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“日本の美”バレエで表現

2019-10-17 07:00:00 | 報道/ニュース

9月24日 NHK[おはよう日本」


熊川哲也さんは
東洋人として初めてイギリス ロイヤルバレエ団でプリンシパルを務めたあと
20年前 日本のバレエ界を盛り上げようとバレエ団を設立。
現在 芸術監督を務めている。

熊川さんが率いる Kバレエカンパニーの稽古場。
熊川さんは新作の最後の仕上げに取り掛かっていた。
タイトルは「マダム・バタフライ」。
有名なオペラをもとにバレエ作品として一から作り上げた。
明治時代の長崎を舞台にした
アメリカ人将校と遊女 蝶々夫人の悲しい恋の物語である。
クラシックバレエで初めて
日本を舞台に“日本の美”を描くという挑戦である。
(Kバレエカンパニー 芸術監督 熊川哲也さん)
「令和になったこの時代
 かつ オリンピックが来年。
 日本人として今のタイミングで
 日本の美しさ・所作
 日本女性の美しさ・忍耐強さを紹介したいと思った。」
リハーサルを見て驚いたのは独特の振り付け。
歌舞伎のような動きや
遊郭の花魁が練り歩くくシーンの足使い。
注目は足の甲である。
内側を向いている。
バレエでは足の甲を外に向けるのが基本なのでとても珍しい動きである。
花魁役を務めるダンサーも初めは戸惑ったという。
(マダム・バタフライ 花魁役 中村祥子さん)
「バレエというのは全部外向き。
 凛とした感じがある。
 輪の世界の表現はすべてがIN(内向き)な感じ。
 うちに秘めたものを表現しないといけない。
 そこは初めての経験。」
バレエの常識を打ち破る今回の挑戦。
他にも大きな壁があった。
衣装である。
バレエを着物で踊るのも初めての試みである。
(熊川哲也さん)
「けっこう難産でした。
 着物でどうやって踊るの?って。
 足を上げたりできないし
 日本女性はそんなことをしたら怒られる。
 “これはだめだ”ってバックギア入れて“帰りまーす”みたいな。」
ここで奮闘したのが長年政策を共にしてきたスタッフたち。
軽くて伸縮性のある素材を組み合わせ踊りやすくした。
(衣装デザイナー 前田文子さん)
「聞いたときは腰抜けそうだった。
 可憐な国 日本の
 一夜の夢みたいなファンタジーになればいいな。」
チーム一丸となって作り上げてきた「マダム・バタフライ」。
本番も近づき
舞台装置も仕上がった。
明治時代をイメージしたさまざまな小道具も登場。
蝶々夫人が生きた当時の長崎の花街を
細かい部分も大事にして再現した。
(熊川哲也さん)
「すごいね。
 この色つきガラス。
 すばらしい。
 わざと曇らせてあるんだね。」
(舞台美術デザイナー)
「ああ もっと良くなるよ。」
誰も踏み入れたことがない世界への冒険とも思える今回の挑戦。
熊川さんは
自分たちにしかできない作品を作り出すことで
世界の人たちを魅了したいと考えている。
(熊川哲也さん)
「今の時代
 日本を引っ提げて海外に出ていくのは古い。
 向こうから来てもらわなきゃだめ。
 日本で根付かせて
 日本ですばらしいものを見てもらう。
 それが本当の国際化だと思う。
 バレエ全幕新作を日本でこの時代に発表できるのは誇りに思う。」

 



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由来に思いをはせ、お互いの国を尊重する

2019-10-16 07:00:00 | 編集手帳

9月22日 読売新聞「編集手帳」


 太平洋の無人島、
初めての人々を乗せたカヌーが着いたのは1000年前のことらしい。

島の名をアオテアロア、
長く白い雲の下の地、
と呼んだ彼らは、
18世紀に英国からの探検隊が本格的に接触するまで独特の文化や習俗、
信仰を育んだ。
現在のニュージーランド、
先住民マオリ族の話である。
きのうラグビーW杯の試合が始まる前に、
かの国の歴史をにわか勉強した。

キックオフ直前の猛々しい民族舞踊、
ハカも、
マオリに由来する。
どんな意味があるのか。
遠かった国の根っこに興味がどんどん湧いてくる。
スポーツの大会がもたらす効用の一つだろう。

タトゥー(入れ墨)をした選手がいる。
現代の日本では反社会勢力のイメージが強いが、
かつてマオリの首長たちは美しく、
精緻(せいちな)タトゥーを施すことを旨とした。
日本のプールやジムにおいては、
出場選手はタトゥーを隠すように。
ラグビーの国際団体が示した方針に、
ニュージーランドチームは賛意を示していたそうだ。

