時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

日本の上映の自由について

2015-01-31 23:57:33 | マスコミ批判
「あなたはシャルリーか?」

表現の自由を盾にレイシズムを正当化してはいないか?
言論の自由を掲げながら、自国の弾圧を看過してはいないか?

あなたは差別者と被差別者、どちらに味方するのか?

このような意味を込め、私は上のフレーズを使っている。


さて、先日、サウジアラビアの建国を批判的に描く映画「砂の王」が
なぜか無視される一方で、反イスラム映画として批判を受けている
「アメリカン・スナイパー」が映画不況の今、わざわざ公開することを述べた。


これに関連して、日本ではある映画が公開禁止になっていることを指摘しよう。


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アンジェリーナ・ジョリー監督の映画「アンブロークン」の日本公開が禁止




アンジェリーナ・ジョリー監督による、
旧日本軍の捕虜となった米国人を描いた映画「アンブロークン」の日本での公開が禁止されました。


この映画は、アメリカで昨年12月25日から公開され、
4730万ドルの興行収入を挙げていますが、日本では公開が見送りとなる見込みです。


アメリカの大手映画会社・ユニバーサルピクチャーズが制作した、
この映画の日本公開は、日本の配給会社・東宝東和が請け負うことになっていましたが、
東宝東和は今回の日本公開中止の理由については発表していません。


インターネットによる日本の独立系右翼は、
様々なブログやサイト上で、大々的にこの映画への反対を示しています。



この映画は、第二次世界大戦中に日本軍の捕虜となり虐待を受けた元五輪選手で、
アメリカ軍のパイロットだった、ルイス・ザンペリーニ氏の生涯を描いた映画です。


外国の配給元企業はおそらく、日本における映画館での
この映画の公開権や家庭用映画としての販売権を買い取ることになると思われますが、
これまでに日本国内でこの映画の公開に名乗りを上げた企業はありません。


これ以前にも、複数の映画が日本の右翼の怒りを煽り、
日本での公開に際して問題に直面しています。



例えば、2009年に公開されたアメリカのドキュメンタリー映画
「The Cove」(ザ・コーヴ、入り江の意)は、
和歌山県で行われているイルカの追い込み漁について描いていますが、
これは日本の右翼の大規模な抗議を招きました。



日本の映画作家の想田和弘氏も、
『上映禁止が懸念されるドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」を論じる』
という討論会を行っており、日本国民から批判され、
左翼、韓国と中国の諜報員として非難されています。

こうした過激な反応により、
日本では映画産業における自己検閲という現象が生じています。


http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/
51390-%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%AA
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「ザ・コーヴ」について一言、付け加えるならば、
この映画のDVD盤には捕鯨を擁護する東海大の教授の「解説」が特典として付いている。


これは、アンネの日記の巻末にホロコースト否定説が添えられているようなもので、
このような「両論併記」がない限り、日本では販売すら危ういことを物語っている。




このような露骨な社会的抑圧に対して怒りを露わにする現象が日本では見られない。

一部の左翼が抗議しているだけで、むしろコーヴに関して言えば、
このような言論抑圧をどのメディアも文化を盾に推し進めていた。



吉田松陰の妹が主役の低視聴率大河ドラマや
特攻隊を美化して描く極右作家の小説が映画化・ドラマ化する今、
その反対の立場で描く映画は、徹底的に阻害されているのが今の映画界だ。


このような抑圧は国家ではなく、社会の手によって、
誰かに強制されるのではなく、各人が空気を読み自粛することによって成り立っている。


では、この空気を作り上げたのは誰なのか?

もちろん、NHK、朝日、文春、新潮などのメディアの言論と、
それを支持し拡散する大衆によって築かれたものである。


そこで、改めて冒頭の質問を反芻することになる。

「あなたはシャルリーか?」

『アメリカン・スナイパー』と『砂の王』

2015-01-31 00:37:40 | リビア・ウクライナ・南米・中東
反イスラム映画『アメリカン・スナイパー』が来月の21日に日本で上映される。

アカデミー賞最有力!『アメリカン・スナイパー』がカッコよすぎて全米が泣いた
(http://news.aol.jp/2015/01/28/americansniper/)


アメリカ・アラブ反差別委員会の報告によると、
この映画が一般公開されてから同委員会やムスリムへの脅迫が3倍になった。



同委員会はクリント・イーストウッドらに書簡を送り、異議を申し立てている。


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ADC・アラブ系アメリカ人反差別委員会が、アメリカで、
新たに反イスラム映画が制作されたことを非難しました。


ADCの委員長は、プレスTVのインタビューで、
ハリウッドはこのような映画の制作によって収益を手にしているとし、

「アメリカの映画産業は、このような映画の制作により、
 イスラム教徒を悪者にしようとしている」と述べました。


同委員長は、クリント・イーストウッド監督の最新作
「アメリカン・スナイパー」の公開に懸念を示し、
「この映画の公開により、イスラム教徒に対する嫌悪が高まるだろう」と語りました。


ADCは、この映画のクリント・イーストウッド監督と
主演のブラッドリー・クーパー氏に書簡を送り、
この映画は、反イスラム、反アラブの拡大に大きな影響を及ぼしている」としました。


これまで、この書簡に対する反応は示されていません。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/
51731-%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%
81%A7%E5%8F%8D%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83
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C%E3%81%8C%E9%9D%9E%E9%9B%A3


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いくらアカデミー賞で6部門もノミネートされているとはいえ、
ムスリムに抗議を受けている映画を公開するのはいかがなものだろうか?



