時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

ベネズエラ情勢から見る安倍国葬問題2

2022-09-27 02:31:21 | リベラル原理主義

 

 

ベネズエラ情勢から考える安倍国葬問題(リベラル原理主義者たちの醜悪な態度について) - 時事解説「ディストピア」

あと、数時間後には安倍晋三の国葬が始まる。巷ではメディアも含めまるで葬儀に反対することが正義であるかのように騒がれている・・・だが、正直なところ、私は何とも言え...

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https://blog.goo.ne.jp/
minamihikaru1853/e/02ba1
bed5f405798f9803630f6dad777

 

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複数の欧州諸国、グアイド国会議長をベネズエラの暫定大統領として承認

フランス、英国、スペイン、スウェーデン、デンマーク、オーストリアなどの欧州諸国は4日、ベネズエラの野党指導者、フアン・グアイド国会議長を同国の暫定大統領として承...

Sputnik 日本

 

 

 

日本、ベネズエラのグアイド国会議長を暫定大統領として承認

日本政府は、暫定大統領就任を宣言したベネズエラのグアイド国会議長を支持する。19日、河野外相が東京で開かれた記者会見で発表した。

Sputnik 日本

 

 

にも関わらず、2月の上旬には
EUと日本は合衆国に追従した。

1月26日には
再選挙を行わなければ
グアイド政権を承認すると英仏独西蘭が
約束していたのである。

 

 

 

社説:分裂危機のベネズエラ 米中露は対立をあおるな | 毎日新聞

 南米の産油国ベネズエラでの現職大統領と野党指導者の対立に、米国と中国、ロシアの大国が絡み、国際社会を二分しそうな異常な事態になっている。  きっかけは先月、強権...

毎日新聞

 

 

 

社説:ベネズエラ情勢 国際社会の関与で混乱収拾を

経済の破綻で数百万人が国外に逃れ、2人の大統領が正統性を争う危機的な状況である。平和的に事態を収拾するには、国際社会の協調と建設的な関与が欠かせない。 南米の産油...

読売新聞オンライン

 

 

こうした動きに対して日本のメディアは
現在のウクライナ紛争に対するような
姿勢は全く見せなかった。

内政干渉だの侵略だの
主権の尊重だのといった綺麗事は
全て2022年2月24日以降に生まれた嘘である。

 

 

ベネズエラ 明日、ロシアから300トンの人道援助物資が調達

ベネズエラのマドゥロ大統領は、明日20日、ロシアからの人道援助物資300トンが同国に届けられることを明らかにした。マドゥロ大統領は科学者との会合でこれを明らかに...

Sputnik 日本

 

 

 

中国 ベネズエラ問題で国連憲章の原則を尊重し、内政干渉の排除を呼びかけ

15日、中国外交部のゲン・シュアン公式報道官は、国連の原則を尊重し、ベネズエラの内政に干渉しない中国の立場を表明した。

Sputnik 日本

 

 

この時期、ベネズエラは制裁によって
国営企業の銀行を凍結され、深刻な経済危機が
起きていた。

 

米国の対ベネズエラ制裁により数万名が死亡したことが報告書で明らかに(経済政 策研究センター(CEPR)プレスリリース) | ベネズエラ

 

 

経済学者ジェフリー・サックス:米国の違法な経済制裁がベネズエラを荒廃させ4万人以上を死なせた | Democracy Now!

 

 

同年5月に発表された調査書は、
制裁によって4万人のベネズエラ国民が
死亡したことを指摘している。

 

 

 

(社説)ベネズエラ 人道危機を覆い隠すな:朝日新聞デジタル

 世界最大の石油埋蔵量を抱える南米の国、ベネズエラが深刻な人道危機に陥っている。 栄養失調や医薬品不足で命を落とす子どもたち。停電が慢性化した市街地。ガソリン不...

朝日新聞デジタル

 

にも関わらず、朝日新聞は
この件には一切、非難の色を見せず、
逆にマドゥロ政権を攻撃している。

 

「武力介入の可能性も否定しない
 トランプ米政権の言動は危うい。
 一方、現政権の強権を黙認する中ロも無責任である。」

 

という言葉は4万人の死を前にして
なんと虚しく響くのだろうか。

 

 

 

ベネズエラ情報機関、グアイド派2人を拘束 自宅から武器も

ベネズエラ警察筋は、国家情報機関(SEBIN)が21日午前、暫定大統領への就任を宣言したフアン・グアイド国民議会議長を支持する2人を拘束したと明らかにした。拘束された...

Sputnik 日本

 

 

マドゥロ政権が高圧的なのは
あくまでグアイド派限定である。

過激派を全国民代表であるかのように
表現し、制裁を正当化させる。

これは香港や新疆に関わる問題でも
メディアが好んで使っている手法だが、
こうした応援によって最も得をするのは
ベネズエラ人4万人を殺害した連中である
ことは疑いようがない。

 

 

米国、ベネズエラのパートナー国を制裁で脅す

米国のベネズエラ担当特使、エリオット・エイブラムス 氏は、米国はベネズエラ当局と取引を行った第三国に対して制裁を発動する可能性を排除していないと発表した。

Sputnik 日本

 

こうした愛と正義のリベラル原理主義者達の
陰ながらの支援によって、アメリカは好きなだけ
他国を脅すことが出来るようになった。

その責任は今の所、誰も取っていない。

 

「民主主義の危機」という言葉が
 バカのように連呼されるさまを見て
 静かな怒りを感じるのは
 この時の連中の態度を
 私が覚えているからである。

 

 

 

中国 ベネズエラ問題で国連憲章の原則を尊重し、内政干渉の排除を呼びかけ

15日、中国外交部のゲン・シュアン公式報道官は、国連の原則を尊重し、ベネズエラの内政に干渉しない中国の立場を表明した。

Sputnik 日本

 

 

グアイドの米軍侵攻支持、
アメリカの制裁、EU日本の異常な速さでの
反体制派支持、これらに対する責めを一言
二言で済ませ、マドゥロを諸悪の元凶とする。

 

こうしたプロセスのもと、
アメリカの文字通りのジェノサイドは
民主的に免罪された。


皮肉にもこの蛮行を非難したのは
ロシアと中国、イランといった
独裁国家と呼ばれる国々だった。

 

中国は
国連憲章順守の立場から
アメリカを毅然とした態度で非難したが、
これは日本の人道主義者と対極的なものである。

 

(なお、中国はウクライナ紛争においても
 ウクライナに人道支援を続ける一方で
 一切の武器支援をせず、制裁に抗議し、
 協議による解決を主張している)

 

 

 

米国がベネズエラに提案 ロシア産に代わる原油供給

米国政府はベネズエラに対し、同国政府の原油販売を禁止する米国の制裁を緩和することと引き換えに、ロシア産原油の供給をベネズエラ産の輸入に切り替えることを提案した。...

Sputnik 日本

 

 

 

原油不足に苦しむ米国、対ベネズエラの制裁緩和で供給増加を目指す

米国は17日、ベネズエラ国営石油会社PDVSAのエリック・マルピカ元社長に対する個人制裁を解除した。米財務省が発表した。

Sputnik 日本

 

 

 

ベネズエラ外相、「米の覇権終焉で、新たな世界が誕生中」

ベネズエラのカルロス・ラファエル外相は、「アメリカの覇権は絶対的なものではなく、ロシアがそれを終わらせるために努力したことで、新たな世界が生まれつつある」と述べ...

Pars Today

 

 

今年になって、ロシアへの制裁によって
原油不足に陥った合衆国は
ベネズエラに対して制裁緩和と引き換えに
石油を分けてくれるよう交渉した。

 

制裁というものは科した側の都合によって
どうにでもなるのである。

当然、ベネズエラは、この要請を無視、
バイデンの試みは失敗に終わった。

 

 

 

以上、ベネズエラ情勢を簡単に
振り返ってみたが、改めてこの制裁という
最凶の破壊プロセスに対して全くもって
涼しい顔で静観していた連中が

安倍晋三が死んだぐらいで
がなりたてるのは不可解にすぎる。

 

政治的意図はないと
犯人が断言しているにも関わらず、
民主主義と無理やり絡めてテロ視するのは
我田引水にすぎるだろう。

 

安倍の死が民主主義の死であるかのように
喧伝していた人々が今ごろになって、
国葬を非難するのは矛盾している。

 

ガソリンをまいてライターを
放火魔に渡した人間が、いざ火災が起きた
途端に絶叫しだすような不可解さを感じる。

 

 

 

 

 

実のところ、こういう動きは
別の問題においても見られるものである。

ウクライナ問題においても
一つの解釈を絶対視し、異論を紙面から
締め出した結果、日本の言説空間は
どの論者も同じ見解しか言わないという
ある種の異様さを呈している。

 

矛盾を指摘されても
結論を修正することが出来ない。

同じ言葉をグルグルと繰り返して、
会話が成り立たないのである。

 

 

思考を停止したゾンビのごとく
予めセットされた言動しか取れない
陳腐なヒューマニズムこそ
民主主義崩壊の予兆と知れと言いたい。

 

本来の民主主義というものは
一人ひとりの熟慮があって初めて
成り立つものである。

誰かが言い始めたことを復唱するだけで
なんとなく自分たちが
正しいことをしているような気分に
浸るのは民主主義でも何でも無い。

強く非難するが、招待状を要人に送り、
すでにキャンセル不可能となった
直前のタイミングで国葬を批判するのは
アリバイ作り以外の何物でもない。

私自身、国葬には否定的だが、
それは安倍の神格化につながるから
であり、国葬でなく自民党主催のものなら
問題ないということにはならない。

ところが、実際に見てみると
合同葬なら良いとか党葬なら良いと
いった意見も散見されるのである。

 

 

安倍晋三の美化につながるから
反対しているわけではなく、
単に金銭が惜しいから反対している
のであれば、そんな民主主義は滅べば
良いとさえ私は思う。

 

私達が目指すべきは権威主義に抗う
民主主義であるはずだ。

 

国葬それ自体は問題だが
それ以上に大問題なのは、

相手に応じて出したり引っ込めたり
することが出来てしまう
戦後民主主義の有り様なのである。


ベネズエラ情勢から考える安倍国葬問題(リベラル原理主義者たちの醜悪な態度について)

2022-09-26 22:59:53 | リベラル原理主義

あと、数時間後には
安倍晋三の国葬が始まる。

 

巷ではメディアも含め
まるで葬儀に反対することが
正義であるかのように騒がれている

・・・だが、正直なところ、私は何とも言えない
虚しさと馬鹿馬鹿しさに包まれて
この記事を書いている。

 

というのも、この騒々しいキャンペーンは
耐え難い自己欺瞞に満ちているからだ。

 

我々が思い起こすべき事実は
襲撃直後の時点でメディアも知識人も
この事件を民主主義に対する挑戦として
悲劇化したことである。

 

上掲の画像は
「安倍晋三 民主主義 社説」で
検索をかけたものだが、ご覧の通り
どの新聞も全く同じ論調を取っている。

 

以下、いくつか引用したいと思う。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

暴力によって民主主義を破壊しようとする蛮行である。
参院選の街頭演説中に
安倍晋三元首相が銃撃され、死去した。

強い憤りをもって非難する。

 

事件はきのう昼前、
奈良市の近鉄大和西大寺駅周辺で起きた。

安倍氏の後ろから男が近づき、2発の銃弾を発射した。
安倍氏はドクターヘリで病院に搬送されたが、
その後に死亡が確認された。

 

41歳の元海上自衛官が現場で逮捕された。
詳しい動機や背後関係は不明で、今後解明が必要だ。

 

民主主義は主張が異なっても、
議論を戦わせ言葉によって合意を形成する営みである。

多様な意見に耳を傾けるのが基本だ。

いかなる理由があっても、
言論を暴力で封じ込めるような行為は言語道断である。

安倍氏個人だけでなく市民社会全体に対する攻撃だ。

https://mainichi.jp/articles/20220709/ddm/005/070/127000c

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

民主主義を破壊する卑劣な暴力を決して許してはならない。

安倍晋三元首相が
奈良市で参院選候補の応援演説中に銃撃され、死亡した。

言論を通じて国の将来を選択する
国政選挙中の凶行を、最大限の怒りを込めて非難する。
 
犯行の動機や背景の解明は捜査を待たねばならないが、
安倍氏の主張を封じることが狙いなら言語道断だ。
 
暴力によって言論を封殺してはならない。
 
私たちは今こそ民主主義、言論の自由、
法の支配といった社会の根幹を支える価値を再確認したい。
 
 
本紙は安倍氏の首相在任中、
他国の戦争に加わる「集団的自衛権の行使」容認や、
改憲を急ぐ姿勢を批判し、権力私物化を疑われた
森友・加計学園、桜を見る会を巡る問題も厳しく追及してきた。
 