それぞれがたどり来た道に思いをはせ、
お互いに尊重する。
そこからより深い理解や絆が生まれる。
大会がそんな機会になればいい。

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1964 東京五輪 選手村の味

2019-10-15 07:00:00 | 報道/ニュース

9月21日 NHK[おはよう日本」


1964CURRY。
このカレーにはオリンピックへの思いが込められている。
1964年に開かれた東京五輪。
石川県加賀市の横山保さん(84)は東京五輪の選手村の食堂で料理人を務めた。
選手村にある3つの食堂には全国各地から精鋭の料理人300人が集められた。
アジアで開かれた初めての五輪。
大会を成功させるために横山さんたちは“食事の提供”という重要な役割を担った。
(横山保さん)
「不安だった。
 何事も全部いちからでしょ。
 これは大変な事を推薦されて
 選ばれたんだから責任を全うしないといけないと。」
横山さんが働いたのがアジアや中東の選手などが利用した東京代々木の富士食堂。
午前7時~午後9時まで働き通し
1日6,000色を作ったという。
(横山保さん)
「寝る間もないんだから
 点滴打って休んで
 オリンピックだからできた。」
横山さんが作ったのはカレーやビーフシチュー
それにステーキなど
レシピは約2,000種類に及ぶ。
目標は世界中から訪れる選手たちの口に合った料理を提供すること。
当初は料理を食べ残している選手が多かったという。
横山さんたちはなぜなのか分からなかった。
そんなとき富士食堂の総料理長をしていた村上信夫さんがあることに気づいた。
(横山保さん)
「村上先生は毎日選手の食べる具合を自分の目で見て
 選手に聞いたらしい。
 そしたら塩が薄い。」
スポーツ選手は汗をかくため塩分が足りず
味が薄いと感じていたのである。
その後は塩を加えるようにした。
(横山保さん)
「帰りにやっぱ美味しかったって人は“Good”って言いに来てくれる。
 コックさん並んでて言いに来てくれる。
 口に合った
 美味しかったんだ。
 そういう喜びはやっぱり
 ああいうところじゃないと味わえない。」
選手村の食堂では働いた経験はその後の礎となった。
五輪から3年後に独立し
選手村の味を伝えていくことに。
(横山保さん)
「オリンピックを経験して
 この料理なら自信の持てるものを2品かそこら揃えたい。」
今も店で提供しているのが「1964CURRY]。
現在は息子の修さんが厨房に立っている。
修さんに味付けや作り方を教えた。
(横山修さん)
「味はしっかりずっと一律にしなきゃいけない
 ということは守っております。
 味だけは変わったと言われないよう心掛けて作ってます。
 最後にひとつまみの塩を入れるっていうのもポイントですけど。」
村上さんから教わったひとつまみの塩も加える。
横山さんが大切に守り続けているカレーの味。
(客)
「普通のカレーに見えるんですけど
 奥が深いというか
 すごく飽きもこないし
 変わらない味がすごい好きです。」
55年前に開かれた東京五輪。
おもてなしの精神は今もカレーの味に受け継がれている。
(横山保さん)
「いい経験をした。
 コックに生まれて良かったなと思った。」
  

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気候変動 タンザニア 仕事を奪われる女性たち

2019-10-14 07:00:00 | 報道/ニュース

9月20日 NHKBS1「国際報道2019」


温暖化による海水温の上昇が引き起こす危機。
気象庁によると
世界の海水の平均温度はこの100年で0,54℃上昇した。
わずかな幅のように思えるかもしれないが
実は地球レベルでさまざまな影響を及ぼしている。
たとえば近年増えている大型ハリケーン。
9月 アメリカの研究グループはその最大の要因は海水温の上昇だという分析結果を発表。
海水温の上昇で
世界最大のサンゴ礁帯グレートバリアリーフでは
大量のサンゴが白く変色したり死滅したりしている。
タンザニアでは
海水温の上昇がある特産品づくりを直撃して
女性たちが仕事を奪われる事態となっている。

インド洋に浮かぶタンザニアのザンジバル島。
人口約130万。
その9割がイスラム教徒である。
かつて沿岸部では観光以外に目立った産業はなく
その女性の働き場はなかった。
そんな島の暮らしを変えたものがある。
潮が引いた遠浅の海に入っていく女性たち。
目指すは50メートルほど沖の養殖場である。
この海で育まれているのは特産の海藻。
ロープにくくりつけて養殖し
シャンプーや化粧品などの原料としてヨーロッパや中国などに輸出している。
海藻の養殖が導入されたのは30年ほど前のこと。
遠浅の海での作業は女性でも働きやすく
いまでは2万人の女性がこの仕事に携わっている。
20年ほどこの仕事についてきたシハバさん(45)。
シハバさんは海藻をとるだけでなく仲間と海藻を使った加工品も作っている。
(シハバさん)
「この海藻の粉を使って石けんやクリームを作っています。」
地元でとれるクローブやレモングラスなどを混ぜることで付加価値をつけ
土産物として販売している。
この仕事を始めるまで農業を営む夫の収入に頼ってきたシハバさん。
海藻の仕事で月に100ドル以上の現金収入を得られるようになり
4人の子どもを高校に通わせることが出来たという。
(シハバさん)
「海藻のおかげで人生が大きく変わりました。」
ところがいま地球温暖化によってその仕事が脅かされている。
海藻が白くふやけている。
海水温が上がったためバクテリアがついて病気になり死滅してしまうようになった。
(農業省 海洋環境専門家 サルム氏)
「すべての変化は海水の温度上昇のせいです。
 海が遠浅になるとき
 特に水温が上がります。」
この5年でザンジバルの海藻の生産量は半分ほどに減った。
生産額も1億円以上落ち込み
地元経済への影響が懸念されている。
(農業省 海洋環境専門家 サルム氏)
「温暖化によって
 この島では海藻の産業そのものが崩壊しかねない事態です。」
苦肉の策で始まったのが養殖場の沖合への移動である。
沖合の深い海は水温が低く
病気の被害を避けることができる。
しかし深い沖合が養殖場になったことで女性が仕事に就くのは難しくなった。
保守的な価値観が根付く島では女性が泳ぐことへの抵抗感が強いのである。
「女は水が浅い場所でしか仕事できないからね。
 俺たちならもっと沖合の深い場所でも働けるよ。」
5年前に階層採りをやめたマウリドさん(52)。
(マウリドさん)
「沖合の養殖場では水が首のあたりまで来るのでとても無理です。」
他に働き口もなく
夫の収入に頼る生活に戻ってしまった。
(マウリドさん)
「私の養殖場は海の中に消えてしまいました。
 以前は自分で稼ぐことができたのに
 今は厳しい状況です。」
来る日も来る日も海に入って海藻を育て
経済力をつけてきた女性たち。
気候変動がその職を奪い去る現実が起きていた。
 



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台湾で“ムネリン”フィーバー!

