ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

クリーム (Cream)

2006年01月21日 | ミュージシャン


 元ベイ・シティ・ローラーズのイアン・ミッチェルが結成した「ロゼッタ・ストーン」というグループがありました。
 当時人気絶頂だったベイ・シティ・ローラーズ関連のバンドということでメディアの耳目を集めて華々しく登場し、デビュー曲は当時ひんぱんにラジオでオンエアされていました。
 すぐに消えてしまったバンドだったけれど、デビュー曲のメロディーだけは妙に耳に残ったままでした。その曲のタイトルは『サンシャイン・ラヴ』。いわずと知れた「クリーム」の名曲です。
 ぼくは「クリーム」という名のグループを、ロゼッタ・ストーンの登場で初めて知ったんです。


 1960年代のロックは、熱気と大きな可能性をはらんでいましたが、その時代を体現するグループのひとつが、「クリーム」です。
 「クリーム」は、エリック・クラプトン、ジャック・ブルース、ジンジャー・ベイカーという、それぞれが一国一城の主とでも言うべき三人によって結成された、ロック史上初のスーパー・グループです。


       
     左からエリック・クラプトン、ジャック・ブルース、ジンジャー・ベイカー


 ヒット曲産出の手段としてのレコーディングとツアーをこなすのがそれまでのロック・バンドのあり方でしたが、クリームはライヴでの即興演奏をも重視していたグループです。そのあたりの方法論は、ロックというよりも、むしろジャズに限りなく近いと思います。各々のプレイそのものに創造性を見出そうとしているのですが、これは抜きん出た技量を持つこの三人だからこそできたことなのでしょうね。


 だからといって、彼らはスタジオ録音をないがしろにしている訳ではありません。レコーディングの場合、そのスタンスを踏まえながら、「クリーム」ならではの音楽観をしっかり構築しています。
 ブルースに大きく影響されている「クリーム」ですが、スタジオ録音のアルバムを聴くと、それだけにこだわらず、曲のメロディーや構成にも重きを置いているようです。『ホワイト・ルーム』や『バッヂ』などの名曲を聴くと、「クリーム」のポップな側面がよく見えます。


     


 ライヴ・アルバムを聴くと、彼らの演奏は非常にワイルドで、攻撃的なのがわかりますね。自由で、創造性に満ちたインタープレイが存分に展開されています。スリリングなバトルとでも言ったらいいのでしょうか。ギター・トリオというシンプルな編成がより自由度を高めているとも言えるでしょう。そのタフな演奏は、このトリオがハード・ロックのルーツのひとつであることを示しています。
 『クリームの素晴らしき世界』に収録されている『クロスロード』や、『グッバイ・クリーム』の中の『アイム・ソー・グラッド』などは聴いているだけで背筋がゾクゾクしてきますね。


 若々しくてブルージーなエリック・クラプトンのギター、縦横無尽のジャック・ブルースのベース・ライン、ジャジーで幅広い音楽性の垣間見えるジンジャー・ベイカーのドラム、どれをとっても聴き飽きることはないのです。
 そして、ヴォーカリストとしてのジャック・ブルースの、張りとツヤのあるパワフルなヴォーカルもぼくは結構好きなんです。


     


 ぼくの「クリーム」の愛聴曲は、
『クロスロード』、『ホワイト・ルーム』、『スーラバー』、『アイム・ソー・グラッド』、『ストレンジ・ブリュー』などでしょうか。
 アルバムの一番のお気に入りは、『クリームの素晴らしき世界』です。


 昨年5月には実に37年ぶりに再結成し、そのニュースは世界中のロック・ファンを喜ばせましたね。ジャック・ブルースは2003年夏頃から体調を崩し、一時はニュースも途絶えてファンを心配させていましたが、見事に復活をとげました。
 できれば日本にも来て欲しいのですが、それは叶わぬ願いなのかな。いずれにせよ、まだまだ元気にプレイし続けて貰いたいものですね。


     
     2005年5月の再結成ライヴ


コメント (2)
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