時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

清末愛砂氏とオリエンタリズム(植民地主義とジェンダー)

2022-06-24 22:18:36 | 国際政治

2021年8月15日、20年に及んだ
アメリカの支配からアフガニスタンは解放された。

そもそも
アフガンを統治していたのはタリバンなのに、
彼らを「反政府組織」と呼んでしまう。

そういう侵攻国であるアメリカを善とみなす
報道スタイルに私は辟易していたが、

日本メディアは早速、解放直後から
急に思い出したかのごとく
女性の「人権」問題について語りだした。

 



一夫多妻制の容認など、とかく
イスラム教は西洋的家族モデルと
相容れない面がある。

そのため、オリエント世界はしばしば、
ジェンダーを理由にヨーロッパ世界と差異化され、
前者を東洋(野蛮・独裁)、
後者を西洋(文明・民主)として表現されてきた。

 

その目的は植民地支配の正当化である。

 

植民地主義(コロニアリズム)というものを
端的に説明すると以下のようになる。


①植民地支配には
 良い植民地支配と悪い植民地支配がある

②現地の住民を虐げる圧政は悪い植民地支配であり、
 これは断じて受け入れることは出来ない。

③だが、独裁的な政府によって民衆が弾圧されているならば
 政権を打倒し、傀儡政権を樹立し、権利を保障すること、
 すなわち「民主化」を目的とした支配は悪ではない。

④むしろ「民主化」のための支配は「保護」であり、
 国際秩序の維持のためにも必要だ。

⑤よって、野蛮国を正しい方向へと導いていくことは、
 文明国の義務であり、使命である。

 

つまり、政治的(議会制民主主義の導入)
経済的(自由経済の導入)文化的(キリスト教的モラル)
改造を原理主義的に妄執・追求するものであり、

その主体は近代ヨーロッパ人を想定している。
(オリエントの住人はあくまで客体)


その行為を正当化させるために
ジェンダーが悪用されてきた歴史があるのだが、
問題は、その歴史が現在でも進行中であるということだ。

 

さて、先日、アフガニスタン研究および報道で
名を馳せてきた清末愛砂氏、須賀川拓氏両名は
アフガンで起きた地震災害について
悲しみを込めたようなポエムを書き綴った。

これに対して私は
「地震は天災だが、制裁は人災、もっと触れるべきことが
 あるはず」という意味を込めた引用リツイートをしたのだが
経済制裁およびアメリカの戦争犯罪に対して
両名が無反応と呼んでも良い姿勢を取っていると指摘したのが
許容できなかったらしく、Twitter上で抗議を受けた。

よって、本記事では
2022年3月はアフガン現代史にとって
どのような位置づけが出来るのかを検討しながら
この時期の両名のリアクションについて言及したいと思う。

https://www.presstv.co.uk/Detail/2022/02/11/676648/Taliban-Afghanistan-frozen-assets-US-banks

 

まず、前史を紹介すると、
去年の秋頃からすでにアフガニスタンでは
世界銀行やIMF、アメリカ等の欧米諸国により制裁を受け、
深刻な経済危機に陥っていた。

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ガーディアン紙は昨年8月の米英軍のアフガニスタン撤退に触れ、

敵に利用可能な資源を残さない焦土作戦が、世界でもっとも貧しい国のひとつである

アフガニスタンに最大限の経済圧力を加えることを目的としてアメリカにより

立案されたと報じました。

同紙は続けて、この作戦における米政府の手段には、

米ニューヨークにあるアフガニスタン資産の凍結や

世界銀行のアフガン復興基金の支払い阻止などがあるとしています。

2020年にアフガニスタンのGDPのおよそ半分を占めていた

海外からの支援停止が悲劇的な結果をもたらすことは当時から明らかでした。

ガーディアン紙は、

アフガン国内企業は平均して従業員のおよそ6割を解雇し、

食料品価格は4割上昇しており、

国民の半数は人道支援を必要としている状況で、

貧困率は9割にのぼると記しています。

https://parstoday.com/ja/news/asia-i93018

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この状況に対して
国内外から猛烈な批判が連日のように
展開されたのが2022年3月という時期だったのである。

筆者が知る限りでは
まず3月4日にタリバン政権は制裁緩和を要求し、

 

3月8日にはカルザイ元大統領が
アメリカの制裁を非難、
アフガン人の金を返すよう要求した。

 

3月15日には、国連が
350万人のアフガンの子供たちが
栄養支援を必要としていると表明した。

 

その声明の中には
食料がなく乳児に栄養を与えることが
出来ないと嘆く母親たちの言葉も紹介されていた。

 

 

 

 

ウイグル族への迫害の証拠が見つからなかったと述べたばかりに
辞任に追い込まれたミシェル・バチェレ国連人権高等弁務官は

3月13日の時点で
「制裁が解除されなければ、悲劇的な結末として
 多くのアフガン市民が命を落とすことになる」
と警告した。

このように3月初旬〜中旬は
タリバンだけでなく国連も巻き込んだ制裁に対する抗議と
今後も続くであろうカタストロフについて警鐘が鳴らされていたのである。

では、問題の清末氏は
この時、Twitterで何を叫んでいたのだろうか。

 

 

自分への誕生日プレゼントとして
ニジマス定食を思う存分、平らげたと報告していたのである。

350万人のアフガン児童が食料支援を必要とすると
訴えられていた丁度その時、好物を好きなだけ食べれたとご満悦。

申し訳ないが、これは台風で関東地方が大災害に遭っていた時に
赤坂で議員たちと宴会をしていた安倍晋三と同レベルの人権意識だと
言わざるを得ない。

空腹で飢えている子供たちの前で
食事をべろべろと平らげるような浅ましい行為だ。

 

他にはウクライナ内戦の拡大に対して
ロシアをバッシングする記事をリツイートしていたが、

3月15日に彼女が述べたことは
これで全てだった。

飢えた子供の中には当然、女児もいるわけで
先述の母親の訴えも考慮すれば、この件については
女性の権利を守るというイメージで名前を売っている立場上、
多少なりとも言及するべきだと感じるが、何も書かなかった。

(なお、この時期にドネツク市街で
 ウクライナ軍による砲撃があり、市民が死傷した
 事件が起きたのだが、この件についても清末氏は触れていない)

 

同時期に清末氏が強く訴えたのが
アフガニスタンの女性の権利向上だった。

 

ここで読者に考慮してほしいのが、
なぜ清末氏は、人間にとって最も重要な権利であるはずの
生きる権利が侵害されていることに対して沈黙しているのだろう
という点である。

タリバンもカルザイもバチェレも
制裁解除を求めて熱弁を振るっていたその時、
同氏は他の自称フェミニストらと共に「女性の権利!女性の権利!」
と全く別の言葉を述べていたのだ。

 

さて、約一週間後の3月21日、
露スプートニク紙はタリバンへの制裁によって
1万3000人の新生児が死亡したこと、ならびに
95%の児童が十分な食料を得ていないことを報じた。

 

この記事は3月15日のニュースに触れながら、
貧困と医療危機が乳児死亡率を高めることに言及したものだった。

アメリカの経済制裁が原因で1万3000人の新生児が死んだ。

制裁は戦後に行われる戦争行為だ。ミサイルを使わずに人を殺す。

ロシア軍の「蛮行」には過敏に反応する清末氏や須賀川記者は
当然、このジェノサイドには反応しても良さそうではあるが、
現実では、この時も両名は無言リツイートすらしなかったのである。

 

代わりに彼らが注目したのは
タリバンの女子生徒の通学停止だった。

 

この時の清末氏は
目覚めたかのように読者の感情に訴える言葉を
絶叫するように並び立て

 

怒りと涙を露わにして激昂していた。

1万3000人の新生児が制裁によって殺され、
95%の児童が満足に食べるものがないニュースには
一言も触れなかったのに対して、

女子生徒に対するタリバンの政策には烈火の如く吠え猛ったのである。

 

しかし、冷静になって考えてほしいが、
そもそも学校に行く・行かない以前に生きる・死ぬの問題にアフガンの
児童たちは直面しているのである。通学できるのは裕福な子供しかいない。

 

 

 

イギリスの映像メディア、
ファイブ・ピラーズはカブール市を散策しながら
児童労働者の状況について解説を試みた。

この子たちは本来なら通学するべき年齢に達しているが、
家計を支えるために働かざるを得ない。

靴を磨いたり車を洗ったりといった
簡単な仕事をしながら日銭を稼いでいるのである。

 

路上より学校にいるほうが好きだ

学校に行きたいけど、その余裕がない

 

こういう「男子」児童が多く存在するのである。
この児童らは清末氏の救済の対象には入っていない。何故なら女子ではないから。

 

アメリカ研究者の兼子歩氏などが思い浮かばれるが、
かなり前からジェンダー研究は男性性について注目されている。

「女は働くべからず」という理念は裏を返せば「男は働くべし」となる。

ジェンダーに留意して考えると、児童労働者が中々減らないのは、
労働によって生活を支えることで「男」として認められるからである。

家族を助けているという誇りがアイデンティティ形成につながる。


よって、20世紀のソーシャル・リフォーマーは職業教育の実践と
その間に家庭に対する補助金の給付を主張したのだが、
児童労働と非行が結び付けられる側面があったのも確かである。

いずれにせよ、通学できる権利はあっても
行使する余裕がないために、事実上、侵害されたと言っても差し支えはない。

 

だが、女性の権利にばかり関心を持っていると
その対象外である人々は透明化してしまう。

語りの中から消えてしまう。
女性、女性、女性と連呼する影で彼ら男児労働者の姿は見えなくなる。

 

こうした子どもたちを助けるには
共同体ごと支援する必要がある。

上の映像は同じくファイブ・ピラーズのものだが、
6分ほど経過したタイミングで井戸の話が出てくる。

長老らしき人物の話によると、
井戸が出来る前は水汲みをするために
子どもたちが学校へ行く余裕がなかったが、

他のイスラム教国家に住むムスリム達の支援の結果、
井戸が完成され、問題が解決されたらしい。

これはまさに故・中村哲氏が実行していたことに他ならない。
改めてペシャワール会の現実に即した活動に敬意を表する。

 

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現地で困っているのは、お金の問題。米国による資産凍結などの影響で預金の引き出しが制限されている。機材や燃料を買うにも資金が足りない。インフレも進んでいる。干ばつも続き、このままでは多くの人が食い詰め、社会不安が増大する。国際社会はそうした状態を待っているのでしょうか。

 タリバンの人権意識を批判する声があります。確かに時代錯誤の面もある。けれども外からの物差しで、西洋の近代的な世界観が全て正しいという前提で論じているように思えます。米国は20年かけて莫大(ばくだい)な資金と軍事力を投じ、米国の物差しを広めようとしたが、うまくいかなかった。

https://www.asahi.com/articles/ASPBD2VQ6PBBUPQJ11D.html
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ペシャワール会はアメリカの経済制裁にも確かに批判していた。
村上優会長は、タリバンの人権意識に対して、
確かに時代錯誤の面もある、けれども、外からの物差しで、
西洋の近代的な価値観が正しいことを前提に語ってはいないかという風に語り、
相手の論理を理解することの大切さを説いた。

