【アイントプフ】
「アイントプフ」は、ドイツのごく庶民的な家庭のスープ料理。名前は、「鍋の中に投げ込んだ」の意味。「農夫のスープ」という呼び名もある。
ドイツソーセージにジャガイモ、ニンジン、タマネギ、レンズ豆などを入れて煮込んだもの。
スープのベースは、トマト・コンソメなど何でも良い。日本で言えば味噌汁のように、庶民的でかつ各家庭ごとに味の異なるものである。
自然公園の中にあるレストランで提供される安くて簡単な料理といえば、これが定番になる。
一般のレストランや、特に高級ドイツ料理店では、まずお目にかかれない。またファーストフード店でも食べることができ、さまざまなアイントプフの缶詰も市販されている。
ナチス政権時代のドイツでは「アイントプフの日曜日」というキャンペーンが行われてしいた。日曜日のご馳走の代わりにアイントプフを食べ、浮いたお金を募金するというもので、冬季の助け合い運動と国民意識を高めるためのプロパガンダとを兼ねていた。
【グヤーシュ】
「グヤーシュ」は、ハンガリー起源のスープ・シチュー料理。牛肉とタマネギ、パプリカなどから作られる。パスタ類やサワークリームを加える場合もある。ドイツ語的に「クラッシュ」などといわれることもある。
放牧や農作業をしていた大ハンガリー圏の人々が、わざわざ時間をかけて自宅で昼食をとる手間を省くため、外へ釜を作り大鍋で昼食用に作られた「釜煮グヤーシュ」が起源。
現在もハンガリー農村部ではこの伝統的なスタイルの「グヤーシュ」を食べている。戦時中の移動部隊の食事にもなっていた。
代表的なハンガリー料理であり、「蒸し煮・シチュー」の一種とされる。一般的にハンガリー家庭では主菜として食べることはなく、日本の味噌汁のような存在である。かっての大ハンガリー圏をはじめ、オーストリア、ドイツ、チェコ、ポーランドなどでも食べられている。
また、モンゴル料理のひとつである「グリヤシ」はこれがモンゴル風になったものである。
『作り方』
1.熱した鍋にラードを溶かし、みじん切りにしたタマネギ、ニンニク、キャラウェイを入れる。
2.香りが出てきたら牛肉を入れ焼き目をつける。肉に焼き目がついたら適当な大きさに切ったジャガイモと水、塩、グリーンペッパー、トマトを加えて煮込む。肉が柔らかくなったら塩とコショウで味を整える。なお肉は羊肉でもよい。
『グヤーシュの種類』
中に入れる肉の種類や野菜の種類により異なってくる。
1.テブレツィーナグラーシュ
豚の首のまわりの肉で作られたソーセージを煮込んだグヤーシュ。
2.ツィゴイナーグラーシュ(ジプシー風グラーシュ)
グラーシュの肉に豚肉・マトンなど二種類以上の肉を使い、ピーマンやニンジンなど野菜を更に多くいれ、ベーコンも加えて煮込む。
3.セゲド風グヤーシュ
ニンニクを入れたサワークリームを加えたグヤーシュ。煮込む時にシュマルツを加える。
4.ウィーン風グヤーシュ
基本的なグヤーシュに目玉焼きとダンプリングを添えたもの。
5.フィアカーグラーシュ
「ウィーン風グラーシュ」に小さめのフランクフルトソーセージと目玉焼きとピクルスとドイツ風パン団子を添えたもの。
以上の他に6種類のグラーシュの存在が確認されている。