時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

感想・『チャーチル  不屈の指導者の肖像 』

2015-08-29 23:55:14 | 反共左翼
岩波書店から今月25日に出版されたチャーチルの評伝。

内容自体はいたって普通のもので、
目新しいことが書かれているわけでもないが、読んで裏切られることも無い。


しかしながら、第二次世界大戦が終わって70年の記念すべき日に
チャーチルを賛美・擁護する本を日本の左翼出版社が売ってしまった。

(しかも岩波は学術出版社では最大手)

この事実は非常に重い。


私は何度か、反共左翼という言葉をもって戦後日本の知の衰退を表現してきた。

簡単に説明すると、

①戦後の日本の知識人は、日本国内に共産党員を増やさないために生かされてきた。

②40~70年代までは、共産党に対抗する存在(社会党を含む新左翼)として
 与党に対抗する主勢力となる一方で、共産党をけん制し続けた。

 実際、この時期の社会党、何割かのマルクス主義者は共産党を「旧左翼」、
 自分たちを「新左翼」と称し、自らの優位性を主張し、前者を攻撃し続けた。

 この際、内ゲバを初めとする暴力主義、選挙を軽視するデモ・ストライキの濫用、
 内部の権力抗争等により彼らは弱体化し、中には右翼と連携をとる者も出現する。

 (今では信じられない話だが朝日新聞社や岩波書店も以前は彼らのパトロンだった)
 

③こうして、右翼から自分たちの対抗軸として利用されることで
 新左翼はその存在を認められ、そこそこ強いライバルとして戦後民主主義を形成して行く。
 
 これは見せかけの議論、民主主義を示すには好都合の試合だった。
 どちらかが劇的に壊滅しないよう、打ち合わせ済みの戦いだった。

 無論、新左翼の存在をゆるすことで、
 右翼は彼らからの攻撃を受け続けることになったが、
 所詮、それは国家が公認するレベルの反対行動に過ぎなかったことを意味する。

 戦後民主主義が中途半端に牽引されたものだったという自覚は、
 おそらく、当事者も含め、多くの左翼活動家にはないものと思われる。

④そして冷戦が終結し、共産主義革命の可能性が消滅した結果、
 用済みとなった彼らは消滅、社会党に至っては解党、社民党は虫の息の状態に陥る。

 代わりに自民党の離党者と融合した混合政党である民主党が対抗馬になった。

 そして、新左翼が激減することで共産党を激烈に批判する者、
 共産党と敵対するグループを結成する左翼が消えたことで、
 皮肉にも共産党への圧力が減り、現在、共産党の議席が増えつつある。



 実際、現在の学生をはじめとする若手運動家は共産党と連携の形をとっている。
 社民党ですら、かつてほどの敵意はなく、協力しあうケースが出来上がっている。


⑤しかし、冷戦終結直後からの新左翼からの共産党の息の根を止めようとする攻撃は
 今でも続いている。結果として彼らの多くは右傾化し、保守とさして変わらない存在になった。

 言論・ジャーナリズムの分野では、未だに新左翼の残滓が跋扈している。


 先の都知事選でも、共産・社民が連携して擁立した宇都宮氏をけん制し、
 細川元首相を新左翼の残党が擁立し、共産批判を繰り返したことは記憶に新しい。


このように反共を主軸とした左翼が未だに論壇で支配権を握り、
 出版、講演を主として何かと共産主義を批判する一方で、
 1世紀以上前から続く植民地主義への批判は非常にお粗末になっている。


 
 典型的な例として、大日本帝国の戦争犯罪を責める一方で、
 イギリス、フランスの植民地支配に対する批判がさして行われていない。

 それどころか、当時の植民地主義者を美化・礼賛する本を売り出している。


 スターリンや毛沢東を悪魔化する本が量産される一方で、
 チャーチルやケネディを褒め称える本が店頭に並んでいる。



 これは、ナチス・ドイツとソ連を全体主義国家とみなして非難する一方で、
 大戦終結後も一貫して植民地国の独立運動を弾圧し続けた西洋諸国を
「ナチスやソ連とは質的に違う」存在として称える西洋中心史観そのものだ。




以上を踏まえた上で、なぜ「不屈の指導者」とまで称える本が
第二次世界大戦終結・70周年のこの時期に、岩波から出現してきたのか?


アパルトヘイトで有名な人種差別の国、南アフリカの誕生のきっかけとなった
ボーア戦争に従軍し、劇的な脱走を遂げた捕虜として英雄となったチャーチル。

その名声を利用して政治家活動を開始したチャーチル。

南アフリカの植民地省政務次官として、
現地白人と連携をとりながら、人種隔離政策を着々と進めたチャーチル。



事実上の奴隷貿易(中国人移民を奴隷労働させた)を行った植民地経営者チャーチル。
ロシア革命直後、ソ連との和解に断固反対し、戦争の継続を望んだチャーチル。
大戦後、すぐさま鉄のカーテンを下ろし、ソ連を国際政治から孤立させようとしたチャーチル。


これが不屈の指導者の正体だ。
チャーチルを「中立」の立場から「客観的に」描く。その意味を考えてみて欲しい。


ちなみに、岩波からのスターリンの本は、
『磔のロシア』『スターリンという神話』『私のスターリン体験』
『スターリンの鼻が落っこちた』『スターリン主義』など多数あるが、
いずれも、今回のチャーチル本とは違い、対象の人物を非難するものになっている。


要するに、イギリスやフランスは偉い!ナチスとソ連は悪い!ということだ。

このような歴史観がどれほど前者の植民地主義を免罪させるものか……

戦後70周年を記念する本や番組が続々作られているが、
基本的にはこの歴史観に軸をおいたもの、つまり英仏+米の敵国を悪漢とし、
共産主義やイスラム原理主義が民主主義に敗北する歴史として描くものとなっている。


よって、当時、イギリスがイランやギリシャ、インド等に下した弾圧、
フランスがアルジェリアやベトナムの市民に行った虐殺、
アメリカの日本や韓国を属国化させる事実上の保護国化の動きは
きれいさっぱり忘れられている。



このような西洋をヒーローとした歴史叙述は
現在、中東や北アフリカ、東ヨーロッパにおけるNATO加盟国の進軍
あるいは内戦勃発の誘導、テロ支援を見る限り、全く役に立ちそうもない。

かえって眼前の悪事を見えづらくさせている。


(ウクライナの内戦に関する報道がいかに歪んだものかは
 ちょっとこの問題について学んだものなら誰でもわかるものだ)



最後に、この反共左翼の影響は他ならぬ日本共産党にも及ぶものであることを指摘したい。
日本共産党はソ連や中国からの干渉に反撃するため、同国の賛同者に対して敵対し、
かつ自身も他の共産党とは極力、協力せず、対決の姿勢をとった。

西洋マルクス主義の批判などは、その典型的な例だと言えよう。


翻って、新左翼は「敵の敵は味方」方式を採用して、
冷戦の時期は、東ヨーロッパや北朝鮮、中国、ソ連と友好的に接するようにした。


ところが、所詮はアテツケのレベルの好意だったので、
すぐに反ソ、反中に転じるか、冷戦後に掌を翻してこれらの国を攻撃し始めた。


もともと仲が良くなかった日本共産党は、彼らほど熱心ではなかったが、
それでも「私はアイツラとは違う」ということを強調するため、
ソ連・中国批判は行ったし、今もあまり友好的ではない。



つまり、東欧・アジア・アフリカの旧共産圏国家に対する悪魔化工作の動きに
現在の日本共産党は、これといって反対していない。熱心に支持もしていないが。


こういった弱点を抱えてしまったことを踏まえれば、
このチャーチルの評伝は、よくある評伝として片付けるよりも、
現在の言論界の状況(西洋中心史観、反共・ムスリム史観に消極的に追従する)を
如実に表したものとして、違う意味で強く評価すべき佳作だと言えるだろう。
(『磔のロシア』と良い勝負だ)

ウクライナに金を捨てる日本政府 (計2600億円)

2015-08-29 00:31:28 | ロシア・ウクライナ
キエフ政府に世界で最も金をつぎ込んでいる国。それが日本。


以下、ロシアの政治学者アンナ・コロレワ氏の発言。

「債券のみに限っても、今ウクライナの負債総額は18億ドルを超えている。
 西側諸国の貸付という問題は明らかに政治的だ。
 連携して動いているすべての国の政府と中央銀行は、
「問題のある国は、特にその国に以前に投資したお金を取り返すために、
 少なくとも上辺上、経済的安定を回復するまでは、支えてやることが必要である」と確信している。

