてみれば米英仏侵略トリオによって数百万の人間が犠牲になっている。

前者に対しては経済発展の執拗な妨害(「制裁」と称される)が行われるが、
後者に対してはいつまで経っても米英仏に何らかのペナルティーが科せられることがない。


上記4本の記事のうち3番目の記事を一部、下に抜粋する。


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イエメンのミフラーフィ外相は25日木曜、ペルシャ湾岸協力会議の外相、
そしてイギリスの閣僚とサウジアラビアのジッダで会談した後、会談の終わりに、
イエメンに統一政府を樹立し、イエメン危機を終わらせるための計画を提示しました。


ケリー国務長官は、イエメンの統一政府を樹立するための自身の計画の中で、
フーシ派のミサイルと、イエメン軍は、サウジアラビア、地域そしてアメリカを脅かしているとしました。


この非難は、アメリカの国防総省が23日火曜、
アメリカ国務省はサウジアラビアに対する
10億ドルを上回る兵器の売却に合意したと発表した
中で行われました。

サウジアラビア主導の連合軍は、イエメンに対する攻撃を続けています。

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サウジアラビアの戦闘機は、28日日曜、
イエメン北部のサアダ州、北西部のハッジャ州、アムラン州の各地を爆撃した。

サウジアラビアは27日土曜にも、イエメン南西部のタイズ州の住宅地域を爆撃し、
これによって、少なくとも民間人10人が死亡、11人以上が負傷している。


国連の「安全保障」理事会が北朝鮮をバッシングすることに躍起になっているまさにその時、
アメリカやイギリスが売却した兵器を用いてサウジアラビアの戦闘機が民間人を殺害している。


これに対する非難決議は一切ない。


では、北朝鮮のミサイルはそこまで脅威なのだろうか?
この点について、スプートニク紙のエフゲーニヤ・モイセーエワ論説委員の解説を読んでみよう。



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8月22日、米国と韓国は、北朝鮮に対する予防攻撃を仕上げ、
北朝鮮の領土を占拠する目的で大規模な軍事演習を開始した。



これに対し北朝鮮側は、例によって米国と韓国を先制核攻撃すると威嚇した。
こうしたシナリオは、どの程度現実的なのだろうか? 

北朝鮮とその隣国の間の核物質蓄積における、実際の潜在的相互関係はどんなものなのだろうか? 
東アジアにおける核パニックは、何によって危険なものとなり得るのだろうか?

まず単に常識から考えて、北朝鮮が自分の敵すべてを核攻撃するなどという事はあり得ない。
それに十分な量の核を準備できないだろう。

スプートニク日本のインタビューの中で、非政府組織ライフボート・ファンデーションのメンバーで
北朝鮮の軍事問題の専門家ウラジーミル・フルスタリョフ氏は、そう指摘した後、次のように続けた



「朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮には、兵器用核分裂性物質の2つの源がある。
一つは、ヨンビョンの核センターにある25から35メガワットの生産用原子炉で、
 もうひとつは、2千から4千と、様々にその数が推測される遠心分離機が置かれている濃縮工場だ。

 おまけに原子炉の作業は一定のサイクルで進んでおり、それは軌道上からの偵察で明らかだ。
 平均のサイクルは、1年から2年である。
 そうしたそれぞれのサイクルの後、受け取られた燃料は搬出され、工場で加工される。
 濃縮ウランの加工には、さらに数週間かかる。

 しかしその量は、隣の核保有国、中国やロシアが古いストックの形でのみ入手した
 兵器級物質の量に比べても、微々たるもので、観測誤差のようなものに過ぎない。


 北朝鮮の主要な敵国である米国の備蓄量と比べても、状況は変わらない。
 また、すでに保有しており絶えず拡大しつつある韓国や
 日本の原子炉における『平和目的』のプルトニウムの量と比較しても、
 その差はやはり何十倍もあり
、北朝鮮当局には不利である
。」


現在、これまだなかったほどの重い潜在力を持つに至った北朝鮮に対し、
隣国達は、同国の核実験にますます厳しく反応している。

今年1月6日の核実験後まもなく、韓国セヌリ党のリーダー達は、朴槿恵大統領に、
プルトニウムを抽出する目的で核燃料加工の可能性について検討するよう正式に要請した。

これは技術的に、完全に行うことが可能だ。

韓国最大の新聞「チョソン・イルボ」が公表した分析は、今持っている力を用いれば、
韓国は18か月間で核爆弾を製造できることを、極めて詳しい形で物語っている。


自国の核兵器保有を支持する韓国の勢力もまた、米国は東アジアのもう一つの同盟国である日本に、
米国から輸入した核燃料を加工し、プルトニウムを入手するのを許可しているではないかと主張している。

権威ある雑誌The Bulletin of the Atomic Scientists「原子力科学者会報」のデータによれば、
日本は現在、自国領内に約11トンのプルトニウムを持っており、さらに37トンを国外に保管している
とのことだ。


同誌の計算では、
これは、2千発の核弾頭を製造するのに十分なものである。


また同専門誌は、日本が、自分達の核燃料加工工場を青森県の六ケ所村に稼働させるなら、
日本は毎年、核弾頭1500発を準備するのに十分な量のプルトニウムを手にすることができると予測している


なおこれは、
現在戦闘準備態勢にある米軍の核兵器の数に匹敵する。



これらの国々が核兵器を製造する潜在力は、北朝鮮などよりはるかに大きい。
しかし自国のプルトニウムを兵器級に替えることは、彼らにとってそう簡単ではない。

まず米国をはじめとした国際社会が、それを許さないだろう。

米国の核の傘の下にあり、完全にその安全が保障された同盟国には、
自国の核兵器を保有する段階まで、北朝鮮の行動を心配する理由はないからだ。

北朝鮮への攻撃想定した訓練も 北朝鮮の軍事問題に詳しいフルスタリョフ氏は

「北朝鮮は恐らくすでに、核兵器を保有しているだろう。その射程内には、日本も韓国も入っている。
 しかし北朝鮮は、罰を受けることなく米国の同盟国に、挑発されることもなく核攻撃をすることはできない。
 米国は、そのシナリオがどんなものでも『同盟国のために』北朝鮮に報復するだろう。
 米国に先制攻撃をしたり、米国の核戦力を『根絶やしにする』ような能力は北朝鮮にはない」

と指摘している。 北朝鮮指導部の誰の頭にも、隣国を核攻撃する考えはない。
そんなことをすれば、数分後には、自分達自身が殲滅されてしまう。

北朝鮮の核兵器は、現在もやはり、その敵国の核兵器同様に抑止機能を果たしている。
しかし自国の原子力プログラムを兵器級のものへ移行させる韓国や日本の可能性が大きくなるならば、
そうした軍拡競争が、この地域の状況が変化した場合、
一転して全く予測のつかない結果をもたらすこともあり得ると思う。