こういう意識が清末氏を初めとした識者には無いのである。

 


 

4月19日、ユネスコの国際関係責任者はTwitter上で
アフガンの児童は生計のために労働するか、物乞いをせざるを得なくなり、
就学が不可能になっているという主張をした。

無論、この児童には女児も含まれるため、
本当にアフガンの人権に関心があるのならば、すぐに応えるはずである。

 

では、清末氏はこの時、何を発したかというと

 

「アフガンの女の子達に学ばせてあげて」

というタグ付きの絵のリツイートと

須賀川記者のロシアの「蛮行」を訴えるTweetへのリツイート、

 

そして洞爺湖近くのレストランで
「支援」の打ち合わせをしながら食べた夕食の紹介だった。

問題のユネスコのTweetに対する反応は無かった。

 

 

こうして1ヶ月以上に渡る同氏のインターネット上の発信を見てみると
女性の権利侵害につながりそうな部分だけを抽出して
ヒステリックに騒ぎ立てる一方で、

女性や女児にも関係があるだろう制裁に関連する人的被害には
全く反応しない態度を指摘することが出来る。

これはタリバン政権下の女性や女児に対する
ジェンダーバイアスがかかった暴力の存在を認めながらも、
それらがアメリカの制裁によって悪化していると語った
国連の専門家達とは対極的なものだ。

 

アメリカ合衆国に対する非難の言葉が一切ないのである。

 

 

清末氏と対極的な姿勢を見せるグループが
国連の他にもう1つ存在する。

日本の平和主義者たちが悪の独裁国家、人権侵害大国と酷評する中国である。

中国外務省は8月にはすでにアメリカへの非難を始めていたが、
今年の二月には資産凍結に対してアフガンの資産を「盗んだ」と強い語気でなじり

 

3月末には王殻外相も、繰り返し
「アフガンから窃取した資産・資源を返還すべきである」
と述べた上で、

「中国はアフガン暫定政権を支持する」との意思を表明した。

 

そして4月にはバイデン政権に対して
アフガン国民への謝罪を要求した。

 

これらの言葉を私は
清末・須賀川両氏から聞いたことが無い。

須賀川氏はタリバンとの対談を経験して
他の記者と比べると幾分、彼らを人間扱いしているのだが、
そこで思考はストップし、清末氏と同様、女性の人権侵害のニュースにだけ反応し、
資産凍結の件について少なくとも3〜4月の時点で語ることは無かった。

取材で多忙だったからと言えばそれまでだが、
その割には通学のニュースには反応していたわけで、
先述したとおり、制裁に関するいくつものニュースが当時流れていたにも関わらず、
全てに無反応だったというのは、常識的に考えて不自然である。

単に関心が無かったから言及しなかったと理解するのが妥当だ。

 

 

アフガニスタンのジェンダー問題と複合差別~人道危機問題に着目して | ヒューライツ大阪(一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター)

 

清末氏は筆者に講演会や原稿等で
制裁に対する発言は行ってきたと答えるのだが、
実際のレターを読んでみると、かなり微妙と言わざるを得ない。

確かに同氏は制裁による生活危機に対しては言及しているのだが、
それは上記リンクからページに飛んで読めばわかるように、この文章は
あくまで「人道危機がこれほど深刻であるときに、女性の人権問題を
強調して語るのはいかがなものか」といった批判に対するレスポンスなのである。

つまり、資産凍結に対する言及は人道危機を説明するためのものであり、
国連や中国政府のようにアメリカ政府を非難するためのものではない。

むしろ、それらよりジェンダー問題を優先する意義を説いた文であり、
ある意味では清末氏の透徹したスタンスを感じざるを得ない。

だが、文章中、アフガンで最も注目すべきはシングルマザーと子供たちと
定義する割には、彼女らが苦しむ原因となった制裁への言及は
すでに述べたように皆無と言っても過言ではなく、

学校に通う・通わない、就労する・しない、
ブルカを着る・着ないといったレベルに終始し、他の人権団体と歩調を
同じくしているようには感じない。

 

 

本当に心配しているのだろうか?

タリバンへの非難につながる話題でのみ暴れているように
筆者は感じてならないのである。

だが、全く関心がないわけではなく、
地震に対しては即座に悲しみの詩をぶちまけるわけで、
そういうアメリカの植民地支配を責めない範囲での平和主義というのは
吹けば飛ぶ塵のようだと考える。

こうしたスタンスは連続していて、須賀川氏も清末氏も
ウクライナ軍による市民への爆撃には触れない一方で、
ロシア軍の介入によって起きた「とされる」蛮行には反応を示している。

このような人道主義はアフガニスタンの資産を私的流用したり、
ウクライナ軍に武器を貸し付けることで富を得ようとする国にとって
大変、有り難い存在になるだろう。

なぜならば、他方の罪は感情的にドラマチックに語る一方で、
もう他方の罪は語らないことで存在を隠してしまうからである。

 

ウクライナ東部の親ロシア派市民や
アフガニスタンの親タリバン市民の存在を語らないことで
彼らは殺されても関心を持たないレベルにまで命の価値を下げられている。

それはレイシズム以上にレイシズムなのである。


プミポン国王が逝去したが・・・

2016-10-13 20:56:35 | 国際政治
世界で最も在位の長いタイのプミポン国王が先刻、逝去した。

これに対してNHKは「タイ政治の安定化に決定的な役割を果たしてきた」と伝えたが、
正直、そうでもなかろうと思わざるを得ない。タイ国内での動乱は前から度々ニュースに上がっているが
その責任の一端は国王にもあった。日本では国王は国民に愛されていると説明されるが、
少なくとも数年前に反政府デモを行った人間は、彼の「仲裁」を快く思っていないだろう。


それにしてもイギリスしかり、スペインしかり、タイしかりカンボジアしかり、
どうして日本人というのは君主制に対してここまで弱いのだろう。好意的に反応してしまうのだろう。

他方で、選挙で元首を選んでいるシリアやイランに対しては「独裁国家」とレッテルを貼りたがる。
ウクライナの動乱もしかり。民主主義という言葉を賢しらに振りかざす割には封建制度には弱腰である。


特にイギリス王室はアフガンの侵略作戦と繋がりがあり、王子の一人も戦いに参加しているのに、
日本のメディアはエリザベス女王は「国民に愛されている」才女であるという風に伝えたがる。


さらに言えば、サウジアラビアというテロは支援するわ、イエメンに侵攻するわ、
暴力の限りを尽くしている正真正銘の独裁国家に対しては一言たりとも非難の言葉を浴びせない。


君主制には沈黙どころか崇拝とも言える意思さえ見せる一方で、
仮にも選挙で選ばれた市民政府に対しては「独裁」と憤る。「民主化」せよとけたたましく叫ぶ。


「民主化」とか「人権」という言葉は非常に独善的なもので、
 私たちは、誰が誰に対してその言葉を何のために使うのかを注意深く検討する必要があるのではないだろうか?


・追記

 思えば、ローマ法王しかり、ダライラマしかり、宗教指導者に対しても妙に好意的で、
 どうしてここまで封建制の遺物に対して飼いならされた犬のように平服してしまうのだろう。

 別に日本人のことだけを言っているわけではなく、いわゆる「民主主義国家」に住み、
 このイデオロギーを表面上は信奉し、シリアやイラン、北朝鮮といった欧米列強の敵国に対しては
 烈火のごとく「独裁」からの「解放」を願っている連中が得てして古い権力に弱いのはなぜなのだろう。
 
 私には、彼らが真に「民主化」を志向しているとは到底思えない。
 (まぁ、私はこのような非常に利己的で独善的な構えが近代民主主義の基軸ではないかと考えてはいるが…)

日本におけるイスラモフォビア

2016-07-04 19:37:57 | 国際政治
現在、各メディアがバングラデシュのテロを集中して報じている。
もちろん、大きな事件であることには変わりないのだが、隣国ミャンマーにおける
イスラム教徒の弾圧など、この地域におけるイスラム教徒に対する差別が語られていない。


もっぱら強調されるのはダーイシュ(イスラム国、IS)の異常性であり、
このような「悲劇」を繰り返さないために「国際社会」が「協調」しなければならないという主張だ。


ある事件が起きるのは、それなりの理由があるからであって、
本当に悲劇を繰り返したくないのであれば、同国の差別問題に言及すべきなのだろうが、
かわりに提示されるのが、「協調」、要するにテロとの軍事的対決の強調である。


パリのテロ事件の際にも悲劇性を強調し、フランスのシリアへの軍事干渉が正当化された上、
その後、移民世帯を中心とした令状なしの拘束、監視、デモの禁止などの人権侵害が当然視された。


あわせて、日本の報道の場合、自国におけるイスラム教徒への差別に触れようとしない傾向がある。
嘘だと思うのであれば、次の事件について私たち日本人の何人が知っているのか想像してみればよい。



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日本、イスラム教徒への監視は「合法」


日本の最高裁は国内のイスラム教団体に対する警察の監視を合法と判断した下級裁判所の決定を支持した。
インディペンデントが伝えた。

2010年、警察のファイル114件が漏洩し、イスラム教徒への監視に関する情報が明らかになった。
祈りの場やイスラム教徒向け飲食店、東京都内のイスラム教団体の事務所が監視対象となっていた。


その後、中東・北アフリカからの移民を主体とする日本のイスラム教徒17人が、
憲法上の権利が侵害されているとして、日本政府を訴えた。


原告はプライバシーの侵害について 88万ドルの金銭的補償を受け取ったが、
裁判所は警察の行動を国際テロに対する防衛のために「必要かつ不可避」のものと判断した。


http://jp.sputniknews.com/japan/20160701/2407700.html
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「必要かつ不可避」というのは、「監視しなければいけない」という強い表現である。

 イスラム教徒をテロリスト予備軍として見張ろうとする行為にこそ問題があるのだが、
 こういう点に関して、本当に最高裁というのは、わかっていない。国際基準とズレがある。


 まぁ、フランスも中東からの移民を犯罪者予備軍として見ているわけだから、
 どこも同じなのかもしれないが・・・それにしても日本の人権意識は低いように感じる。



ついでに言うのだが、日本の場合、人権もさることながら生命倫理そのものが疎いというか
よくわかっていないようなところがある。動物園で飼育されている動物に対する反応がまさにそれだ。


先日、日本で最高齢のゾウのハナコが死亡したことがニュースになったが、
ここでも強調されていたのは飼育員とハナコとの間の友情であり、
外国の保護団体から、本来、広大な草原で群れになって暮らすゾウを
非常に狭い空間に一匹だけ隔離するように「飼育」したことが非難されたことには触れていなかった。