仮にこの行為に立腹した過激派が事件を起こしたら、
また「テロには屈しない(キリッ)」という態度を取るのだろうか。


まぁ、それはともかく、この映画とは全く逆の立ち位置にある映画がある。


『砂の王』(King of the sands)と言う。


この映画は、サウジアラビアの建国秘話を批判的に描いたもので、
イギリスの植民地主義に深く反省を迫る内容となっている。


とりあえず、次の記事を読んでもらいたい。

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映画「砂の王」は、
アラビア半島のナジュド地方のある王子の一生を物語ると共に、
この王子の冷酷さと流血を描いています。


ナジュド地方の族長アブドルアズィ―ズ・イブン・サウードは、
イスラム教の改革運動・ワッハーブ派の創始者・アブドルワッハーブに従う、
イフワーンと呼ばれる集団の助けにより、
人々を殺害し、町や村、さらには墓地を破壊することで、王朝を存続させます。


彼は、イギリス人のスパイ・ハムファーと示し合わせた後、
イギリス政府の支援により、メッカとメディナを攻撃し、
それによりこの2つの聖地では、大規模な流血が起こりました。


アブドルアズィーズは、ナジュド地方とヒジャーズ地方を統一した後、
この地方に一族の名前をつけ、サウード家のアラビア、
即ちサウジアラビアと命名することになります。



彼はこの勝利の後、公然と宗教から逸脱し、
イギリス政府の政策に追随すると共に、
自分の仲間の一部とも対決し、多くの人々を殺害します。


イフワーンとの闘いの後、イブン・サウードは
ワッハーブ派のイスラム教徒たちと、勢力の分割をめぐり合意に達し、
彼らを宗教上の番人として組織化します。



しかし、この映画が取り扱っているのは、明らかにこの歴史的な時期のみではありません。


~中略~


「100年前の事件と現代の情勢が類似していることから、
 私は映画「砂の王」の制作を手がけた。
 今から100年前のアラブ世界は、
 意志も権力もない小国により分割されていた。

 現在も、一部の有力な国やアラブ諸国が、
 この役割を演じようとしている。

 このため、私は世界のトップスターを起用し、
 英語での映画を制作しようと決意したのである。

 私は、この映画は世界で上映される
 多くの機会があると考えている」




映画「砂の王」は間接的に、現在の中東地域におけるテロリズムの原因を、
アラビア半島でのサウード一族の権力の掌握、そしてサウード一族が
ワッハーブ派と同盟関係を結んだことと関連付けており、
その結果サウード一族が反対派を滅ぼし、現在に至るまで
国内外の反対派に対してこのやり方を続けているとしています。



アンゾウル監督は、サウード政権の政策に反対する、
イラクやシリアといった国々にテロリストを送り込むことは、
現代におけるこのような措置の一部であると考えています。



~中略~


この映画は、イギリスの首脳とサウジアラビアのアブドルアズィーズ国王による合意、
オスマン帝国に支援された宿敵ラシード家による支配を終わらせ、
オスマン帝国の支配から解放するために、
イギリスがアブドルアズィーズに対して
資金援助や武器提供を行った経緯についても描いており、
この合意の結果、地域に西側諸国が影響力を拡大することになりました。



さらに、この映画はイギリスとサウード家の
アブドルアズィーズの密接な関係の詳細の一部を暴露しています。



そして、サウード一族とワッハーブ派の間での勢力分割や立法権、
行政権に関する協定や合意の一部、サウード政権の武力による支配、
そしてワッハーブ派のコーランによる支配などの合意を描いているのです。


また、こうした同盟関係が現在も続いており、
それが地域に悪い結果をもたらしたことが述べられています。
 


~中略~

映画「砂の王」は、昨年9月11日に初公開されました。


アンゾウル監督は、この映画が上映された期日と場所について、次のように述べています。


「私は、この映画の上映期日を、
 過激派思想を支援する結果となった9月11日の、
 アメリカ同時多発テロが発生した日に設定した。

 上映場所にはロンドンを選んだが、
 これは、サウード政権の発足と、
 この政権による陰謀を手助けする上で
 最も大きな役割を果たしているのは、
 イギリスだからである。

 我々は、シリア政府の
 いずれの部門からも支援を受けておらず、
 この映画の制作は、完全にプライベートなものである、

 我々は、一切の政治的なプロパガンダから
 離れるつもりだったのであり、
 これを西側諸国の人々のために英語で制作したのである」


http://japanese.irib.ir/2011-02-19-09-52-07/%E
3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%A0%E5%9B%9B%E6%
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E3%82%8B%E8%A9%B1%E9%A1%8C


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とても面白いことに、『砂の王』は今のところ日本で公開されていない。


イスラモフォビアのネタになる映画は頼んでもいないのに公開し、
サウジアラビアの建国史を批判的に描いた映画は総スルー。



反捕鯨映画『ザ・コーヴ』や靖国神社を題材にした『YASUKUNI』が
上映が次々と自粛されたように、日本では問題がある映画は
あらかじめ観客の目に映らないようになっている。


政府の圧力があったわけでもない。あくまで、空気を読んだ結果だ。

『表現の自由』は裏返せば『表現しない自由』にもなる。

カストロ「私はアメリカのやり方を信用していない」

2015-01-28 21:44:14 | リビア・ウクライナ・南米・中東
気になっていたカストロのコメントがついに聞けた。

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Castro as saying in a televised message yesterday
カストロは昨日のテレビメッセージで
addressed to the Students' Union and was read over
学生組合にむけて、国営テレビを通じて次の言葉を述べた。
via the state television,


"I do not trust the policy of the United States
「私はアメリカのやり方を信用していないし、
and did not talk with them, but this does not mean at any time ,
 これまでも彼らと話しては来なかった。もっとも、このような態度は
that it is a rejection of a peaceful resolution for conflicts."
 いかなる時であっても、衝突の平和的解決を否定するものではなかった。」


"The Cuban president has taken action consistent with his mandate,"
「キューバ大統領は自身の権限に矛盾しない行動に出ている。」

Fidel Castro said adding
フィデル・カストロは次のように付け足した。
"we will always stand up for cooperation and
「私たちは常に世界中の人々の間との友情や協力を擁護している。
friendship among all peoples of the world, including our political opponents."
 たとえ、それが自分の政敵であっても。」

http://syriatimes.sy/index.php/news/world/
16390-former-cuban-president-i-do-not-trus
t-the-united-states-policy


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案の定、カストロは対話には応じるが、信用しきってはいないとコメントした。
それがいいと思う。ここ2年のオバマ政権はかつてのブッシュ政権を想起させる。