著者と専門家の意見は必ずしも編集部の立場と一致してはいません。

続きを読む: http://jp.sputniknews.com/opinion/20160825/2689485.html
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そもそも米韓両軍は、北朝鮮が以前から何らかの措置を講じると警告していたにも関わらず、
北朝鮮への先制攻撃を想定した大規模な合同軍事演習を敢行した。






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米韓は大規模軍事演習「ウルチ・フリーダム・ガーディアン」を開始した。

演習では朝鮮半島「有事」の場合の
北朝鮮施設への核施設やミサイル基地への攻撃を想定した訓練が行われる。韓国聯合ニュースが報じた。

演習には米軍から2万5000人、韓国軍から5万人が参加した。
また、作戦にはオーストラリア、カナダ、コロンビア、オランダ、
フランス、イタリア、フィリピン、英国、ニュージーランドの代表が呼び寄せられた。


「ウルチ・フリーダム・ガーディアン」は今年8月22日から9月2日にかけて行われるが、
北朝鮮は激しく反発している。 北朝鮮外務省の声明には次のように述べられている。


「米韓の攻撃的な軍事演習が中断されない間は、
 緊張緩和、平和保証、朝鮮半島そして地域全体の安全保障は考えることすらできない」


先に伝えられたところによると、北朝鮮は、韓国と米国の合同軍事演習が始まったのを受け、
韓国軍と米国軍に核の先制攻撃を行うと脅した。

続きを読む: http://jp.sputniknews.com/asia/20160823/2676963.html
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事実だけを冷静に見つめれば、「挑発」しているのはアメリカである。



ちょう‐はつ
[名](スル)相手を刺激して、事件や紛争などを引き起こすように、
   また、好奇心や欲情などをかきたてるようにしむけること。


(http://dictionary.goo.ne.jp/jn/144769/meaning/m0u/)


仮に各国が真実に朝鮮半島の軍事的衝突を回避したいのであれば、
合同軍事演習という名の正真正銘の挑発に対して、きちんと抗議すべきだろう。


ちなみにアメリカは新型核兵器の開発に莫大な費用が投じられているが、
北朝鮮の核開発には執拗な非難を行い制裁を加える一方で、アメリカの核開発に制裁が下されたことはない。
(http://parstoday.com/ja/news/world-i14878)

逆を言えば、国連の安保理はその程度のレベルでしかないということでもある。

映画『ズートピア』感想(アメリカ大統領選挙と絡めて)

2016-08-24 23:01:30 | 文学
知人に勧められてBDを視聴したが、ファミリー向けとは思えない濃いテーマの作品だった。

日本でオリジナルのファミリー向け映画というとジブリぐらいしかないが、
千と千尋の神隠し以降、映像ありきの作品へと変化していった気がする。


まぁ、アメリカもアメリカン・コミック原作の映画ばかりが作られて、最近では
ヒーロー同士が殴り合いをするという日本の仮面ライダーと変わりないレベルにまで堕落しているわけだが。


あらすじは単純明快で、兎の警官が狐の詐欺師と協力して事件を解決するというもの。

素晴らしいのは世界観の設定で、この世界では肉食動物と草食動物が
一見、平等に暮らしている社会のように見えて、その実、種類によって職業が振り分けられている。

といっても、法律上は完全な「民主主義」であり、
そのような差別を自発的に助長しているのは動物たち自身だ。

この点は「民主主義国家」でありながら、非常に差別的な社会を構築している
アメリカをはじめとした西洋型国家の有り様をよく描いていると感じた。
(もっとも、そのような差別を前提にして成り立たざるを得ないのが民主主義だと私は思うが)


警察が最終的に善として描かれているのはご愛敬だが、
代わりに市長や副市長を悪役として描いているのは今の大統領選挙を思うと大変興味深い。


肉食動物代表の市長、草食動物代表の副市長、どちらも利己的な人物として描かれており、
特に副市長に至っては、リベラルのように見えながら実は非常に好戦的な人物として表現されている。


複数の政党が存在しながら、事実上、共和党と民主党の二大独裁体制を取っているアメリカの政治を思えば、
保守派と言われる共和党にせよリベラル派と言われる民主党にせよ同じ穴のムジナということか。


世論調査によれば、アメリカ市民の半数は
トランプ・ヒラリーのどちらかを選ばなければならない現状について不満に思っているらしい。

さもありなん。

私は中東やアジアに争いをけしかけようとするヒラリー・クリントンという戦争屋と比べれば、
各国との関係改善を望むトランプのほうが大統領としてふさわしいと思うが、
こちらはこちらで移民やムスリムに対して非常に差別的な言動を取っており、看過できないものがある。


人の上に立つべき人物が政治のリーダーにならず、
代わりに民心を慮ることを知らない利己的なエリートばかりが特権を貪る。


人種差別をテーマとしてファミリー向け作品は数多けれど、
このようなアメリカ社会の現状に対する強い憤り、政治に対する不信感をこれほど見事に表現した作品はない。

そのような意味でも本作は、むしろある程度、良識を持ち、
アメリカの政治や社会に関心のある学生や社会人にぜひとも視聴を進めたくなる佳作だ。

ディズニー作品は、しばしば人種差別的だと揶揄されることがあるが、
ウォルト・ディズニーの存命のころはいざ知らず、最近の作品に至ってはそう決めつけてはいけないようだ。


ディズニーも『マレフィセント』などの駄作も多く作っているが、
逆を言えば最近のヴィランに対する再解釈は従来の勧善懲悪型のストーリーに対する反省があるのかもしれない。

リオ・オリンピックでの北朝鮮・韓国両選手の交流

2016-08-15 00:18:30 | 北朝鮮
今回のリオ・オリンピック、意外なところで北朝鮮が健闘している。

例えば、女子卓球においては
北朝鮮のキム・ソンイ選手が日本の福原愛選手に勝利し、銅メダルを獲得した。

オリンピックというものは結局のところ、
選手を育てられるだけの資金力を持っている国が勝つようになっていて、
加えて、日本を応援しなければいけないという同調圧力があるようにも思われてどうも好きではない。


もちろん、個人的に応援したい日本人選手は応援しているが、
できることであれば、日本や中国、アメリカ、ロシアのような資本のある国ではなく、
十分な設備もなく優秀なコーチを招くだけのパワーがない途上国の選手が金メダルを勝ち取ってほしいと思う。


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北朝鮮と韓国の対立関係は、この2国からの2人の五輪選手には関係なかった。

2人は、政治は普通の人の関係に影響すべきではないと証明した。

韓国のイ・ウンジュ選手(17)と北朝鮮のホン・ウンジョン選手(27)が
試合前の準備体操のときに一緒に自撮りをし、民族的敵意と憎悪のステレオタイプを打ち壊した。

ネットユーザーは、この2人の少女の行動は、
全人類の友情を1つにして強めるという五輪の目的を最大限に反映している述べた。


http://jp.sputniknews.com/sport/20160810/2620017.html
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北朝鮮と言えば「韓国やアメリカに対してやたらと好戦的なポーズを取っている」と
私たちは日常的に刷り込まれているが、実際には米韓の強硬政策に反対しているだけで、
民衆に対してはむしろ上の記事のように友好的な関係を築きたいと願っている。