ネットでも、ハナコの隔離飼育は必要なものであり、ゾウのためであったという見解が主流である。
こういうのを読むと、映画『ザ・コーヴ』に対する反応と同じものを感じてしまう。


つまり、日本人の動物への接し方は愛情を持ったものであり、
そこには一片の問題もなく、非難は日本の文化を知らない外国人の戯言に過ぎないというものである。


「ゾウ」を「在日コリアン」や「朝鮮」に変換すると、これはまさにネトウヨの言い分そのものだ。


日本の植民地化政策は「朝鮮」には必要なものであり、愛情を持ったものであり、
実際、それにより感謝する「朝鮮人」もいたのに、それを非難するのは
日本の好意をよく知らない外国人の戯言だ。こういう風に変換することが容易にできる。


ナチ研究の中には、アメリカの家畜に対するのマニュアルが
ホロコーストの原型になったと指摘するものもある(『動物虐待とホロコースト』)


ムスリムにせよコリアンにせよ動物にせよ、
要するに差別というものは特定の対象を「自分たちとは違う扱いをして構わない」とみなすことであり、
「奴らは俺たちの仲間ではない」という態度を自然に取ることである。


それについては、日本ではすでに十分土台が出来上がっているわけで、
難民や外国人(ただし欧米人は除く)を社会的に排除している構造がある今、
いつ日本で同様の事件が起きてしまったとしても、それは別段おかしなことではない。

特に今後、冒頭で紹介したムスリム差別について、私たち日本人が全く気にしないまま、
テロとの戦いに参加してしまったら、東京でテロが起きるのも時間の問題ではないだろう。


こういう点について知識人はもっと真剣に語らなければいけないと私は思う。

非核化宣言の裏で進む日本の軍拡

2016-04-14 00:37:02 | 国際政治
前回、前々回の記事で、すでにG7の非核化宣言の偽善性について暴いたつもりだが、
これに関して、モスクワ国際関係大学のアンドレイ・イワノフ上級研究員の見解をここに紹介したい。


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会談の目的は、全体として気高いものだった。

すべての人々にとって、もっと安全な世界へと続く道を皆で話し合い、
核兵器のない世界のための諸条件を創り上げるという立派なものだった。

会談をまとめた宣言の中で、G7の外交担当責任者達は「我々は、そうした方向に前進する」と言明し、
そうした動きを困難にしている問題があることを指摘した。

具体的には、シリアやウクライナなど
いくつかの地域の安全状況の悪化、そして北朝鮮の度重なる挑発行為である。



シリア、ウクライナ、北朝鮮という3つの地域で起きている事が、
世界の安心感を高め、軍縮を奨励するものでないことは、争う余地がない。

特に、こうした地域、さらに他の一連のホットポイントにおける緊張の真の原因を考慮するなら、
言うまでもないことだ。ついでに言うなら、その原因について、
欧米とロシアの見方は違っており、その事は、世界の安定と相互理解を妨げている。


欧米は、シリアでの出来事を「血塗られた独裁者」であるアサド大統領に対する
シリア国民の戦いとみなしているが、ロシアは、地域の一連の国々によるアサド大統領打倒の企てとみている。


なぜなら、ペルシャ湾岸のカタールからシリア領内を通じて
欧州へと通ずるガスパイプライン建設を、アサド大統領が認めないからだ。

そのため暴徒集団やテロリストを使って、アサド政権転覆を図っていると、ロシアは考えている。

さて、もう2年以上流血の無秩序状態が続くウクライナだが、
欧米は、ウクライナ人が、ロシアの影響圏に残るのを望まず、
自由をめざし汚職と闘うため「ヨーロッパへ入る選択」をしたゆえに起きたものと説明している。

一方ロシアは、そうした親西欧的傾向は実際あったが、それは一部のウクライナ人の間だけで、
そうした一部の人達が暴走し、国を分裂させ、内戦に導いたと見ている。

またロシアは、この2年間でウクライナでは逆に汚職が増え、
自由が制限された事、そしてウクライナ経済に至っては、ほぼ壊滅的な状態だ
という事をよく知っている。しかし欧米は、それを知りながら、そうした事実を認めようとしない。


さてここで、一つの問いが生じてくる。
ロシアのどこが悪かったのか、なぜロシアに対し制裁が導入されたのか?という問いだ。

また、今回広島でまとめられた宣言の中では
「対ロシア制裁を今後も続けるかどうかは、ロシアがミンスク合意を完全に履行するかどうか、
 ウクライナの主権を尊重するかどうかに直接左右される」と述べられている。

これは、明らかに狡猾なやり方だ。まず第一に、ロシアはミンスク合意を実現する事が出来ない。
なぜなら、それを守っていないのはウクライナだからだ。

第二に、ロシアはウクライナの主権を尊重しており、その侵害をたくらんでなどいない。
クリミアについて言えば、ロシアの一部であって、ウクライナの主権とはもう何の関係もない。
これはクリミアの住民自身が、真に民主主義的手段によって、自分達で決めた事だ。

最後に、北朝鮮について言えば、すべてはかなり単純だ。
世界を核実験によって脅すような事は、もちろん、よい事ではない。
それゆえロシアは、つい最近の、北朝鮮当局を非難し制裁導入を求める国連決議を支持した。

しかし、米国のような力のある大国が、介入するとか、
体制を打倒するとか言って小さな国を脅すのは、よくない事だ。


小さな国の中では、恐怖のあまり、核兵器を作り始めている国もある。
そうした行動に駆り立てた責任は、一体誰にあるのか? それは明らかだろう。

広島での今回の会議では、こうしたあれやこれやの問題に答えが出されなかった。
それゆえ核兵器のない世界という夢の実現が、近づく事はなかった。

http://jp.sputniknews.com/opinion/20160411/1941295.html
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加えて、今回の外相会議が中国に対してどのような反応を与えたかにも注目したい。
次の文章は広島宣言の直後に掲載された人民網の記事から引用したものである。


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G7外相会合がこのほど日本・広島で開催された。
会議で議論される安全保障問題の中で、西側メディアは中国関連の海上紛争に特に注目し、
東中国海と南中国海での「挑発行為」に参加各国が反対したと次々に報じた。

~中略~


日本の行動は決して偶然ではない。
近年の同国による南中国海問題へのたゆまぬ介入には、大きく次の動きがある。

第1に、南中国海での中国の合法的で理にかなった行動を非難する。
日本高官は南沙(英語名スプラトリー)諸島の島・礁での中国の建設活動について、
南中国海の「軍事化」を招くとして繰り返し批判している。

第2に、領有権主張国との安全保障協力を強化する。

フィリピンとのハイレベル往来はことのほか頻繁で、
安倍首相とアキノ大統領の会談では南中国海問題への言及が必ずある。


日本はフィリピンの軍事力を高めるため
装備面で支援することも決定した。


第3に、南中国海問題の国際化を推し進める。

日本はフィリピンが一方的に提起した国際仲裁を明確に支持しているうえ、
G7など国際的な場で機会を探っては南中国海問題を議論している。

第4に、南中国海での米国の軍事行動を支持する。
米国は艦艇や航空機を中国の南中国海海域に進入させ、いわゆる「航行の自由作戦」を実施している。

日本は米軍の南中国海巡航を支持しているうえ、
現在実施中の米比「バリカタン」を含む関連する演習への参加を望んでいる。

日本は南中国海をめぐる争いの当事国ではなく、南中国海問題への介入の背後には計算と私利がある。

日本の差し迫った課題は地域の安全保障問題で「存在感」を増すことだ。

安倍首相の現在の任期における主要課題の1つは、
第2次大戦後の束縛を脱して、日本を政治大国、軍事大国にすることだ。

日本はすでに集団的自衛権の行使を容認し、新安保法も正式に施行した。
束縛を脱した後、日本は地域の安全保障問題で役割を発揮することを急いでおり、
南中国海問題という紛争は便利な取っ掛かりとなっている。

http://j.people.com.cn/n3/2016/0412/c94474-9043225.html
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これらの指摘を読めば、以下に広島宣言の裏で非常に好戦的な動きが取られているか、
知れるものだが、加えて次の記事にも注目しなければなるまい。


G7外相会合と安倍政権に抗議、広島県民が集会とデモを実施 日本

在日朝鮮青年抗議団が米、南大使館前で抗議

実はこのサミットが行われていた期間、日米韓政府を非難するデモが行われていたのだが、
どちらのデモも無視された状態で、広島宣言は発表されたのだった。

特に在日コリアンのデモに対してはかなり陰湿な対応を取られている。


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朝鮮に対する米国と南朝鮮の侵略策動に反対し、
在日朝鮮青年抗議団が11日、米国大使館と南朝鮮大使館前で抗議活動を行った。

朝青中央・金勇柱委員長を団長とし、関東地方の朝青専従活動家ら約50人で構成された抗議団は、
米大使館前で横断幕とプラカードを掲げながら
「『制裁』と核威嚇、侵略戦争策動を中止せよ!」「平和協定を締結せよ!」「朝鮮は一つだ!」
などのスローガンを叫び、抗議文を読み上げた。


抗議団の正当な抗議行動に対し日本の警察は、
大使館前での抗議行動は認められないなどとしながら、
抗議団を強制的に解散させようとした。


また、大使館側に抗議文を伝達したいという抗議団の要求に対して、
米国大使館側は事前申請がないという理由で拒否した。

抗議文は、朝鮮の首脳部を狙った米国と南朝鮮による合同軍事演習を
朝鮮半島に核戦争の危機をもたらすものとして糾弾するとともに、
対朝鮮敵視政策を即刻中止し、平和協定締結に向けた対話に臨むよう、米国政府に強く求めた

http://chosonsinbo.com/jp/2016/04/11suk-3/
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要するに、広島宣言とは沖縄県民や在日コリアンといったアジアの紛争の被害者の言葉を
ガン無視して発表された被害者不在の声明であり、それは自国の侵略的性質をごまかすものでしかない。


アメリカは「民主主義」という言葉を巧みに操って他国への干渉行為を正当化しているが、
日本の場合は「非核・反核」というイデオロギーを隠れ蓑にして自国の権威を高めようとしている。


これについては、人民網が良い論評を書いている。


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日本はなぜ「核被害者」のイメージを作るのか?


