時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

アメリカ、日本をホワイト国に認定せず

2020-01-26 00:13:55 | 欧米

この度、米財務省が発表した
対米外国投資委員会への届け出を免除する「ホワイト国」のリストが発表された。

簡単に言えば、安全保障上、信頼のおける国家に対しては煩雑な手続きを免除し、
より円滑な投資活動を約束するというもの。

今回は、ファイブ・アイズ該当国がリストに選ばれた。

 

 

ここで自然、気になるのはアメリカとの親密な関係を強調し、
日本外交の成功を吹聴していた日本政府や極右論者の反応である。

まさかとは思うが「ファイブ・アイズ該当国でないから」という理由で
リスト入りを果たせなかったことを正当化はするまい。

「100%一致」と銘打つほどの友好国であるならば、
 該当国でないからこそ、特別扱いを受けてしかるべきだからだ。

 

とはいうものの、正直、自信は無い。

 

極右論者の傾向として

①アメリカを絶対的に支持する

②アメリカを絶対的に支持する日本政府を絶対的に支持する

③アメリカの判断は正しいという断定を前提に発言する

というものがあるので、今回の除外に対しても
「問題ない」「それなのに騒ぐとは」「何と愚かな」
と冷笑するような気が何となくする。

 

慰安婦問題に対する韓国政府への報復処置として
ホワイト国除外を日本が行い、日韓外交に亀裂を生ませたこと、

転じて言えば、①政治的な理由で日韓経済を混乱させたこと、

そして、②対米従属を徹底したにも関わらず、ホワイト国に選定されなかったこと。

この2点に対して、いわゆる左翼と呼ばれる人々は問題提起しているが、
そもそも、アメリカに徹底的にコケにされていることを問題とは思わない連中を
茶化してもどうしようもない気がする。

逆に、日米関係の在り方を見直そうとする姿勢を嘲笑されて終わってしまうだろう。

 

最近、とみに思うのだが、日本の左翼はもう
極右論者を相手にしなくても良い気がする。

レイシストがどれだけ声高に叫んでも
国際社会の場では彼らは否定される存在なので無視しても良いと思う。

むしろ、注意を要するのは、彼らの排外主義を利用するようにして
権力を拡大している極右の政治家や実業家、知識人だろう。


政治と経済と情報。
この3つを握られると問題が生じた際にも修正が効かなくなるからだ。

そういう意味では、彼らが非難するべきは
政財界の差別主義者、彼らを支持するマスメディアであって、

Twitterやブログに跋扈する有象無象の極右論者は
端から対話相手としてみなさないほうが良いと思う。

火事が起きた際には、火元を消火するのが肝心であって、
玄関先を浮遊している火の粉を消したところでどうしようもない。それと同じことである。


オバマは独裁者ではないのだろうか?

2016-12-08 22:45:31 | 欧米
スプートニクの記事より。

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オバマ大統領 大統領任期中に休暇のために8500万ドル以上を費やす


オバマ米大統領は、8年間の任期中に、自身の家族の休暇や旅行に8500万ドル以上を費やした。
団体Judicial Watchが伝えた。

Judicial Watchは、米大統領の警護を行う
米国シークレットサービスの大統領の家族の出費に関する文書へのアクセスを得た。

オバマ大統領の家族は、年間平均およそ1000万ドルを休暇や旅行に費やした。

ここにはセキュリティー、飛行や移動、また米国シークレットサービスの職員や
スタッフのホテルの宿泊や自動車のレンタル費用も含まれている。


なおこれが最終金額ではない。
オバマ大統領の家族は毎年クリスマスをハワイで過ごしており、今年も例外ではない。

Judicial Watchによると、オバマ大統領の家族の昨年2015年のハワイでの休暇にかかった費用は、
480万ドルだったという。 なお先にメディアがオバマ大統領の新しい新居の写真を公開した。


続きを読む: https://jp.sputniknews.com/us/201612083096616/
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ちなみにオバマの新居は毎月の家賃が2万ドルらしい。
1ドル=110円とすると、単純計算で220万である。

これでオバマ・ケアなどと言われても、何をケアするのかさっぱりわからない。


仮に習近平や金正恩が家族サービスのために血税1000万ドル(11億円)を使ったら、
これはもう間違いなく、「独裁者が私欲のために国の金を無駄遣いした!」と騒ぐことだろう。

実際、ウクライナのヤコヌヴィッチ前大統領が亡命した際には「豪邸」で暮らしていたことを
目ざとく発見し、「国民が苦しんでいるのにこの大統領は!」と言わんばかりのバッシング記事を書いていた。


こうした良心的なジャーナリスト諸氏は、聖者オバマが同じことをすると記事に書こうとすらしない。

それで国際情勢を確かに見定めることが出来るのだろうか?

トランプ以降も日本のアメリカ追従に変化なし

2016-11-22 21:59:08 | 欧米
2週間前にドナルド・トランプが大統領選で当選して以降の各国の動き。


米国のTPP拒否にタイ、ベトナムが立場を表明
(https://jp.sputniknews.com/politics/201611173022109/)

北朝鮮、次期米大統領とのこれからの関係にコメント

(https://jp.sputniknews.com/politics/201611163019163/)

ドゥテルテ大統領、2022年までにフィリピンから外国軍の撤退求める

(https://jp.sputniknews.com/politics/201611113001533/)


軒並み、新大統領の誕生を機にアメリカとの関係変更を狙っている。


あわせて次の記事も読んでみよう。


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「さらば人殺し」
ワシントンにオバマ大統領の顔入り横断幕出現


米国防総省の建物に近いワシントンのアーリントン記念橋に「さらば人殺し」と書かれた横断幕が現れた。
そこには近く退任するオバマ大統領の顔が描かれている。 ​

この抗議行動については、ネットユーザーばかりでなく主催者たちも書き込んでいる。

​抗議行動参加者の一人は、自身のTwitterの中に次のように書いている


「我々はこうしたやり方で、間もなく大統領ポストを去る殺人者バラク・オバマと別れることを決めた。
 彼には、リビアやシリア、イラク、イエメンそしてウクライナで
 何千人もの平和的一般市民が非業の死を遂げたことに対する罪がある。

 大統領在任中、彼は多くの流血の戦争を勃発させた。彼はノーベル平和賞には値しない。
 ハーグの被告席に座る事こそが彼にはふさわしい、本当の勲章である。」


https://jp.sputniknews.com/life/201611113003277/
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アフガニスタンで、反米デモが実施



アフガニスタン北部で、アメリカ軍の攻撃により数十名の民間人が殺害されたことを受け、
同国の首都カーブルで多数の人々が抗議デモを実施し、同国からの占領軍の撤退を求めました。



アメリカ軍は今月2日、テロ組織タリバンへの対抗を口実に、
アフガニスタン北部の町クンドゥズ近郊の住宅地を爆撃し、これにより40名が死亡しました。



タスニーム通信によりますと、このデモの参加者は、
「アメリカに死を」というスローガンを掲げ、アメリカ主導の多国籍軍の無条件撤退を求めています。


これらの人々はまた、アフガニスタン政府と国際機関に対し、
クンドゥズを爆撃した実行犯の逮捕と処罰を求めました。


昨年10月にも、クンドゥズの病院に対するアメリカ軍の空爆により、
少なくとも30人が死亡、ほか30人が負傷しています。

国際NGO国境なき医師団と、国連人権高等弁務官事務所は、この攻撃を戦争犯罪と見なしています。

http://parstoday.com/ja/news/world-i20482

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アメリカによるシリアやイラクへの攻撃の犠牲者は民間人


国際人権アムネスティ・インターナショナルの中東・北アフリカ担当ニール・サモンズ氏は、
アメリカがイラクやシリアでの民間人の死者数の公表を回避していることを明らかにしました。


サモンズ氏は、11日金曜、ロシア・トゥデイのインタビューで、
「アメリカが発表した、イラクやシリアの民間人の死者の数は、
 実際の死者数の5%か10%だけに留まる」としています。



また、人口数万人を有するシリア北部アレッポ州のメンビジ市で、
アメリカが主導する連合軍の空爆により、民間人250人以上が死亡したとしました。



さらに、人口100万人のイラク北部モスルでの連合軍の攻撃による民間人の死者数も、
発表された数字をはるかに上回っている」と述べました。



こうした中、シリアの人権団体は、同国の各地へのアメリカ軍の攻撃により、
少なくとも、民間人650人が死亡したとしています。




アメリカが主導する連合軍はシリア政府の許可なしに、
2014年から、テロ対策を口実に、シリアに対する空爆を開始しています。

この攻撃により、もっとも多く死亡しているのは民間人となっています。

http://parstoday.com/ja/news/middle_east-i20479
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日米が新安保法に基づく初の共同訓練を実施 専門家が解読