同じ理屈で日本当局も、すでに貸したお金を取り返すべく、行動しようとしている。
そして、その額は小さくない。日本はウクライナの債権国の中で第一位である。
日本は5月、キエフに15億ドルを拠出、6月にはさらに8億ドルを拠出している。
さらに今度は国として3億ドルという」。

http://jp.sputniknews.com/opinion/20150828/817889.html#ixzz3k7lQoQH0



同記事には、次のような説明文も。


「日本には他のリスクもある。IMFと世界銀行の立場に関するリスクだ。
 2000年代初頭のアルゼンチンの状況を思い出してみよう。

 国は、国際的な金融支援を当てにして、改革案を構築した。
 ちなみにこの時アルゼンチン債を積極的に購入したのは
 今日ウクライナの最大の債権者となっている人たちだ。

 IMFと世界銀行が突如、アルゼンチン支援の中止および、
 アルゼンチンに次のトランシェを与えない決定を取ると、
 アルゼンチンはデフォルトを起こし、その債務を支払うことができなくなった。

 これを今のウクライナに置き換えると、
 IMFと世界銀行がキエフ当局へのサポートを継続する場合は、
 日本がお金を取り返せる可能性はもちろん、増加する。

 日本にはグローバルな金融機関によるサポートが同時に行なわれていることが必要なのだ。
 日本がウクライナ政府と一対一になったなら、貸したお金を取り返す可能性は最小化する。


ここで気になるのは、
果たしてウクライナは26億ドル(約2600億円)を返してくれるのかということ。



ロシアへの借金すら、ろくに払えない状態にあるのに?
そもそも、なぜ縁もゆかりもないはずの日本がここまで積極的に融資するのかも謎。
(さすがにEUは慎重な姿勢を見せている)



いや、わかっているのだが……(汗)
いわゆる、ショック・ドクトリン(便乗型資本主義)と言うヤツなのだろう。

一応、和解は成功したが……

2015-08-25 23:48:06 | 北朝鮮
今後も韓国の強硬姿勢は変わらず続くと思う。


というのも、会談が終わって1日も経たない時点で金寛鎮国家安保室長が今回の合意に関して、
北が危機を高め、対北宣伝放送の中止を求めたことを
 韓国政府が拒否するなど、一貫した原則を持ち交渉した結果
」とみなした上で、
これまで北はわが国民の不安と危機感を高め、譲歩を引き出したが、
(朴政権では)それが通じないことを北も確認したと思う
」」と述べているからだ。



要するに、北朝鮮が対談を呼びかけてくるまで、全く話を聞こうともせず、
B52爆撃機を出動させようとさえしていたパククネが正しかったのだということ。



パククネの挑発行為が情勢を悪化させたという意識がまるで無いのだ。


加えて、米韓軍事演習が常に南北朝鮮の関係悪化をもたらすもので、
朝鮮半島に危機をもたらすものであることにも触れようとしない。


このような無反省の姿勢でどうして南北和解の動きが進展しよう?
日本のメディアも大概だが、韓国のメディアもどうしてなかなかであった。

なぜ池上彰氏を批判するのか

2015-08-25 00:00:02 | マスコミ批判
ハッキリ言って、池上彰氏とその辺の右翼の言説はさして変わりが無い。

・中国人に欠けているのはモラル
・韓国の裁判所は世論に屈して法律を無視する
・太平洋戦争は自衛戦争
・慰安婦問題は日韓基本条約で解決済み
・東京裁判は勝者の裁き
・靖国神社は戦死した兵士を弔うためのもの



いやはや……
上の言葉はネトウヨの見解だよと言われても誰も気づかないのではないだろうか?



では、なぜ、当サイトでは、わざわざ池上彰氏を集中攻撃してしまうのか?
池上氏にとっては迷惑な話であろうはずなのに?


これはわかりやすく、かつ下品に表現すれば、池上氏の言ってることは
カレー味の糞を「これはカレーの味がするんです。だからカレーなんです」
と言っているようなもの
だからだ。




いや、どんな味がしようとそれはフンだろ!」というツッコミを
 誰かがしてもおかしくないのだが、岩波書店や集英社、その他大手出版社は
「そうですよね!」と言って「カレー」と表記して売りつけている
のが今の状態なわけ。


で、何も知らない一般人がムシャムシャその「カレー」を食っているわけ。


「カレー味の糞」と明記して売りつける業者や食糞を日本人の文化だとか誇りだとか言って
 当然視する連中(つまり右翼)より、悪質な商売方法だと思うのは私だけだろうか?



当然、ここで気になるのが池上氏のカレー論に対して
「その通りや!」と言って、カレーとしてジャンジャン売りつける出版社、
特に岩波書店や慶應義塾大学出版会のような学術出版社の責任である。




連中は一体、何を考えて糞を売るのだろうか?
大手出版社なら利益優先ということもあり、まぁある意味仕方あるまいともフォローできる。

占いやオカルトのようなものまで売っているわけだから、
彼らにとってはグレーゾーンの本を売っているつもりなのかもしれない。


だが、学術出版社には、より強い社会的責任があり、
その本の妥当性をチェックする義務が生じるわけで、彼らに対して甘えは許されない。



実際、通常の学術書は、まず本にしてもらうだけで結構、苦労するものだ。
(大抵は、有名な研究者との面識が必要になったり…おっと)



ところが、池上彰氏や佐藤優氏などのカレー論者に対してはご覧の通りだ。
社内で論争なり対立があったのかもしれないが、これはあまりにも…である。


特に岩波書店は、岩波新書として『従軍慰安婦』や『南京事件』などの
極右に攻撃されている本を売っているが、池上氏の本も岩波新書から売り出している。


これは、高級料理のフルコースの中にカレー味の糞が混じっているようなもので、
普通の料理店なら、問答無用で店を潰されるレベルの失態を犯している。



まぁ、このような失態は大手出版社にも通じるものだ。

とはいえ、彼ら出版社の社会的罪は相当重いものだろうが、
社会的罪というものを言えば、池上氏のそれには遠く及ぶまい。



ネトウヨサイトにせよ、WAC新書にせよ、それは右翼をターゲットにしたものだ。


他方で、池上氏の番組は、
お茶の間の家族をターゲットにしてゴールデン・タイムに放映される。



これもわかりやすく、かつ下品に例えれば、

前者は小便を個人宅の湯船にするようなもので、
後者は小便を銭湯の風呂にするようなものだ。



知らず知らずのうちに小便入りのお湯に浸かっている。

(この場合、前者には「小便湯」という立て札が立てられていると考えて頂きたい。)


これがどれだけ厚顔無恥なことなのか、想像して欲しい。


というわけで、私は数ある右翼論者の中でも、
その影響力や悪質さにおいて、池上氏を特に非難しているのである。


一応、フォローすると、彼の言葉の何もかもが嘘ではない。

むしろ、彼の場合、中途半端と言おうか、
肝心の事実をあえて言わないことで結果的におかしな意見になっていることが多い。


カレー味の糞を、「これはカレー味です」という一方で、
「これは糞です」とは決して言わないと表現すればわかりやすいだろうか?


それは、カレーだと思う人間にとっては彼が左翼に見えるし、
カレーではないと気づく人間にとっては彼が右翼に見えるのである。



で、スーパーの試食コーナーでおばちゃん達がニコニコ顔で
その「カレー」を売り、子どもたちが喜んで食べている以上、
そらアカンやろと声を大にして文句を言うのは、あるべきアクションだと思う。

全く懲りていない池上彰(デタラメだらけの反日論)

2015-08-22 23:47:32 | マスコミ批判
性懲りもなく、また池上彰が反日特集をゴールデンタイムに流していた。

池上によれば、従軍慰安婦問題、強制連行問題で
事実をそのまま語ることが反日行為にあたるらしい。



語る言葉は極右の言い分をそのままコピーしたものばっかり。正直あきれた。



①河野談話について

 池上は河野談話を「慰安婦を強制連行した」ことを認めたと説明し、
 その後、強制連行の証拠が発見できなかったことがわかったと述べたが、

 これ自体が大きな間違いだ。

 河野談話の全文を下に示そう。


「いわゆる従軍慰安婦問題については、政府は、一昨年12月より、調査を進めて来たが、
 今般その結果がまとまったので発表することとした。
 

 今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、
 数多くの慰安婦が存在したことが認められた。

 慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、
 慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、
 旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。

 慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、
 その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、
 更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。


 また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。
 
 なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、
 朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、
 その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。
 
 いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、
 多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。

