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ノートルダム大聖堂 再建にかける思い

2019-10-25 07:00:00 | 報道/ニュース

10月1日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」


5か月余前の火災で尖塔が崩れ落ちるなど大きな被害を受けた
フランスのノートルダム大聖堂。
マクロン大統領は5年以内の再建を目指すとしているが
崩落を防止するための補強工事が必要となるなど
多くの課題が残されている。
そうしたなか銅像の修復作業が職人の手で始まった。


フランス南西部にあるぺリグー。
ローマ時代から栄えてきたこの歴史ある街に小さな工房がある。
38人の職人を抱え
ベルサイユ宮殿や世界遺産モンサンミシェルの銅像などの修復を手掛けてきた。
長年工房で技術指導を行ってきたパトリック・パレムさん。
そのパレムさんのもとにノートルダム大聖堂の火災から1か月後
大聖堂から1体の銅像が送られてきた。
崩れ落ちた尖塔の上に取り付けられていた風見鶏である。
(パルムさん)
「ここを見ると落下時の衝撃の強さがわかります。」
1860年に作られた風見鶏の重さは約8kg。
地面ではなく北側の屋根に落ちたことで奇跡的に無事だった。
しかし落下の衝撃で形が変形し
炎で一部が赤く変色していた。
風見鶏に入っていたのは銅製の筒。
その中にはノートルダム大聖堂を象徴する
あるものが収められていた。
十字架にかけられたキリストが被っていたとされる“いばらの冠”。
そのいばらの1つが風見鶏に入れられていたのである。
“聖なる力で
 パリの人々を守ってほしい”との願いからだった。
(工房「ソクラ」名誉会長 パトリック・パレムさん)
「とてもうれしい驚きでした。
 失われたと思っていたので
 言葉にできない感情がこみ上げました。」
火災で失われずに済んだのは風見鶏だけではなかった。
(パルムさん)
「これが12体の聖人像です。
 火災の数日前にここに運び込まれました。」
無事だったのは尖塔の周りに置かれていた聖人や天使の像など合わせて16体。
風見鶏と同じころに作られたものである。
大聖堂では
去年から総額170億円
10年がかりの大規模な修復が始まっていた。
銅像は火災のわずか4日前に屋根から降ろされ
危うく難を逃れている。
工房で9月から始まった銅像内の部品を修復する作業。
パレムさんは修復する上で何よりも大切にしているのが
ボルト1本にいたるまで
当時のものを最大限に再利用することである。
「これは160年前に作られたものです。」
19世紀の部品の多くは今では使われない手法で作られている。
劣化していない部品を再利用することで
160年前の優れた技術を次の100年に伝え残そうとしているのである。
(パルムさん)
「ひびひとつない素晴らしい仕事です。
 現代の技術で代替できるとしても
 当時の知識を残していくことが大切なのです。」
修復作業の1つの柱が
長年酸化で青緑になった表面を元に戻すことである。
酸化した表面を削ったあと薬品を塗っていくと色が変わっていく。
その成分は19世紀に使われていたものと同じである。
工房では像が作られたときの色を見極めるために
政府の担当者や建築家とともに試行錯誤を重ねてきた。
候補となったのはおよそ10パターン。
検討の結果 
濃い茶色が本来の色に最も近いと判断された。
(職人)
「私たちは昔の手法と全く同じ手法を用いています。
 なぜなら長い年月をかけて有効だと証明されているからです。」
9月21日
パリのフランス文化省で
風見鶏をはじめ4体の銅像が市民に公開された。
会場には2日間で8,000人余が足を運んだ。
(市民)
「これは奇跡です。
 焼け跡から立ち上がる象徴です。」
「すべてのフランス人とキリスト教徒のシンボルであり
 希望につながります。」
大聖堂の再建に先駆けて始まった銅像の修復作業。
ノートルダムの歴史を伝え残す
真摯な取り組みが続いている。




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