時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

クリミア併合に関する国連無効決議について

2014-03-31 00:53:01 | リビア・ウクライナ・南米・中東
ロシアのクリミア併合に関して国連で無効決議が取られました。
賛成が100カ国、反対が11カ国、棄権が58カ国、欠席が24カ国でした。


忘れてもらっては困るのが、ロシアのクリミア併合は
クリミア自治共和国の国民投票で決定された
ということです。

この投票は外国からの監視団を呼んで行われた結果、
不正がなく行われたということが確認されました。


つまり、この併合はクリミア市民による民主政治の結果だったのです。

ここで具体的な内訳を見ていくと、反対国がロシア、キューバ、北朝鮮、
棄権がブラジルやインド、中国、欠席がイスラエルやイラン・・・
大雑把に言うと、先進国が賛成、発展途上国が反対・中立の立場を取っています。


こういった事実は、ウクライナ暫定政権が一体どの国家にとって
都合のよい政権なのかをはっきりさせてくれるものだと思います。


キューバや北朝鮮などの残忍な経済制裁と武力威嚇を受けている国が
無効決議に反対しているのは当然のことなのかもしれません。


キューバは、ユーゴスラビア、イラク、アフガニスタンなど、
他国の主権を脅かして国際法を破ってきた欧米諸国が
無効決議に賛成することは矛盾だと非難しています。

(筆者は、クリミア自治共和国という国家内にある小国家の意思を
 全く考慮しないという点で欧米の態度は矛盾どころか自然だと考えています)


中国は棄権こそしましたが、かなり厳しい意見を寄せています。
3月18日付の環球時報(中国共産党の中央委員会の機関紙、
『人民日報』の国際版)の社説を読んでみましょう。

-----環球時報社説(一部抜粋)-------------------------------------

クリミアで16日、争議の的となっている「住民投票」が実施された。

クリミアの「独立」はすでに阻止できず、ロシア政府がうなずきさえすれば、
ロシアへの「復帰」が欧州の新たな政治的現実になると
政治評論家の多くは確信している。


国連安保理は15日、米国の提出したクリミアの住民投票問題に関する決議案を強行採決した。
ロシアが拒否権を行使し、中国は棄権した。「棄権」こそが中国の明確な姿勢だ。

これは各国の主権と領土保全の尊重という
中国政府の一貫した立場を反映すると同時に、
クリミア問題が起きたのには原因があるとする
中国の見方を重ねて表明するものでもある。

クリミア問題は白黒をはっきりつけられるものではない。

ウクライナ情勢への西側の干渉によって、
この地域はすでにかき乱されており、ロシアの反発は早くから予想されていた。

重要なのは、西側とロシアがその対立を
エスカレートさせ続けるのではなく、いかにして解消するかだ。


西側は現在、脅しの声を高め続け、制裁の圧力すら加えようとしている。
だが米政府とその同盟国は、それでプーチン大統領を服従させるのは
不可能であることを、はっきりと理解すべきだ。

もし守るべき一線すらなしにロシアの戦略空間を圧迫し続けて、
ロシア政府がおとなしく辛抱すると考えているのなら、
ロシア政府との力比べは危険が生じ続ける事態に陥るだろう。


かつて西側を恐れさせたソ連は轟音を上げて解体し、
東欧のほぼ全てがたちまちNATOとEUになびき、
旧ソ連の共和国複数がNATOに加盟した。
この地政学的突然変異による圧力のほどんどをロシアが受けることとなった。

西側の過ちは、ロシア政府の身になって考えることなく、
貪欲で飽くことを知らず、他国の不幸を喜び、
他国の窮地につけ込む姿勢でロシア政府を一歩一歩と追い詰めていったことにある。


ウクライナで先月起きた事は、
容易にロシア人によって「色の革命」の1つと定義された。

西側メディアはプーチン大統領が座視することはないと早くから分析していた。
だが西側の頭のぼうっとした政治屋は
彼らの支持するウクライナの一派に自制するよう警告しなかった。


西側は今、国家の領土保全の重要性を思い出した。
だが彼らは以前、何をしたか?

1999年のコソボ紛争前、西側は主権国家である
ユーゴスラビア連邦共和国に対してコソボ・メトヒヤ自治州からの
軍の撤退を強制。NATOは国連の承認を得ずに
ユーゴスラビア連邦共和国に対して70日以上の空爆を実施した


コソボ独立は完全に爆撃によって実現したものだ。


西側はチェチェン分離運動も支持した。
欧米メディアはしばしばチベットを「国家」と見なして描く。
クリミアの独立運動の前に、実は西側は主権国家の領土保全と
いう国際規則の尊重に、数え切れないほどの落とし穴を掘ったのだ。


---------------------------------------------(引用終わり)

この社説は直接、国連の無効決議に反対したものではありませんが、
中国の姿勢は基本的にこのまま維持されているとみて間違いないでしょう。


なお、中国は自国はロシアのような思い切った政策は取るべきでない
と、同じく人民日報において語っています。また、以前紹介したように
ネオナチの台頭を指摘した上で、対話による解決を望んでいます。

日本では、中国=頭の固い狭量な独裁国家というイメージが
流布されていますが、これら提言からは冷静な現状分析と
先進諸国の独善的な行為に対する明確な反対意思を見ることができます。



キエフの議事堂を見守っているウクライナ市民の皆さんの図。

現在のウクライナ暫定政権が軍事や司法の機関にスヴォボダ党(自由党)
という名のネオナチ政党がいることは既に当サイトで書きましたが、
極右のなかにも派閥があるようで、先日、政権から外された極右政党
右部党(Right Sector)の重要人物が警察に殺害された報復に、
内務大臣の辞任を求めて議事堂を包囲しているようです。

http://rt.com/news/right-nationalists-storm-ukraine-701/
(写真も同ページより引用)



(http://rt.com/op-edge/ukraine-radical-right-eu-145/より引用)
ネオナチ同士の衝突がキエフで起きています。

現在のウクライナは、もはや親ロシアだけでなく、
同じ極右に対しても弾圧・報復が行われる非常に混乱した状態です。


支持するのは勝手ですが、こういった状況をきちんと民衆に
知らせた上で、納得できる意見をEU・アメリカはすべきでしょう。


今回の無効決議に対して、ウクライナ暫定政権は
「国際社会はクリミアで起こっていることを認めないという
 極めて重要なメッセージを送った」と歓迎したそうです。


これでは、暫定政権に対して
無言のエールを送ったと言われても弁解できないでしょう。




なお、今回の決議ではリビアが賛成票を投じました。


リビアは長らく反米国家でしたが、NATOの爆撃と、
彼らによって指導された反政府組織によって転覆されて以降、
欧米諸国にとって都合のよい政権に生まれ変わったと言って良いでしょう。


赤旗によると、リビアは「ロシアの軍事介入について、
国家主権と領土保全の原則を無視するものと指摘。
国境の変化は関係国の憲法や国内法の枠内で保障されなければならない」
と述べ、解決には対話が必要であると強調したそうです。



・・・ギャグで言っているんでしょうか?