 政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、
 いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり
 癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。

 また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、
 有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。
 
 われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、
 むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。

 われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、
 このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さない
 という固い決意を改めて表明する。
 
 なお、本問題については、本邦において訴訟が提起されており、
 また、国際的にも関心が寄せられており、政府としても、今後とも、
 民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい。 」

(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/kono.html)


そもそも、河野談話では甘言、つまり誘拐や略取、人身売買等の行為を指して
「強制」と称しているのであって、池上の述べる強制とは意味が違う。


河野氏は次のように語っている。

「本人の意思に反して集められたことを強制性と定義すれば、
 強制性のケースが数多くあったことは明らかだった」

「こうした問題で、そもそも『強制的に連れてこい』と命令して、
『強制的に連れてきました』と報告するだろうか」

「当時の状況を考えてほしい。政治も社会も経済も軍の影響下にあり、今日とは全く違う。
 国会が抵抗しても、軍の決定を押し戻すことはできないぐらい軍は強かった。
 そういう状況下で女性がその大きな力を拒否することができただろうか」


つまり、談話で述べられているのは、いわゆる「広義の強制性」というものだ。
それに対して池上が述べているのは「狭義の強制性」であり、談話を誤読している


しかも東京裁判や米英中のBC級裁の記録などから
強制連行を示す公文書が次々と発見されたことを一言も語っていない。




ちなみに、専門家たちが立ち上げた慰安婦サイトでは次のように述べられている。



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ブッシュ政権の時に国家安全保障会議上級アジア部長を務めたマイケル・グリーンさんは、
「永田町の政治家達は、次の事を忘れている。
〈慰安婦〉とされた女性達が、強制されたかどうかは関係ない。
 日本以外では誰もその点に関心がない。
 問題は、慰安婦たちが悲惨な目に遭ったと言うことだ」

(『朝日新聞』2007年3月10日)と語っています。



誘拐事件が起きた時、暴力的に連れ去ったか、
騙して連れ去ったか、そんなことは問題になりません。

連れ去った先で監禁拘束すれば、最初の連れ去り方は誰も問題にしません。
どちらの連れ去り方でも刑法上の犯罪としての重さは同じです。

騙して連れて行っただけだから、悪くないのだ、
などと言う者がいれば、みんなから何を愚かなことを言うのだと非難されるだけでしょう。



女性を軍慰安所に監禁し、「性的奉仕」を強制したこと、
国家機関が、そうした制度を作り、女性を集め、運営し、
それを公認したこと、そうしたことこそが大問題なのです。



http://fightforjustice.info/?page_id=2433
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グリーン氏が述べるように、慰安婦問題で問題なのは、
慰安婦を集めてくることを「命じた」という事実、
慰安婦が自分の意思で拒否することが出来ず拘束された事実であって、
どのように連れてきたかはサブの問題である。


これら専門家間の共通見解に反して、池上は
安倍をはじめとする右翼の主張をそっくりそのまま述べただけ
。これが解説か。



②反日という言葉の恣意的歪曲使用

 今日(2015年8月22日)の池上のニュース番組では、
「反日」と言う言葉が非常に曖昧に使われていた。


例えば、教科書問題に言及することが「反日」になったかと思えば、
番組の後半では単に日本が好きだという感情で「昼は反日、夜は親日」と説明しており、
日本政府に対する反発なのか、日本人に対する反発なのかも曖昧にしている。



要するに、日本と対立すれば反日で、協調すれば親日になるらしい。

池上によれば、戦後の日韓関係は、
軍事独裁政権時は協調、民主化直後は対立、
アジア危機から2012年までは協調、李明博竹島上陸後からは対立になっているそうだ。


ア ホ かと言いたい。

日韓共同でワールドカップを主催した時から、
日本には今で言うネトウヨがウジャウジャいたし、
嫌韓流をはじめ、韓国を攻撃する本は2000年代にいくらでも存在した。


ネットにも韓国を攻撃するネトウヨサイトはいくらでもあった。
池上は2000年代の出来事を忘却しているのだろうか?

韓ドラやK-POPを脳を汚染する毒物として嫌悪している人間は多くいたし、
そういう連中を批判する韓国人だっていくらでもいた。池上は寝てたのだろうか?


そもそも、慰安婦問題や強制連行問題等の日本の戦争犯罪を
教科書に明確に記述するように求めることのどこが反日なのだろうか?


それは「慰安婦などなかった!」「日本の戦争は正しかった!」と思わなければ
到底、頭に思い浮かぶことの無い発想である。



慰安婦たちが日本政府に対して訴えを求めるようになったことを
「皮肉にも」民主化が原因で「反日」(!)になったと説明する池上は頭がおかしい。

彼の理屈に従えば、原爆投下でアメリカを非難する日本人は
アメリカが嫌いな反米主義者ということにされてしまう。



当然だが、原爆投下を批判しつつも日常ではアメリカに好意的な日本人は多くいる。

多くの日本人はロックや映画を楽しみながらも、
アメリカが空襲で多くの民間人を殺害したことは知っている。

「それはそれ、これはこれ」ということだ。

韓国人も同様で、知人の留学生も日本の植民地支配を研究しているが、
私をはじめとする日本人ともフレンドリーに接するし、食事だってする。


歴史認識や領土問題で彼らが非難しているのは「日本政府」の態度であり、
「日本人」そのものではない。当たり前の話なのだが、右翼はその辺りを理解しない。


だから「昼は反日、夜は親日」と言った言葉も池上は簡単に吐ける。

この言葉は、『韓国 反日感情の正体』という本のキャッチコピーなのだが、
同書を執筆した産経新聞記者の黒田勝弘氏は、次のように書いている。


「韓国に長く滞在したり居住する日本人の多くが言うことだが
「韓国でテレビや新聞(近年はこれにネットも加わるが)を見なければ
 こんなに楽しい国はないよねえ」という話がある。

 これは何を意味するかというと、韓国社会では日常的には
 反日を感じさせられることは実はほとんどないということだ。

 メディアにあふれる不愉快な反日さえ知らなければ、
 日常的には反日は無い(?)に等しいのだ。」


当然である。

日本でも新聞、テレビ、ネットを除外すれば、職場や学校で
ひっきりなしに「竹島は日本の固有の領土」「朝鮮人死ね」と言われていないように、
日常では、どこの国でも政治ネタ、差別ネタはあまり出現しないのである。


アメリカ人やフランス人、イギリス人の留学生と話したこともあったが、
このサイトでよく述べる中東・アフリカへの各政府の軍事干渉について
「イギリス人は現地人に謝れー」などとは言っていない。当たり前の話だ。

池上や黒田氏はある国の政府に対して非難を行う人間が、
その国の人間に対してまで暇さえあれば攻撃していると本気で思っているのだろうか?

常識的に考えてありえない話である。



このように日本人に対する民族差別という意味の「反日」と、
大日本帝国の植民地主義・戦争犯罪を認めようとしない日本政府を批判する意味での
「反日」(笑)を混ぜて、あーだこーだ言っているので、おかしなことになっている。


大体、この前の反日特集で、韓国人の誰もが反日であるかのように
捏造VTRを作っておきながら「夜は親日(ドヤァ)」はないだろう。


自分で自分の過去の主張を否定している。
本当に物忘れが激しくなったのかと心配になってくるほどだ。


ついでに言えば、竹島の問題が急に取り上げられるようになったのも、
「竹島の日」なるものを島根県が勝手に設けて日本の領土だと煽ったのがきっかけである。

池上は、反日や親日の原因を韓国国内にのみ求め、
日本政府や日本社会の右傾化について全く触れようとすらしない。


もう一度言う。これが解説か?


③慰安婦問題は解決済み?