日本・広島で行われていたG7外相会合が11日に閉幕した。
日米など7カ国外相は
各国指導者に被爆地訪問を呼びかける内容を含む「広島宣言」を発表し、現地の被爆慰霊碑に献花した。

日本はG7議長国であることを利用して被爆経験を伝え、
いわゆる「核被害国」としてのイメージを作ることで、
核軍縮と核不拡散の雰囲気を推進することを望んでいる。中国新聞網が伝えた。


日本側が発表しようとした宣言の内容について米政府は警戒し、
「加害者」としての自国のイメージが作られることを警戒したうえ、
オバマ大統領の今年5月の広島訪問についても慎重な姿勢だったと分析される。

ケリー米国務長官は日本側の願いと異なり、広島への原爆投下について謝罪しなかった。
韓国外務省も、自国の必要性を超える核物質を保有するのなら、自国と他国の安全に脅威をもたらすと強調した。

安倍政権は広島宣言を非常に重視し、G7外相会合の成果、
G7サミット首脳宣言の「核心的内容」とすることを計画してきた。


その背後には、いくつもの意図がある。

日本が自国の被爆の「傷痕」を再び示すことについては、
時勢に従い視線をそらし、世界を欺く安倍政権の行動だとの見解がある。


1つには、安倍政権は「被害者」ムードを引き続き誇張することで、
日本の核物質に対する国際社会の注目を弱めようとしている。

もう1つには、日本国民は反核意識が非常に強く、核問題で慎重な姿勢を政府に求めているため、
安倍政権はこれによって民意をなだめ、国内圧力を緩和しようとしている。

特に新安保法の正式施行および自民党の改憲計画の展開に伴い、
日本の軍事化は加速し、「核兵器製造」など右翼の発言が国際社会の注視と強い警戒を招いている。

安倍政権のやり方によって平穏であるかのように取り繕うことは難しいだろう。

http://j.people.com.cn/n3/2016/0412/c94474-9043179.html
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非核化宣言とは裏腹に、東南アジアの国々に日本の軍隊が派遣されている。

そこで私が思うのは、大日本帝国がアメリカのやり方を真似て朝鮮を侵略したように、
現在の日本もアメリカを真似て、フィリピンやベトナムを属国にしようとしているのではないか

ということだ。


つまり、今のところは軍事演習のために軍艦を派遣する程度にとどまっているが、
将来的には沖縄のように、両国に日本軍の基地を置こうとしているのではないかという懸念である。
(ちなみに日本軍の海外基地はすでにソマリアにある)


よく安保法案が施行されると、ただちに戦争が始まるかのような言われ方がするが、
米英仏侵略トリオのシリアやウクライナにおけるやり方をみればわかるように、
基本的には、侵略というものは現地の政府や武装組織の支援、自軍の派遣から始まる。

ウクライナやイエメンはその好例だろう。

G7による広島記念公園の訪問、献花という茶番2

2016-04-11 22:10:07 | 国際政治
前の記事の続き

(読んでいない人は、ぜひご一読を)


前の記事で、平和を願うと言いながら、
現在進行形で他国を爆撃し、現地の武装勢力を支援しているG7の偽善を指摘したが、
先ほど、良いタイミングでイランラジオの関連記事がアップロードされたので紹介をしたいと思う。


まず、イランラジオの記事を読む前に毎日新聞と日経新聞の記事を読んでみてほしい。

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(毎日新聞の記事より)


現役の米閣僚として初めて被爆地を訪れたケリー国務長官は
11日、G7外相会合後に広島市内で記者会見した。

訪問した原爆資料館について、「私は忘れることはないし、忘れられる人はいないだろう」と述べた。
さらに「戦争とは最後に残された手段であり、最初の手段とすべきではないことを再確認した」と語った。


ケリー長官は、原爆資料館で目にした投下直後の絵画について
「胃をたたかれたようで、驚くべきものだ」と感想を述べた。

平和記念公園では原爆慰霊碑に献花しており、被爆地訪問で
「深く心が動かされたし、初めて広島を訪ねた国務長官であることを光栄に思う」と強調した。


一方でケリー長官は、訪問の目的を
「過去を振り返るためではなく、過去(の教訓)を現在や将来に生かすことが、
どれほど大切なのかを示すためだ」と指摘。第二次大戦で戦った日米両国が終戦後は
同盟国となったことに言及し、「この地(広島)は、同盟の堅固さを示す事例になっている」と強調した。


また、オバマ政権が取り組む国際的な核不拡散や核物質管理強化にも触れた上で、
「資料館を訪れたことで、世界平和の維持のために果たすべき(米国の)義務を再確認した」と語った。

【大前仁】

(日経新聞の記事より)


主要7カ国(G7)外相会合で広島市を訪れたケリー米国務長官は11日記者会見し、
オバマ米大統領が5月のG7首脳会議(伊勢志摩サミット)に合わせて
広島市を訪問する可能性について「オバマ氏を含め、全ての人が広島に来るべきだと思う。
だが実際に来れるかは分からない」と述べた。


冒頭、原爆を投下した米国の現職国務長官として初めて市内の平和記念公園を訪れたことを
「感激している。誇りに思う」と表明。

原爆の惨状を示す資料館内の展示物についても触れ
「驚くべき、忘れられない内容だった。核兵器のない世界を目指す必要性を再認識した」と発言した。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK11H6K_R10C16A4000000/

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これら記事を読んだうえで、イランラジオの記事を読んでみてほしい。



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アメリカのケリー国務長官が、広島で、
原爆による攻撃については謝罪せずに
「広島平和記念資料館を訪れたことを誇りに思う」と述べました。


ケリー長官は、G7主要7カ国の外相会合に出席するため、日本を訪問しました。

1945年の広島と長崎へのアメリカの原爆による攻撃で、20万人以上が死亡しました。
その後も後遺症で数万人が死亡しています。

それから70年以上が経過した現在、アメリカの国務長官が初めて広島を訪問し、
広島の記念資料館を訪れました。

こうした中、ケリー長官の広島訪問に際して行われた広島での抗議デモにもかかわらず、
アメリカの関係者は、「国務長官が原爆投下に関して謝罪することはないだろう」と述べました。


ケリー長官はツイッターで、広島記念資料館の訪問に関して、
「広島記念資料館を訪問した最初のアメリカ国務長官であることを誇りに思う」と述べています。

ケリー長官は、原爆攻撃で広島市民が死亡したことについては語らず、これについて謝罪もしていません。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/63566
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前者は基本知識を淡々と述べている印象を受けるが、後者はより批判的な内容になっている。


イランのニュースサイトは、ケリー氏の発言の偽善さについて強く非難しているのに対して
肝心の事実を伝えようとしない日経や毎日の報道姿勢は一体何なのだろうか?


ちなみに朝日新聞は、こう書いていた。

「ケリー氏は公園訪問で、原爆投下を謝罪する表現は使わないものの
「憎しみではなく愛情の心で再建してきた広島の市民と米国民が、
 戦争を憎み、平和に向けた決意を共有する」と語った。
「日米の和解が並外れたレベルにまで達したことを示すことになるだろう」とも述べた。
 さらにこの高官は「核兵器を唯一使った国として、米国は世界の核軍縮に向けて努力をする責任がある」
 とも語り、オバマ政権が2009年のプラハ演説で提唱した「核なき世界」の実現に向けて
 今後も努力していく考えを強調した。」


アメリカの非核の意思は、自国の戦争犯罪を反省しない程度のものだと非難するイランラジオと、
謝罪こそしないが、アメリカの非核の意思は本物だと言わんばかりに褒めたたえる朝日新聞。

徹頭徹尾、アメリカを擁護する文体。
この国の言論の自由など、有って無いようなものだと改めて実感する。


平和記念公園を訪問し、何かしら思うことがあったのであれば、
広島に原爆を落としながらも未だに謝罪の一言もない自国の有り方について言及すべきだろう。


とはいえ、ケリーの姿勢は、このG7サミットの本質をえぐったものだと思う。
自分たちの行いに対しては、全く反省せず、中国や北朝鮮を非難するというものだ。


これについては朝日新聞も伝えている。

「各国外相は10日夕に世界遺産・厳島神社を訪問。宮島で夕食会を開き、
 核実験や弾道ミサイル発射など挑発を繰り返す北朝鮮の問題や、
 南シナ海で軍事拠点化を進める中国を念頭に海洋安全保障について議論した」

ここにはG7の好戦的な姿勢こそが国際平和を乱しているという意識がない。


無論、朝日新聞もこの独善性について特に非難していない。

まぁ、朝日新聞は先日、話題になったパナマ文書についても
中国については社説で強く非難し、お決まりの「中国は非民主的な国だ」論を述べる一方で、
三菱商事、丸紅、オリックス、バンダイ、大和証券などの日本企業の税金逃れについては
全く非難しない新聞だから、こうなるのも当然と言えば当然かもしれない。


朝日新聞は一応、ヘイト・スピーチに反対しているはずだが、
実際には隣国の悪印象を与える記事や社説を大量生産している。

同社の主筆だった舟橋洋一氏が今、右翼として活動しているのもある意味納得である。

(彼によると、戦後保守は弱者を切り捨てず、国際協調を重んじていたらしい。
 そいつらに長年にわたって攻撃されていたのはどこの新聞だったのか。

 こういう自社の被害を忘却して権力者にすがる卑怯者が
 主筆になれる時点で朝日は終わってしまったのかもしれない)

G7による広島記念公園の訪問、献花という茶番

2016-04-11 22:04:26 | 国際政治
4月11日、G7(米英仏侵略トリオ+日独伊ファシスト同盟+カナダ)外相が
広島記念公園を訪れ、原爆死没者慰霊碑に献花し、合わせて世界の非核化を求める広島宣言を発表した。


とんだ茶番である。

核を減らしたいのであれば、7千発以上の核弾頭を保有しているアメリカこそ、
真っ先に非核化すべきであるし、経済制裁を受けねばなるまい。

そればかりか、今世紀に入ってからアメリカは更に積極的な核開発を行っている。

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このなかでアメリカが急いでいるのは小型核兵器の開発である。

06年2月には小型核兵器を開発するための臨界前核実験を英国と共同で実施

その翌月に核兵器の中枢部分「プルトニウム・ピット」の生産について、
核安全保障局(NNSA)のブルックス局長が、今後6年間で年間30~40個の生産体制を確立すると表明。

年間最大450個を量産する新型ピットの工場を建設する方向を明らかにした。

そして米議会で2007年会計年度の新型核弾頭の事業予算を
06年分の2倍にあたる5000万㌦(約58億円)を計上。

ブッシュ政府は新型核弾頭を2012計年度(11年10月~12年9月)に製造する方針を議会に伝達。

小型核量産体制にむけ、「テロ組織への核物質流出を阻止する」と主張し
これまで8施設でしていた核開発を2大施設に集約し、2022以後は
年間125個のプルトニウム・ピットを生産すると決めた。

こうしたなかでミサイルを配備したイージス艦が、ハワイ沖で活発に発射実験を繰り返している。
2月に漁船を沈没させた海自イージス艦「あたご」もその訓練の帰りだった。

ミサイル防衛システムは大気圏外で迎撃する上層システムと、
パトリオット・ミサイルなどを利用する下層システムで構成されるが、
放射能被害の及ぶ下層システムはすべて日本の国土や海域に配備する。