現在の政権は、まさにリビアの国家主権と
領土保存の原則を無視した反政府軍と欧米軍
によって文字通り消滅されて生まれた
ものです。


しかも、NATOの空爆のきっかけとなった
カダフィが民衆を爆撃したというニュースは誤報でした。

その結果、病院や大学、鉄道、高速道路などの国民にとって
必要な施設が破壊されました。当然、そこには人がいたのです。

誤報から始まった空爆、その後の親米政権、相次ぐテロと政権側の虐殺。

これら状況はイラク戦争とかなり類似していますが、
イラクとリビアの決定的な違いは、サダム・フセインと違い、
カダフィは裁判にかけられることもなく殺されてしまった
ことです。

私はリビア紛争はイラク戦争より性質が悪い戦争だったと思います。

今のリビアは、かつての朝鮮総督府、満州国と同じ
かいらい政権だと考えても過言ではありません。

こういう国にしてしまったのは、どこの誰なのかを考えると、
それは空爆を行ったアメリカ、イギリス、フランスの3国です。

そして、これら3国が今回もロシアやクリミアに圧力をかけている
これはかなり重要な事実だと思います。

米日韓首脳会談の各新聞の報道について

2014-03-27 22:53:53 | 軍拡

朝鮮新報の記事より。


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米・日・南首脳会談めぐる南の反対世論
米の要求に屈服、「屈辱的」



オバマ大統領、安倍晋三首相、朴槿恵大統領による
米・日・南首脳会談が25日夜(現地時間)、
オランダ・ハーグでの核安全保障サミット
(24~25日)終了後に現地の米大使公邸で行われた。


米国が仲介して6年ぶりに行われた今回の首脳会談では、
朝鮮の核問題などをめぐって3カ国が外交・軍事面での連携を
いっそう強化することで一致した


一方、安倍首相と朴大統領が就任後に
会談の形で顔を合わせたのは初めて。

日本軍「慰安婦」問題をはじめとする
日・南間の懸案は議題とならなかったが、
南朝鮮では会談をめぐる反対世論が強まった


全国民主労働組合総連盟(民主労総)と
韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)、韓国進歩連帯などからなる
「戦争反対平和実現国民行動」は20日、
米・日・南首脳会談の推進を即刻中断することを朴槿恵政府に求めた


「戦争反対平和実現国民行動」はこの日、論評を発表し、
安倍首相が河野談話継承を云々したものの、
歴史わい曲と再軍備策動を修正する兆しがない状況のなかで、
朴槿恵政府が米国政府の要求に屈して
米・南・日首脳会談を行おうとするのは「屈辱的」である
と非難した。


また、「歴史わい曲と日本の再軍備は
決して切り離せない問題であるにもかかわらず、
政府がわざと切り離し、『安保協力』を口実に
韓日間の協力を行おうとすれば、日本の軍国主義勢力に
力を添えることになる
」と指摘した。

さらに、安倍首相が再軍備を進めるために北の核問題を口実として
持ち出しているなかで、米・日・南首脳が共に北の核問題を論議することは、
日本の再軍備を加速させるだけでなく、6者会談など
協議の雰囲気をつくるうえでまったくプラスにならない
」と批判した。

一方、北側に人道支援を行っている団体「ウリキョレハナトェギ運動本部」は
21日、論評を発表。「政府はこの間、韓日首脳会談を開催すべく
日本側に河野談話の継承と靖国神社参拝の中断、
日本軍『慰安婦』問題解決などを求めてきたが、日本の立場は何ら変わっていない。
にもかかわらず、韓米日首脳会談を行おうとしている
」として非難した。

論評は、「韓米日首脳会談の形式で韓日首脳会談を強行する理由は、
4月のオバマ米大統領のアジア巡訪を控えて韓米日の三角構造を
構築しようという米国の要求に引き込まれたからである
」と指摘した。

また、米・日・南三角共助が、中露、
または朝・中・露3国の同盟構築という対応を導きかねない

として憂慮を示した。

http://chosonsinbo.com/jp/2014/03/20140327riyo-4/

-----------------------------------------------------(引用終わり)


朝鮮新報は総連傘下の出版社・新聞社なのだが、
意外なことに、産経や読売、毎日、朝日のような
「まともな」新聞社よりもまともな記事をよく載せている。



「日本の再軍備を加速させるだけでなく、6者会談など
 協議の雰囲気をつくるうえでまったくプラスにならない」



この言葉は、米日韓の三国軍事同盟の強化を非難したものだが、
問題の核心をついていて、かなり説得力がある。


軍事同盟というものは武力による紛争解決を前提にしたもので、
6者国会議のような対話による平和的解決を目指すものと矛盾するものだ。


平和主義を名乗る者であれば、今回の軍拡宣言を批判するのは
当然のことであるし、またそうすべきだろう。


この前の記事で、「左右の枠を超えて」という言葉に抵抗を
覚える皆を書いたが、日米韓同盟などもまさにそうで、
大日本帝国を理想視し、天皇中心の軍事大国を目指す安倍政権と
協力してまで軍拡を行ったって韓国民衆のためにならないだろう。


最悪の場合、慰安婦問題よりも軍事同盟の維持・強化が優先され、
民主化以前の時代のように日本に文句が言えない国になるかもしれない。
ベトナム戦争の時のようにアメリカと共に戦争犯罪を行う国になるかもしれない。

ちなみに、ネトウヨが愛する産経新聞では、
「日米韓首脳会談 相違乗り越え連携強化を」という社説を載せている。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140327/plc14032703230005-n1.htm



産経がいつも通りなのはともかく、朝日をはじめとした
左派系とみなされている新聞でも同様の見解を示しているのは問題だ。


日米韓会談―「第一歩」とするには←朝日の社説
http://www.asahi.com/paper/editorial.html

社説:日米韓首脳会談 米国頼みはもうできぬ←毎日の社説
http://mainichi.jp/opinion/news/20140327k0000m070132000c.html


残念ながら、赤旗も同様だった。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-27/2014032702_01_1.html


共産党は日米安保条約の破棄および日米同盟の解体を目指しているのだから
今回の対談など、「アメリカが侵略するための同盟が強化・維持された!」
とか「安倍・オバマの軍拡路線に歯止めがかからない!」とか言って、
もっと非難しても良いし、そうすべきだった。


客観的に見て、今回の対談は北朝鮮をダシにして、
広域におけるますますの軍拡を進めると宣言したもので、
平和主義を語る人間は誰しもが憂慮すべき問題だ。



昨今の安倍政権の軍備拡張路線や改憲志向に対して
反対姿勢を示すメディアなら猛抗議すべき内容だったのにそれをやらなかった。


この件に関して言えば、
日本のメディアは朝鮮新報にボロ負けしている。


北朝鮮は恐ろしい国だー、総連はその手下だーと叫んでいる割には、
総連の新聞社より侵略主義的な主張を述べているってどういうことだ…???