 池上の凄まじいところは、産経の記者の言葉を鵜呑みにするだけでなく、
 日韓友好条約で慰安婦問題は解決済みという右翼の見解をそのまま語っていることだ。




「日韓基本条約で「請求権の問題は解決済み」とする安部政権の見解を
 そのまま伝えて「そもそも、訴えなど無駄なんですよ(ドヤァ)」と述べていたが、


超基本的事実として、韓国政府は2005年まで
一貫して日本政府に金銭要求はしてこなかった。



ところが、2005年に日韓基本条約の交渉過程を明らかにする関連文書が公開され、
その結果、日本が朝鮮半島で行った投資などの財産権、両国政府・国民の請求権に
関する「外交保護権」を放棄しただけで、個人が所有する請求権は消滅しないこと、
同条約が「慰安婦」などの人権問題を解決したものではないことが明らかになった。


(外交保護権とは、
 自国民が一般に外国においてその身体や財産を侵害され,損害を受けた場合に,
 自国に対する侵害とみなし,相手国の国際法上の責任を追及する権利のこと)



また、日韓請求権協定第3条1項では、協定の解釈や実施について紛争が生じた場合、
「外交上の経路を通じて解決する」と規定している。

このフレーズをネタに韓国の市民団体が憲法裁判所に提訴し、
同裁判所は韓国政府が日本政府と交渉しないことを違憲と判断した。




以下、その判決文だが、よく読んで欲しい。



---------------------------------------------------------------
求人らの日本国に対する損害賠償請求権が
消滅したかどうかの可否については、見解が分かれている。


万一、韓日請求権協定が、
請求人らの日本国に対する損害賠償請求権を消滅させるのならば、
請求人らの財産権を保障する義務を負う国家が、
請求人らの財産権を消滅させる条約を締結したことになる。


そして、韓日請求権協定が、請求人らの日本国に対する損害賠償請求権を
消滅させるものではないとしても、請求人らは、日本国に対する
損害賠償請求権を行使することが、韓日請求権協定によって阻止されている。


したがって、大韓民国は、請求人らの日本国に関する損害賠償請求権行使が、
韓日請求権協定によって妨害される違憲的な事態を解消させるために、
韓日請求権協定第3条に従って日本国を相手に、
外交的交渉や仲裁手続きを推進する義務を負うと見るのが妥当である。


そして、このように大韓民国が日本国と締結した韓日請求権協定が、
請求人らの日本国に対する損害賠償請求権の行使を遮っている以上、
そのような条約は請求人の基本権を侵害すると見ることもできるが、

日本国の植民地統治に因って、大韓民国の国民が日本国に対して
有する請求権を一括的に妥結するために、大韓民国政府が日本国から3億ドルを受け取って、
国民の日本国に対する請求権を代わりに補償しようとしたものと理解するならば、
そのような条約が憲法第37条第2項に違反すると断定するのも難しい。


ただし、そのように善意に理解しても、大韓民国政府は韓日請求権協定を締結して、
日本国から無償資金3億ドルを受け取り、国民らが日本国に対して
損害賠償請求権を行使できないように協定することで、
日本国に対して損害賠償請求権を行使できなくなった国民らに対して、
その損害を補償する義務を負うと見ざるをえない。


大韓民国は日本国から無償資金3億ドルを受けた後、
1966年2月19日、「請求権資金の運用及び管理に関する法律」を制定したが、
被徴用死亡者の補償をしただけで、
請求人らのような日本軍慰安婦は補償の対象に含まれなかった。

そして、1993年 6月11日、
「日帝下日本軍慰安婦に関する生活安定支援法」を制定し、
日本軍慰安婦に生活安定支援のための一時金と、毎月の支援金を支給し、
賃貸住宅への優先賃貸、生計給付、医療給付、看護人等を支援して来たが、
請求人らの日本国に対する損害賠償請求権をまともに満足させるほど、
充分に補償したと見るのは難しい。

したがって、大韓民国は韓日請求権協定第3条に従って、
日本国を相手に外交的交渉や仲裁手続きを推進し、
韓日請求権協定の違憲性を除去する義務があるだけでなく、
韓日請求権協定に因って、請求人らが日本国に対する損害賠償請求権を
行使できなくなった損害を、完全に補償する責任を負うと宣言しなければならない。

http://www.wam-peace.org/wp/wp-content/
uploads/2011/09/64e1569fcbc532fd1df34f353e7e7f09.pdf


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このような経過と理屈があるのだが、池上は凄まじいことに
韓国の裁判所は法律より民衆の空気を読んで判決する
という物凄い暴論を述べ、正当性がないと結論付けた。



請求権そのものは消えていないというのは日本政府すら認めていることだ。
一体、何が気に食わないというのだろう?
(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-28/2014012802_03_1.html)

韓国の司法はレベルが低いんだ!だからこんなトンデモ判決が下りたんだ!と決め付ける。
これもヘイト発言の一つなのでは?



以上、この他にも、まぁ出るわ出るわ、もはや右翼のご意見番となっている。

結局、彼も安倍談話と同様、終戦記念日の際に流した番組では
「日本軍のせいで多大な犠牲が~」とかいかにも反省しているかのように述べる一方で、
腹の内では「大日本帝国の戦争犯罪を問う=反日」と思っているのだろう。


よく考えれば、あの櫻井くんと共演した番組でも、
被害者としてクローズ・アップされるのは日本兵だけで、
海外のアジア人・欧米人に関してはなーんにも触れていなかった。


被害者の側面だけを強調する歴史観は安倍と何ら変わらない。
今からでも、岩波はあんな合法詐欺師とは手を切るべきだ。『世界』の質が下がる。


池上に関して真っ先に言いたいのは、先日の反日特集番組において、
意図的な改善を行ったことについて一切、謝罪をしていない
ことだ。


謝罪したのはフジテレビでドヤ顔で解説した池上は知らん振りというのは
ジャーナリストとしてどうなのよと私は思うのだが……いかがだろう?


なんだか文句しか言っていないが、これは本当に、アメリカで
「アメリカの原爆投下は正しかったのに日本人は反米だから理解できない」
「でも、お隣の国だからお互い、仲良くしようよ!理解しあおうよ!」と
いけしゃーしゃーとほざくデマゴーグがアメリカ随一のジャーナリストと
絶賛され、左翼雑誌にも引っ張りだこになってているようなもので、本当にヤバいのである。



メディア研究者や歴史研究者の方は池上彰のやりたい放題の合法詐欺について
少しは文句をつけていいと思うのだが……

南北朝鮮、会談中

2015-08-22 19:15:19 | 北朝鮮
会談の席が設けられて本当によかったと思っている。

アメリカは、わざわざ米韓軍事演習の一時中断を報じたが、
これは北朝鮮に歩み寄ったというわけではなかろう。


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米韓の戦闘機が土曜、韓国の対北朝鮮心理戦装置を攻撃する
という北朝鮮の意図を抑制するため、演習を行った
。聯合通信より。


韓国に配備されている米国の戦闘機F16が4機、
韓国の戦闘機F15Kが4機参加し、敵の標的を空爆する練習が行われた。


「韓国と米国の統合軍の威力を誇示する目的の演習だ」と韓国当局。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/politics/20150822/786314.html#ixzz3jXOtYLF2

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百歩譲って韓国側の情報が正しかったとしても、
北朝鮮が2発の砲撃であるのに対して向こうは数十発。

両国が緊張している今も、政府は上のような態度。
どう考えたって挑発しているのは韓国のほうだ。


……という意見は私だけが持っているようではないようで、
中国の呂超・遼寧省社会科学院韓国・北朝鮮研究センター主任、
中国社会科学院の王俊生研究員は次のように話している。


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情況からして、北朝鮮がわざわざ木箱地雷を埋設したようには見えないが、
 韓国は兵士が負傷しており、対北放送を再開した」

「しかし、全体的には、衝突が拡大する可能性はあまりない」と述べた。


呂主任は、その根拠に死傷者が発生しないように両方が砲射撃を行った点や、
現在朝鮮半島で軍事演習の乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン(UFG)が行われている点、
北朝鮮が9月9日の政権樹立日と10月10日の朝鮮労働党創立記念日などの主要行事を控えている点、
9月3日の中国の抗日半ファシスト戦争勝利70周年記念行事が差し迫った状況を挙げた。


中国社会科学院の朝鮮半島問題専門家である王俊生研究員は、

「南北ともに全面戦争は望んでおらず、大小にかかわらず、衝突の可能性は低いものと見られる」

とし
今回の事件では、あまり意味のない対北宣伝放送を再開した韓国側に、
 より大きな責任があると思われる

と述べた。

(中略)

中国の呂主任と王研究員は、

まず韓国が対北朝鮮拡声器放送を中止して自制すれば、
 事態がこれ以上大きくなることはないだろう
」と述べた。

http://japan.hani.co.kr/arti/international/21695.html
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ロシアのニュースサイト『スプートニク』は、より強烈な非難記事を載せている。
紹介されている専門家(ゲオルギー・トロラヤ氏、ヴァシーリン・カーシン氏)の意見は
いずれも傾聴に値すると思われるので、以下、スプートニクのオピニオン記事を紹介する。



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北朝鮮の指導者、金正恩氏は戦車による攻撃準備を完全に整えるよう命じた。

