【宮保鶏丁】
「宮保鶏丁(ゴンバオジーディン)」は、鶏肉とピーナッツを唐辛子とともに炒めた四川料理。
別名「宮爆鶏丁」ともいわれる。宮保および宮爆の意味ははっきりしていないが、宮保は丁宮保なる人物が好んだことにちなむとされる。一方、「爆」の字は中国料理においては「炒」よりもはるかに強い火で短時間に加熱する料理法を指す。
「丁」は中国語で「さいの目に切った」と言う意味である。さいの目に切った鶏肉、キュウリにピーナッツ、鷹の爪を加え炒める。
宮保鶏丁は四川料理の中でも最もポピュラーな料理の一つである。そのため中国のレストランでは四川料理を扱っていなくてもメニューに載っていることが多い。多くのレストランではピーナッツを使うが、高級レストランではピーナッツの代わりにカシューナッツを使うこともある。
中国の有人宇宙飛行を行った神船5号には、宇宙食として八宝菜や緑茶のほかに宮保鶏丁が用意されていた。
【エビのチリソース】
「エビのチリソース」は、エビを辛い味付けで炒めた料理。エビチリという略称で呼ばれることも多い。
『概要』
現在知られているポピュラーなレシピは中華料理人・陳建民が日本で中華料理店を営むにあたり、「乾焼蝦仁」をアレンジしたレシピが広まったものである。
当時は日本人が豆板醤の辛味に馴れていなかったことからケチャップ、スープと卵黄を用いて辛味を抑え、また調理法そのものを簡易化し、今のエビチリが作られた。
このレシピが完成するまでは、生のトマトを刻んで入れたりするなどの試行錯誤があり、現在のエビチリは陳建民が晩年で完成させたものであると、子息・陳建一が語っている。
ケチャップやスープの素の利用により、家庭でも作ることが容易になり、辛さが抑えられた事もあって、日本の大衆に受け入れられ、中華料理ブームに乗った食品会社の宣伝も手伝って一気に普及した。今日では代表的な中華料理の一つとして広く親しまれている。
『作り方』
1・殻を剥き背わたを取った海老に塩、片栗粉をつけ、よく揉んで汚れを落とす。
2・汚れが取れて水が透明になるまで海老を濯いで、十分水気を取ってから、卵白、酒、塩、胡椒をまぶしてよく混ぜる。
3・長ネギ、ショウガ、ニンニクをみじん切りにする。長ネギは最後に使うので分けて置いておく。
4・海老を油通しまたは炒めて、軽く火が通ったら器に分けておく。
5・ショウガ、ニンニク、豆板醤を弱火で炒め、香りが出て来たらケチャップを入れる。全体が炒まり気泡が上がるようになったらスープを加える。
6・酒、塩、胡椒を混ぜて好みのアジにする。
7・海老を加えて炒め合わせ、長ネギを加える。ここで、余った卵黄を流し入れると辛味が抑えられ、まろやかになる。海老が硬くなるのを避けるために煮込まぬ様に気をつけ、一回ししたら水溶き片栗粉でとろみをつける。仕上げに、風味づけの酢と胡麻油を少々加えて完成。
『乾焼蝦仁』
日本における現在の「エビチリ」の原型は中国の「乾焼蝦仁」である。
中国語のメニューを見てみると、「干焼」+「海老の種類」を組合せたものが料理名になっているが、その多くは「干焼明蝦」、「干焼蝦仁」である。「明蝦」は車海老、「蝦仁」はむき身の小海老で、車海老の場合は殻付きのまま調理することが一般的。ちなみに、「干焼」だけでなく「乾焼」という表記もあるが、「干」も「乾」も同じ意味で、中国大陸では「干」、香港や台湾では「乾」の字を使う。
また、エビチリが「干焼」だからといって、「干焼」がチリソースかと言うと、そうではない。「干焼」は味付け(調味)ではなく調理法で、加熱した材料に水分と調味料を加えて沸騰させ、弱火から中火で加熱しながら材料に味を浸透させた後、強火で煮汁を煮詰めて仕上げる。中華料理用語でいうところの「焼法」である。
日本の「エビチリ」
中国の「乾焼蝦仁」