昨今の人権団体に思う

2014-03-25 23:02:57 | 北朝鮮
先日、3月16日に池袋でヘイト・スピーチがあったそうです。


同日、人権団体も池袋に集結し、彼らとバトルを繰り広げたようですね。
こういう差別に対して抗議することは大事だと思います。

http://d.hatena.ne.jp/vanacoral/20140316


ただ、個人的には、ちょっと釈然としないことがあります。


それは、辛淑玉氏や有田芳生氏といった日常的に
北朝鮮をバッシングしている人間と協力していることです。


両氏とも「民族差別などけしからん!」と話していますが、
こうなったそもそもの原因は、彼らにあります


北朝鮮は拉致を行うひどい国だ、個人崇拝の独裁国家だ。
こういう言葉を執拗に繰り返して右翼を喜ばせていたのは
他ならぬ両名です。北朝鮮へ対する憎しみを煽った結果、
今日のような在日コリアンへ対する差別意識が助長されたのですから、
格好つけてはいますが、自分がつけた火を消しているだけにすぎません


http://jcj-daily.sakura.ne.jp/hokkaido/report02/1109shin/youshi.htm

辛淑玉氏は自身の講演で、
「在日は100%韓国出身であり、北朝鮮とは無縁」と断定しています。

しかしながら、現実には北朝鮮により自身のルーツを見つける人間も多々いて、
現に朝鮮学校では、韓国ではなく北朝鮮を母国とみなす教育がされています。


こういう人たちにとって、辛淑玉氏が行っていることは
祖国へ対する侮辱と自分たちへ対する攻撃に他なりません。


だからこそ、彼女に対して怒りを露わにする在日コリアンもいるのです。
(例えば→http://roodevil.blog.shinobi.jp)


有田氏にしても辛氏にしても、彼らが守りたいのは
在日コリアンの中でもマジョリティ(多数派)にあたる在日韓国人であり、
マイノリティ(少数派)の在日北朝鮮人では決してありません。

むしろ在日コリアンの中でも特に力が弱い在日北朝鮮人に
泥をぶつけることで、日本人と同様の待遇を与えるよう、
つまり日本国民として認めてくれとアピールしてきたと言ってもよいでしょう。


そういう気持ちはわからなくはないのですが、こういう人たちが語る人権は、
実際には、ごく限られた集団の権利を要求しているわけで、あまり感心できません。


有田氏に至っては、党内に極右も抱えている民主党の議員です。
鳩山氏や菅氏のせいで左翼政党とみられがちですが、
同党は実際には保守的な思想の人間も所属しています。

ヘイト・スピーチに反対するより前に、そういう政党に入党した
自身を悔いて脱党するべきではないでしょうか?

(脱党まではいかなくても、せめて党内に君が代や教科書問題で
 維新の会顔負けの右翼がいることに対して批判をするべきです。)


このように、致命的な問題を抱えている両氏ですが、
彼らの北朝鮮、総連、そして在日北朝鮮人に対する憎悪を
植え付けようとする行為を非難することもせず、
逆に仲間として迎えてしまう人権団体って一体何なのでしょう?


この抗議運動には、「のりこえネット」という人権団体も
参加しているのですが(辛氏は同団体のメンバー)、
構成メンバーをみると、右翼も左翼もごちゃ混ぜになっており、
立ち位置がよくわからない集団になっています。


前述したように、在日韓国人だけ守って
在日北朝鮮人には攻撃の手を緩まない、こういう
自分たちが半ば差別を加える側に立ったままでの
差別撤廃運動がどれほど偽善的か
は言うまでもありません。


こういう姿勢である限り、本当の意味で差別が消えることはないでしょう。




地デジ化の恩恵→国産テレビの売上低下

2014-03-23 21:46:36 | マスコミ批判
前記事のマスコミ批判のついでに、2000年代に日本全国で展開され、
震災後の7月に完了した地デジ化運動についても触れておく。

この運動は、日本が誇る天才ジャーナリスト、池上彰氏によると
アナログからデジタル放送へ移行することで、情報のスリム化が起き、
現在の過密な電波状態が解決されることを期待して行われた。


・・・まぁ、違うんだけどね。


確かにデジタル方式に変更することで、スリム化は可能だ。
しかし、それは画質がそのままであればの話。


パソコンの画像ファイルで説明すると、
100MBの画像をビットマップからジェイペグに変更したり
Zipで圧縮したりすることで、50MBまで減らすことが可能だとしよう。

だが、より高画質な200MBで同じことをすれば、
当然、流すデータ量は100MBのままで前と変わらない。

デジタル放送はアナログ放送と比較して高画質の放送であることが
売りになっている。当然、流すデータも以前よりも多い。


そのため、デジタル方式に移行しても、
データが増えたので空中を飛び交うデータの量自体は
前となんら変わらない
のだ。池上氏の説明は現実に反する


だいたい、電波が過密と言うならば携帯電話の販売台数が
ピークを迎えた2007年の時点で、それが問題を引き起こしたのだろうか?

携帯電話の普及で電波が過密状態になり、それが深刻な障害を
もたらした、あるいはもたらすかもしれないという危険がないのに
ただ、過密であるだけで問題視するのは意味不明である。

危機を煽ることで、大衆を扇動するというのは
プロバガンダの伝統的な手段だが、テレビ番組で
それをやっちゃあ、いかんだろう・・・・・・


データ放送により参加型の番組になるとか、
2011年以降はアナログTVで視聴することができないとか、
いろいろな工作が行われて地テジ化は進められた。


今になって思えば、これは脅しの経済振興政策だったと思う。

地デジを買わないと番組が見れないぞ、さぁ買えと
購入せざるを得ない状況を作り上げ、見せかけの売上アップを実現する。

今の消費税アップ直前の駆け込み消費と似ている。
消費税が上がるぞ、さぁ高くなる前に買うんだ!というヤツと同じだ。


こういう姑息な手段は一時的な好況は実現できるが、
その後の慢性的な不況を招くことが確かになっている。


では、
Q.地デジ化が完了した後のテレビ販売数はどうなったのか?









A. 激減して、赤字になった。


<薄型テレビの販売台数>
2009年→1400万
2010年→2640万
2011年→2080万
2012年→840万
2013年→620万



中国にあるテレビ生産工場は東芝も日立もパナソニックも
すでに撤退している。これら工場で生産されたテレビは
日本向けに輸出していたのだが、全然売れないので閉鎖せざるを得なかったわけだ。


冷静に考えれば、テレビなんて毎年買うものじゃない。
一度に一気に買ってしまえば、買換えるまでの数年間の売り上げが
目に見えて悪くなるのはバカでもわかることだ。


ところが、今の経済雑誌では、テレビが売れていることになっている。
2014年には630万に上がることが予測される…だそうだ。


10万多く売れたからって、2009年の1400万の半分以下だ。いいのかそれで!?
また、4Kテレビという最高画質のテレビが今後売れるとも語っている。

ttp://www.j-cast.com/2014/01/11193436.html

はっきり言って、今の薄型テレビでも十分綺麗なのに、
これ以上の質を求めるってことはないだろう。その証拠に、
この1年で4Kテレビの価格は半額になった。

http://atrpg.blog.jp/archives/4k-tv-more-reasonable.html

仮に50万台売れているとして、これが100万台売れたとしても、
売り上げ自体は元のままだ。完全に終わった分野なのは明らかだ。


上で紹介した経済アナリスト、こういう発言をしている。

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どんなに4Kテレビや8Kテレビが高画質でも、
肝心のコンテンツが用意できなければ意味がありませんから。

一方で、4Kテレビの楽しみ方にはインターネットと接続して、
インターネット動画を視聴することもあります。

たとえば、動画サイトのYouTubeでは
すでに4K画質の映像を視聴することができますし、
4K対応のコンテンツの数は増えています。

家電量販店の店頭で4Kテレビを見せてもらうと、
画質のよさはすぐにわかりますし、インターネット以外でも
スライドショーなどの楽しみ方ができます。4Kテレビの存在感は増しています。

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いや、それスマフォで済む話だろ・・・
よほどの画質マニアでない限り4KテレビでYouTubeは見ないだろう。

スマートフォン携帯という小型コンピュータの普及により、
ますますテレビの存在価値は下がっているように思う。

インターネットも繋げられるとか、画質が良いとか
表面的な部分だけ追求するのではなく、番組の質自体も上げなければ
ネットや携帯のコンテンツ、ツイッターやフェイスブックに負けるだろう。