2019-10-13 18:22:01 | 報道/ニュース

9月18日 NHKBS1「国際報道2019」


あの男がグラウンドに返ってきた!
川崎宗則 38歳。
来年 台湾プロ野球に参入するチームで自身もまた復活を目指す。
(川崎宗則選手)
「僕はいつもエネルギッシュだからね
 野球の時はエネルギッシュになりますね。
 僕も再出発でこのチームも再出発。
 ほんとリンクしていますね。
 お互いが再出発なんで
 そこはすごく僕にとっても勇気がもらえる。」
入団したのはかつて台湾プロ野球に加盟していた味全(ウェイチュエン)ドラゴンズ。
味全ドラゴンズは強豪として知られていたが20年前に解散。
このたび再起を目指すことになった。
(7月 味全ドラゴンズ 川崎宗則選手〉
「僕は川崎です。
 台湾の皆さんこんにちは。
 どうぞよろしくお願いします。」
アジア人メジャーリーガーとして以前から絶大な人気を誇っていた川崎選手には
大きな期待が寄せられている。
(味全ドラゴンズ 監督)
「世界レベルのスター選手の
 野球にかける姿勢を若い選手たちに見習ってもらいたいです。」
チームの本拠地は人口約11万の地方都市 斗六市。
街では早くも川崎フィーバーが起きている。
地元の少年野球チームは
Q.どの選手が好き?
「川崎宗則選手!」
(少年野球チームの監督)
「川崎選手が来てくれるなんて夢のようです。
 サインをもらう時に手が震えてしまいました。
 長年の夢がかないましたよ。」
(小学校の校長)
「川崎選手は偉大な人です!
 スターです!
 チームの復活には川崎選手は欠かせません。」
グッズも大人気。
ユニフォームやTシャツは数百枚がすでに完売。
購入は1か月待ちになっているという。
(球団ゼネラルマネージャー)
「予想もしない熱狂ぶりです。
 追加生産をしないと間に合いません。
 出会いは偶然とはいえ神様が川崎選手を私たちのチームに導いてくれたんです。」
何よりも期待を寄せているのがチームメートである。
チームの平均年齢は23歳。
ほとんどが高校を卒業したての新人や他球団を戦力外になった選手たちである。
大リーグでも活躍した川崎選手と一緒にプレーできることに興奮している。
(味全ドラゴンズ 劉選手)
「尊敬する人が間近にいる感じです。
 私たち新人が困難を克服できるよう
 導いてくれることを期待しています。
(味全ドラゴンズ 監督)
「日本 アメリカで数々の問題に直面し乗り越えた川崎選手は若い選手のお手本です。」
チームから絶大な期待を集める川崎選手。
明るいムードメーカーとしての役割も忘れていない。
若い選手たちとともに台湾プロ野球の新しい時代を築いていきたいと考えている。
(味前ドラゴンズ 川崎宗則選手)
「自分の息子とか孫たちが
 “野球選手になりたい”
 “台湾の野球選手になりたい”と
 だからその分夢を与えるようなプレーを見せる。
 そのための環境づくりを徹底的に勉強して
 この味全でやっていきたいと思っています。」
 

 

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駅の階段に・・・難問は解決できる!?

2019-10-12 07:00:46 | 報道/ニュース

9月18日 NHK[おはよう日本」


ごみのポイ捨てや自転車の違法駐輪。
こうした身近な困りごとを
ルールや決まりではなく
思わずしてみたくなるような仕掛けを使って解決しようという研究者がいる。
この夏 大掛かりな仕掛けを作ってある難問に挑んだ。