今回の対話はキューバへの懐柔策と捉えるべきだろう。

それにしても、ユートピア型民主主義を受け入れなかった国家は
得てして経済制裁あるいは国際経済から疎外され、不遇な目に逢っているが、
キューバほど上手く、かつ長年にわたって反米出会った国はないだろう。

大抵、こういう国は治安維持のために民衆を弾圧しているものだが、
キューバに関しては、そういうものはない。非常に不思議だが。


カストロ本人も、大変な読書家で、近年のグローバリズムや
ユートピア諸国の軍事的経済的干渉行為を批判し続けてきた。


その演説のいくつかは日本語訳されている。一読の価値はあると思う。



なお、フォントサイズだが、いつもは「5」にしているのだが、
これだと1行あたりの文字数が極端に少なくなってしまうため、「4」にした。

あしからず。

サイト名変更しました

2015-01-28 21:32:37 | サイトの趣旨
冷静に考えて、今までのブログ名はあまりにも安直だったと思う。
同名のサイトも複数存在していた。記事の内容とも無関係だった。


このサイトは、元々は読書の副産物である
アイディアをメモするためのものだったのだが、
最近は海外ニュースサイトの記事紹介&感想、解説が中心になってきた。


まぁ、朝日新聞社や岩波書店、池上彰氏の批判記事も相当に多いわけだが。
(そういえば、文春から出版されたイスラム国についての本、
 解説が池上彰氏だった。相変わらずのレベルで驚いた。
 非常にどうでもいいが、同氏は最近、文春での働きが多い)


愛着のある名前でもあったが、
最近、なぜかアクセス数も増えているので、
この機にサイト名を変更し、テンプレートも一新した。

少し見やすくなったと思う。



ここからは、ネーミングについての語り。

はじめは菅原道真の歌をとって「東風吹かば」にしようかと思った。
しかし、これでは何のサイトかわかりづらい。あえなく没決定。


そこで、ウィリアム・モリスのユートピアだよりをもじって、
ディストピアだよりにしようと考えた。


ロシア・トゥデイ、ロシアの声、ロシア・ナウ、
北京週報、朝鮮新報、イラン・ラジオ、そして赤旗。

面白い具合に、これらの発信元である非西洋型国家は、冷戦時から
ディストピアのレッテルを貼られた国のサイトばかりではないか。
(赤旗はのぞくのだけれども)


ウクライナ問題で、キエフ政権の要職にネオナチや
アメリカの人間が複数就き、彼らの指示に従い、住民投票で
独立が決定したウクライナ東南部において民間の住居や学校、
病院を含んだ建造物にむけて問答無用の空爆が繰り返されても、
ユートピアの国々のメディアは不思議なことに、この残虐性を伝えなかった。


シャルリエブドの度が過ぎた挑発行為に
世界中のムスリムが抗議運動を展開し、
それがフランスやアメリカを非難するデモにまで発展しているのだが、
もはや終わった事件として、これまたユートピアの国は伝えなかった。


極めつけがISIS(イスラム国)のそれで、ヒラリー・クリントンが
親切にも、エジプトをムスリム同胞団とISISで支配しようとしていたと
告白してくれても、ユートピアの国ではさして重要視されなかった。


ISISがサウジアラビアの支援を受けて成長したことも。


そして、これらユートピアの国は第二次世界大戦終結から
70年が経つ今、国外では再びの植民地主義、
国内では新自由主義という名の超資本主義が横行している。



こういう状況だからこそ、海外視点で物事を見つめる目が必要だ。
少なくとも私はそう思う。


というわけで、
ディストピアだより→ちょっと長いので削る→ディストピア
→これだけだとわかりづらい→頭に時事解説をのせる→
時事解説「ディストピア」となった。


文字の大きさはいまのところ、これぐらいにしようと思う。
これより小さくすると、少し読みづらい。


ただ、このテンプレートだと幅の問題で、
以前に書いた記事が微妙に読みにくくなっている。

・・・まぁ、仕方ないと思う。
ただ、書いていてやっぱり前のほうがいいなと思ったら
また戻すつもりである。

後藤健二氏、解放の動きあり

2015-01-28 20:39:45 | 出版・ジャーナリズム論

Japan and ISIS have agreed on an exchange of journalist Kenji Goto,
日本とISISはイスラム主義過激派に捕えられたジャーナリストの後藤健二氏と
held hostage by the Islamist militants, for Sajida al-Rishawi,
2005年のヨルダン爆破で60人の人間を殺害したイラク人女性、
the Iraqi woman who killed 60 people in a 2005 Jordan bombing,
サジダ・アルリシャウィとの交換に互いに同意した。
Japanese deputy FM stated.
日本の外務次官が述べた。

(http://rt.com/news/226983-isis-japan-hostage-swap/)


まだ、日本では確定事項として報道はしていない。誤報でなければいいのだが……

イスラム国について―背後にサウジ(ワッハーブ派)の影あり

2015-01-28 00:18:55 | リビア・ウクライナ・南米・中東
イスラム国に関する新書や単行本が今月、何冊か出版された。

文春からは2冊、朝日からは1冊、集英社から1冊、他にも諸々。


一通り、ページをめくってみた。といっても、拾い読みだが。

感想。
これを読むぐらいなら海外のニュースサイトを読んだほうが良い気がする(汗)



というわけで、古い記事だが、
ISISを考えるにあたって、まず初めに読むべき記事を紹介したいと思う。



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テロ組織ISISに対する連合結成



現在、テロリズムが再び、アメリカや、
これに同盟するヨーロッパや地域諸国による、中東地域への干渉の口実となっています。



今回、その口実となっているのは、
「イラクとシャームのイスラム国」を自称するテロ組織ISISです。



数日前、サウジアラビアとフランスが、このテロ組織に対抗するための、
地域的、国際的な措置についての打ち合わせを行なうため、
複数の西側諸国やアラブ諸国、及びトルコによる外相級会合を開催しました。