前回、取り上げたバンキシャのようなネトウヨ大興奮の
扇動メディアから足を洗わないと、本当に情報媒体として
政府の広報機関になる以外に生存の道がないような気がする。

いい加減にせい、バンキシャ

2014-03-23 20:27:32 | マスコミ批判
辞任する前は猪瀬前都知事をわざわざ呼んでまで
東京都のカジノ化計画を賛美した報道番組バンキシャ。

なお、この特集では専門家の意見として、
わざわざ同計画の参加メンバーのインタビューを映していた。

一度、ねつ造がバレて少しは反省したかと思いきや、
相も変わらず、お上べったりの宣伝媒体となっている。

今日の特集では中国と韓国が東シナ海で乱獲を行っているという
いつもの中国韓国ぶっ潰せキャンペーンを行っていた。

水産資源で言えば、商業捕鯨が禁止されているにも関わらず
研究用と称して捕獲・解体・販売を行っていたり、
乱獲が指摘されているマグロやウナギの規制強化を
農水省、メディア、研究者の産官民が一致団結して妨害している
某国家Jは十分、世界中の貴重な海の生態系を破壊していると思うのだが、
なぜかこの手の真実を伝えることに使命を感じる勇気ある番組が
国内の乱獲を取り上げることはない。



日本の乱獲関連のニュースでは、得てして海外からの反対意見を取り上げ、
「反日運動」とみなし、徹底無視を呼びかけるのがほとんどだ。

他方、海外の乱獲の場合、なぜか中国や韓国といった
近年、日本と不仲になっている国のそれを集中的に取り上げている。

実際にナショナリズムを煽っているのはこちら側だ。

それを顕著に示すのがイルカ漁のそれであり、反対する団体は
イルカ食ではなく、1000頭以上のイルカを捕獲し、傷のある不良品を打ち殺し、
残った綺麗なイルカを水族館に高値で売る行為を批判しているのであって、
そのため、メインの活動は水族館ビジネスへ対する反対運動なのだが、
この点を日本のメディアや研究者は完全に無視して批判している。

2009年に公開され、翌年アカデミー賞を受賞したドキュメンタリー映画、
ザ・コーブでも、メディアの批判とは裏腹に、その3分の2ほどは
イルカを巡る水族館のビジネス・モデルの批判が行われている。

そのため、イルカ漁に対しても、イルカを殺すことよりも、
捕獲したイルカを世界中に輸出し、巨額の利益を得ていること、
そして中南米の弱国に対して、日本政府が多額の援助と引き換えに、
捕鯨やイルカ漁に対して日本に有利な立場を取るように工作を
かけていることを暴露し、このビジネスが実は国策であることを指摘している。
(この構図は、マグロ漁においても同様である)


まぁ、政府の役人や水族館の経営者の利害が
日本人の利害と一致すると考えている人にとっては反日的だろう。


とはいえ、その理屈で言えば消費税の引き上げに反対したり、
血税を大量投入してのゼネコンの不要な施設建設に反対することも
反日的なので、模範的日本人であるためには、上の人間のやることを
いちいち絶賛し、追従の姿勢を示すことが必要になるだろうが……

(あれ?バンキシャの報道姿勢がまさにそれだ・・・)


イルカ漁にせよ捕鯨にせよ、海外のサイトでは、
インダストリー・プロブレム(産業的な問題)と表現されている。

それは、国際捕鯨委員会が、商業目的でクジラを捕獲する商業捕鯨を
禁じ、少数民族が日常的な栄養源として捕食する生存捕鯨を許可している
点からも明らかだろう。民族の食文化自体は保障しているのである。

ところが、日本のメディアは、この点を隠して、イルカやクジラを
殺すのは可哀そうという意見だけをピックアップし、あたかも
全体がそうであるかのように編集を加え、日本の伝統文化を
理解できない幼稚な連中として否定的に表現し、
この運動が日本の文化そのものへ対する攻撃だとして批判する。
これをプロバガンダと言わず何とする?


マスゴミと蔑称で呼ばれながらも、何だかんだで
テレビは信頼性のあるメディアとして受け入れられている。

バンキシャは既に一度、その信頼を裏切ったが、
仮にも日曜の夕方6時に放映される番組なのだから、
いい加減、事実上の広報番組から脱するべきだ。

左右の枠を超えてというフレーズについて

2014-03-20 22:11:25 | 日本政治
集団的自衛権の行使容認について、
自民党内部でも反対派が拡大しつつあるようだ。


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「戦後の秩序を作ってきた集団的自衛権という言葉は、
アメリカが自国の都合で、自国の利益を守るためには
世界中どこへでも軍隊を出せるとへ理屈をこねて言ったものだ。

その国の依頼があればいいというが、
かいらい政権に言わせれば、いくらでもできる。
そんなことのために自衛隊を海外に出すべきではない」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-19/2014031902_02_1.html
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これは自民党の幹部の意見である。
共産党や社民党の意見ですよと紹介されたとしても違和感がない。


自民党というと、右翼の集まりのように感じられるかもしれないが、
実際は、そこそこ左寄りな人間もいる。民主党を立ち上げた
鳩山元首相や小沢一郎氏も元は自民党の出身だ。


そこから思うのが、最近、一部の市民団体や運動家が
やたらと主張している「右翼や左翼の枠を超えた運動を」という言葉である。


私は反共左翼という言葉をもって、本質が反共=国家(国民)主義であるために、
いざという時には簡単に右派と協力して体制に与する連中の問題性を指摘しているが、
その右派と妥協しないというスタンスにケチをつけられたことがある。

いわく、「程度によりけり」、「目的が同じならば協力も悪くない」だそうだ。

しかし、実際には、国内では圧倒的に右派が優勢であり、
協力といいながら、右派が許す範囲内での反対運動に堕しているのが現状だ。
こういう中での左右の協力にいったい何の意味があるのだろうか?


また、チベットやウィグルの問題が顕著だが、同じ反対であっても、
右翼の語る理屈と左翼が語る理屈は本来は違うはずである。


ダライ・ラマのように自分が統治していた頃は農奴制を維持し、
亡命後もCIAから大金を得ているような輩や、ラビア・カーディルの
ような、日本の極右と一緒に靖国神社に参拝するような民族主義者が
語る自由は、本来の左翼が夢見る自由とは違うはずである。


実際、前者は活仏(仏の生まれ変わり)を自称しているし、
後者はウィグル人の中でもとびきりの実業家で、とてもじゃないが
民衆の利益を優先する政治を行うようには見えない。

チベットやウィグルの問題を卑小化するつもりはない。だが、
ダライ・ラマやラビア・カーディルのような連中に権力は渡したくはないと思う。

左右を超えた共闘を呼び掛ける人間の中で上の2名に対してはっきりと
「中国にも問題はあるだろうが、だからといって
 お前たちのような連中に政治を任せたくない」
 とはっきり言える人間がどれだけいるだろうか?

私はそこが非常に気になるのである。

「いかなる国の核にも反対」というフレーズ

2014-03-18 22:49:16 | 北朝鮮
私は、反核団体にお決まりのキャッチフレーズである
「いかなる国の核にも反対」という極めて強い表現に対して抵抗を覚える。

それは、

①イランや北朝鮮のような米欧諸国に敵としてみなされている弱国は
文字通り、自衛のために核を保有しているという面があり、
いかなる国(=いかなる状況下にある国)にも反対というフレーズは
彼らが日常的に欧米諸国からの武力威嚇を受けているという事実を
無視した議論になりはしないか


また、

②極端に核保有を絶対悪とすることは
相対的に欧米諸国の武力威嚇を美化することになりはしないか

といった疑いを持っているからだ。


以前、反核運動の是非をめぐって論戦になったことがある。
ログに残しているので、一部を公開しよう。

青文字が私、赤文字が論戦相手である。
なお、向こうのハンドルネームは削除した。


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で、巣鴨さんはどのような核廃絶運動ならご満足なのですか?


