道彦の散歩道

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02/15 チーズ蒸しパン

2014年02月15日 | 食・レシピ

小判のような見た目に、ふんわり、しっとりと柔らかな口当たり、頬張ると、チーズの香りが口いっぱいに広がる。菓子パンでもなくケーキでもない「チーズ蒸しパン」は、1990年に誕生した大ヒット商品。世に送り出したのは北海道のパン製造大手「日糧製パン」である。
「今まで食べたことのない蒸しパンを作りたい」。発売前年の89年、製造・開発の責任者だった近藤常務は、商品開発や広告宣伝を担当する社員らからアイデアを募った。
近藤常務が新しい蒸しパンの開発を急ぐのには理由があった。看板商品だった既存の蒸しパンの製造ラインを増強したものの売上は振るわず、ラインの稼働率が低かったためだ。
「今まで食べたことのない蒸しパン」がチーズ風味になったのは、いくつかの偶然による。市場調査のため社員が全国各地で買い集めたパンの中に、チーズ味の蒸しパンが一個混じっていた。
一方ちょうどその頃原材料の納入業者がパンに混ぜ込むのに適した癖のないチーズを開発。また、バブル経済末期の世間では、イタリア生まれの「ティラミス」が若い女性の間で人気を呼んでいた。
「チーズ味でケーキのような蒸しパン」。新商品の概要が固まり、89年7月に札幌本社で開発が始まった。

当時の広報担当者は「パン業界にチーズを使った大ヒット商品はなく、蒸しパンにも同じく大ヒット商品は無かった。面白い組合せだが、消費者に受入られるか不安だった」と。チーズ蒸しパンの開発は業界のタブーへの挑戦でもあった。

開発チ-ムは5ヵ月にわたり、味や形が異なる試作品を約50種類作った。試行錯誤の末に完成したのは11月。当時の開発部次長は「とても美味しいパンが出来たと感心すると同時に、チーズ味だから難しいだろう」と思った。

1990年1月に発売すると、社内の不安をよそに爆発的に売れた。まず飛びついたのは若い女性だった。1日当たりの販売個数が五千個で「ヒット商品」と言われる業界。三千個、四千個、五千個、と売上はぐんぐん伸び、すぐに二万個を超えた。2月からは首都圏でも販売を始め、量販店の中には1個千個以上を販売する店もあったという。

支持は若い女性だけでなく、老若男女に広がった。その理由は「これほどソフトな食感の蒸しパンが市場に存在していなかった」ためだ。きめ細かな生地に仕上げるため、卵や小麦粉などの材料は小型の容器で少しずつかき混ぜる。すると、ふっくら蒸し上がり、しっとり感も出るという。

大ヒットを目の当たりにした山崎製パンや敷島製パンなど全国大手も90年夏ごろから参入。「チーズ蒸しパン戦争」の様相を呈した。

菓子パン業界は競争が激しい。日糧製パンの場合、毎月発売する30~40種類の新商品のうちヒットするのは一握りで、大半は半年足らずで消えて行く。
チーズ蒸しパンは発売から四半世紀たった今も人気を保っている、希な例だ。チーズ蒸しパンは当初、一個120円で売り出したが、現在は希望小売価格わ設定していない「オープン価格」で、実勢価格は100円前後。スーパーやコンビニ向けに出荷する商品の一部は、相手先の要望に合わせて、包装デザインを変えることもある。そのため、日糧製パンの製品とは知らずに口にしている消費者も多い。

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