これ以前にも、国連安保理はこのテロ組織に対する非難決議を採択しています。

この非難決議の採択の後、国連のパン事務総長は、
ISISに対するあらゆる措置は、国連の許可を得る必要はない
という見解を表明しました。


この見解表明は、アメリカに対して、
このテロ組織に対する措置を目的とした複数の国による
連合の結成に関して、ゴーサインを出した
ことになります。




テロ組織ISISに対抗する連合の結成、
というアメリカの措置については、多くの疑問点が存在します。



第一の疑問点は、テロとの戦いにおけるアメリカの行動と前歴に関係しています。


2001年のアメリカ同時多発テロの後、
アメリカはアフガニスタンを攻撃するため、テロ組織アルカイダの脅威を口実に挙げました。


また、イラクへの軍事介入に当たっては、
テロリズムの脅威に加えてイラクの大量破壊兵器を口実としています。


9.11同時多発テロから13年たちますが、
アフガニスタンやイラクにおけるテロ行為は数倍にも増加し、
他の一部の国にも拡大しています。

イラクやアフガニスタンのテロ行為の犠牲者は
アメリカ同時多発テロの犠牲者をはるかに上回っています。


現在、一体何が起こり、ISISと戦うために連合を結成するという
アメリカの新たな軍事的、政治的な活動を信用しなければならなくなったのでしょうか?


アメリカはテロとの戦いの中で常に、
テロの主要な原因を根絶するのではなく、その結果と戦おうとしています。


実際、アメリカはテロとの戦いで、
選択的なダブルスタンダードの対応をとっています。

このように、テロリズムは、
地域への進出を目的としたアメリカの政策を推進する要素となっているのです。



現在のテロリズムは、地域における過激主義や暴力、
タクフィーリー派の思想により生じています。


過激主義やタクフィーリー派の思想の拡大は、
アメリカの地域における拡張主義的な進出政策の結果となっており、
アメリカは中東地域で過激主義と闘おうとしたことはありません。



アメリカの首脳陣は、
自国の拡張主義的な進出政策を正当化するため、
アメリカの政策に反対する国々を過激派と見なし、
これらの国は地域の安全にとっての脅威だとして触れ回っています。



地域におけるアメリカのイランに対する敵対政策は、まさにこの方針で行われているのです。

一方、過激主義の拡大に最も大きく貢献している国々は、
アメリカの政策を促進するために、アメリカの道具として利用されています。


これらの国は、西側諸国で
民主主義と自由を主張する人々が掲げる基準を全く満たしていません。



これらの国の政治体制は、中世の時代のヨーロッパの政治体制のようなものです。
これらの国々では、公民権としての自由のみならず、市民権さえも無視されています。

現在のサウジアラビアのワッハーブ派による政治体制は、
1つの思想の潮流であり、これらの国々を初めとするこうした体制に合法性を与えるものです。


ワッハーブ派の盲目的で偏った思想や過激主義は、誰の目にも明らかです。



アフガニスタンとパキスタンのアルカイダ、タリバン、
イラクのISIS、シリアのヌスラ戦線、アフリカのボコハラムや
アルシャバブは、ワッハーブ派思想を根幹としています。



結婚による性のジハードや、ワッハーブ派への反対者の残虐な殺害など、
イスラム教的な倫理や預言者ムハンマドの教えに反する最も低俗な教令を出しているのは、
サウジアラビアにおけるワッハーブ派のイスラム法学者なのです。


アメリカの9.11同時多発テロのあと、アメリカの指導者は
タリバンやアルカイダとの戦いを口実にアフガニスタンに武力介入しました。


一方、この2つの過激派組織に思想や資金、
軍事力を供与していたのはサウジアラビアでした。



しかし、アメリカはサウジアラビアを支配するワッハーブ派を、
過激派やテロリズムの支援組織に認定しなかったどころか、

西側でのプロパガンダ活動を行うことに関して、
ワッハーブ派に対し制限さえ設けなかったのです。



西側政府とその筆頭であるアメリカは3年半前から、
シリアで危機が生じてくる中でワッハーブ派系統の集団を支援し、
シリアにおける現行の政権を転覆しようとしてきました。


この期間、タクフィーリー派のグループは、
イスラムを名乗ってのあらゆる犯罪行為に手を染めました。


西側政府とサウジアラビア、カタール、トルコなど、
地域における西側の同盟国は、資金、政治、軍事の各方面で
こうしたテロ組織への支援を惜しみませんでした。



欧米諸国出身のテロリストの多くが、これらのグループに加わっています。


ここで注目すべきことは、これらの人物による
シリアやイラクと西側諸国の間の行き来や、
西側への帰国に対して、西側諸国が何の制限も設けなかったことです。



しかし、イラクの少数派であるキリスト教徒が多数殺害され、
2人のアメリカ人ジャーナリストがISISによって殺害されると、
それまでISISやそのほかの同じような思想を持つグループを
支援してきた西側諸国の態度は豹変しました。


この西側政府の態度の転換に従い、
サウジアラビアのような地域における西側の同盟国のアプローチも一変したのです。



現在、テロ組織ISISはにわかに、
西側のプロパガンダにおける地域的、国際的な安全保障にとってのテロの脅威となり、
このテロ組織との戦いは、避けられない必要な事柄とみなされています。


このことは、国連安保理でこのテロ組織に対する
非難決議が採択されたことからも、理解できると思われます。


一方、このテロ組織は
イラクやシリアで数年前から、
このような犯罪に手を染めてきました。




現在このテロ組織の犯罪は拡大しています。
西側諸国やこれに同盟するサウジアラビアやトルコなどの
国々が態度を変化させたことから、ISISに対抗する国際的な連合を
形成しようとするアメリカの行動は疑われるべきではないでしょうか。



あるいは、サウジアラビアのジェッダやフランスのパリで開催された会議に参加した、
サウジアラビアやトルコ、そのほかの多くの国々が、ISISやテロリズムに
対抗するために一堂に会していた、ということは信用に値するのでしょうか。



テロ組織ISIS、ヌスラ戦線、タリバン、アルカイダなどは、
過激なタクフィーリー派や狂信的なワッハーブ派から生まれたものであり、
アメリカやその同盟国は完全にこのことを知り尽くしています。



