時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

中国には言論の自由が本当にないのか?

2016-08-06 23:56:04 | 中国(反共批判)
中国は共産党が独裁体制を敷いていて、言論の自由がない。
こういう言説は耳にタコができるほど聞かされてきた。

しかるに、これが事実かと問われると実際は、そこまでガチガチに規制されているわけでもない。

北京大学のユ・ビン氏や清華大学のワン・フイ氏の著作を読んでいると、
中国も鄧小平政権以降の市場主義かによって、だいぶ西洋化していることがわかる。

ふるまいよしこ氏の『中国メディア戦争』を読んでも、まぁこの本は多分に要注意な本ではあるが、
それでも、地方の新聞は政府に対してきちんと批判的な記事を書いていることが伺える。

同書は、厳しい情報統制の網の目をかいくぐってと言う風に書かれてはいるものの、
先述のユ・ビン氏やワン・フイ氏のそれを読む限り、中国にも論争をする権利があり、
特にユ・ビン氏に至っては新自由主義的な政策を主張する国内の論者に対して明確な反論を行っている。


私は中国には言論の自由が確立されていると主張しているわけではない。
私が言いたいのは、中国には確かに言論の自由がない。日本やアメリカと同様にと言いたいだけである。


あるいは中国には言論の自由がある。政府にとって致命的な批判を行わない限りはといったところか。


例えば、中国が南シナ海で軍事施設を敷設しようとしている行為に対して
軍事的な挑発と捉え、帝国主義国家中国を印象付けようとする記事が当たり前のように書かれているが、
実はフィリピンやベトナムがそれ以前から同様の行為を行っていたことには誰も触れない。


軍事施設を敷設した→武力をもって南沙諸島を奪略という公式はただちに導けないはずだし、
実際に中国はアメリカを主とした欧米の影響を抜きにして、
ASEAN各国と領土問題について対話による解決を再三主張している。


さらに言えば、フィリピンやベトナムに対して米軍が基地を敷設しようとしている件、
日本が両国と合同軍事演習をしている件、これらの国に武器を輸出する件などは少しも語られない。


中国にしてみれば目と鼻の先で軍事演習がされているわけであり、
それも領土問題とは直接関係のないはずの日米が干渉しているのであるから危機感を抱かないはずがない

しかし、こういう向こう側の恐怖心は完全に無視され、「怖い中国」だけが喧伝される。


先日、私のもとに届いたある学会誌には
中国は経済力、軍事力、ともに世界第二位であり、表面的には華々しいパフォーマンスをしているが、
中国にはクール・チャイナというようおな世界の人々を惹きつける魅力がないと書かれていた。
アメリカには永住する移民が多くいるが、中国に移民しようとする人間がいるだろうかと。
(学会誌の文章である。そのへんの右翼雑誌の文章ではなくて)


その根本的理由は共産党統治下での自由の欠如らしいが、
アメリカにしたところで、ムスリムや黒人はおよそ本当の意味での自由は享受していないのが実情である。


理系の研究者が海外の機関に就職してしまい、人材が育っていないのが大分前から問題視されているが、
それは別に日本よりアメリカのほうが自由があるからではなくて、単純に待遇や設備の問題だろう。


中国への留学生はそれなりにいるけれども、それは何も中国をリスペクトしているわけではなくて、
研究上、向こうの大学で学んだほうが都合がよいからに他ならない。


なんというか、こういう非常に単純な中国に対するビジョンというものが
教授レベルでも当たり前のように共有されていて、こういう人物が語る反戦論や
反自民党論というのがどれほど弱々しいものであるかは容易に想像できるのではないかと思う。



私がそれなりに苦労して得た中国の実情に対する書誌の数々も、
市場全体にあふれている中国バッシングを目的としたそれと比べれば微々たるものでしかない。


それは中国も同じで、ある見解を促す情報は山のようにある一方で、
別視点から語られたものは極端に少ないのだろう。直接行ったわけではないので断言はできないが。

だが、間違っても中国より日本やアメリカのほうが自由があると勘違いしてはいけないと私は思う。
仮にだが、新聞やテレビ番組で北朝鮮や中国の言い分にも一理あると語ることは出来るだろうか?

もちろん、法律上は可能だが、実際の問題として、それをやるマスメディアは存在しているだろうか?
むしろ逆に政府の見解にそって中国の悪印象を強調する記事が大半を占めているのではないか?


どうも私には巷にあふれる中国論は、相対的にアメリカや日本には
自由があると再確認したいという願望が含まれているような気がするのである。

『ありえへん∞世界スペシャル』番組後半で右翼番組と化す

2016-03-08 23:51:01 | 中国(反共批判)
世界で活躍している日本人を紹介したり、
逆に日本に技術を学びに来た外国人に取材する番組が数年前からヒットしている。

一歩間違えれば、単にナショナリズムを煽るだけの内容になるわけだが、
たとえ愛国心を知らず知らずのうちに植えつけるようになったとしても、
この手の番組は「日本人凄い!」というナルシスな主張から一歩外に出ることはなく、
そういう意味では健全なものと呼べるのかもしれない。

むしろ性質が悪いのは、池上彰のニュース解説番組をはじめとした、
「中国間違い!韓国悪い!日本被害者!」と悪感情を煽る番組だろう。



書店に向かえば、中国や韓国の人間を面白おかしく罵倒するヘイト本が並んでいるが、
この手の本がターゲットを右翼に絞っているのに対して、
テレビのヘイト番組はゴールデンタイムに家族を対象に放送されている。


こういうのは一般的にプロパガンダと呼ばれる類のものだ。


今日(2016年3月8日放送)の『ありえへん∞世界スペシャル』は、
この手の番組の危険性を説明するのに、丁度よい教材になるであろう内容だった


番組の途中までは『ペンギンの足は本当は長い』
『みかんは見栄えを良くするためにネットに入れて販売される』といった豆知識が披露されていた。


問題は後半の「間違いメイドインジャパン」である。

世界で売られている面白パチモンを紹介するという内容で、
「パナソニック」ならぬ「パワーソニック」とか「YAMAHA」ならぬ「YEMAHA」など、
これはこれで中々楽しめる内容だったのだが、番組後半から

日本のパクリ製品の半分以上が中国製
という根拠の怪しげな主張が飛び交い始め、その証拠と言わんばかりに
大芬油画村(だいふんゆがむら)を「コピー絵画で生計を立てる村」と紹介していたのだ。


モナリザなどの名画の複製画を描く人間が映された後、
「なぜ、コピー絵画が問題にならないのか」とモデルの佐藤栞里に出題、

「彼らはモナリザが有名な作品であることを知らないから」
という回答がテロップでデカデカと表示されてから、
著作権が切れている作品を扱っていることを伝えるのだが、
この際にも「著作権が切れていることを良いことに」
と、まるで法の目をかいくぐって村ぐるみで贋作を売りさばいているかのように説明し
ダメ押しとばかりに「展示物が全てパクリ絵画で出来た美術館」を映し、VTRが終了した。


大芬油画村とは、実際はどういう村なのだろうか?

以下の文章に目を通して頂きたい。

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中国の香港の向かいの深圳市にある大芬油画村(だいふんゆがむら)を紹介する。

8千人の絵描きがゴッホやモネなどの複製画を年間100万枚生産し、
世界の複製画市場の6割を占める。


大学で美術を学んで、中学で美術教師の経験もある女優の木野花が訪ねる。

モネを複製を手がける張は、
「モネは自然の光と色の微妙な変化を繊細な筆さばきで表現した。模写するのはとても難しい」
と語る。

モネの緑は多彩で、張は絵の具の配合を工夫した。2時間半でモネの複製を描き上がる。
モネの晩年は白内障で絵の彩度が落ちていたので、本物よりも色鮮やかでクリアーに描いた。

張は大芬油画村から500km北にある江西省の農家出身で10年前にここへやってきた。
初めは売れなかったが、故郷の田んぼの睡蓮を思い出しながら、
モネの睡蓮を20枚描いたところ画商に認められた。今は台湾から100枚の注文を受ける。

複製画が著作権を侵害してないかスタッフが見回る。原則として死後50年経ってないといけない。
また画家のサインが書き込まれていると贋作と見なされる。


24年前は大芬油画村は300人ほどが暮らすひなびた農村だったが、
1989年に香港の画商が20人の職人を連れて移住した。

ある時、アメリカから一度に10万枚を超える風景画の大量注文があり、
中国全土から若者を集めて流れ作業で制作した。
若者には構図、色彩、明暗など美術教育を施し、レベルアップを図った。


