道彦の散歩道

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10/18 スープ料理(24)

2013年10月18日 | 食・レシピ

【燕の巣】

「燕の巣」は、アナツバメ類のうちジャワアナツバメなど数種の巣である。広東料理の高級食材とされる。

『生態』

アナツバメ類はアマツバメ目アマツバメ科に属し、東南アジア沿岸に生息する。アマツバメ科は、極端に空中生活に適応したグループであり、繁殖期を除いてほとんど地表に降りることはない。睡眠も飛翔しながらと言われるほどである。巣材も地表から集めるのではなく、空中に漂っている鳥の羽毛などを集め、これを唾液腺からの分泌物で固めて皿状の巣を作る。なかでもアナツバメ類の一部は、空中から採集した巣材をほとんど使わず、ほぼ全体が唾液腺の分泌物で出来た巣を作る。海藻と唾液を混ぜて作った巣といった俗説は正しくなく、海藻は基本的に含まれていない。

アマツバメの巣は海岸近くの断崖に作られるが、断崖絶壁などに巣を作る習性の鳥は、しばしば鉄筋コンクリート製の建造物の増加した近代的な都市を本来の営巣環境に近似した環境と受け止めて巣作りを行う。
近年ではこのような習性を利用して、東南アジア諸国の鉄筋コンクリート製建造物の内部に条件を整えることで集団営巣地を作らせることができるようになり、市場への供給量が増した。

アナツバメの巣の採取については東南アジア各国で採取の時期、採取方法などを厳重に管理し、またアナツバメの生息地の環境保護のために立ち入り制限を行っている。
アナツバメは雛が巣立ちしてしまうと同じ巣を利用することはないため、アナツバメが放棄した巣を採取している。オスは次の発情期になればまた唾液腺から特殊な分泌物を吐きだして新たな巣を作る。

『食品利用』

日本で人家の軒先などに一般的に見られるツバメの巣は、唾液だけでなく泥や枯れ草によって作られるので食用には適さないが、アナツバメの巣は世界中で高い人気を誇る食材になっており、スープの具やデザートの素材や飾り付けとして用いられる。

中華料理の中でも特に広東料理に利用される。元末明初頃に中華世界に知られるようになり、清代になると「ふかひれ」や乾しアワビと並ぶ高級中華食材として珍重されるようになった。燕の巣が出る宴席は「燕菜席」と呼ばれ、満漢全席に次いで格式の高い宴席となっている。

独特のゼリー状の食感が特徴である。タンパク質と多糖類が結合したムチンが主成分であり、タンパク質と共に、糖類の一種であるシアル酸を多く含んでいる。古くから美容と健康に良いとされている漢方食材であり、清の西太后も連日のように食したと伝えられている。

巣によって羽毛などの巣材を比較的多く含むものから、全くと言っていいほど含まないものまで差がある。混ざり物などが少なく、作られて間もない物が重宝され高値がつきやすい。調理に際しては湯で戻してから、ピンセットなどで丁寧に羽毛などを除去する。

『品質について』

中国では古くから赤い燕の巣が珍鳥されてきた。現在においても赤い巣、オレンジ色の巣は高値で取引される傾向がある為、顧客の好みの色に着色して出荷する生産者も珍しくない。赤やオレンジに発色する原因は、岩石からの鉄分や壁土などの色素を含むからとも発酵の結果によるともされる。ただし、こういった赤やオレンジの巣には人体に有害な亜硝酸塩が多く含まれるという調査報告が出ている。亜硝酸塩は水溶性なので水で洗い流すことかが出来るが、天然、着色を問わず赤やオレンジの色素がなくなってしまう。
見た目の立派さが価格に影響することもあり、乾燥した巣の表面に糊を塗布して外観を整える手法も広く行われている。水に溶いた巣の他、海藻、豚皮、ラード、植物樹脂などを糊として用いられるケースがある。

白さを強調する為に薬品によって漂白された燕の巣は、独特の匂いが無くなっていたり、薄くなっている。

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【太平燕】

「太平燕」とは、
■福建語で「タイピンイェン」と読む、中国福建省福州の郷土料理。福建料理のスープワンタンの一種

■「たいぴーえん」または「たいぴんえん」と読み。日本でアレンジされた中華料理の一種。春雨スープにエビ、イカ、豚肉、白菜、タケノコ、キクラゲなどの五目炒めを合わせ、揚げ玉子を添えたもの。熊本県のご当地グルメ。

『中国の太平燕』

「タイピンイェン」は、中国福建省福州市の郷土料理。アヒルのゆで卵を入れたスープワンタンのようなものである。アヒルの卵は福州語で「鴨卵(アッロウン)」というが、「圧乱(戦乱を鎮める)」と同音であり、しゃれ言葉で「太平(タイビン)」とも言われる。戦乱が鎮まれば天下太平という訳である。また、福州には「扁肉燕(福州語ビェンニュッイェン)」という豚肉を叩き潰してサツマイモ澱粉と一緒に練り込んだ独特の歯応えのワンタン用の皮があり「燕」とも略される。この二つの料理を組み合わせた料理が「太平燕」であり、「燕」は「宴」と同音であることから、太平宴(平和な宴)」として縁起が良い名前となり、結婚式などの宴席料理として作られる。台湾海峡を隔てて、福州出身者が少なくない台湾においても宴会料理として出される場合がある。

『日本の太平燕』

「たいぴーえん」または「たいぴんえん」は、福州料理の太平燕を明治時代に華僑が日本に伝えたものと言われる。伝来後、日本で入手しづらいアヒルの卵の代わりにニワトリの揚げ卵を、扁肉燕の代わりに春雨を用いたものと考えられる。このアレンジによって、これまでスープ料理であった太平燕が麺料理に変質した。

日本では長崎県、福岡県、神奈川県、東京都などの個々の中華料理店と、熊本を拠点にして日本各地に店舗を持つ「味千ラーメン」のメニューにあるのを除けば、基本的に熊本県中部においてしか見られず、ご当地グルメの位置付けとなっている。
一方、熊本市周辺では中華料理店のメニューの定番としてみられ、市の学校給食でも出されるポピュラーな料理であるため、「太平燕は全国にある」と勘違いしている熊本市民も少なくない。

「太平燕」は、ラーメンと同様、スープには醤油、塩、トンコツなどの味のバリエーションが存在する。また揚げ卵でなくゆで卵やウズラの卵が入ったいたりするなど、店舗や家庭によって千差万別である。また、使用される春雨については中国産の緑豆春雨が中心であるが、馬鈴薯澱粉を主原料とした日本産春雨を使用する場合もある。

元祖は中華園と言われているが、会楽園や紅蘭亭を発祥とする説もあり、定かではない。この点について勝谷誠彦は著書の中で「これらの店が創業されたのが1933年から1934年頃で、華僑は横のつながりが強いために情報交換がなされていた可能性が強く、どこが発祥は分からないのではないか」と分析している

中国の太平燕

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日本の太平燕

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