前日の20日、北朝鮮の即応砲兵隊は韓国領内に設置されている
反北朝鮮プロパガンダ用の拡声器に向かって、砲撃を行なった。


そもそも南北朝鮮は2000年代の初頭、韓国に民主主義者らによる政権が誕生し、
両国間の関係が急激に改善されたときに、38度線付近でのプロパガンダを停止していた。


ところが2008年、
韓国政権に保守主義者が返り咲くと、北との関係はうまく運ばなくなる。


パク・クネ大統領は関係改善への意欲を何度も口にしてはいるものの、
これが本当だとすれば、韓国がプロパガンダ再開に踏み切ったことは一層理解に苦しむ



ロシア科学アカデミー、経済研究所で朝鮮プログラムを率いる
ゲオルギー・トロラヤ氏は、これはパク大統領の北京訪問準備と関連があるとの見方を示し、
次のように語っている。



韓国はまたしても北朝鮮を傷つけたいがために、
 中国に対して北朝鮮のふさわしくない行為の問題を突きつけ、
 中国が北朝鮮に圧力を講じるよう要求している。

 今回のケースでは、南北朝鮮間で砲撃合戦があったばかりであり、
 韓国軍も戦闘準備態勢をとらされている以上、
 この要求は特にアクチュアルなことに思えるだろう。

 この事実を韓国は自分の側に中国を引き入れ、
 その助けを借りて北に秩序を求めるために利用すると思う。


こうした作戦は危険なものといわねばならない。
なぜならこれは毎回、南北朝鮮を戦争開始の瀬戸際に追いやるものだからだ。


ロシア人軍事専門家のヴァシーリィ・カーシン氏は
ラジオ「スプートニク」からのインタビューに答え、戦争の可能性を次のように語っている。


「地域限定的な小競り合いの軍事紛争が起きる可能性は朝鮮半島には常に存在している。
 通常これは境界線付近で、短期間の砲撃合戦、軍艦の衝突という形で起こりうる。

 だがこれより大きな事態も、現場を監督する者のミスや、
 何らかの非常に悲劇的な偶然がきっかけとなって起きてしまう可能性はある。

 なぜなら南北の政治指導部が著しい軍事行動を起こせという命令を
 出すことはまずありえないからだ。」

スプートニク:それでも金正恩氏は自国軍に対し、
       38度線全域で戦闘準備体制を高める命令を下したではないか?


これは北朝鮮にとっては通常の実践だ。
 金正恩氏が戦闘準備体制を高める命令を下したことは過去にもあった。
 
 朝鮮半島で大きな危機が起きた2013年もそうだ。
 この時、金正恩氏は、ミサイルの発射準備態勢にまで用意させていた。
 これは北朝鮮にとっては他の国と同様、外交レベルで激しい抵抗を表現する手段なのだ。
 だが、正恩氏が何らかの大規模な軍事作戦の実行を真剣に検討しているとは、私は思わない。

 正恩氏は、軍事境界線近くの韓国の延坪島(ヨンピョンド)での砲撃戦のような、
 地域限定的な紛争では部分的勝利を収められるとしても、
 大規模な紛争では負けることを理解しているからだ。


スプートニク: だが、もし戦争という事態に発展した場合、
        韓国が勝利に支払う代価はどういったものになるだろうか?

「大規模な紛争になれば、これは地域全体にとって、
 特にロシアの沿海地方にとってカタストロフィーとなると思う。
 北朝鮮には戦闘能力を有する航空隊はなく、それに陸上の軍事機器もいい状態にはない。
 そのかわり軍事境界線から北にかけ、大量の大砲と弾道ミサイルが配備されている。

 このほか、北朝鮮は、トンネル、シェルター、倉庫といった地下設備が
 縦横に張り巡らされた山岳地帯での戦争訓練を受けた軽歩兵団を大多数用意している。

 このため、北朝鮮は韓国の、そしておそらく
 日本の民間施設に非常に手痛い攻撃を行うことができる。

 北が核兵器を使わずともおびただしい数の犠牲が出る危険性がある。

 こうなれば米韓が北へと攻撃を開始するだろう。とはいえ、連合国は直ちに、
 ほぼ一瞬にして北の海、空軍機を殲滅し、戦車や機甲部隊に多大な損害を与えるだろう。

 それでも米韓軍は起伏に富んだ地形や見事に訓練された北の歩兵隊を相手にしては、
 そう簡単に進軍はできなくなる。


 おそらく、北は最後の最後まで戦いぬくだろう。
 なぜなら北朝鮮には、ばら色の非共産主義的未来が到来してしまった場合、
 活路を見出せない人があまりに多く、何百万人といるからだ。 

 これは特務機関、将校、国家、党の機関に勤務する人間であるし、
 また技術インテリゲンチヤのかなりの部分がそうだ。


 このため米韓が北朝鮮を相手に殲滅を計っても、
 これがどれほどの期間続くかを予想することは全く出来ない。
 
 一方で北朝鮮の食糧備蓄には限りがある。
 これはつまり中国北部と沿海地方は夥しい数の難民に直面するということを指しており、
 その多くは武装している可能性もある。

 結果として我々は人道危機に陥るであろうし、
 これは北東アジア全体を覆い、何年にもわたる危険性がある。

 もしこの紛争で核兵器、化学兵器などが使われることがあれば、
 これはもう目を覆う事態となってしまう。

 朝鮮半島で大規模な紛争が起きれば、
 あらゆる方面にとってカタストロフィーとなることを
 万人がよく理解している以上、こういう事態に達することがないよう願うしかない。」


だが、この期待も現段階ではかなりぼんやりとした形であることも指摘しておかねばならない。
韓国が北朝鮮を煽動したくないのであれば、なぜ反北朝鮮プロパガンダの再開を宣言したのだろうか?

続きを読む http://jp.sputniknews.com/opinion/20150821/784850.html#ixzz3jXTp90Qi
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日本では、北朝鮮の記事と言うと、とにかく北朝鮮を非難するものばかりで、
朝日新聞にいたっては「相手の側に立って考えろというけど、北朝鮮の考えは
絶対に理解できない」といった意見をコラムに書いてしまうほどだ。


翻って、アジアを視点に向けると、意外と北朝鮮の擁護意見はよく見られる。
ロシア・中国は言わずもがな、東南アジアにも理解を示す専門家はいる。


それに対して、日本や韓国に目を移せば、いわゆる左翼系であるはずの新聞でさえ、
とりあえず韓国が正しいことを前提にして、北朝鮮に自粛を要求している。

軍事境界線の北朝鮮挑発、厳然かつ抑制ある対応を


こういう状況を見る限り、自国の新聞だけを読むのではなく、
他国のメディアにもアクセスして多角的に思考することが要されるのだろう。

北朝鮮、準戦時体制に

2015-08-21 19:17:13 | 北朝鮮
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の指導者、金正恩氏は
朝鮮人民軍に対し、21日17時より戦車による攻撃準備を完全に整えるよう命じた。

聯合ニュースが朝鮮民主主義人民共和国中央ラジオの報道を引用して報じた。

これに対して韓国は、21日に明らかにされた同国国防相の声明によれば、
両国を隔てる境界線付近でおきた軍事事件に関連し、この先、状況が
エスカレートした場合は「過酷な報復」を行なうとして北朝鮮を威嚇した。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/world/20150821/782059.html#ixzz3jRU3mYZs


今回の事件、ほぼ全ての情報が韓国軍・政府経由なので、
本当に北朝鮮が先制攻撃してきたかどうかは非常に怪しいところ。


朝鮮新報によれば、20日17時に北朝鮮政府は、
48時間以内に拡声器放送を破壊しなければ攻撃を行うと最後通牒を送っている。


逆に言えば、北朝鮮が攻撃を仕掛ける場合には、
前もって、攻撃が予告される
わけで、突然砲撃することなどあるだろうかという話。



北韓合同調査を行うべきだと思うが、最悪の場合軍事衝突に至るかもしれない。

北朝鮮としては拡声器の破壊だけを望んでいるだろうが、
韓国としては勝てる戦を見逃すはずもなく、この機会に一挙に攻め入るかもしれない。
(なにせ、近年のパク政権の反北姿勢はあまりにも強硬すぎるし、
 このような事態のために年がら年中軍事演習をアメリカと行っているわけであるし)


キューバ危機の場合、双方の国家元首がお互いに譲歩(というよりソ連が折れた)して、
何とか軍事衝突が回避されたが、今回はどうだろうか?