共同通信社の報道によると、日本の自衛隊と米軍は7日、
安全保障関連法の内容を反映した初の共同訓練を沖縄近くで実施した。


海外で武力衝突が発生し、かつ日本に対していわゆる「重要影響事態」が発生したことを前提に
米軍機が公海上で墜落し、自衛隊が捜索・救出を行うとの想定だ。


日本問題専門家の劉華氏は中国中央テレビ(CCTV)の取材に
これは日本が米軍及び第三国に対する自衛隊の後方支援の地理的制約を解除し、
 日本周辺に限られないようにすることを意味している。後方支援の内容、性質も大幅に拡大した。
 後方支援だけでなく、ある意味での戦闘支援任務も行える
」と指摘した。人民網が伝えた。


共同通信社の報道によると、今回の訓練は
10月30日に始まる米日共同統合演習「キーン・ソード」の一部であり、「重要影響事態」に基づき実施される。


新安保法の内容を反映して実施される初の米日合同軍事演習だ。
これまで自衛隊の後方支援は米軍に対してのみであり、また日本周辺地域のみでの活動だった。

安保法の主要な内容の1つである「重要影響事態法」施行後、日本周辺という地理的制限は撤廃され、
対象国も米国以外の国にまで拡大する。


日本メディアは、今回の訓練は世界的範囲での自衛隊の活動の準備だと言えると論じた。



劉氏によると、「重要影響事態法」は実際には以前の「周辺事態法」だ。
両法律の区別は「重要影響事態法」が米軍及び第三国に対する自衛隊の後方支援の地理的制約を解除し、
日本周辺に限られないようにしたこと、後方支援の内容、性質も大幅に拡大し、後方支援だけでなく、
ある意味での戦闘支援任務も行えるようにしたことにある。



また、共同通信の報道によると、日本防衛省は7日、
「駆け付け警護」任務を初めて担う自衛隊PKO派遣部隊が、
11月20日前後にアフリカの南スーダンでの任務遂行へ向かうことを決定した。

また、集団的自衛権を随時行使して、国連機関や他国部隊に特別な警護を提供する準備をしている。

これは自衛隊の任務が変化し、戦闘の危険性が高まることを意味する。

このため日本政府は現在の固定手当に加えて6000~7000円の特別手当を支給することを決定した。
これによって手当を1日あたり2万3000円前後に引き上げ、自衛隊員の不満を和らげる。

http://j.people.com.cn/n3/2016/1111/c94474-9140382.html
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平和の使者オバマが率いるアメリカ軍がやっているのは、上のようなものである。


「テロリスト打倒」を口実に他国に戦闘機を飛ばし、破壊の限りを尽くす。
 属国を抱き込んで、周辺を事実上の米軍の浮沈空母にしてしまう。


オバマ外交を二字熟語で表現すれば、「強硬」あるいは「恐喝」、「暴力」となるだろう。



このような平和主義者に対して被害者側から猛然と立ち向かっているのが
独裁者アサド、ドゥテルテ、金正恩、習近平、プーチン、要するにアメリカの敵国の元首である。

(不思議なことに日本のメディアでは彼らは否定的に評価されている)



彼らはドナルド・トランプが新大統領に就任されると知るやいなや、
早々にアメリカの強硬姿勢を緩和させ、自国の地位向上を目指して活動を開始した。


一方、誇り高き日本人が納める某島国の首相は、世界でいち早く、ご機嫌を取りにニューヨークに飛び立った。
数十万する金のゴルフクラブを献上し、媚びに媚びた。


茶道の美学、「詫び寂び」を理解しない豊臣秀吉がこしらえた黄金の茶室を想起する事件だった。

悪趣味・下品・退廃。トランプ氏の趣味に合わせたと言えばそれまでだが、
さすがに、このような腰ぎんちゃく外交にメディアも批判をするはず。そう思っていた。


ところが、結果は、ご存知の通り、
「世界で一番早くトランプ氏と会談した!」「トランプ氏に気に入られた!」と逆に褒めちぎっている。


私は大統領選時のトランプ悪魔化報道(それはヒラリーの天使化報道でもある)を見て、
トランプが大統領になれば、ブッシュ政権時のようにマスメディアも米国を批判するようになるかもと期待した。


結果はご覧の通りである。何も変わらなかった。



だが、今となって思えば、トランプの移民政策についても、むしろ好意的な反応を示していた気がする。

難民受け入れに対して「日本人の職を奪う!」(by池上彰)という戯言が
政治バラエティ番組で当たり前のように叫ばれる昨今、当然と言えば当然の反応である。



主流左翼も主流左翼で、中国恐怖症から脱せないために、
ぶつくさ文句を言いながらも、日米同盟の破棄を主張できずにいる。
(この件については、ドゥテルテ大統領の鮮やかな手腕にも触れながら詳説したい)


結果的に、右も左も北朝鮮や中国に対抗するために
アメリカに軍事協力するようになっている。トランプが大統領になることで、
彼らもさすがにアメリカから手を切ることを考えるだろうと思っていたが、かいかぶっていたようだ。


韓国の閣僚、「トランプ氏の要請で軍事費を増加」

もっとも、番犬のごとき追従の姿勢は日本ばかりではない。
現在、急激に支持率を落としている韓国の朴槿恵政権も、
韓国政府は、もしトランプ政権から重要な要請が提示されれば、防衛費の増加の構想を歓迎する
と国防大臣が発言した。

(彼らにはプライドというものがないのだろうか?)


どちらが優秀なイヌか競う合う空しいレースが始まる気がする。

日本も韓国の後を追うのではないだろうか?


日本の防衛政策はトランプ氏の手中に
(https://jp.sputniknews.com/opinion/201611173023435/)


当のトランプは中国との関係修復を望んでいるような素振りさえ見せているが、
日本は相も変わらず、平和の使者オバマの教えを守り武器を振りかざし中国を嫌悪し、蔑視し、
積極的平和主義に向かって邁進するのではないだろうか?他ならぬ非暴力を愛する主流左翼の支持によって。

トランプ氏の当選をとりあえず歓迎する。

2016-11-09 22:26:33 | 欧米
〇都知事選

 自民党が応援し、政治家としての経験も豊富な増田氏が当選するだろう→小池百合子が当選した。

〇大統領選

 恐らく怪物ヒラリーが当選するだろう→トランプが勝った。



・・・こうも読みを外すと、自分は競馬や株をやってはいけないタイプなのだなと実感する。
   まさに選挙は生き物。どう転ぶか想像がつかない。



自分はトランプを密かに推してきたのだが、まさかトランプになるとは。

これが日本だったら「どちらも信用できない」と言って、投票にいかない人間が多数いる中、
保守派と進歩派の人間が投票所に押しかけてヒラリーに票を入れただろうと思う。

(右翼も左翼も団結してヒラリーに入れたというのがポイント)


よくトランプの支持者=レイシストという構図が描かれるが、
ヒラリーこそ、あの有名な人種主義団体KKKに支持されていたことを忘れてはならない。



「KKKはヒラリー・クリントンを支持」(https://jp.sputniknews.com/us/201603161789025/

「Flashback: Hillary Clinton Praises ‘Friend and Mentor’ Robert Byrd (a KKK Recruiter)」
(http://www.breitbart.com/2016-presidential-race/2016/08/25/hillary-clinton-friend-mentor-robert-byrd-kkk/



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Clinton Email: We Must Destroy Syria For Israel




The email makes it clear that it has been US policy from
the very beginning to violently overthrow the Syrian government—
and specifically to do this because it is in Israel’s interests.



“The best way to help Israel deal with Iran’s growing nuclear
 capability is to help the people of Syria overthrow the regime of Bashar Assad,”


Clinton forthrightly starts off by saying.


Even though all US intelligence reports had long dismissed
Iran’s “atom bomb” program as a hoax
(a conclusion supported by the International Atomic Energy Agency),
Clinton continues to use these lies to “justify” destroying Syria in the name of Israel.


She specifically links Iran’s mythical atom bomb program to Syria
because, she says, Iran’s “atom bomb” program threatens Israel’s “monopoly”
on nuclear weapons in the Middle East.


If Iran were to acquire a nuclear weapon, Clinton asserts,
this would allow Syria (and other “adversaries of Israel” such as Saudi Arabia and Egypt)
to “go nuclear as well,” all of which would threaten Israel’s interests.