中国では複製画を描く人は画工、自分のオリジナル作品を描く人を画家と呼ぶ。

画家になるには深圳市の公募展で3回入選する必要がある。大芬油画村に画家は143人いる。
村には画家だけが住める高級マンションがある。

画家の銭鐡石は中国トップクラスの美術大学を卒業後、8年前にこの村にやって来た。
ルノアールなどの複製画を描きながら、わずか1年で画工から画家になった。

絵筆を使わずにペインティングナイフだけで
絵の具を大胆に塗り重ねる独創性にあふれた画風が高く評価され、
香港や台湾の画商の間で1枚10万元(180万円)以上の値で取り引きされている。


公園での太極拳で知り合った陳さんに絵の指導をする。陳は画家志望で風景画を得意とする。
村の目抜き通りに店を構え、すでに公募展に2回入選している。

今回は画風を広げるために人物画に挑戦するが、師匠の銭は厳しい評価を下す。

「画家になるという事は、単にオリジナル作品を描けばいいという意味ではないのだ。
 風景画だろうが人物画だろうがそこに何かメッセージがなければ画家にはなれない。
 あなたが感動していなければ、他の人を感動させられるわけがない。
 創作には信念が必要です。自分が本当に何に感動しているかを描き出す力です」

銀波藝術創意館では動物などのオリジナルの絵画が大量生産されている。
「まねる」と「まなぶ」という言葉は同じ語源、
コピーの村からオリジナルの村への変化しようとしている。

http://blog.livedoor.jp/konnnatv/archives/35249460.html
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絵画の世界において、レプリカを作ることは違法でも何でもなく、
ホテルや飲食店、オフィスのインテリアとして、ごく普通に売買されている。

絵画販売専門店 アートギャラリー南青山


①屋内インテリアとして、絵画のレプリカはごく普通に売買されている。
②著作権の侵害を行っていないかどうか、きちんと管理されている。
③大芬油画村は画家を目指す人間の登竜門になっている。


少なくとも上の3点は確実に説明されていなかった。

客観的に言って、大芬油画村は村全体が美大のようになっている場所で、
画商が先導したというエピソードからもわかるように、この村には世界各地から画商が訪れ、
目当ての絵画を数千枚単位で購入していく。やましいことは何も行っていないのである。


ところが、番組では村人全員がパクリ絵画で生計を立てていると強く印象付けていた。

この特集番組全体が海賊版商品を世界に売りつける中国というテーマだったのだが、
いわゆる海賊版と単に名前が酷似している別製品は全くの別物である。


例えば、ロレックスの時計と称して偽者を売りつけるのであれば、それは違法である。
だが、ロレッケスというメーカーが全く別のデザインの時計を売るのなら話は変わってくる。


出版社にも岩波書店という会社と岩崎書店という紛らわしい名前の会社が存在するが、
仮に岩波文庫の『法の精神』と称して岩崎書店が中身をコピーした本を売るならこれは問題だ。

だが、岩崎書店が岩崎文庫と称して別の訳者に頼み、フォント、字体、装丁、値段を別にして
『法の精神』を売るならば、これは別に問題にならない(『法の精神』は1748年の著作)。


つまり、この番組は複製画のような恥じる必要のないものと
日本のメーカーと名前が激似の企業から売られる商品と
明らかな海賊版を一括りにして「パクリ商品」と呼んでいるのだ。


番組の終わりのほうに海賊版を取り締まる会社が紹介されたあたりから見て、
番組の趣旨としては、中国が偽物を売りつけて金稼ぎをしているという意図があるように見える。


パリの景観を再現したのが売りの新興都市「広廈天都城」を
「エッフェル塔をパクった街」と説明しているあたりからも、そのことは伺える。


(なお、この手のテーマパークの考え方を取り入れた都市は住みにくいのか、
 ゴーストタウンと化している場所も少なくないようである)


以上、ザッと説明したが、この番組、
全体的に中国が世界中で偽物を売りつけているかのように報道しており、
大芬油画村を村人全員が有名絵画をパクっている場所と説明する凄すぎるものだった。


無論、中国でも贋作は製造されているわけで、それはそれで問題なのだが、
そのような啓発というよりは、面白おかしく中国のマイナスイメージを煽り立てて
視聴者の笑いを誘おうとする、より低レベルな目的の下に製作された印象が強い。


こういう番組を一般の家庭が見て中国人の印象を下げるのは、ごく自然の反応だろう。
あわせて池上彰のニュース番組を見れば、保守政党に票を入れること疑いなしだ。

現在、日本の改憲や軍拡、歴史改竄は中国や中国人に対する偏見によって支えられている。

この『ありえへん∞世界スペシャル』は、世にはびこるヘイト本と同質のもの、
つまり、中国に対する蔑視を助長させるものだ。

池上彰のように「中立的意見」と称しながら政府見解をそっくりそのまま伝える男もヤバいが、
今回のように完全な間違いを真実としてCMのように気軽に流すのもまた大いに問題があるだろう。

中国経済は本当に悪化しているのか?(格差問題を基軸に)

2016-01-26 23:59:06 | 中国(反共批判)
中国崩壊論・中国経済崩壊論は歴史を辿れば、1989年から存在する。

黄文雄『大予言 中国崩壊のシナリオを皮切りに』(1989年)
小室 直樹『中国共産党帝国の崩壊―呪われた五千年の末路』(1989年)
滝谷二郎『中国は崩壊する』(1990年)
征木 翔『トウ小平後、中国ビジネス大崩壊がやってくる』(1995年)
宮崎正弘『人民元大崩壊―中国発「世界連鎖恐慌」の衝撃』(1998年)
野口 能孝『中国金融崩壊―見せかけだけの経済成長と隠されている銀行破綻』(2003年)
宮崎 正弘『中国は猛毒を撒きちらして自滅する』(2007年)
三橋 貴明『本当にヤバイ!中国経済』(2008年)

特徴的なのは右翼、それも極右の論者が多いことだが、
別に左翼が正確な知識を持っているかと言うとそのようなことはない。

例えば左翼系週刊誌として有名な週刊金曜日が評価していた近藤大介氏だが、
彼が2013年に書いた『日中再逆転』の紹介文は、こうなっている。

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テロの続発、シャドー・バンキングの破綻、
そして賄賂をなくすとGDPの3割が消失するというほどの汚職拡大……
中国バブルの崩壊は、2014年に必ず起こる!

日本人として、中国の指導者・経営者たちと
最も太いパイプを持つ著者の、25年にわたる取材の集大成!!

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ちなみにこの本の第5章のタイトルは「世界が絶賛する日本経済」
第6章は「中国が日本に勝てない4つの理由」である。


「笑え」と読者に訴えているのだろうか?

こういう人物の講演を左派系のアジア記者クラブが主催するのが現在の日本。


いかに右翼も左翼も中国を舐め切っているかがわかるだろう。


そういうわけなので、私は中国経済の情報は現地のメディアを中心に収集している。
専門家()に言わせれば中国の統計は信用が置けないらしいのだが、
連中こそ20年以上、中国経済について読みを外し続けていて、とてもじゃないが信用出来ない。


(一応、フォローすると中国経済の専門家全員が経済崩壊論を唱えているわけではない。
 むしろ、中国経済の成長力を初期段階から見抜いていた研究者も少なくない。

 単純に、そういう人物の主張をメディアが取り上げないだけにすぎない。
 (これには左翼系の月刊誌や週刊誌、専門雑誌、単行本なども含まれる)


 不思議なことに、論壇にでしゃばってくる左翼や右翼に限って、
 やたらと中国の言論の自由を問題視したがるが、連中こそ少数意見を端から取り上げない)

さて、最近、よく聞くのが中国の上海市場の動きを根拠に中国経済悪化を唱える意見だ。
例えば、立命館大学教授の松尾匡氏は、自分のホームページでこう評価している。

「中国経済がやばすぎで、日本経済に必ず悪影響が出るので、
 護憲派野党はぜひ、みんなが目の玉の飛び出るような大盤振る舞いを掲げて、
 安倍さんに打ち勝って下さい。」

直接、中国株について触れてはいないが、16年1月13日時点で「やばすぎ」と書くほどの
事件といえば、上海株式市場の事件ぐらいしかない。十中八九、間違いなかろう。


では、中国経済は本当に「やばい」のだろうか?結論から言えば、そうとは言い切れない。


というのも、社会の所得の格差を測る指標「ジニ係数」が2015年は0.462となり、
09年以来7年連続で低下し、また03年以降の最低を更新しているからである。



2015年、個人所得の前年比の成長率は名目で8.9%、実質で7.4%だった。
GDP成長率の低下は、個人所得の減少を意味するわけではないのである。


2015年の中国は雇用が全体として安定している。年度末の就業者数は7億7451万人で、
出稼ぎ労働者数は2億7747万人で1.3%増加、その平均月収は3072元で7.2%増加している