安倍氏が
本紙の報道姿勢を公然と非難することもあった。

とはいえ、主張が違っても、
言論で対峙(たいじ)するという
民主主義の原則は共有してきた。
 

https://www.tokyo-np.co.jp/article/188517

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

民主主義国家の日本で、
絶対に許されない事件が起きた。

 

安倍晋三元首相が
参院選の遊説中に銃撃され、亡くなった。

 

選挙期間中に暴力によって
言論を封殺しようとする衝撃的な事件であり、
凶行を断固として非難する。

 

安倍氏は8日午前に
奈良市内の路上で街頭演説をしていた際に銃で撃たれた。

 

安倍氏はドクターヘリで
奈良県内の病院に緊急搬送されて
救命措置を受けたが、同日夕に死亡が確認された。

 

岸田文雄首相は同日夜、
記者団に「誠に残念であり言葉もない。
民主主義の根幹たる選挙が行われているなか
命を奪った卑劣な蛮行がおこなわれた。

断じて許せるものではなく、
最も強い言葉で非難する」と語った。

〜中略〜

 

民主主義は多様な意見を尊重し合い、
あくまで言論によって重要な物事を決めていくのが
ルールの根幹である。

どんな理由があっても、
政治家を傷つけたり威圧したりして
主張を押しつける行為は正当化できない。

https://www.nikkei.com/article/
DGXZQODK0870Q0Y2A700C2000000/

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

銃弾が打ち砕いたのは民主主義の根幹である。
全身の怒りをもって、この凶行を非難する。

同時に、亡くなった安倍元首相に対し、
心から哀悼の意を表する。

 

参院選の投開票日の直前に、
しかも街頭で遊説中に、現役の有力政治家である
安倍氏が撃たれたことはあまりにも衝撃的だ。

 

選挙は、民主国家の基礎中の基礎である。

 

そこでは思想信条の自由、言論・表現の自由
投票の自由が、厳格に守られなければならない。

 

その選挙を暴力で破壊する。自由を封殺する。

動機が何であれ、
戦後日本の民主政治へのゆがんだ挑戦であり、
決して許すことはできない。

その罪の危険さ、深刻さを直視しなければならない。

https://www.asahi.com/articles/ASQ786RDKQ78USPT00N.html

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

このように、どの社説も
まるで判を押したように同じ文言が並ぶ。

(政府が用意したテンプレートを
 少々、いじくって載せたのではないか
 と疑いたくなるほどに酷似している)

 

安倍晋三が殺されたぐらいで
破壊されてしまうほど
民主主義とは脆弱なものなのだろうか?

 

安倍晋三という政治家について
私が思い浮かぶのは、

まずは虚偽答弁、次に利益誘導、
加えて公権力の私物化、強行採決、
公文書の改竄、メディアの癒着、
そして8年に及ぶ独裁政治の実行である。

 

むしろ民主主義の敵であって、
敵が死んだところで民主主義は容易に
瓦解はするまい。むしろ蘇るのではなかろうか?

 

 

(社説)ベネズエラ混迷 国民の手に選択委ねよ:朝日新聞デジタル

 カリブ海に面した南米のベネズエラは、美しい自然を誇る国である。国名の由来は諸説あるが、大航海時代に欧州人が「小さなベネチア」と呼んだのが始まりともいわれる。 ...

朝日新聞デジタル

 

 

その上で、
選挙活動や言論の自由に対する冒涜を
考えてみても、やはり合点がいかない。

 

彼らは
ベネズエラの選挙結果を認めず、
制裁を科したアメリカには、非難どころか
支持の姿勢を見せていたからである。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

世界一と言われる原油埋蔵量を抱え、
本来は豊かな国のはずだ。

ところが近年、失政による混迷は深まるばかりだ。
すでに国民の1割にあたる
300万人が国外に逃れたという。

 

最大の責任は、マドゥロ大統領にある。

経済政策の失敗に加え、
反政府派への弾圧を続けている。

市民の流血もおきており、
もはやこれ以上、統治を続ける資格はない。

 

平和裏に収拾するためには、
国民自身の手で公正に
大統領を選び直すことが不可欠だ。

 

マドゥロ氏は拒んでいるが、
国際社会は新たな大統領選挙の実現へ
向けて環境を整えるべきだ。

 

この国は今、「大統領」が
2人存在する事態になっている。

マドゥロ氏が正統性を唱える一方、
昨年春の大統領選の無効を訴える
グアイド国会議長が暫定大統領を名乗っている。

 

米国とカナダドイツフランスなどは
グアイド氏を承認したが、中国やロシアなどは
マドゥロ氏を支持している。

〜中略〜

 

中国とロシアは、
マドゥロ氏の説得に動かねばならない。

中ロとも自国の権益や
対米牽制(けんせい)を考えているようだが、
ベネズエラを
自国の影響力を競う舞台に利用する態度は慎むべきだ。

 

トランプ米大統領は軍事介入をほのめかすが、
踏み切れば中南米に反米感情を広げ、
事態を悪化させるだけだ。

 

グアイド氏も、
平和的に解決する姿勢を明確にする必要がある。

https://www.asahi.com/articles/DA3S13887643.html

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2019年、ベネズエラでは大統領選挙が
実施され、結果、現職のマドゥロが二期を
務めることになった。

 

これに対して政敵であるグアイドは
選挙の不正を主張、暫定大統領を自称した。

 

 

 

ベネズエラ反体制派指導者に対し、米大統領補佐官が支持を表明

アメリカのボルトン大統領補佐官が、またしてもベネズエラ反体制派指導者のグアイド氏支持を表明しました。

Pars Today

 

 

 

グアイド氏の暫定大統領宣言、米副大統領電話後だった=WSJ紙

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルがホワイトハウス筋の話として報じるところ、ベネズエラのフアン・グアイド国会議長が暫定大統領就任を宣誓する前日、ペンス米副大統...

Sputnik 日本

 

 

その後、NATO陣営は高速の動きで
グアイドを支持、ベネズエラに制裁を
科していくのだが、

宣言前日、ペンス副大統領がグアイドを
支持する発言をしていたことが
WSJの調べにより判明している。

選挙結果を認めず、
外国勢力の力を借りてクーデターを起こす。

これほどわかりやすい民主主義の冒涜は無い。

と私は思うのだが、
日本のメディアによれば
これは冒涜には当たらないらしい。

 

 

 

60カ国以上が、ベネズエラのマドゥロ合法政権を支持

60カ国の国連代表が、ベネズエラに対する外国の干渉を非難しました。

Pars Today

 

 

 

ベネズエラで、アメリカやコロンビアの干渉に抗議するデモ実施(動画)

ベネズエラで、アメリカ製の物資がコロンビアを通じて、ベネズエラに搬送されたことを受け、人々がアメリカやコロンビアの干渉に抗議するデモを実施しました。

Pars Today

 

 

 

ベネズエラで、マドゥロ現政権を支持する全国的なデモが実施

ベネズエラの首都カラカスを初め複数の都市で、同国のマドゥロ政権を支持し、反対派への対抗を示す国民のデモが開催されています。

Pars Today

 

 

 

ベネズエラで、マドゥロ大統領を支持する数千人規模の行進が実施

ベネズエラ・カラカス市内の街頭で、現職のマドゥロ大統領を支持する数千人規模の行進が実施されました。

Pars Today

 

 

 

ベネズエラで、マドゥロ大統領を支持するデモ

ベネズエラ・カラカスで、同国のマドゥロ大統領を支持する数千人規模のデモが実施されました。

Pars Today

 

 

 

 

ベネズエラで、マドゥロ現職大統領を支持するデモが実施

ベネズエラ・カラカス市内各地の街頭で、現職のマドゥロ大統領を支持する数千人規模のデモが実施されました。

Pars Today

 

 

 

 

G77と中国が、他国に対する米の一方的な制裁の解除を要請

G77(アジア、アフリカ、ラテンアメリカの開発途上国77か国グループ)と中国が共同で声明を発表し、米国がイランとベネズエラを含む開発途上国にの一方的に科している制裁を解...

Pars Today

 

 

 

露大統領が米大統領に、「ベネズエラの主権を決定できるのは同国民だけ」

ロシアのプーチン大統領が、アメリカのトランプ大統領との電話会談の中で、「ベネズエラの主権を決定する権利は同国民のみにある」と発言しました。

Pars Today

 

 

 

 

国連人権高等弁務官、「対イラン、対ベネズエラ制裁は解除されるべき」

ミシェル・バチェレ国連人権高等弁務官は、新型コロナウイルス蔓延の状況下、イランとベネズエラに対する制裁を解除あるいは停止するよう求めました。

Pars Today

 

 

同時期に書かれたParsTodayの記事を
読めば、国内外を問わず、少なからずの人間が
マドゥロ政権を支持していたことがわかる。

国連も例外ではない。支持者はバチェレ。
先日、ウイグル族弾圧を否定したばかりに
国連人権高等弁務官の職を追われた人物だ。

(はっきり言って、バチェレ追放の方が
 安倍晋三の死より民主主義にとっては
 危険な事件だったのだが、
 メディアは気にもしなかった)

 

 

 

ベネズエラ反体制派指導者、「アメリカにベネズエラ軍事攻撃を許可する」

ベネズエラの反体制派指導者フアン・グアイド氏が、「アメリカがベネズエラへの軍事攻撃を提案してきたら、自分はこれを承諾するだろう」と語りました。

Pars Today

 

 

当時、グアイドは米軍によるベネズエラ侵攻を
はっきりと支持していた。

どちらが民衆の敵かは一目瞭然だろう。

 

ーーー続くーーー

 

 

ベネズエラ情勢から見る安倍国葬問題2 - 時事解説「ディストピア」

ベネズエラ情勢から考える安倍国葬問題(リベラル原理主義者たちの醜悪な態度について)-時事解説「ディストピア」あと、数時間後には安倍晋三の国葬が始まる。巷ではメディ...

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ジェンダーと植民地主義(なぜ日本ではフェミニズムが受容されないのか)

2022-07-26 00:12:34 | 植民地主義・ジェンダー

 

上の動画は
タリバン政権下の女性の状況について
現地の学生に語ってもらったものである。

 

アフガニスタンの女性の権利というと、
私達の脳内には虐げられる女性と
虐げるタリバンとの戦いの構図が再生されがちだ。

だが、実際にはむしろ
これら女性、特に大学で女性の権利について
学んでいるアフガン女性にとっては

むしろ親米政権のほうが
悪質なものだったのである。

 

その一例として
前政権では公務員になるためには
男性との性交渉を条件にされることが
しばしばあったことが挙げられており、

結果として
女性の社会進出は事実上奪われていた
と、そう彼女たちは告白している。

 

現在、彼女たちは
タリバン政権にむけて
イスラム法に照らした形で
より高度な教育を求めている。

そして、タリバン政権下で
男性と同等の労働権を得られることを
確信していると発言しているのだが、

こうした諸発言からは
日本の知識人、特にフェミニストから
発信されるタリバンに対する憎悪とも言える
感情が微塵もない。対極的だとも言える。

 

日本のフェミニストは、しばしば
自分がアフガンの全女性の意見を代弁
しているかのように語るのだが、
実際にはズレがあるわけだ。

そのズレは両者の
イスラム教に対する信仰心の度合いの
落差を意味してもいる。

「イスラム法に照らした形での改革」は
その好例だろう。

日本ではしばしば
全職業への参画を求めているように報じるのだが、
実際には、本人達の宗教生活を妨げない
レベルでの勤労を望む女性も多いのである。

 

注目すべきは上のコメントで、

ここでは欧米や日本で跋扈する
フェミニストに対する批判がされている。

いわく、フェミニストは
家族や夫に対する敬意を持っていない、

彼女達は男性に偏見を抱いていて
私達の多くは彼女たちが
アフガンの権利を提唱してはいない
と強く思っている

・・・と語っているのだ。

この発言は
世俗化された世界に生きるフェミニストと
イスラム世界で暮らす活動家との間の
埋めがたい溝を如実に物語っている。

 

Believeは「信じる」と訳されがちだが
正確には「強く思う」という意味であり、
日常では「マジで思う」というニュアンスで
使用される。

それだけに、この人達の怒りや反感は
ダイレクトに伝わってくるだろう。

 

タリバン政権に対する信頼と
西側民主主義に対する不信。

こうしたスタンスは
前回の記事で私が言及した
近代フェミニストとは正反対だ。

彼女たちにとって
日本や西洋で女性の権利がどうのこうの
と騒ぐ連中は非難の対象なのである。

 

これは女性の権利について
彼女たちに関心が無いことを
意味するものではない。

 