しかし、彼らはサウジアラビアを支配する
ワッハーブ派の思想に対抗しようとはしませんでした。


なぜなら、サウジアラビアは世界最大の石油の埋蔵国、生産国であり、
また西側にとっては武器の大市場であるとともに、
中東地域におけるアメリカの政策の実行役だからです。


パキスタンのペシャワールにおいて、このワッハーブ派は、
これまでタリバンやアルカイダにイデオロギーを与え、
資金的、軍事的な援助を行い、現在もこれを行なっています。


ワッハーブ派はまた、
現在もほとんどのイスラム諸国や西側諸国で活動しています。



この宗派が存在する地域ではいずれも、
狂信的で盲目的なタクフィーリー派の思想や、
預言者ムハンマドによる正義を求め人格を形成する
イスラム教の教えから逸脱した思想が拡大しています。



アメリカとその同盟国は、ISISとの闘いを真剣に追求しておらず、
このテロ組織との闘いは地域諸国に対する軍事介入の口実なのです。



確実に言えることは、ISISに対する
アメリカ主導の国際的な連合によりテロ行為が減少することはない、ということです。


それはアフガニスタンやパキスタンにおけるタリバンやアルカイダとの闘いで、
こうした成果が得られていないことと同じです。


ISISに対抗するためには、
タクフィーリー派や狂信的な思想を拡大する根源と闘わなければなりません。



このような意欲は、アメリカを筆頭とする西側諸国には存在しません。

アメリカは地域において、イスラム教徒の間の対立を生じ、
イスラム教の平和的なイメージを損なうことにより、自国の利益を求めています。


このため、ISISへの対抗を目的としたアメリカ主導の国際的な連合の結成は、
見せ掛けのものであり、その目的はテロとの戦いではない、というべきでしょう。



アメリカはISISとの闘いを口実に、
中東各地を空爆や長距離ミサイル攻撃の標的にしようとしており、
これは今日パキスタンやアフガニスタン、イエメンで行われている措置なのです。


http://japanese.irib.ir/component/k2/item/48591
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要約すると、
ISISの台頭には、
サウジアラビアで権勢を誇っているワッハーブ派の活動
ならびに黙認・利用した欧米列強の外交戦略が主要因として考えられる

ということになる。


少なくとも、アメリカがISISを好意的に捉えていたことは、
元国務長官のヒラリー・クリントンの回想録を読めば一目瞭然だ。



「ISISは実際、アメリカが中東を分割するために誕生させたものだ」

「我々はイラク、リビア、シリアで戦争に入り、
 全てが望みどおりに順調に進んでいたが、6月30日に突然、
 エジプトで革命が起き、72時間の間に全てが変わってしまった」


「私は世界の112カ国を訪れた。そして一部の友人たちと、
 ISISが誕生を発表した直後に、この組織を正式に認めることで合意した。
 だが突然、全てが崩れてしまった。ISISは、6月5日に誕生が発表されるはずで、
 それを待ち、すぐにでも、ヨーロッパと共にそれを正式に認める予定だった」



「全てが我々の目の前で、何の予告もなしに崩れ去ってしまった。
 恐ろしいことが起こった。我々は武力の行使を考えていたが、
 エジプトの軍隊は、シリアやリビアと同じではない。
 我々がアメリカの艦船でエジプトのアレクサンドリアの港に向かったとき、
 非常に新しい潜水艦によって監視されていた。

 この潜水艦は、最新の武器やレーダー設備を備えていた。
 我々が紅海に近づこうとすると、ロシアの旧型の戦闘機に遭遇した。
 それ以上に奇妙なのは、この戦闘機がどこからやって来て、
 どこに去ったのかが分からなかったことだ」



「我々は、ムスリム同砲団とISISを通じてエジプトを支配し、
 それを分割した後、ペルシャ湾岸諸国に取り掛かろうとしていた。
 友好国を通じて用意が整っていた最初の国はクウェートだった。
 その後にはサウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーン、
 オマーンの順番で考えていた。そうすれば、アラブ諸国は完全に分割され、
 我々は完全に、これらの地域を支配できるはずだった。
 石油資源や重要な水路を支配下に置けるはずだった。
 もし彼らの間に対立があれば、状況は変わっていただろう」


このように、ISISへの支持をはっきりと表明している。



そして、冒頭に述べた諸文献には、このことがなぜか書かれていない。
(拾い読みなので、もしかして見逃したかもしれないが)



クリントンの発言は、アメリカの国家安全保障局の元局員、
エドワード・スノーデン氏が暴露した内容を認めるものになっている。


同氏は、イスラエルが他国を攻撃するためにISISの創設に関わったことを明らかにした。

「アメリカ、イギリス、イスラエルの情報機関は、
 ISISの創設に関与し、スズメ蜂の巣(Hornet nest)
 という名の作戦によってISISを作り出した」と述べている。


スノーデン氏は、
ISISがシオニスト政権の支援によって創設されたこと、
この作戦の目的は、イスラムを標榜する組織をつくり、世界中から過激派を集め、
イスラエルの存続を脅かす国々に攻撃させることにあったと述べた。


そう言われてみれば、イラクもシリアも反イスラエルの急先鋒、
特にシリアはイスラエルにとっては仇敵のような国である。

おまけにISISは、
アラブ人を最も苦しめているはずのイスラエルに対して
これといった攻撃を行っていない。


スノーデン氏は
「ISISの指導者は1年間、イスラエルの諜報機関であるモサドの監視下に置かれ、
 この間、スピーチの指導や軍事訓練を受けていた」とコメントしている。



実のところ、イスラエルはこの手の軍事訓練の最先端を行く国であり、
国防と治安維持のノウハウを海外に輸出している。

同氏の暴露は十分に考えられることだと言えよう。



以上、長々と書いたが、整理すると、
ISISが列強にとって不都合な存在になったのは、ごく最近のことで、
しかも、これだけ暴れまくっているにも関わらず、
不思議なことにイスラエルやサウジアラビアといった
親米諸国には被害が及んでいないというのは、非常に興味深い話だ、