Therefore, Clinton, says, Syria has to be destroyed.

http://yournewswire.com/clinton-email-we-must-destroy-syria-for-israel/
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上の記事を要約すると、イスラエルが軍事大国であり続けるためにアサド政権を転覆せよ
ということになるのだが、その際にヒラリーが口実として挙げているのが「イランの脅威」である。

実際に合衆国の全てのインテリジェンスのレポートが
イランの核保有計画はでっち上げだと結論付け、IAEAも追認しているにも関わらず、
イランが核を保有するとシリアも核を保有してイスラエルの利益を損なう、
それゆえにシリアを破壊しなければならないと語っているのである。

大量虐殺兵器があるという嘘を口実にイラクを破壊したブッシュ政権を彷彿させる。
あるいは「北朝鮮の脅威」を口実に軍拡に走る日本か。


ヒラリー・クリントンは正真正銘のファシストだ。


ドナルド・トランプがどれだけ排斥主義者のイスラモフォビアだとしても、
確実に悪党だとわかっているヒラリーにだけは票を入れてほしくなかった。

二人のレイシストの中から大統領を決めろというのが今回の選挙だったわけだが、
私がトランプを推したのは、仮にヒラリーが当選したらオバマの時と同様に


「アメリカ史上初の女性大統領!」「女性の人権を守るために奮闘した政治家!」
「民主主義の守り手!」といった礼賛の言葉が連日、ニュース番組で氾濫し、

ヒラリー・クリントン(アメリカ合衆国)の女神化と
習近平(中国)・プーチン(ロシア)・金正恩(北朝鮮)・アサド(シリア)、ドゥテルテ(フィリピン)
の悪魔化に拍車がかかり、結果的に国民レベルでアメリカに追従するようになるのではと危惧したからである。




「トランプ恐怖は日本の「対米従属」の表れだ!
 トランプの無茶に「だったら米軍は出て行け」となぜいえない」
(http://lite-ra.com/2016/11/post-2681.html)


すでにバラク・オバマに対しては広島に訪問しただけで反核の申し子であるかのように錯覚しているし、
軍事問題にしてもオバマ(アメリカ)に都合の良い反応、つまり日米同盟の破棄を恐れるようになっている。
国民レベルで(大事なので二度書いた)。


クリントンが当選したら、これと全く同じことが起きたのではないだろうか?
聖者オバマの来日時、国民が総出で歓待したあの時のように、
聖女クリントンを無批判に崇拝し、異端者アサドやドゥテルテを暴君とみなし非難したのではないのか?

さながら、戦時の「大東亜共栄圏」や「鬼畜米英」といったフレーズを本気で信じていた大衆のように
主流の右と左と中立が一致団結して、批判力を喪失し、全体に流されていったのではないだろうか?


トランプが当選したことで、ブッシュ政権時のようにアメリカを批判することが許されるようになった。
それだけでも日本にとっては有益な結果だったと私は思いたい。


そうは言えど、トランプの当選はベターではあるがベストではない。
そのことを示すため、以下の記事を紹介する。


アメリカ緑の党大統領候補、「アメリカには新たな選挙制度が必要」
(http://parstoday.com/ja/news/world-i20281)


今回の選挙は、いろんな意味で現行の選挙制度の問題点が露見されたものだった。
日本の小選挙区制と合わせて、アメリカの選挙制度に対しても、今後、批判的な研究が進むことを望む。



・追記

なお、フィリピンのドゥテルテ大統領はすでにトランプ氏と協力の用意をしていることを告げた。
(https://jp.sputniknews.com/politics/201611092993426/)

いかに平和の使者オバマがフィリピンにとって有害な人物だったかをいつか集中して書きたいが、
悪化した米比関係に改善の兆候が表れたことはとりあえず、喜ばしいことだとみなしたい。

(果たしてトランプ氏がオバマ外交から脱却できるかは謎だが)

なぜトランプが支持されるのか

2016-11-07 23:39:27 | 欧米
いよいよ大統領選の投票日が迫ってきた。
恐らく、怪物ヒラリーが当選するだろうが、それでもトランプを支持する者の声は大きい。


トランプが支持を受ける原因として日本のメディアは移民問題を第一に掲げているが、
そのような内政の問題とは別に、外交問題においても彼はオバマ政権の好戦的姿勢からの脱却を主張している。


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米大統領選の候補者で大富豪のドナルド・トランプ氏は、NBCテレビのインタビューで、
もしイラクのフセイン大統領やリビアのカダフィ大佐が打倒されていなければ、
中東情勢はより安定していただろう
との見方を表した。


トランプ氏は、

「論拠を得るためにはリビアを見てほしい。我々がリビアでしでかしたことを見てほしい。
 リビアは混乱状態だ」と語った。

トランプ氏は、
シリアのアサド大統領が倒されたら、シリアでも同じようなことが起こるとの見方を表している。


トランプ氏は、米国は実際に誰をサポートしているのかさえも分かっていないと指摘し、
「(サポートを受けている)人々の方が、アサド大統領よりも悪い可能性がある」と強調した。


またトランプ氏は、まさにイラクでの「カタストロフィー」が、
テロ組織「IS(イスラム国)」を生んだとの確信を示している。



トランプ氏はまた、シリアにおけるロシアのISに対する作戦への支持を表明し、
「私は、プーチン大統領が、ISを徹底的に空爆しているのが気に入っている。
 プーチン大統領はISを排除しなければならない。なぜならプーチン氏は、
 ISがロシアまでやって来ることを望んでいないからだ」と語った。


ニューヨーク・タイムズ紙とCBSニュースの世論調査によると、
トランプ氏は、米大統領選有力候補の一人。リア・ノーヴォスチ通信が伝えた。


トランプ氏は、トップの支持率を獲得しているだけでなく、
トランプ氏に対する共和党の潜在的な統一候補者としての認識も高まっている。



続きを読む: https://jp.sputniknews.com/us/20151006997384/
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トランプを支持しているのは、保守的思想を持つ白人中産階級だけではない。
アメリカの軍国主義に飽き飽きしている、つまり軍需産業を肥えさせるために他国に干渉する一方で、
内政をないがしろにしてきたオバマ政権に怒りの念を抱く左翼の中にも彼を応援する者が少なからずいるのだ。


また、オバマ政権が推してきたTPPに対しても反対の姿勢を示し、
石炭産業など、オバマ政権時代に国策として切り捨てられてきた産業界の復活も主張してきた。


要するにトランプの過激な言動は、平和の使者オバマと愉快な仲間たちによって散々な目に合ってきた
国民の声を上手く代弁しているというところがあって、それゆえに熱烈に支持されていると言えよう。


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〈ニュースの窓〉米単独支配体制の崩壊 反米・脱米の雪崩現象

米国の一極支配体制が終焉を迎えていることを示す象徴的な出来事が同時多発的に発生している。
それはとりわけ中国、ロシアの反米化とフィリピン、トルコの対米政策の大転換に見られる。



中露の露骨な反米姿勢

中国杭州市で開かれたG20(主要国首脳会議、9月4、5日)で外交的にはあり得ない事件が起きた。

18カ国の首脳の場合とは違って、オバマ米大統領が大統領専用機で杭州空港に降り立った時だけ、
VIP用の赤い絨毯付きタラップが用意されず、オバマは機体から出された普通の階段から降りるしかなかった。


米国の取材陣が飛行機に近づこうとすると阻止され、抗議すると「ここは中国の飛行場だ!」と怒鳴られた。

中国はオバマ大統領の習近平主席との共同記者会見要請を拒否した。

西側メディアは中国側の不手際と欠礼を強調したが、
中国がいかに米国に対して反発し強硬な態度に出ているかを如実に物語っている。



一方、中国は国連安保理を舞台にした米国主導による対朝鮮制裁騒動には冷たい態度を取り、
制裁強化はおろかむしろ貿易量を増やしており、朝鮮への水害復興支援にも積極的に乗り出している。

また、朝鮮戦争を米国の侵略戦争として描いたTVVドラマの大々的放映など
「抗米援朝」という原則的立場をはっきりさせている。



プーチン大統領下のロシアも明確な反米姿勢を打ち出し米国包囲網の構築に力を注いでおり、
BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の結束を一層強めるとともに
朝鮮との戦略的パートナーシップの強化を着実に進めている。

とくに中ロは、南朝鮮へのTHAAD配置決定を機に米国との徹底対決姿勢を固めると同時に、
南を潜在的攻撃対象に定めるなど圧力を加えている。



同盟関係崩壊

もう一つの括目すべき出来事は、フィリピンとトルコという米国の対中、
対ロ包囲戦略の要である同盟国の指導者が同時に米国離れし始めたことである。


麻薬犯罪撲滅に乗り出し過激な発言で世界の注目を集めているフィリピンのドゥテルテ大統領が、
政治、軍事、経済的に大きく依存している米国との関係を根本的に見直し、
中国との接近、戦略的協力関係構築を進め始めたことは、オバマ大統領のアジア重視戦略に大打撃を与えている。


米国はフィリピンへの米軍駐留を再び実現し、
今年3月には5つの米軍基地を永久的に存続させようとする計画を立てていたが、
新大統領の登場でこれが頓挫した。米国が南シナ海を巡る領有権問題に付け込んで
中国を牽制するために繰り広げる米比合同軍事演習も中止になる見込みだ。


中国が米国大統領を招いておいて外交的に恥をかかせたのと同様に、
ドゥテルテ大統領はオバマを「娼婦の息子」「馬鹿野郎」と呼び、
9月初めラオスでのASEAN拡大サミットで予定されていオバマとの初の首脳会談をボイコットした。