インタビューでも、
大学ではイスラム世界における
女性の社会的地位について歴史的に
勉強していると答えており、

むしろ一般の女性よりも強く
関心があると言って良いだろう。

 

実際、日本のフェミニストは
アフガニスタンの女性の権利を理由に
執拗にタリバンを罵倒するわりには、

300万以上の児童を
栄養失調の危機にさらした
アメリカには申し訳程度の批判を
軽く述べる程度で済ませているので

こうした偽善性を
彼女たち学生は敏感に嗅ぎ取っている
のかもしれない。

 

ただ、それとは別に
ここで私が問いたいのは

何が差別で何が差別でないかを
決定づけるのは、どこまで行っても
本人の主観でしか無い

ということである。

 

よく日本では
ブルカやヒジャブの着用の強制を
女性差別の典型例として紹介される。

だが、先述の動画を見ればわかるように
ほとんどのアフガニスタン女性は
そもそも最初からブルカやヒジャブを
着ているのである。

 

こうした人達にとって重要なのは
「いかにイスラム教徒らしい生活を
 送れるか」であり、

本人たちにとってブルカやヒジャブは
制服であり、清く正しい生活のために
必要不可欠ですらある。

 

無論、こうしたイスラム化に対して
懐疑的な女性も存在する。

もともとアフガンの避難民であり、
米軍占領後に帰国し、現地の「民主化」
に貢献したサハラ・カリミは
その代表的女性だろう。

カリミは8月の混乱時に
真っ先に国外へ逃亡、もとい、
避難した女性の一人であり、奇しくも
ウクライナ軍の軍用機に乗り、同国で
しばらく生活を送った。

現在でも、タリバン批判の急先鋒として
活躍している。

カリミがタリバンを非難するのは
本人の勝手だろう。

 

問題は
あたかも全アフガン女性の意見を
代表しているかのように
カリミ本人やメディアが演出していることだ。

 

カリミの意見はあくまで多数ある意見の
1つであり、それ以上のものではないのに
絶対の真実として語られる。

 

そして、それはしばしば
悪のテロ集団タリバンから
女性を保護するために介入せよと言う
植民地支配の口実として利用される。

 

私が清末愛砂女史のような輩を
強く批判しているのも、

こうした演出を多用するからだ。

 

アフガンの女性を悲劇化しているのは
あくまで清末やカリミ的なアフガン人
の価値観によるものであり、

これは、どこまで行っても
西洋的価値観に従って、「これは
差別だ」と感じるものでしかない。

 

その際、辻褄を合わせるため
本記事で紹介したような女性の存在は
彼女たちの文章から抹殺される。

 

これは民主主義といえるものだろうか?

少数意見の透明化。

民主主義という思想に懐疑的な私ですら
これはデモクラシーに反するものだと
強く感じる。

 

実のところ、
ジェンダーやフェミニズムというものは
平和の対地にある戦争のために
利用されてすらいる。

 

第二次世界大戦では
女性を戦争に動員するために
強い女性あるいは優しい女性を描いた
ポスターが活用された。

同様のアクションが
今日でも行われているのは前掲の
新聞記事を見れば明らかだろう。

ここで私が確認したいのは
サハラ・カリミしかり、市原房江しかり、

リベラル原理主義的なフェミニストは
こうした動員に対して抗うどころか、

むしろ、それらを主導し、
好戦的なムードを醸し出すのに
一役を買ってきたという事実である。

つまり、ナショナリズムやレイシズム、
コロニアリズムやモダニズムを利用して
女性の社会進出を実践してきた
という負の歴史がここにある。

清末やカリミの親米政権と協力しながらの
女性の「民主化運動」はその典型例だろう。

アメリカの国民化運動の旗手に
フェミニストがいたのは偶然ではない。

 

女性を弄ぶ博物学/工作舎

 

こうしたフェミニストは
進歩的な思想を悪、保守的な思想を
善と捉える逆転現象を起こしがちだ。

 

イスラム教と共生する形の
女性の権利獲得というのは多様化する
世界において、望ましくすらあるのに
それを否定し、絶対唯一の答えを強要する。

同様に、日本では
「性差は先天的なものではない」
という見地が逆に差別的なものとして
否定されることがしばしばある。

それどころか性差が身体的なものである
という考えが理想視されることさえある。

この逆転現象について筆者は過去、
幾度かネットやリアルで語ってきたが、
次回、改めてシービンガーの研究に触れながら
その不可思議さについて説明をしたい。

 


清末愛砂氏とオリエンタリズム(植民地主義とジェンダー)

2022-06-24 22:18:36 | 国際政治

2021年8月15日、20年に及んだ
アメリカの支配からアフガニスタンは解放された。

そもそも
アフガンを統治していたのはタリバンなのに、
彼らを「反政府組織」と呼んでしまう。

そういう侵攻国であるアメリカを善とみなす
報道スタイルに私は辟易していたが、

日本メディアは早速、解放直後から
急に思い出したかのごとく
女性の「人権」問題について語りだした。

 



一夫多妻制の容認など、とかく
イスラム教は西洋的家族モデルと
相容れない面がある。

そのため、オリエント世界はしばしば、
ジェンダーを理由にヨーロッパ世界と差異化され、
前者を東洋(野蛮・独裁)、
後者を西洋(文明・民主)として表現されてきた。

 

その目的は植民地支配の正当化である。

 

植民地主義(コロニアリズム)というものを
端的に説明すると以下のようになる。


①植民地支配には
 良い植民地支配と悪い植民地支配がある

②現地の住民を虐げる圧政は悪い植民地支配であり、
 これは断じて受け入れることは出来ない。

③だが、独裁的な政府によって民衆が弾圧されているならば
 政権を打倒し、傀儡政権を樹立し、権利を保障すること、
 すなわち「民主化」を目的とした支配は悪ではない。

④むしろ「民主化」のための支配は「保護」であり、
 国際秩序の維持のためにも必要だ。

⑤よって、野蛮国を正しい方向へと導いていくことは、
 文明国の義務であり、使命である。

 

つまり、政治的(議会制民主主義の導入)
経済的(自由経済の導入)文化的(キリスト教的モラル)
改造を原理主義的に妄執・追求するものであり、

その主体は近代ヨーロッパ人を想定している。
(オリエントの住人はあくまで客体)


その行為を正当化させるために
ジェンダーが悪用されてきた歴史があるのだが、
問題は、その歴史が現在でも進行中であるということだ。

 

さて、先日、アフガニスタン研究および報道で
名を馳せてきた清末愛砂氏、須賀川拓氏両名は
アフガンで起きた地震災害について
悲しみを込めたようなポエムを書き綴った。

これに対して私は
「地震は天災だが、制裁は人災、もっと触れるべきことが
 あるはず」という意味を込めた引用リツイートをしたのだが
経済制裁およびアメリカの戦争犯罪に対して
両名が無反応と呼んでも良い姿勢を取っていると指摘したのが
許容できなかったらしく、Twitter上で抗議を受けた。

よって、本記事では
2022年3月はアフガン現代史にとって
どのような位置づけが出来るのかを検討しながら
この時期の両名のリアクションについて言及したいと思う。

https://www.presstv.co.uk/Detail/2022/02/11/676648/Taliban-Afghanistan-frozen-assets-US-banks

 

まず、前史を紹介すると、
去年の秋頃からすでにアフガニスタンでは
世界銀行やIMF、アメリカ等の欧米諸国により制裁を受け、
深刻な経済危機に陥っていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ガーディアン紙は昨年8月の米英軍のアフガニスタン撤退に触れ、

敵に利用可能な資源を残さない焦土作戦が、世界でもっとも貧しい国のひとつである

アフガニスタンに最大限の経済圧力を加えることを目的としてアメリカにより

立案されたと報じました。

同紙は続けて、この作戦における米政府の手段には、

米ニューヨークにあるアフガニスタン資産の凍結や

世界銀行のアフガン復興基金の支払い阻止などがあるとしています。

2020年にアフガニスタンのGDPのおよそ半分を占めていた

海外からの支援停止が悲劇的な結果をもたらすことは当時から明らかでした。

ガーディアン紙は、

アフガン国内企業は平均して従業員のおよそ6割を解雇し、

食料品価格は4割上昇しており、

国民の半数は人道支援を必要としている状況で、

貧困率は9割にのぼると記しています。

https://parstoday.com/ja/news/asia-i93018

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この状況に対して
国内外から猛烈な批判が連日のように
展開されたのが2022年3月という時期だったのである。

筆者が知る限りでは
まず3月4日にタリバン政権は制裁緩和を要求し、

 

3月8日にはカルザイ元大統領が
アメリカの制裁を非難、
アフガン人の金を返すよう要求した。

 

3月15日には、国連が
350万人のアフガンの子供たちが
栄養支援を必要としていると表明した。

 

その声明の中には
食料がなく乳児に栄養を与えることが
出来ないと嘆く母親たちの言葉も紹介されていた。

 

 

 

 

ウイグル族への迫害の証拠が見つからなかったと述べたばかりに
辞任に追い込まれたミシェル・バチェレ国連人権高等弁務官は

3月13日の時点で
「制裁が解除されなければ、悲劇的な結末として
 多くのアフガン市民が命を落とすことになる」
と警告した。

このように3月初旬〜中旬は
タリバンだけでなく国連も巻き込んだ制裁に対する抗議と
今後も続くであろうカタストロフについて警鐘が鳴らされていたのである。

では、問題の清末氏は
この時、Twitterで何を叫んでいたのだろうか。

 

 

自分への誕生日プレゼントとして
ニジマス定食を思う存分、平らげたと報告していたのである。

350万人のアフガン児童が食料支援を必要とすると
訴えられていた丁度その時、好物を好きなだけ食べれたとご満悦。

申し訳ないが、これは台風で関東地方が大災害に遭っていた時に
赤坂で議員たちと宴会をしていた安倍晋三と同レベルの人権意識だと
言わざるを得ない。

空腹で飢えている子供たちの前で
食事をべろべろと平らげるような浅ましい行為だ。

 

他にはウクライナ内戦の拡大に対して
ロシアをバッシングする記事をリツイートしていたが、

3月15日に彼女が述べたことは
これで全てだった。

飢えた子供の中には当然、女児もいるわけで
先述の母親の訴えも考慮すれば、この件については
女性の権利を守るというイメージで名前を売っている立場上、
多少なりとも言及するべきだと感じるが、何も書かなかった。

(なお、この時期にドネツク市街で
 ウクライナ軍による砲撃があり、市民が死傷した
 事件が起きたのだが、この件についても清末氏は触れていない)

 

同時期に清末氏が強く訴えたのが
アフガニスタンの女性の権利向上だった。

 

ここで読者に考慮してほしいのが、
なぜ清末氏は、人間にとって最も重要な権利であるはずの
生きる権利が侵害されていることに対して沈黙しているのだろう
という点である。

タリバンもカルザイもバチェレも
制裁解除を求めて熱弁を振るっていたその時、
同氏は他の自称フェミニストらと共に「女性の権利!女性の権利!」
と全く別の言葉を述べていたのだ。

 

さて、約一週間後の3月21日、
露スプートニク紙はタリバンへの制裁によって
1万3000人の新生児が死亡したこと、ならびに
95%の児童が十分な食料を得ていないことを報じた。

 

この記事は3月15日のニュースに触れながら、
貧困と医療危機が乳児死亡率を高めることに言及したものだった。

アメリカの経済制裁が原因で1万3000人の新生児が死んだ。

制裁は戦後に行われる戦争行為だ。ミサイルを使わずに人を殺す。

ロシア軍の「蛮行」には過敏に反応する清末氏や須賀川記者は
当然、このジェノサイドには反応しても良さそうではあるが、
現実では、この時も両名は無言リツイートすらしなかったのである。

 

代わりに彼らが注目したのは
タリバンの女子生徒の通学停止だった。

 

この時の清末氏は
目覚めたかのように読者の感情に訴える言葉を
絶叫するように並び立て

 

怒りと涙を露わにして激昂していた。

1万3000人の新生児が制裁によって殺され、
95%の児童が満足に食べるものがないニュースには
一言も触れなかったのに対して、

女子生徒に対するタリバンの政策には烈火の如く吠え猛ったのである。

 

しかし、冷静になって考えてほしいが、
そもそも学校に行く・行かない以前に生きる・死ぬの問題にアフガンの
児童たちは直面しているのである。通学できるのは裕福な子供しかいない。

 

 

 

イギリスの映像メディア、
ファイブ・ピラーズはカブール市を散策しながら
児童労働者の状況について解説を試みた。

この子たちは本来なら通学するべき年齢に達しているが、
家計を支えるために働かざるを得ない。

靴を磨いたり車を洗ったりといった
簡単な仕事をしながら日銭を稼いでいるのである。

 