というのも、北朝鮮の理屈によれば、
「韓国に住んでいるのは同じ朝鮮民族であって、攻撃の対象ではない」からだ。


(実際、北朝鮮の弾道ミサイルはアメリカ軍に向けたものであり、
 仮に日本や韓国が攻撃されるとするならば、それは両国に存在する米軍関連施設である)


ところが、このような微笑ましい両選手の交流に対して、
またしても「北朝鮮である」というそれだけの理由でバッシング記事が書かれた。


次の文章は、それらのデマに対する
スプートニク紙のタチヤナ・フロニ論説委員の反論記事を引用したものである。


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韓国と朝鮮民主主義人民共和国、両国は、半島を2分して隣り合い
共通したアイデンティティを持ちながらも、今では全く多くの点で違ってしまっている。


しかしリオデジャネイロ五輪では、すでに長年において、政治の世界では見られないことが起きた。

韓国のイ・ウンジュ選手と北朝鮮のホン・ウンジョン選手が、
オリンピックの場で親交を結び、記念に一緒に自撮りしたのだ。



この写真は、世界中のマスコミが取り上げ、
ソーシャルネットワーク上では嵐のような議論が巻き起こり、賛否両論が戦わされた。


新聞Daily starなどは
初めて会った記念の、この何の罪もない写真が、
 北朝鮮の女子選手に銃殺にまで至る厳罰をもたらすおそれがある
」などと報じている。


新聞報道によれば、北当局は、こうした記念撮影を「祖国への裏切り」とみなす可能性があるとのことだ。

北朝鮮では、祖国を裏切れば死刑が待っている。
今回の二人の女子体操選手の行動は「死のセルフィ-」になるかも知れない。


そうした推測について、スプートニク日本のタチヤナ・フロニ記者は、
ロシア極東研究所コリア調査センターのコンスタンチン・アスモロフ研究員に意見を聞いた。
研究員は、この有名なタブロイド新聞の報道について「何の根拠もない」として、次のように続けた-


「新聞Daily starは、できるだけ多くの人に新聞を買ってもらおうと、
 あんな根も葉もない記事を載せたのだろう。あれは、北朝鮮についてのものなら、
 どんな嘘でも信じてしまう西側の読者用の明らかに全くバカげた記事だ。


 西側では、北朝鮮の高官、チャン・ソンテク氏が失脚し、
 罰として犬の餌にされたとのニュースさえ信じられてしまう。

 今回の、可哀想な女子体操選手の処刑に関する憶測も、同類のものだ。
 北朝鮮が、外の世界から見れば、大変閉鎖された国であることは言うまでもない。
 しかし韓国選手とのこうした接触について、何の処罰もされないことは明白だ。
 この写真が撮られてからもう数日が経ったことに注意してほしい。
 もし北朝鮮が、新聞Daily starが書いているような懲罰的体制を持っているなら、
 とっくに選手は祖国に送還されていただろう。でもそんなことは、起こらなかった。


質問:では逆に、韓国のスポーツ選手の場合、こうした写真を撮ったことで罰を受ける可能性はないのか?


答え:

韓国には、いわゆる国家安全保障法が存在する。
 この法律は、北朝鮮市民との正式に許可されていない接触について、非常に厳しく規制している。
 それ故、帰国後(もし罰を受けるようなことが万一あるのなら)韓国の選手にか、
 はたまた北朝鮮の選手にか、どちらが重い処分を受ける可能性があるのかは、まだわからない。

 もし、そんなことは信じられないという人がいたら、
 国家安全保障法についての内容はネットで英語で出ており、誰でも読むことができるので確認してほしい。
 北朝鮮の代表者とコンタクトしたり、写真撮影した韓国市民がどうなるか知ることができるだろう。」


韓国選手と記念撮影した北朝鮮選手は「死刑になるかもしれない」という話や、
北朝鮮の指導者金正恩氏の叔父にあたる高官が失脚し、飢えた犬たちの餌にされたとの怪情報は、
疑いなく、北朝鮮からの情報が不足している事からくるものだ。

朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮は、
なんでもありのミステリアスな国家だというイメージが勝手に作り上げられている。


この事は、現代のインターネット社会が、
無責任な憶測や検証されていない情報を積極的に垂れ流し、再生産していることの反映だと言ってよい。


http://jp.sputniknews.com/opinion/20160813/2636818.html
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実のところ、スプートニク紙もあまり他所のことは言えないのだが、
それでもなお、「北朝鮮であれば、どのような嘘を書いても罪を問われない」という
欧米およびその属国のマス・メディアの腐敗と悪質性がよく伝わる良記事だと評価できよう。



時間があれば、記事に書きたいが、現在、フィリピンの新大統領、
ドゥテルテ氏が「人権侵害」を行ったということでアメリカから攻撃を受けている。



その内容は、同氏の市長時代に市内の麻薬密売人を殺害してきたというもの。

自国の警察は黒人やヒスパニック、ムスリムに対して
文字通りの人権侵害を行っているのだが、それはそれ、これはこれということらしい。


私に言わせれば前大統領のアキノ氏こそ、典型的な汚職政治家だったが、
こちらはコテコテの親米家だったので、罪には問われないようだ。さもありなん。


イランやベネズエラも同様の「人権」攻撃をアメリカから受けている。北朝鮮もしかり。
そして、これらの攻撃にしばしば見られるのが、嘘とでっち上げであり、
政府とマスコミが結託して自国の民衆を詐欺にかけようとしているあさましい姿である。


こうした合法詐欺師たちの発言をいちいち検証していくことは骨が折れるが、
他国(特に非欧米国家)のメディアの記事を丁寧に読んでいくことで自然と確認が取れるだろう。

映画『ベスト・キッド』『ベスト・キッド2』

2016-08-12 19:34:09 | 文学
今、テレビ東京で特集を組んでいるので、せっかくだからこの映画についてコメントしようと思う。


時期的にはスターウォーズ・エピソード6が公開された翌年1984年から1989年までの5年にかけて
3作品が制作されたファミリー向けの青春アクション映画、『ベスト・キッドシリーズ』(4?気にするな!)