ちなみに、リビア消滅の際、反リビア軍の正体はISISだったという記事もある。
https://libya360.wordpress.com/2014/11/19/libyan-rebels-are-isis/


ISISというのは、欧米列強の帝国主義の産物ではないか?
そのように、筆者は思えるのである。

イランでの反仏・反シャルリー運動について

2015-01-27 00:39:30 | リビア・ウクライナ・南米・中東
人質事件でそれどころではないのかもしれないが、
シャルリエブドに対するムスリム達の抗議運動についての報道が少ない。


そのような状況下で、イランにおいて全国的な抗議運動が活発化している。


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イラン全国で、預言者に対する冒涜への非難



イラン全国のさまざまな人々が、フランスの週刊紙シャルリエブドによる、
イスラムの預言者ムハンマドへの冒涜を非難しました。


IRIBによりますと、イランの人々は25日日曜、全国的な集会の中で、
アメリカに死を、シオニスト政権イスラエルに死を、フランスに死を
というスローガンを掲げ、預言者ムハンマドへの敬愛と、
シャルリエブドに対する彼らの怒りと不快感を表明しました。


イラン北部のマーザンダラーン州やゴレスターン州、
北西部のアルダビール州でも抗議集会が行われ、
シャルリエブドの侮辱行為が非難されました。


シャルリエブドの事務所へのテロ事件など、
パリで発生した一連のテロ事件により17名が死亡した後、
シャルリエブドは、表現の自由を口実として、
預言者ムハンマドを侮辱する風刺画を掲載しました。


この侮辱行為は、イスラム諸国の反発を受けています。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/51
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イラン全国で、『預言者ムハンマドを敬愛する』集会が開催



イラン各地で、人々が、『預言者ムハンマドを敬愛する』集会を開催します。


24日土曜夜に開催されるこれらの集会では、
イスラムの聖典コーランの朗誦、イスラムの偉大な預言者
ムハンマドに敬意を払うための祈祷、預言者の人格に関する演説、
イスラム恐怖症という敵の悪しき陰謀を暴露することなどが行われます。


フランス週刊紙シャルリエブドは、
数名の死傷者を出した本社へのテロ攻撃のおよそ1週間後、
再度、預言者ムハンマドを侮辱する風刺画を掲載しました。


この風刺画の掲載は、世界のイスラム教徒の反発を引き起こしました。


イランでも、人々は23日、金曜礼拝後、
シャルリエブドのこの侮辱行為を非難するデモを行いました。

イラン全国の人々は、イスラムの神聖を侮辱する者たちを支持する国、
特にアメリカやシオニスト政権イスラエルに対する嫌悪感を表明しました。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/51565
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以前、紹介したが、これらムスリムの中には
フランス国旗を燃やし、自分たちの意思をアピールしている者もいる。


また、記事で指摘されているように、シャルリーのような
日本でいうところの産経やWAC、PHP、文春を英雄視する
フランスをはじめとした欧米諸国の態度にも抗議がされている。



(http://japanese.irib.ir/news/%E6%9C%AC%
E6%97%A5%E3%81%AE%E3%83%88%E3%83%94%E3%83
%83%E3%82%AF/item/51624-%E3%82%A4%E3%82%B9
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つまり、一連の運動は、単純な宗教的デモではなくて、
中東・中央アジアを征服、侵略している欧米諸国にむけての政治的抵抗運動でもある

そのへんが、どうも無視されているような気がしてならない。

イランラジオのシャーイブラヒーム解説員は次のように語っている。


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イラン全国の要人、機関、神学校、労働組合などが、
フランスの週刊紙シャルリーエブドによる
イスラムの預言者ムハンマドを侮辱する風刺画の掲載を非難しました。



「ムハンマドを敬愛する」をスローガンにした壮大な集会が、
25日日曜、首都テヘラン、ホラーサーンラザヴィー、西アーザルバイジャーンなど、
イラン全国にある宗教施設やジャーメモスクで開催されました。


この集会では、集団礼拝、聖典コーランの朗誦、
イスラムの偉大なる預言者ムハンマドの人格や
イスラム恐怖症を広めるための敵の陰謀に関する演説が行われました。


イラン全国イスラム革命勝利36周年記念行事主催本部の関係者は、
25日、年次総会の終わりに声明を発表し、
預言者への冒涜は、西側の政治家がなす術を失った結果だとしました。


世界中の人々、独立した立場を取る政治家、宗教機関も、
シャルリーエブドによる預言者の風刺画掲載を非難しました。


シオニスト政権イスラエルのリーベルマン外務大臣が、
イスラエル・被占領地パレスチナで
この新聞の最新号を広く出版しようとしたことは、
パレスチナの抵抗グループから非難されています。



数千人のパレスチナ人は、ガザ地区やヨルダン川西岸の各地で、
イスラム排斥の動きを非難し、デモを行いました。


中央アジアでも、カザフスタンなどで、
人々や宗教界の要人が、シャルリーエブドの行動に反発しました。


カザフスタンのイスラム聖職者協会は、声明の中で、
「神の宗教の神聖や人々の宗教的な信条に対する冒涜は容認されない」と発表しています。


トルコのクルド人数万人も、
シャルリーエブドの風刺画掲載に抗議し、ディヤルバクルでデモを行いました。


パキスタンでも、首都イスラマバードやペシャワルなど、
各地で数千人が風刺が掲載に抗議するデモを行いました。


アフリカでも、ナイジェリア、コートジボワール、
モロッコ、セネガルなどの国で、同様のデモが行われています。



アジアでも、オーストラリアのシドニーで集会が開かれた他、
マレーシアの人々も、クアラルンプールにあるフランス大使館前で抗議集会を開きました。



フランスの週刊紙シャルリーエブドは、パリの事務所が攻撃され、
12人の死者を出した後、表現の自由を口実に、西側政府の支援を受け、
再び、イスラムの預言者ムハンマドを侮辱する風刺画を掲載しました。