関西で最も利用客の多いJR大阪駅。
期間限定のある仕掛けが登場した。
青の“福島”か
それとも赤の“天満”か。
アフター5どちらに行きたいか?
階段を上れば投票することになる仕組み。
「福島です。」
「私は天満。」
赤か青
どちらかを選び階段を上ると天井のセンサーが人数を集計。
結果はその場で表示される。
福島派5018票
天満は8442票。
「大阪環状線総選挙」と名付けられたこの仕掛け。
アイドルグループの人気投票のように参加する楽しみを味わえる。
「楽しいですね。」
「おもしろいなと思いました。
 福島と天満
 どっちもいいな。」
この仕掛けを目的はエスカレーターの混雑緩和である。
(JR西日本コミュニケーションズ)
「10メートルくらいは行列ができる エスカレーターの下に。」
ラッシュ時には人であふれかえり
転倒など大事故につながる危険が指摘されている。
JRから依頼を受け仕掛けを考案したのは大阪大学大学院の松村真宏教授である。
松村さんは企業や学校に頼まれてさまざまな仕掛けを作ってきた。
学生たちと一緒に作った仕掛けは100種類以上にのぼる。
大学のポイ捨てを減らすために作ったゴミ箱。
バスケットゴールを固定しただけでシュートしたくなる。
設置後はゴミ箱に捨てる人が60%増加という効果が表れた。
動物園に来る子どもたちのために作ったのは・・・。
ライオンの口に手を入れるとセンサーが反応。
消毒液が出て手を洗える仕掛けである。
松村さんは
誰もが持っている好奇心や善意を引き出すことが
世の中を変えるきっかけになると信じている。
(大阪大学大学院 松村真宏教授)
「社会って何か問題が起こったら“禁止しましょう”とか“罰金にしましょう”とか
 ペナルティーを考えるケースが多い。
 仕掛けのように選択肢を増やして
 自分で選んで行動を変えてもらう。
 そういうのをどんどん増やしていければいいな。」
JR大阪駅で1週間行われた大阪環状線総選挙。
期間中 階段の利用者は平均4%
時間帯によって10%増えた。
JR西日本は今後
同じような仕掛けを他の駅でも行うことを検討している。
(大阪大学大学院 松村真宏教授)
「我々の行動が変わるだけで解決するような問題もたくさんある。
 そういう問題を仕掛け学でみんなが楽しみながら解決出来たらいいなと思っている。
 そいうなるように研究や実験をやっていければ。」




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竹を使って “脱プラスチック”

2019-10-11 07:10:21 | 報道/ニュース

9月17日 NHKBS1「国際報道2019」


タイの首都バンコクを練り歩きプラスチックごみの削減を訴える人々。
「私たちは生活スタイルを変える必要があります。」
市場や屋台ではプラスチック製の容器が大量に使用されている。
タイ政府は
レジ袋やコップなど一部のプラスチック製品の使用を2022年までに禁止する方針だが
年間450億枚にものぼるという使い捨てレジ袋の消費を減らすのは簡単ではない。
8月 プラスチックをめぐってショッキングな出来事が起こった。
タイ南部の海岸で今年4月に保護され人気者となっていたジュゴンの赤ちゃんが急死。
腸に海中のプラスチックごみが詰まり炎症を引き起こしたことが死因だとみられている。
これを機に
タイ全土で“脱プラスチック”の機運が一気に高まった。
ジュゴンがいた海からほど近いタイ南部バッタルン県。
ここでいま脱プラスチックで注目を集める市場がある。
“ごみ0マーケット”と呼ばれるこの市場。
おやつや飲み物を売る店が150以上集まっているが
どの店もプラスチック製の袋や容器を使っていない。
代わりに使っているのは主に竹の容器。
ストローも竹製。
さらに
バナナやハスの葉
ココナッツの殻なども活用している。
もしポイ捨てされても環境への影響はほとんどない。
(観光客)
「雰囲気もいいし
 とてもユニークな場所です。」
「プラスチックごみを減らすにはとてもいいアイデアだわ。」
市場を運営するクワンジャイさん。
以前は公務員だったが
日々の暮らしからプラスチックごみを減らしたいと
2年前にこの市場を起ち上げた。
(クワンジャイさん)
「いろいろ見てきましたが
 どの市場も環境がとても劣悪でした。
 自然を生かし
 環境をこわさない素材を使った市場をつくりたかったのです。」
市場に出店する際の決まりは
プラスチックを使わないことだけ。
出店料はいっさい必要ない。
敷地内にはクワンジャイさんが日本を参考にして13年かけて造成した竹林があり
出店者はそこでとれる竹の容器を利用することが出来る。
“脱プラスチック”というコンセプトや
“竹林共生型”の市場という目新しさが評判を呼び
市場には多くの市民や観光客が訪れるようになった。
クワンジャイさんは竹の皮を利用した皿を独自に考案し製品化するなど
竹林を新たなエコビジネスとして活用する道も探っている。
(出店者)
「彼女のおかげで自然を愛するようになり
 再利用できる自然素材を探すようになりました。」
このユニークな取り組みは全国的に話題となり
毎週のように各地の自治体や企業が視察に訪れている。
「この皿は自然由来で
 洗って干せば何度でも使えます。」
(自治体の担当者)
「プラスチック削減は難しいですが
 実現の可能性を模索します。」
ごみ0マーケットを通じ全国区の知名度を誇るようになったクワンジャイさん。
プラスチック問題を自分たちの問題として認識してほしいと考えている。
(クワンジャイさん)
「プラスチックごみは世界中にあふれ
 環境への大きな脅威になっています。
 プラスチックを減らす行動を始めるのは今しかありません。」
小さな市場から始まった脱プラスチックの動き。
訴えるのは“プラごみ0”の実現である。

 