同時期に作られた『バックトゥザフューチャー』(1985年)同様、
この時期の代表的なアメリカ映画の一つであるが、実のところ、この映画はかなりの異色作である。



物語はカリフォルニア州のある町にアメリカ南部から引っ越してきた黒人の少年、ダニエルが
現地の白人エスタブリッシュメントの家に生まれた少女に恋をするところから始まるわけだが、
この時点からすでにこの映画が一見、典型的な勧善懲悪に基づいたアクション映画であるように見えながら、
貧富・人種間の恋愛というかなりナイーブな問題に切り込んでいることが感じられると思う。



1の中盤では富豪やその御曹司、令嬢が参加するパーティでダニエルが笑いものにされ、
逃げるように去るエピソードがあるが、そういう社会の爪はじきにされた少年と友情を育むのが
日系アメリカ人収容所に収容された経験のある元従軍兵士、ミヤギ氏であることは非常に興味深い。

ミヤギ氏は戦時、「敵国外国人」として、
日系アメリカ人が強制収容された場所として有名なマンザナ収容所に身重の妻と共に収監されていた。


青年日系アメリカ人の中にはアメリカへの忠誠心を見せるために、
志願兵になる者もいたが、ミヤギ氏もその1人であったことが映画では描かれている。


ミヤギが戦地で戦う中、刑務所ではろくな治療もされず、妊娠中の妻が死亡してしまう。

アメリカのために命をかけて戦った礼として
妻を見殺しにされたミヤギは、酒を飲むたびに妻を思い出し泣くのである。



ここまで読むとなんとなくわかるが、
実はこの映画、大衆映画のくせにやたらとリベラルな映画なのだ。



同時期に公開された『ランボー2』や『インディ・ジョーンズ2』は
同じく勧善懲悪を基軸としたストーリーでありながら、
敵はベトナム兵(あるいはそれをモデルにしたもの)であり、強いアメリカを訴える内容であったのに対して、
こちらは黒人が白人に勝つ話なのである。

(同じ監督が手掛けた『ロッキー』1作目も結果だけを見れば、
 白人の素人ボクサーが黒人チャンピオンに負ける話である。

 勝負には負けたが「戦いには勝った」というような男のロマンが1作目の魅力だったが、
 これに納得がいかなかったのか、シルベスタ・スタローンは続編では自分が監督になり、
 白人素人ボクサーが黒人チャンプやソ連のボクサーに勝つ映画を作った。当然、つまらないのである。

 ちなみにスタローンはランボーでも同じことをして作品をチープにしていった)

BTFも「白人家庭にとっては」懐かしの古き良き50年代アメリカ社会を舞台にしているが、
同時期に人種隔離政策の下、白人より下の存在として無下に扱われていた黒人の存在はそこにはない。

しかもこのBTFでタイムマシンを狙って博士を襲撃・殺害するのはなぜかリビアのテロリストなのだ


BTFは当時のレーガン政権の下で進んでいたリビア(および中東)に対する偏見が露骨に表れた作品で、
最後には殺害されたはずの博士が歴史改ざんという荒業によって見事、復活する。

アメリカの科学力が海外からの侵入者に勝利する。運命さえも乗り越える。
非常にアメリカらしい「アメリカすげー!」映画。それがバック・トゥ・ザ・フューチャーである。


これらの「アメリカすげー!」映画、ベトナム戦争のリベンジをしている自慰的映画とは対照的に、
『ベスト・キッド』で登場する悪役は元ベトナム兵士だ。


作中登場する元ベトナム兵士のジョン・クリースは「コブラ会」という
あんまりなネーミングの空手道場の経営者・師範として子供たちに空手を教授しているが、
その練習風景はまさにアメリカ軍のそれであり、「敵を同じ人と思うな」、「勝つことこそ全て」という
スポーツマンシップとはおよそ縁遠い教育を行っている(その教育方針が原因か3では経営難に陥っている)。


このコブラ会の門下生を相手にダニエルが大会で戦うことになる。

言わば『ベスト・キッド』は第二次世界大戦を通じて暴力の愚かさに気づいたリベラルと
ベトナム戦争という惨禍を経験してもなおアメリカの正義を信じる保守との間の戦いを描いた映画でもある
のだ。


この戦いの決着は『ベスト・キッド2』の冒頭でつくことになる。

徹底して争いを好まず、自ら仕掛けることはないミヤギがクリースの攻撃を軽々を交わしてく。
クリースの両の拳はミヤギの背後の自動車のガラスを割ったことで負傷し、戦闘不能になる。


クリースの血まみれの手とミヤギの傷一つついていない手。
この対比こそ、ベスト・キッドシリーズの名シーンの1つだろう。




さて、『ベスト・キッド』では人種間の友情と恋愛がテーマだったが、続編では
白人と黒人の和解など知ったことかと言わんばかりに、白人少女との恋愛はなかったことにして
ダニエルは沖縄でアジア系美少女クミコと恋に落ちる。良い意味で暴走したのが『ベスト・キッド2』だと思う。


実際、クミコは地元の資産家サトーに牛耳られている村民の1人であり、
前作にあった貧富間の恋愛という要素は一切、ない。ちなみに2では基本的に白人自体が登場しない


マイノリティはマイノリティ同士、仲良くしていくぞという極端な左翼思考がここにはあり、
現に作中で描かれる沖縄が非常におかしなものである以上、日本が好きで沖縄を舞台にしたというよりは、
沖縄に象徴されるエキゾチックな感覚、アメリカのマイノリティしか存在しない社会が作りたかったのだろう。


なお、この2では「一夜にしてアメリカ兵が何万も死んだ戦い」として沖縄戦を記憶しているダニエルに対して
「その10倍以上の日本人が死んだ戦い」と答えるミヤギの会話があり、この歴史観などは第二次世界大戦を
アメリカが全体主義国家と戦い勝利した戦争とみなす一般的なアメリカのそれとは一線を画する



1、2と一貫して『ベスト・キッドシリーズ』はアメリカの正史を否定しているのである。


2の悪役として登場するミヤギの元親友でもあるサトーは、後半で改心したのち、
それまで着込んでいたスーツを脱ぎ、作業着に着替えて村人に土地の権利書を委譲し、
台風で破壊された村の再建に協力すること、自分が間違っていたことを認め、ミヤギに許しを請う。


村人を苦しめる資本家としてのサトーから労働者の味方サトーへと変身する象徴的な場面である。
『ベスト・キッド2』は製作者のリベラルな思想が1以上に強烈に表れた作品で、
 およそ大ヒット映画としては似つかわしくない反アメリカ的な内容がふんだんに盛り込まれているのだ。


2では屈強な米軍兵士が割れなかった氷の板を一般市民のダニエルが空手で叩き割るシーンがある。
これなどは、アメリカ軍の強さを強調するハリウッド映画では到底表現することができない

B級映画ならではこそ可能な自由な作風。それこそがベスト・キッドの魅力であろう。


このようにアメリカの映画としては、かなりの変化球である『ベスト・キッドシリーズ』だったが、
3では名が売れすぎたのか、普通の青春映画として仕上がっている。


面白いことは面白いが、2まであったスタッフたちの強い自己主張はもはや存在しない。
1&2で一つの作品、3は番外編として位置づけるのがベストな解釈だと私は思う。


4になるとダニエル少年がダニエル中年になりかかっていることもあってか、
白人美少女女子高生とミヤギとの交流になっており、ハッキリ言って凄くつまらない。
(監督も1~3までを手掛けたジョン・アヴィルドセン氏ではない)


この「カッコよくてかわいい女の子を前面に推し出せば売れるだろう」という
男性主義的な考えが見え見えの時点で、もはや1~3まであった左翼くささは完全に消え去っている。


当然、売れなかった。


また、2010年に公開されたジャッキー・チェンが関わっているリメイク作品では
空手ではなくカンフーを習うことになっており・・・えーい!書くのも面倒だ!