このように、全体的に雇用者が増え、一人当たりの給料も上がり、格差が解消されつつある。
ちなみに去年は政府の貧困政策が成功し、農村において7千万人以上が貧困から抜け出した。


7000万といっても、総人口が13億人なのだから大した数ではないが、
経済成長と引き換えに貧富の差が開いていた以前と比べて状態は改善されつつある。

これは中国共産党が実施した大企業CEOの給与制限や
年金制度の一本化、最低賃金の引き上げなどが効果を挙げたものだと思われる。

中国研究者は、このように格差縮小を評価しながら、なお「依然格差は激しい」と主張する。

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だが今なお社会の所得格差は小さくなく、
15年のジニ係数も世界的に認められた警戒ラインの0.4を上回った。

また一連のデータから、今でもほとんどの個人が「所得不足」であることがうかがえる。
西南財経大学の研究報告によれば、15年の世帯平均資産では不動産の占める割合が69.2%と高く、
中国の世帯資産は流動性が極端に低いことがわかる。

国家衛生・計画出産委員会が発表した「中国家庭発展報告2015」によると、
全世帯を所得によって上から下まで並べた時の上位20%の世帯の収入が
下位20%の世帯の収入の19倍になるという。


北京師範大学中国所得分配研究院の李実・執行院長は、
「体制内の要因が世帯所得の不平等さを招く重要な原因だ。
 中国の戸籍制度により出稼ぎ労働者と都市部の労働者は
 所得や社会保障の面で長らく『2種類の制度が併存する状態』に置かれ、
 中国の資本取引や土地取引には本当の意味での市場が形成されず、
 政府が市場に関与する分野もあり、資源産業および一連の自然独占が生じる
 産業と競争相手との間には巨大な所得格差が容易に発生した」と説明する。

http://j.people.com.cn/n3/2016/0120/c94476-9006830.html
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なお、労働政策研究・研修機構はもう少し厳しく評価している。

格差が縮小したといっても、依然、中国のジニ係数は日本よりも高い。

それゆえ、必ずしも手放しに賞賛すべきではないが、
重要なのは中国政府が格差解消に本腰を入れて取り組んでいることであり、
それは「格差上等、非正規拡大、実質賃金低下」の日本経済とは天と地ほどの差がある。

アベノミクス支持者など、非正規雇用者がどれだけ増えようと気にもしていなく、
それどころか「失業よりはマシだ」と主張している有様だ中国のそれと対極的な姿勢である


連中が「やばい」と言っている間に中国は着実に格差問題の解消に向けて
手を打っているわけで、いつのまにか日本のほうが「やばい」状況になるのではないだろうか?

少なくとも、今のように一部左翼が右翼の経済政策に同調して、彼らの走狗となって
左翼のアベノミクス批判を率先して攻撃している状況を見ると、不安になるのである。

台湾選挙が終わって

2016-01-18 22:47:31 | 中国(反共批判)
選挙が終わり3日も経たないうちから民進党は日本との関係を強化する意向を見せた。

蔡英文次期総統、日本との自由貿易協定締結に意欲/台湾

民進党はアメリカ主導のTPPへの参加を公約に掲げている。
ひまわり学生運動は中国との自由貿易協定に抗議する運動だった。
中国とはまっぴらごめんだが、アメリカや日本となら是非ともということなのだろうか?

TPPは協議の時点で大国有利の経済同盟であることが指摘されているし、
単純な経済協定ではなく、軍事同盟にもつながるものだという意見もある。

そういう協定への参加をマニフェストにした政党が圧勝するのを見ると、
台湾社会の右傾化、この国が非道く歪んだ方向へと進んでいるような印象を受けるのだが。

週刊東洋経済によると、学生運動家の多くは自由貿易そのものに懐疑的らしい。
とはいえ、時代力量(運動家達が結党した政党)が民進党と選挙で協力し合ったということは、
自由貿易に反対といっても、中国に対するそれほど激しい怒りを覚えてはいないようである。

民進党は元々は文字通りの民主化運動家たちが立ち上げた政党で、初期メンバーはいずれも
政府に抗議するなり何なりして逮捕あるいはそれに近い弾圧を受けていた。

それが今では新旧宗主国に恭順し、植民地時代への回帰を望んでいるわけだから
随分と様変わりしたなと思うと同時に、元々そういう要素はあったのかもしれないとも感じる。

今回の選挙では蒋介石のひ孫も当選したらしい。
蒋介石といえば、台湾に逃れてきた後に元々住んでいた台湾人を虐殺し(二・二八事件)、
その後、アメリカや日本の庇護を受けながら専制政治を行った人物だ。

そういう人物のひ孫が選挙で勝つというのは、
パク・チョン・ヒの娘が韓国大統領に当選するのと同じくらいの無気味さを感じる。

ひまわり学生運動に参加していた連中は、今回の選挙をどう評価しているのだろう?

民進党の圧勝など世も末だと憤りを覚えているならばともかく、
国民党を倒せたことに満足して、民主主義の勝利だと浮かれていたら大いに問題がある。

台湾総統選挙、蔡英文の勝利~台湾は本当に民主化するのか?~

2016-01-16 23:26:15 | 中国(反共批判)

(台湾「左派」政党、民進党首席 蔡英文(さいえいぶん)※♀)

2014年春のひまわり学生運動は右翼・左翼関係なく日本では「民主化運動」と理解されている。
今回の民進党の勝利は台湾の「民主化」のメルクマークとして大手メディアは絶賛するだろう。

しかし、本当に台湾は民主化しているのだろうか?


まず、民進党と言う政党は植民地時代、宗主国である日本に協力した台湾人の末裔を
基盤とする政党で、彼らの先祖の多くは地主・商家などの地方有力者だった。蔡も旧家の出身で、
アメリカのコーネル大学、イギリスのロンドン・スクール・オブエコノミクスに留学した国際人だ。

国際人と言えば聞こえは良いが、どこの植民地国もそうだが、
要は宗主国の大学に留学し、現地のエリートから洗礼を受けて帰国し、
本国で支配する側として君臨する、つまり典型的な傀儡政治家
の一人であり、
実際、蔡は今回の選挙以前からアメリカや日本に向かい現地の政治家から歓待を受けている。

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台湾という名の「てこ」、米国にとっては未だ活用効果あり


蔡 英文氏は、台湾の大統領候補としては
史上初めて、米国務省の建物内で直接に米外交官らと会談を行った。

しかも、この会談を直々に執り行ったのは、
ジョン・ケリー国務長官に次ぐナンバー2の人物であるトニー・ブリンケン国務副長官だった。

中国が、来年1月に予定されている台湾大統領選挙で
中国国民党への支持に傾いていることを考慮すると、野党、民主進歩党の蔡英文氏の受け入れが
これ見よがしに高いレベルで実施されたのは、米国側からの政治的歩みだと捉えることができる。

というのも、蔡英文氏が主席を務める民主進歩党は中国との余計な急接近には反対する立場を
とっていることから、米国は台湾と中国の国益が固く一致することにはあまり関心を抱いていない。

米国は、台湾問題を長期にわたって
未解決に維持する現状維持をよしとしている。


米国側にとってはこれは、
近い将来、米国は台湾の安全の保証人の立場を演じ続けることを意味する。


中国抑止の可能性が低まったことに関連し、
米国は台湾の軍事的要求を満たしている自らの役割を強調しようとしている。

まさにこの要因から米台湾の軍人らの間の軍事コンタクトの拡大が図られているのだ。

2014年末に米国のペリー級フリゲート艦4隻、3億7千ドルの米国への供給が承認された。
2015年は米台湾の合同演習、合同トレーニングがいくつか予定されており、この中には台湾で
「心理作戦および情報戦争」に取り組む米軍部隊のラインでも同様の演習、トレーニングが行われる。

双方の関係にとってはかなり稀有なアプローチとなったのは、
ハリー・ハリス海軍大将が米軍太平洋司令官に就任するセレモニーの席に、
台湾の 厳徳友(ヤン・ゼフ)参謀本部長が参列していたことだ。

それまでは米国マスコミ報道にもあったように、台湾の軍人の代表は
ハワイでの海軍パラシュート作戦を記念したシンポジウムに参加したことはあった。

シンポジウムは太平洋司令部によって行われていたが、
今までは台湾の代表がこうした類の行事に参加したことは吹聴されてはこなかった。

仮に台湾向けの米国の軍事供給量が
以前より少なくなるとしても、やはり重要な象徴的な意味は持ち続ける。

こうした努力を受け取るのは中国や台湾のみならず、この地域における米国の連合国も同じだ。
南シナ海の状況が緊張化することを背景に、米国は台湾関係においては
路線維持にますます大きなアクセントを置いており、まさにこれによって
アジア太平洋地域における米国の連合国らに重要なシグナルが送られている。