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街角ピアノ 音楽をきっかけに にぎわう商店街へ

2019-10-10 07:00:00 | 報道/ニュース

9月17日 NHK「おはよう日本」


島根県松江市中心部にある京店商店街。
その一角に1台のピアノが置かれている。
毎日午前10時から午後9時まで誰でも自由に弾くことが出来る。
「演奏を聴いてもらえるのがうれしくて
 ここで弾いています。」
この商店街で生まれ育った三成浩靖さん。
松江城の近くで江戸時代から続くこの商店街。
昭和40年代50年代には毎週のように音楽のイベントが開かれ
商店街の中は身動きが取れないほど大勢の人でにぎわっていたという。
しかし郊外の大型商業施設などに押されて客足が減り
シャッターを閉めている店も少なくない。
そうした状況を少しでも変えられないかと商店街で話し合い
ピアノを置くことにしたのである。
(三成浩靖さん)
「昔のような賑わいが本当の理想形ですが
 きっかけがまずできて
 コミュニティーができて
 それが商売という形につながっていけば
 もう一度 京町商店街が元気になっていくんじゃないかな。」
街ゆく人たちが足を止め演奏する“まちかど”ピアノ。
この日ピアノを弾きにやって来たのは東京から来た中学3年生の男の子。
ストリートパフォーマーの父親と全国各地を旅している。
そして両親の介護で実家に戻って来た男性は偶然ピアノを見つけ気分転換に。
ピアノを通じ生まれ始めた賑わいをもっと広めたいと考えている人がいる。
この商店街で飲食店を経営している山野俊朗さん。
山野さんは知り合いのミュージシャンに協力してもらい
年に一度の夏祭りの当日ピアノを使ったイベントを行うことにした。
ピアノの音色が響きだすと
誘われるように
1人
また1人と
人の輪ができ始める。
山野さんと三成さんもピアノを通じて生まれる人と人のつながりに手ごたえを感じていた。
日が暮れても続く演奏会。
大人から子どもまで
みんながひとつになって楽しむ。
(山野俊朗さん
「商店街あそこは面白いねとおもってもらえる場になるのではないか。
 これからも頑張っていこうかな。」
(三成浩靖さん)
「新しい松江の文化になっていけば面白いじゃないですか。
 音楽で少しずつ文化が広がって輪が広がって
 にぎやかになっていけばいい。」
ピアノがつなぐ人と人の輪。
商店街に新たなにぎわいの灯が灯ろうとしている。

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未来の五輪選手育成 カギは「親」にあり

2019-10-09 07:00:00 | 報道/ニュース

9月17日 NHK「おはよう日本」


リオデジャネイロ五輪日本代表選手を対象に行ったアンケート。
競技レベルが一気に高くなる中学生のころ精神的にサポートっしてくれた人は
男子・女子ともに最も多かったのは母親だった。
アスリートにとって大事なこの時期
母親が果たす役割に注目した支援をJOCが進めている。

代表選手の強化拠点ナショナルトレーニングセンターで開かれたセミナー。
受講したのは将来オリンピック出場を目指す子どもの親。
ケガの予防や食事について
そしてアスリートとして成長する子どもとのかかわり方を学んだ。
この日はロンドン五輪の卓球女子団体で銀メダルを獲得した
平野早矢香さんの母親が講師役。
(母 美恵さん)
「“負けちゃった”と本人は落ち込んで言っているのに
 “どうして負けたの?”とか
 向こうがちゃんと話しにくいようなことを
 親が先走っていってしまったような時期があった。」
受講者の1人 金井さん。
セミナーに参加して子どもとの接し方を見直した。
娘の莉佳さんは中学2年生。
日本スケート連盟の強化指定選手である。
これまでは金井さんが撮影した映像を見ながら
フォームやレース展開について事細かに口を挟んでいた。
(金井さん)
「毎回滑りの動画を撮るようになって
 家で見るようになって
 反省会みたいなことが出来るようになった。
 “ずっと変わらないんじゃないの?”と言ってしまったことがあって
 “分かっていることを言わないで”と言われたことがある。」
セミナーを受講して以降 莉佳さんとの距離感を意識してきた金井さんだったが
その接し方に悩む場面に直面する。
8月に出場した国際大会。
優勝の可能性もあったが最高順位は3位。
失格したレースもあった。
帰国から1週間後
思うような結果を出せなかった娘の練習を見ていた時
金井さんはフォームが崩れていることに気づく。
(金井さん)
「重症だ 重症。
 もうバランスが崩れているから転びそうになっている。」
しかし金井さんはあえて莉佳さんの言葉を待った。
(莉佳さん)
「原因はわかってる。
 後ろ乗りと体重移動ができていないと思う。」
これまでとは違う金井さんの接し方は莉佳さんに伝わっていた。
(莉佳さん)
「落ち込んでいるときとか悩んでいるときとか
 よく声をかけてくれる。
 笑顔とか見ると心がテンションが上がる。」
(金井さん)
「見守るしかない 今は。
 心の波があるのが中学生のような気がする。
 それをうまくキャッチしていくしかない。」
選手の親を対象にした取り組みについて
担当するJOC理事の高橋尚子さんは
子どもとともに親の成長も欠かせないとしている。
(JOC理事 高橋尚子さん)
「頼りにする
 頼れる人がいるという思いが自信になったり
 自分の勇気や元気につながると思う。
 自分の味方がしっかりそばにいてくれるという存在が保護者なんだと思う。
 親も知識をたくさん持ち合わせることによって
 子どもたちを良い方向に誘導してあげられることにつながる。」
 