自分から仕掛けてはいけない、まず心を磨くべし。
こういう空手っぽい精神を訴えることが肝なのに、ただのアクション映画にした時点で、
ジャッキー・チェンはやっぱり、どこまで行ってもジャッキー・チェンだなと思ってしまう。


以上、長々と書いたが、それなりに有名なB級映画であり、レンタルビデオ店に行けば
まず置いてある作品なので、興味を持った方はぜひ鑑賞してほしい。


私たちが目にするアメリカ映画は基本的に金のかかっているハリウッド映画で、
そこには非常にアメリカくさい大衆性、保守性が散見されるのだが、B級映画になると、
俄然、話が変わり、アメリカの嫌な部分に焦点を当てようとする意欲作もよく作られている。


そういう映画を作ることが出来るというのがアメリカの良いところでもあるのだが、
そういう映画に限ってあまり日の目を見ることがないというのがアメリカの悪いところであろう。

アメリカには本当に自由があるのか?(アメリカの貧困問題)

2016-08-07 00:43:46 | 欧米
アメリカには自由があると勘違いしている人にぜひ読んでもらいたい記事。


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〈World Opinion〉数字で見る米国の貧困層/スプートニク


1930年代の大恐慌を彷彿させる

ロシアのネット新聞スプートニクは、
米国の貧困層が1930年代の大恐慌時代のレベルにあるという記事(6月14日)を載せた。以下はその要旨。


相当な数の米国貧困層が2000年以後、50%以上上昇した管理費を払えず、
冬に暖房なし、年中水道も電気も止められた家で暮らしている。



子どもの父親が犯罪で獄中にいるため貧困家庭の相当数は未婚の母だ。
米国は全世界の人口の5%だが全世界の収監者の25%が米国の監獄に収監されている。

220万の囚人の半数以上が有色人種だ。


貧困労働者の数は
米国の人口の50%に迫った

2013年、米国で賃貸生活を営む8世帯のうち1世帯は家賃を払えなかった。

07~10年の間に白人の財産は平均で11%減少したのに対し、
黒人家庭の資産は31%、ヒスパニック家庭の資産は44%減少した。


マイホームがある世帯の90%は弁護士を雇えるが、賃貸世帯の90%は雇えない。
スラム街の地主たちはスラム街に多くの不動産を所有し、裁判所や保安官を個人的に運用する。

強制退去させられる賃貸生活者住宅のオーナーから2度訴訟を受ける場合が多いが、
最初は不動産がらみ、2度目は借金がらみだ。


滞納した家賃がその借金だが、それを払えない居住者に対し地主は12%の金利を上乗せすることができる。
ホームレスに追いやられた賃貸居住者に債権.借金取立て業務を代行する会社の名前は「家賃救済サービス」という。

極貧層に対して131個のみすぼらしいトレーラー住宅を提供して
家賃を受け取ることで生計を立てているある人物は債権取立て会社の顧客の一人。

彼は、15年、強制退去住宅に直ちに新しい相手を入居させたり売却したりする手法で
賃貸所得として約50万ドル儲け、その新入居者の一人だった者は
所得の70%を家賃として払っていたが続かず結局、強制退去させられた。


その人物は、「未来も暗鬱なことがはっきりしている貧困層が
この耐え難い現実を忍ぶ方法は麻薬と非合理的な消費しかない」と説明した。


人口60万人(13年基準)に失業率が6.3%(15年4月基準)である
ミルウォーカー市政府が提供する住宅補助を申請する人は16年現在3500世帯だが、
全国的に住宅補助を待っている世帯の4分の3は補助を受けられない。


貧困層は、障がい者または病気などによる社会不適応者との結婚などを通じて
世帯を合体する方式で政府補助をもらうなど、生きるために必死だ。


子どもたちは正常な教育を受けられず、
精神障害、暴力、窃盗、麻薬などに囲まれた環境で育つので前科者になり、貧困は世襲となる。



米国人の貧困の深刻さは1930年代の大恐慌当時のレベルだが、
貧困層が結集して国家や資本に対抗する力は全く持ち合わせていない。


30年代には地域社会が集まり強制退去を妨害したりストライキを起こしたりしたが、
今の米国ではこんな抵抗が警察力(保安官)らによって事前に封鎖され、
貧困層は、麻薬に依存するなど個人的な現実逃避しか選択肢は残されていない。



http://chosonsinbo.com/jp/2016/08/sinbo-j_160808-2/
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かような実態を前にして「アメリカには言論の自由がある」と得意気になることに何の意味があろう?

確かにアメリカには反論をする自由はあるが、それは口をパクパク動かすだけの自由にすぎない。
現にエドワード・サイードやノーム・チョムスキーを主とした世界的に有名な評論家がアメリカにはいたが、
彼らの意向が現実の政治に反映されたことがただの一度でもあっただろうか?


仮に本当にアメリカに自由があるとするならば、
とっくの昔にアメリカの二大政党制は崩壊していて、多党制に基づく政治が行われていただろう。
(現実では、ヒラリーかトランプかという究極の二択を迫られている)

中国には言論の自由が本当にないのか?

2016-08-06 23:56:04 | 中国(反共批判)
中国は共産党が独裁体制を敷いていて、言論の自由がない。
こういう言説は耳にタコができるほど聞かされてきた。

しかるに、これが事実かと問われると実際は、そこまでガチガチに規制されているわけでもない。

北京大学のユ・ビン氏や清華大学のワン・フイ氏の著作を読んでいると、
中国も鄧小平政権以降の市場主義かによって、だいぶ西洋化していることがわかる。

ふるまいよしこ氏の『中国メディア戦争』を読んでも、まぁこの本は多分に要注意な本ではあるが、
それでも、地方の新聞は政府に対してきちんと批判的な記事を書いていることが伺える。

同書は、厳しい情報統制の網の目をかいくぐってと言う風に書かれてはいるものの、
先述のユ・ビン氏やワン・フイ氏のそれを読む限り、中国にも論争をする権利があり、
特にユ・ビン氏に至っては新自由主義的な政策を主張する国内の論者に対して明確な反論を行っている。


私は中国には言論の自由が確立されていると主張しているわけではない。
私が言いたいのは、中国には確かに言論の自由がない。日本やアメリカと同様にと言いたいだけである。