米軍岩国基地内での核ミサイル攻撃を想定した待避演習は米兵とその家族だけを国外に脱出させ、
岩国市民は攻撃されるにまかせる訓練を繰り返している
が、それは全国共通の問題となっている。

http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/nihonntatenikakusennsoutakuramubeikoku%20kyoui%20aorisennseikakukougekitaisei.htm
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そもそも、アメリカは今年の2月に核ミサイルの実験を行っている。


「 アメリカとロシアの緊張が高まる中、アメリカ軍が軍事競争に対して
  核の力を見せ付けるため、2発目の弾道ミサイルを実験しました。

  この弾道ミサイルは、25日木曜夜、カリフォルニア州の空軍基地から
  マーシャル諸島に向けて発射されました。

  アメリカ国防次官は、この実験の前に、

 「アメリカは2011年1月以来、これまでに少なくとも15回のミサイル実験を行っており、
  ロシア、中国、北朝鮮といったアメリカの戦略的な競争国に対し、
  アメリカは強力な核兵器を有しているというメッセージを含んでいる
」と語りました。

  http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/62616-」


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アメリカが、中国あるいはロシアに対する初の核攻撃を計画中



アメリカ人ジャーナリストで反戦活動家のブルース・ギャノン氏が、
アメリカは現在、中国あるいはロシアに対する初の核攻撃を計画中である」と語りました。

ギャノン氏は、プレスTVの取材に対し、
アメリカによる韓国へのTHAAD・終末高高度防衛ミサイルの配備は、
 中国あるいはロシアに対し初の核攻撃を行うというアメリカの計画の一部である
」と述べています。

また、「THAADの配備は中国とは全く関係がない、
    とするアメリカのカーター国防長官の主張は虚偽である」としました。

さらに、「北朝鮮は決して、アメリカにとっての脅威とはみなされず、
     アメリカによるこの措置の主要な動機となっているのは中国だ」と語っています。

ギャノン氏によりますと、北朝鮮は低レベルの宇宙技術しか保有しておらず、
アメリカにとっての脅威とはならない、ということです。

ギャノン氏はまた、
「アメリカは、韓国へのTHAAD配備を正当化するために、北朝鮮を口実として利用している」
と語りました。

さらに、
「アメリカは、イランの核問題を口実に、THAADに類似したミサイル防衛システムを中東に配備し、
 それによってロシアを包囲しようとしている」と述べています。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/63557
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中国や北朝鮮、ロシアの核保有に対しては・・・




G7「やめろぉおおおおおお!!!!」



アメリカの核保有、先制攻撃を想定した実験と演習に対しては・・・







G7「・・・・・・」




このやる気のなさ、どうしたものか・・・


このG7外相の目的は反核ではなく、むしろ北朝鮮と中国にむけたけん制、
ならびに大国がテロリストと決めつけた連中に対する空爆や斬首、拉致作戦にむけての相談だろう。



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文書は「核兵器保有の透明性を向上させたG7の核保有国の努力を歓迎する」としたうえで、
保有している核兵器の数を明らかにしていない中国を念頭に、「他国にも同様の行動を求める」として、
透明性の向上を求めています。

~中略~

会合の成果などをまとめた共同声明では、
「テロ・暴力的過激主義対策」に最も多くの分量が割かれ
テロを「全世界的な喫緊の安全保障の脅威」と位置づけたうえで~(中略)

また、ことしに入っての北朝鮮による核実験や弾道ミサイルの発射について、
「最も強い表現で非難する」としたうえで、北朝鮮にこれ以上、挑発的な行動をさせないため、
国際社会に対し、国連の安全保障理事会が決定した北朝鮮に対する制裁措置を完全に実施するよう呼びかけています。


~中略~

直接の名指しは避けながらも、中国が南シナ海などで海洋進出の動きを活発化させていることに
G7として懸念を共有するとしたうえで、大規模な埋め立てや軍事拠点化の動きを自制するよう求めています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160411/k10010474921000.html?u
tm_int=news-international_contents_list-items_001

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この声明はアメリカ軍やオーストラリア軍が
南シナ海を旋回している
ことにはまったく触れていない




長らくアメリカは防衛ライン以内における中国軍の侵入を警戒していたが、
最近では防衛ラインより外側、つまり南シナ海より内側の海を徘徊し、挑発的な行動を取っている。

アメリカの影にこそこそ隠れて同様の行動を取っているのがオーストラリアで、
この国は、シリアに対しても去年の秋から空爆を行っている。

客観的に言って、G7は世界中で戦争をしている。


イギリス、アメリカ、フランスを中心とするG7の面々は、
一貫して、中東や中央アジアにいる武装勢力を支援してきた。

その目的は現地のテロ集団を利用した国家転覆であり、
特にシリアとリビアにおいてはアルカイダの系列にある過激派を支援したことで、
地域内の治安を余計に悪化させ、その中には欧米にも牙をむける組織も出現してきた。

言わずもがな、ダーイシュ(イスラム国、IS)である。


こうして情勢が悪化するなか、不可避に生じた大量の難民を欧米圏から締め出し、
現地人の復讐をテロリストによる逆恨みであるかのように演出し、悲劇の主役を気取って見せている。

その裏側では自国の民衆に対する監視体制を強め、他国の空爆を開始・支援している。


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欧州議会で、サウジ向け武器禁輸要求決議が採択


欧州議会が、イエメンでの戦争犯罪を理由に、
サウジアラビアに対する武器の禁輸を求める決議を採択しました。

ファールス通信が25日木曜、報じたところによりますと、
この決議はイエメンでの国際人道法に関する調査が行われるまで、
EUによるサウジアラビアへの武器の大規模な禁輸を求めています。

この法案は、サウジアラビアに大量の武器を輸出している国として、
はっきりとイギリス、フランス、ドイツ、スペインを挙げています。


この法案の採択に努力した、欧州議会のアラン・スミス議員は、
「サウジアラビアへの武器禁輸という欧州議会の要求は前代未聞であり、
 サウジアラビア空軍によるイエメン戦争の管理方法に対する失望を示すものだ」と語りました。

また、
サウジアラビアは、イギリスとフランスの武器の主要な顧客であり、
 イエメンでこれらの武器が国際法に違反して使用されているという証拠が存在している。


イエメンでは、昨年3月にサウジアラビアに戦争をしかけられてから、
これまでに数千人の民間人が死亡している」と述べています。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/62599



なお、アメリカもサウジアラビアに武器を与えているという情報がある。
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イエメンにおけるサウジ軍の空爆で、最低3万人の国民が死傷し、インフラの8割が破壊された。
これら空爆はイエメンで勢力を握っているフーシ派というテロリストを掃討するためのものだと言われた。

欧州議会は武器の輸出を禁じてはいるが、侵略を援助した国々に対する制裁は与えていない。


同様に、アメリカや日本、EUはウクライナ政府を経済支援しているが、
同政府がテロリストを倒すための作戦と称して自国民を爆撃し、
住宅地や病院、教会を破壊してきたことについて全く責任を問いていない


(それどころか今回のサミットではウクライナ問題の処置について、
 つまり、自分たちの行いが正しいことを前提にどう事態を収拾させるかを話し合っている)

ある集団をテロリストとみなすか、
それとも抵抗勢力とみなすかは侵略者の気分次第である。



G7やNATOはどれだけ破壊工作を行っても制裁を受けはしない。


北朝鮮の核実験は今のところ、一人も犠牲者を生んでいないが、
アメリカやイギリスやフランスが現在進行形で行っている反テロ戦争では
直接的な死傷だけでなく、テロ容疑者の拉致、拷問も発生した(悪名高いグアンタナモ基地が好例)。


これら自分たちの悪行を列挙した上での献花と非核宣言ならば意味があるだろうが、
実際には、非核という言葉が侵略の隠れ蓑として利用されている。

G7は、まずイエメンやウクライナの犠牲者に向けて花を捧げるべきだろう。


自らの行いを真に反省しない限り、そこで行われるのはいつまでたっても茶番でしかない。



※追記

そもそも、G7は元はG8、つまりロシアも含まれていたのだが、
ウクライナ問題で米英仏と対立したために、ロシアはG8から外されてしまった。


2015年のドイツでのサミットではG7のメンバーはロシアに対し、
ウクライナ問題への介入継続に関して警告を発し、更なる厳しい制裁を行使すると述べている。

この「言うことを聞かない国は追い出してしまえ、制裁してしまえ」という独善としか
言いようのない行動をしている連中が、平和記念公園の前で何を思うと言うのだろうか?


米仏、イランへの新たな制裁を検討中

2016-01-29 00:20:28 | 国際政治
イランと北朝鮮。この二カ国はいずれもブッシュ政権時代に
合衆国から「悪の枢軸国」と名指しで非難を受け、経済制裁の憂き目にあう。
イランは核兵器を持っているかもしれないという理由だけで随分と辛酸を舐めさせられたが、
外国との協調を重んじる現政権になって協議が進み、ついに制裁が解かれた。

制裁解除が順調に進んだ背景として、イランのエネルギー資源が重要な役割を果たしている。

イラン、欧州へのガス供給開始へ
イラン 欧州向け原油を値引き

イランはサウジアラビアやロシア、アメリカと比べれば
それほど多く石油を生産してはいないが、潜在する石油量はかなりのものだと思われる。

「あるのかないのかよくわからない核兵器のために石油ビジネスが停滞するくらいなら」
 という思惑が制裁国にあったのではないだろうか?(現在、欧州はロシアとの関係が悪化している)


お互い、利用し利用される形で決まった妥結だが、
これまでイランが受けた経済的被害を思えば、制裁国は英断を下したものと評価したい。
(実はこの制裁国の中には日本も含まれる)


ところが、ここ最近、再びイランに
新たな形で制裁を加えようとする動きが出ている。


米国 イランのミサイルプログラムに対して追加制裁

仏 ミサイル実験を受け、新たな対イラン制裁を提案

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フランス政府は、イランが最近実施したミサイル実験を受け、
EU指導部に対し、新たな対イラン制裁の発動について検討するよう提案した。
AP通信が28日、EUの匿名代表者2人の話として報じた。

EU代表者らによると、現在EUはフランスの提案を検討しているという。
なおEUの大多数の加盟国は、フランスの提案について、
対イラン制裁解除後のイランとの政治・経済関係構築にとって非生産的だと考えているという。

EU代表者らによると、
フランスは、対イラン制裁解除後まもなく開かれたEU外相理事会の会合で提案した。

なお同時にAP通信によると、匿名を希望する欧州の別の外交官は、会合で
この問題は話し合われなかったと指摘したという。一方で同外交官は、「フランスが
イランに対する新たな制裁の検討を提案しなかったか?」との問いに答えることは拒否したという。