「いかなる国の核実験にも反対」という原水禁のポジションを
 批判されていましたけど、それは、特定の国の核武装は認めるということですか? 
 それは違うとおっしゃるなら、じゃあ、結局のところあなたと原水禁の違いは何ですか?




「無くすに越したことはないが、今の反核運動のままでは無くせるとは思えない」
 と思います。

これは別に原水禁限定で言っているのではなくて、
原水協等の他の団体も含めて(海外も)です。

中国やロシアのような経済的、政治的、軍事的にも余裕がある大国であるならば、
現状のままでも可能だとは思います。

しかし、北朝鮮やイランのように悪の枢軸と呼ばれ、
NATOの爆撃を受ける可能性がある弱国に対して無くせと言われて
「はい、そうですか」とはいかないのではないでしょうか?

現に、悪の枢軸として指定されたイラク、リビアは消滅し、
シリアも先日、危うく爆撃されかけているのですから。


北朝鮮に至っては、毎年、米韓合同軍事演習が領海付近で行われていますが、
この作戦には首都である平壌の占領を想定した作戦が行われています。

のど元に刃を突き付けられ、しかも旧ソ連の古い装備を
いまだに使用する軟弱な軍備となれば、同国が「防衛のために」と称して
核を持ちたがるのも納得はできなくても理解はできるはずです。

ですから、本気で核を無くそうとするのならば
攻撃される不安を取り除くこと、さしあたっては
米韓の軍事演習の中止、および米韓朝との不戦条約の締結を求めるべきではないでしょうか?

米韓軍事演習では去年も今年もB52核戦略爆撃機を出撃させて
核爆弾投下訓練を行っていますし、立派な反核運動になると思うのです。

~(引用終わり)~


これに対するレスが以下のとおり。

> 「無くすに越したことはないが、
  今の反核運動のままでは無くせるとは思えない」

無くせるとは思えないかどうかではなくて、
無くす気があるのかどうかをお聞きしているのですよ。


> しかし、北朝鮮やイランのように悪の枢軸と
> 呼ばれ、NATOの爆撃を受ける可能性がある弱国に対して
> 無くせと言われて「はい、そうですか」とは
> いかないのではないでしょうか?

つまり、あなたは無くす気は無いということですね。
一方、現在の日本共産党は北朝鮮に対して核開発の中止を求めていますし、
やはりいかなる国の核実験にも反対という立場ですよ。

あなたのおっしゃっていることは「共産」云々とは無関係のようですね。
私には、勝手に名前を使われて、言ってもいないことを
言っているかのように言いふらされた共産党が、
あなたの発言に一番迷惑していると思いますけど。


> ですから、本気で核を無くそうとするのならば
> 攻撃される不安を取り除くこと、さしあたっては
> 米韓の軍事演習の中止、および米韓朝との不戦条約の
> 締結を求めるべきではないでしょうか?

そのようなことは政府間交渉ですべきことです。
そういう前提を抜きにして廃棄を求めるから、
非政府の立場での核廃絶運動に意味があると私は思います。

~(引用終わり)~


私は朝鮮半島の非核化を前提に、そのために必要なプロセスを論じている。
だから「無くす気はない」というのは文章をよく読んでいない証左なのだが、
それを抜きにしても、「今すぐなくせー」「必ずなくせー」と語る人間が
ある種、「君が代を歌わない奴は反日」と同レベルの極端な思考を持っている
ことが、はからずともこのコメントが物語っている。


では、この論者の言うように、米韓の軍事演習の中止、
米韓朝相互の不戦条約の締結を求めることは、政府間交渉ですべきことなのだろうか?


ここで朝鮮新報の記事をご覧頂こう。

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米、北侵海上演習を強行/南朝鮮海上で

南朝鮮の「KBS」放送によると、米軍が「フォール・イーグル」
合同軍事演習の一環として南朝鮮軍と14日、朝鮮東海と西海、南海の海上で
連合機動訓練を強行した。15日発朝鮮中央通信が報じた。

連合機動訓練には、米軍の艦船と南朝鮮海軍の駆逐艦、イージス艦、
護衛艦、哨戒艦などが投入され、朝鮮への先制攻撃を想定した戦争演習が行われた

同通信は、「朝鮮を軍事的に圧殺しようとする米国の
無分別な戦争狂気によって、朝鮮半島にはいつ核戦争が起きるか
わからない危急な情勢が生じている
」と指摘した。

http://chosonsinbo.com/jp/2014/03/20140318riyo-2/
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反核団体を神聖視する人間というのは得てして平和主義者ではないのか?

いくら核が廃絶されたって
かわりにイランや北朝鮮に爆弾の雨が降ったら平和も何もないじゃないか

……と私は思う。



上の論者に対して私はこう答えた。

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>そのようなことは政府間交渉ですべきことです。

なぜ市民団体が政府にむけて、
米韓の軍事演習の中止を求めてはいけないのでしょうか?

軍事演習の中止のかわりに核廃絶をするという提案は私の思いつきではなく、
中国政府や韓国政府が2000年代半ばまで唱えていたことです。

そして、実際に途中までは上手くいっており、北朝鮮が核を捨てる可能性はあったのです。

しかし、アメリカが軍事演習を中止しなかったこと、逆に経済制裁などの
締め付けを行ったことから、2006年に核実験をし、ご破算になりました。

軍事演習の継続が核保有の原因になっていることは明らかです。
北朝鮮もそのように発言をしているのですから。

残念ながら、こういう事情についてマス・メディアや政府はろくに知らせていません。

だからこそ、政府が強硬姿勢であるからこそ、彼らに軍事演習の中止を訴え、
対話を促すのは市民の私たちがしてもよいことではありませんか。
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朝日新聞、週刊金曜日、反核団体、北朝鮮専門家、
いずれもアメリカと韓国が北朝鮮を先制攻撃する軍事演習を
同国領海の近辺で行っているという事実を無視して、
いかにこの国が悪かということをクドクドと述べている。

それはアメリカや韓国、そして日本が北朝鮮を攻撃するのに
役立つ知識ではあるけれど、北朝鮮が爆撃の不安をなくし、
非核化へと乗り出すには全く役に立たないどころか、
邪魔してさえいる行為だ。


はっきり言って、これは朝鮮半島非核化を考えれば、
愚行以外の何物でもない。それをやめるよう訴えることを
なぜ「市民がすべきではないこと」として片づけてしまうのだろうか?


「そういう前提を抜きにして廃棄を求めるから、
 非政府の立場での核廃絶運動に意味がある」というのは
 結局のところ、自己満足の範囲を出ないのではないだろうか


実際に、北朝鮮の核保有疑惑が起きてから、もうすぐ二十年になるが、
未だに同国の非核化は達成されていない。我々は、より確実で
相手の事情を考慮した提言をすべきだ。


・追記・

ところで、「非政府の立場の運動に意味がある」云々から察するに、
私が説く米韓軍事演習の中止は、北朝鮮政府の側に立った意見として
否定したということなのだろうか?

あえて私が北朝鮮の側に立ったとしても、
爆撃をしようとする側ではなく、爆撃をされそうな側の立場に立ち、
攻撃を中止するよう求めることはそこまでおかしなことなのだろうか?


