貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

小町の大悟の境地を一句で

2021-06-16 10:55:18 | 日記

小町の大悟の境地を一句で

令和3年6月16日(水)

 貴さや 

   雪降ぬ日も 

      蓑と笠
   尊いことだ。

 雪の降らぬ日にも、蓑と笠を

身に着けた小町の画像は、

一つの悟境を示したいる、

の意。

  元禄三年以前作。

 小町画賛『奉納集』は、

右手に杖、左手に笠の小野小町を描き、

「此賛三井の寺院ニアリ」と記す。

 真蹟懐紙に、

「あなたふと あなたふと 

笠もたふと 蓑もたふを」

の前書きがあり、

三井寺の定光阿闍梨の求めに応じた

旨が記される。

 謡曲「卒塔婆小町」に

「破れ蓑、破れ笠・・・、今は路頭に

さそらひ、往来の人は駒を乞ふ」

とある。

 晩年の小町が描かれていたに

相違なく、一切を放下した境涯を尊し

とする芭蕉の目に、それは大悟の姿にも

感じられたわけである。

◎ 芭蕉は、一切を放下し、

蓑と笠を身にまとった小町の心を

短い一句に掬い取り、

何気ないように見せて、

能から真言宗の深部への信仰まで

詠み込んでいる。

と、師匠は語る。