路上より学校にいるほうが好きだ

学校に行きたいけど、その余裕がない

 

こういう「男子」児童が多く存在するのである。
この児童らは清末氏の救済の対象には入っていない。何故なら女子ではないから。

 

アメリカ研究者の兼子歩氏などが思い浮かばれるが、
かなり前からジェンダー研究は男性性について注目されている。

「女は働くべからず」という理念は裏を返せば「男は働くべし」となる。

ジェンダーに留意して考えると、児童労働者が中々減らないのは、
労働によって生活を支えることで「男」として認められるからである。

家族を助けているという誇りがアイデンティティ形成につながる。


よって、20世紀のソーシャル・リフォーマーは職業教育の実践と
その間に家庭に対する補助金の給付を主張したのだが、
児童労働と非行が結び付けられる側面があったのも確かである。

いずれにせよ、通学できる権利はあっても
行使する余裕がないために、事実上、侵害されたと言っても差し支えはない。

 

だが、女性の権利にばかり関心を持っていると
その対象外である人々は透明化してしまう。

語りの中から消えてしまう。
女性、女性、女性と連呼する影で彼ら男児労働者の姿は見えなくなる。

 

こうした子どもたちを助けるには
共同体ごと支援する必要がある。

上の映像は同じくファイブ・ピラーズのものだが、
6分ほど経過したタイミングで井戸の話が出てくる。

長老らしき人物の話によると、
井戸が出来る前は水汲みをするために
子どもたちが学校へ行く余裕がなかったが、

他のイスラム教国家に住むムスリム達の支援の結果、
井戸が完成され、問題が解決されたらしい。

これはまさに故・中村哲氏が実行していたことに他ならない。
改めてペシャワール会の現実に即した活動に敬意を表する。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

現地で困っているのは、お金の問題。米国による資産凍結などの影響で預金の引き出しが制限されている。機材や燃料を買うにも資金が足りない。インフレも進んでいる。干ばつも続き、このままでは多くの人が食い詰め、社会不安が増大する。国際社会はそうした状態を待っているのでしょうか。

 タリバンの人権意識を批判する声があります。確かに時代錯誤の面もある。けれども外からの物差しで、西洋の近代的な世界観が全て正しいという前提で論じているように思えます。米国は20年かけて莫大(ばくだい)な資金と軍事力を投じ、米国の物差しを広めようとしたが、うまくいかなかった。

https://www.asahi.com/articles/ASPBD2VQ6PBBUPQJ11D.html
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ペシャワール会はアメリカの経済制裁にも確かに批判していた。
村上優会長は、タリバンの人権意識に対して、
確かに時代錯誤の面もある、けれども、外からの物差しで、
西洋の近代的な価値観が正しいことを前提に語ってはいないかという風に語り、
相手の論理を理解することの大切さを説いた。

こういう意識が清末氏を初めとした識者には無いのである。

 


 

4月19日、ユネスコの国際関係責任者はTwitter上で
アフガンの児童は生計のために労働するか、物乞いをせざるを得なくなり、
就学が不可能になっているという主張をした。

無論、この児童には女児も含まれるため、
本当にアフガンの人権に関心があるのならば、すぐに応えるはずである。

 

では、清末氏はこの時、何を発したかというと

 

「アフガンの女の子達に学ばせてあげて」

というタグ付きの絵のリツイートと

須賀川記者のロシアの「蛮行」を訴えるTweetへのリツイート、

 

そして洞爺湖近くのレストランで
「支援」の打ち合わせをしながら食べた夕食の紹介だった。

問題のユネスコのTweetに対する反応は無かった。

 

 

こうして1ヶ月以上に渡る同氏のインターネット上の発信を見てみると
女性の権利侵害につながりそうな部分だけを抽出して
ヒステリックに騒ぎ立てる一方で、

女性や女児にも関係があるだろう制裁に関連する人的被害には
全く反応しない態度を指摘することが出来る。

これはタリバン政権下の女性や女児に対する
ジェンダーバイアスがかかった暴力の存在を認めながらも、
それらがアメリカの制裁によって悪化していると語った
国連の専門家達とは対極的なものだ。

 

アメリカ合衆国に対する非難の言葉が一切ないのである。

 

 

清末氏と対極的な姿勢を見せるグループが
国連の他にもう1つ存在する。

日本の平和主義者たちが悪の独裁国家、人権侵害大国と酷評する中国である。

中国外務省は8月にはすでにアメリカへの非難を始めていたが、
今年の二月には資産凍結に対してアフガンの資産を「盗んだ」と強い語気でなじり

 

3月末には王殻外相も、繰り返し
「アフガンから窃取した資産・資源を返還すべきである」
と述べた上で、

「中国はアフガン暫定政権を支持する」との意思を表明した。

 

そして4月にはバイデン政権に対して
アフガン国民への謝罪を要求した。

 

これらの言葉を私は
清末・須賀川両氏から聞いたことが無い。

須賀川氏はタリバンとの対談を経験して
他の記者と比べると幾分、彼らを人間扱いしているのだが、
そこで思考はストップし、清末氏と同様、女性の人権侵害のニュースにだけ反応し、
資産凍結の件について少なくとも3〜4月の時点で語ることは無かった。

取材で多忙だったからと言えばそれまでだが、
その割には通学のニュースには反応していたわけで、
先述したとおり、制裁に関するいくつものニュースが当時流れていたにも関わらず、
全てに無反応だったというのは、常識的に考えて不自然である。

単に関心が無かったから言及しなかったと理解するのが妥当だ。

 

 

アフガニスタンのジェンダー問題と複合差別~人道危機問題に着目して | ヒューライツ大阪(一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター)

 

清末氏は筆者に講演会や原稿等で
制裁に対する発言は行ってきたと答えるのだが、
実際のレターを読んでみると、かなり微妙と言わざるを得ない。

確かに同氏は制裁による生活危機に対しては言及しているのだが、
それは上記リンクからページに飛んで読めばわかるように、この文章は
あくまで「人道危機がこれほど深刻であるときに、女性の人権問題を
強調して語るのはいかがなものか」といった批判に対するレスポンスなのである。

つまり、資産凍結に対する言及は人道危機を説明するためのものであり、
国連や中国政府のようにアメリカ政府を非難するためのものではない。

むしろ、それらよりジェンダー問題を優先する意義を説いた文であり、
ある意味では清末氏の透徹したスタンスを感じざるを得ない。

だが、文章中、アフガンで最も注目すべきはシングルマザーと子供たちと
定義する割には、彼女らが苦しむ原因となった制裁への言及は
すでに述べたように皆無と言っても過言ではなく、

学校に通う・通わない、就労する・しない、
ブルカを着る・着ないといったレベルに終始し、他の人権団体と歩調を
同じくしているようには感じない。

 

 

本当に心配しているのだろうか?

タリバンへの非難につながる話題でのみ暴れているように
筆者は感じてならないのである。

だが、全く関心がないわけではなく、
地震に対しては即座に悲しみの詩をぶちまけるわけで、
そういうアメリカの植民地支配を責めない範囲での平和主義というのは
吹けば飛ぶ塵のようだと考える。

こうしたスタンスは連続していて、須賀川氏も清末氏も
ウクライナ軍による市民への爆撃には触れない一方で、
ロシア軍の介入によって起きた「とされる」蛮行には反応を示している。

このような人道主義はアフガニスタンの資産を私的流用したり、
ウクライナ軍に武器を貸し付けることで富を得ようとする国にとって
大変、有り難い存在になるだろう。

なぜならば、他方の罪は感情的にドラマチックに語る一方で、
もう他方の罪は語らないことで存在を隠してしまうからである。

 

ウクライナ東部の親ロシア派市民や
アフガニスタンの親タリバン市民の存在を語らないことで
彼らは殺されても関心を持たないレベルにまで命の価値を下げられている。

それはレイシズム以上にレイシズムなのである。


北朝鮮の「ほほえみ外交」(メディアの造語批判)

2020-06-25 22:44:15 | 北朝鮮

緊急事態宣言が解除され、非日常から日常へと生活が戻りつつある。
・・・わけでは決してなく、未だに東京では感染者が後を絶たないのだが、
都知事選を前にしてあえて日常を演出したいマスメディアは
いつものように外国に対するバッシング報道を展開し始めた。

本日、6月25日のクローズアップ現代では
金与正氏の発言を取り上げ、仮にも他国の大統領を罵倒するなど
言語道断と見栄を切った。吹き替えを担当した女性は、与正氏の声明を
あえて重く、暗いトーンで、いかにも危険人物の発言であるかのように
強調して翻訳文を読み上げた。

 

挑発する金与正氏 北朝鮮の強硬姿勢の行く末は…衝突か、新たな交渉のテーブルか

 

日本メディアのシナリオとしては
北朝鮮が韓国や米国に対して乱暴な「挑発」を行った
というものを狙っているらしい。

しかし、実際には韓国の保守派が脱北者と結託して
軍事境界線付近で挑発行為を行ったのが発端となっている。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

他の誰かなら知らないが、「脱北者」というくずの連中、
人間の出来損ないを押し立ててそんなにもよく知っている
その合意を違反するビラ散布妄動をそのまま黙認し、放置しておいた当事者らが
われわれに「違反」という言葉をそれも白昼に公然と言えるのか疑わしいだけだ。

顔が熱くならないかということだ。

板門店宣言と平壌宣言、北南合意に対しては、
北侵戦争演習を含むあらゆる敵対行為を公然と働きながら、
それを今まで系統的に違反して破棄してきた南側が
口が十あっても合意違反について問題視する資格さえないようになっている。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(http://www.kcna.kp/kcna.user.article.retrieveNewsViewInfoList.kcmsf#this)

上の文章は朝鮮中央通信の2020年6月17日付の記事
(「破廉恥の極み」というタイトル)から引用したものだが、
ここにも触れているように板門店宣言にはビラ配りの扇動も含む
一切の敵対行為の中止が明記されている。

また、大々的なものこそ自粛したものの
北朝鮮への先制攻撃を想定した韓国の軍事演習はこれまで継続されてきた。

そして北朝鮮は約束に従い、これまで一切の核開発を行っていない。
(日本のマスメディアは核「保有」を理由にこの事実を無視したがるが)

双方の歩み寄りが望まれた2018年から約2年が経過してもなお、
このように進展が望まれない状況下、強硬派の軍部をなだめるために
行ったのが今回の一連の言動ではないかと筆者はにらんでいるが、
それはともかく、いわゆる「挑発」をしたのは韓国の保守派であり、
北朝鮮の言動はそれらに対するリアクションだということを忘れてはならない。

 

対北朝鮮 日米、韓国へ結束求め 「ほほ笑み外交」警戒

 

ところで、北朝鮮と他国との間の雪解けをメディアは「ほほえみ外交」と呼んでいる。
この言葉は当初、ある種の侮蔑の意図を込めて使われていたのをご存知だろうか。

北朝鮮の「ほほ笑み外交」 日本の懸念

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ほほ笑み外交」

安倍氏もほぼ確実に同意するだろう。
五輪開始前のインタビューで河野太郎外相は筆者に対して、
韓国が北朝鮮の「ほほ笑み外交」に取り込まれてしまう懸念について話した。

そしてなんと盛大なほほ笑み外交が行われたことか。

最大の見せ場は疑いもなく、金正恩氏の実妹、
金与正(キム・ヨジョン)氏が3日間訪韓したことだ。

与正氏は魅力的な笑みを浮かべ、
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領を平壌に招待した

これらは全て安倍晋三首相にとっては悪い知らせだ。
日本政府による、北朝鮮の核の脅威を阻止するための政策を根幹から覆す恐れがある。

米国にとって、北朝鮮が核兵器の備蓄を増やすことは
間もなく現実の脅威となるだろう。日本にとってはすでにそうだ。

昨年に北朝鮮が発射した2発の長距離ミサイルは日本の上空を飛んでいった。
ここで大きく懸念されることは、どんな種類の軍事衝突であっても、
北朝鮮が核を使うのはソウルではなく東京へ向けてではないかということだ。

「我々は広島や長崎が再び起きるのを絶対許してはいけない」
と最近、日本の退役将校は筆者に話した。

よって安倍晋三首相は非常に強硬な立場を確立した。
週末にソウルで見られた「愛の祭典」以来、全ての声明で、
文大統領に訪朝してほしくないという立場を明確にしている。

ソウルにある国民大学校のアンドレイ・ランコフ教授は、
北朝鮮の思惑に対する日本の懸念をうまく説明している。

北朝鮮情報に特化したウェブサイト「NKニュース」の記事中で、
「北朝鮮の外交手腕は卓越している。
敵の弱点と分断を利用することに精通している」とランコフ教授は書いている。

