佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

後藤さんが残したもの

2015-02-02 | 平和

2月1日早朝、「イスラム国」後藤健二さんを殺害!の報に、日本中が衝撃を受け、悲しみに包まれた。

後藤さんがどんなに素晴らしいジャーナリストであったか、

どんなに優しい心の持ち主であったか、

どんなに家族を愛し、多くの人から愛されていたか、

どんなにかけがえのない存在であったか

TV各局はそのような情報を競って発信し、

それまで見知らぬ人であった後藤さんを失った悲しさは、悔しさに変わっていった。

 

後藤さんは、紛争地域の子どもたちだけでなく、

日本国内でも弱い立場におかれた子どもたちに寄り添っていた。

それを私は、数日前知人のブログで初めて知った。

彼女は弁護士で、知的障害のある男児が教師から受けた虐待事件を受け持ったとき、

その親子を支援していた後藤さんと出会ったという。http://blog.goo.ne.jp/okunagairi_2007/e/84a7bf55fe5f161914357c6c6efcfab0

 

しかし、一夜明けると、今日のTVはなんとなく雰囲気が違う。

昨日までの、憔悴しきったような表情の安倍首相は、もういない。

後藤さんの死を悼むよりも、今後のテロ対策へ万全を期す意欲を力強く語っていた。

イスラム国が「今後も日本人を標的にする」「日本の悪夢が始まる」

などと宣言したことにマスコミも注目し、

今後は国内においてもテロの被害にあう可能性が高まったとか、

東京五輪でのテロ対策をどうするのかなどの議論を始めている。

 

「残虐非道なテロリストたちを私たちは絶対に許さない。

 その罪を償わさせるために、国際社会と連携していく」

と総理は述べたが、どういう形で償わせようというのか?

連携していく国際社会とは、どんな国々を念頭に置いているのか?

そんな勇ましい発言こそがテロを煽っていることに、気づいていないのか?

また予算委員会での質問に答えて、「ヨルダンへの駐在武官の派遣」を考えているとも語った。

 

暴力を武力でねじ伏せようとしても解決はしない。

自分たちの価値観や正義感で制圧しても、本当の平和は訪れない。

平和な社会は理解し合うことからしか生まれない。

そう信じていたからこそ、後藤さんは危険な紛争地域に行き、取材をしてきたのではないか?

 

シエラレオネの少年兵や、ルワンダの家族の物語など、

私たちの知らない紛争地域で生きる人々を取材し、写真を撮り、

それを子ども向けの本にしたのは、先入観のない子どもたちに伝えたかったのだと思う。

後藤さんは「ありのままに撮ります」と言っていた。

美しいものは美しく、汚いものは汚く、悲しいものは悲しく・・・

辛いシーンもあるけれど、ありのままの世界を伝え、

どんな地域にも希望を持って生きている子どもたちがいることを知ってもらいたい。

知ることによってしか理解は始まらない。

理解し会うことによって初めて平和の糸口が見いだせる。

そう信じていたのではないか?

 

後藤さんは、「イスラム国」という名の過激派組織の蛮行の一部を、身を持って伝えた。

生きたまま首を切断するなど悪魔の仕業としか思えないことを実行する彼らを憎むことは容易い。

が、それでは、何も解決しない。

指導者や中枢部の数人だけなら狂人扱いもできるが、そうではない。

「イスラム国」に集まった大勢の志願兵はなぜそこにいるのか?

各地で「イスラム国」に呼応する動きが起きているのはなぜなのか?

その「なぜ」を考えて!と後藤さんは願っていたに違いない。

私は何もできないが、考えることだけはできる。

ずっと考え続けたい。

 

   " I am KENJI " のページには46,975の人々が「いいね!」しています。

     後藤さんの思いが、さらにたくさんの人々に広がっていきますように…

        https://www.facebook.com/IAmKenjiGoto

 

コメント (2)
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