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インド 官民一体でめざす「スポーツ大国」への道

2019-10-18 07:00:00 | 報道/ニュース

9月24日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」


13億の人口を抱え
堅調な経済成長を続ける大国インド。
一方で長年振るわないのがスポーツの分野である。
インドは1947年の独立以降これまで18回オリンピックに出場しているが
獲得したメダルは射撃やレスリングなどの種目でわずか23個にとどまっている。
そんな状況を変えようと
インドではスポーツ振興が進められ
少数民族に光を照らす動きにもつながっている。

インドの人々にとってスポーツと言えばクリケット。
週末には大勢の人が楽しむ。
18世紀にイギリスから持ち込まれたクリケットは
インドの国民的スポーツである。
しかしインドではクリケット以外スポーツ自体あまり行われず
世界で競える選手は少ないのが実情である。
そうしたなかスポーツ全体のレベルを上げようと
モディ政権が5年前に立ち上げたのが選手強化プログラム
「オリンピック表彰台目標計画」である。
将来メダルを狙えそうな選手に対し
トレーニング費用を国が全て負担するというもの。
いまは全国から88人が選ばれている。
そのうち最も人数が多いのが射撃。
射撃は
2008年の北京五輪でインド選手が個人初の金メダルを獲得したことで
人気が高まりレベルが上がった。
強化選手の1人 マヌー・バーカーさん。
今年すべてのワールドカップで優勝し
東京オリンピックへの優勝を決めた若手のエースである。
(強化選手 マヌー・バーカーさん)
「インドは裕福でない人が多く
 援助がなければ射撃の用具も買えません。
 金メダルを取りたいです。」
インド政府は来年の東京オリンピックで過去最高の6個以上のメダルを目標としている。
さらに2032年のオリンピック招致も見据えているという。
(スポーツ局 サンディップ・プラダーン局長)
「どの国でもスポーツは重要です。
 2032年にはスポーツ大国になることを目指します。」
インドのスポーツ振興は近年 政府だけでなく民間でも盛んになっている。
元オリンピック選手が先頭に立ちIT企業などの支援で作られたトレーニング施設。
選抜された選手や一般の人まで幅広く利用することが出来る。
運営する団体は南西部や沿岸部など5か所に施設をオープン。
今後も全国に施設を増やしていく予定である。
さらに今スポーツの力が差別に苦しむ少数民族の希望につながっている。
インド南部のカルナータカ週にある集落。
ここで暮らすのはアフリカ系の民族“シッディ”の人々である。
7世紀ごろに奴隷や兵士としてインドに渡り
奴隷制度廃止後そのまま定住。
今では5万人以上のシッデイがこの地域を含め限られた地域で暮らしている。
外見の違いなどから今でも差別を受けることがあるという。
カマラ・ミンゲル・シッディさんも幼い頃から差別に直面してきた。
「周りの人に“ゴリラ”とからかわれて
 悲しくて泣きそうになりました。」
32年前そんな彼らの運命を変える出来事があった。
インド政府はアフリカ系のシッディの人々の身体能力に注目し
世界で通用するスポーツ選手に育てる政策を始めたのである。
走るのが得意だったカマラさんは12歳の時その選抜メンバーに加入。
トレーニングの結果
ハードルや走り幅跳びなど陸上競技のインド代表として
国際大会で次々とメダルを獲得したのである。
(カマラ・ミンゲル・シッディさん)
「インドの代表になれて誇らしい気持ちでした。
 インド代表の服を着るとインドのために頑張ろうという気持ちがわいてきます。
 すべてが変わりました。
 仕事に就き
 尊敬され
 多くを得ました。」
しかし政府の方針の転換でプログラムはわずか6年で終了してしまった。
それから23年。
再びシッディの子どもたちを世界レベルのアスリートに育てようと
地元NGOが動き出した。
現在の選抜メンバーは地元の貧困地区で暮らす10代の若者15人。
8人がシッディの若者である。
(選抜メンバー)
「ボルト選手が好きです。
 夢は五輪に出て金メダルを取ることです。」
かつての自分たちのようにスポーツで自分たちの人生を変えてほしい。
カマラさんはNGOと協力しながら子どもたちに自分の経験を伝えている。
(カマラ・ミンゲル・シッディさん)
「自分の子どものころを思い出します。
 将来 彼らがオリンピックに出場し
 自分たちのことを誇りに思ってほしいです。」
広大なインドの各地で進むさまざまなスポーツ振興。
人口13億を超える大国が今
スポーツによって変わろうとしている。
 


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