この行為はイスラム諸国の反発に直面しています。

http://japanese.irib.ir/news/%E6%9C
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4%E3%83%83%E3%82%AF/item/51624-%E3%82%A
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これらはテロとは違う非暴力運動であり、決して無視してはならないはずだ。


しかも、シャルリーエブドがイスラエルのパレスチナ占領を
正当化させるプロパガンダとして利用されている
のだ。無視して良いはずがない。


ところが、どうも中東研究者を含め、日本ではこの件に関する言及が弱い。

「シャルリーエブドなど、イスラエルがパレスチナ占領を正当化するのに
 好都合な雑誌である時点で、その本質はお察しだ」


こういうコメントをした日本の中東研究者を寡聞にして私は知らない。


今月、イスラム国に関する書籍が複数出版されたが、
一通り目を通しても、どうも腑に落ちない点が多い。


この点については別記事で詳しく言及するつもりだが、日本では研究者を含めて、
どうもムスリム側の怒りをダイレクトに伝えようとする姿勢がないように感じられる。

文化的問題だけでなく政治的問題であるという本質的な部分から
目がそらされているような気がするのである。


イランラジオやリビア360°のような中東・アフリカ視点のニュースサイトを
読むと、そのことを強く感じる。肝心のことが言及されていないと思う。

本当に非軍事的な支援だったのか? (安倍政権の軍事政策 中東・アフリカ編)

2015-01-27 00:22:29 | 軍拡
2億円は非軍事支援。一連の報道では、こう論じられている。

彼らは安倍政権が日本初の海外軍事基地を設置しようとしていることを知らないのだろうか?


日本は2011年6月、東アフリカの海賊対策を目的に
ジブチの国際空港に隣接する12ヘクタールの敷地に拠点を設けた。


この基地は国外における唯一の日本の基地であり、自衛隊180人が駐留している。
これを本格的に軍事基地として永続的に使用することを目論んでいるわけだ。



この件について、イランラジオのホセイニー解説員は次のように述べた。


----------------------------------------------------------------
国外に初めての軍事基地を設置するための日本政府の努力は、
国際レベルでの自衛隊の役割を拡大しようとする
日本の右寄りの安倍首相による新たな歩みと見られています。


日本政府は、この目的を実現するため、第1段階として、
アフリカのジブチにある一時的な基地の可能性を利用しようとしています。


日本は2011年、ジブチの国際空港に隣接する12ヘクタールの敷地に、
海賊対策を目的に一時的な拠点を設置しました。

国外で唯一の日本の軍事基地であるこの拠点は、
自衛隊180人が4ヶ月ごとに交代して駐留しています。


日本はアデン湾の旅客船や商船の安全な航行を保証するとしています。



日本のあらゆる軍事行動は同国の憲法に反するため、
政府は国会で憲法の解釈を変更する法案を可決しました。


以前の法では、日本政府には国連平和維持活動と
近隣諸国の有事の際の活動の場合にのみ、参加が許されていました。


最近首相に再選された安倍首相は、現在、自衛隊の役割を拡大しようとしています。



安倍首相は、自衛隊がアメリカなどの同盟国と共に、
外国の軍事作戦に参加することを求めています。



安倍政権はこの目的を実現するために、ジブチの軍事基地を利用しようとしているのです。


自民党政権は、国外での軍事活動に対する国内や地域でのマイナスの反応により、
これまで同様、自衛隊の参加を自然災害時の救援や国連平和維持活動の枠内で
正当化しています。



日本の防衛関係者は今回、テロ活動や有事に対処するための
アフリカにおける同国初の常設基地の設置について発表しましたが、
これは国外での自衛隊の行動に対する懸念の裾野を広げています。


日本はジブチでの軍事基地を地域における自衛隊の活動の初の拠点に変えようとしています。
この措置は明らかに、日本の過去の軍国主義に抗議する近隣諸国の懸念を煽ることになるでしょう。

http://japanese.irib.ir/news/commentaries/item/
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安倍の集団的自衛権、積極的平和主義の具体的な姿はこのようなものである。


安倍はエジプトにおいて積極的平和主義の重要性を主張していたらしい。

とするならば、将来的に、集団的自衛権を理由に、


エジプトでテロ発生→自衛隊出動→空爆

となることを望んでいるのは火を見るより明らかではないか。
(現にアメリカやフランスは同様の行為をイラクやリビアで今行っている)



日本近代史では、日清戦争で、まさにこのような事態が発生した。
朝鮮における農民反乱の鎮圧を口実に、まず朝鮮の王朝が占拠された。


一応フォロー(?)すると、同様のことは現在進行形で欧米諸国が
行っていることであり、日本のみが特別悪いというわけでもない。
(植民地主義・帝国主義というものは、得てしてかようなものなのだ。)



都合よく忘れられているが、安倍首相は事件以前に、
エジプトを含んだISISと交戦中の国家に向け、3000億円の支援を行うと表明していた。



実は、この3000億円には
原発建設や兵器産業への参入が含まれている。



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日本は昔から、中東に幅広く参入し、多くの家電製品などを輸出してきましたが、
現在、この地域のその他の経済分野に積極的に参入しようとしています。

中東諸国の電力確保を目的とした
原子力発電所の建設への積極的な参加、
これらの国の防衛分野への協力も、
安倍首相が、
日本経済の問題を解消するために重要だ
とし、それを強調している
事柄です。




安倍首相は、防衛装備移転三原則など、
防衛問題に関する一部の法を変更し、
日本製の武器の新たな市場を獲得しようとしています。


http://japanese.irib.ir/news/commentaries/item/51413-%E6%97
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どう解釈しても、これらの行為は、
日本が直接、ISISの交戦国家に対して軍事支援しているものである。


日本政府は「2億円は難民救助のためのもの」と主張しているし、
どのメディアもそう伝えているのだが、その一方で、日本が同地域で
軍事的に進出しようとしていることについては、なぜか触れようともしない。



