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犬はペットか食べ物か

2019-10-31 07:00:00 | 報道/ニュース

10月8日 NHKBS1「国際報道2019」


ベトナムの新聞の見出しに
“犬の肉を食べるのをやめられるか?”と書かれている。
その下には
犬の肉を食べないように呼び掛ける記事を犬たちが読んで喜んでいる様子が描かれている。
ベトナムでは犬を食べる習慣がある。
いまその習慣をめぐって大きな議論が沸き起こっている。

ベトナムの首都ハノイにある通り。
犬の肉を売る露店があちこちで見られる。
すぐ横には実際に料理を出すレストランも。
祖母の代から犬肉料理のレストランを営むタインさん。
専門の業者から仕入れた犬の肉を自ら調理する。
ベトナムでは昔から“犬の肉は精力がつく・悪運を取り除く”と信じられていて
旧暦の月末に食べる習慣がある。
消費量は年間500万匹に及ぶという推計も。
(犬肉料理 レストラン店主 タインさん)
「出しているのは伝統的なベトナム料理です。
 ゆで肉・煮込み・炒め物・鍋料理などがあります。」
(客)
「豊かな味わいがあって元気が出ます。」
「犬肉料理がナンバー1です。」
ベトナムでは今この伝統的な食文化が国を二分する論争を巻き起こしている。
行政が犬の肉を食べないよう相次いで呼びかけているのである。
去年 首都ハノイ市が発表した通知は
犬の肉を食べる習慣を見直すよう呼びかけている。
9月にはホーチミン市も自粛を呼びかけた。
背景には近年のペットブームがある。
ハノイに住むフィさん。
ベトナムでも人気がある柴犬など4匹の犬を飼っている。
SNSで愛犬の姿を発信。
アクセス数は増え続けているという。
民間の調査では
ベトナムのペットフード市場はこの10年ほどで約5倍になり
今後も拡大していくとしている。
(フィさん)
「すべての生活が犬たちと一緒ですから
 友だちであり家族でもあります。
 犬の肉を食べるのはやめてほしい。」
専門家はベトナムの経済成長が犬を取り巻く環境を一変させたと指摘する。
(ベトナム国家大学ホーチミン市校 ヴィ准教授)
「経済成長で食の選択肢が増え
 犬は食ではなく心を満たす存在に変わってきています。
 こうした変化を踏まえ
 我々は犬の肉を食べる習慣を見直す必要があります。」
さらに批判の的となっているのが
飼われているペットを盗み食肉用として売りさばく密猟が横行していることである。
警察も摘発に乗り出しているが被害は後を絶たない。
貿易会社を経営する愛犬家のソンさん。
5年前から食肉用に売られる可能性のある野良犬の保護などに取り組んでいて
密猟組織から逃げ出した犬を保護することもあるという。
(ソンさん)
「ベトナムで食肉のために犬を殺すということを終わらせたいのです。」
口に大きな傷を負った犬。
犬が吠えたり噛みつかないよう密猟組織が口をワイヤーで縛ったものとみられる。
ソンさんはこの犬が逃げ出し路上にいたところを保護し治療を施した。
一命はとりとめ今は海外の支援団体を通じてアメリカにわたり
新しい飼い主と平穏に暮らしている。
(ソンさん)
「この犬のことを多くの人と共有するようにしています。
 そうすれば人々の意識を変えられます。」
犬はペットか食べ物か。
経済発展めざましいベトナムを二分する論争が続いている。





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