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白人至上主義団体の実態 トランプ政権下で勢い

2019-10-08 07:00:00 | 報道/ニュース

9月17日 NHK「おはよう日本」


バージニア州の白人至上主義団体のデモ。
差別に抗議する人たちが詰め寄り
現場が騒然とするなか
団体のメンバーの男が突然 銃を取り出し実弾を発砲して威嚇した。
アメリカでは今こうした差別的な思想を持つ人たちの言動がますます先鋭化している。
去年 白人至上主義者が銃などを使って起こした殺人事件の死者は39人にのぼり
2017年に比べて倍増した。
8月にはテキサス州のエルパソで白人至上主義者とみられる男が銃を乱射し
メキシコ人など22人が死亡した。
容疑者の男がインターネット上に投降したとみられる文章には
“テキサスでヒスパニックによる侵略が起きている”
などと記されていた。
ネット上には事件に共感するような書き込みが相次いでいる。
”エルパソの事件に感銘を受けた”。
こうした声を吸い上げて勢力を拡大している白人至上主義団体がある。
その代表はもともと保守系のメディアで働いていたという。
暴力には反対だと言いながらも
増え続ける移民への怒りは理解できるという。
(白人中心の国家樹立を掲げる パトリック・ケーシー代表)
「この国を作ったのは白人なのに
 このままでは少数派になる。
 白人は優遇されていないのに
 白人以外は常に恩恵を受けている。」
今年活動を始めたばかりにも関わらず
メンバーはすでに500人余に急増。
メンバーの半分は大学生でなかには弁護士や会社経営者もいる。
そのほとんどがトランプ大統領の熱烈な支持者である。
大統領が移民に批判的な発言をするたびに強力な後押しを受けている気がするという。
(白人中心の国家樹立を掲げる パトリック・ケーシー代表)
「トランプ大統領の発言は人を奮い立たせる。」
一方こうした勢力の強まりに危機感も広がっている。
スーザン・ブローさんは
2年前 白人至上主義者の暴力によって娘のヘザーさんの命を奪われた。
抗議するヘザーさんたちに白人至上主義者の運転する車が突っ込んだのである。
(スーザン・ブローさん)
「娘は“この町に憎悪の居場所はない”という意志を示そうとしていたと思う。」
娘のような犠牲者をもう二度と出したくない。
ブローさんは過激な思想の広がりを食い止めようと各地で訴えている。
そしていま力を入れているのが
白人至上主義の思想に染まりやすい若者への働きかけである。
ブローさんは娘の名前を付けた基金を起ち上げ
差別をなくす活動をしている高校生や大学生を支援している。
学生たちは全米各地で活動している。
(スーザン・ブローさん)
「私たちはまだ憎悪を持つ人に対処できていない。
 若者を支援することで
 差別による犯罪を減らしていける。
 一刻も早く活動しなければいけない。」
トランプ大統領の言動に勢いを得る白人至上主義を食い止めることはできるのか。
アメリカ社会では焦燥感すら広がっている。 





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日本語を話すには気遣いから

2019-10-07 07:00:00 | 編集手帳

9月15日 読売新聞「編集手帳」


 日本語、特に方言は難しい。
江戸っ子が「し」と「ひ」の区別がつかないというのは通説だが、
大阪人も「し」を「ひ」と発音することが多いのだそうだ。
講談師の旭堂南陵さんが増補改訂した『事典にない大阪弁』(浪速社)に例が挙げてある。
ひつこい(しつこい)、
ひく(敷く)等々。
逆もありで「猫の額のような庭」を<発音から「猫の死体のような庭」と思てた友人がいた>そうな。

待ち合わせに相手が「来ない」ことを言う「けぇへん」は近年、
「こうへん」「きぃへん」に変化する一方で、
「消えない」や「着もしない」の意味にも使われて…。
実にややこしい。

同じ日本人ですらこの有りさまだ。
我が国で暮らし、
働く外国人はどうだろう。
「日本語教育 社会の責任で」。
そんな見出しの記事を先日読んだ。
幼い頃に来日し、
母国語、
日本語ともに苦手な子どもが少なくないのだという。
そのもどかしく、
つらい毎日を思う。

少しの気遣いからでも始めたい。
コンビニでたどたどしい日本語で応対されたら分かりやすく注文を伝える、
とか。
事典にない言葉は相手や場所を考え、
ゆっくりと丁寧に。

 

 

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月島1丁目 山形山

2019-10-06 17:00:00 | グルメ

 

     

              (食べログより)   

 

東京メトロ有楽町線「月島」駅 7番出口より徒歩2分
都営大江戸線「月島」駅 8番出口より徒歩2分
月島駅から147m
キャピタルゲートプレイス1F

https://vitality.co.jp/

 




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パキスタン “王様のフルーツ” マンゴー

2019-10-06 07:00:00 | 報道/ニュース

10月18日 NHKBS1「国際報道2019」


南アジアのパキスタンで作られたマンゴーは
数年前から日本への輸出が本格化していて注目されるようになっている。
パキスタンマンゴーは現地では“王様のフルーツ”と呼ばれている。

