佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

小さな五木村の、大きな挑戦

2010-12-24 | 石木ダム

熊本県五木村。

五木の子守唄で有名な、そして、今では人口わずか1,353人の小さな村。

その小さな村の小さな村議会が、全国で初めてのドエライことをおっ始めたそうな。

それは、議員報酬に成果主義を導入したこと。

水没予定地を抱えダム計画に翻弄されてきた村の人口はピーク時の4分の1以下に減少。
このままでは村はつぶれる、議員も身を切る覚悟が必要だとして今年の3月議会に提案され、
1票差で可決。

月額21万3千円だった報酬のうち、8割は毎月支給して、残る2割を成果報酬とし、
活動の評価に応じて年度末にまとめて支払うのだそう。

その評価は、村民からなる評価委員によってなされ、
「一般質問」「政策提案」「地域活動」などを参考に5段階で評価される予定で、
今年度末、初めての評価が下されるという。

賛否両論あるでしょうが、
少なくとも村民の声にはきっとそれまで以上に耳を傾け、議会も活性化されていくのじゃないかな~

などと興味津々でその記事を読んだのは今月初めだったのですが…

なんと!

その五木村の12月議会で、「次世代を担う村民への伝言」が提案、可決されたそうです。

提案者は、最年長(78歳)でダム問題の推移を見てきた照山哲榮議員。
今月末辞職予定の照山さんは、
これまでの経緯を知る現役議員として、後世に伝えなければならない責任がある、と言う。

さて、どんな「伝言」が議会で可決されたのでしょう。

 

 昭和41年7月に突然発表された川辺川ダム建設計画に、五木村は反対し、村民一丸となり、
当時の建設省及び熊本県に強く抗議してきた。
 しかし、国、県は強い姿勢でダム建設同意を求めてきた。最終的には、五木村再建計画を
条件に、また、下流域の生命及び財産を守るため、ダム建設を受けざるを得なかった。
しかし、この44年間の経緯は、図り知れない損失を負い、語り尽くせないものがある。

 平成20年8月、相良村長が「ダムは容認しがたい」、更に同年9月、人吉市長も「ダム計画の
白紙撤回を求める」と表明、重ねて、同年同月、蒲島熊本県知事も県議会において「現行の
川辺川ダム計画を白紙撤回し、球磨川は宝としてダムによらない治水対策を追求するべきで
ある」と表明された。
 一方、ダム建設を強力に進めてきた国も平成21年9月、民主党政権が誕生し、就任当初の
前原国土交通大臣がダム中止を表明した。
 因みに、四者とも五木村に対し一言の事前説明もなく、ダムの原点と全く同じ唐突の表明である。

 現在、五木村は川辺川ダム中止を受け入れてはいないが、ダム中止の場合も含めて多角的
に協議するため、国・県・村による「五木村の今後の生活再建を協議する場」に参加している。

 昨今では、突発的で局地的な豪雨が頻繁に発生し、尊い生命財産を奪っている状況である。
このような、豪雨災害が当地方で発生した場合、川辺川ダム建設が本格実施に向けて再燃する
ことが懸念される。

 ここに、44年間もダム建設に翻弄され、人口減少及び産業の衰退、人間関係の希薄化及び
住民感情の対立を目の当たりにした現世代が将来を担う次世代に伝えるべきである。
 よって、川辺川ダム建設は中止の方向に進んでいる現在、拒むことが出来ない状況の中で、
現世代を生きてきた責務として、以下のとおり伝言する。

                記

 川辺川ダム建設計画による五木村の衰退を実際に体験した者として、将来に再び川辺川ダム
建設が動き出すような事態を迎えた場合は、二度と過去の歴史を繰り返さないよう、くれぐれも
ダム計画による五木村の繁栄に期待をしないよう願う。
 

一議員が引退する際に、このような形で議会が認めるのはあまり聞いたことがありません。
最長老として議員仲間の尊敬や信頼を得ていた方だったからでしょうが、
同時に、その「伝言」が照山議員一人ではなく、議会全体の願いでもあったからではないでしょうか。

反対運動の末、国、県の支援による村の振興を条件に、ダム計画を受け入れた村。
しかし、離村が相次ぎ、人口は激減。高齢化率は40%を超えている。
2009年には前原誠司前国土交通相がダム中止を表明したけれど、
政権の交代によってまたどう転ぶか、国はあてにならない。
自分たちの村は自分たちで守り、豊かにしていかなければいけない。

そのような想いを感じます。
八ッ場ダムはじめ全国どこのダム建設予定地にも、同じ想いの人がたくさんいるでしょう。

五木村だけでなく、日本国民への伝言にして頂きたいくらいです。 

 

コメント
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