ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

ローズ (The Rose)

2006年04月26日 | 映画
♪お気に入り映画(その21)


ローズ [The Rose]
■1979年 アメリカ映画
■監督…マーク・ライデル
■音楽…ポール・A・ロスチャイルド
■出演
  ☆ベット・ミドラー(ローズ)
  ☆アラン・ベイツ(ラッジ)
  ☆フレデリック・フォレスト(ダイアー)
  ☆ハリー・ディーン・スタントン(ビリー・レイ)
  ☆バリー・プリマス(デニス)
  ☆デヴィッド・キース(マル)
  ☆ドリス・ロバーツ(ローズの母)
  ☆ルディ・ボンド(モンティ)
  ☆サンドラ・マッケーブ(サラ)


  この映画の主人公「ローズ」は、は奔放で破滅的な人生を歩んだ、ロック界最高のシンガーのひとり、故ジャニス・ジョプリンをモデルとしています。
 主演のベット・ミドラーの強烈な個性が光ってます。


 冒頭、飛行機から降りてくる「ローズ」のファッションから顔つき、雰囲気までジャニスそのもの。ちょっとビックリです。でも単なるマネには終わってないんですよね。
 続いて見られるライブのシーンでの「ローズ」は、ド迫力! これは、「ローズ」というより、ベット・ミドラーのライブとして見てしまいました。
 ブロードウェイの「屋根の上のバイオリン弾き」にコーラスラインとして加わったのがショウ・ビジネス界のキャリアのスタートだというベットの歌唱力は、ホンモノです。声の張り、ツヤ、圧倒的な存在感、すべてがとても個性的。


 大スターとして華やかな生活を送っているかに見られる「ローズ」の裏側には、つねに孤独感がつきまとっています。
 自分らしく生きたいという願いは、ショウ・ビジネスの大きな渦にほんろうされています。大スターであるがゆえの苦悩と寂しさを紛らすためにドラッグとアルコールに溺れ、身も心もすり減らしてゆく「ローズ」。
 彼女が必要としている人は、そんな破滅的な人生を送っている彼女からは離れてゆき、彼女はさらに深く傷つくという悪循環。


     


 苦しみに満ちた世界から離れ、普通の暮らしを送ることは、彼女にはできなかったのでしょうか。
 そう、たぶん、できなかったのでしょう。
 派手な暮らしを捨てることができなかったのではなくて、彼女は、自分の人生の大きな部分を占めている「歌」を捨てることができなかったのだと思います。
 そして、彼女が苦しんでいる原因のひとつは、彼女が巨大なビジネスの歯車に組み込まれてしまったことにある、ということも言えるかもしれません。


 精神的にも肉体的にも極限の状態であるにもかかわらずステージに上がり、全身全霊を込めて歌おうとするラスト・シーンは、鬼気迫るものがあります。
 そして、力つきて倒れる「ローズ」。
 その姿に重なって、エンディング・テーマ曲のイントロが静かに流れてきます。
 破天荒な、しかし寂しい人生を送った「ローズ」を、いや、ジャニスをも優しく慰めるかのような、静かで、しかし力強い歌です。


     
     『ローズ』 オリジナル・サウンド・トラック

■ローズ [The Rose]
■作詞・作曲…アマンダ・マックブルーム
■1979年

人は言う 愛とは柔らかい葦を溺れさせる川
人は言う 愛とは傷ついた魂に血を流させる刃
人は言う 愛とは終わりのない痛みをともなう飢え
でも私は思う 愛とは一輪の花 そしてあなたはその種

打ちのめされるのが怖いなら 一生踊ることなんてできない
目覚めることを恐れる夢なら チャンスなんて手に入らない
何ひとつ失いたくないなら 誰かに何かを与えることなんてできない
死ぬことを恐れる魂では 生きることを学べない

けれど思い出して 
厳しい冬 雪の下に眠る種は
春になると太陽の恵みを受けて 
美しいバラの花になるのだということを



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コメント (5)
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