それは、麻薬犯罪組織員の殺害をオバマが非難しようとしたからで、
反対に彼は米国が植民地時代にフィリピン人を大量虐殺したことを問題にした。

これがフィリピン国民のホンネである。


一方、中東の米国の忠実な同盟国であったトルコのエルドアン大統領が、
米CIAにそそのかされた自国軍部のクーデターをロシアの情報提供によって
事前に察知し制圧したのを機に、それまでの親米、反ロから、米国とは距離を置き
ロシアとの関係改善を目指す方向に政策転換したことも国際関係における新たな地殻変動だ。

これは米国の対テロ戦争、中東支配、中ロ包囲戦略を大いに阻害するものだ。

フィリピンの反米自主化と、イスラム国家で唯一のNATO加盟国であり
EU加盟を望んでいたトルコの脱米欧化は、冷戦後の国際関係を揺るがす一大事件である。(益)


http://chosonsinbo.com/jp/2016/11/sinbo-j_161107-3/
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>米国はフィリピンへの米軍駐留を再び実現し、
>今年3月には5つの米軍基地を永久的に存続させようとする計画を立てていたが、
>新大統領の登場でこれが頓挫した。米国が南シナ海を巡る領有権問題に付け込んで
>中国を牽制するために繰り広げる米比合同軍事演習も中止になる見込みだ。


平和の使者オバマが率いるアメリカ合衆国は、
先の国連総会第1委員会において、核兵器を法的に禁止する「核兵器禁止条約」決議に異議を唱えた。


他方で、NPT体制(米英仏露中といった大国の核の保有は是認し、それ以外の国の核保有を禁じる体制)の強化と
北朝鮮への制裁強化を訴える核軍縮には賛成の意を示した。要するにオバマの平和とはそういう類のものである。


いつか記事として取り上げたいが、フィリピンのドゥテルテ大統領が国内で強い支持を受けているのも、
長らく政府がアメリカの言いなりになってきたことに対する民衆の怒りを吸収しているからという背景がある。


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フィリピンのドゥテルテ大統領は7日、米国からの武器の買い付け取引を停止するよう指示した。
大統領はフィリピン政府はより安価な武器を探すことを明らかにしている。ロイター通信が報じた。


ドゥテルテ大統領はTVのビデオ会談で
「我々はより安く、おそらく信頼性のおける供給先を探さねばならないだろう」と語った。


米国とフィリピンの関係はドッテルテ大統領が米国を名指しで非難し大反響を呼んだ後、緊張しているが、
米国はフィリピンとの緊密な協力を目指すと前向きな姿勢を示している。

これまでのロイター通信がベン・カーディン上院議員の補佐らからの情報を引用して報じたところでは、
米国務省はフィリピン向けの武器輸出取引の実現を一時停止している。


ドゥテルテ大統領は先の決定の背後にいる者たちを猿扱いする発言を行っている。


続きを読む: https://jp.sputniknews.com/politics/201611072983603/
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オバマ政権はドゥテルテ大統領の「人権侵害」を非難し、
麻薬撲滅のために使われるとされる重火器の売買を禁じた。

マリファナ(大麻)を合法化しているアメリカにとっては、
麻薬撲滅に真剣な意を示すフィリピン政府は非人道的に見えるのだろう。


「テロ掃討」を口実にムスリムの虐殺を黙認するスーチーや
 自国の民衆に空爆を仕掛けるポロシェンコは特に非難されず、ドゥテルテだけが責められる。


話し合いの提案すらせず、問答無用で制裁を加える。傲岸不遜としか書きようがない。



こういう動きを徹底して非難しているのが
皮肉にもドゥテルテや金正恩のような「悪の独裁者」だったりする。


トランプもまた、彼らと同じ気質を持っていて、非常にアグレッシブで過激でありながらも、
現在のアメリカ合衆国に対して明確なNoを叩きつけており、そこに民衆が惹きつけられるのである。


こういうタイプの政治家は日本にはいないので、新聞社やテレビ局も彼を評価しきれていない印象を受ける。

我が国では橋下徹とか安倍晋三とか森喜朗とか日本を取り戻すと言いながらアメリカに追従し、
逆に日本の国土を米軍に売り渡しているような政治家しかいないのでピンと来ないかもしれないが、
外国のナショナリストの中には民族主義的であるがゆえにリベラルな政策を唱える人間も少なくないのである。


そういう点も含めた上でトランプを評価しないと、
結局、カダフィやドゥテルテ、金正恩同様に「乱暴者」というレッテルを貼るだけで終わってしまうだろう。


その種のラベリングがされる時は決まって比較対象として「乱暴ではない人間」が同時に作られるわけで、
平和の使者オバマ、女性の味方ヒラリーなど、およそリベラルとは言えない人間がリベラル化される。


つまり「トランプを否定的に評価するためにヒラリーを神聖視する」行為が行われている。
ドゥテルテが「暴言王」とされる一方で、オバマが「平和の使者」になる。


そういう認識の下で、米軍基地の恒久化を強いてくるアメリカの大統領を国民が歓迎する。
広島に来ただけでコロッと騙されてしまう。非常に問題があると私は思う。

アメリカには本当に自由があるのか?(アメリカの貧困問題)

2016-08-07 00:43:46 | 欧米
アメリカには自由があると勘違いしている人にぜひ読んでもらいたい記事。


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〈World Opinion〉数字で見る米国の貧困層/スプートニク


1930年代の大恐慌を彷彿させる

ロシアのネット新聞スプートニクは、
米国の貧困層が1930年代の大恐慌時代のレベルにあるという記事(6月14日)を載せた。以下はその要旨。


相当な数の米国貧困層が2000年以後、50%以上上昇した管理費を払えず、
冬に暖房なし、年中水道も電気も止められた家で暮らしている。



子どもの父親が犯罪で獄中にいるため貧困家庭の相当数は未婚の母だ。
米国は全世界の人口の5%だが全世界の収監者の25%が米国の監獄に収監されている。

220万の囚人の半数以上が有色人種だ。


貧困労働者の数は
米国の人口の50%に迫った

2013年、米国で賃貸生活を営む8世帯のうち1世帯は家賃を払えなかった。

07~10年の間に白人の財産は平均で11%減少したのに対し、
黒人家庭の資産は31%、ヒスパニック家庭の資産は44%減少した。


マイホームがある世帯の90%は弁護士を雇えるが、賃貸世帯の90%は雇えない。
スラム街の地主たちはスラム街に多くの不動産を所有し、裁判所や保安官を個人的に運用する。

強制退去させられる賃貸生活者住宅のオーナーから2度訴訟を受ける場合が多いが、
最初は不動産がらみ、2度目は借金がらみだ。


滞納した家賃がその借金だが、それを払えない居住者に対し地主は12%の金利を上乗せすることができる。
ホームレスに追いやられた賃貸居住者に債権.借金取立て業務を代行する会社の名前は「家賃救済サービス」という。

極貧層に対して131個のみすぼらしいトレーラー住宅を提供して
家賃を受け取ることで生計を立てているある人物は債権取立て会社の顧客の一人。

彼は、15年、強制退去住宅に直ちに新しい相手を入居させたり売却したりする手法で
賃貸所得として約50万ドル儲け、その新入居者の一人だった者は
所得の70%を家賃として払っていたが続かず結局、強制退去させられた。


その人物は、「未来も暗鬱なことがはっきりしている貧困層が
この耐え難い現実を忍ぶ方法は麻薬と非合理的な消費しかない」と説明した。


人口60万人(13年基準)に失業率が6.3%(15年4月基準)である
ミルウォーカー市政府が提供する住宅補助を申請する人は16年現在3500世帯だが、
全国的に住宅補助を待っている世帯の4分の3は補助を受けられない。


貧困層は、障がい者または病気などによる社会不適応者との結婚などを通じて
世帯を合体する方式で政府補助をもらうなど、生きるために必死だ。


子どもたちは正常な教育を受けられず、
精神障害、暴力、窃盗、麻薬などに囲まれた環境で育つので前科者になり、貧困は世襲となる。



米国人の貧困の深刻さは1930年代の大恐慌当時のレベルだが、
貧困層が結集して国家や資本に対抗する力は全く持ち合わせていない。


30年代には地域社会が集まり強制退去を妨害したりストライキを起こしたりしたが、
今の米国ではこんな抵抗が警察力(保安官)らによって事前に封鎖され、
貧困層は、麻薬に依存するなど個人的な現実逃避しか選択肢は残されていない。



http://chosonsinbo.com/jp/2016/08/sinbo-j_160808-2/
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かような実態を前にして「アメリカには言論の自由がある」と得意気になることに何の意味があろう?

確かにアメリカには反論をする自由はあるが、それは口をパクパク動かすだけの自由にすぎない。
現にエドワード・サイードやノーム・チョムスキーを主とした世界的に有名な評論家がアメリカにはいたが、
彼らの意向が現実の政治に反映されたことがただの一度でもあっただろうか?