米国の地域安全保障を維持する能力に対して疑問が高まるなかで、
連合国らには米国が「自分たちを捨てることはない」との確信を抱かせねばならない。

こうした場面で台湾は長年にわたる米国との軍事関係もあって、
目立った例として使うには好都合なのである。

http://jp.sputniknews.com/opinion/20150618/467327.html
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こういう記事もある。

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野党・民進党の候補者であるにもかかわらず、
蔡英文に対するアメリカの待遇は、驚くべきものだった。


マケイン上院軍事委員会委員長をはじめ、
メディロス国家安全保障会議アジア上級部長、ブリンケン国務省副長官ら、
錚々たるメンバーと会見し、多国間軍事演習への台湾の参加を促す意向まで示された。

蔡英文女史の顔が米『タイム』誌の表紙を飾るほどの反響を呼んだことは記憶に新しい。

そして、日本でも、安倍首相の実弟・岸信夫衆院議員の案内で、地元・山口を訪問し、帰京後、
自民党幹部と会談し、さらに安倍首相本人とも「密会」するなど、日本からも破格の厚遇を受けた。

蔡英文女史は、アメリカと日本のお墨付きをもらうことに成功したと言えるだろう。
これは、李登輝・元総統と、許世楷・元駐日代表という二人の大物の戦略が大いに関係している。

「民進党への“不安感”さえ減らせば、勝利は疑いない」という確固たる戦略によるものである。
 そして、それは見事に成功した。

中国の強引な“力による現状変更”に対抗するには、
アメリカ、日本、台湾が力を合わせるしかない。言いかえれば、

東アジアの安定のためには、「アメリカ―日本―台湾」の強固な結びつきが必須なのだ。

http://blogos.com/article/138627/
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はじめの記事はスプートニク紙、二番目の記事は極右の門田隆将氏の記事から引用した。
特に二番目の記事はお勧めで、日本の右翼から見ても蔡の訪米・訪日は
親分であるアメリカ人と日本人に挨拶に行ったものだと見える
わけだ。



両記事が示すとおり、蔡が率いる民進党は、
アメリカとの軍事・経済的結びつきを強めようとしている。


韓国は戦後、第二の主人であるアメリカに仕え続け、現与党セヌリ党は
北朝鮮の脅威を口実に日本やアメリカとの軍事同盟を強化しようとしているが、
民進党も同様に、中国の脅威を口実に日本やアメリカとの関係強化に努めようとしている。

その代償として失うものは大きい。

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台湾最大野党の蔡主席「TPPの理解深めたい」 訪日の狙い

来年1月の台湾総統選挙に出馬する最大野党・民進党の蔡英文主席は
1日の日本メディアとの懇談で、6~9日の訪日の主な狙いについて
「日本の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の経験を深く理解したい」と語った。

民進党は8年ぶりの政権奪回を視野に入れており、
蔡氏は主要政策の一つとしてTPPへの早期加入を掲げている。


http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM01H6Y_R01C15A0FF2000/
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極端な関税撤廃、自由貿易システムであるTPPには
日本でも農業関係者をはじめとして反対者が多い。



一言で言えば、これは新自由主義の一環であり、大国が弱国を支配する一つのスタイルだ。
2013年3月で安倍晋三は次のように述べている。


TPPの意義は、我が国への経済効果だけにとどまりません。
 日本が同盟国である米国とともに、新しい経済圏を作ります。

 そして、自由、民主主義、基本的人権、法の支配と言った普遍的価値を共有する国々とともに、
 アジア太平洋地域における新たなルールを作り上げていくことは、
 日本の国益となるだけではなくて、必ずや世界に繁栄をもたらすものと確信をしております。

 さらに、共通の経済秩序の下に、こうした国々の経済的な相互依存関係を深めていくことは
 我が国の安全保障にとっても、また、アジア・太平洋地域の安定にも大きく寄与することは
 間違いありません


横浜国立大学名誉教授の萩原伸次郎氏は、安倍政権がTPPを推進させる狙いは、
アジア圏に日米の多国籍企業を進出させることにあり、その副産物として
海外で活動する自国民の安全を保障するために、日米の軍拡、進出が生まれると指摘する。

現段階でもジェネリック医薬品を巡る対立が大国と弱国との間にあり、
アメリカは自国の製薬会社に独占的な販売期間を与えるために12年間の特許期間を主張したが、
安価なジェネリック医薬品の製造が困難になるため、マレーシアなどは5年を強く求めた。

現段階では少なくとも8年となっているが、今後どうなるかはまだハッキリしない。

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マレーシアの人権活動家が、TPP・環太平洋パートナーシップ協定は、中国の経済成長を阻止し、
東南アジアにおけるアメリカの覇権拡大を阻止するための努力だ
としました。

イルナー通信によりますと、マレーシアの人権活動家が、サンデイリー紙の記事の中で、
TPPに反対する第一の理由は、アメリカによる各国の制限と東南アジア地域への
アメリカの覇権だとし、「この経済協定はアメリカの資本主義体制にとって重要であり、
それによって地域と中国の貿易関係の拡大を監視しようとしている
」としました。

この報告によりますと、マレーシアの中小企業へのマイナスの影響を、
この協定に反対する別の理由だとしました。

この報告によりますと、マレーシアの中小企業のおよそ38%が政府系機関の所有であり、
62%が独立系の企業だということです。

この人権活動家は、3つ目の反対の理由として、「民主化と人権の侵害」を挙げ、
この協定は民主主義と人権の点から、加盟国にとって良いものとは思えない、としました。

ノーベル経済学賞の受賞者ジョセフ・E・スティグリッツや
ノーム・チョムスキーといった世界的に著名な学者らも、TPPに反対しています。

東南アジアからはマレーシア、ブルネイ、ベトナムがTPPに加盟しており、
インドネシア、タイ、フィリピンが加盟の意向を示しています。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/61550
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TPPは別に強制ではないのだが、輸出産業に依存する国にとっては魅力的なわけで、
過度の自由化による経済格差や貧困の拡大も気にせず、輸出産業の発展を望む国も少なくない。

また、TPP参加国の多くが中国と南シナ海の諸島を巡って領土問題を抱えているように、
この経済協定は政治的・軍事的なものでもあることは先に述べたとおりである。


「USA!USA!」

韓国が日米韓の軍事同盟を強めるために、アメリカに発破をかけられながら
慰安婦本人や支援団体が強く否定する安易な解決を強行したように、
民進党も歴史問題について妥協する可能性が高い。


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台湾、他国に先駆け日本軍における
性奴隷を志願によるものと認める可能性あり



台湾教育省が先月27日、歴史の授業における第二次世界大戦および
中華民国政府の政権掌握に先立つ日本による統治の時期の教育方針を見直す
計画を示したことに対し、地元学生らが抗議デモを行った。


教育計画の見直しは一部台湾市民に「統一中国」という理念を推進する
「国民党の画策」と受け止められ
、蔡英文・民主進歩党党首らが抗議行動を組織した。

民主進歩党支持者の多数が日本による統治期、日本を支持し、日本から恩典を受けていた。
そうした人々は、通例、農民や大陸中国からの移住者と異なり
当時中国政府が行っていた土地再分配政策で損をする地主や商家だった。

現在民主進歩党は教育・外交政策で強い疑問を呼んでいる。
抗議行動で授業計画の見直しが停止すれば、台湾は事実上、第二次世界大戦時の
日本軍における性奴隷制が志願制であったことを認めるようなものだからである。

「日本軍で強制的に性的奴隷として働かされたお婆さんたちが可哀想だ。
 もし学生たちの抗議がこの奴隷制を志願制だったと認めることを目指すものなのだとしたら、
 そんな人たちを台湾人と認めることが恥ずかしい」。ある住人の言葉をCNNが伝えた。

3週間前ネット上に匿名の証言があった。
民主進歩党と教育計画見直し反対抗議デモを支持する
生徒一人一人が財政的な支援を受けている、との証言だ。

「息子よ、帰って来ておくれ!蔡英文のビッグ・ゲームにおける
 歩兵などに息子がなってしまうのではないかと恐れている。
 どうしてあの女自身が抗議に行かないのだ?!」
と自分の子供たちを守りたい生徒の母の言葉をCNNは伝えている。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/asia/20150812/731369.html#ixzz3xQQ62QsC
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日本軍の犯罪を書くとはけしからん!中国的だ!という
どこかの国Jのネトウヨと似たような思考回路


慰安婦問題については国民党はかなり力を入れて取り組んでおり、
去年の12月には国が出資した資料館もオープンしている。

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<台湾の教科書問題>与党立法委員、「脱皇民化」訴え

日本の学習指導要領にあたる「課程綱要」の改定をめぐる問題。
与党・国民党の蔡正元立法委員(国会議員)は1日、会員制交流サイト上で
「(日本的な)皇民化の概念を取り払うべきだ」と発言し、反対派を牽制した。

