猫と亭主とわたし

愛猫。虹のかなたに旅だったブラッキーとリリを偲び。家族になったルナと庭に移ろう季節、折々の想いを写真と文で綴っています。

ミイラになったリルケの薔薇

2011-01-21 00:38:50 | わが家で咲くバラたち
     わたしはすっかり忘れていた。
     わたしの背丈の倍もあるリルケの薔薇が空に向かって咲きかけていたのを。
     切りバラにして部屋で楽しもうと思っていたのに。
     寒さのためにすっかりミイラのようになってしまったリルケの薔薇。
     ふくいくたる肉の花びらがひからびてしまった。
     黒い緑色の葉はまだみずみずしい。
     蕾みはぎゅうっと身を守るかのように固く閉じている。
     リルケの薔薇にうらさびた哀愁をかんじる。
     寒冷の季節が訪れようとしていたのに。
     季節に逆らって、まさにみごとな真紅の花を咲かせようとしていたリルケの薔薇。
     あなたのその心意気、美しく咲こうとしていた健気さをわたしはうけとりました。
     咲くも花。咲くことができなくても、ここまでの精進ぶりをわたしはたしかに、みてとりました。
     ごくろうさま。
     りつばでしたよ。
     また春に会いましょう。
     わたしはひからびたリルケの薔薇に声にならない声で感謝の気持ちを伝えていた。