杞憂に終わるのであれば、越したことが無いが、
中国やロシアが北朝鮮を、アメリカが韓国を説得しない限り、
どちらも振り上げた拳を下ろしづらいのではないかと思う。


まぁ、アメリカがやめろと言えば、韓国はすぐやめるのだけれど、
最悪の場合、すでにアメリカからお許しを受けているのかもしれない。


いずれにせよ、明日、全てが決まる。

個人的にはパククネが拡声器を撤去するわけがないから、
小規模な衝突が勃発して、キリの良いところで終わらせるという
数年前の事件のようになるのではないかと危惧している。


・追記

韓国の朴大統領は21日、ソウルから約40キロの龍仁市(ヨンインシ)にある
軍の司令部を訪れ、北朝鮮側からの新たな挑発があった場合に対応できるように
態勢を整えておくよう指示した。


朴大統領は、
「私たちは、我々の兵士や他の民間人の安全を脅かす北朝鮮の挑発を容認することはできない」
と語り、北朝鮮のあらゆる挑発行為に即刻かつ厳格に対応する態勢を整えておくよう軍人に呼びかけた。


20日、北朝鮮と韓国が非武装地帯西部地域で互いに砲撃し合い、朝鮮半島情勢が著しく緊張した。
韓国側の情報によると、最初に砲撃したのは北朝鮮で、
韓国が北朝鮮向けのプロパガンダ放送のために使用している拡声器を狙ったとみられている。


なお北朝鮮は、北朝鮮軍が最初に砲撃したとの情報を否定している。

(続きを読む http://jp.sputniknews.com/world/20150821/783610.html#ixzz3jRqFEkuk)


やっぱりなというのが正直なところ。
地雷にせよ、ハッキングにせよ、証拠を提示せず
やったやったとイチャモンをつけてばっかりで何ともはや……


第二の満州事変でも起こすつもりなのだろうか?
ぜひとも北朝鮮には挑発に乗らず自粛してもらいたいのだが……
このままだと本当に本格的な攻撃が始まりそうで不安である。

北朝鮮が先に砲撃したと言うけれど・・・

2015-08-20 19:27:45 | 北朝鮮
正直、怪しいもんだ。

(韓国は北朝鮮側に対し、数十発の発砲を行なった。
 聯合ニュースが韓国軍の発表を引用して報じた。

 これまでの聯合ニュースの報道では、
 朝鮮民主主義人民共和国との境界の38度線の西側で
 北朝鮮の兵士らが韓国の兵士の陣営に向けて発砲したことが明らかにされていたものの、
 韓国軍は、韓国側は応戦していないとする声明を表していた。

 状況の詳細は現在のところ明らかにされていない。

 北朝鮮側からの発砲を受け、韓国は38度線付近の居住区の住民に対し、避難勧告を行なった。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/asia/20150820/774746.html#ixzz3jLm9Pzys)


日本のメディアは韓国の反日(笑)ばかり取り上げているが、
実際は、現韓国政府の反北朝鮮の姿勢のほうが凄まじい。

北朝鮮に少しでも好意的な政党はニセのクーデター事件をでっち上げて解党。
北朝鮮に少しでも友好的な態度を示す人間はスパイ扱いして国外追放。


ある高官の姿が見えないだけでキム・ジョンウンが処刑したのだと決めつけ、
地雷で兵士が負傷すれば、北が埋めたのだとわめき散らす。


どれも確かな証拠が無いのにいつのまにか絶対の真実にされている。これが今の韓国である。


もちろん、このような自国の右傾化に警鐘を鳴らす人間もまた存在する。
以下の記事は去年の12月に掲載されたものだが、改めて紹介する価値があるだろう。

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南のインターネットサイト「メディア今日」が4日、
南の人権問題を論じた平和民族文化研究院チョン・サンモ理事長の寄稿文を掲載した。


以下は、その要旨。


「大同江ビールがおいしかった。北の河川は水流がきれい。
 この発言が北を鼓舞賛美することになるのでしょうか」

-2011年から2013年まで5回にわたり北を訪問した在米同胞シン・ウンミさんは
 自身を取り上げた韓国保守メディアの「従北」批判報道に反論した。

保守ディアは「地上の楽園」、「三代世襲賛美」、「労働党の指令を受けて活動した」など、
本人が述べていない言葉をでっち上げ、「従北」批判、「魔女狩り」を行った
というのがシンさんの主張だ。彼女は名誉毀損で関連報道機関をソウル中央地検に告訴した。



韓国では「従北」狩りの旋風が常に吹き荒れている。

昨年、インターネットの「従北-自己採点」サイトが話題になったのは、そのためだ。
このテストは34の設問をすべてクリアしてようやく
「おめでとうございます。あなたは大韓民国の誇らしい愛国市民です」
というメッセージを受けることができる。


「従北」というレッテルが恣意的に張られる世相を風刺したのだ。
テストでは「大韓民国は民主共和国である」という設問に「はい」と答えると
「従北」と判定され、ゲームオーバーとなる。


このような「従北」風刺を笑って済ますことはできない。
その弊害があまりにも大きく深刻だからだ。


「従北」狩りは社会的処罰や排除、追放のメカニズムとして作用し、
北に対する敵対心と糾弾だけを強要する。保守政権への批判も「従北」と判定される。


このようなファッショ的社会で民主主義と人権が守られるだろうか。
「従北」狩りは、民主主義と人権を飲み込む「ブラックホール」のようなものだ。

国連総会の第3委員会で「北人権決議案」が通過したのをきっかけに、
韓国国会でも「北人権関連法」制定の動きが速まっている。

しかし北の人権を問う前に、韓国の人権は大丈夫なのか、そのことに関心を払うべきである。



シンさんは保守メディアの「従北」狩りによって表現の自由が侵害されたとして、
国連人権委員会や国際アムネスティなどに韓国の現状を訴える行動も計画しているという。


彼女は「政府は保守団体の対北ビラ散布を表現の自由だと擁護するのに、
なぜ私たちが企画した統一コンサートの開催は保障しないのか」と述べ、
表現の自由が侵害されたと主張している。


政府与党が「北人権法」を進める意図は「北崩壊」にあるとの指摘がある。
「北の急変事態」は朝鮮半島における戦争など危険な事態に連なる。


人権を語るとき、われわれが忘れてはならないのは、
生命権こそ一番最初に絶対保護しなければなら人権だということだ。
民族の生存権を保障する朝鮮半島の平和と安定の実現こそが、われわれにとっての最優先の命題だ。

「北人権法」が「北の崩壊」をねらったものであるならば、
それは南北間の対決と緊張、危機をもたらし、
人権増進どころか、むしろ民族の生存権を脅かす。


民族の人権状況を本当に憂うのであれば、
核問題の平和的解決と朝鮮半島の平和体制樹立こそ急いで推進しなければならない。

「従北」狩りと「北人権法」によって南北間の対決と
南内部の葛藤を煽る悪循環、負のスパイラルは断ち切らねばならない。

http://chosonsinbo.com/jp/2014/12/sinbo-j_141215-3/
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残念ながら、このような動きはますます勢いが増している。
今月の地雷事件に関するスプートニクのオピニオン記事を読んでみよう。


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韓国軍の2人の軍人が、南北朝鮮間の事実上の国境になっている
非武装地帯の自分達の担当区域をパトロール中、地雷を踏み重傷を負った事件は、
朝鮮半島における緊張を新たに高めるものとなった。


韓国軍側は「これは犯罪的挑発であり、まさに先制攻撃である」とし
「すべては北朝鮮に責任がある。8月17日に開始予定の米韓合同演習
『乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン(UFG)』の実施取り消しを求める
北朝鮮側の脅迫行為だ」と非難している。



しかし、事件のそうした解釈は、多くの疑問を呼び起こしている。

なぜなら事件直後の4日、軍事消息筋は、韓国の通信社、聯合(ヨンハプ)ニュースに対し
この事件は、恐らく多くの確率で、あの時期降り続いた豪雨がもたらしたもので、
 非武装地帯全体に埋設された何千もの対人地雷のうちの一つが雨に洗われ露出し、
 事件現場に流された
」との見方を示している。


軍事消息筋の言葉によれば
もし地雷が北朝鮮により正しく埋設されていたなら、
 軍人は、足の一部だけではなく、命を失っていただろう
」とのことだ。


また韓国のテレビKBSも、この事件に北朝鮮が関係している可能性は低いと報じている。
テレビ局のデータによれば、非武装地帯で対人地雷が爆発し、
軍人2人が重傷を負ったという同様の事件が、2000年にも生じており、
また地雷に関係した小さな事件は、これまでも定期的に起こっている。



それにもかかわらず、一週間後、韓国当局は、これまでの見方を根本的に変え、
事件の責任はすべて北朝鮮側にあると非難し、首謀者や組織者を一方的に特定さえした。


韓国情報部によれば、地雷設置の指揮を取ったのは、
北朝鮮人民軍偵察総局長キム・ヨンチョル将軍だとの事だ。

彼は「挑発活動」後まもなく、四つ星将軍という称号を得ており、
韓国諜報部は「彼の昇進と地雷事件の発生が、単なる偶然の一致であるとは思えない」
と指摘している。


しかし、韓国当局は、結論を急ぎ過ぎているのではないか? 