「12月中旬以来、北朝鮮の外交は大きく分けて2つの目標に向かっている。
まず北朝鮮は、米国が先に軍事攻撃に出る可能性を低くしようと懸命に取り組んでいる。
第2に、米韓の間にくさびを打ち込むことに精力を傾けている」

日本の河野外相は北朝鮮に対する経済制裁が「効き始めている」
との認識を筆者に示した。

昨年の晩夏に課された制裁措置により、
いよいよ北朝鮮経済に影響が出始めている、と。

だからこそ北朝鮮は五輪大会という
ほほ笑み外交の手段を講じ時間稼ぎをして、
息が止まりそうな状態を緩和している、と。

(英語記事 Japan's worries about North Korea's 'charm offensive'

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

原語では「charm offensive」とあるように「ほほえみ外交」とはOffensive(攻撃態勢)、
すなわち、米韓の分断を目論んだ作戦なのだという意味をこめて使われていたのである。

 

韓国五輪外交、北朝鮮を利するだけに終わった「大失策」の裏側

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「南北友好対話ムード」を演出しての
ピョンチャン・オリンピックの“主役”は、
金正恩の妹で、朝鮮労働党副部長の金与正(キム・ヨジョン)だった。

その「微笑み外交」の陰で、
韓国・文政権の「5人組」と米国との間では
ぎくしゃくした関係が目立った格好になった。
それには理由がある。(朝日新聞ソウル支局長 牧野愛博)

五輪外交の主役は金与正
ソフトなイメージ戦略実践

~中略~

北は「最高のカード」出した
「南北蜜月」は北の本音ではない

~中略~

ここまで検証してみると、北朝鮮が金与正を派遣した狙いが浮かび上がる。

「最高のカード」で韓国に恩を売り、
同時に南北関係の蜜月ぶりを日米など国際社会に印象づける思惑だが、
ただ、南北関係を蜜月にしたいというのは北朝鮮の本音ではない。

それを裏づけるように、会談でも、文大統領の訪朝を求めたものの、
南北首脳会談の具体的な日時に触れることはなかった。

会談後の昼食会で「早く平壌でお目にかかれたらうれしい」と、話した程度だ。

また北朝鮮は韓国が提案してきた
南北離散家族の再会事業や南北軍事当局者会談の開催などには依然、応じていない。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

このように、メディアは平昌五輪における南北間の歩み寄りを冷笑しつつ、
北朝鮮の行動には裏があるに違いないと決めつけていたのである。

彼らの読みが的外れだったことはわずか1か月後に証明されることになる。
その際、メディアは日本政府にだけ米朝韓の対話路線への転向を知らされていなかったことに対して
「蚊帳の外」と揶揄したが、実の所、本当に蚊帳の外だったのは彼らマスメディアだったと言える。

以下の文章は2018年2月11日に掲載された毎日新聞の社説を抜粋したものである。

 

北朝鮮が文氏に会談提案 平和攻勢に惑わされるな

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

筋の悪いくせ球だ。
独裁者のエゴを貫くために計算され尽くした甘い言葉に、惑わされてはいけない。

北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が
特使として派遣した妹の与正(ヨジョン)氏を通じて、
韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領に平壌での近日中の会談を提案した。

文氏は、会談実現へ向けた条件を整えていこうと応じたという。

核・ミサイル開発に対する経済制裁で陥った苦境を打開しようという北朝鮮の狙いは明白だ。

北朝鮮への国際的圧力は強まっている。
後ろ盾だった中国が制裁に同調するようになり、
石油精製品の輸入にはこれまでの9割減という上限が設定された。
洋上での密輸に対する監視も強化された。

金政権は貿易に頼らない経済作りを国民に呼びかけ、
厳しい制裁にも耐えられると主張する。

しかし当面はしのげたとしても、長期的な将来展望など描きようがない。

米国による軍事的圧迫も負担になっているはずだ。

朝鮮半島周辺で米軍が大規模に展開すれば、北朝鮮軍も警戒態勢を強化せざるをえない。
貴重な燃料を消費し、動員される将兵は疲弊する。
軍に不満がたまれば権力基盤にも悪影響が出かねない。

こうした閉塞(へいそく)状況を打破する突破口として、
対話に前向きな文政権に狙いをつけたのだろう。

北朝鮮は
いま平昌(ピョンチャン)冬季五輪を舞台にした平和攻勢を韓国に仕掛けている。

北朝鮮は一方で五輪開幕の前日に大規模な軍事パレードを行い、
大陸間弾道ミサイル(ICBM)も登場させた。核放棄に応じないという姿勢は明確だ。

文氏は核問題をめぐる米朝の対話を仲介しようとしている。
しかし朝鮮半島の非核化につながらない限り意味はない。
成果を急ごうとする文氏の態度には危うさを感じる。

五輪開会式前のレセプションでは
北朝鮮の金永南(キムヨンナム)最高人民会議常任委員長と
米国のペンス副大統領を同席させようとしたが、ペンス氏が席に着かなかった。
米国との調整が不足したまま準備を進めたようだ。

南北の首脳会談を必要としているのは北朝鮮である。
そこを見誤ると、核を温存したまま国際包囲網を突破しようとする
北朝鮮に手を貸すことになってしまう。

(https://mainichi.jp/articles/20180211/ddm/005/070/042000c)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ここでも「平和攻勢」という言葉で北朝鮮の軟化を非難している。
いずれの言葉にしても北朝鮮の姿勢を、
「表面的には友好的に接しているが、
その実、裏側では相手を出し抜くことを考えている」
という、したたかで嘘のあるものとして強調づけている。

強硬姿勢をとればそれはそれで口やかましく非難するのに、
協調へと舵を切ると、それはそれで気に入らない、どうせ嘘に決まっている、
裏があるのだ、話を聞くな、北朝鮮の思うつぼだ・・・などなど、
こういう態度を一貫して取ってきたわけだ。

ところが、最近になって、この「チャーム・オフェンシブ」とか
「平和攻勢」、「ほほえみ外交」という単語が意図的に別の意味に組み替えられる
現象が起きているのである。次の牧野愛博氏の記事を読んでみよう。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ケソン南北連絡事務所爆破の“主役”、金与正氏の「本当の役割」
牧野愛博 2020/06/18 06:00

激しい言葉で韓国批判  「ほほえみ外交」のイメージ一掃

~中略~

とりわけ金与正氏の韓国批判の激しい言葉は、これまでの人物像を一新するものだ。

与正氏は利発で礼儀正しい人物として知られる。
初めて外交舞台に登場したといえる18年2月、
平昌冬季五輪開会式に参加するために訪韓した際は、
文大統領とにこやかに談笑する姿が「ほほえみ外交」として注目された。

形式的には団長は、金永南最高人民会議常任委員長(当時)だったが、
与正氏は金氏を立てることも忘れなかった。

会談では金氏を上座に着席させようとし、慎重な金氏をドギマギさせた。

当時、金与正氏の受け入れに当たった韓国政府当局者は
「与正氏は公式日程以外の時間も、絶えず周囲に気を配っていた。
話題も豊富で、相手をしらけさせない。頭の良さを感じた」と語っていた。

父親の金正日総書記が金与正氏に愛情を注いでいたのは有名な話だ。
そして金総書記は、粗暴で反抗的な兄の正恩氏にむしろ手を焼いていたという。

2010年9月の労働党代表者会で正恩氏が公式に登場してからしばらく後、
歌唱力を認められた女性が、金正日総書記の私的な席で歌を披露したことがあった。

この席には、金総書記と事実上の婚姻関係にあった金玉氏や
正恩氏らが参加したが、金総書記は与正氏とばかり談笑し、
正恩氏は端の方でつまらなそうにしていたという。

正恩氏を巡っては、女性をめぐる醜聞や酒席などでの
「自分勝手な酒で、周囲に気を配らない」といった
悪評がたびたび漏れてきたが、金与正氏にはそうした話もない。

(https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E3%82%B1%E3%82%BD%E3%83%B3%E5%8D%97%E
5%8C%97%E9%80%A3%E7%B5%A1%E4%BA%8B%E5%8B%99%E6%89%80%E7%88%86%E7%A0
%B4%E3%81%AE%E2%80%9C%E4%B8%BB%E5%BD%B9%E2%80%9D%E3%80%81%E9%87%
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93%E3%81%AE%E5%BD%B9%E5%89%B2%E3%80%8D/ar-BB15CUMM)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

このように「オフェンシブ(敵対行為)」と呼ばれていたものが
いつの間にか文字通りの平和的協調的姿勢として定義が書き換えられているのである。

これはかつて自分たちが仕組んだバッシング、それも見当違いだった主張を
隠ぺいするものだと解釈ても差し支えなかろう。

記事では金与正の変節を印象付けるために、
この「ほほえみ外交」の言葉を使っているが正直、呆れたのは言うまでもない。

与正の人物像を良くするために兄の金正恩を暗愚な人物と対比的に説明するのも
いささか強引だし、記事の末部ではいつもの通り、北朝鮮は金正恩のせいで貧窮な生活を
強いられていて、民衆の不満がたまっているというお約束の定型文が載せられている。

牧野氏の合法詐欺師ぶりはいつもの通りだが、
他も似たり寄ったりであり、2018年6月の米朝、南北対話を経てもなお、
日本メディアの北朝鮮に対する分析力や敵意は変わらなかったと言うことであろう。

それにしても、自分たちがかつて北朝鮮の融和路線に対して
悪意あるもの、真意は別にあると主張してきたことを棚に上げ、
ここ最近の北朝鮮の言動に対して強硬姿勢はやめよと説教するのは本当に痛ましい。

ちまたでは安倍晋三の退陣がほのめかされているが、
仮に安倍政権が崩壊したとしても、メディアがこの在り様では事態は何も変わらないだろう。


アメリカ、日本をホワイト国に認定せず

2020-01-26 00:13:55 | 欧米

この度、米財務省が発表した
対米外国投資委員会への届け出を免除する「ホワイト国」のリストが発表された。

簡単に言えば、安全保障上、信頼のおける国家に対しては煩雑な手続きを免除し、
より円滑な投資活動を約束するというもの。

今回は、ファイブ・アイズ該当国がリストに選ばれた。

 

 

ここで自然、気になるのはアメリカとの親密な関係を強調し、
日本外交の成功を吹聴していた日本政府や極右論者の反応である。

まさかとは思うが「ファイブ・アイズ該当国でないから」という理由で
リスト入りを果たせなかったことを正当化はするまい。

「100%一致」と銘打つほどの友好国であるならば、
 該当国でないからこそ、特別扱いを受けてしかるべきだからだ。

 

とはいうものの、正直、自信は無い。

 

極右論者の傾向として

①アメリカを絶対的に支持する

②アメリカを絶対的に支持する日本政府を絶対的に支持する

③アメリカの判断は正しいという断定を前提に発言する

というものがあるので、今回の除外に対しても
「問題ない」「それなのに騒ぐとは」「何と愚かな」
と冷笑するような気が何となくする。

 

慰安婦問題に対する韓国政府への報復処置として
ホワイト国除外を日本が行い、日韓外交に亀裂を生ませたこと、

転じて言えば、①政治的な理由で日韓経済を混乱させたこと、

そして、②対米従属を徹底したにも関わらず、ホワイト国に選定されなかったこと。

この2点に対して、いわゆる左翼と呼ばれる人々は問題提起しているが、
そもそも、アメリカに徹底的にコケにされていることを問題とは思わない連中を
茶化してもどうしようもない気がする。

逆に、日米関係の在り方を見直そうとする姿勢を嘲笑されて終わってしまうだろう。

 

最近、とみに思うのだが、日本の左翼はもう
極右論者を相手にしなくても良い気がする。

レイシストがどれだけ声高に叫んでも
国際社会の場では彼らは否定される存在なので無視しても良いと思う。

むしろ、注意を要するのは、彼らの排外主義を利用するようにして
権力を拡大している極右の政治家や実業家、知識人だろう。


政治と経済と情報。
この3つを握られると問題が生じた際にも修正が効かなくなるからだ。

そういう意味では、彼らが非難するべきは
政財界の差別主義者、彼らを支持するマスメディアであって、

Twitterやブログに跋扈する有象無象の極右論者は
端から対話相手としてみなさないほうが良いと思う。

火事が起きた際には、火元を消火するのが肝心であって、
玄関先を浮遊している火の粉を消したところでどうしようもない。それと同じことである。


大阪の高校は本当に無償化しているのか?