私は常々、反共左翼という言葉をもって、本質が反共であるために、
非欧米式の制度を敷く国の側に立てず、反対を唱えながらも
結果的には侵略を支持してしまう左翼を批判している。

この方もまた、北朝鮮の側に立つことは許されざる悪として
最初から、選択肢に入れてはいなかったのではないだろうか?

続々・悲しみのウクライナ

2014-03-14 21:47:48 | リビア・ウクライナ・南米・中東
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ウクライナの中でも、ロシア系が人口の6割を占め、
古くからロシアの海軍基地もあるクリミア自治共和国では、議会が3月5日に
ウクライナからの分離とロシアへの編入を、全会一致で可決した
(賛成78、反対0、棄権8)。



議会はあわせて、ウクライナから分離してロシアに
編入することについて問う住民投票を3月16日に行うことを決めた。


この住民投票は当初3月30日に予定され、住民に尋ねる事項も
「ウクライナにおける自治拡大」についてだったが、
投票日が前倒しされ、問う案件も「ロシアへの編入」に変更された。
住民投票は賛成多数で可決されそうだ。


オデッサなど、ロシア系住民が多いウクライナ南部の3都市の議会も、
クリミアに合流してウクライナから分離独立すると表明した。


東部地域でも、自治拡大や
独立の決議が相次いでいる。




ロシアのプーチン大統領は先日の記者会見で、
ロシアがクリミアを併合することはないと明言した

クリミアが編入を望んでも、
ロシアが同意しなければ編入は実現しない。


ウクライナから分離して、ロシアの影響下にある準州的な半独立国
(独立したが国際的にほとんど承認されていない国)になりそうだ。


前回の記事に書いたとおり、これは08年に
グルジアから独立した南オセチアと同じ道筋だ。

南オセチアは国際的に数カ国からしか国家承認されていないが、
ロシアから政治経済の両面で支援されているので、国際承認は重要でない。


ロシア領にしてしまうと米欧が対露批判を強めるので、ロシアは
南オセチアを形式上、独立国にしている。クリミアに対しても同様のことが起こりそうだ。


米欧やウクライナ新政権は、クリミアの分離を認めていない。

米欧は、東チモールがインドネシアから、南スーダンがスーダンから、
コソボがセルビアから独立した時には、国内の一つの地域の住民の大半が
分離独立を求めていることを「民主主義」と評価し、分離独立を支持・支援している。


しかし今回は、クリミアという、すでにウクライナ国内で自治共和国に
なっている統一性のある地域が分離独立を求めているのに認めないと言っている。


~(中略)~


しかも米国はウクライナで自作自演の狙撃殺害行為を行い、
テロを支援する極右ネオナチ勢力を、強い反ロシアである
というだけで支援し、政権転覆を引き起こしている。

米国の民主主義重視の姿勢は、ずるがしこいインチキである。
日本や米欧の人々のほとんどが、そのインチキに気づかず簡単に騙されている
(しかもインチキだと指摘する人を「反米論者」「陰謀論者」扱いする)。


~(中略)~

米国は長らくプーチンの人気を失墜させてロシアを再混乱に導こうとしてきた。
しかし今回の件で、ロシア国内でのプーチンの人気は逆に高まっている。

ソ連時代、ロシア人は、ソ連の諸民族の上に立つエリート的存在だった。
中央アジアやウクライナなどソ連傘下の各共和国に多くのロシア人が移民し、
現地の民族より良い暮らしをしていた。

しかし冷戦終結後、これらの旧ソ連諸国は地元の民族の
ナショナリズムに基づく国家が作られ、そこに居続けた
ロシア人(ロシア系住民)のほとんどは、仕事を奪われ、
ロシア語教育や国籍、福祉などの権利を奪われ、
貧困層におとしめられ、
窮してロシア本国に戻っても再起は難しかった。



ウクライナ東部に住むロシア系住民は、そうした困窮するロシア人の一例だ。
バルト3国の独立をめぐり、エストニア人やラトビア人の
ナショナリズムの再獲得は美談として世界で華々しく報じられたが、
人口の2-3割を占めるロシア系住民に対するひどい差別はほとんど報じられない

プーチン自身を含めロシア人の多くが、このような冷戦後の状況に心を痛めている。
「クリミアやウクライナ東部のロシア系住民を守る」と宣言した
プーチンの支持率が急騰したのは当然だった。

http://bator.blog14.fc2.com/blog-entry-2195.html

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ウクライナ騒乱が、物理的に現首相を追い出し、選挙もせず
首相の座に就いたネオナチに支持された極右政府と、
クリミア自治共和国との間の衝突であることは既に書いた。


このネオナチ政府、すでにロシア語の使用禁止を決めたようだ。
また、前記事にも書いたが、ロシアに応援を要請した親ロシア派
の人間に国家反逆罪の罪をかぶせようとしている。


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アメリカが支援したウクライナ・クーデターにおける
ファシストの関与を否定したり、彼らの役割を、
取るに足りない枝葉末節であるかのように描き出したりする、
政治的に悪質なマスコミのプロパガンダ攻勢が進行中だ。


例えば、ニューヨーク・タイムズは
“ウクライナのロシア人に対する差し迫った脅威というプーチンの主張は根拠がない”
と主張し、イギリスのガーディアンは、クリミアでの出来事は
“革命派ファシストの一団による攻撃を防ぐための”取り組みだ
という主張は“空想”だとはねつけ、“世界中のマスコミは、
そのような勢力など見たことも聞いたこともない”と付け加えた。

これは我慢ならない隠蔽だ。


現実は、公然と反ユダヤ主義、親ナチの政党が、
アメリカとヨーロッパ帝国主義のご厚意により、
ヨーロッパの首都で国家権力の主導権を、1945年以来初めて握ったのだ。

選挙で選ばれたわけではないウクライナ政府は、
アメリカが指名したアルセニー・ヤツェニュークを首班とし、
ファシストのスヴォボダ党から少なくとも6人の大臣が入閣した。

~(中略)~


スヴォボダは、ウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領を
打倒したマイダン抗議運動における主要政治勢力だった。

クーデターに突撃隊を提供した見返りに、彼らは重要な省庁の支配をまかされた。


スヴォボダの共同創設者アンドリー・パルビは、
抗議行動では“治安司令官”として活動し、準軍事組織
ウクライナ民族アンサンブル・ウクライナ民族自己防衛(UNA-UNSO)を含む、
ファシストと極右民族主義者の同盟、右セクターによる攻撃を指揮した。

ヒトラーの武装親衛隊を模した制服を着た隊員達は、
チェチェン、グルジアやアフガニスタンでロシアと戦ったことを自慢している。


パルビーは、現在国家安全保障・国防会議議長で、国防省と国軍を統括している。
右セクターの指導者ドミトロ・ヤロシが彼の副官だ。

副首相オレクサンドル・シチも、オレフ・マフニツキー(検事総長)、
セルヒー・クヴィト(文部相)、アンドリー・マフニュク(環境相)や、
イホル・シュヴァイコ(農相)等と同様、スヴォボダ指導者の一人だ。

~(中略)~

2010年、スヴォボダの公式フォーラムに以下の声明が掲載された。

“本当にウクライナ的なウクライナを、東部と南部の都市で創り出す為…
 我々は、議会政治制度を廃止し、全ての政党を禁止し、
 全産業とマスコミを国有化し、ロシアからウクライナへの
 あらゆる文献を輸入を禁止し・・・
 公務員、教育行政、軍隊(特に東部で)の
 トップを完全に入れ換え、ロシア語を話す知識人や、
 あらゆるウクライナ嫌いの連中を、肉体的に粛清し
 (迅速に試射無しで。ウクライナ嫌いの登録は、
 スヴォボダ党員ならだれでも、ここでできる)、
 反ウクライナ政党のあらゆる党員を処刑する必要がある….”


