佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

ヤクーバとライオン

2012-02-08 | 雑感

昨日、立ち寄った本屋さんで、こんな本に出会いました。

絵本です。

作者はフランスのティエリー・デデュー。

訳者は柳田邦男。

 

え?あの柳田さん?

ノンフィクション作家で、最近は原発問題に関する記事や本をよく見かけるけど、

かなり以前、脳死について書かれた本を読んだことがあったっけ。

その時やっと、民俗学者の柳田国男さんとは別人物だと知ったんだよなぁ・・

あの柳田邦男さんが絵本を?

それとも、三人目のヤナギダクニオさん?

と思ったくらい、私は全然知りませんでした。

後で調べてみたら、柳田邦男さんはたくさんの絵本を翻訳なさっているのですね。

 

ところで、私は、もちろん訳者を見て買ったわけではありません。

本棚から引き抜いた時、この表紙を見てドキっとして、中を開いて、さらにドキドキ。

黒一色で書かれた絵にとても惹かれました。

そして、お話も、その絵のように深く鋭く心に残るものでした。

 

ヤク―バの暮らすアフリカ奥地の村では、成長した少年を祝う祭りがあります。

その日、少年たちは一人でライオンを倒しに出かけます。

それを成し遂げて帰って来た者は、勇気ある若者として称えられ、戦士になります。

それができなかった者は・・・

ヤク―バは一日かけてライオンを探し歩き、やっとチャンス到来。

が、ライオンはすでに深く傷ついていました。

ヤク―バとライオンは長い間見つめ合っていましたが、

やがて彼はライオンに背を向けて去っていきました。

村に帰ったヤク―バは、皆の冷たい視線を浴び、

与えれた仕事は、村はずれで牛の世話をすることでした。

しかし、その後、

「村の牛たちは、二度とライオンにおそわれることはなかった」

と結ばれています。

 

本当の勇気とは何か、あるいは「戦わないという勇気」がテーマだそうですが、

この絵を見ていると、もっと素朴な何かを私は感じます。

言葉では上手く説明できませんが、

「勇気」という人間世界の概念ではなく、

人間もライオンも必死で生きている、倒すか倒されるかの世界があって、

そこに情けや憐れみはナンセンスなんだけれど、でも心と心が通い合ってしまったら殺せない。

相手が人間であろうと動物であろうと。

理屈ではない心の触れ合いを感じて、なぜかドキドキして、

とても本棚に戻すことができませんでした。

 

その素晴らしい絵を全部お見せしたいのですが、それはさすがに著作権侵害です。

関心のある方は本屋さんか図書館でどうぞ。

講談社から出ています。

 

第2部の「信頼」も、とてもいいです。

私は、こちら(信頼)を先に見たせいか、こちらの方がもっと好きです。

 

 

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