2019-08-13 22:21:36 | 日本政治


先日、国家公務員の月給およびボーナス支給額が
民間のそれより下回っていることが判明した。

これに対応するべく、政府は賃上げを要求。

公務員の賃上げは6年連続となったが、
上げ幅は去年よりも小さく、かつ若年層に限っての引き上げになる。






このニュースに対して
大阪維新の会に所属する佐々木りえ大阪市議会議員が
消費税増税の中、公務員の給料を上げるとはけしからんといったコメントをした。


どうも佐々木議員の頭の中では
公務員は消費税を支払わなくても良いことになっているらしい。


①公務員の報酬が民間のそれよりも低い

②格差を埋めるために賃上げを要求

③公務員の給料は高い!

意味が分からない。







全ての公務員は高給取りであり、ぜいたくをしている
という決めつけを前提に論を進めるから

実際は民間より安いという実態を認められないのではないだろうか。







そもそも、維新の会は消費税増税に反対の立場ではない。

あくまで凍結であり
その時期が来たと維新が判断した際にはゴーサインを送る立場だ。










維新の会の政策は
端的に言えば民営化だと言える。



水道民営化や私立高校への積極的支援が典型的だが、
公的機関は出資者に留まり、運営は民間に委託する。

その財源は人件費削減でねん出する。こういう理屈である。


しかし、この政策は果たして成功しているのだろうか?


本記事は大阪の高校無償化を対象に
この点を検証するものである。



大阪府の公立高校と私立高校の費用を比べてみた

上記記事は、今年(2019年)大阪で高校受験をした学生の保護者が書いたもので
同記事によると、大阪でも学費がかかることが書かれている。


例えば、入学金と振興費、学年諸費の合計は
公立高校が3万2710円であるのに対して私立は29万である。

受験料も私立が2万円であるのに対して公立は2200円。桁が違う。

教科書にかかる費用は効率が2万円であるのに対して
私立は4万円である。


ここで重要なのは、あくまで支援するのは授業料に関してのみであって、
上に述べたような別途費用は保護者が負担するという点である。

そのため、格差を埋めるという名目でありながら、
実際に恩恵を受けるのは中産層であることが指摘される。



平成28年度以降に入学した皆さんへの授業料支援制度について



肝心の授業料だが、実はこれも
免除されるのはごく一部の世帯でしかない。


上にあるように親権者(父母)の合計年収が590万、
平均で49万であった場合に限り免除となる。

総務省の調べによれば、
大阪府の35~39歳の平均年収が509万、40~44歳のそれが562万なので、
例えば父親が正社員、母親がパートタイム労働者だった場合には
無償化の対象外になるケースが少なくない
と言える。


次に20万の負担となる世帯についてだが、
この20万はあくまで授業料が58万だった場合に限っての話であり、
仮に授業料が65万だった場合には、さらに7万円の負担を強いられる。


以上から、「無償化」と表現するには
あまりにも実体と乖離しているのではないかというのが私が導き出した見解である。



府立高等学校の授業料と就学支援金について

この話題に関して見逃せないのが
府立高校の授業料は国の支援により、すでに免除されているという点である。

府立の授業料は11万8800円だが、この額は国の支援策によって
家庭がその分を支払わなくても良いようになっている。


つまり、世帯によっては私立の授業料が免除になると言っても、
依然、公立高校の学費のほうが安いのである。




生徒減で府立2高を削減 大阪府教委が生徒募集停止 30年度までに計7校閉鎖


仮に「全ての児童に教育を」と考えているのであれば、
私立高校より公立高校を支援したほうが経済的にも効率が良い。


現行の制度に加えて、教科書や制服、修学旅行や卒業アルバム等の雑費を
府が援助するだけで完全無償化は実現できる。

さらに指導力のある教員を育て、質の高い授業を提供すれば
安価で進学率の高い教育を行う都市として箔がつくだろう。


・・・と思うのだが、大阪府は上の記事で書かれているように、
公立高校に対して支援どころか切り捨てる政策を一貫して行っている。


「学生に選択の自由を与える」という名目ではあるが、
 実際には公立から私立へと児童を誘導するのが目的と言っても過言ではない。

まさに教育の民営化である。



https://czemi.benesse.ne.jp/open/nyushi/exam/27/feature/1276092_5206.html

ベネッセ・コーポレーションのページを読んでみても、
大阪の授業料免除制度は、受験産業にとって都合の良い政策であるように感じる。

本来、公立高校の教育の質を高め、教科書代や入学金を援助、埋め合わせたほうが
府にとっても、家庭にとっても、比較的わずかな財源で済ませられる
はずなのに、
それを一切やろうとせずに、私立高校にむけて中途半端な援助を行う。

時には府立高校の廃校までしてしまう。

これは、私立大学や学習塾・通信教育を生業とする民間企業に
利益を誘導するものではないか
というのが私の見解である。


なお、補足として以下のページも紹介しておく。

維新の授業料無償化はネオリベ施策。私学値上げ→固定化の構図




維新の会 「身を切る改革」で教育「無償化」は事実か?


身を切る改革によって私立高校の無償化が実現したと主張する
維新の会のメンバー、その支持者の言葉も現実を反映したものではない。

私立高校の「教育無償化」(実際は授業料免除)制度の予算は
2018年度では192億円だが、議員報酬の切り下げで生まれた財源は7億円に満たない。


この約190億円がコストカットで得たものかどうかは議論の余地が大いにある。



大阪府、平成28年度以降も私学無償化継続へ 多子世帯を優遇 年収上限は引き下げ


なお、
過去の記事を読めば、大阪の授業料免除制度は
年を経るごとに劣化していることがわかる。

身を切る改革によって実現と銘打っても
実際には、徐々に首が回らなくなっているのである。



この状況を打破するには、
先に述べたように民間に教育を輸出するのではなく、
公教育の充実へと舵を切ることが求められるだろう。



------------------------------------------------------------------

この問題を「参院選FactCheck」として最初に指摘した際には、
所得制限や多子家庭への補助を無償化と呼ぶのは適切ではないとの指摘も多く寄せられた。

例えば、大阪市を完全無償化と呼んでよいかも議論が分かれる。

ファクトチェックの記事では松井代表の発言は「不正確」と指摘したが、
「詐欺ではないか」との意見も寄せられている。

日本維新の会には、そうして点も踏まえて丁寧な説明を求めたい。

一連の記事で日本維新の会に質問を送って回答を求めたが回答は得られていない。

https://news.yahoo.co.jp/byline/tateiwayoichiro/20190720-00134902/

------------------------------------------------------------------


以上、大阪の高校無償化制度について検討を加えてきたが

結論としては

①公立高校無償化は国の支援によるもの。
②私立高校無償化は一部の世帯に限定され、かつ国の支援を補う形になっている。

③依然、公立高校のほうがはるかに学費が安い。
④にも関わらず、府は公立高校の支援を怠ってきた。

④財源は議員報酬の削減によってねん出したとも言い難く
⑤年々、サービスの内容が劣化している。

⑥この状況を打破するには公教育への支援を増やすことが求められる。

の6点が挙げられるだろう。

上に引用したように、一部の世帯に限定して実施するものを
「無償化」と呼んでよいかどうかは大いに疑問である。


キューバなどの社会主義国では授業だけでなく、
教材も含めて全世帯に対して無償で提供されていることを踏まえれば、
これは「無償」ではなく「免除」と呼ぶべきものであろう。


海外にも奨学金制度や授業料免除制度があるが、
これを差して「無償化」とは呼ばない。


ましてや、あたかも全世帯が無償で教育を受けられるかのように
吹聴されているのだから、このような表現は大いに訂正されるべきだ。





公立高校の無償化制度(あくまで授業料に関してのみだが)は
国によるものなので、維新の会の手柄ではないのだが、
なぜか、この団扇では維新の功績として数えられている。


維新の会の最大の問題点は
教育や外交に対する姿勢以前に、
この平然と嘘をつく態度にあるのではないだろうか。



【ニュース・10/13追記】
「大阪は教育費が実質無償になっている(松井大阪府知事)」って本当???




維新代表が「幼稚園、保育園の無償化が実施されている」とした大阪で、
実際は全市町村の20%未満



「安倍礼賛者」にされた左派(⁉)リベラルは共闘が苦手(?)

2019-07-09 22:54:54 | アベノミクス批判
教養のある人間が政府の言い分を支持した時、民衆がそれを否定するのは非常に困難である
(ノーム・チョムスキー)



2015年6月10日、当サイトは
立命館大学の松尾匡教授のインタビュー記事について


①正社員の雇用者数が減少する一方で、非正規の雇用者数が増加している
②共産党は何も高齢者の支持を狙ってアベノミクスに反対しているわけではない
③金融緩和は雇用を言うほど増やさなかった

以上の3点の批判を行った。

これに対して松尾氏は自身のサイトで


①私が専門用語を誤用している
②だからこの記事を信用するな

というレスポンスを返してきた。




私が述べた3点の主張を反証せず、
一点のミスを根拠に全否定するという論法は

写真の誤用を理由に
南京事件を否定する歴史修正主義者のそれと通じるものがある。


雑考1(雇用の量)



その後、彼のコメントを読んだ人間が殺到、
いわゆる炎上状態になった。これは意図的に狙ったものだと私は思う。


少なくとも松尾の信奉者がどういう人間性を持っているかははっきりした気がする。

(なお、松尾はコメントが書けるサイトでは自分で直接、噛みついている)



雑考2(労働の質


すぐに反論することも出来たが
基本的に、炎上をしかける人間は対話が出来ないので
その場では、用語の理解不足を認め、一旦、謝罪、その数日後、反証記事をアップロードした。





海外メディア、アベノミクスの破綻を報じる


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「マスコミなどでは、「景気回復の実感はない」
と決まり文句のように言っていますけど、

そんなふうにおっしゃる人はたいてい、
もともと安定して、比較的まともな賃金の職の人なんですよね。

過去20年の「改革」不況で最も苦しんできた層の人たちの間では、
明らかに事態が動いています。
 

実感はない派の人たちは景気回復がコケて
安倍さんに失脚してほしいあまり、現実から
目をそむけているのかもしれませんが、

今後、景気回復を否定するようなことを言えば言うほど、
私たちが最も依拠すべきこうした層の人たちを、
かえって安倍さんの側に追いやる結果になるでしょう。」
 (http://matsuo-tadasu.ptu.jp/essay__140503.html)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

松尾を語る上で見逃せないのは
彼がアベノミクスの熱烈な信者であったことだ。

彼の主張を簡潔にまとめると

①アベノミクスのおかげで正規雇用が増えた
②仮に非正規だとしても失業よりはマシだ
③景気の回復を実感する
④量的緩和を否定することは低所得者の反発を生む

の4点になる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そもそも、雇用が増えているのが非正社員だったとしても、
今まで職がなかった人が職にありついたならば、
「ありがたい、この職をまた逃したくない」という
気持ちが真っ先にくるのは当然ですから、

言葉の使い方を慎重にしないと、
「非正規が増えているのはいけません」的な
言い方だけしていたのでは
こうした層の人たちから反発を買う恐れがあります。


気がついたら、こうした層の人々がこぞって
自民党の支持者になって日の丸を振っていることになりかねません。

それに、「総雇用者所得」で見ると増えているとする
安倍さんの言い訳もあながち無視はできません。

消費需要につながるのは、
一人当たり賃金ではなくて、総雇用者所得だからです。

http://matsuo-tadasu.ptu.jp/essay__141215.html

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

最悪の状況を引き出してそれよりもマシと語る論法は

悪夢のようだった民主党政権よりはマシだと語る

安倍晋三のそれと同じものである。



松尾本人は規制緩和には反対と話すが、

規制緩和の結果、非正規労働者が増え、
低所得者が増えて生活水準が低下することが問題なのであり、

端的に言えば矛盾している。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「アベノミクス」は日本を損なう