仮に本当にアメリカに自由があるとするならば、
とっくの昔にアメリカの二大政党制は崩壊していて、多党制に基づく政治が行われていただろう。
(現実では、ヒラリーかトランプかという究極の二択を迫られている)

イギリスのEU離脱、何が問題なのか

2016-06-28 00:18:42 | 欧米
普段は政治に興味がなさそうな人たちまでイギリスのEU離脱について話をしている。
今回の国民投票の結果が、それだけ世界的な関心を引いているということなのだろう。


ところが、イギリスがEUから離脱して何が問題になるのかというい点については、
これといった説明がされていないように感じる。

どちらかと言えば、世界中で経済が悪化するぞという声ばかりが喧伝されていて、
実際にはどうなのか、何が問題なのかという点については丁寧に語られてはいない。


そういうなかで、次の人民網の記事は比較的、状況をよく説明してくれている良記事だと感じた。



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まずはっきりさせておかなければならないのは、いわゆる「英国のEU離脱」とは、
もちろん「地理的」な離脱ではなく、「政治的」な意味合いでEUと袂を分かつことを意味している。


経済のグローバル化という背景のもと、英国がEUを離脱してしまうと、
それによって生じるバタフライ効果(極めて仔細なことが諸々の変化を誘発して大きな変化をもたらすこと)は、
疑いもなく世界金融市場に大きな衝撃をもたらす
ことが予想される。


~中略~



中国がまず衝撃を受けるのは、人民元相場だろう。

世界の主要国際金融センターであるロンドンは、
人民元にとってアジア以外の最重要取引市場のひとつとなっており、
人民元の国際化戦略を進める上での重要な鍵を握っている。



人民元の国際化は、中国が以前から掲げている努力目標である。
人民元の国際化によって、
中国が人民元建て債券を発行し、外貨への依存から抜け出すことが可能となり、
さらには世界金融に対する影響力を備えた本当の金融大国となることが可能だ。

英国のEU離脱が決定すれば、
ロンドンがこれからも人民元の国際化のための重要拠点であり続けるどうかは、きわめて疑わしい。


盤古シンクタンク・マクロ経済研究センターの張明シニア・アナリストは、
「長期的な視点で見た場合、英金融業が直面する衝撃は、人民元の国際化プロセスにも影響を及ぼすであろう。
 欧州統一大市場において、欧州で最も重要な人民元オフショアセンターである
 ロンドンの地位が凋落することは、人民元オフショア市場の発展のマイナス要因となるだろう」
との見方を示した。

英国のEU離脱が決まれば、英ポンドとユーロが下がり、
さらには市場のリスク・アペタイト(リスク許容度)がダメージを受け、
ドル高を推し進めることになり、対ドル人民元レートは大きな圧力にさらされることになる。

http://j.people.com.cn/n3/2016/0623/c94476-9076526.html

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つまり、イギリスの通貨の価値が下がることをはじめとした、
金融不安を世界的に引き起こす危険性があるという意味で重大な事件だと言える。



では、なぜイギリス国民の半数が離脱を希望するようになったかというと、
EU経済の低下の影響をイギリスがモロに受けているから
に他ならない。


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中国人民大学財政金融学院の趙錫軍副院長の説明によると、
「英国国内では多くの人が、
 EUは英国の発展にいささかのメリットももたらさなかっただけでなく、
 英国の権利を制限し、英国経済に(マイナスの)影響を与えたと考えている」という。


英国のEU離脱派は、EUは米国、中国、インドなどの重要エコノミーと自由貿易関係を樹立しておらず、
英国とこうした国々との貿易が影響を受けている。


EU経済の長期的な低迷が英国・EU間貿易の発展にとてマイナスになっており、
英国は新たな貿易市場を開拓する必要に迫られている
、との見方を示す。


さらに離脱派は、EU離脱による資本の流出はないとしている。

これについて、中国人民大学重陽金融研究院マクロ研究部の賈晋京部長は、
「最終的な結果がEU離脱なら、最も重要な集中的打撃は際金融市場の
 短期的な動揺の中に出現することになり、最も大きな影響を受けるのはEUだ。
 だが長期的には英国にそれほど大きな影響は与えない」
との見方を示す。

また賈部長は、
「英国経済は、一種のポンド経済と呼べるもので、
 これまでに蓄積してきた金融ネットワークと関わりがある。
 英国は現在、EUに加盟するが、ユーロ圏のメンバーではない。
 さらにEU離脱はEUとの決裂を意味しない。

 英国がEUにとどまろうととどまるまいと、
 国際金融市場における英国の地位にはそれほど影響を与えず、
 マクロ的な影響も外部で考えられているほど大きくはない。

 最近、ポンドが国民投票の影響で急激に上下しているが、
 次の一手が決まれば、影響は徐々に薄れていくだろう」と述べた。

http://j.people.com.cn/n3/2016/0623/c94476-9076089.html
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EUの基本的な考えは「人とモノの自由な移動」であり、
それは現在でも論議の最中であるTPPに通じるものがある。


当然、このシステムは他国がもたらしたマイナス要素を自国が背負うことを意味し、
ウクライナやトルコのような途上国が参加を目指す場合はともかくとして、
世界第5位の経済大国であるイギリスにとっては負担もまた馬鹿にならなかったのである。

(同様の理由で、アメリカでもTPPに反対する声が労働者を中心として多く存在する)



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新しい調査によって、
360万人のイギリス市民が、
慢性的な貧困に陥っていることが明らかになりました。


プレスTVの報告によりますと、16日月曜、イギリスの国家統計局により報告書が公表されて、
近年3人に少なくとも一人のイギリス人が、貧困生活を経験したと報告されています。

この報告書ではまた、イギリスの貧困は近年収入の減少に関連しているとされています。

更に同国の貧困率は、2013年の15、9%から2014年には16、8%に増加しています。


http://parstoday.com/ja/news/world-i8554
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もっとも、これはEUに加盟したばかりに起きた事態だとは一概には言えない。
あわせて次の記事も読んでみよう。



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新たな調査の結果、イギリスで子供の貧困が拡大していることがわかっています。

プレスTVによりますと、イギリス・ロンドンの調査機関フィスカル・スタディーズは、
時間の経過とともに、イギリスにおける子供の貧困率が上昇していると発表しました。

フィスカル・スタディーズはまた、
イギリスの政府の支援金の削減と増税は、子供の貧困が拡大している主な要因だとしました。


この報告によりますと、イギリス政府の5人以上の家族に対する支援金の削減と増税により、
このような家族は、最大限の打撃を受けており、
貧困ライン以下の生活を送る子供の数が増えている
ということです。

フィスカル・スタディーズは、貧困層の子供の数は、
2020年から2021年までに、260万人に達すると予想しました。


およそ2ヶ月前にも、イギリスのキャメロン首相は、イギリス社会における貧困を認め、
これに関する措置は行われているが、貧困問題は深刻で、これまでに解決できていないとしました。

イギリス労働党の調査の結果から、6万9千世帯が貧困層となっており、
これは2008年以来最悪の数字だということが明らかになっています。


http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/62753-
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このようにイギリス政府の福祉を削減し税を増やすという
新自由主義的な政策が経済の低迷と貧困問題の悪化をもたらした。



加えて、アメリカやフランスといった他国も含めた離脱派の多くが極端な国家主義者であり、
移民に対する差別的発言を堂々と行っている点も見逃せない。



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ジョンソン氏は、
移民の増大によって、英国人の生活に数々の不安がもたらされると煽り、
離脱のデメリットを強調する政府や経済界のやり方を「プロジェクトフィアー(恐怖作戦)」だと猛批判した。


その過激な発言によって、ジョンソン氏は、
「髪型がまだましなドナルド・トランプ」と、残留派のメディアから揶揄されるようになった。


だが、ジョンソン氏は、ただのポピュリストではない。
筆者はかつて学生とともに、ジョンソン氏がロンドン市長として実施していた
アプレンティスシップ・プログラム(徒弟制度をモデルにした職人養成制度)などの
雇用・職業訓練政策を視察に行ったことがある(第43回)。


前述の通り、規制緩和・構造改革への理解もあり、優れた実務家の側面を持っている。
また、「結果良ければすべてよし」という現実主義者でもある
(JBpress「髪の毛ボサボサの人気者が書いたチャーチル論」)。


EU離脱への支持は、ただ首相になりたいだけの後先考えない行動ではないだろう。
ジョンソン氏なりの勝算があるはずと考えるべきだ。


http://diamond.jp/articles/print/93364
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上の記事で重要なのは離脱派が、
景気の低迷の原因が欧米に蔓延する過剰な自由主義にある点を認めながらも、
自由主義の原則自体には肯定的で、規制緩和・構造改革などの生存権を脅かす政策に同意していることだろう。



実際、日本を例にしても90年代以降の新自由主義の導入に伴って、
人やモノレベルの規制緩和により、雇用の不安定化と極端な物価の低下あるいは上昇によって
生活に苦しみを感じる人間が増大した。最近のアベノミクスはその典型的な例である。

(自民党の支持者ですら、その成功は否定している。
 そのくせ自民党に票を入れようとするのだから、なんともいえず滑稽なのだが)