パキスタンの夏を代表するフルーツ マンゴー。
5月から9月の初めにかけての収穫の時期にはたくさんの商品が市場に並び
買い求める人でにぎわう。
「いつもまとめ買いしています。」
街ではマンゴーに氷と牛乳を加えてつくるマンゴーシェイクも人気である。
「健康にもいいから大好きなんだ。
 おすすめだよ。」
パキスタンのマンゴーの生産量は年間約160万トン。
世界第6位である。
最大の生産地は中部の都市ムルダン。
40℃を超える高温多湿の気候と肥沃な大地は
マンゴーの栽培に最も適していると言われている。
この町にあるマンゴーの品種改良に取り組む研究所。
いま力を入れているのは“種なし”マンゴーの研究である。
研究の責任者 モハマド・アミンさん。
新たな品種の開発から販路の拡大まで手掛け
業界では“マンゴーマン”の愛称で親しまれている。
3年前から種の遺伝子の分析などを行い地道な研究に取り組んできた。
その結果
“種なし”とまではいかないが
種の大きさをこれまでの3分の1以下の栽培に成功した。
(モハマド・アミンさん)
「種はありますが大きさは全体の1割から2割程度で
 果実は8割から9割もあります。
 品種改良に期待ができそうです。」
こうしたマンゴーにはいま海外から熱い視線が寄せられている。
(アメリカのバイヤー)
「種類がたくさんあって味もいい。
 最高のマンゴーです。」
輸出先はこれまで中東地域が7割以上を占めていたが
近年 新たな販路を開拓する動きが盛んになっている。
その中でも特に有望視されているのがマンゴーが高級品として人気の日本である。
日本への輸出を手掛けているパキスタンの企業。
日本の厳しい検疫基準に合わせて
3年前 日本から特殊な消毒用の装置を購入した。
高温の蒸気でマンゴーに寄生するミバエなどを駆除するこの装置は
果実の温度を高い温度で保ち
25分間かけて消毒する。
消毒にあたっては必ず現地に駐在する日本の植物検疫官が立ち会い確認を行う。
(農林水産省 植物検疫官)
「世界各国でマンゴーは生産されていて
 日本にも複数の国から輸入されているが
 甘さやクオリティーは高いかなと思っている。」
日本の厳しい基準をクリアするには多額の投資を必要とする一方
ブランド力の強化にもつながるとして期待が高まっている。
(モハマド・アミンさん)
「日本人はマンゴーが大好きで品質の高いものを求めています。
 ぜひ輸出してそうした需要を掘り起こしたい。」
パキスタン特産のマンゴーは日本の市場でチャンスをつかむことが出来るのか。
新たな挑戦が始まっている。
 

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ドイツ “増税で消費減を” 変わる肉への意識

2019-10-05 07:00:00 | 報道/ニュース

9月12日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」


ドイツでは1人あたりの肉の消費量が年間約60キロにのぼり
世界平均を20キロ上回っている。
いま増税をすることでその消費量を減らそうという声が広がっている。

議論になっているのは肉にかかる付加価値税。
現在の軽減税率の7%から標準税率の19%にまで引き上げるべきだという提案が
8月 議員から相次いだ。
肉の消費量を減らし
動物の福祉と温暖化対策につなげようという狙いである。
(社会民主党 ライナー・シュピーリンク議員)
「肉を食べることについてドイツ国内で議論が始まることが重要です。」
背景には動物や環境を保護しようという人々の意識の高まりがある。
ドイツでは
肉はもちろんチーズや牛乳など
動物に由来するものを一切口にしない“ビーガン”と呼ばれる人たちが急増。
2008年には8万人ほどだったのが現在は130万人にも上ると言われている。
ベルリンで8月に開かれたヨーロッパ最大のビーガン祭り。
菜食主義を推進する団体などが主催し今年で12回目を迎えた。
来場者は年々増加を続け
今年は3日間で6万5,000人が訪れる賑わいとなった。
肉を避ける理由の1つに動物愛護の精神がある。
食べるために動物を殺すことへの拒否感や
動物を狭い檻に閉じ込めることは残酷という考えが広がっている。
肉のように切って焼いて調理されているのは小麦蛋白で作られた代替肉。
牛乳を一切使っていないアイスクリームも登場。
カシューナッツから作られた特製のクリームでなめらかな食感である。
(来場者)
「おいしいです。
 普通のアイスクリームよりもいいよ。」
「動物も人間と価値は同じです。
 動物を殺して食べる権利なんてないと思います。」
「たとえ税率が上がり肉が高くなっても
 その税金が動物のために使われるならいいと思います。」
さらに
肉を食べることが地球温暖化につながるという懸念も広がっている。
家畜のゲップや排せつ物に含まれるメタンガスなど
肉の生産過程では大量の温室効果ガスが排出されるためである。
(講演会 講師 アイデュルムシュさん)
「チーズバーガーを食べて自転車に乗れば
 自動車の半分の温室効果ガスを輩出したのと同じです。」
こうした意識の高まりは世界的な企業をも動かしている。
アメリカのハンバーガーチェーン最大手のマクドナルドは
4月 まずはドイツ限定で肉を一切使用しないバーガーの販売を開始。
パテには大豆と小麦で作られた代替肉を使用。
見た目も味も本当の肉のようで
売れ行きは好調だという。
(広報担当 バッハホルツさん)
「ドイツでは肉を使わないものが求められているのです。
 ビーガン向けの新製品にはドイツ以外の市場も関心があり
 他国の店舗も新製品の動向に注目しています。」
一方 肉の消費量を減らすために税率を引き上げることに反対する意見もある。
ベルリン市内で20年以上精肉店を営むビュンガーさん。
肉を販売するうえで家畜が育つ環境にも気を配ってきた。
店に並ぶのはストレスが比較的少ない放牧などによって育てられた家畜の肉。
手間がかかるぶん値段は普通の肉の倍以上になるが
動物の尊厳を大切にしたいというこだわりを持っている。
ビュンガーさんは肉の税率アップによる売り上げへの影響を心配している。
ドイツの平均的な2人世帯が肉にかける出費は日本円で月々約5,900円。
税率が引き上げられれば毎月約660円出費がかさむことになる。
その結果
効率的に生産される安い肉ばかりが売れるようになって
ビュンガーさんのように家畜に配慮している精肉店にとって大きな打撃になるという。
(精肉店オーナー ビュンガーさん)
「肉の税率引き上げには反対です。
 動物のために努力してきた精肉店には“罰”のようです。
 肉がさらに高くなればお客さんは安く買えるスーパーに行くでしょう。
 結果的に動物に悪影響を及ぼします。」