蔡氏は李登輝元総統や陳水扁前総統らが
「台湾化」の名を借りて台湾史を「皇民化させた」と指摘。
改定は「大きな意義がある」とした上で、正しさを取り戻すものだとした。

また、台湾大学歴史学科の教授2人を名指して批判。
「厚顔無恥の皇民をごみだめに捨ててやる」と語った。

http://japan.cna.com.tw/search/201508020003.aspx?q=%E6%85%B0%E5%AE%89%E5%A9%A6

馬総統、日本の台湾統治を植民統治と強調 「安倍首相の謝罪が証拠」

馬英九総統は25日、「日本の台湾統治は植民統治であり、安倍晋三首相が先月行った謝罪が
何よりの証拠だ」と語り、加害者が謝っているのに、被害者がこれを隠し、
美化するのは国際社会から日本に媚びる行為として捉えられかねないと述べた。

馬総統は、台湾は日本の植民地だったが、
反侵略、反植民地主義の辛い戦いである抗日戦争には参加していたと指摘。

また、台湾の抗日は中国大陸より早く始まっており、1895年の乙未戦争(台湾平定作戦)から
1915(大正4)年の西来庵事件までの約20年間に多数の死者が出たとした。

この日、教育関係者などに対し、中華民国の総統として、
国家と国民に関する重要な歴史を正しい方法で後世へ伝える責任があると語った馬総統。

慰安婦問題については、国連人権委員会や台湾の研究機関などが行った調査から、
日本政府が女性らを強制的に連行し、慰安婦にしていたのは明らかだと強調した。

http://japan.cna.com.tw/search/201509260008.aspx?q=%E6%85%B0%E5%AE%89%E5%A9%A6

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そもそも、蔡英文は、あの李登輝(日本の極右と懇意の仲であり、
「日本の植民地支配は正しかった」と主張している政治家)からの覚えがめでたく、
「台湾は日本に統治された期間があり、日本が台湾を統治した期間について一定の評価がある。
 つまり、日本人には誤りもあったが、台湾に対する貢献もあった」と述べているような人物だ。

2015年の8月には李登輝元総統を擁護する態度も見せている。


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李登輝元総統が日本の月刊誌で、「台湾が日本と戦った(抗日)という事実はない」、
第2次大戦では兄と共に「日本人として祖国のために戦った」などと主張し、
与党・国民党などから批判が出ていることについて、野党・民進党の主席(党首)で
総統候補の蔡英文氏は21日、李氏の意見は過去の出来事に対する個人の経験であり、
「我々はお互いを受け入れる態度を持つべきだ」と訴えた。

蔡氏は、台湾には、歴史について異なる記憶や解釈があると指摘。
その上で、台湾の人々にとっての最大の悲劇は、過去数百年の間、
自分たちの運命を自分たちで決められなかったことだと述べた。

李氏の主張をめぐっては、馬英九総統が20日、「台湾を売り国民を辱めた」として
撤回と謝罪を求めているほか、国民党の総統候補の洪秀柱氏も同日、
李氏を恩義を忘れ義理に背いた「老いぼれ」「彼は日本人」などと強く批判した。

http://japan.cna.com.tw/news/apol/201508210009.aspx
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馬英九は、李登輝が日本の月刊誌への寄稿の中で
「台湾が日本と戦った(抗日)という事実はない」などと主張していることについて
「台湾を売り国民を辱めた」と厳しく批判し、発言の撤回と謝罪を求めている。
(参照元)

対して民進党は「そういう見方もある」「お互いを受け入れるべき」と語っているが、
同政党を支持する在日台湾同郷会の次のメッセージを読めば、その真意はお察しだろう。


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安倍総理の靖国神社参拝を支持する声明


靖国神社に多くの台湾人英霊が安らかに眠っています。
彼らは、70年前南方前線に赴き、日本人戦友とジャングルに、
河に、海岸に、山岳にともに戦って血を流し、遂に戦場に散った勇敢な戦士であります。
彼らが流した尊い血は我々の心を震えさせる日本と台湾の絆の永遠に消えない証であります。


去年12月月26日、台湾人英霊がかつての戦友の英霊とともに
安倍総理の参拝を受けられたことに我々は感動し、感謝の念を禁じえません。

しかし案の定、朝鮮と中国は安倍総理の参拝を理不尽に非難してきた。
傲慢かつ幼稚で偽善に満ちた罵りに我々は強く憤りを覚えます。

日本人の心の深奥にある清らかなる生死観に基づいた靖国神社参拝を歪曲し、
侮辱することに怒りを抑えきれません。
また日本人の独特な宗教観に無理解、不勉強のアメリカ政府に失望せざるを得ません。

我々は安倍総理に決して少数国家からの不義の圧力に屈せずに、
日本を尊敬される美しい国に導いてくれるよう靖国神社の参拝を引き続き
行われるよう心から支持し、願っています。

日本台湾医師連合
日本台医人協会
在日台湾同郷会
在日台湾婦女会
台湾の声

平成26年1月29日

http://taioan.web.fc2.com/a/20140129.htm
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安倍が2013年12月に靖国に参拝した直後の声明文だ。
こういう連中に支持されているのが蔡英文。

中国的だとして日本軍の犯罪を強調する教科書を非難したのは偶然ではないのである。

馬総統は「慰安婦問題は解決済み」とする李元総統の言葉に対して、
「問題はまだ終わっていない。これ以上慰安婦を傷つけてほしくない」と反論した。
「そういう見方もある」「植民地支配には良い面もある」と説く蔡英文とは対照的である。

非民主的政党であるはずの国民党党首が慰安婦問題で被害者側に立ち、
民主的政党であるはずの民進党党首が同問題で加害者との「和解」を望む。この矛盾よ。

彼女のスポンサーのアメリカは慰安婦問題については早期の解決、その後の同盟強化を望んでいる。
台湾市民の多くも慰安婦問題に関しては民進党いわく親中(笑)的な態度を取っている。

そのことを察してか、
さすがに蔡英文もその後、態度を変え、慰安婦に同情しているポーズを見せているが、
彼女がパククネ式の解決方法(※)を今後目論むのは容易に想像できることである。
(※形ばかりの謝罪と金銭による「解決」)

「蔡主席、反教科書改訂運動の時あなたはなぜ声を上げなかった、
 今になってやっとFacebookに文をupしたのは、婦人票のためか? 
 あなたの党が施政している県市で使っている改訂前の教科書では
 慰安婦の部分はどう対応しているのか?」

「反教科書改訂運動の学生が強制的に慰安婦にさせられたという意見に、
 『証拠はあるのか?』と反論したが、蔡英文が学生に指図して言わせたのか?」

等々の嫌味を言われていたのだが、こういう人物が総統になった意味を考えて欲しい。


蔡「右翼も左翼も皆なかよくアメリカの手下になろうぜ!」

問題は、今回の選挙で「ひまわり学生運動」系列の人間が
民進党と協力関係にあったということである。


私は民進党ほど反共親米が露骨な政党はないと思うのだが、
中国との関係改善、日本との対決を望む国民党に勝たせないために、今回、
両者は同盟を組み、民進党は立法院選の自党空白区では新政党「時代力量」の支援に回っていた。

先述の在日台湾同郷会も時代力量やひまわり学生運動を強く支持している。
逆に学生運動家たちは民進党と対決姿勢をとろうとはしない。
政策も民進党とあまり差がないため「民進党との違いがわからない」という批判を受けていた。

民主化運動として評価されるひまわり学生運動だが、
実際には、「民主化」というよりも「反中国」が同運動の原動力であり、
その本質は民主化と言うよりは保護国化(日米に庇護される存在となること)である。


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【新唐人2014年10月02日】10月1日の夜、台北市の自由広場では
およそ4千人が集会を開き、香港の平和的な民主化デモに声援を送りました。

ひまわり学生運動のリーダー、林飛帆(りんひはん)さんが先頭に立ち、
「天は中共を滅ぼす」と、ローガンを叫びました。

ひまわり学生運動リーダー 林飛帆さん

「皆さん、 一緒にスローガンを叫びましょう。
『天滅中共』(天は中共を滅ぼす)。

我々が望むのは香港の皆さんと一緒に、
 東アジアの中国の周辺国と一緒に、
 対中共聯合戦線を作る事です。
いかがですか」

「すばらしい!」


ひまわり学生運動リーダー 陳為廷さん

「我々が目にしている香港の状況は、今年3月に我々が経験したことです。
 当局は正面から向き合わず、引き延ばし作戦を行っています。
 これが典型的な689(国民党)の引き延ばし戦術です」