ラジオ・スプートニク記者は、
ロシア科学アカデミー極東研究所コリア調査センターの
コンスタンチン・アスモロフ主任研究員に話を聞いた―



「この事件の被害者が重傷を負った、まさにその事が、
 韓国の軍事消息筋の解釈変化に影響を及ぼしたと考えている。

 なぜなら事件が起きたばかりの時、韓国軍は、
 かなりはっきりと『北朝鮮側が関与した形跡はない』と言っていたからだ。



被害者への事情聴取や現場での調査も行われており、
そうした発言が簡単になされたものとは思えない。

それなのに一週間後突然、我々は『北朝鮮の仕業』との発表を耳にし、
木造ケースに入った地雷と何かの部品が見つかった事を知った。

それらはなぜか、事件直後には発見されなかったものだった。


一方韓国軍人が負った傷は。かなり重く、その補償問題はかなり大きな問題だった。
それゆえ、この事を一体どう韓国の国民に説明すべきか、との不愉快な問題が持ち上がり、
それで恐らく、すべてを北朝鮮のせいにしようという考えが生まれたのだろう。



私は、北朝鮮側から、あるいは韓国側からの挑発行為といった解釈は信じていない。
多分、今回の事件は、単に偶然の悲劇だったと思われる。

なぜなら、非武装地帯には今も多くの地雷が埋まったまま残っており、
地雷原マップがあっても全く役に立たないからだ。」


大雨により、北朝鮮側の地雷が韓国の管理区域に流れ込んだという出来事は、以前にもあった。
しかしその時の韓国人専門家らの意見は「これは自然災害の結果であり、
意図的な『破壊行為』が北朝鮮に利益をもたらす事は出来なかった。
北当局は、その事を非常に良く理解していた」との点でまとまっていた。


しかし今、韓国当局は、そうしたファクターを考慮する気はないようだ。
国境に、追加の砲兵隊を投入し、宣伝放送を再開させた。

北朝鮮領内の施設に対する攻撃さえも検討されている。


極東研究所コリア調査センターのアスモロフ主任研究員は
「これは、韓国内のここ最近の政治的変化により説明可能だ」と見ている―


「良く知られているように、パク・クネ大統領は、
 右派の保守グループを抑えようと長い間試みてきたが、上手くいかなかった。
『強硬路線』の支持者らは、首相ポストに以前法務大臣を務め、
 北朝鮮と関係があるとの疑いで韓国の左翼政党、統合進歩党を禁止する事によって
 名を上げたファン・ギョアン氏を押し込むことに成功した後、
 まさに攻撃に転ずることに決めたのだ。

今や、誰かのパソコンに北朝鮮建国の父、
キム・イルソンの言葉が見つかったなら、
その理由のいかんを問わず、その韓国市民は、
北朝鮮系組織の支持者として非難される。


そして大規模な米韓合同軍事演習を目前に、
北朝鮮に対する宣伝放送を再開し韓国軍を
完全な戦闘準備態勢に置いている
事もまた、
韓国の右派保守勢力の努力の論理的延長と言えるものだ。



南北朝鮮関係の尖鋭化は、今のところ、何らかの深刻な衝突を呼び起こしてはいない。

ここ最近の発言を見る限り、全体として、事態が、
2013年に起きた韓国の哨戒艦『チョアン』号沈没事件後のように、
ドラマチックに発展するような事はないだろう。

しかし、北朝鮮が以前から、自分達に対する侵略の準備だと受け取っている
米韓軍事演習を目前に、好戦的なレトリックや相互の非難の応酬を強める事は、
どちらの側にも何のよい事も、明らかにもたらすことはない。

朝鮮解放70周年という重要な節目の時を前に、
南北朝鮮の平和的統一の見通しを単に遠ざけるだけである。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/asia/20150814/741284.html#ixzz3jLeajbcp

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日本の右傾化&米国との同盟強化が危惧されているが、
韓国も相当、右翼的で親米(悪い意味で)になっている。


問題は、こういう韓国社会の保守化が
彼ら自身に対して跳ね返っているということだ。




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2015/04/30(木曜) 18:48

韓国・ソウルで反米デモ

韓国の首都ソウルで、デモが行われ、同国からのアメリカ軍の撤退が求められました。


イルナー通信によりますと、韓国市民数百人は、29日水曜、
ソウル中心部に集まり、アメリカ軍の大規模な駐留の終結、同軍の即時撤退を求めました。

抗議者はさらに、「責任者から適切な回答が得られるまで、デモを続ける」と表明しました。

ポチョン市の住民・農民委員会の責任者は、これに関して、
「韓国の市民は、激しい爆発を伴うアメリカ軍の繰り返しの実験への恐怖に溢れた、
 不安定な状況の中で暮らすことに疲れている」と語りました。

さらに、この地域にアメリカ軍が70年間駐留していることについて触れ、
「人々の忍耐は限界に達しており、同軍の即時撤退を求めている」と述べました。

抗議者はさらに、「合衆国軍の本部」と呼ばれている韓国国防省の前に集まり、
アメリカ軍に属するロドリゲス射爆場から発生している環境問題に抗議しました。


ロドリゲス射爆場は、在韓アメリカ軍の重要な基地のひとつで、
1954年に韓国の国境に近いポチョン市に建設されました。

この射爆場は、1300万平方メートルの敷地に建設され、
アジア最大のアメリカ軍の訓練場と見なされており、
両国軍の合同軍事訓練のために使用されています。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/54288-
%E9%9F%93%E5%9B%BD%E3%83%BB%E3%82%BD%E3%82%A6%E3%83%A
B%E3%81%A7%E5%8F%8D%E7%B1%B3%E3%83%87%E3%83%A2

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在韓米軍基地の反対運動は以前から行われていた。
ここから読めるルポも参考になる。



沖縄の米軍基地問題と構造がとてもよく似ている。

アメリカと韓国のタカ派たちが仕掛けたい戦争のために、現地住民が犠牲になっている。



北朝鮮の脅威が騒がれるが、
朝鮮半島で戦争を起こしたがっているのは
実はアメリカと韓国のほうだ
ろう。



・追記

加えて、このようないい加減で強引で無茶苦茶な言いがかりとデッチあげを繰り返していれば、
日本の戦争犯罪に関する韓国の言葉すらその信憑性を疑われてしまうのではないだろうか?


・追追記


案の定、韓国軍は、今回の事件をネタにして警戒態勢を取り始めた。

韓国の全軍最高レベルの警戒態勢に-マスコミ


しかも、パククネは非公式の場で来年に統一することを狙っているような発言をしている。
もはや、いつ満州事変、柳条湖事件が再来してもおかしくない状況だ。

日本の軍拡と南スーダン・シリア その1

2015-08-20 00:48:18 | リビア・ウクライナ・南米・中東
防衛省は十八日、安全保障関連法案の成立を前提に、
自衛隊が新たな部隊運用について資料を作成していたことを認め、
同法案に関する参院特別委員会の理事懇談会に資料を提出した。

南シナ海での警戒監視活動への関与を検討するとしたほか、
南スーダンで国連平和維持活動(PKO)に当たっている自衛隊の業務に、
離れた場所で襲撃された他国部隊などを
武器を使って助ける「駆け付け警護」を追加する可能性に言及している。 


資料は共産党が独自に入手し、十一日の特別委で事実確認を求めていた。
防衛省は十八日の理事懇で、陸海空自衛隊を統合運用する統合幕僚監部(統幕)が、
法案の内容を部隊に理解させるために作成したと説明。

「成立を先取りしたものではない」と強調した。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015081902000132.html



問題の文書は、ここから閲覧&ダウンロードが可能
あわせて古い記事だが、スーダン・エジプト近現代史先行の栗田貞子氏の意見も載せる。


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南スーダンの主権を脅かす自衛隊の派遣


日本はこのような状況の南スーダンに自衛隊派遣を決定しましたが、
この問題はどのようにとらえるべきなのでしょうか。


政府は自衛隊が活動する地域は安全だから問題ない、といった説明を繰り返していますが、
実際には南北間の停戦が破綻し戦闘状態が再燃している状況にある中で、
日本はその一方の国に軍隊を派遣している
のです。