2億円が難民支援のものだというのは恐らく事実だろう。
だが、それ以上の膨大な金額が軍事・兵器産業に費やされる以上、
それは巨悪の中の小善としか言いようがない。



重要なのは、海外基地の建設や兵器の輸出が現地のテロを刺激しないかということ、
仮に刺激したとしても、現地の日本人を保護するシステムも検討されているのかということだ。


今回のテロ事件は、日本政府が後者に対して
ろくに対策を立てていないことを如実に示すことになってしまった。


中国が責めてくるぞ、北朝鮮がミサイルを飛ばすぞ、
だから9条改正が必要だ、軍拡が必要だと喧伝される一方で、
肝心の国民の保護・救助については何にも議論されてこなかったわけである。


確かに、中国や北朝鮮のバッシング本は腐るほどあるが、
これと同程度の割合で日本人をテロから守るための方策について
述べた本が出版されているのかと言うと、これは非常に怪しい。


集団的自衛権の容認は、他国への軍事介入は可能になるが、
肝心のテロ予防には何にも意味がないことは英米仏国内のテロ事件を見れば明らかだ。



にも関わらず、安倍や田母神、その他の右翼政治家は、
戦争によって一儲けしようとすることしか考えてこなかった。


先日、亡くなったとされる湯川氏が経営していた軍事会社といい、
兵器や兵士の輸出および原発などの危険な施設の建設確保を優先して、
肝心の日本人やアラブ人の人命救助は二の次にしてきた。


彼らを監視するはずのネトウヨも崇拝するばかりで批判を怠っていた。


そのツケがいま、帰ってきたような気がしてならないのである。

安倍晋三は日本人を取り戻してはくれなかった

2015-01-26 22:28:05 | 軍拡
湯川氏が殺害されたという。

テロには屈さないと大見えを切っていた矢先のことだった。
結局、安倍は日本人を守るつもりなどなかったんじゃないかと思う。


これを受けて早速、映像の信ぴょう性を取り上げ、
「声明が送られる前に殺されていた」と、
どのみち結果は同じ論を述べる右翼がちらほらと出現している。



ISIS「72時間以内に金を用意しろ」

安倍「強い憤りを覚える。ただちに解放せよ」

ISIS「ああ、そう」(湯川氏殺害)

右翼「最初から殺されていたのだ(キリッ)」



……彼らは日本人を何だと思っているのだろうか?


私はジャパニーズだろうとコリアンだろうとアメリカンだろうと
不当な理由で差別や殺害されることを非道く忌み嫌う。


湯川氏は典型的な極右だったようで、田母神と繋がりがあり、
過去には慰安婦などの大日本帝国の戦争犯罪を否定する発言もしていたらしい。


だが、このような形で殺害されることを良しとは私は思わない。


保守速報などのネトウヨサイトを見ると、
湯川氏の冥福を祈るコメントも散見される一方で、
そのほとんどが同氏の死すらネタにして韓国や共産党をバッシングするものだった。


人質の映像をコラージュにしてしまう無神経な人間が出現し、
これは海外メディアにも取り上げられたのだが、
同様の姿勢が湯川氏の殺害に関しても見受けられた。


彼らにとっては政治信条を同じとする正真正銘の仲間だったはずだ。
なぜ、こうまでも他人事なのだろうか。



結局、湯川氏のような末端の人間が切り捨てられ、彼を焚きつけた
田母神や菅のようなお偉いさんは自国で悠々と飯を食っている
わけである。


そして、本来なら、この暴挙に対して憤りを露わにするべきネトウヨも
これといって悲しみや怒りを示すこともなかった


(ハッキリ言って、彼らの韓国や中国、共産党や民主党に対する
 憎悪に満ちたコメントと比べれば、湯川氏の死への発言など、
 遠い親せきの死程度のものでしかない)


こういう現状に対して、「お前ら冷たすぎるぞ」と仲間割れを始める気配もなく、
大多数は安倍&自民党のフォローに徹する。湯川氏は日本人ではなかったのだろうか?

共産党と天皇制批判

2015-01-24 00:23:39 | 浅学なる道(コラム)
最近の共産党は、国民世論をひきつけるために
天皇制に対する批判的姿勢を若干修正しているらしい。

http://www.sankei.com/premium/news/150123/prm1501230005-n5.html


まぁ、しょせんは産経の記事だし、
党内にはハッキリと天皇制を批判している議員や幹部もいるようだから、
案外、路線は大して変更していないかもしれない。



実際、共産党は今も大日本帝国で天皇がいかに悪政を敷いたのかを
これでもかと強調して論じている。それは、宮本顕治氏をはじめとした
弾圧された党員が戦後も一貫して天皇制を批判していた名残だと思う。


とはいえ、この時代の人間はもう一線を退き、今は若い世代によって運営されている。
リーダーの志位氏も60そこそこで、全共闘世代よりも若い。


何だかんだで、かつてほど激しい怒りをぶつけることはもうないのではないかなと思う。


私が天皇制に反対するのは、天皇が国の象徴である限り、
大日本帝国の責任を追及する=最高責任者の天皇の責任追及=国そのものへの攻撃
という構図にならざるを得ないからである。

実際、右翼どころか中道を気取る連中でさえ、
アジアや欧米からの戦争責任を追及する声を「反日」と解釈している。


民間の手で開かれた慰安婦に関する国際法廷では、
天皇も有罪としてその責任が問われている




日本が謝罪と法的責任を認められない最大の理由の1つに、
靖国神社に象徴されるように常に正しい選択をすると信仰されている天皇を
外国の要求に応じて裁くという行為が右翼にとっては非常に屈辱的だというのがある。


なら、天皇を免責して大日本帝国を総括できるかと言えば、
それはスープに触れずにラーメンを食すようなもので、まず不可能だ。


大日本帝国の犯罪(戦争犯罪だけでなく植民地支配も含む)を
「本気で」反省するには、皇族の責任はどうしても避けて通れない。



中途半端な反省ならいざ知らず、大日本帝国という
天皇制を基軸として成立、約80年存在した国家の所業を
本気で反省しようものならば、この大日本帝国の遺物に関しても
相当に厳しい態度を取らざるを得ない。ここに日本のジレンマがあるのだと思う。