香港の民主化デモを支持する台湾の人々が、
ロックバンド、BEYOND(ビヨンド)の「海濶天空」(遥かなる夢に)を合唱し、
香港にエールを送りました。

新唐人テレビがお伝えしました。 

http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2014/10/01/a1142850.html (中国語)
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「周辺諸国」とは間違いなく日本とアメリカ、フィリピンであろう。

台湾は冷戦期、中国共産党が統治する中華人民共和国に対抗する手駒として
アメリカや日本の保守派政治家と親しくしてきた歴史がある。

この関係は1972年に日中、米中の関係が改善されると共に終わりを告げるのだが、
以降も中国と台湾との対立、中国に対する台湾人の反感・敵意は一貫して存在し続けてきた。


「台湾が中国の一部にならないで」議場占拠1年 
 中台接近に歯止め、「第三勢力」台頭はならず


なお、「天(神)は中共(中国共産党)を滅ぼす」を合言葉にしようと呼びかける
学生運動のリーダー、林飛帆氏も中国に対する嫌悪感が民進党圧勝の背景だと考えている。

「中国への嫌悪感」が台湾民進党圧勝の背景 台湾学生運動のリーダー・林飛帆氏に聞く

今、台湾で吹き荒れているのは民主化ではなく、再植民地化の風だろう。

日本の知識人の多くは民進党や学生運動家を進歩派と語るが、
歴史的に見れば、蒋介石時代の反共・親米親日路線に逆戻りしている。

民進党の党首および同政党は歴史的には確かに台湾の内政を民主化させようとしてきたが、
国際政治の視点から見れば、過去の植民地時代への回帰を目指しているのである。

植民地時代に甘い蜜を吸っていた連中の子孫が昔を偲び、元宗主国の日本や
新宗主国のアメリカとの関係を密にしようとしていることは別におかしなことではない。

植民地経営というものは現地の有力者と本国の有力者が協力して統治・開発に臨むものだ。
日本で言えば、親米保守の立場に近い。TPPの締結、アメリカとの軍事的協力関係の強化。
日本の自民党と何ら変わらないではないか。

このような輩に対して、反共であるがために簡単に協力関係を結んでしまう時代力量や
元ひまわり学生運動のメンバーたちは大いに問題があるだろう。
(それは彼ら学生に限らず、民進党支持者全般にも言えることだが)


「民進(民主進歩)」とは「自民(自由民主)」なみに胡散臭い言葉である。
民主化といいながら、その実、アメリカ化を目指しているだけとなってはどうしようもない。
今回の台湾選挙で民進党が勝利した背景には馬政権時の中国との接近と経済の低迷が挙げられる。
そういう意味では民進党も時代力量も民衆の絶対的な支持を受けたというよりも、
現政権に対する抗議の意味合いが大きい(日本の民主党政権誕生の時と事情が似通っている)

しかし、よくよく考えれば、80年代までは真の意味で国の民主化を目指していたはずの政党が、
ここまで露骨な新自由主義の支持を掲げるようになったというのは凄まじいことである。

「天は中共を滅ぼす」という言葉によく表れているように、台湾もまた日本と同様、
 冷戦期から反共というイデオロギーを維持したまま現在に至り、
 歪んだナショナリズムとなって民主化を属国化にすり替えさせている。

このような事態を軽視して民主化勢力の勝利と浮かれてはいけないのだろう。多分。

台湾、南シナ海における米中の対立に苦言

2015-10-31 23:20:03 | 中国(反共批判)
最近、南シナ海における領土紛争に関して、「みんなの海を私物化する中国」を
「世界の警察アメリカ」が諌めるという説明をする人間をチラホラと見かける。

冷静に考えれば、自国の領土と主張する国は中国以外にも多くあるわけで、
別に中国だけが異常というわけでもない。

例えば、台湾は南沙(スプラトリー)諸島、西沙(パラセル)諸島、
長沙(マクレスフィールド)諸島および東沙(プラタス)諸島を自国の領土だと主張している。


欲張りすぎじゃない?


この台湾が最近、中国とアメリカの衝突に対して自制を促してきた。
非常に良い判断&提言だったと思う。

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今日、米国は南シナ海で日本と合同海上演習を開始した

これには原子力空母「セオドラ・ルーズベルト」と駆逐艦「冬月(ふゆつき)」が参加している。
これより前、日中には米ミサイル駆逐艦「ラッセン」が南シナ海の
スプラトリー諸島にある暗礁のひとつの12海里水域にこれ見よがしに侵入した。
この暗礁の上に中国は滑走路を備えた人工島を建設している。

中国はこれに厳しい態度で応じた。中国共産党中央委員会の機関紙「環球時報」は、
「米国のあつかましさを前にして中国は作戦的に反応し、最悪の事態に備えねばならない」、
「中国は米国との戦争を恐れない」という文言が踊った。

モスクワ国際関係大学、国際調査研究所の上級研究員、
アンドレイ・イヴァノフ氏はその戦争を今、台湾が食い止めようとしているとして
次のように語っている。


「中華民国(台湾)外務省はプレスリリースを普及させた。
 その第2項、第3項には領土論争の全ての当事者に対し、
 最終的に南シナ海を『平和と協力の海』に変えるため賢明さと
 自制心を発揮するよう呼びかけが書かれている
。だが少なからず重要なのは第1項だ。

そこには台湾は
『歴史、地理または国際法の観点から
 南沙(スプラトリー)諸島、西沙(パラセル)諸島、
 長沙(マクレスフィールド)諸島および東沙(プラタス)諸島は
 その周辺の水域も同様、中華民国の固有の領土および領海の一部である。

 中華民国は国際法に準じてこれらの島およびその領海に対する
 あらゆる規則を保持しているいる以上、中華民国政府は
 これらの主権に対するいかなる要求も、それらが他の国によって占領されることも、
 その理由や領土要求ないしは占領の際に用いられるやり方の如何によらず認めない』
とある。

南シナ海の係争領域に対する中国の権利を確証する
歴史、地理上の理由を語るにあたって、台湾はいわゆる九段線を指している。
これは1947年、蒋介石政府がこの地域の地図にひいた線だ。

蒋介石と彼の率いる中国は抗日戦争で米国の同盟国であったため、
米国は感謝の印に蒋介石に19世紀末から1945年まで
日本の掌握下にあった領土の一部を渡す構えだった。


たとえば釣魚諸島(尖閣諸島)もその一部だ。


ところが1949年、中国の領域で共産党政権が樹立してしまうと、
中華民国は台湾のサイズまで縮められてしまう。

その台湾に蒋介石行政府は毛沢東の軍を逃れて移ってきた。米国は釣魚諸島を、
アジアにおける共産主義を抑制する忠実な連合国となってくれた日本人に渡した。

その後蒋介石に続いて中国共産党も釣魚諸島、
沖縄、南シナ海における無数の島々、群島の領有権を主張し始めたが、
米国は当然のことながらそうした要求を支持しようとはしなかった。

それは米国が国際法を遵守していたからでは全くなく、
中国は米国では敵視されていたからだった。


1970年代の初め、ソ連抑止を土台に米中が接近した時でさえ、
米国人が政治的に中国に最大限行ったことは、中国の共産党政権を中国で唯一の合法政府と認め、
台湾に国連から「出るようお願い」し、中国をそこへ通したことだった。

だが今、米中間のライバル関係が緊張化する中、
米国が中国に与えようとする贈り物はない。その代りに台湾が贈り物を運び、
全世界に係争諸島に対する中華民族からの要求を思い起こさせたのだ。

ところで台湾がこの状況に介入してきたのは不思議に思われるかもしれないが、
この状況の熱を冷まそうとしてのことだ。

なぜなら今、ここは中国だけの問題ではないからだ。
それにもし、仮に中国があいまいではない米国の脅威におののき、
人工島の建設作業をたたんでしまったとしても、
南シナ海の係争領土問題はどこにも消えてはなくならない。

この問題は南シナ海に接する、あらゆる国が台湾のいうように
「平和と協力の海」とするため尽力し、解決せざるを得ない。


このため米国の原子力空母も日本の駆逐艦もこのプロセスを阻害するだけになってしまう。


続きを読む http://jp.sputniknews.com/opinion/20151030/1095890.html#ixzz3q9ZzhDwI

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勝手に島を作ったという意識が半ば常識となっているが、
中国は各国政府に二国間で対話して問題を解決しましょうと訴えている。

つまり、少なくとも中国には対話の意思がある(これは日本に対してもそう)のだが、
アメリカは問答無用で軍艦を運航させて威嚇しており、かなり強硬的な姿勢を見せている。