あるいは中国には言論の自由がある。政府にとって致命的な批判を行わない限りはといったところか。


例えば、中国が南シナ海で軍事施設を敷設しようとしている行為に対して
軍事的な挑発と捉え、帝国主義国家中国を印象付けようとする記事が当たり前のように書かれているが、
実はフィリピンやベトナムがそれ以前から同様の行為を行っていたことには誰も触れない。


軍事施設を敷設した→武力をもって南沙諸島を奪略という公式はただちに導けないはずだし、
実際に中国はアメリカを主とした欧米の影響を抜きにして、
ASEAN各国と領土問題について対話による解決を再三主張している。


さらに言えば、フィリピンやベトナムに対して米軍が基地を敷設しようとしている件、
日本が両国と合同軍事演習をしている件、これらの国に武器を輸出する件などは少しも語られない。


中国にしてみれば目と鼻の先で軍事演習がされているわけであり、
それも領土問題とは直接関係のないはずの日米が干渉しているのであるから危機感を抱かないはずがない

しかし、こういう向こう側の恐怖心は完全に無視され、「怖い中国」だけが喧伝される。


先日、私のもとに届いたある学会誌には
中国は経済力、軍事力、ともに世界第二位であり、表面的には華々しいパフォーマンスをしているが、
中国にはクール・チャイナというようおな世界の人々を惹きつける魅力がないと書かれていた。
アメリカには永住する移民が多くいるが、中国に移民しようとする人間がいるだろうかと。
(学会誌の文章である。そのへんの右翼雑誌の文章ではなくて)


その根本的理由は共産党統治下での自由の欠如らしいが、
アメリカにしたところで、ムスリムや黒人はおよそ本当の意味での自由は享受していないのが実情である。


理系の研究者が海外の機関に就職してしまい、人材が育っていないのが大分前から問題視されているが、
それは別に日本よりアメリカのほうが自由があるからではなくて、単純に待遇や設備の問題だろう。


中国への留学生はそれなりにいるけれども、それは何も中国をリスペクトしているわけではなくて、
研究上、向こうの大学で学んだほうが都合がよいからに他ならない。


なんというか、こういう非常に単純な中国に対するビジョンというものが
教授レベルでも当たり前のように共有されていて、こういう人物が語る反戦論や
反自民党論というのがどれほど弱々しいものであるかは容易に想像できるのではないかと思う。



私がそれなりに苦労して得た中国の実情に対する書誌の数々も、
市場全体にあふれている中国バッシングを目的としたそれと比べれば微々たるものでしかない。


それは中国も同じで、ある見解を促す情報は山のようにある一方で、
別視点から語られたものは極端に少ないのだろう。直接行ったわけではないので断言はできないが。

だが、間違っても中国より日本やアメリカのほうが自由があると勘違いしてはいけないと私は思う。
仮にだが、新聞やテレビ番組で北朝鮮や中国の言い分にも一理あると語ることは出来るだろうか?

もちろん、法律上は可能だが、実際の問題として、それをやるマスメディアは存在しているだろうか?
むしろ逆に政府の見解にそって中国の悪印象を強調する記事が大半を占めているのではないか?


どうも私には巷にあふれる中国論は、相対的にアメリカや日本には
自由があると再確認したいという願望が含まれているような気がするのである。

北朝鮮、ノドン発射の背景

2016-08-04 00:07:49 | 北朝鮮
スプートニク紙の記事より。


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米戦略軍は、北朝鮮が発射したミサイルは2発で、
1発目は発射直後に爆発し、2発目は日本の排他的経済水域(EEZ)内、
秋田県・男鹿半島の西方約250キロの日本海上に落下したと明らかにした。


日本政府は、こうした事態に関連して、国家安全保障会議を緊急に招集した。

会議の結果については、今のところ、明らかにされていない。
なお先に日本の沿岸警備隊は、船舶航行の危険性について、艦船に警告していた。


船舶や航空機に損害が出たとの情報は、まだ届いていない。
日本は、北朝鮮に対し、北京の外交筋を通じて抗議し、
今回の実験について「重大な挑発行為」であると非難した。

http://jp.sputniknews.com/japan/20160803/2588699.html

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アンドレイ・イワノフ氏が急逝(おそらく事故死?)してからスプートニク紙の北朝鮮報道も大分変った。
以前は、ロシア国内の専門家の意見を多く聞けたのだが、
最近は日本の極右学者に意見を仰いですらいて、これでは日本のメディアと変わらないのではと少々不安。
タチヤナ・フロニ氏はまだ編集部にいるので、早く氏の記事を読みたいところだ。



日本政府は早速、今回のミサイル実験を「挑発」と表現し非難して見せたが、
実際にはどちらが「挑発」をしているのか考える必要がある。


次に示すのはParsTodayからの記事である。


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韓国軍合同参謀本部は、北朝鮮が3日水曜早朝、
中距離弾道ミサイル「ノドン」と見られるミサイル1発を日本海に向けて発射しました。

韓国は予想通り、北朝鮮のこの行動を国際法の違反だと非難しました。

韓国の高官は北朝鮮は
このミサイルを韓国におけるアメリカのミサイルシステムTHAADの配備に反発して発射したと強調しました。




北朝鮮が時々ミサイル実験、さらには核実験を行う理由は、政治評論家や政治家にとっては明らかです。

アメリカの共産主義に対する敵対には歴史的な根源があります。

北朝鮮では数年前に金正日総書記が死去した後、息子の金正恩氏が指導者になりました。
朝鮮半島の世論、さらに国際世論は
地域でアメリカの望むような変化、思想の制限に向けた出来事が起こるのを待っていましたが、
こうした思惑に反して、北朝鮮の三人目の指導者はこれまでの指導者の道を継承しました。


北朝鮮は、2003年3月にアメリカはイラクに大量破壊兵器があるとして同国を攻撃したが、
これはアメリカのイラク攻撃の格好の口実だったとしています。

イラクは果たして核兵器、もっと言えば大量破壊兵器を保有していたのでしょうか?

もしイラクがこのような兵器を保有していたとして、
このような兵器をイラクの独裁政権に供与したのは西側諸国ではなかったでしょうか?