社会に対する不安や生活の悪化自体は右も左も感じていることで、
両者を区別するのは、その原因が何かということに他ならない。




一般的に左翼は生活悪化の原因を政府の大企業優先政策に見出す。
これに対して、右は異民族や他国が自国を害していると解釈している。



彼らの言い分によれば、移民を排除し、他国より政治的軍事的に優位なポジションに立つことで
新自由主義は極めてうまく機能するということになるらしいが、実際にはそんな保証はどこにもない。


そればかりか、おそらく世界で最も政治的軍事的経済的に独立している国家であろうアメリカを見ると、
国内における経済格差と飢餓、貧困率の高さは世界トップクラスであり、むしろ害にすらなり得る。


今回のEU離脱も短期的には大きな経済的混迷をもたらすことは必至と考える人間も少なくなく、
それゆえに、スコットランドなどの国内植民地とも言える地域の政府はイングランドの決定に反対している。


今回の事件を通して思うのは、
かつては左翼が貧困に苦しむ人間の支持を受けて政府に立ち向かっていたのだが、
冷戦が表面的には終結し、左翼が次々と自己批判に走り、結果、右翼と大差ないレベルに成り下がったために、
その役目を極端な国家主義者に譲らざるをえない状況になりつつある
ということだ。


イギリスの労働党やフランスの社会党は、
もはや左翼政党とは言えない左右混合政党になってしまっているし、
日本にしたところで、最大の野党は民進党であり、共産党や社民党ではない。


こういう右も左も大差なく、かつ左らしい左が主流の左翼と右翼によって駆逐されている中、
新たな勢力として浮上してきたのが、極端な国家主義を持つナショナリスト達なのだと思う。


彼らが気にしているのはシステムではなくプレイヤーであり、
本来なら上手に機能するはずのシステムを旧権力が独占していることで
台無しにしているという怒りを前面に押し出している。


もちろん、その根底には人種や民族に対する差別勘定があるわけだから、
金権政治に反対しながらも、その解決を移民やマイノリティの排除で達成できると勘違いしている。


橋下徹の大阪府政はその典型で、市役所の公務員や地方の政治家を悪役に仕立てる一方で、
非常に新自由主義な政策を強行し、結果、さらなる赤字と貧困をもたらしてしまった。

ところが、彼らの弁によれば、在日コリアンや生活保護者を主としたマイノリティが消えない限り、
成功は実現できないわけだから、反省するどころかさらに苛烈な差別政策をとることになる。


そういう政治が最も強力に出現した過去の事例がナチス・ドイツであることは言うまでもない。



私自身はTPPに反対する立場から、イギリスのEU離脱自体にはそれほど強く反対はしていない。
だが、今回の決定に関して言えば、これは生活が良くなるどころか、むしろ前よりも一層悪くなると考える。
(離脱派は経済政策を誰が行うかを気にしているのであり、経済政策そのものを疑ってはいないため)


長らく世界史の教科書では、全体主義の例としてドイツとソ連を挙げてきた。
それは暗にイギリスやフランス、アメリカは民主主義国家であり、
ヒトラーやスターリンが納めている国とは質的に違うと強調させる効果を生んだ。


実際には、全体主義国家は資本主義国家から発生する。
世界のほとんどが資本主義国家であることを思えば、今後、EUや日本において
この手のウルトラ・ナショナリズムが強大な力を得て政治を動かす日はそう遠くはない。


私たちが真に危惧すべきなのは、そのような他人にノーと言わせない、
政治的経済的に国民を総動員させる社会が到来するかもしれないということなのだ。




・追記

総じていえば、今回のイギリスの国民投票は

新自由主義VS反・新自由主義ではなく、
新自由主義VS新自由主義とでも言うべき対決構図だったのではないだろうか?


「何を」改めるべきかではなく、「誰を」改めるべきか。
 新自由主義を否定するのではなく、その不徹底を否定しているのではないだろうか?


ということを感じてしまった次第である。



「英国のEU離脱派は、EUは米国、中国、インドなどの
 重要エコノミーと自由貿易関係を樹立しておらず、英国とこうした国々との貿易が影響を受けている。」

「EU経済の長期的な低迷が英国・EU間貿易の発展にとてマイナスになっており、
 英国は新たな貿易市場を開拓する必要に迫られている」


これを素直に受け止めれば、自由主義(すなわち資本主義・市場主義)そのものの批判ではなく、
むしろ、それを妨害するものとして、EUが狙い撃ちされたような気がする。


EUから離脱することでイギリスが
シリアやイエメン、アフガンへの干渉をやめるかと言えば、それはないだろう。
この点を考えても、離脱派が言うほど立派な存在かと言えば、それはとても怪しく思えてくる。


サンダース氏、クリントンの手下になることを決意

2016-06-18 00:28:16 | 欧米
ここ数日、私はヒラリー・クリントンはオバマ政権下で非常に
帝国主義的かつ植民地主義的な外交政策を行ってきた女性であることを論じてきた。


サンダース氏、ヒラリーとサウジアラビアの関係を暴露

トランプとヒラリー、どちらがマシか


仮にこの老婆が大統領になったら、
オバマと同等かそれ以上に中東やアジアの平和が脅かされるに違いない。


それゆえに、私はヒラリーとトランプ、どちらかが大統領になるとすれば、
トランプのほうになってもらいたいと思っている。まぁ彼が大統領になることはないが。


トランプを推しているのはもう一つ理由がある。
それは彼が人種主義者であるがゆえに、非常に叩きやすい男であるということだ。


仮にヒラリーが大統領になったとすると、それはまぁ、確実に

「アメリカ史上初の女性大統領!」
「女性の権利獲得のために奔走した政治家!」
「アメリカの女性差別が改善されている証!」

と新聞もテレビも終始べた褒め、批判の「ひ」すらされないだろう。


逆にトランプが大統領になったとすると、
ブッシュ同様、叩きやすい男であるため、アメリカの外交政策に対しても
批判的な見解を述べる本や雑誌が多く出版されることが想像される。


今となっては信じがたいが、イラク戦争からしばらくの間、
日本の本屋にはブッシュやネオコン、イラク戦争を徹底的に非難する本が多く並んでいたのだ。


ところがこれがオバマが大統領になった途端、
依然、反米を掲げる本は売られているもののオバマ本人やオバマ外交、
特にウクライナやイエメン、シリア、アフガンにおける帝国主義的行為には何ら非難がされなくなった。

ブッシュを名指しで攻撃する本はいくらでも見つかるが、オバマとなるとこれは少ない。
それは彼が「黒人」というマイノリティを前面に押し出しているからだと思われる。




さて、話は変わるが、
私は今までトランプとヒラリーの話だけをして、サンダースのことには触れてこなかった。


それは彼がヒラリーに勝つのは絶望的だったこともあるが、
何よりも私はこのサンダースという男が信用できなかったのである。


その不信感は見事、的中した。次の記事をご覧いただきたい。


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サンダース氏が、クリントン氏との協力を表明、オバマ氏も支持

アメリカ民主党の大統領選挙候補者選びでクリントン氏と争っていたサンダース氏が、
共和党のトランプ氏に勝利するために、クリントン氏と協力する意志を強調しました。

フランス通信によりますと、サンダース氏は、
9日木曜、ホワイトハウスでオバマ大統領と会談した後、
トランプ氏に勝利するためにクリントン氏に協力すると表明しました。

サンダース氏は、
「トランプ氏が大統領になれば、アメリカ社会は惨事に見舞われることになるだろう」としました。

さらに、
「近い将来、クリントン氏と会談し、どうすればトランプ氏をに勝つことができるかを考えたい」
と述べました。

サンダース氏は動向を左右する可能性のある若者の支持者を有しています。

オバマ大統領は、民主党党内の分裂を避け、
クリントン氏の一本化を呼びかけるため、クリントン氏のライバルであるサンダース氏と会談しました。

オバマ大統領は9日、クリントン氏を支持し、
「クリントン氏ほどホワイトハウス入りにふさわしい候補者はいない」と述べました。


オバマ大統領は、クリントン氏の選挙事務所が発表したビデオメッセージで、
クリントン氏のこれまでの業績を賞賛し、
「私はクリントン氏を支持する。彼女の宣伝を行うために選挙活動するのが待ちきれない」
と語りました。

http://parstoday.com/ja/news/world-i10144
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つい最近、自分でヒラリーがサウジから金銭的な支援を受けていることを暴露したばかりなのに、
こうも簡単にヒラリーを支持してしまうというその精神構造が理解できない。


「協力」とは言うものの、民主党内の権力構図を思えば、
 これは民主党で権勢を振るっているクリントン一家にサンダースが降参し、
 ヒラリーを大統領にするために奔走することを決意したということだろう。

 つまり、彼はヒラリーの「良い面」をせっせと宣伝する手下に成り下がったということだ。


私は中国や北朝鮮、日本共産党が憎いがために簡単に右翼とつるんでしまう左翼を
反共左翼と呼び、徹底的に唾棄し非難しているわけだが、サンダースもトランプを
大統領にさせないためなら簡単にヒラリー・クリントンの手下となって働いてしまうようだ。


