ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

サイラス・チェスナット & 中村健吾 Live at 岡山蔭涼寺

2018年08月20日 | ライブ
【Live Information】

 サイラス・チェスナットといえば、「現在のジャズ界で最高峰のひとり」と評されることもある名ピアニストです。
 そのサイラスが、日本ジャズ界屈指のベーシストで、アメリカでも高く評価されている中村健吾と岡山に来るというのだから、これは行かない訳にはいきません。





 素晴らしいテクニックはもちろん、その巨体とユーモラスでフレンドリーな人柄でも知られるサイラスは、ブラック・ミュージックのルーツであるブルース、ゴスペル、バップをバックボーンとしている名手です。
 共演する中村健吾は、1998年にサイラス・チェスナット・トリオに加入した経歴もあり、いわばかつてのボスの元での「再会セッション」ということになるのでしょうか。





 ライブは2セット。
 サイラス&中村のデュオ、サイラスのソロ、そして最後に再びサイラス&中村デュオ、という構成でした。
 どちらかというと、われわれ日本人向けというか、日本のジャズ愛好家になじみがありそうなナンバーを中心に演奏しているようでした。
 その巨体と相まって、サイラスの演奏ぶりは貫録充分。
 演奏中には中村氏にたびたび合図を送っていました。それだけ見ても、サイラスがこのツアーのボスなんだろう、と推測できましたが、中村氏がつねにサイラスを見ており、サイラスからの合図、つまり指示に素早く、そして忠実に反応していたのが印象的でした。こういうことひとつが、ピアニストからすると安心して任せられるベーシストということになるのでしょう。
 MCはサイラスが短めにとっていましたが、分かりやすい英語で話そうとしてくれているのがよく伝わりました。伝えづらいところはすかさず中村氏が通訳したりして、ここでもふたりのコンビネーションの良さがわかりました。





 中村氏のベースは決して派手ではありませんが、「なるほど、こういう演奏をしているから共演者から厚い信頼を得られているんだ」と思わせられる、堅実なものでした。
 揺るぎなくタイム感を維持し、生き物のようにグルーブし、きちんとコード進行を伝え、しっかりジャズを味わえるベース・ラインを作り、一拍をちゃんと長く弾き、共演者の要望や指示に即座に反応する。当たり前のことではありますが、これだけ懐の深い安定したベーシストが共演者であれば、「安心して演奏できる」ばかりか、自分は巧くなったような気分にさせてくれる、稀有なベーシストなのではないか、としみじみ思いました。


 しかしそういう難しいことを抜きにしても、雰囲気のある濃い、そして楽しいライブでした。
 これだけの名手なら、聴くことができる時には聴いておかなかれば。(^^)
 

 




サイラス・チェスナット(piano) & 中村健吾(contrabass)
2018年5月17日(木)
岡山蔭涼寺
 







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