日本が国連平和維持活動(PKO)に参加を決定したときのいわゆる「PKO5原則」
(1. 停戦合意の成立 2. 紛争当事国によるPKO実施と日本の参加への合意 
 3. 中立的立場の厳守 4. 基本方針が満たされない場合は撤収できる 
 5. 武器の使用は命の防護のための必要最小限に限る)は完全に崩壊しています。


自衛隊の海外派遣はそもそも日本国憲法第9条に抵触するといえますが、
今回自衛隊が参加している国連南スーダン・ミッション
(UNMISS; United Nations Mission in the Republic of South Sudan)の性格自体にも、

新生国家の国づくりに「国際社会」が全面的に関与し、
また、それをPKOというすぐれて軍事的な形で、
諸外国の「軍隊」が中心になって押し進めようとしている

という問題性が指摘できると思います。



一国の道路・橋梁建設などを外国の軍隊に任せるということは、
本来、安全保障の観点からすると問題があるはずなのですが、
それを受け入れてしまっている南スーダン政府の側にも
主権意識の鈍化という問題があるのかもしれません。


われわれ日本の市民としては、「自衛隊の派遣先が安全かどうか」ということよりも、
軍隊を送ることで南スーダンの主権を脅かしている可能性があるのではないかという視点から、
自衛隊派遣の問題を捉え返す必要があります。



また、米国は米国アフリカ軍(アフリカ総合司令部)
と南スーダンとの軍事的協力関係を強化しています。


冷戦後のアメリカの世界戦略の再編の過程で生まれた米国アフリカ軍は、
2011年夏にはリビアを空爆してNATOによるリビアへの軍事干渉、
カッザーフィー(Mu 'mmar al-Qadhdhafi)政権打倒の先鞭をつけた軍隊です。


また、米国はウガンダのキリスト原理主義武装集団、
神の抵抗軍(LRA; Lord's Resistance Army)が南スーダンでも
破壊活動を行っているという理由で、ウガンダや南スーダンに特殊部隊を派遣しています。


この地域における米国アフリカ軍の軍事的プレゼンスはしだいに拡大しています。
長期的にみると、南スーダンの日本の自衛隊も米国アフリカ軍や、
ソマリア沖の「海賊対策」を口実に派遣されている自衛隊とも連動し、
東アフリカにおける先進国の軍事的プレゼンスを高める流れに寄与していくことも考えられます。


先進国の東アフリカに対する新植民地主義的な進出に日本も加わり、
一役を担うという動きが強まっているといえるのではないでしょうか。


http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/africa-now/no96/top2.html

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そもそも、南スーダン自体、アメリカの後押しで建国された国だ。

アメリカの支援で建国→内戦→PKO派遣という一連の流れは、
東ヨーロッパ、中央アジアのカラー革命のそれと何ら変わらない。


前々からバレバレではあったが、
積極的平和主義=アメリカやNATOの軍事支援・協力であることは間違いないだろう。


「ISという巨大な嘘」
http://blog.goo.ne.jp/tbinterface/ed621cf2826e27938d7c7d7c7e4bbcb7/a4



防衛費の増額を早速、自民党が求めているが、上の藤永茂氏の記事とあわせて読めば、
それは現地人のためではなく、アメリカの利益を保護するための手駒になることを意味する。


ロシア戦略研究所・所長顧問のエレーナ・スポニナ氏のコメントを紹介する。

「初めに指摘したいのは、
 IS対策に関する国際社会の取り組みに加わるのは正しい決定だということだ。
 しかも日本国民はすでにISのテロリストたちの手で苦しめられている。

 一方でこのような割合の増額は、IS対策費としては恐らく不十分だろう。

 加えて私は、これらの資金の全てがしかるべき形で使用されないのではないかと危惧している。
 
 残念ながら米国はずいぶん前から
 シリアにおけるテロリストとの戦いに加わるよう日本を説得している。


 それは非常に奇妙なもので、まずシリア政府ならびに
 シリアのアサド大統領と戦っているシリア反政府勢力を支援するというものだ。


 それはシリア反政府勢力の訓練というもので、そこには戦闘訓練も含まれる。
 もし日本の資金がこのために使われたとしたら残念の一言だ。

 なぜならシリア領内で戦闘員たちが
 どの勢力に所属しているのかを確認する手段は全くないからだ。

 今日は穏健派に所属しているかもしれないが、
 明日あるいは明後日には様々な理由でISを含む最も過激なグループに入るかもしれない。

 そのため日本は諜報活動のために資金を使ったほうがいいだろう。
 そこには日本国民や中東出身者との交流がある人々の間などにおける
 日本国内での諜報活動や、例えば爆発物の検出や電子戦、盗聴、
 サイバー戦争などのための日本の情報機関の技術的な装備の改善も含まれる。

 しかし繰り替えすが、日本にとっては現在米国が行っている
 シリア反政府勢力の強化に関する取り組みに加わらないほうが良いはずだ。

 なぜならシリア反政府勢力の勝利は、中東の混乱状態を強めるだけであり、
 したがってテロの脅威も高まるからだ」。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/opinion/20150819/770819.html#ixzz3jHOHoLlt



ナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』という本があるが、
独立まもない内戦状態の国に土足で入り込んで一方の味方をするというのは、
シベリア出兵を思い出させる。


内戦状態の国に「平和のため」といいつつ、軍事的政治的経済的後ろ盾となり
自国に有利な側を支持し、友好関係を結ぶ。典型的な植民地主義だ。


この件については、後日、他の記事の紹介も兼ね、詳細に検討していきたい。

その後の米軍ヘリ墜落事故

2015-08-19 23:42:33 | 日本政治
すっかり過去の事件と貸した米軍ヘリ墜落事故。
だが、現地では各自治体による抗議が続いている。


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沖縄本島東海岸の、うるま市沖で米陸軍特殊作戦ヘリ・MH60が墜落した問題(12日)で、
うるま市議会は18日、同事故に対する抗議決議・意見書を全会一致で可決しました。


抗議決議・意見書は、「今回の事故現場近海は、多くの漁業者が操業しており、
一歩間違えれば漁業者に重大な危険を及ぼしかねず、漁業関係者はもとより、
うるま市民や県民に大きな不安と恐怖を与えたことは到底容認できるものではない」と強く批判。

事故原因の究明・公表、再発防止策が講じられるまで同型機の飛行を停止することなどを求めています。


また、同市が米空軍嘉手納基地(嘉手納町など)、
米海兵隊普天間基地(宜野湾市)から飛び立つ米軍機の飛行経路となっており、
墜落事故や緊急着陸、部品落下事故が後を絶たず、
「市民の不安と恐怖は極限に達している」と抗議しています。



日本共産党の金城加奈栄市議は
「またかという感じだ。海人(ウミンチュ)の漁船に墜落していたらと考えると恐怖だ。
米軍は爆弾搭載の有無、機体から放射能など有害物質を検知していないかなど、
事故の詳細と原因を直ちに明らかにすべきだ」と話しています。



沖縄本島東海岸の、うるま市沖で米陸軍特殊作戦ヘリ・MH60が墜落した問題(12日)で
読谷(よみたん)村議会は18日、同事故に対する抗議決議・意見書を全会一致で可決しました。


抗議決議・意見書は、
「今回の事故を合わせると復帰後、46件の米軍航空機墜落事故が発生しており、
再発防止策の徹底を訴えてきたが一向に改善されないまま
事故が繰り返されていることに強い怒りを覚える
」と批判しています。


墜落事故を受け、オディエルノ米陸軍参謀総長が「過剰反応せず」と発言したことについても、
「県民の生存権を軽視する当事者意識が欠如した発言で看過できない」と厳しく批判しています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-08-19/2015081904_02_1.html
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北朝鮮の米韓軍事演習の抗議と同じものを感じた。

つまり、現地の人間にとっては大問題の事件であるにも関わらず、
これら危険行為を犯しているアメリカが全く意に介さず、
かつ日本の主要メディアも空気を読んで大きく取り上げようとしない。



しかも、これら事件はいきなり起きたものでも1回限りのものでもなく、
数十年にかけて、継続的に起きてきたものだ。


隣の国に目を向ければ、無断で危険な細菌兵器の実験を秘密裏に行っていたり、
まるで沖縄や韓国の土地が実験室か何かのような扱いである。