トランプは人種主義者であるが、ヒラリーもまた負けず劣らず人種主義者である。
サンダースに良心があるのならば、潔く協力の要請を断るべきだ。

断ることが出来ないのであれば、はじめからヒラリーと戦うべきではなかった。


米大統領選でサンダースが健闘、英でもコービンが労働党党首に!
欧米では反格差、社会主義者が評価されているのに日本は…


サンダースのような共産主義者ではない社会主義者は日本の左翼の間では妙に人気がある。

正直、やっていることだけを見れば、
長らく中国政治で跋扈していた汚職政治家や役人を徹底的に糾弾し、
鄧小平以降、顕著となった中国国内の経済格差を埋めることに執心している
習近平のほうが結果を出しているのだが、彼は共産主義者なのでこれといって評価されない。

むしろ中国に対しては右翼よりも左翼のほうが
露骨にマイナスイメージを植え付ける作業をせっせと行っているような印象さえ受ける。


で、こういう人たちが支持している連中に総じて言えるのは
非常に中途半端な政治信条を持っているために簡単に政敵に屈してしまうということ。


本来ならヒラリー倒せぬなら我もまた政治家をやめるまでというぐらいの
意気込みを見せなければならないのに、負けた途端に簡単に寝返ってしまう。


サンダースが考えているのはホワイトハウスを人種主義者の住まいにさせないということではない。
もし、それを考えているのであれば、ヒラリーもトランプも凄まじい人種主義者であることを述べ、
いくらトランプが非道いからといって、代わりにヒトラーを大統領にするような真似に協力できない
と語り、協力しない姿勢を見せるはずである。


結局、この男の頭にあるのは大統領候補選に負けた人間はその後、候補を応援するという
アメリカ政治の掟を守ることと、民主党が共和党に勝つことしかなかったのだ。





アメリカやイギリス、フランスには一応、政党がいくつか存在するのだが、
実際には長らく二党独裁体制が築かれており、これに対抗する手段を民衆が持ち合わせていない。


むしろ形式的かつ表面的には民主主義的に見えるこの二党独裁体制のほうが
共産主義国家やイスラム国家にある一党独裁あるいは君主体制よりも性質が悪いと私は思う。

なぜなら、中国や北朝鮮の政治システムは「一党独裁」と呼ばれ
非常に「非民主的」で撤廃しなければいけないものだと言われる一方で、
アメリカやイギリス、フランスの二党独裁制は「二大政党制」と呼ばれ、
「民主的」なシステムであり、特に撤廃しなくても良いものだと評価されているからである。

(左派雑誌『世界』にもよく登場するリベラル系政治学者山口二郎氏は、
 この「二大政党制」を大変高く評価し、日本もまた
 自民党と民主党(現・民進党)の二大政党制を築くべきだと力説していた)

21世紀初頭、アメリカは共和党から民主党へと与党が交代したが、
中東やアジア、東欧に対する軍事的経済的干渉行為は全く変わらないどころか余計に非道くなった。

二大政党制は確実にアメリカの好戦的な政策を維持することに一役買っている。

本質的には何も変わらない二つの政党が
あたかも別々の集団であるかのように振る舞い、あたかも民主的な政争が行われているかのように演じる。


こういう茶番に興じなければいけないことが今のアメリカ市民の最大の不幸だと私は思う。

トランプとヒラリー、どちらがマシか

2016-06-14 23:30:00 | 欧米


ドナルド・トランプとヒラリー・クリントン。
次の大統領選はこの二人の熾烈な争いになるのはほぼ確実だろう。


日本のメディアはトランプを執拗に攻撃する割にはヒラリーに対しては随分と甘い。

前に説明した通り、彼女はオバマ政権において軍事問題に携わっており、
特にリビア侵略においてはカダフィ抹殺に関与しているのだが。


そればかりでなく、テロ支援国家サウジアラビアから巨額の献金を受けていたり、
スポンサーが国内の軍需産業だったり、率直に言えば彼女は戦争屋以外の何者でもない。

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〈World Opinion〉両米大統領候補の本質的な違い/ロシア・トゥデイ


介入主義VS孤立主義

ロシア・トゥデイ紙は米大統領候補である共和党のトランプと民主党のクリントンの本質的な違いについて
分析したジャーナリストのラニア・ハレクとのインタビューを掲載した。以下は要旨。



トランプが選挙戦で終始一貫して言っているのは、
米国の海外介入には反対だということ。



それは現在の米国の外交政策と比べれば多くの点で孤立主義的な考え方だ。
一方で彼は中国やロシアなどの国々との外交関係改善を目指している。

イランに対しても同じことを言っていた。要するに彼がしようとしているのは、
現在米国の外交政策を支配しているネオコンのやり方と、持論である孤立主義とのバランスをとることだ。


トランプは確かにひどい扇動家、人種主義者でとんでもないことを言い、頑迷固陋なので実に奇妙だ。
彼は政治を行ったことがなく比較すべき実績がないが、その発言や演説を聴く限りでは、
現在のワシントンDCにおける超党派合意より遥かに非好戦的な外交政策だ。


それに比べてクリントンは遥かに好戦的であり、多くの点でネオコンだ。

彼女は政権転覆に大いに関心を持っていて、それをあからさまに発言している。

実際、彼女はリビア攻撃に関与したが、トランプが指摘したようにそれは悲惨な結果を生んだ。
彼女はホンジュラス政権打倒にも参加したが、これも同国に大混乱をもたらした。
クリントンはイラク戦争のような外交政策の大失策の継続に関心を持っている。

トランプは外交政策の最優先課題は安定と平和だと言う。

外部世界、海外とくに中東や中米の人々にとって、
この2人の発言を比較すれば
トランプの方がましな候補者であることに疑いの余地はない。


だが現実的には、トランプは人種差別主義や問題の多い発言、
そして彼の国内政策などから米大統領になれる可能性はほとんどないだろう。


共和党内にはトランプに反対している人が多いが、
それは彼の人種差別主義ゆえにではなく、彼らが好むネオコン・タカ派路線とそりが合わないからだ。

リベラル派はもちろん、そういう連中はヒラリーに投票するので、
両者の対決となればクリントンが時期大統領になる可能性が高いと思われる。


結果はどうであれ、トランプはヒラリーにはっきり言える。
例えば、「あなたはイラク戦争に賛成したが、私は反対だった。
     リビアであなたがしたことを考えなさい。私は反対でしたよ。
     アメリカが介入する至る所にISISが出現するのです
」などと突っ込めば、
二人の議論は興味深いものになるだろう。



オバマ大統領とヒラリー・クリントン国務長官の下での外交政策は「全くの大失敗」だった
というトランプの発言はやや誇張だと思うが、いいところを突いている。

彼はある種、風変わりな候補者だが
その見解は非常に実際的で、現実主義派の外交政策を目指している。

オバマはリビアの政権を打倒しようとして介入し、
イラクとシリアでも違法な無人機戦争をしている。

その点に関するトランプのオバマ批判は
誇張はあっても概ね正しい。


トランプは自分の政権の下ではISISはたちまち消えると言っているが、
ISISから都市を奪い返しても、連中は身を隠し、ゲリラ作戦を取るだろうからいささか楽観的過ぎる。


しかし、軍事力だけを行使するのではなく、哲学が必要だというのは的を得ている。
イスラム主義者集団の多くは現地の権益を握っているが、
米国の介入によってそれが国際的権益に変わっている。連中に志願兵が加わり戦闘で金を得るのである。
トランプが主張するように、米国が関与をやめればテロ問題も緩和されるだろう。

トランプがロシアと中国との関係を改善するというのはよい考え方だ。

http://chosonsinbo.com/jp/2016/06/sinbo-j_160613-2/
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日韓からの米軍撤退を提案したトランプと更なる日米韓三国軍事同盟の強化を図るヒラリー。
どちらの姿勢がアジアの平和に貢献できるかは火を見るよりも明らかだ。


トランプの米軍撤退発言を聞いたとき、私は素直に喜ばしいことだと思ったが、
ほとんどのメディアや学者は「日本の核武装も否定しない」という部分だけを取り上げ、
実にけしからん男だと酷評した。核はNoだが軍拡はYesというわけのわからぬリアクションだ。


トランプがあの場で発言したのは「自分の国は自分で守ってくれ」というもので、
日本は核武装せよとか韓国は核武装しなければならないと言ったわけではない。


アメリカは他国を守るほど余裕がないので、自分たちで何とかしてほしい。
これがトランプの意見の本筋であり、他国の核武装を主張したわけではない。


ところが、オバマ政権下でせっせと日米同盟の強化に努めてきた日本においては
「トランプは核武装を求めてきた。恐ろしい男だ」という評価が当たり前のように吹聴される。

「核を持っても良い」が「核を持つべきだ」と言ったかのように話される。これは実に奇妙なことだ。


もちろん、トランプは博愛主義者ではないし、平和主義者でもない。
特にムスリムに対しては典型的なレイシストとしての顔を覗かせているが、
日本のほとんどのメディアや知識人の見解はあまりにも図式的ではないだろうか。