またフランス政府も、AP通信へのコメントを拒否したという。
先にイランのロウハニ大統領は、イタリア訪問を終え、フランスへ向かった。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/politics/20160128/1508409.html#ixzz3yY3Uf1gm
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『現代思想』2016年1月臨時増刊号(中東問題に関心のある方は読むのを薦める)や
『経済』2016年2月号によると、シリアにむけての軍事干渉(武装組織への支援や空爆)は
 アメリカよりもフランスやイギリス、サウジアラビアのほうが積極的だったそうだ。

とはいえ、やはりアメリカの威嚇というものは凄まじいもので、次のような事件が起きている。

イラン当局 オマーン湾で米国空母を追い払う

 イランは、同国の海上軍事演習が行われているオマーン湾から、
 米国の空母を退去させるよう求めた。通信社タスニムが報じた。

 米国の空母は、演習が行われている領域までかなり接近したが、
 イランが警告をした後、すぐに同領域から去ったという。


 なおイラン海軍の司令部は、そのまま演習を続けたという。

 続きを読む http://jp.sputniknews.com/us/20160128/1503396.html#ixzz3yY5rJI71


日本に置き換えてみれば、沖縄なりどこなりで自衛隊が演習をしていると、
どこからともなく中国やロシアの軍艦が現れ近づいてきたような事件である。

どれだけ不気味な威嚇を行っているかは想像に難くないが、
これが北朝鮮の非核化にも悪影響を与えるという指摘がされている。

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ロシア科学アカデミー東洋学研究所コリア課のアレクサンドル・ヴォロンツォフ課長は、
ラジオ「スプートニク」のインタビューで、
北朝鮮指導部はイランの「核合意」を経験として捉えていると述べ、次のように語った


北朝鮮はイランの状況を注視している。
 
 制裁を解除した後でまたそれを元に戻すという、
 これほど矛盾した行為は、米国政府の約束を信じる根拠はないという
 北朝鮮指導部の確信を強めるだけであることに疑いはない。


これらの条件において、北朝鮮は平等な協議形式しか設けない可能性がある。
もし米国とその同盟国がそれに反対し、北朝鮮に力と抑えつけの制裁という立場で
対応していくだけならば、もちろん北朝鮮が、『米国は自分たちが必要だと考える政策を行えばよい。
我々は、核プログラム開発という手段も含め、自分たちの防衛力を全面的に強化する道を進み続ける』
という立場に確信を持ち続けることは大いにあり得る」。

~中略~

さらに「スプートニク」は、米国とその同盟国に、
北朝鮮の核問題解決に向けた制裁アプローチが無益であることを説得するためには、
どのような論拠が有効か?と質問した。ヴォロンツォフ課長は、次のような見方を表した‐

「中国とロシアは現在、
 まず当事者たちに協議を呼び掛けるなど、よりバランスの取れた文書にしようとしている。
 ロシアと中国は、北朝鮮の今回の核実験について、制裁は機能しておらず、
 北朝鮮の核プログラムの発展を止めることはできないことを証明しただけだと考えている。

 これで交渉に代わるものはないということが明らかとなった。
 一方で、まだ我々には、このような建設的な提案が、米日韓の賛同を得ると期待できる根拠はない。
 この3カ国は、最も強力な制裁の策定、軍事協力の強化、
 そして北朝鮮に対する軍事・政治的圧力の強化に夢中になっている
」。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/opinion/20160128/1506800.html#ixzz3yY8UfAf3
-----------------------------------------------------

リビアもまた、欧米との対話により自国の非核化に努めたが、
その結果が空爆による国の消滅と内乱の勃発だった。


「核に関する制裁」を解除して「ミサイルに関する制裁」を開始する一連の動きは、
 北朝鮮の耳にも届いているはずだ。大国の不遜な態度は確実にアジアを不安定化させる。


あわせて考えたいのが、現在、中国にとって脅威なのは北朝鮮の核ではなく、
南シナ海や東シナ海における米韓日比の軍事的プレゼンスの拡大である
ということだ。

そして、韓国・日本・フィリピンいずれも現地の住民は米軍基地を望んでいないということだ。
現在、米軍基地の撤退を求める運動は別個に行われていて、いまいち団結に欠ける。

仮に「アジアからのアメリカ軍の排除」というものを第一目標とすれば、これら運動と
北朝鮮の非核化および米朝間の平和条約の締結を目指す動きを一本化することができるだろう。

ところが、現在、日米韓による中国や北朝鮮に対する封じ込めというものは
右翼だけでなく左翼も共有しているものであり、それゆえに強力な抵抗勢力が生まれていない。


(ウソだと思うなら、中国脅威論、北朝鮮脅威論に毅然と非難・抵抗する動きが
 どれだけ左翼の間にあるのか考えてみれば良い。少なくとも論壇ではそういう動きはない)

こういう弱さを克服するためには、
私は、やはり多くの左翼が認識している歴史観(世界観)の克服が必要だと思う。


①東西ドイツ統一や東欧諸国やソ連の社会主義の放棄を手放しに礼賛するような歴史観、
 あたかも「正義は勝つ。悪は負ける」と言わんばかりの歴史観から脱却すること、

②社会主義国家の消滅は西側国家とのパワー・ポリティクスに敗北しただけにすぎず、
 現地では民主化ではなく軍事・経済的属国化が起きたということ
(ナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』などが参考になるはず)

③これら2点が強く意識されない現在、欧米諸国の中東・アジア・アフリカへの
 軍事・経済的干渉は基本的に無批判のまま実行されており、それゆえに
 ウクライナ政権の自国民への空爆やサウジアラビア軍のイエメン市民の虐殺が
 まるで問題視されず、逆に中国やイラン、北朝鮮などの「人権問題」の解決への努力が
 国内の保革団結(主流左翼の右傾化)の下、着々と行われる時代に突入している

という認識を持つべきだろう。

平和のためには核よりも空爆の阻止が必要

2016-01-18 23:59:33 | 国際政治
スプートニク紙の魅力の1つに、アンドレイ・イワノフ氏の評論が読めることが挙げられる。

モスクワ国際関係大学国際問題研究所の上級学術専門家であるイワノフ氏の見解は、
日本の知識人のそれとは一線を画しており、国際政治を別視覚から見直す際に大いに参考になる。

例えば、核保有に関する次の論説などは、日本では決してお目にかかれないものだ。

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日本は正しくない 
世界を脅かすのは原爆にあらず、世界制覇を狙うマニヤックだ



国連総会は核兵器廃絶を呼びかける日本発案の決議を採択した。
だが世界が実際に核兵器を廃棄した場合、より安全になるのだろうか?

モスクワ国際関係大学、国際調査研究所の上級研究員、アンドレイ・イヴァノフ氏は、
この件に関して次のような考察を表している。

「今年、日本の出した決議は、あらゆる形の核兵器が引き起こす
 大きな人道的なカタストロフィに関連し、深い憂慮を表しており、
 あらゆる核保有国に核兵器のない世界を創設する方向性で作業を行なうよう呼びかけている。

 日本がこうした決議を発案する理由は理解できる。日本は核兵器がもたらすこの最悪の
「非人道的カタストロフィー」を1945年8月の時点ですでに身をもって経験したからだ。
 当時、米国の投下した2発の原爆で広島、長崎でおよそ10万人の一般市民が犠牲になった。

 この新兵器の恐ろしさについて米国はその投下実験を
 ニューメキシコ州で行なった段階ですでに熟知していた。

 だが、知っていたからといって日本に対して原爆を使用することにも、
 その大量生産を行なうことにも何の妨げにもならなかった。


その後、核兵器はソ連に出現し、それに続いてさらに数カ国が核保有国となった。
しかもこの兵器はたゆまない改良 を重ねた。だから今ある核兵器、数十、数百にも及ぶ核弾頭は
当時、日本の2つの都市を住民もろとも焼き尽くしたあの原爆よりも何千倍も強力なものとなっている。

露米の保有する核兵器を使用するだけでも、互いを、そして全世界を数回にわたって破壊する
ことができる。まさにこれがゆえに露米の核大国は互いに戦争を抑止してきたのだろうと思われる。

この脅威が核戦争が起きないための唯一の確かな保証ではないことはわかる。
このほかに純粋にこれは理論上の危険性だが、核兵器がテロリストの手にわたることもありうる。
このことからも、今年の核兵器廃絶決議は出されているのだが、
核大国はこの呼びかけを無視しており、これは日本の決議への投票でもはっきり示されている。

だからといってこれが、例えばロシアが先駆けて米国に
核攻撃を行なおうとしていることを示しているのだろうか? 
否。ロシアにはそうした意図はないことはロシア指導部が示している。
そしておそらくはこれを信じてもいいだろう。なぜならロシアは、自国の存在ないしは
その一体性を危うくする攻撃を受けた場合にのみ核兵器を使用することを明確に示しているからだ。

米国がロシアに核攻撃を行なおうと欲しているかどうか、それはわからない。
まぁ、気でも狂わない限り、欲するはずはないだろう。

だが米国は今、欧州に核兵器を配備しようとしている。

ロシアは欧州を威嚇していないにもかかわらず。
米国はNATO拡大を熱心に進め、その後でロシアを非難して、
『ロシアがNATO陣営の境界線に接近する危険を冒したからだ』
というのだ。


米国はロシアとの境界線にますます新型の兵器を配備している。
それ以外にも米国は、ロシアの大陸弾道ミサイル発射装置、軍事施設、
産業の中心地に対する、巡航ミサイルによる電光非核集中攻撃コンセプトを採択した。


それからさらに米国はロシアと国境を接する諸国で、
民主主義を推し進めるという旗印のもとにその秩序かく乱を行ない、ロシアが米国の標準に即し、
米国の助言や直接的な指令を遂行しようとしないとして、これに対する制裁を発動している。

米国は、ロシア領内をも含めて、そこにイスラム帝国復興を標榜する
ダーイシュ(IS,イスラム国)などのテロ組織を自国の連合国のうち数カ国が、
例えばトルコやカタールなどが支持することには少なくとも目をつぶっている。

そうしておきながら米国は、ロシアが勝手にテロリストと戦おうとしているといってはこれを非難し、
ロシアが共に力をあわせて戦おうという呼びかけても、これを退けている。

オバマ大統領は、米国こそが地球で唯一のリーダーであり続けねばならないと主張し続けており、
米国の首位に疑念を持つもの全ては人類の敵と見なしている。

そうでありながら、おわかりだろうが、米国も原爆を手放す気はないのだ。
日本よ、世界に対し、核兵器廃絶を訴えるかわりに連合国、米国に向かって
世界の排他的リーダーシップを要求することをやめるよう呼びかけたほうが、
より現実的ではないだろうか? 世界覇権を夢見たナポレオンもヒットラーもその末期は悲惨だった。
残念なことだがこうした夢が人類にもたらした代価はあまりに大きかった。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/opinion/20151208/1288606.html#ixzz3xbl4bdtR
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上の評論は、現実の国際政治の情勢を考慮せず、単に核弾頭を
保有しているかどうかで善悪を判断しようとする平和主義者には書けないものだろう。

冷静に考えれば、平和というものは核をなくすかどうかではなく、
侵略的な行動を見せている国家に対してブレーキをかけられるかどうかにかかっている


現実を見れば、米英仏、サウジ、トルコ、イスラエル等々の西側によるテロ支援、空爆が
核保有を巡る議論ほど白熱したことはない。核を持っているかもしれないという理由で
経済制裁をイランが受ける一方で、サウジはイエメンを空爆しても制裁などされたことがない。

これではアベコベである。
大事なのは、武器を持つかどうかではなく、武器をどう使うかどうかであるはずだ。
ただ持っているだけで制裁を受ける北朝鮮と他国を爆撃しても制裁を受けないサウジアラビア。

核を持っているかどうかが他国を侵攻しているかどうかよりも重大な問題にされている。
それは、誰にとって有利になるものだろうか?