新政権の最初の行動の一つはロシア語話者という少数派の権利の廃止だった。
“ファシズム犯罪の正当化”を禁じる法律を撤廃しようという動きもある。

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-daed.html
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重要な部分だけ引用したが、どうか引用もとのサイトを巡り、
じっくり本文に目を通してほしい。より正確な理解が得られるはずだ。


議会政治制度を廃止し、全ての政党を禁止し、
全産業とマスコミを国有化し、
ロシアからウクライナへのあらゆる文献の輸入を禁止し・・・

公務員、教育行政、軍隊のトップを完全に入れ換え、
ロシア語を話す知識人や反ウクライナ人を粛清し・・・


こういう輩が現在のウクライナ国防相、国軍を管轄しているという事実から
いかに現政権がヤバいかということは一目瞭然だろう。

独立や自治権拡大を主張している人たちは、
別に前政権を支持しているわけではなく、こいつらに国を
まかせたら文字通り自分たちの命が危ないと考えているからだ。


今回、冷戦の再来という形から、ロシア批判に走る報道が
日本では多いが、こういう現実を伝えた上で、ロシアの派兵に
対して、意見をすべきだろう。都合の悪い事実を隠すべきではない。


日本では今でもソ連崩壊を吉事として(他ならぬマルクス主義者や
ロシア研究者、ジャーナリストたちが)みなしているが、
ここにもあるように崩壊後のロシア人は内外ともに悲惨な目に
あった人も多々おり、決して両手を挙げて万歳をするようなもの
ではなかった。どういうわけか、ここを隠して抑圧型社会が
崩壊して良かったねという無責任な発言ばかりされている。

これには他ならぬ共産党も含まれている。

今回のウクライナ報道も、ロシアの派兵を「侵略」と誇張するわ、
現政権をマトモな連中化のように描くわと滅茶苦茶だ。

派兵に対する批判自体は構わないが、やはり前回も書いたように
実像をぼかして報道すると、結果的にろくなことにならないと思う。

共産党も含めた反対派は、ウクライナ現政権が自称にすぎないこと、
ネオナチが要職にいることを明かした上で反対するべきだろう。

続・悲しみのウクライナ (アメリカ・NATOの対ウクライナ・北朝鮮政策)

2014-03-12 22:14:59 | リビア・ウクライナ・南米・中東
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コメルサント-ウクライナ報道によれば、政府を装う
アメリカ政府傀儡のキエフ財務大臣は、ウクライナに金を貸す欧米銀行家が
ウクライナの貧乏人を犠牲にして返済が受けられるようにすべく、
ウクライナの年金を
160ドルから80ドルに削減する
経済緊縮政策を準備中
だ。


またもやギリシャの繰り返しだ。

選挙で選ばれた正当なウクライナ政権に対し、アメリカ政府が画策したクーデターで
権力の座につけられた傀儡政権が安定性や正当性を獲得するより前に、
欧米の略奪者達は既に仕事にとりかかっている。EU加盟で
より良い生活ができるというプロパガンダを素朴にも信じ込んだ抗議行動参加者は、
4月迄に年金を半分に削減される運命だ。しかし、これとて始まりに過ぎない。


腐敗した欧米マスコミは借款を“支援”と表現している。
ところが、EUがキエフに提供しようとしている
110億ユーロは支援ではない。借款だ。しかもキエフが
IMF緊縮政策を受け入れることを含め様々な条件付きだ。


選挙で選ばれた政権を打倒するのに利用された抗議行動に参加した
だまされやすいウクライナ人は、 EUに加盟さえすれば
たやすく金もうけができるようになるというアメリカ政府の
財政支援を受けたNGOがついた嘘を信じていたことを想起願いたい。

ところが今や彼等は年金を削減され、IMF緊縮政策に見舞われる。

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-5543.html
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ウクライナ市民の皆様のおかげで、
無事に首相は亡命し、ネオナチに支持された民主政権が誕生した。


めでたく、緊縮政策が実行されるだろう。イタリアやギリシャなど、
EUにおける経済弱国は、緊縮政策によって大量の失業者が生まれ、
年金や健康保険などの福祉費が削減され、国内で混乱が生まれている。


私は貧民化政策を借金の条件として強制するEUのほうこそ、
よっぽど独裁的だと思うのだが……どうだろう?



朝日新聞のような反対のポーズを見せながら政権に媚びるゴミは言うまでもなく、
赤旗もウクライナ政変はクーデター側を支持している。


共産党は歴史的に60年代初めからソ連と険悪の関係であり、
表面的には和解しているが、その実、実質的には修復されずに現在に至っている。


普段はNATOやIMFの植民地主義的な行動を非難している共産党も、
相手がロシアとなると話は違う様である。


そういう中で、朝鮮新報の記事だけは毛色が違った。

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●米国の常套手段

緊迫するウクライナで、ロシアはロシア系住民の保護を名目とする軍事行動を示唆した。
南部のクリミア半島では「自警団」と称するロシアの特殊部隊が
ウクライナ軍の武装解除を進めていると伝えられる。


▼この問題で米国のオバマ大統領は、ロシアの介入は主権侵害であり、
国連憲章に違反すると主張。これに対しロシアのプーチン大統領は、
現地からの要請を受け国際法に沿って行動していると反論した。

米国とEU(欧州連合)がロシアへの制裁発動、
強化に踏み切ると、ロシアも報復措置を打ち出した



▼ロシアを悪魔化する米国と、それに追従するEU(欧州連合)。
この構図は、以前のイラク、イランやシリア、そして朝鮮に対するものと同じ。

米国が軍事戦略において重視する要衝だ。だから独立国家の自主権主張は、
米国の軍事支配、ドル支配を揺るがす有事と映る。

ウクライナの「オレンジ革命」(04年)を資金援助した米政府は、
この地の資源と軍需産業をかすめ取り、ミサイル前哨基地を築こうと画策していた。


▼米国は朝鮮のロケット発射訓練(2月21日~3月4日)に対しても、
「脅威」をことさらあおり、「挑発」「国連決議違反」と大々的に非難している。

南朝鮮を動員して敢行した大規模合同軍事演習を棚に上げてだ。

強大な軍事力と核を振りかざし、世界中で内政干渉、軍事介入、
政権転覆を繰り返してきた米国こそ非難されてしかるべきだ。

http://chosonsinbo.com/jp/2014/03/il-222/
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常時、アメリカと韓国から軍事演習という名の威嚇を
受けている北朝鮮のサイドに立つならではの見解だ。


ちなみに、北朝鮮はウクライナ騒乱と同時期の3月3日に
米海軍第7艦隊所属の原子力潜水艦コロンバスとが釜山の
海軍作戦基地に入港したことを非難している。


このコロンバスは、射程距離3100kmのトマホークミサイルを
搭載している攻撃型の潜水艦。現在は核弾頭が装着されていないが、
状況によってはいつでも核兵器の搭載が可能なことで知られている。


アメリカは2月にもB52核戦略爆撃機を出撃させて
核爆弾投下訓練を行っている
。日本の「北朝鮮、核なくせー!」と
わめいている平和主義者どもは、この現実を直視するべきだ。