今回の日米合同軍事演習も北朝鮮に対するそれと同様に、
中国に対する挑発行為だろう。それゆえに中国も抗議している。




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外交部の陸慷報道官は28日の定例記者会見で
「われわれはすでに一度ならず述べているが、
 中国は南沙(英語名スプラトリー)諸島及びその周辺海域に対して
 争う余地のない主権を有する。米軍艦が関係島・礁周辺海域に勝手に進入したことは、
 中国の主権と安全を深刻に脅かし、島・礁の人員と施設の安全に危害を及ぼすものであり、
 中国に対する重大な政治的挑発だ」と表明した。

――米国の軍艦が27日、南沙諸島渚碧(スービ)礁の12カイリに進入した。
  中国側はそれでも対話による中米間の問題解決を堅持するか。

中国側は一貫して、米国を含む他国との溝を対話を通じて解決することを主張している。
中米間について言えば、中米両国首脳は先月ワシントンで行った会談で、
両国間の問題を建設的な対話と協議によって適切に解決するという
重要な共通認識に達したばかりだ。
だが率直に言って、
これは中国側のみにかかっているのではなく、米側も同じ方向に向かう必要がある。

http://j.people.com.cn/n/2015/1029/c94474-8968613.html


南中国海海域には広大な国際航路があり、世界各国の商船多数が
 毎日南中国海を往来しており、航行の自由はいかなる妨害も受けていない。


 米側が広大な国際航路ではなく、わざわざ回り道をして
 中国側の駐屯する島・礁沿岸海域に進入して武力を誇示するのは、
 国際法における『航行の自由』の濫用だ。

 国家の主権と安全を守る中国軍の意志は揺るぎないものだ。
 われわれは必要なあらゆる措置を講じて自らの安全を守る」

http://j.people.com.cn/n/2015/1028/c94474-8968076.html
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係争中の土地に人工島なんて作るなよという話だが、
それでも中国や台湾が述べるように軍事的威圧は逆効果に終わるだけだ。

私は日本が本格的に軍拡に着手すれば、いずれアメリカ同様の
ミサイルと札束で他国を脅すヤクザのような国になると考えているが、
そういう態度は相手国をイラつかせるだけで何の意味もない。

オバマ政権は自国の海軍を早々に撤退させ、
習・馬政権をはじめとする関係諸国と対話するべきだ。


・追記

ただし、中国の主張(南シナ海の諸島が自国領だという主張)に賛同しているわけではない。
抗議している国がある以上、中国は中国で関係諸国の首脳らと早々に対談し、
その結果が出るまで島の開発は自粛すべきだろう。


中国、一人っ子政策の「全面」撤廃政策について

2015-10-31 22:40:40 | 中国(反共批判)
何を今更という話だったりする。


テレビのニュース番組をいくつか見る限り、
一人っ子政策の「全面」撤廃と正しく表現する局はなかった。


実のところ、中国では二年前から
単独二孩(夫婦のいずれか一人っ子の場合、2人目の出産を認める)
という政策が導入されている。

人民網によれば、2人目を産もうとする家庭は全体の25(24.9)%を占める。意外と少ない。


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中国青年報社会調査センターは先週、世論調査の民意中国網と
マーケティングリサーチの北京益派市場咨詢有限公司(益派諮訊)を通じて、
全国の住民2052人を対象とした調査を行った。

調査から、「単独二孩」の申請条件を満たす調査対象者のうち、
実際に申請を行った人は24.9%にとどまったことが明らかになった。中国青年報が伝えた。

「申請しなかった理由」のトップは、「養育費が高すぎる(58.1%)」で、
「育てるのに膨大な時間がかかる(36.5%)」がこれに続いた。

第3位以下には、「子供は一人で十分(32.3%)」、
「育児観が変わり、多くの子供を望む人が減った(29.0%)」
「急ぐ必要はない。十分に考える時間をとるべき(28.8%)」
「申請手続きが煩雑(23.4%)」「住宅が狭い(23.0%)」
「仕事による制約がある(22.4%)」「女性側の負担が大きすぎる(15.1%)」などが挙がった。


北京市人口研究所の馬小紅署長は、
「『単独二孩』の申請者が少ない状況は、それほど不思議でもない。
  というのも、数年続けて北京で行われたサンプリング調査によると、
 『2人目が欲しい』と希望する人の割合は、ずっと25%前後だったからだ。

 多くの人が二人目を生みたがらない理由は、
 経済的コスト、教育コスト、時間的コストなど、数え上げればきりがない」と指摘した。

http://j.people.com.cn/n/2015/1030/c94475-8969298.html
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結果の詳細は明らかではないが、恐らく開発が進んでいない内陸部では
低所得者を中心に、今後、多産が増えていくのではないかと思う。


一般的な傾向として、もともと教育に出費する余裕がない家庭は、
子どもを多く産み、義務教育を修了してまもなく労働に従事させる。

特に農家の場合、子どもが多ければ多いほど家の手伝いをさせることが出来る。
結果的に児童労働者や退学者が増えるデメリットが出来るが、
多産は工夫次第で農業労働者に大きな利益を与えることが可能になる。


2012年時点で中国の農業就業人口は約2億6000万人。
大体、中国人の6人に1人は農家だということになる。

今回の一人っ子政策の全面解禁は、彼ら農業従事者を主な受益者と想定してはいないか?
と邪推してみたりする。

中国経済は本当に衰えているのか?

2015-10-22 21:52:33 | 中国(反共批判)
テレビや大手新聞、経済誌では中国経済の成長率低下を大きく取り上げている。

逆を言えば、それだけ中国経済に関心があるということだが、
冷戦終結以降からの中国崩壊論に乗っかってるだけにも見える。

実際、ほとんどのメディア6.9%に低下したことをもって「低迷」と結論付けているが、
今年3月に開いた国会で「本年の目標成長率は7%にする」と決めていたことには触れていない。

中国「今年のGDP成長率は7%前後にしよう」

中国「今年の成長率は6.9%になりそうだ」

日本の大部分一部メディア「中国の経済は低迷している!」


・・・・・・という有様で、これはちょっとファニーというか手を抜いてないか?と思う。

以前の記事で私はGDP成長率の低下は、ある程度計算済みのことと書いた。
今の中国は、GDPを増やすことよりも汚職や格差問題の解決に力を入れている。

つまり、GDP成長を犠牲にして国内の浄化に努めているだけで、
その意味では十分予測済みの事態だったわけである。

以前、中国の貧困について書いたが、激減したとはいえ、
中国には依然、7千万の貧困者が存在し、現状改善が希求されている。

習政権は2013~2018年までの期間を汚職撤廃・格差解消に重点を置くと発表している。
これを踏まえた上で改めて分析すると、どうなるのだろうか?

次の記事を読んでみよう。


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中国経済発展をけん引する「三頭立て馬車(輸出・投資・消費)」のうち、
2頭が振るわない状況のもと、消費だけが孤軍奮闘している。

~中略~

消費と同様、住民所得も大幅な増加が続いている。

今年第1-3四半期、全国の住民1人当たり可処分所得は16367元(約30万8千円)、
前年同期比実質7.7%増、ふたたびGDP成長率を上回った。

このうち都市部住民の一人当たり可処分所得は同6.8%、農民は同8.1%、それぞれ増加した

国家統計局の盛来運報道官は、
「昨年以降、住民一人当たり可処分所得の成長率はGDP成長率を上回る傾向にある。
 これは、中国政府が恵民政策に力を入れ、一連の所得増促進政策・措置
 着実に実施されていることと切り離しては考えられない。
 経済構造は着実に合理化されている」とコメントした。

中国国際経済交流センター研究部の王軍・副部長は、

これまで、中国経済の急成長は、環境破壊と自然資源の大規模開発という代償が伴うもので、
 一般庶民は決して、実質的な福利を得ることはなかった。

 今、経済成長が減速しているが、中国経済の質や収益性は改善されており、
 構造は合理化され、国民が大きな関心を抱いている大気の質や医療などの問題も、
 大幅な改善が得られた」とコメントした。

銀河証券首席エコノミストの左小蕾氏は、
「中国の国民一人当たりGDPは間もなく1万ドルの大台を突破し、
 GDP成長率は7%前後を維持、同時期の米国や日本をはるかに上回るであろう。

 また、従来のGDP至上主義の発展モデルや評価基準はすでに時代遅れであり、
 0.数パーセントの変動に一喜一憂することは、全くもってナンセンスだ
」と指摘した。

http://j.people.com.cn/n/2015/1021/c94476-8964661-2.html
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上の記事は、中国経済のプラスの部分だけを書いたわけではなく、
マイナスの部分もきちんと書いている良い記事だと思う。

(全文は以下のページに記載されている。
 http://j.people.com.cn/n/2015/1021/c94476-8964661.html)