------------------------------------------------------------
サウジアラビアの戦闘機が、
イエメンの首都サヌアを攻撃し、これにより数十名が死傷しました。

イルナー通信によりますと、サウジアラビア軍の戦闘機は18日月曜、
サヌアの住宅を空爆し、これにより多くの死傷者が出ました。

また、いまだに多くの人々が瓦礫の下敷きとなっており、
これまで、最終的な死亡者の数は発表されていません。

また、サウジ軍の戦闘機は18日、サヌアの警察関連施設を空爆し、
これにより少なくとも20名が死傷しました。


さらに、イエメン中部マーリブ州の歴史的な都市シルワの各地を攻撃しました。

こうした中、イエメン軍と義勇軍も、18日朝、サウジアラビアの犯罪に報復するために、
2発のミサイルをイエメン中部のダンマール州からサウジアラビアの拠点に対して発射しました。

また、サウジアラビア国境付近では、イエメン軍と義勇軍により、サウジの侵略者多数が死傷しました。

こうした中、イエメン軍のミサイル部隊は、
サウジアラビアのナジラン州やアシール州のサウジの拠点を攻撃しました。
一方、イエメン南部アデンでは、自動車による爆弾テロにより、10名が死亡しました。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/61602-
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このような記事は向こうのメディアでは頻繁に書かれている。
イランや北朝鮮に対する態度とサウジに対する態度は随分と違う。

前者は誰一人殺していないにも関わらず地域の安全を脅かすということで制裁を受け、
後者は住宅地やインフラ施設を爆撃しているのに核を持っていないから非難されない。

もちろん、全く非難されていないわけではないが、
イランや北朝鮮にたいするそれと比べれば、相対的に見て、ほぼ無視に近い反応だ。

そもそも、北朝鮮に対する態度だって随分と不公平なものである。
例えば、次のことを私たちのどれだけが知っているだろうか?


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朝鮮の水爆実験の4日後、
米軍のB52戦略爆撃機がソウルの南に位置する鳥山周辺を低空飛行した。
南の連合ニュースは「核兵器を搭載していた」と伝えた。

B52には30Mtの核兵器が搭載可能だ。
 広島級原爆の一千倍の破壊力に値する。


各国メディアは「4回目の核実験を強行した北朝鮮をけん制する狙い」があると
被害者と加害者の立場を逆転させて伝えた

B52は水爆実験の前から、南との合同軍事演習に投入され、
朝鮮を核攻撃するための模擬飛行を行っていた。


米国が核で恫喝したからこそ、朝鮮は核抑止力強化の道を選んだ。


∇B52の飛来がニュースになったのは、米国政府が情報を提供したからだ。
 以前は、戦略兵器の動員が秘密裏に行われた。ところがオバマ政権は、
 軍事的示威活動をわざと公にする傾向がある。今回の場合は、アリバイ作りだ。
 水爆実験に対して米国が「適切な行動」をとっていると
 内外にアピールするためのデモンストレーションであろう。

∇オバマ政権の対朝鮮政策は手詰まり状態にある。
 大統領自身、朝鮮の「体制崩壊」を追求すると公言しながら、
 米国が「軍事的オプションを選択できない」ことを認めている。

 先日行われた任期最後の年頭演説で大統領が朝鮮問題に一言も触れなかったのは、
 自らの無為無策を認めたようなものだ。大胆に政策転換を図り、朝鮮との対話に臨むことが
 唯一の活路だが、B52を飛ばして世論を欺く無能な大統領には、問題解決の意志も能力もないようだ

http://chosonsinbo.com/jp/2016/01/skst-76/
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北朝鮮の姿勢を「脅迫外交」と呼ぶ人間には、
この国がアメリカ合衆国からどういう威嚇を受けているのかについて知らないのだろうか?

結論から言うと、そんなことはない。
例えば、朝日新聞の論説委員を努め軍事評論家(笑)として活躍する田岡俊次氏は
米韓の合同軍事演習を見学したことがあるそうだが、特に問題はないと評価していた。

アメリカが一切、北朝鮮との協議に応じようとせず制裁に執着していることは周知の事実だが、
逆に北朝鮮が核で脅迫してアメリカに言うことを聞かせようとしているとみなすのが
日本の知識人のスタンダードな見解である。一切の悪は敵にあり、自分にはないというものだ。


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何しろ北朝鮮が米国からほしがっているのは、米国がユーゴスラビアにおけると同様
軍事的手段で北朝鮮態勢を変更しようとすることはない、という保証だけなのだ。

金正恩第一書記はそうした保証を得ることで、
既に着手がなされた中国式の経済改革を進める大きなチャンスを手に入れ、
それで北朝鮮は絶対的に正常で持続力ある国家になることが出来るというのに。

しかし、こうした展望は、どうやら、米国のお気に召すことはないようだ。
今やすっかり資本主義国の中国が気に入らないのと同様に。
何しろ中国は、経済成長により、ますます強力な米国にとってのライバルとなっているからだ。
こうしたライバルを軍事的手段で解体することは米国にはできない。
もう遅すぎる。北朝鮮については遅れたくない、と考えているかも知れない。

米国政府内では、どうやら、米朝二者協力の発展を通じて北朝鮮を戒めるという可能性は、
全く検討されていないように見える。米国は、彼らの見るところではもっと簡単な、
力による北朝鮮問題の解決を選好する用意があるらしい。

ではもし北朝鮮が本当に既に充分実用可能な核兵器をもっているとしたら?
もし先日の潜水艦発射式弾道弾実験もやはりブラフやビデオモンタージュでなかったとしたら。
そのとき北朝鮮鎮圧作戦は、多数の犠牲と大規模破壊に転じるかも知れない。
それも北朝鮮だけでなく、韓国、日本にも犠牲を出すような。
日本にも米軍基地はあり、北朝鮮はそれらへ弾道弾を撃ち込む可能性もあるのだ。

ゆえに、常にコルト拳銃をつかむ
カウボーイ式の習慣を捨て、話し合いを試みたほうがよくはないか。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/asia/20160111/1421721.html#ixzz3xbwALM13
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重要なのは、人間は核兵器などなくても人を殺せるということだ。
ウクライナ南東部において行われた中央政府の空爆、イエメンの空爆、アフガンの空爆。

確実に民間人が犠牲になっているのに、ただ国際政治で覇権を握っているというだけで
何ら制裁を受けることがない現状に対して、もう少し憤っても良いのではないだろうか?

核を持っているか否かのみが問題とされ、核を持とうとする国の実情を考慮しない。
それは誰にとって都合のよい考えなのだろうか?深く検討する余地がありそうだ。

イランの核利用には制裁を加え、イスラエルの核保有は黙認する「国際社会」

2016-01-13 00:56:26 | 国際政治
北朝鮮と同じく「悪の枢軸」とアメリカに名指しされたイラン。
去年、ようやく核エネルギーの使用および研究・開発が限定的に認められるようになり、
それと平行して同国に加えられた経済「制裁」が解かれそうになる今、この時、
再びアメリカはイランに対し強硬な姿勢を見せ始めている。

-----------------------------------------------------------
米・ホワイトハウス、
「イランは本格的な歩みを踏みだして初めて、制裁緩和を受けられる」



アメリカ大統領府の報道官が、
「イランに対する制裁が緩和されるのは、
 同国の核施設から主要な部分が撤去された後のことだ」と語りました。

IRIB通信によりますと、アーネスト報道官は、
「対イラン制裁が緩和されるのは、6カ国との間で成立した合意に基づいて
 全ての取り決めが実行され、IAEA・国際原子力機関を通じて、
 イランが合意内容を守っていることが国際社会に証明された場合である」と述べています。

また、「イランが、核計画の大部分を取りやめるという合意に沿って歩みを進めなければ、
国際社会、そしてアメリカが対イラン制裁の緩和に向けた準備を進めないのは当然だ」としました。

さらに、「イランは、この方向性において前進しており、
数週間前に大量の濃縮ウランを国外に移送した。これは、自らの備蓄ウランを98%削減するという、
イランが果たすべき責務に基づいた行動である」と語っています。

アーネスト報道官はまた、「イラン中部アラークの重水施設に対しても、
守るべき事項が存在する。それは、この施設を安全なものにするためにその炉心部を撤去し、
そこに燃料棒を補充するというものだ。これにより、イランがプルトニウムを
核兵器に転用する道は完全に閉ざされることになる」と述べました。

さらに、「イラン側による合意の実施の程度に応じて、
彼らの核合意の実施状況が検証される」としています。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/61436
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このようにアメリカは、イランが核兵器を製造しないという確信が得られない限り、
絶対に経済制裁は解かないぞといきまいているが、その一方でイスラエルの核保有を黙認している。


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アメリカのシンクタンク・科学国際安全保障研究所は、
昨年11月19日の報告の中で、「イスラエルは50年間、660キロの濃縮プルトニウムを生産した。
これは核兵器の爆発力を拡大するために使用された可能性がある」と表明しました。

この調査は、2014年、イスラエルが115個の核兵器を保有しているということを認めています。
この報告によりますと、
シオニスト政権は弾道ミサイルに加えて、核弾頭が搭載可能な巡航ミサイルを獲得しています。
また、外国から各種の核兵器を用意しており、そのほとんどは非合法な形で手に入れられたものです。

ロシア国会の外交委員会のプシコフ委員長は7日木曜、
イタルタス通信とのインタビューで、北朝鮮が主張する水爆実験に触れ、
「イスラエルは国際法規を無視して核兵器を製造している」と強調しました。

プシコフ委員長はまた、国際社会はイランの核計画を監視しているとして、
「イスラエルは国際法規を踏みにじることで核兵器の製造を可能にした」としました。

さらに、「イスラエルはディモナという核施設に200発以上の核弾頭を保有しており、
現在もこの核弾頭を搭載し、発射できる兵器を用意しようとしており、
これは地域や中東の安全保障上の深刻な脅威とみなされる
」としました。

このような状況の中、シオニスト政権の関係者は、地域の情勢不安を利用し、
イラン恐怖症といった空虚な表明を行い、
地域における実質的な脅威であるこの政権に対する注目をそらそうとしているのです。

http://japanese.irib.ir/news/commentaries/item/61318
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もちろん、ロシアなどの一部の国家はイスラエルの核保有について非難しているが、
「国際社会」の場では、そのようなことはない。

イスラエルは公式に核保有を宣言していないために、核保有国としてカウントされていない。
つまり、イスラエルは核保有国ではないから核を所有していても非難されることはない。

何を言っているのかさっぱりわからないかもしれないが、「国際社会」は確かに
イスラエルを核保有国とはみなさず、これまで一度も制裁を加えたことがないのである。



今、私は括弧つきで「国際社会」と表現したが、
それはイランにせよシリアにせよ北朝鮮にせよ中国にせよロシアにせよ、
これら国家に対して非難を行っているとマスコミが喧伝する「国際社会」とは、
正確に言えば欧米を中心とした「国際政治」のことを意味しているのではないかと思うからである。

上の記事にも触れているように、ロシア、イランなど
一部の国家は確かにイスラエルの核保有を非難しているが、それが多勢とならないのは
彼ら非欧米圏の国家が国際政治の場で覇権を握っていないからではないだろうか?