さて、ふたたびクリミア半島の図を掲載するが、
クリミア半島は長らくソ連領だった地域であり、
現在は自治共和国として成り立っている。


つまり、ウクライナという国家の中に
クリミア自治共和国という名の小国家が存在する。


中国の台湾、イギリスの北アイルランドなど、小国家を抱える国は意外と多い。

今回、日本で「武力介入」と呼ばれているロシアの行動は、
クリミア自治共和国からの要請に応じたものだった。


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ロシア系住民が多いウクライナ南部の
クリミア自治共和国のアクショノフ首相(親ロシア派)は、
全軍と治安部隊を指揮下に置くと宣言し、
治安回復の支援をプーチン大統領に要請しました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-03/2014030301_01_1.html

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プーチン大統領もまた、そのような発言をしている。


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プーチン
「我々の行為は、不当なものとして非難を浴びている。
 しかし、思い出してほしいのだが、アメリカもイラクやリビアで、
 いかなる承認も得ずに、あるいはそれを歪めて行動した。

 我々の行動は、国際法に完全に則っている。
 なぜなら、我々には正当な大統領の要請があり、
 我が方の利益にも合致しているからだ。
 文化的、歴史的に緊密に結びついた人々を助けているのだから」


http://jp.rbth.com/politics/2014/03/05/47409.html

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当然、現地でウクライナ軍との戦闘は存在しない。
要するに、武力介入ではなく、これは「派兵」である。


赤旗(つまり共産党)はロシアの侵略だと誇張しているが、
普段、民族自決だとか民主主義だとか言っている政党が、
クーデターで成立した政権を支持し、住民投票でウクライナか
ロシアどちらの帰属になるかを決めることに反対するのはおかしい。


住民投票が駄目だというならば、何によって帰属を決めると言うのか?
しかも今のウクライナ政権は反対勢力を物理的に排除している。

日本のメディアはあまり流さないが、海外のサイトを読むと
西や東の反政権の人間を弾圧していることがわかる。


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ウクライナの司法当局の側では5日、
ロシアに治安回復の支援を要請したクリミアのアクショノフ首相、
自治権拡大の住民投票を決定したコンスタンティノフ・クリミア議会議長、
親ロシア派に投降したベレゾフスキー海軍総司令官らに対し
「国家反逆罪」の容疑で捜査を開始したことを明らかにしました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-07/2014030707_01_1.html
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冷静に考えて、これは粛清に他ならないのでは?
確かにロシア軍の派兵はやりすぎだと言う意見は理解できる。
だが、現政権をあたかも民主的な政権であるかのように報道する姿勢は謎だ。


共産党は仮にも、他国とは対話によって問題を解決すると
言っているのだから、こういう外交問題に関して、
日本にとって都合のよい報道をしては駄目だ。

北朝鮮問題で何度も指摘しているが、都合のよい事実認識をすると
向こうからの予期しない反撃を受け、結果的に後手に回ってしまう。

本当に日本の国益を考えるなら、現政権の不当性を指摘した上で、
クリミア自治共和国とウクライナ本国との対談を提示すべきだろう。

これからの反原発運動に必要なこと

2014-03-11 21:29:52 | 浅学なる道(コラム)
私は仙台藩の士族の末裔です。
そして、幼少のころ、3年ほど福島で暮らしていました。

ですから、2011年の宮城県沖の津波は
私にとっていろいろとショッキングな出来事だったのです。


津波の被害は言うまでもありませんが、それを天罰と称した石原慎太郎や、
そういう輩を称賛していた連中に対しても。

被災地の人たちが物資に困っているにも関わらず、買いだめをした人間にも。
いまだに福島産のフルーツと知ると、毒物を見るような眼をしてそっと売り場に戻す人にも。



つい先月、雪が降りました。

喧嘩別れしたはずの自民党から推薦されて当選した某都知事は
大したことはないと仰いましたが、大したことはあったのです。


一時的な交通機関のマヒもそうですが、この期間、
関東圏で食料品の大量の買い占めが起きました


パンや肉、魚は言うに及ばず、冷凍食品や豆腐、納豆、卵などなど……


実のところ、食糧そのものは特に不足してはいませんでした。
買い占めさえしなければ十分に行き渡るほどの食料品が毎日運搬されていたのです。


それが「次に買えるかどうかわからない」といった不安があったのでしょうか、
みんながドシドシ、スーパーやコンビニに押し掛けて必要以上に物が買われて行きました。


結果として品不足が生じました。
午前に仕入れた食品が昼にはほとんど売れてしまったのです。


私はこの有様を見たとき、
震災の教訓が全く生かされていないなと思いました。


あの時も、買いだめをする人間が本当に多くて、一時的な品不足に陥りました。
懐中電灯やラジオに用いる電池や燃料が不要な自転車も買われた記憶があります。


関東圏に住む多くの人が、被災地の人間よりもまず、自分の
食い物の確保を優先したという事実を忘れるべきではありません。



ここ最近、被災地を特集した記事や番組が作られており、
それ自体は作るに越したことはないのですが、
どうもキレイな話にしようとしているような気がして……

本当に反省するならば、私たちがあの時、どう行動したのか、
してしまったのかといったことについて真剣に語らなければならないでしょう。

そこから目を伏せた結果が、先日の買いだめだったのではないかと私は思うのです。


その後も、「絆」という言葉が流行するほど、
東北の復興を支援する動きが活発に行われました。

このブログを読んでいる方の中にも、
義捐金を送った方がいらっしゃるのではないでしょうか?

それ自体は素晴らしいことなのです。そういう行為は称えられるべきです。

しかし、同時に震災直後から福島県産の青果が敬遠されている
という事実もまた直視しなければなりません。


瓦礫(がれき)の受け入れに反対する人間に
反原発派がいることもそう。


週刊金曜日は本誌で反対する記事を書いていましたし、
核廃絶を掲げる原水禁や原水協もそう。

ただ、共産党は広域処理に賛成していたようですが……


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災害がれきをできるだけすみやかに処理することは、
被災地の復興にとって最重要の課題であることは言うまでもありません。


ぼう大ながれき処理を被災地だけで行うことは困難です。

政府が被災地での処理能力を強化することはもちろん、
被災県以外の協力を得て、「広域処理」をすすめることが必要です。

政府は、その方策を責任をもってすすめていくべきです。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-03-18/2012031801_05_1.html
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この件について、

[放射線に対する過度の恐怖から被災地がれきの受け入れに反対するのは、
沖縄に基地負担を押し付けるのと構造的に類似していると考えております。

更に言えば、汚染されたがれきを受け入れるなと言うのは、
被災地の方々は放射線に汚染されてもかまわないと言ってるのと同じだと考えます]

というコメントがありますが、問題の本質を突いた意見だと言えましょう。
(http://d.hatena.ne.jp/vanacoral/20120227)


結局、ありとあらゆる問題を解決していくにあたって、
最後の障害となるのは、人間のエゴイズムなのだと思います。



「自分さえ」「自分達さえ」という考え方が必ず出てくる。
どうしても邪魔してくる。しきりに分断しようとしてくる。

自分たちだけでなく「ほかの人たちのためを思って」行動する。
これこそがこれからの反原発運動に必要なことではないかと思います。

そして、そのためにも、公共の場で犠牲者を偲ぶのも大事ですが、
その一方で、震災直後に起き、その後も継続している
私たちのエゴイズムから目をそむけないこともまた大事なのだとも。