現地の専門家はもちろんのこと、平井潤一氏をはじめとして
日本にも真面目に研究している人もいるのだが、
悲しいかな、彼らには自身の意見を日本大衆に公表する機会があまりない。


池上彰氏の中国経済崩壊論はもちろんのこと、
近藤大介氏の中国本(『日中再逆転』、中国経済「1100兆円破綻」の衝撃)、
加藤嘉一氏の中国論(『中国民主化研究』、ダイヤモンド連載のコラム記事)等々、
一見正しいようで、よく考えるとちょっとおかしい内容の本が主流になっている気がする。

少なくとも、私が書店でチェックする限りでは、
東洋経済やダイヤモンドなどの経済専門の出版社ですら、同様の有様だった。

特に東洋経済は、あの1993年から中国は滅びると予言している長谷川 慶太郎に
『中国崩壊前夜』とか『中国大減速の末路』といった本を書かせている。マジか。

悪化は良貨を駆逐すると言うが、それは真実だなと思う次第である。

今年の8月、中国の通貨「人民元」は、円を抜き世界第4位の決済通貨となった。
AIIBもしかり、依然、中国の経済的パワーは拡大する一途に見える。

中国経済が衰退したというよりはむしろ、
社会の公正や民衆の生活を重んじる路線へと変更したと見るべきだ。
(その背景には日本や欧米の右翼が面白そうに語る深刻な社会問題が存在する)


向こうのメディアに触れてみても、中国が抱える問題は山積みだが、
重要なのは、今の中国共産党がヤル気になっているという点である。

このような改革志向の姿勢は、昔ながらの談合でロゴマークだの競技場だの
無駄金と事件ばかり起こしている某腐敗政府とは真逆の態度であろう。

中国を叩くのは本当に簡単だし、叩くことで得られる経済的メリットはデカいわけだが、
現実を認識しないというのは、まるで目隠しをして走っているようなもので、
保守も革新も中国の変化に対して、きちんと対処して政策を打ち出すべきだ。

中国の貧困問題対策について

2015-10-17 23:22:50 | 中国(反共批判)
一部の専門家も含め、日本では中国の貧困について語られる際に、
実態にのみ言及し、その対策について語らないことがしばしばある。


2014年の報告によると、中国の貧困人口は約7000万(!)で、
貧困率に換算すると5~6%ということになる。

日本の総人口の半分以上が貧困だと思えば、これは忌々しき事態であり、
それゆえに国内外の研究者もジャーナリストもこの問題について取り組んでいるのだろう。


ただ、日本の場合、得てして「いかに中国の民衆が苦しんでいるか」が強調され、
実は貧困率で比べると日本(16%)のほうが高いことは忘れられている気がする。

ついでに言えば、中国は2007年時点では貧困率が26%(!)だったが、
2012年で7%までに減らした
ということも本業の研究者はともかく、
いわゆる保守系のメディア(つまり書店に行けば必ず売ってる中国批判本)は触れていない。


加えて中国は年々、貧困ラインを上げている。
貧困とみなされる人間の1人当たり年間純所得が2007年までは200元未満だったが、
2008年以降は1196元未満、2011年以降は2300元未満となった。


つまり、貧困層にカウントされる人間は増えたはずなのに実際には減少したのである。

この原因として、中国政府が継続して熱心に貧困対策に取り組んでいたことが挙げられる。
中国政府は今、次のようなプランを立てている。


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1.国家レベルでの貧困扶助関連ビッグデータを完備し、
  貧困人口約7千人の居住地、居住エリア、貧困に陥った原因、
  彼らの需要、扶助の方法などを具体化かつ明確化する。

2.12万8千ある貧困村に対し、現地駐在業務チームを派遣、
  第1書記を選抜・派遣、貧困扶養対象者をめぐる業務体制を確立する。

3. 所得の増加、貧困扶助・転居、医療・健康、職業教育、生活保護などの分野で、
  住民をめぐる生産生活環境や環境条件の改善という基本的課題を解決する。

4.住民の生産発展、労働発展、外地での就業を計画・奨励する。

5.貧困地区において手本となる自力更生モデルを発揚し、
  貧困扶助・協力体制の優良モデルを制定し、トップからダウンまでが一致団結した、
   全国統一的な総力戦を繰り広げる。

http://j.people.com.cn/n/2015/1016/c94475-8963101-2.html
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これに加えて、習近平が政権に就いて以降、
経済発展至上主義から所得分配を重視する動きへと変化した。

格差を承知で発展に勤しむ路線から、
発展を鈍らせてでも貧困層を減らすという動きにシフトした。
(それゆえに、2014年の成長率が7%にダウンしたのは、ある意味当然の帰結である)


こういう動きを知った上で7000万の貧困者がいると知る場合と、
何も知らずに7000万の貧困者がいると教えられる場合では中国に対する印象が全く異なってくる。


先日、さる中国研究者の方と会う機会があったのだが、
その人の話を聞いても、中国の負の部分はよくしゃべるのだが、
彼らが貧困問題についてどのように奮闘しているのかについては言及が全くなかった。


そういう理解の仕方ってどうなのかなと思うのだが、自分に当てはめてみれば
EUやアメリカのイスラム差別についてこれでもかと書く一方で、
その差別を解消しようとする動きには触れていないわけで、他人のことは言えない気がする。

とはいえ、中国のことを私たちがあまりよく知らないのは、
とりあえず中国をブっ叩いておけばそれで良いじゃんという雰囲気が
一部の学者(と信じたい)を含めた全体に漂っているからなんじゃないか
とは思う。

南京大虐殺文書、世界記憶遺産に

2015-10-11 23:46:40 | 中国(反共批判)
日本の制止実らず=中国申請の「南京」認定-ユネスコ記憶遺産

 【パリ時事】国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に、
中国が申請した「南京事件」に関する資料の登録が決まった。

日中間で事実認識に隔たりがあり、論争が続く中での認定。
日本政府はユネスコに慎重な対応を求めてきたが、受け入れられなかった。

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201510/2015101000065


当たり前だろという話。

時事通信社は笑えることに、
「日本政府はユネスコに慎重な対応を求めてきたが、受け入れられなかった。」
と書いているが、慎重に審査した結果の登録決定なのである。


登録が拒否されると本気で思っていたのだろうか……??(汗


中国は現在進行形で南京大虐殺の資料を発掘している。


「中国系アメリカ人の魯照寧氏は9日午前、
 中国侵略日本軍南京大虐殺遭難同胞記念館に再び史料を寄贈した。
 魯氏はこれで、11年間で9回にわたり同記念館に史料を贈呈したことになる。
 氏が寄贈した、旧日本軍による中国侵略の史実を裏づけるゆるぎない
 証拠となる史料は、累計900点を上回った
中国新聞網が報じた。
 
 http://j.people.com.cn//n/2015/0910/c94475-8948364.html」


一方の日本。


「中国が申請していた「南京大虐殺文書」が記憶遺産への登録が決まったことに対し、
 日本政府筋は「断固たる措置を取る」と述べ、
 ユネスコの分担金拠出などの一時凍結を検討する構えを見せている。

 平成26(2014)年度のユネスコ予算の日本の分担率は
 米国の22%に次ぐ10・83%で、金額は約37億1800万円。

 米国が支払いを停止しているため、事実上のトップだ。
 さらに分担金以外でも、さまざまな事業に対する任意拠出金があり、
 同年度のユネスコ関係予算は計約54億3270万円に上る。

 外務省首脳は「日本の分担金はトップクラス。(ユネスコ側が)
 日本からの申し入れに真剣に耳を傾けることに期待したい」として、
 中国の申請案件の登録が認められた場合は拠出金の凍結もあり得る
 とのシグナルを送り、慎重な審査を求めていた。

 http://www.sankei.com/politics/news/151010/plt1510100015-n1.html」


つまり、中国は虐殺の証拠を集め、そのうちの一部を提出したのに対し、
日本はユネスコに「認めれば金は出さんぞ」と恐喝したのである。



登録を認める→慎重な審査が無かった!金は出さないからな!
登録を認めない→慎重な審査が行われたことに感謝!つりはいらねぇ、とっときな!

ということだ。こんな凄い理屈が通ると本気で思っていた政府とマスコミはおかしい。


一方は証拠を地道に収集し、提出したが、他方は傲慢な態度で金をチラつかせた。
慰安婦像の設置においても市長を金で懐柔しようと画策し、見事失敗したわけだが、
何でも金で解決できると思ったら大間違いである。

国連なめんなよという話だ。

私は今日ほど、日本人であることを恥じたことはない。
どうして、誇り高き自称代表的日本人は、恐喝だの懐柔だの姑息な手段ばかり講じて
世界にむけて嬉々として醜態をさらすのだろう?連中こそ真の反日だ。本当に恥ずかしい。