イスラエルにせよアメリカにせよ、これら国家は核を保有するだけではなく、
ガザ地区なりイラクなりシリアなり非戦闘員がいる地域を空爆し、今も犠牲を増やしている。

加えて、アメリカに至っては冷戦期から敵国にむけて核兵器を使用することを
継続的に検討しており、近年も実験と開発に力を入れ、
核弾頭搭載可の戦闘機を用いた先制攻撃の演習を毎年のように行っている。

つまり、他の国があくまで防衛のために核を保有しているのに対して
アメリカは核攻撃を念頭に入れて保有しているのだが、これに対しても
「国際社会」は忌々しき事態と思わず、国連はアメリカに制裁を加えようとしない。


核兵器を持ってもいないのに経済制裁を食らうイラン、
核兵器の実験を行っただけで経済制裁を食らう北朝鮮、
北朝鮮より100発以上も核を保有しておきながら核保有国と認識されないイスラエル、
核兵器による他国の攻撃を計画しておきながら何らお咎めなしのアメリカ。

こう考えると、メディアが正義の化身であるかのように語る「国際社会」とやらは、
どうも米英仏およびこれら同盟国にとっての平和にしか関心がないように思われる。

上からの解決 -慰安婦問題における日韓の妥結について

2015-12-29 23:19:55 | 国際政治
恐らく日本の右翼も左翼も納得が行かない最悪の決着のつけ方だったと思う。
とりあえず、このニュースがロシアでどう報じられているかを見てみよう。


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Japan finally ready to apologize for using South Korean female sex slaves during WWII
(日本、ついに第二次世界大戦中の韓国人女性性奴隷の使用について謝罪する用意をする)


Japan has finally reached the stage
   where it is ready to apologize for enslaving thousands of ‘comfort women’
     from South Korea during World War II
      – something that has long been a source of contention between the neighbors.

(日本は、第二次世界中に韓国で数万の従軍慰安婦を奴隷化したことに対して
 謝罪する用意をする段階に、ついに到達した。
 長い間、従軍慰安婦は隣国同士の対立の原因となっていた。)

The agreement on Monday between South Korea and Japan
     is considered a landmark deal and concerns decades of animosity
  because of failure to agree that
      Korean women were forced into sex slavery run
       by the Japanese empire for the purpose of comforting soldiers.

(https://www.rt.com/news/327241-japan-comfort-women-korea/)
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重要なのは韓国人の女性を性奴隷にしていたと日本政府が認めたという認識。
誰がどう言おうと、今後、日本政府はこの合意に反する行動はできない


中国外交部(外務省)は以下のようにコメントしている。

「慰安婦の強制連行は、
 第二次世界大戦中に日本の軍国主義がアジア諸国の人々に対して行った深刻な非人道的犯罪だ。
 日本は侵略の歴史を正視・反省し、責任ある態度で関連問題に対処するべきだ。
(http://j.people.com.cn/n/2015/1229/c94474-8996836.html)


安倍政権にとっては、これで今後、慰安婦問題でケチをつけられることもあるまいと
思ったかもしれないが、今回の妥結は上記の歴史認識について公的な反発が出来ないことを意味する

すでに台湾やインドネシアでは自国も韓国同様の待遇をするように求めている。
臭いものにフタをしたつもりで、逆にフタを開けてしまったかもしれない。


------------------------------------------------------
ロシアの東洋学者、ドミートリイ・ストレリツォフ氏によれば、
問題解決の兆しはここ数か月、肌に感じられていた。2014年初頭には
安倍首相の就任以来凍結されていた両国の政治コンタクトが再開していたからだ。


「11月、日中韓の3か国サミットが行われた。
 その中で、安倍首相とパク大統領の首脳会談も初めて行われた。
 これは両者の妥協への努力の表れだった。米国というファクターも影響を与えた。

 米国は東アジアの最重要同盟国である日韓の紛争が
 長引いていることを強く懸念しており、日韓対話の再開に全力を挙げていた。

 米国はこの問題においては韓国の側に立ち、
 ほとんど恒常的に日本に心理的圧力をかけていた。

 米国の多くの州に慰安婦記念像が建立されさえした。
 この間米国は、妥協すべきは日本の側だ、という立場を明確にしていた


今回見いだされた慰安婦問題の解決の形式は、韓国側をも満足させるはずだ、とストレリツォフ氏。

「10億円規模の特別基金の創設には、日本の国費が投じられる。
 これは韓国にとっては極めて重要なことだ。というのも、
 これまで日本側は、政府の参加なき人道手段による問題解決を図ってきた。

 過去の朝鮮植民地化に関する問題は、国家レベルでは、
 1965年の外交関係再開宣言の時点で解決がなされている、という立場からだ。

 それが今回、日本は、ほぼ初めて、この立場を去り、
 国費から費用を拠出することを決めたのだ


続きを読む http://jp.sputniknews.com/politics/20151228/1381062.html#ixzz3vinrzOKA

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繰り返すと国際政治の場では
日本の慰安婦制度は絶対悪であり、今回の妥結は
日本がようやく己の悪を認めたという認識がされている。


これは韓国に限らず、中国、ロシア、イラン、フランス、アメリカ等に通じるものである。


「The Japanese military used Korean, Chinese, Taiwanese,
 Dutch and Australian women as sex slaves for soldiers during World War II.
日本軍は韓国人や中国人、台湾人、オランダ人、オーストラリア人の女性を
  兵に向けての性奴隷として第二次世界大戦中に使役した
)」

 (ラジオ・フランス・インターナショナルの記事より

今回の日本政府の決断は上の事実を公認したものである。



慰安婦日韓合意でネトウヨが「安倍、死ね」の大合唱!
でも安倍の謝罪は二枚舌、歴史修正主義はさらに進行する


安倍本人は、このことに気づかず、あるいは意図的に忘れ、
形ばかりの謝罪と賠償を行い、歴史の改竄を続けるつもりかもしれないが、そうは問屋が卸さない。

国際的な圧力は前より強まったものであることは自覚して欲しいものだ。







慰安婦問題妥結で解決遠のく強制徴用問題


[社説]法的責任なき慰安婦問題の最終解決はない

慰安婦被害者・挺対協「少女像の移転は認めない」

他方で問題点も多く存在する。

第一に、今回の解決法は村山政権時のアジア女性基金と同じ方式であること。
第二に、日本政府の法的責任が曖昧にされたままであること。
第三に、今後、慰安婦本人や家族、遺族、支援団体の行動や発言が抑制される可能性が高いこと。
第四に、慰安婦像設立などの下からの社会運動を完全に否定するものであること。

大まかに言っても、これだけの問題点が存在する。
この点についてはハンギョレが詳しく論じているので、関心のある人は紹介記事を読んで頂きたい。


慰安婦合意…父と娘、半世紀超えた拙速“瓜二つ”
被害者が眼中にない“最終解決”…対国民談話まで


何よりも、今回の妥結は市民の意志を完全に無視したものであることが問題である。
今、韓国は軍事政権時代の大統領、チョン・ドファンを批判しただけで逮捕されるような有様だ。

[ニュース分析]全斗煥風刺ポスターが有罪…失われる表現の自由

こういう軍事政権時代の批判が公に言えなくなっていく中で、
慰安婦に一言も相談せずに勝手に決められた今回の妥結。少女像を作成したキム・ウンソン氏は
少女像には韓国政府も自省し、反省しなければならないという意味も込められている。
「国がちゃんとしていれば、国民がそのような被害を受けることはなかったはずだ」
と語っている(http://japan.hani.co.kr/arti/politics/22911.html)。


金氏が指摘するように、今後、慰安婦像の撤去を皮切りに韓国政府が
慰安婦や市民団体の活動にまで干渉・制限してくる可能性は十分考えられる。
(反日国家、反日国家と小うるさいが、韓国の与党、セヌリ党は親日派の政党である)

「帝国の慰安婦」朴裕河教授の在宅起訴に学者ら54人抗議声明(全文)

最後に、これは大変重要な指摘だが、今回のような日韓関係の改善を重視する「解決」は
実は、日本や韓国の反共左翼が盛んに主張してきたことだ
ということである。


①自分たちは誰よりも慰安婦のためを思っていると主張し、
②事実の正誤や法的責任の有無の確認よりも早急の解決を優先し、
③慰安婦問題未解決の責任を日本政府から挺対協(韓国の主要な市民団体)に転嫁し、
④アジア女性基金型の解決方法を強く推す

こいつらの特徴を簡単に説明すると上のようになる。
私は反共が主軸であるがために、同目的を持つ右翼と簡単につるんでしまう左翼を
反共左翼と呼び、厳しく批判しているが、上の共同声明にも地味に右翼知識人が混ざっている。

案の定、今回の妥結の背後には、
中国をけん制するために日韓の政治的軍事的結びつきを固めたいアメリカの動きがあったようだが、
この連中も究極的には、中国や北朝鮮に対する否定的な感情が声明を決意した背景にあるのではないか?
(実際、北朝鮮バッシングの代表者やイラク戦争支持者などがリストの中に微妙に混ざっている)

どちらが飛車か銀かで揉めているだけで、
アメリカという王将の指示に従い、棒銀戦法を忠実に実行しようとする点で両者に変わりはない。


以前、このように表現したわけだが、今回の妥結はまさにその見本のような例で、
加えて、上のような政治や外交を優先した上からの解決を、
他ならぬ両国の左派系知識人が支持し、反対者を攻撃している。

こういう冗談では済まされない日韓左翼の右傾化を見逃してはならないだろう。