北朝鮮のこれに関する主張をさらに掘り下げてみると、
兵器の売却による収益を得るために貿易や政治において
最も人道に反する方法をとっているのは、アメリカとその西側の同盟国なのです。



これに関してリビアの問題を挙げることができ、
当時のリビアの指導者、カダフィー大佐はアメリカに対して降伏の意志を示しましたが、
予想に反して、リビアの領土はアメリカやフランス、NATOにより、何度も攻撃され、
ISISとこのテログループの支持者の活動の中心と化しました。



ここで問題なのは、北朝鮮の政策が正しいかどうかではありません。
また核兵器が核保有国の安全を保障することができるかどうかでもありません。

実際、問題はなぜアメリカがあらゆる口実を使って各国の問題に干渉しようとするのか、
なぜアメリカは干渉を超えて北朝鮮などの独立した体制を打倒しようとするのかです。




政治問題の専門家は、
「実際アメリカが間違った干渉政策をとっているために、
北朝鮮は『兵器を保有すればアメリカには攻撃できない』と世論に訴えている」としています。


北朝鮮はアメリカは対北朝鮮政策において
明らかで正しい変化を生じさせることはできなかったと見ています。

このため、アメリカの政策が脅迫や干渉、転覆を目的としたものである限り、
北朝鮮の核実験やミサイル発射は今後も続けられるでしょう。


http://parstoday.com/ja/news/world-i13837
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THAADシステムの配備には、中国やロシアも反対をしており、
加えてTHAADシステムが配備されるソンジュの民衆も烈火のような勢いで反対運動を繰り広げている。



そうした動きに対して「北朝鮮から自国を守るため」と称して無理やり押し黙らせようとしているのが朴槿恵だ。
なお、こうした韓国政府の動きに対して素晴らしいと絶賛しているのが某国家JのA政権。


A政権もO縄県における現地人の反対運動を無視して無理やり米軍基地を移転させようとしているが、
「自国を守るため」と言いながら、米軍から被害を受けている現地の住民のことなど気にもしない。


連中にとって沖縄やソンジュの民衆は「国民」ではないらしい。
あるいは沖縄やソンジュは「日本」ではないのか。どちらにせよ守ろうとする意思すらそこにはない。


そういう意味では、やっていることは、A倍も朴槿恵も変わりはない。


仮に、日本政府や韓国政府が真剣に安全保障について考えるとするのであれば、
毎年、この季節に行われる乙支フリーダムガーディアン米韓合同軍事演習に対して懸念を示すはずだ。


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毎年8月には「乙支フリーダムガーディアン」米・南合同軍事演習が行われる。

米軍はすでに6月から核攻撃能力を備えた原子力潜水艦と戦略爆撃機を南に投入した。
軍事専門家たちは「朝鮮半島有事を想定した動き」だと指摘している。



昨年8月、軍事境界線における地雷爆発と
南の対北心理戦放送再開によって緊張が一気に高まり、軍事衝突の危機が迫った。


北南の緊急接触で紛争を回避した後、北側代表は
「北南は、今回のように原因がわからない事件によって一触触発の事態に巻き込まれてはならない」
と感想を述べたという。緊張激化の裏に米国の影を見ていたということだ。


http://chosonsinbo.com/jp/2016/08/skst-101/

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北朝鮮は、アメリカと韓国が年次合同軍事演習を実施した場合には、強い反応を示すと警告しています。

地域諸国歴訪の一環としてマレーシアを訪問中のアメリカのエリック・ファニング陸軍長官は、
30日土曜AP通信のインタビューで「アメリカはこの数十年、
韓国との合同軍事演習を実施しているが、その目的は地域の安定に寄与することである」と述べました。

また、「韓国との合同軍事演習は、事前の計画に沿って来月中に実施されるだろう」としています。


北朝鮮は28日木曜、
「米韓合同軍事演習の本質は、明らかな侵略であり、北朝鮮はこれを宣戦布告と見なしている」
としました。


アメリカと韓国は毎年、韓国と北朝鮮を分断している非軍事地帯南部において軍事演習を実施しています。
これに対し、北朝鮮はこうした軍事演習に反応を示し、報復措置をとると脅迫しています。


http://parstoday.com/ja/news/world-i13636

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北朝鮮がミサイルを飛ばす際には、必ずと言っていいほど、
その前の米韓による軍事演習の実行なり新兵器の導入なりが引き金となっている。



逆を言えば、このような軍事演習を行わない限り、北朝鮮の反発はない。
それは、幾度も幾度も当の北朝鮮が米韓政府に向けて投げかけている言葉だ。


またしても、ここで加害と被害が逆転して伝えられている

日本の非難というのは、銀行強盗が予行演習をしているのを目の当たりにして警備を厳重にする
銀行に対して「こやつらは私たちに強盗させようとしているのだ!」と叫んでいるようなものだ。



傍から見れば、「そもそも強盗をやめればいいのではないか」という話だが、
向こうの核開発ばかりが問題視され、自分たちが何をしているのかについては巧妙に隠されている。



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サードの政治利用

南全域で「サード(THAAD=高高度ミサイル防衛)」配備に反対する集会が行われているが、
自己保身しか頭にない大統領には、民衆が何を訴えても馬耳東風だ。


大統領は「サード以外に北のミサイル攻撃から国民を守る方法があるならば提示しろ」と強弁しているが、
説得力がない。過去に、南の国防部や米国の議会調査局などは、
北南の距離が短い朝鮮半島において、
高高度迎撃しか出来ないサードは「無用の長物」であり、「北のミサイルを防げない」ことを認めていた。



大統領が「国民を守る」ことよりも、アジアの軍事的覇権をねらう米国の企みに追随したのは明らかだ。
それに、独裁強化の魂胆も透けて見える。各地で行われている集会について大統領は
「国論が分裂すれば、北の思うつぼ」「この問題に不純勢力が加担しないよう徹底的に摘発する」と言い放った。


権力の亡者は、防衛能力がない兵器さえも自らの延命に利用する。
「サード反対論者」=「不純勢力」=「従北勢力」のレッテルを張れば、
市民団体や平和運動勢力だけでなく、政権与党に対抗する野党も威嚇、弾圧の対象だ。
サード配備の時期は、来年末頃になるといわれており、南での大統領選挙と重なる。打算が働いたに違いない。


サード受け入れは「北風」と「公安政局」による保守層結集と集票拡大を図るための布石だ。
統治危機に陥った大統領は、闇雲に4月総選挙で与党惨敗を招いた手法を繰り返そうとしている。


http://chosonsinbo.com/jp/2016/07/skst-100/
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日本にとっても事情は同じで、防衛ミサイルは日本を守るためではなく、
長距離弾道ミサイル、すなわちアメリカを攻撃するためのミサイルからアメリカを守るためにある。


そして、再三、指摘したことだが、ミサイル防衛システムや米軍基地が存在する場所は、
有事の際に北朝鮮なり中国なりアメリカの敵国から攻撃を受けるマトと化す。


つまり、日本にせよ韓国にせよ北朝鮮が攻撃するための標的をせっせとこしらえている。
(アメリカの盾となることが日本の誇りだというのであれば、そのような誇りは捨ててしまったほうが良い)



ところで、こうまで核に対して拒絶反応を取っているアメリカは、
大統領が広島に訪問し、平和の使者として褒めちぎられている間、何を企んでいたのだろうか?


