9月11日 NHKBS1「国際報道2019」
長期化する米中の貿易摩擦。
イギリスのEUから合意なき離脱への懸念。
先行きの見えないこの2つの問題は世界経済に深刻な影響を与えている。
これまでヨーロッパの経済をけん引してきたユーロ圏最大の経済大国ドイツにも陰りが見え始めている。
ユーロ圏主要3か国の今年4~6月期実質GDP成長率は
フランスが+0,2%
イタリアは0成長
そしてドイツは-0,1%とついにマイナス成長に陥った。
(ZDFドイツ)
「最盛期はもう過去のものなのか
フランクフルトモーターショーが開幕したが
プジョー シトロエン ボルボ フィアット テスラ トヨタも不参加です。」
9月10日に始まった世界有数のモーターショー。
車の電動化を背景にしたモーターショー離れに加え
コスト削減の圧力から
出展を見合わせる企業が続出。
ドイツを代表する自動車メーカーからも景気の先行きに懸念の声が相次いだ。
(フォルクスワーゲン ブランドステッターCEO)
「貿易摩擦の行方は注意しています。
アメリカも中国も重要な市場です。」
(BMW ノタ取締役)
「(今のイギリス政府は)不確実な状況は終わらせる必要があります。
ビジネスにとってマイナスです。」
こうしたなか一段と苦しくなっているのはすそ野の広い自動車部品業界である。
中国でも事業展開するエンジン部品メーカー。
以前は従業員の休日出勤は当たり前だったが
今年に入り中国向けなどで受注が減少し
上半期は赤字に転落した。
今この企業では従業員の勤務時間短縮制度を使って雇用をなんとか維持している。
ドイツで定められている労働時間は1日8時間。
ドイツではそれを超えて残業した時間を一定期間 食品のように貯めることが出来る制度ある。
忙しい時期にためた時間で将来の勤務時間を削減できる時短勤務を実現。
受注の減少に合わせて労働時間を短縮しても
一定期間は従業員の給与を維持できる仕組みである。
この企業では生産部門だけでなく広報を担当する部署などでも
時短制度を適用して今の苦境を乗り切ろうとしている。
(広報担当部署)
「ここ数年多くのイベントがありずっと忙しかったです。
今は仕事が減ったことで勤務時間も減少しました。」
しかし景気の低迷が続く中こうした努力だけでは乗り切れないと
国に支援を求める企業も相次いである。
製造業が集まるドイツ南西部バーデン・ビュルテンベルク州 労働局。
今年に入って時短制度に関連して補助金を求める企業の申請が急増している。
景気の低迷が続き
忙しい時期にためていた残業分の時間を時短の適用ですべて消化してしまえば
企業は従業員の給料を減らさざるを得なくなる。
それを防ぐために国が補助金を支給する制度が用意されているのである。
バーデン・ビュルテンベルク州で補助金の対象になった労働者の数は
8月は去年の同じ月の5倍以上にのぼった。
(バーデン・ビュルテンベルク州 労働局局長)
「公的制度を使い労働者をサポート
解雇にいたらないようにしたいです。」