貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

上松宿 寝覚めの床② 浦島堂に辿り着く!

2024-03-13 11:30:50 | 日記
令和6年3月13日(水)
上松宿 寝覚めの床②
 瞬時の幸運に感謝!
 一番乗りである。

 取りあえず寝覚めの床
という床の上から風情を楽しもうと、
道なき岩場を慎重に突き進む。

 滑って転んだら大怪我だ。
 「最近も救急車でと・・・。」
受付の方の注意もあったので、
より慎重にゆっくり浦島堂を
目指す。

 すると、
跡を追うように4・50代の男性が
一人忍者の如く岩から岩へ
飛ぶように来る。
 「今日は幸運です。
美術館の方から入ると無料です。」
という話。 
 
 たぶん立ち入り禁止だという
判断だったのかな。
「私は臨川寺から入ったから、
200円払いました。」。
 木曽らしいといえば
木曽らしい?
 入口によって対応が違う。
 これまた一興。
 その方の跡を追いたいのだが、
とてもとても。
 数年前だったら…?
 只淡々と自分のペースを守って!
<浦島堂>

 何とか浦島堂に辿り着く。
 そこで、
20代の若者二人と出会う。
 私ひとり汗びっしょり。
 一息つき、飴玉をしゃぶる。

 素手の若者二人にも
「どうぞ」とお裾分け。
 「ありがとうございます。」
と快活な応対。
 幸運な寝覚めの床の寸話をし、
それぞれの感性の赴くままに・・・。
 浦島堂は、一枚岩の上に立ち、
十数本の赤松に囲まれ守られている。
 とにかく自然の凄さ、
素晴らしさに圧倒される。

 水の音が弛まず勢いよく、
「ダッダーダッダー」
「サアーサア-」
という輪唱。
 雨上がりなので
浅黄色の水の地色だが、
白波の線が場所場所によって見事。
規則的であったり、
そうでなかったり・・・。

  頂上の緑の松に囲まれた所で
再度寝そべる。
 ひんやりとした感じが、
汗ばむ体をしっとりとほほえむように
包んでくれる。
 空は灰白色一色。 
 松の枝には、
小さく尖った松ぼっくりの実が
いくつか実っていた。 

  行きはよいよい、帰りはこわい…。
 一度岩と岩の間にお尻から滑る。
リュックで命拾い!  
  その後、這うようにして
一つ一つの床岩を降り、
その場その場の光景を
目に焼き付けておこうとする。
 臨川寺の和尚が
「畑を打つ 土中の虫に詫びながら」
という箴言をも噛みしめて…。
 一切は無常、そして無上!
 芭蕉はこんな光景を
さぞ喜んだであろうに、
なぜここで一句も詠まなかったのだろう?
 『更科紀行』では
「途中で出会った老僧が
いろいろ話しかけてくるので
気が散って一句もまとめることが
できなかった」
と愚痴をこぼしている…。
 あながち言い訳でもないだろう。