次の記事も併せて読んでみよう。


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アメリカが、核兵器の近代化計画



アメリカが、核兵器の近代化の為に、民間企業に対し、
巡航ミサイルに代わる新型の大陸間弾道ミサイルの製造に関して提案するよう求めています。

AP通信によりますと、アメリカ空軍核兵器部隊の報道官は、30日土曜、この件に関して、
「この措置の目的は、およそ450基の大陸間弾道ミサイル≪LGM-30ミニットマン≫の近代化であり、
 その費用は623億ドルになる」と述べました。

これは、核兵器の近代化に関するアメリカの大規模なプロジェクトの計画プロジェクトの一環です。

アメリカ空軍はまた、巡航ミサイル《AGM-85B》の代替となるような、
新型巡航ミサイルに関する民間企業の提案を求めています。

その為、アメリカ空軍は請負業者らに、
新世代の大陸間弾道ミサイルに関する提案を提出するよう要請しています。


http://parstoday.com/ja/news/world-i13699
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どうしてアメリカの明らかな先制攻撃を前提とした核兵器開発は許されて、
北朝鮮の米韓合同軍事演習に対抗して行われるミサイル実験は糾弾されるのだろう?




北朝鮮に対する報道を見ていると、熊退治のニュースを思い出す。
よく考えてみれば、元々は熊の住処だった山野を人間が「開発」したはずであるのに
熊が「出現」したことが重大視され、ハンターらによって「退治」される。



こういう独善性は日本だけのものではなく、フランスのテロ事件に対しても深く感じる。

元はと言えば、フランス軍が中東の都市を爆撃するなり現地の武装グループを支援するなりして
現地に混乱をもたらしたのが究極の原因であるのに、テロ事件を口実に空爆を正当化してみせる。



こうした知識人も含めた自国中心のエゴな世界認識は今後改めていかなければならないと強く思う。

都知事選、何がいけなかったのか

2016-08-01 00:32:17 | 日本政治
私は2週間ほど前の記事にこう書きました。

「まぁ、増田はいまいちカリスマというか「こいつ誰?」感が凄いので、
 都民の多くが有名人に投票しようとするならば話は別だが、そこまで馬鹿だとも思えない。」


まぁ・・・・・・まぁね。

なんなんでしょうね。
こういう「有名だから」「女性だから」といった安易な理由で投票してしまうのって。


そこまで女性の都知事というのが凄いことなのでしょうか?

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イギリス人の大多数が、核兵器の使用を支持



新たな世論調査の結果、イギリスでは国民の大半が、
核兵器の使用という同国のメイ新首相の提案を支持していることが明らかになりました。

IRIB通信によりますと、イギリスの世論調査会社YouGovによる最近の調査で、回答者の59%が、
自分が首相だったとしてもこの決定を下しただろうとし、66%がこの決定を支持するとしています。

メイ首相は最近、同国議会において、
「多数の人々が殺害されるとしても、核兵器の発射ボタンを押す用意がある」と述べ、
同国の国会議員にも、核兵器システム・トライデントの改良を支持するよう求めました。

トライデントは、1980年代のサッチャー首相時代に、
イギリスの国家安全に対する最も危険な脅威を制御し、人々を救う目的で、
また他の兵器では実施できない防衛を行うために設置されました。


メイ首相は、好戦主義者であり
戦争を支持する立場をとっていることで知られています。


メイ首相は、保守党の党首だった2003年に、
アメリカとイギリスによるイラク攻撃に賛成票を投じています。


http://parstoday.com/ja/news/world-i13639
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メイ首相に限らず、ヒラリーに朴槿恵、はたまたサラ・ペイリンにメルケル、そしてサッチャーと
有名な女性の政治家に限ってやたらと血なまぐさいというか好戦的で、ちっともリベラルではない。

それは小池ゆり子にしてもそうなのですが、
まぁ、結局、無党派層(政治に無知な層)に対して
中立派のクリーンな政治家だという偽のイメージを刷り込んで勝ったということなのでしょうね。
(実際はネオナチや在特会と結びつきの有る超々極右のレイシストなのですが・・・)


ただ、今回、小池が選ばれたのは小池自身のプロモ活動が上手くいったことに加えて、
究極的な所では鳥越俊太郎という倒しやすい雑魚キャラが対抗軸だったからだと思います。

保守からは小池と増田が出馬し、革新からは鳥越が出たわけですが、
あまりにも抵抗勢力として力が足りなかった。宇都宮健児氏なら勝てていたと思います。
(まぁ、都民のあのノリを見る限り、石田純一氏でも勝てていたかもしれないけど)

※追記

 こう安易に宇都宮氏なら勝てたと書きましたが、それでも負けていたかもしれません。
 
 というのも、都民は都議会選挙や衆・参院選において、それなりに野党候補者を選んでいますし、
 実際、先の衆院選にせよ参院選にせよ全国で最も共産党員を当選させたのは都民なのですが、
 都において複数の人間を選ぶこれらの選挙と比べて都知事選挙は1人しか選ばれないわけです。

 1人しか選ばれないとするならば、数の上で保守派のほうが勝っているわけですから
 まぁ、保守的な人物が選ばれるのも無理がないかなと。それでも小池はありえないですけどね。

 また、中立や反腐敗を気取っている無党派層は自分たちの選択に責任を感じてほしいですね。
 右でもなく左でもなくと賢しらな態度を取りながら、最も右の人間を選んでしまったわけですから。

※追記終わり


では、なぜ宇都宮氏が出馬できなかったのか?

前回の知事選では宇都宮氏が共産と社民の推薦で立候補していたこと、
そして今回、民進・共産・社民の推薦で氏が断念し代わりに鳥越が出馬したことを素直に読み取れば、
もともと左右混合政党であった民主党と改憲派であり軍拡派である極右政党の維新の党が合流して出来た
民進党が宇都宮氏や石田純一氏のような典型的な左派系運動家を推すのに躊躇したからでしょう。


ですから、本来なら鳥越よりも勝てる可能性のあった人物二人を出馬すらさせず、
民進党でも納得できるレベルの反自民党の人間を送り出した。結果はご覧の通りです。


去年頃からオール沖縄を皮切りに、野党連合がもてはやされていますが、それは裏返せば
民進党のような極右政治家が混じっている党でも許せるレベルの人間しか送り出せないことを意味する。


鳥越俊太郎のような左のようなそうでないような微妙な思想の持主しか出場を許されないわけですから、
戦う前から非常に倒しやすい敵を用意してやるようなもの。プレゼント以外の何物でもありません。


何十年も前から「前衛」という言葉が否定されていますが、
やはり私は野党が連合するさいには力の強い政党に乗っ取られないように
比較的小さな政党が手綱を握っていかなければならないと思います。



そういう意味で現在、共産党が熱中している連合戦術は必ず壁に当たりますし、
実際、先の参院選にせよ、今回の都知事選にせよ、思った以上に上手くいっていないわけです。
(もちろん、たった2回の結果をもとに断言はできませんが、
 少なくとも野党連合の危険性については、もっと慎重に論じあうべきだと私は思います。)

また数年後には知事選があるわけですが、
その時は今度こそ宇都宮氏を全面的に応援してもらいたいですね。