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米 大統領選 “若者に広がる“社会主義”

2019-10-04 07:00:00 | 報道/ニュース

9月12日 NHKBS1「国際報道2019」


政権奪還を目指す野党民主党の候補者選び。
民主党では20人以上が大統領候補として名乗りを上げていた。
しかし3回目のテレビ討論会では
これまでより参加資格が厳しくなり候補者は10人に限られた。
事実上の絞り込みが進むとみられる。
支持率トップは依然としてバイデン氏だが
このところ猛追しているのが支持率第2位のウォーレン氏と3位のサンダース氏である。
この2人の勢いの背景にあるキーワードは“社会主義”である。

かつてアメリカで社会主義というと
自由が抑圧されたり国家の統制のもとで土地や資本などが管理されるという
否定的なイメージが一般だった。
しかし現在では
富を分配して福祉を充実させることでより公平な社会を目指すものだという考えが広がっている。
経済格差の広がりとともに
こうした社会主義的な考えを支持する人は特に若い世代でいま急速に増えている。
その背景に何があるのか。

南部アトランタで8月に開かれた全米規模の集会。
主催したのはアメリカ最大の社会主義団体DSAである。
全米各地で社会主義の普及活動を行うメンバーの代表約1,000人が集まった。
目立つのは若者たちの姿である。
団体の会員数は前回3年前の大統領選挙のときは5,000人。
それがトランプ政権誕生後に急増し
現在では10倍以上の約6万人にのぼる。
団体の幹部は
今回の大統領選に立候補している民主党候補者の主張が
前回とは打って変わってより社会主義的になっていると強調する。
(団体の幹部)
「前回の選挙でバーニー・サンダース氏が国民皆保険や大学の無償化を掲げていたが
 今では民主党候補のほぼ全員がそれを主張している。
 我々が支持する候補は未来に目を向けているのだ。」
集会に参加した1人ストレイダーさん(33)。
アトランタから4,000km以上離れた西海岸のシアトルから駆け付けた。
(団体の幹部)
「自分の周りにいる人たちに伝えてください。
 私が守ってあげる!
 私が守ってあげる!
 私が守ってあげる!」
(社会主義団体に所属するストレイダーさん)
「集会はアメリカで社会主義が最高潮を迎えていることを象徴しています。
 歴史的なイベントです。
 この左派の運動を盛り上げれば社会主義を根本的に変えられると信じています。」
いま若者たちの間で何が起きているのか。
ストレイダーさんの地元シアトル。
ストレイダーさんは大学卒業後ウェブサイトを管理する会社で働いていたが
経営陣が利益を独占していると感じて辞めた。
(社会主義団体に所属するストレイダーさん)
「富を持たない人が99%
 持つ人が1%
 格差は広がり続けています。
 それを考えて社会主義にたどり着きました。」
ストレイダーさんは市内のアパートで妻と2人で暮らしている。
いまは電気の配線工事などで生計を立てているが
収入の多くは家賃に消えてしまうと言う。
(社会主義団体に所属するストレイダーさん)
「こんな状況 本当に嫌になります。
 不公平です。」
シアトルはアマゾンやマイクロソフトといった世界に名だたる大企業が本社を置く
好調なアメリカ経済を象徴する街である。
しかし大企業の進出によって住宅費が高騰。
家賃はこの10年で50%以上も上がっていると言われている。
夜 街中では
「1年くらい車で暮らしています。」
ガールフレンドとともに車で寝泊まりしているという男性。
料理の宅配の仕事をしているが家賃が払えないため車で生活を続けている。
「この辺で最も安い住宅でさえ1人部屋で月に約13万円します。
 信用や保証人なしに家を狩りつことはできません。
 もっと支援が必要です。」
こうした住むところを失った人々のために
シアトル市内にはNGOなどが設置した「テントシティ」と呼ばれる施設が10か所以上ある。
28歳の女性は10か月の娘と1週間前からここで暮らしている。
夫と別れたあと住む場所がなくなりここに来るしかなかったと言う。
(施設に暮らす女性)
「今のシステムは機能していない。
 早く変わってほしい。
 社会主義は正しくないかもしれないが今よりはマシな選択です。」
この状況は実際の選挙にも影響を及ぼし始めている。
DSAの会員でジャーナリストのショーン・スコット氏。
8月に行われたシアトル市議会議員選挙の予備選挙に立候補。
社会主義的な政策を前面に押し出し
全体で2位の得票で11月の本選挙の候補者の資格を得た。
掲げた政策の1つが
シアトル市が所有する4つのゴルフ場の一部を低価格の公営住宅に変えるというもの。
(シアトル市議会議員候補 スコット氏)
「誰もが住む場所を持ち
 屋根の下で暮らすべきです。
 人としての基本的な欲求でしょう。」
スコット氏は本選挙に向けた手ごたえを感じていると言う。
(シアトル市議会議員候補 スコット氏)
「不平等を解決できるのが社会主義です。
 これからアメリカで社会主義はもっと広がっていくと思います。」



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