~中略~

「アベノミクス」は何も新しいものではなく、金融緩和とその関連政策の総称に過ぎない。

経済の遅れた国では、紙幣の無闇な発行は、
壊滅的な悪性のインフレを引き起こす可能性が高い。


経済の発達した国では、政府が紙幣を増刷しても
財産を作り出したことにはならなず、
資源の間違った配置をもたらし、内部の危機を引き起こす。


日本は貨幣の潤沢な先進国であり、貨幣増刷によって引き起こされる
物価上昇の効果は明らかでなく、やはり厳しい問題が生まれている。

「アベノミクス」は物価の下落を恐れ、消費を奨励しており、
 民間の貯蓄は減り、政府の負債率は世界一に達している。


インフレで利益を得ているのは大企業である。

大企業は市場に障壁を形成し、小さい企業のチャンスを減らしている。

日本企業には年功序列の習慣があり、年齢の高い社員が高い地位を占め、
若い社員はなかなか昇進できず、会社の人材コストは高い。

これは労働法の保護によるものであると同時に、
インフレ政策の擁護とも関係がある。

日本人は極度に勤勉な労働なしには、
生活水準の低下を防ぐことができないのである。


だが日本の物価上昇は明らかでなく、
政府のデフレへの恐れを呼び、量的緩和の推進を促している。

生活水準がなかなか上がらないのもインフレによる悪影響である。


政府による刺激を過度に信じ、紙幣増刷によって
成長を促進できると考えたことは、日本の過去20年の最大の間違いだった。

市場化改革が大々的に進められた小泉時代にあっても、この考えは転換されなかった。

2001年に小泉純一郎が首相に就任すると、民営化と自由化の改革が始められ、
中でも難題となっていた郵政改革の実現が旗印とされた。

この改革において、
小泉首相は自らの政治生命を賭けることも厭わず、郵政系統の民営化を推進した。


通貨政策の分野では、
小泉首相とそのブレインは掛け値なしの「インフレ派」であり、
日銀に通貨政策の緩和を繰り返し求め、「デフレ」と対決しようとした。


でたらめな通貨政策は小泉改革の寿命を縮め、
いくつかの民営化改革を行ったほかは、日本に持続的な活力を与えることはできなかった。


~中略~

経済発展に対するインフレのマイナス影響は、
短期的に大きく現れるものがあるだけでなく、長期的にゆっくりと出てくるものもある。

その道理は多くの経済学者の古くからの関心となってきた。
ハイエクはかつて、インフレは、政府が紙幣を増刷し過ぎた時だけに起こるもので、
それ以外にはあり得ないと指摘している。

インフレの危害は、オーストリア学派の経済学者によって
とうの昔に研究されていたのである。

それにもかかわらず今日の日本政府が(そのほかの多くの国の政府も)
デフレへの対決姿勢を崩さず、インフレを頑強に追求しているのには、ため息を禁じ得ない。

http://j.people.com.cn/n/2015/0915/c94476-8950183-2.html
(中国のニュースサイト『人民網』から引用)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2015年9月の時点で、他国から見れば
経済政策の失敗は明確なものだったことが伺える。


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日本政府がよりどころとする「アベノミクス」が登場してから3年以上が経ったが、
徐々に効果が薄れているだけでなく、企業界から上がる不評の声はますます大きくなり、
世論の肯定感は低下こそすれ上昇することはない。


復興の不振ぶりをみても、
たびたび先送りされるインフレ目標の達成時期をみても、
政策上の矛盾に満ちたアベノミクスが日本経済の「病状」に対して
ほとんど治療効果をもたないだけでなく、効果が予想と
大きく隔たっていることがありありとうかがえる。新華社が伝えた。



▽矛盾1:企業の分化とアンバランスが加速


アベノミクスの核心の1つは、金融緩和政策によって円高を引き起こし、
ひいては輸出を促進し株式市場を振興させ、最終的には企業業績を改善し、
経済全体を引き上げて成長させるという目的を達成することにある。


だが現実はそうはいかず、
こうした考え方は理想に過ぎ、幻想だとさえ言える。

年初以来の円高の加速、東京証券取引所の暴落といった
「思いがけない出来事」の衝撃は言うまでもない。


2012年から15年の期間でみたとしても、
アベノミクスの恩恵は日本の多くの企業には行き渡っておらず、
かえって中小企業に大きな苦しみを与えている。

円安や株価上昇で大きな恩恵を受けた大手輸出企業に比べ、
日本経済の根幹を支える中小企業は円安により
輸入する原材料コストが高騰し、苦しみにあえいでいる。



日本の帝国データバンクがまとめたデータによれば、
昨年12月末現在、卸売産業の原材料コストが前年同期比52.9%増加し、
衣類・繊維製造業のコストはさらに増加して同71.4%の増加となった。

このような非常に苦しい経営環境の中にあって、
中小企業の倒産件数が産業全体に占める割合が上昇を続けている。

15年は全倒産件数8517件のうち、
円安による倒産が352件に上り、2年続けて増加したという。


16年3月に日本の企業界がアベノミクスに与えた評価は、
ギリギリ合格の60.3点で、前年同期より3.9点低かった。


▽矛盾2:企業の投資の伸びに力無し

アベノミクスでは、金融緩和政策を通じて企業の利益を増加させ、
企業の投資拡大を喚起し、ひいては経済の好循環を実現するという構想を描く。


だが構想は現実によって
「砂上の楼閣」に過ぎないことが証明された。


13年にアベノミクスが登場すると、
日本銀行(中央銀行)は市場から驚きの声をもって
迎えられた金融政策とマネタリーベース拡大措置を次々に打ち出した。

これを土台として、今年はマイナス金利政策をうち出し、
預金金利をマイナス0.1%に引き下げた。

こうした措置を打ち出した主な狙いは、
企業向けに良好な金融政策環境を創出し、貸出の規模を拡大し、
生産設備や向上などの固定資産への投資を増やし、
企業の経営範囲を一層拡大し、より多くの利益を達成することにあった。


だが実際には、15年第4四半期(10-12月)に
日本の大手企業の投資は限りなくゼロ成長に近づいた。

それだけでなく、同期の大企業の短期貸出は同2.5%減少し、
長期貸出はわずか同3.6%増加にとどまった。

これと対照的に、同期の大手企業の手元にある現金は
同3.7%増加し、有価証券も同4%増加した。


次のようなデータもある。
10年前に比べ、15年度(15年4月~16年3月)に
日本の大手企業の手元の現金は前年度比32.4%増加したが、
固定資産投資額は同16.3%増加で、
アベノミクス実施前の12年度に比べて4.3%の増加にとどまった。

これはつまり、日本の大手企業の利益は
アベノミクスという護送船団に守られて増加したが、
企業は現金を使いたがらず、投資にうかつに手を出さなくなった、
ということを意味する。



▽矛盾3:経済復興の実感が低下

日本の街頭で取材したところ、
中産階級の女性が日本経済に対する悲観的な見方を語ってくれた。

その女性によると、日本社会は少子高齢化がますます深刻になり、
年金を納める人が減り、将来、年金がもらえるかどうかわからなくなっている。

退職後の老後の暮らしが心配で、
できるだけ貯金してお金を使わないようにしているという。


ニッセイ基礎研究所社会研究部の土堤内昭雄主任研究員は、
「現在の日本社会の構造をみると、アベノミクスは中産階級にとって脅威になる。
こうした状態を炭坑地域にたとえてみると、
前方には常にリスクが横たわり、思いがけない出来事が発生すれば、
あっという間に無一物になるような状態だといえる」と話す。

日本社会の構造的な問題だけではない。

アベノミクスの企業業績の向上をよりどころとして、
賃金を増やし、国内消費を拡大させるという夢は
徐々に泡と消えようとしている。

今年の春季労使交渉(春闘)で、
日本企業はさかんに賃金上昇を口にする日本政府に一撃を食らわせた。

自動車メーカーのトヨタは
基本給を月額1500円(約90元)引き上げることに同意しただけだった。

自動車産業だけでなく、電子メーカーも誠意ある回答を行わず、
パナソニックも基本給の1500円引き上げに同意するにとどまった。

業績不振のシャープなどは定期的な賃金引き上げを行うと決定しただけだった。

共同通信社が3月に行った調査では、回答者の81.4%が
「アベノミクスが経済復興を促進しているという実感がない」と答え、
64.6%が「日本政府が17年4月に消費税率を再び10%に引き上げるのに明確に反対する」とした。


それだけではない。

日本国民はさきにヤフージャパンのニュースサイトが
行った世論調査で、「アベノミクスは有名無実」との評価を下している。

中小企業と中産階級の犠牲を代償として
支払うアベノミクスには数々の破綻がある。
重要なエンジンは期待したような効果を上げず、
マイナス影響ばかりが次々現れる。


今年の金融環境と外部環境の不振の中、
日本の大手企業は業績予想を次々に引き下げ、
日本経済の前途をさらに暗澹とさせている。(編集KS)

「人民網日本語版」2016年5月31日
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大体、2016年の時点で
アベノミクスの総括は完了したと言えよう。



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アベノミクスを否定すると
野党の支持率が減るかのように語る人間もいるが、
現実では、アベノミクスに効果があるのではないかという期待が支持率を支えている。

(特に株高はそれを如実に示したものだろう)


とするならば、「アベノミクスは正しいのだ、効果があるのだ」と喧伝した
一部のメディアや経済学者の言葉こそ、
安倍政権を下から支えてきたとは言えないだろうか?


少なくとも、私からすれば
自分の暮らしを良くしてくれるのであれば、
自民党だろうと民主党だろうと投票するし、

実際、2009年の衆院選で民主党が自民党に大勝したのは、
景気回復への期待が込められていたからだ。


経済政策が正しいのであれば、
好き好んで共産党や社民党に投票する人間がどこにいるだろう?


あれほど露骨な軍拡を目論みながら支持率は4割を下回ろうとしない。

それは、少なくともアベノミクスが効いているという
信仰があるからではないだろうか?

(ほとんどの人間は、これ以上の経済が悪化しないことを望んでいるのである)


松尾教授が今年の6月に開いた講演会のパンフレットには
「「アベノミクス破綻」に最後の希望をつなぐ人を見るたびに、暗澹たる気持ちがいたします。
 2016/7衆参同時選挙、自民単独2/3確保し、改憲に王手をかけるために
 安倍は緻密な計画と信念を持ってやっており、2016/7頃に
 景気が良くなるように着実に手を打っています。
」と予言している。

https://blog.goo.ne.jp/minamihikaru1853/e/cbad3fa50f777b271af360287af35a0f
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2015年6月の時点で松尾は
「安倍は緻密な計画と信念を持ってやっており、2016/7頃に
 景気が良くなるように着実に手を打っています」と主張していた。





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一方、新自由主義政策の“ご本尊”だった自民党は、
第2次安倍政権発足後から「アベノミクス」などという言葉の目くらましを使って
かたちだけの方針転換を演出し、景気刺激を展開した。これが功を奏して民衆の支持を集めた。


しかも、自民党の場合は本来、批判勢力となるはずの“極右”を取り込んでしまっているため、
「右」からの異議申し立てが起きない構造になっている。

さらに、欧米と違って「左」からの批判の声もほとんど聞かれない。



だが、アベノミクスは見かけだけの「反緊縮」だから、化けの皮が剥がれるのも早かった。
政権側は「アベノミクスは道半ば」などと詭弁を弄して失政を取り繕った。


一方、有権者の側もアベノミクスの有効性に疑問を覚えつつも他に有効な選択肢がないから、
ダラダラと支持を続けている。これが、現在の「1強」の正体なのだ。

https://lite-ra.com/2017/01/post-2830.html
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これはニュースサイト『リテラ』の
松尾絶賛記事から引用したものだが、

どういうわけだか松尾が
他の誰よりもアベノミクスの成功を確信していたことには一切、触れていない。




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教養のある人間が政府の言い分を支持した時、
民衆がそれを否定するのは非常に困難である



アベノミクスは正しいのだ、効果があるのだと喧伝した
一部のメディアや経済学者の言葉こそ、
安倍政権を下から支えてきたとは言えないだろうか?


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①アベノミクスを神聖視し
②アベノミクスを批判する市民のサイトに攻撃を仕掛け
③失敗とわかりきや、それまでの行為を忘却する

こういう態度を取る人物が跋扈することは
社会にとって害悪だとしか言いようがない



少なくとも彼と意見が違うと言うだけで
被害を受けた人間としては松尾は弱者の味方には見えない。


自身の過去の言動の反省をせず、
リテラや岩波のようなメディアを抱き込み、
ただひたすらに左派を攻撃する。


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首脳会談の最中において、
北朝鮮は経済、国民の生活に支障をきたす項目に限り
制裁を解除することを引き換えに核物質生産施設の破壊を提案した。


今回、アメリカは北朝鮮の提案をける形で交渉を切ったが、
どのみち、条件に従わざるを得ないだろう。


北朝鮮にとっては、また開発を再開すればいいだけの話であり、
それを行う頃には今よりも国力を上げている。


シリアやベネズエラに対する圧迫的な政策を思えば、
皮肉な話だが、北朝鮮の核開発は結果的には功を奏したと言える。


メディアは相変わらず北朝鮮を悪魔化した報道を流してきたが
その間に北朝鮮は着実に露中米韓と関係を修復させてきた。

他方で去年から北朝鮮は日本を糾弾する主張を
以前より多く行うようになっている。


北朝鮮の孤立化を目指した結果、日本の方が孤立していた
などという事態はありえなくもないし、現に去年は蚊帳の外にされたし、今もそうである。

アメリカに歩調をあわせているつもりで
見当はずれの行動を取る前に、もう少し冷静に状況を分析するべきではないだろうか?