悪としてのトランプ、善としてのヒラリーという二項対立で説明するのは確かにわかりやすい。
実に池上彰的な明快な解説だ。だが、それは現実をかなり無視したものであり、
結局、読み手側、聴き手側の判断を鈍らせているように感じるのである。

(ちなみに池上彰はヒラリーのヨイショ本をわざわざ翻訳し、解説文を書いている。
 もちろん、この解説もヒラリーを褒めたたえるバカみたいな内容である)


シャルリーエブド事件再考

2015-12-22 00:23:55 | 欧米
先月に起きたパリの同時多発テロ事件は容疑者がすでに殺害されており、
ダーイシュ(イスラム国、IS)の声明があったことから、恐らく同組織の犯行と見られている。

しかし、冷静に考えれば、手柄の横取りというのは十分有り得るし、
この事件をきっかけにフランス国内の市民監視やシリアへの空爆が強化されたわけで、
どうも腑に落ちないというか、何か肝心な情報が手元に入ってきていない感触を得る。


今年の1月に発生したシャルリーエブド紙襲撃事件においても、
容疑者は警察に殺害されており、真実を知るものが誰もいない状況でテロの脅威が叫ばれていた。

そこで今一度、シャルリーエブド事件を読み直してみたいと思う。


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〈ニュースの窓〉浮上する陰謀説/シャルリー・エブド襲撃事件

パリで起きたシャルリー・エブド紙襲撃事件は残酷な「イスラム過激派によるテロ」として、
「表現の自由を守る西側」と対峙された。だが、数々の重大な疑問が浮上している。


公式報道による事件の概要

1月7日、パリ市内にある風刺週刊誌を発行しているシャルリー・エブド本社に
覆面をした複数の武装した犯人が襲撃し、警官2人や編集長、風刺漫画の担当者や
コラム執筆者ら合わせて12人を殺害、9日には別の襲撃犯がユダヤ系スーパーマーケットで
人質をとって立てこもり4人が犠牲となり、襲撃犯は計3人が射殺されたとされる事件が発生した。

犯人は自動小銃AK-47で武装し、相当な軍事訓練を受けたプロのようだったと報じられた。
フランス政府は「表現の自由」、「団結」を叫び、断固テロとたたかうことを宣言、
世界からは約40カ国の指導者、政府高官らが終結し「デモ行進」した。

数多い矛盾と疑問点

だが、不審な点や疑問は数多い。第一に、2人の犯人が使用したとされる車には
彼等の身分証明書が残されていたという点だ。とうてい「プロ」がやることではない。
9.11事件で無傷のパスポートが倒壊したビルの残骸の中から見つかったことを思い起こさせる。
また、車を運転したとされる18歳の少年が完璧なアリバイがあるとして
自首した事実を欧米メディアのほとんどが報じなかった。少年は事件とは無関係だった。

第二に、本事件の捜査を担当した司法警察の幹部が不可解な「自殺」を遂げた。
だが、この重大なニュースを主要メディアは報道しなかった。
警察当局は彼が「鬱病」あるいは「燃え尽き症候群」を患っていたと説明した。
そんな人物を事件の根幹に関わる捜査の責任者に任命するはずがない。

第三は、襲撃犯が路上でロシア製の自動小銃AK-47で2人の警官を射殺したとされる
現場の様子を鮮明に捉えた動画にある。当局もメディアも、路上に横たわっている
1人の警官に「犯人」が駆け寄りながら「とどめを刺す」一発を頭に撃ったと発表した。

だが、ユーチューブに載った初期の動画を観ると、明らかに銃弾は当たっていないし、
数十センチも離れた路面から白い煙が出ているのがはっきりわかる。空砲である。

もしも破壊力の強い実弾が至近距離で頭に命中すれば吹っ飛ぶか、大量の血が出る。
しかし、実際は一滴も血が出ていない。また、もう1人の死んだはずの警官は
こっそりスマホをポケットから取り出して「自分撮り」してまた動きを止めている。

この動画を観て不審に思ったあるフリージャーナリストは、
現場にはないはずの大量の「血痕」のようなものが「残され」、
囲いがしてあると伝えながら、不自然さを強調した。また、その動画は後にほぼ抹消された。

一部残っているものは編集されていて、「射殺された」瞬間が「残酷」だとしてぼかしが入っている。

最後に、世界のリーダーたちが何十万人もの「怒れるデモ隊」の先頭に立ってスクラムを組んで
行進しているように見える場面があるが、実際には彼等の後ろには誰もいなかった。
完全な演出だったのである。ドイツのメディアが暴露して判明した。

http://chosonsinbo.com/jp/2015/02/sinbo-j_150223-2/
(朝鮮新報2月21日の記事より)
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今になって思えば、シャルリーエブド事件では、事件の真相解明、つまり、
誰がなぜ、どのように計画を練ったものなのかを解明することよりも、
この事件を政治や軍事に最大限に利用することのほうが優先されてしまった
のではないだろうか。

本来なら事件の背景として存在する欧米内でのムスリム差別や
シリア・イラクをはじめとする旧植民地国に対する旧宗主国の軍事・政治干渉についても
内外の研究者を交えて、きちんと議論を重ね、特に後者については戒めるべきだった。

そのツケが数ヵ月後の今になって回ってきている気がする。
先の地方選挙における国民戦線の健闘は、その良い象徴と言えるだろう。

すなわち、シャルリーエブド事件を通じて
フランス国内に蔓延するイスラモフォビアを撲滅する機会があったはずなのに、
これといった対策が練られなかった結果、極右政党の大幅な躍進を許してしまった。

「暴力の根底には社会の差別がある」という重大な命題を見逃してしまった。
 このことは大いに反省してしかるべきだし、今からでも遅くはないはずだと思われる。


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真の自由

年始から衝撃のニュースが世界を駆け巡った。
フランスの新聞社「シャルリ・エブド」襲撃により、17人の犠牲者が出た。
言論を暴力で弾圧し、人々を殺害した残虐行為に怒りを禁じえない

▼事件後、フランスでは「言論の自由」を守るデモが拡散。
 しかし、イスラム教関連施設に対する襲撃が相次ぎ、イスラム寄りの発言が
「テロ擁護」として抑圧されている。極右政党が支持率を大きく伸ばす一方、
 ドイツなどではイスラム社会との融和や難民の受け入れ拡大を求めるデモも行われているという

▼同紙は14日、事件後初めて発売した紙面の表紙にイスラム教の預言者・ムハンマドの風刺画を描いた。
 欧州メディアの多くがこのことを報じつつも、風刺画自体の掲載は見送った。
 暴力には反対するが、相手を傷つける風刺にも反対する姿勢だ

▼短絡的で偏重な風刺は人種差別を助長する。
 同紙の風刺画の中には、中傷、侮辱、嘲笑にしか感じ取れない下劣な作品も少なからずあった。
 言論に、人を傷つけ、貶める自由など認められない

▼一国の指導者へのテロをテーマにした映画が外交関係よりも重んじられ、
「朝鮮人を殺せ」という暴言が警察の保護の下に白昼堂々叫ばれる、
 そんな無分別な「自由」を盾に、異民族、異文化、異教徒に
 自分たちの価値観を押し付ける傲慢さを看過できない。
 違いを認める寛容、相手を思いやる尊重こそが憎悪の連鎖を断ち、自由を守ることになる。

http://chosonsinbo.com/jp/2015/01/il-480/
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上の文章は朝鮮新報のコラムから引用したものだが、
シャルリーエブド事件を単に向こう側の問題として片付けてしまうのではなく、
こちら側の問題(言論の自由の名の下、差別が看過される問題)として扱った良い記事だと思う。

デイリーNKおよび同紙編集長の高英起氏によれば、朝鮮新報は北朝鮮の別働隊であり、
北朝鮮当局が総連本部、朝鮮新報本社、同紙記者との綿密な打ち合わせの上で記事を作成するそうだ。
(http://dailynk.jp/archives/32149/2)

「これらの記事はいずれも、記者個人の自由な裁量で書かれているわけではない。
 北朝鮮当局と朝鮮総連本部、朝鮮新報本社、現地記者が綿密な打ち合わせの上で
 作成しているのであり、言わば北朝鮮の準公式メッセージなのだ。」(by高英起氏)


高氏本人は
「今年1月にフランスの週刊新聞シャルリー・エブドが襲撃された際には、
 なぜかテロリストよりも米国を猛非難する記事を掲載した」と否定的に評価しているが、
仮に朝鮮新報の記事が北朝鮮政府、総連本部にチェックされ、準公式メッセージとして
発信されているとすれば、なかなか北朝鮮は本質を突く能力を持っていると評せざるを得ない。