佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

広がる関心

2010-04-25 | 石木ダム
今日は「西海アラカルト」の編集日でした。

「西海アラカルト」というのは、長崎県視覚障害者情報センターが発行、
「佐世保音声訳の会」が音訳を担当している音訳雑誌です。

読者の欄や福祉の話題、川柳、随筆、健康欄、暮らしの豆知識、家庭欄等々
バラエティーに富んだ内容で、県内に約200人の読者がいます。

編集会議では、私たちが集めた記事を紹介し、その中からどれを採用するか選ぶのは、
視覚障害者協会(略して視障協)の編集委員の方々です。

今日は視障協から5人、音訳の会から6人で編集を行いました。

例えば、「ふるさとの逸品」というコーナーで、私が紹介したのは10件の記事。
北海道の濃厚プリンや、富山の米粉でできたバウムクーヘン、静岡の焼きそばなどなど。
その中から採用されるのはたった一つ。満場一致で決まったのは、長崎の「お魚ステーキ」でした。

さて、全体での選考の後、グループに分かれて選ぶのもいくつかあります。
(料理やおしゃれ、健康、コラム西海、新商品など)

今日の私の担当はコラム西海で、選んでくださったのは視障協のKさんです。
これは、毎日新聞の「長崎発!」「佐世保発!」と長崎新聞の「記者の目」の記事の中から
1つまたは2つ選び、西海アラカルトのコラムとして紹介するものです。

全部で25件ほどあったでしょうか。
はじめに見出しを読んで、Kさんが興味を示されたものを抜き出し、本文を読んでいきます。

見出しで惹かれても、本文を聞けば、却下となることも多く、はじめの3つはそうでした。
4つ目に「知事は石木ダムに無関心?」という記事を読みました。

「それ取りましょう」と言われました。
私はもちろん、嬉しかった。

次の記事も「地権者への理解ない県」という見出しで石木ダム問題を扱っています。

「それも取りましょう」と言われ、今度は私は戸惑いました。
どちらも、付替え道路着工に対して県や知事の対応を批判した内容です。

読者の中にはダム賛成の人もいるでしょう。
県の職員や工事関係者の家族がいるかもしれません。
いいのかな~?

「あの…、二つとも同じような内容ですけど、この二つでいいんですか?別の記事も読んでみましょうか」

「いや、それぞれの記事は短いですから、2つそろったほうが内容がわかると思いましてね」

確かに…でも、他の人は、私がKさんを誘導して選ばせたように誤解しないだろうか・・?
ちょっと不安になって、お隣にいた先輩Yさんに尋ねました。

「記事を選ぶのはあくまでも視障協の編集委員で、私たちが口出しすることじゃないのよ」
ときっぱりしたYさんの返事に、私は大いに納得、安心してその2つの記事をファイルに収めました。

記事の選考作業が終わると、視障協の皆さんは帰られ、
後は私たちの作業(記事を用紙に糊づけしたり、コピーしたり、音訳担当の割り振りなど)です。

どの記事を誰が読むかは、記事の長さや文章の難しさなど加味してみんなで決めますが、
その場にいる人は、自分が希望する記事を選ぶことができます。
(他のメンバーには記事を郵送し、録音日までに練習をしておいてもらうのです)

私は迷わず先ほどの2つの記事を読むことにしました。
よーし、うんと心を込めて読むぞー!
県の不誠実な対応について、読者にしっかり伝わるように読まなくちゃ…
いやいや、気負っちゃダメ。淡々と読まなくちゃ。読者に押し付けるような読みはダメ。
などと帰宅のバスの中で思い巡らしていたら、先輩のYさんからメールが…

石木ダムの記事が2つも選ばれて良かったですね。
200人の人が聞いて下さるのですから嬉しいですね。

とあって、私も嬉しい胸の内を返信すると、

私が少し心配なのは、あなたが読むことがいいのかどうか、
要らぬ誤解を招くのではないかと余計なことを考えたりしています。

との2信目が届きました。

言われてみれば確かに・・・
編集者Kさんの石木ダム問題に対する関心の高さが嬉しくて有頂天になり、
考え無しに読みたいと手をあげてしまった自分の迂闊さに気付かされました。

その後、「西海アラカルト」の代表のYさんにも相談して、
読み手をさきほどのYさんに代わってもらうことにしました。

「私はうまくは読めないけど、しっかり伝わるように頑張るからね」

Y先輩の言葉に胸がじんわりほっかほか・・・・  



コメント (6)
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