北朝鮮に経済制裁は効くのか

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主流左翼に異見を唱えている点では私も同類だが、
それは左派が北朝鮮を悪魔化し、あたかも理解不能の国家であるかのように
喧伝するのが、結果的に判断を誤り、国益を損なうことにつながっているからである。


上の記事で私は、朝鮮半島の問題で

①北朝鮮に対して経済制裁は通用しないこと、

②主導権が握っているのはアメリカではなく北朝鮮であること、

②アメリカが反発するなら核開発の再開を匂わせれば良いだけのこと、

③どのみち、北朝鮮の望むように対話をせざるを得ないこと、

④そのことに気づかない日本政府や日本メディアは
 アメリカに歩調を合わせているつもりで見当はずれの行動を取る恐れがあること、

を指摘したが、大阪サミットで日本政府が北朝鮮への
けん制を世界に呼びかけた直後に米朝会談が行われたのは
周知の事実である。


この間、日本のメディアは
やれ「交渉が決裂した」、「関係が悪化した」と騒いでいたが
実際には水面下で更なる雪解けに向けてのシナリオが書かれていたのである。


なぜ私の予測が的中して、松尾の主張は外れたのか?




それは私が朝鮮中央通信のような
左派にプロパガンダと評価される資料も軽視せず、
可能な限り拾い上げて結論を導いたのに対して


松尾は「反緊縮で景気は回復する」という結論を導くために
先述した人民網の記事のような
自分にとって都合の悪い意見を無視して話を作り上げたからではないだろうか?


順序が逆転しているのである。

だから、こんな被害者面をすることも出来る(上の画像を参照)。

松尾が批判を受けているのは彼が私のような一市民が書いている
小さなブログにまで目を光らせて意見を修正するよう攻撃していたからである。


その他にも、過去の言動に責任を取らないこと、
そのくせ、メディアを手懐けて自分を正当化すること、

何よりも彼の発言が右翼と大差ないこと、

要するに彼の人間性が信じられなくて
非難されていることが原因であることに気づいてもらいたいものである。



本来なら、こんな小物を相手にあーだこーだ言いたくなかったのだが
お友達の朝日新聞に弁護させる記事を書かせたのを見て心底呆れてしまい、

彼の被害を受けた人間として
私は絶対に忘れないし許さないぞという気持ちを込めて本記事を書いたつもりである。


自分たちの態度が悪い癖に被害者側に責任をなすりつける点も
慰安婦問題における日本政府を思いだして本当に嫌になる。

はっきり言うが、左派が連帯できないのは
左派を自称しながらその実、右派と大差ない意見を述べる連中が
攻撃を執拗に仕掛けてくるからである。

この男がアベノミクスを礼賛する一方で
批判派を執拗に攻撃していた事実は変わらない。

安倍を礼賛していると誤解されていると主張しているが、
少なくとも私はそんな解釈をしたことはない。

私は、アベノミクスを支持するために
自分と意を異にする人間を攻撃し、しかもそれを無かったことにする
一連の行為はネトウヨ以上に性質が悪いと怒っているのである。


本当に彼が連帯を目指したいなら
まず、自分の過去の言動に対する猛省から始めるべきだろう。

北朝鮮に経済制裁は効くのか

2019-03-05 00:12:03 | 北朝鮮
先日、ベトナムにて開かれた米朝首脳会談について
マスメディアは交渉が「決裂した」と報じている。

この点についての反論は後日述べるとして、
今回は北朝鮮が対話路線に変更したのは経済制裁が効いたからだという説を
論ばくしようと思う。


①北朝鮮は何を主張していたのか

まず、
北朝鮮は一貫して
米韓合同軍事演習の中止と引き換えの核実験停止
を主張してきた

ということを確認したい。


日米韓の北朝鮮ミサイル実験に対する茶番

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米国と韓国が軍事演習を停止すれば北朝鮮は核実験を停止する。
北朝鮮外相イ・スヨン氏が述べた。AP通信が土曜報じた。


「朝鮮半島での核軍事演習を停止してほしい。
 そうすれば私たちも核実験を停止する」という。

国には抑止手段としての核兵器を持つ権利があり、それが制裁に左右されることはない、
と大臣は強調。核兵器の開発は米国に促されたことだ、と改めて述べた。

これは西側メディアが北朝鮮の閣僚に行った最初のインタビューであるという。


http://jp.sputniknews.com/world/20160424/2017820.html


何のことはない。米韓合同軍事演習を中止してくれれば、
核実験を停止すると北朝鮮のほうから提案されていたのである。一週間も前から。

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この記事で私は
「北朝鮮の条件自体は10年以上前から何度も提示されているものだ。
 その都度、韓国とアメリカは北朝鮮の無条件の非核化を要求し、拒絶している。


 要するに、非核化に向けての協議は今すぐ始められるのに、
 それを毎回、「信用ならない」と言って、話すら聞こうとせず、
 軍事威嚇と経済制裁を続けているのはどこの国だということだ。」

と述べている。


なお、米韓合同軍事演習については
私が過去に書いた以下の記事を紹介したい。

米韓合同軍事演習とは何か1

北朝鮮はなぜ核を持とうとするのか



②2018年~2019年初頭に何が起きたのか?


以上の予備知識を得た上で、去年からの動向を追ってみよう。
ParsTodayの記事を列挙する。

朝鮮半島で米韓合同軍事演習

アメリカが北朝鮮に譲歩

アメリカが、韓国との合同軍事演習を当面中止

米韓合同軍事演習「フリーダム・ガーディアン」が中止


簡潔に述べれば

①北朝鮮からの苦言に応える形で

②米韓合同軍事演習が停止され

③同時に北朝鮮も核開発を中断している


のだが、これが北朝鮮の要求をほぼ丸呑みしたものとなっている
ことは、これまでに紹介した記事をもとに読めば明白だろう。


ここで考えてほしいのが

経済制裁が真に有効ならば
なぜアメリカ側の要求である核の完全撤廃がなされず、
代わりに北朝鮮の条件に従う形で軍事演習が停止されるのだろう


という問いである。


加えて、今回の対談直後に以下のニュースが流れたことも見逃せない。


米韓、大規模合同軍事演習を中止の意向

仮に米韓の関係が悪化したのであれば、北朝鮮の長年の悲願である
「キー・リゾルブ」、「フォール・イーグル」合同軍事演習の中止を
なぜ敢行しようとするのかについて解が得られない。


ましてや経済制裁が効いているのであれば、
わざわざ軍事的な威圧を解除する意味もない。


北朝鮮の筋書き通りに動く必要は全くない。



③今後の動きについて

本記事では、要するにアメリカが北朝鮮の要求を
ほぼ受け入れる形で交渉を行って「いる」こと

それこそが経済制裁が効かない何よりの証左だと主張してきた。


ちなみに、制裁下で北朝鮮がどのように経済を発展させてきたかについては
以下の過去記事が参考になるはずだ。


北朝鮮問題で池上彰氏が伝えないこと



結局のところ、アメリカが譲歩しない限り、北朝鮮の核が撤廃されることはない。

逆に軍事演習を停止し、平和条約を結び、
かつ北朝鮮をアメリカと同格の相手だとみなして交渉を続ければ
簡単に問題は解決される。


以上のことを私は2018年以前から何度も主張してきたつもりだが、
実際にそのように事態が動いているので、若干、後悔もしている。

つまり、もっと出版社やジャーナリストに売り込めば
2018年以降の雪解けを的中させた人物として本の一冊でも書けた

・・・はずがない。この1年のメディアの不変ぶりを観察する限りにおいては。

首脳会談の最中において、
北朝鮮は経済、国民の生活に支障をきたす項目に限り
制裁を解除することを引き換えに核物質生産施設の破壊を提案した。



北朝鮮、核・ミサイル実験中止に関する合意に署名する用意がある


今回、アメリカは北朝鮮の提案をける形で交渉を切ったが、
どのみち、条件に従わざるを得ないだろう。


北朝鮮にとっては、また開発を再開すればいいだけの話であり、
それを行う頃には今よりも国力を上げている。


シリアやベネズエラに対する圧迫的な政策を思えば、
皮肉な話だが、北朝鮮の核開発は結果的には功を奏したと言える。


メディアは相変わらず北朝鮮を悪魔化した報道を流してきたが
その間に北朝鮮は着実に露中米韓と関係を修復させてきた。

他方で去年から北朝鮮は日本を糾弾する主張を
以前より多く行うようになっている。


北朝鮮の孤立化を目指した結果、日本の方が孤立していた
などという事態はありえなくもないし、現に去年は蚊帳の外にされたし、今もそうである。

アメリカに歩調をあわせているつもりで
見当はずれの行動を取る前に、もう少し冷静に状況を分析するべきではないだろうか?


池上彰氏のぶっとび解説に仰天

2019-02-23 23:09:57 | マスコミ批判

前々から筆者は、池上彰氏のニュース解説番組は

①肝心な事実を伏せて大雑把に説明をするため、

②中立を謳いながら、結果的には政府にとって
 まこと都合の良い理解のされかたを誘導しており

③この番組のメインの視聴者であるだろう
 時事問題に関心のある親子から判断力を奪っている


ということを断続的に指摘してきたと思う。


今日(2月23日土曜)の番組では
統計不正問題が起きた原因は「統計に携わる職員数が激減したから」だという
ぶっとび解説がされていて、池上もとうとうここまで来たかと仰天してしまった。


統計不正で新たに「官邸関係者」明記の圧力メールが発覚!

「いったん戻れ」の理由はこれだったのか


(https://lite-ra.com/2019/02/post-4563.html)

おそらく、同番組は録画のものだと思われるが政府の関与が明白になった今、これを視聴すると
本当に、つくづく、骨の髄まで政権べったりのトークをするものだと驚き呆れてしまう。



これに限らず、番組では月100時間未満の残業を認めた
(過労死と認定されるラインは80~100時間が一般的)働き方改革を

「時間外労働に規制をかけた」法案として紹介していたし、


派遣業規制緩和についても
人件費を削減するためといった大雑把な解説がされており、

当時緩和を誘導していた竹中平蔵氏が
その後、人材派遣企業の会長に就任したのが典型的な例だが、

この改革が一部の人間や企業が利益を貪るために
成り立たせたものだという肝心な点については触れようともしていなかった。


このような政府(歴代政権)の責任を問わない時事解説は
結果的には「自民党にまかせれば安心」という神話を信じさせる
遠因になってはいないだろうか
・・・と私には思えてならない。


池上氏は働き方改革が可決される直前にも
裁量労働制を取り上げ、一部、すでに実施済みの企業を取材し、
前よりも自由に帰宅できるようになったというレポートを流していた

捏造の次はデータ隠し!
厚労省が「裁量労働制のほうが労働時間が長くなる」という“不都合なデータ”を隠蔽


(https://lite-ra.com/2018/02/post-3819_2.html)

これに関しても、後々、
実は裁量労働制のデータも恣意的に作られたものであり、
実際には逆に社員の負担が増していたことが発覚した。


要するに、池上氏の言い分の逆が正解になっている。

普通、ジャーナリストというものは
政府の言い分が正しいか否かをチェックして、
間違っていた場合はそれを正すものだが、どうも氏の場合、

政府の言い分を追認するような映像を流すのが
ジャーナリズムのあるべき姿だと勘違いしているらしい。

正直、半年以上放置していたブログの
久々の記事をこの御仁に関する内容にするのは嫌であったが、

あからさまなヘイト番組よりも
このような良心的であるように虚飾した番組のほうが
はるかに恐ろしいと感じたので、ここであえてその間違いを指摘するに至った。


去年、5月に雪解けが本格的に開始され、
緊張を含みながらも、お互いどこまで譲歩できるかを
朝・米・韓が話し合うようになったが、いまだに日本の北朝鮮報道は
どこまでも爆撃する側からの視点で語られており、正確なものだとは思えない。

そういう視点は、本来、そのような意見に対抗するべき
共産党をはじめとした左翼も共有しており、

そのような視点からシリアやベネズエラ、イエメンの惨状まで語られている。

こうした似非平和主義こそが
結果的に国際情勢を多角的に見る姿勢を放棄させる原因であり、

その独善的な態度は極右論者のそれと大差ない。


・・・ということは常々感じていたのだが、
それを指摘することから半年以上、放棄していた。

理由は多々あるが、まずは
トラックバックを送信する機能をGooブログが外してしまったこと、
次にスマホに対応したレイアウトを作成するのが困難であること、
最後に個人的に仕事で多忙だったということが挙げられる。

池上氏のように仕事=ジャーナリストだったら
毎日でも記事をアップするのだが、それもままならなかった。


とはいえ、ベネズエラならいざ知らず、
北朝鮮の情勢について、当サイトのような意見を吐くところは
本当に稀有(というか見たことがない。あるいはすでに閉鎖している)なので
多分に読みづらいだろうが、これからも少しずつ記事を更新していこうと思う。